説明

光照射装置および光照射方法

【課題】マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる光照射装置および光照射方法を提供する。
【解決手段】本発明の光照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ、およびこの放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並ぶよう配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、それぞれ前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並ぶよう配置されてなるマスクとを備えてなり、前記光出射部からの光が、前記マスクを介して被照射物に照射されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状パターンを形成するために用いられる光照射装置および光照射方法に関し、更に詳しくは、例えばパターン化位相差フィルムの製造工程において、光重合性液晶材料または光配向膜に光を照射するために好適な光照射装置および光照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3D映像表示装置は三次元立体映像を現出させるものであり、このような3D映像表示装置としては、従来、劇場用のものやテレビ再生用のものが開発されており、今後において、アミューズメント施設、店舗ディスプレイ、医療などの用途に利用されることが期待されていることから、近年、脚光を浴びている。
【0003】
図20は、3D映像表示装置の一例における構成の概略を示す説明図である。この3D映像表示装置は、右目用映像発信部81と左目用映像発信部82とが交互に配置された液晶(LCD)製の3D映像発信部80と、この3D映像発信部80の前方に設けられた、右目用映像発信部81の前方に位置するよう配置された右目用映像表示部86、および左目用映像発信部82の前方に位置するよう配置された左目用映像表示部87よりなる3D映像表示体形成用フィルム85と、3D映像発信部80の後方に設けられた光源88とにより構成されている。この3D映像表示装置は、右目用映像発信部81からは右目用映像が発信されると共に、左目用映像発信部82からは左目用映像が発信され、例えば、右目用映像は右目用映像表示部86に導入されてそのまま観察者に送られ、左目用映像は左目用映像表示部87に導入されて一旦偏光の振動方向が90°回転された後に観察者に送られる。そして、観察者は、この偏光の振動方向が異なる右目用映像および左目用映像を、右目用映像のみを透過する偏光板付右目用レンズと左目用映像のみを透過する偏光板付左目用レンズとからなる偏光メガネを介して捉えることにより、当該観察者において左目用映像および右目用映像の合成映像がひとつの立体映像として認識される構成とされている。このような3D映像表示装置は、例えば特許文献1に記載されている。
そして、3D映像表示装置においては、観察者の左目および右目にそれぞれ左目用映像および右目用映像を認識させることにより、観察者の脳内において立体映像が認識されるが、左目用映像と右目用映像とを区別するために、パターン化位相差フィルムが用いられている。
【0004】
また、液晶表示装置等においては、その性能を向上させる手段として、液晶ポリマー層を有するパターン化位相差フィルムを用いることが提案されている(特許文献2参照。)。
【0005】
このようなパターン化位相差フィルムは、図21(a)に示すように、フィルム基材90上に配向膜91を介して形成された光重合性液晶材料層92に対して、それぞれ線状の多数の遮光部96および多数の透光部97が交互に並ぶよう配置されてなるマスク95を介して光を照射することにより、図21(b)に示すように、