説明

光源装置

【課題】励起光と白色光との両方をライトガイドに効率的に入射させることができるとともに、励起光に対する目の安全性を確保する。
【解決手段】互いに波長帯域の異なる第1および第2の光が入射され、第1および第2の光を導光部LGの入射端面60に入射させる光学系56によって第1の光(たとえば白色光)が上記導光部LGの入射端面の範囲内に集光されて入射されている状態において、第2の光(たとえば励起光)を拡散または収束して上記光学系56に入射させることによって、上記光学系56を透過した第2の光が導光部LGの入射端面60の1点に収束しないように構成するとともに、第2の光が導光部LGの入射端面60の範囲内に集光されて入射されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の導光部の光入射端面に対して第1の波長帯域の光および第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域の光を入射する光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光の照射によって体腔内の被観察部を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
このような内視鏡システムの1つとして、たとえば、脂肪下の血管走行および血流、リンパ管、リンパ流、胆管走行、胆汁流など通常画像上には現れないものを観察するため、予め被観察部にICG(インドシアニングリーン)を投入し、被観察部に近赤外光の励起光を照射することによってICGの蛍光画像を取得する内視鏡システムが提案されている。また、被観察部に励起光を照射することによって被観察部から発せられた自家蛍光を検出して蛍光画像を取得する内視鏡システムも提案されている。
【0004】
そして、たとえば、特許文献1においては、上述したように被観察部に励起光を照射して蛍光画像を撮像するとともに、白色光を被観察部に照射して通常画像を撮像する内視鏡システムが提案されている。
【0005】
ここで、特許文献1に記載のような通常画像と蛍光画像との両方を撮像する内視鏡システムは、白色光および励起光を出射する光源装置と、その光源装置から出射された白色光および励起光が入射されるライトガイドを備えた内視鏡とから構成されている。
【0006】
そして、特許文献1においては、光源装置から出射された励起光をロスを生じることなく内視鏡のライトガイドに入射させるとともに、内視鏡の先端から被観察部に照射される励起光にムラを生じないようにするために、内視鏡のライトガイドの光入射端面に励起光を集光する集光レンズをその光軸方向に移動させることによって、励起光の径とライトガイドの光入射端面の径とを一致させることが提案されている。
【0007】
一方、特許文献2においても、白色光および励起光を出射する光源装置と、その白色光および励起光が入射されるライトガイドを備えた内視鏡とから構成された内視鏡システムが提案されている。
【0008】
そして、特許文献2の内視鏡システムにおいては、内視鏡のライトガイドに対して白色光と励起光との両方を効率よく入射させるため、集光レンズによって白色光が収束する点にライトガイドの光入射端面を配置させるとともに、このとき集光レンズの色収差によって励起光が収束する点が上記光入射端面からずれることを考慮して、さらに励起光を光束調整器によって拡散光とした後に集光レンズに入射させ、これにより励起光が収束する点を上記光入射端面に位置させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−181061号公報
【特許文献2】特開2002−228942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡システムのように集光レンズを移動させることによって励起光の径を変更するようにした場合、励起光の径と白色光の径とが一致する場合には特に問題はないが、たとえば白色光の径の方が励起光の径よりも大きい場合には、ライトガイドの光入射端面の径に励起光の径を合わせたとき、白色光の径についてはライトガイドの光入射端面の径よりも大きくなることになるので、ライドガイドに入射される白色光の光量にロスを生じてしまう。
【0011】
また、特許文献2に記載の内視鏡システムのように、ライトガイドの光入射端面に励起光の収束点が位置するようにした場合、たとえばライトガイドがバンドルファイバにより構成されるような場合には、そのバンドルファイバの光入射端面における励起光の入射面積が小さくなり、これにより内視鏡の先端における励起光の出射面積も小さくなるため高い輝点を形成することになる。したがって、このような高い輝点から出射される励起光に対しては、目に入射した場合における何らかの安全性の対策が必要である。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑み、励起光と白色光との両方をライトガイドに効率的に入射させることができるとともに、励起光に対する目の安全性を確保することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光源装置は、被観察部まで光を導光して被観察部に光を照射する導光部に入射される第1の波長帯域を有する第1の光を出射する第1の光源部と、導光部に入射される、第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域を有する第2の光を出射する第2の光源部と、第1および第2の光が入射され、第1および第2の光を導光部の入射端面に入射させる光学系とを備え、第2の光源部が、上記光学系によって第1の光が上記導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されている状態において、第2の光を拡散または収束して上記光学系に入射させることによって、上記光学系を透過した第2の光が導光部の入射端面の1点に収束しないように構成されたものであるとともに、第2の光が導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されるように構成されたものであることを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の光源装置においては、光学系を、第1および第2の光が入射され、その入射された第1および第2の光を導光部の入射端面に集光する集光レンズを備えたものとできる。
【0015】
また、第2の光源部を、第2の光を拡散する凹レンズまたは第2の光を収束する凸レンズを備えたものとできる。
【0016】
また、第2の光源部を、光学系への第2の光の入射範囲を変更可能に構成することができる。
【0017】
また、第2の光源部を、第2の光を拡散する凹レンズまたは第2の光を収束する凸レンズと、その凹レンズまたは凸レンズを光軸方向に移動させる移動機構とを備えたものとできる。
【0018】
また、第1の光源部を、第1の光を射出する可視光源を備えたものとできる。
【0019】
また、第1の光源部を、第1の光を平行光として上記光学系に入射させる平行光学系を備えたものとできる。
【0020】
また、第2の光源部を、第2の光を射出する半導体光源を備えたものとできる。
【0021】
また、半導体光源として、半導体レーザ光源を用いることができる。
【0022】
また、第2の光源部を、第2の光として近赤外光を射出するものとできる。
【0023】
また、第1および第2の光を、内視鏡に設けられた上記導光部に入射するようにできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光源装置によれば、第1の光が光学系によって導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されている状態において、第2の光を拡散または収束して上記光学系に入射させることによって、上記光学系を透過した第2の光が導光部の入射端面の1点に収束しないようにするとともに、第2の光が導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されるようにしたので、たとえば第1の光として白色光を用い、第2の光として励起光を用いるようにした場合、励起光と白色光との両方をライトガイドに効率的に入射させることができるとともに、励起光に対する目の安全性を確保することができる。
【0025】
また、光学系への第2の光の入射範囲を変更可能に構成するようにした場合には、たとえば第2の光の入射端面の面積が互いに異なる複数種類の導光部が光源装置に取り付けられたとしても、その取り付けられた導光部の第2の光の入射端面の大きさや光源装置の光学系と導光部の入射端面との距離に応じて光学系への第2の光の入射範囲を変更することによって、導光部の入射端面における第2の光の入射面積を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の光源装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの概略構成図
【図2】体腔挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【図5】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【図6】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【図7】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【図8】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【図9】本発明の光源装置のその他の実施形態の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の光源装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムについて詳細に説明する。本実施形態の硬性鏡システムは、その光源装置の構成に特徴を有するものであるが、まずは硬性鏡システム全体の構成について説明する。図1は、本実施形態の硬性鏡システム1の概略構成を示す外観図である。
【0028】
本実施形態の硬性鏡システム1は、図1に示すように、白色の通常光および励起光を射出する光源装置2と、光源装置2から射出された通常光および励起光を導光して被観察部に照射するとともに、通常光の照射により被観察部から反射された反射光に基づく通常像および励起光の照射により被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像を撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施すプロセッサ3と、プロセッサ3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の通常画像および蛍光画像を表示するモニタ4とを備えている。
【0029】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、体腔内に挿入される体腔挿入部30と、体腔挿入部30によって導光された被観察部の通常像および蛍光像を撮像する撮像ユニット20とを備えている。
【0030】
また、硬性鏡撮像装置10は、図2に示すように、体腔挿入部30と撮像ユニット20とが着脱可能に接続されている。そして、体腔挿入部30は、接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続部30c、照射窓30dおよび撮像窓30eを備えている。
【0031】
接続部材30aは、体腔挿入部30(挿入部材30b)の撮像ユニット20側の一端部30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と体腔挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0032】
挿入部材30bは、体腔内の撮影を行う際に体腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。体腔挿入部30の内部には、撮像窓30eから入射された被観察部の通常像および蛍光像を結像し、体腔挿入部30の撮像ユニット20側の一端部30Xまで導光してその一端部30Xから出射させるリレーレンズ30f(図4参照)が設けられている。このリレーレンズ30fから出射された通常像および蛍光像が撮像ユニット20に入射される。
【0033】
挿入部材30bの側面には、図2に示すように、ケーブル接続部30cが設けられており、このケーブル接続部30cに対してライトガイドLGがコネクタCによって機械的に接続される。これにより、光源装置2と挿入部材30bとがライトガイドLGを介して光学的に接続されることになる。
【0034】
なお、ライトガイドLGの先端にはコネクタ61(図4参照)が設けられており、ライトガイドLGはこのコネクタ61を介して光源装置2に着脱可能に接続されるものである。ライトガイドLGは、たとえばバンドル化されたマルチモード光ファイバから構成されるものである。
【0035】
そして、体腔挿入部30の内部には、ケーブル接続部30cに接続されたライトガイドLGから発せられた通常光および励起光を導光するバンドル化されたマルチモード光ファイバ30g(図4参照)が設けられており、このマルチモード光ファイバ30gは、入射された通常光および励起光を挿入部材30bの先端部30Yまで導光して被観察部に向けて照射するものである。挿入部材30b内に設けられたマルチモード光ファイバ30gは、その先端が研磨されて照射窓30dが形成されている。
【0036】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、体腔挿入部30内のリレーレンズ30fにより結像された被観察部の蛍光像L4を撮像して被観察部の蛍光画像信号を生成する第1の撮像系と、体腔挿入部30内のリレーレンズ30fにより結像された被観察部の通常像L3を撮像して通常画像信号を生成する第2の撮像系とを備えている。これらの撮像系は、通常像L3を反射するとともに、蛍光像L4を透過する分光特性を有するダイクロイックプリズム21によって、互いに直交する2つの光軸に分けられている。
【0037】
第1の撮像系は、被観察部において反射し、ダイクロイックプリズム21を透過した励起光の波長以下の光をカットするとともに、後述する蛍光波長域照明光を透過する励起光カットフィルタ22と、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光像L4を結像する第1結像光学系23と、第1結像光学系23により結像された蛍光像L4を撮像する高感度撮像素子24とを備えている。
【0038】
高感度撮像素子24は、蛍光像L4の波長帯域の光を高感度に検出し、蛍光画像信号に変換して出力するものである。高感度撮像素子24としては、たとえばモノクロの撮像素子を用いることができる。
【0039】
第2の撮像系は、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21を反射した通常像L3を結像する第2結像光学系25と、第2結像光学系25により結像された通常像L3を撮像する撮像素子26を備えている。
【0040】
撮像素子26は、通常像の波長帯域の光を検出し、通常画像信号に変換して出力するものである。撮像素子26の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0041】
また、撮像ユニット20は、撮像制御ユニット27を備えている。撮像制御ユニット27は、高感度撮像素子24から出力された蛍光画像信号と撮像素子26から出力された通常画像信号とに対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブル5(図1参照)を介してプロセッサ3に出力するものである。
【0042】
プロセッサ3は、図4に示すように、通常画像入力コントローラ41、蛍光画像入力コントローラ42、画像処理部43、メモリ44、ビデオ出力部45、操作部46、TG(タイミングジェネレータ)47およびCPU48を備えている。
【0043】
通常画像入力コントローラ41および蛍光画像入力コントローラ42は、所定容量のラインバッファを備えており、通常画像入力コントローラ41は、撮像ユニット20の撮像制御ユニット27から出力された1フレーム毎の通常画像信号を一時的に記憶するものであり、蛍光画像入力コントローラ42は、蛍光画像信号を一時的に記憶するものである。そして、通常画像入力コントローラ41に記憶された通常画像信号および蛍光画像入力コントローラ42に記憶された蛍光画像信号はバスを介してメモリ44に格納される。
【0044】
画像処理部43は、メモリ44から読み出された1フレーム毎の通常画像信号および蛍光画像信号が入力され、これらの画像信号に所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。
【0045】
ビデオ出力部45は、画像処理部43から出力された通常画像信号および蛍光画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0046】
操作部46は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものである。後で詳述するが、特に、本実施形態においては励起光または通常光の出射角の変更を受け付けるものである。
【0047】
TG47は、撮像ユニット20の高感度撮像素子24、撮像素子26および後述する光源装置2のLDドライバ53を駆動するための駆動パルス信号を出力するものである。CPU48は装置全体を制御するものである。
【0048】
プロセッサ3と撮像ユニット20とは、図1および図4に示すように、ケーブル5を介して接続されるものである。ケーブル5は、撮像ユニット20で撮像された通常画像信号や蛍光画像信号を伝搬する信号配線やプロセッサ3から出力された制御信号を伝達する制御配線などを備えたものである。ケーブル5の先端にはコネクタ5aとコネクタ5bとが設けられており、ケーブル5はコネクタ5aを介してプロセッサ3に着脱可能に接続され、コネクタ5bを介して撮像ユニット20に着脱可能に接続されるものである。
【0049】
光源装置2は、図4に示すように、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)L1を拡散光として射出する可視光ランプ50と、可視光ランプ50から射出された通常光L1を略平行光にして射出する非球面レンズ51と、750〜790nmの近赤外光である励起光L2を射出する近赤外レーザ光源52と、近赤外レーザ光源52を駆動するLDドライバ53と、近赤外レーザ光源52から射出された励起光L2を拡散して出射する凹レンズ54と、非球面レンズ51から出射された通常光L1を透過するとともに、凹レンズ54から出射された励起光L2を後述する集光レンズ56に向けて反射するダイクロイックミラー55と、ダイクロイックミラー55を透過した通常光L1とダイクロイックミラー55によって反射された励起光L2とを集光してライトガイドLGの光入射端面60に入射させる集光レンズ56とを備えている。
【0050】
可視光ランプ50としては、たとえばキセノンランプが用いられる。なお、本実施形態においては、通常光L1(可視光)として白色光を用いるようにしたが、これに限らず、可視波長を有する光であればその他の光を用いるようにしてもよい。
【0051】
近赤外レーザ光源52は、LDドライバ53によって駆動され、励起光L2として近赤外光を出射する近赤外レーザダイオード52aと、近赤外レーザダイオード52aから出射された励起光L2を略平行光とするコリメータレンズ52bとを備えている。なお、本実施形態においては、励起光を出射する光源として近赤外レーザ光源を用いるようにしたが、これに限らず、近赤外発光ダイオードを用いるようにしてもよい。
【0052】
凹レンズ54は、上述したように近赤外レーザ光源52から出射された励起光L2を拡散してダイクロイックミラー55に入射させるものであり、これによりダイクロイックミラー55を反射した励起光L2は拡散光として集光レンズ56に入射される。
【0053】
ダイクロイックミラー55は、上述したように通常光L1を透過するとともに、励起光L2を反射するものであり、集光レンズ56の光軸方向に対して45°の傾きをもって配置されている。
【0054】
集光レンズ56は、上述したように非球面レンズ51によって略平行光とされた通常光L1が入射され、この通常光L1をライトガイドLGの光入射端面60に集光して入射させるものであるが、通常光L1がライトガイドLGの光入射端面60の範囲内に収まるような位置に配置されている。
【0055】
また、集光レンズ56には、通常光L1とともに、上述したように凹レンズ54によって拡散光とされた励起光L2が入射されるが、励起光L2については、通常光L1のように略平行光ではなく拡散光として集光レンズ56に入射されるので、集光レンズ56によって収束された励起光L2はライトガイドLGの光入射端面60の1点に収束されずに入射される。
【0056】
そして、凹レンズ54は、集光レンズ56によって収束された励起光L1がライトガイドLGの光入射端面60の範囲内に収まるような位置に配置されている。なお、凹レンズ54は、励起光L2の光束の断面の径が、ライトガイドLGの光入射端面60の径に略一致するように配置することが望ましい。
【0057】
なお、本実施形態においては、励起光として近赤外光を用いるようにしたが、これに限らず、広帯域の波長からなる通常光よりも狭帯域のその他の波長を用いることができる。そして、励起光は、上記波長域の光に限定されず、蛍光色素の種類もしくは自家蛍光させる生体組織の種類などによって適宜決定されるものである。
【0058】
次に、本実施形態の硬性鏡システムの作用について説明する。
【0059】
まず、光源装置2に接続されたライトガイドLGのコネクタCが体腔挿入部30の挿入部材30bのケーブル接続部30cに接続されるとともに、プロセッサ3に接続されたケーブル5のコネクタ5bが撮像ユニット20に接続される。
【0060】
次に、光源装置2の電源がオンされた後、使用者により体腔挿入部30が体腔内に挿入され、体腔挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0061】
そして、光源装置2の可視光ランプ50から通常光L1が射出され、その通常光L1は非球面レンズ51によって略平行光にされたあと集光レンズ56に入射され、集光レンズ56によって集光されてライトガイドLGの光入射端面60に入射される。
【0062】
一方、光源装置2の近赤外レーザダイオード52aから励起光L2が射出され、その励起光L2はコリメータレンズ52bを透過した後、凹レンズ54によって拡散光とされてダイクロイックミラー55に入射される。
【0063】
そして、ダイクロイックミラー55に入射された励起光L2は集光レンズ56に向けて反射され、集光レンズ56に拡散光として入射される。そして、励起光L2は、集光レンズ56によって収束されてライトガイドLGの光入射端面60に入射される。
【0064】
次いで、上述したようにしてライトガイドLGの光入射端面60に入射された通常光L1と励起光L2とはライトガイドLGによって導光されて体腔挿入部30内のマルチモード光ファイバ30gの光入射端面から入射され、マルチモード光ファイバ30gによって導光された通常光L1および励起光L2が体腔挿入部30の先端から被観察部に向けて照射される。
【0065】
そして、上述したような通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像が撮像されるとともに、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像が撮像される。なお、被観察部には、予めICGが投与されており、このICGから発せられる蛍光を撮像するものとする。
【0066】
具体的には、通常像の撮像の際には、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像L3が挿入部材30bの先端部30Yから入射し、挿入部材30b内のリレーレンズ30fにより導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0067】
撮像ユニット20に入射された通常像L3は、ダイクロイックプリズム21により撮像素子26に向けて直角方向に反射され、第2結像光学系25により撮像素子26の撮像面上に結像され、撮像素子26によって所定のフレームレートで順次撮像される。
【0068】
撮像素子26から順次出力された通常画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0069】
そして、プロセッサ3に入力された通常画像信号は、通常画像入力コントローラ41において一時的に記憶された後、メモリ44に格納される。そして、メモリ44から読み出された1フレーム毎の通常画像信号は、画像処理部43において階調補正処理およびシャープネス補正処理が施された後、ビデオ出力部45に順次出力される。
【0070】
そして、ビデオ出力部45は、入力された通常画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて通常画像を表示する。
【0071】
一方、蛍光像の撮像の際には、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像L4が挿入部材30bの先端部30Yから入射し、挿入部材30b内のリレーレンズ30fにより導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0072】
撮像ユニット20に入射された蛍光像L4は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0073】
高感度撮像素子24から順次出力された蛍光画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0074】
そして、プロセッサ3に入力された蛍光画像信号は、蛍光画像入力コントローラ42において一時的に記憶された後、メモリ44に格納される。そして、メモリ44から読み出された1フレーム毎の蛍光画像信号は、画像処理部43において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部45に順次出力される。
【0075】
そして、ビデオ出力部45は、入力された蛍光画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて蛍光画像を表示する。
【0076】
上記実施形態の硬性鏡システムによれば、集光レンズ56によって通常光L1がライトガイドLGの光入射端面60の範囲内に集光されて入射されている状態において、励起光L2を拡散して集光レンズ56に入射させることによって、集光レンズ56を透過した励起光L2がライトガイドLGの光入射端面60の1点に収束しないようにするとともに、励起光L2がライトガイドLGの光入射端面60の範囲内に集光されて入射されるようにしたので、通常光L1と励起光L2との両方をライトガイドLGに効率的に入射させることができるとともに、励起光L2に対する目の安全性を確保することができる。
【0077】
また、上記実施形態の硬性鏡システムの光源装置2においては、可視光ランプ50および非球面レンズ51を集光レンズ56の光軸方向に配置し、近赤外レーザ光源52および凹レンズ54を集光レンズ56の光軸方向に直交する方向に配置するようにしたが、これとは逆に、図5に示す光源装置6のように、可視光ランプ50および非球面レンズ51を集光レンズ56の光軸方向に直交する方向に配置し、近赤外レーザ光源52および凹レンズ54を集光レンズ56の光軸方向に配置するようにしてもよい。なお、この場合、ダイクロイックミラー55としては、近赤外光を透過し、白色光を反射するものが用いられる。
【0078】
また、上記実施形態の硬性鏡システムの光源装置2において、図6に示すように、凹レンズ54をその光軸方向(矢印A方向)に移動させる移動機構62をさらに設けるようにしてもよい。この移動機構62によって凹レンズ54を移動させることによって、集光レンズ56に入射される励起光L2の入射範囲を変更することができ、これによりライトガイドLGの光入射端面60における励起光L2の入射面積を調整することができる。したがって、たとえば励起光L2の入射端面の面積が互いに異なる複数種類の硬性鏡撮像装置10が光源装置2に取り付けられたとしても、その取り付けられた硬性鏡撮像装置10の励起光の入射端面(ライトガイドLGの光入射端面60)の大きさや光源装置2の集光レンズ56とライトガイドLGの光入射端面60との距離に応じて凹レンズ54を移動させることによって、ライトガイドLGの光入射端面60における励起光L2の入射面積を最適化することができる。すなわち、励起光L2の入射面積がライトガイドLGの光入射端面60の範囲内となるようにすることができるとともに、集光レンズ56によって収束された励起光L2がライトガイドLGの光入射端面60の1点に収束しないようにすることができる。なお、移動機構62としては、公知のアクチュエータを用いることができる。また、図5に示す光源装置6においても凹レンズ54を移動可能に構成するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態の硬性鏡システムの光源装置2においては、近赤外レーザ光源52としてコリメータレンズ52bを備えたものを用いるようにしたが、たとえば、図7に示す光源装置7のように、近赤外レーザダイオード57のみを用いるようにしてもよく、この場合、近赤外レーザダイオード57から発せられる近赤外光は拡散光であるので、上記実施形態の光源装置2のような凹レンズ54を省略することができる。また、近赤外レーザダイオード57の代わりに近赤外発光ダイオードを用いるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態の硬性鏡システムの光源装置2,6,7においては、励起光L2を拡散光として集光レンズ56に入射させる手段として凹レンズ54を用いるようにしたが、これに限らず、図8に示す光源装置8のように、近赤外レーザ光源52から出射された励起光L2を収束させる凸レンズ58を設け、この凸レンズ58によって励起光L2を一旦収束させた後に拡散することによって、拡散光としての励起光L2を集光レンズ56に入射させるようにしてもよい。
【0081】
また、図8に示す光源装置8においても、凸レンズ58をその光軸方向に移動させる移動機構をさらに設けるようにし、光源装置8に取り付けられた硬性鏡撮像装置10に応じて凸レンズ58を移動させることによって、ライトガイドLGの光入射端面60における励起光L2の入射面積を最適化するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態の硬性鏡システムの光源装置2,6,7,8においては、ダイクロイックミラー55を使用するようにしたが、図9に示す光源装置9に示すように、ダイクロイックミラー55の代わりにミラー面63aを有する三角プリズム63を用いるようにしてもよい。図9に示す光源装置9においては、近赤外レーザダイオード52aから出射された励起光L2がコリメータレンズ52bによって平行光をされた後、集光レンズ59に入射される。そして、集光レンズ59によって収束された励起光L2が三角プリズム63に入射され、三角プリズム63のミラー面63aによって直角方向に反射され、ミラー面63aによって反射された励起光L2は集光レンズ56によって集光されてライトガイドLGの光入射端面60に入射される。この場合においても、励起光L2はライトガイドLGの光入射端面60の1点に収束されることなく入射される。一方、可視光ランプ50から出射された通常光L1は、非球面レンズ51によって平行光にされた後、その一部が三角プリズム63のミラー面63aによって反射されてロスとなるが、通常光L1の大部分は平行光とされた後、集光レンズ56に入射され、集光レンズ56によってライトガイドLGの光入射端面60の範囲内に集光されて入射される。
【0083】
なお、上記実施形態においては、第1の撮像系により蛍光画像を撮像するようにしたが、これに限らず、被観察部への特殊光の照射による被観察部の吸光特性に基づく画像を撮像するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態は、本発明の光源装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 硬性鏡システム
2 光源装置
2,6,7,8 光源装置
3 プロセッサ
4 モニタ
5 ケーブル
10 硬性鏡撮像装置
20 撮像ユニット
24 高感度撮像素子
26 撮像素子
30 体腔挿入部
30g マルチモード光ファイバ
50 可視光ランプ
51 非球面レンズ
52 近赤外レーザ光源
52a 近赤外レーザダイオード
52b コリメータレンズ
54 凹レンズ
55 ダイクロイックミラー
56 集光レンズ
57 近赤外レーザダイオード
58 凸レンズ
60 光入射端面
61 コネクタ
62 移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被観察部まで光を導光して前記被観察部に前記光を照射する導光部に入射される第1の波長帯域を有する第1の光を出射する第1の光源部と、
前記導光部に入射される、前記第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域を有する第2の光を出射する第2の光源部と、
前記第1および第2の光が入射され、該第1および第2の光を前記導光部の入射端面に入射させる光学系とを備え、
前記第2の光源部が、前記光学系によって前記第1の光が前記導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されている状態において、前記第2の光を拡散または収束して前記光学系に入射させることによって、該光学系を透過した前記第2の光が前記導光部の入射端面の1点に収束しないように構成されたものであるとともに、前記第2の光が前記導光部の入射端面の範囲内に集光されて入射されるように構成されたものであることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光学系が、前記第1および第2の光が入射され、該入射された第1および第2の光を前記導光部の入射端面に集光する集光レンズを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記第2の光源部が、前記第2の光を拡散する凹レンズまたは前記第2の光を収束する凸レンズを備えたものであることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記第2の光源部が、前記光学系への前記第2の光の入射範囲を変更可能に構成されたものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2の光源部が、前記第2の光を拡散する凹レンズまたは前記第2の光を収束する凸レンズと、前記凹レンズまたは前記凸レンズを光軸方向に移動させる移動機構とを備えたものであることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の光源部が、前記第1の光を射出する可視光源を備えたものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1の光源部が、前記第1の光を平行光として前記光学系に入射させる平行光学系を備えたものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の光源装置。
【請求項8】
前記第2の光源部が、前記第2の光を射出する半導体光源を備えたものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の光源装置。
【請求項9】
前記半導体光源が、半導体レーザ光源であることを特徴とする請求項8記載の光源装置。
【請求項10】
前記第2の光源部が、前記第2の光として近赤外光を射出するものであることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1および第2の光が、内視鏡に設けられた前記導光部に入射されるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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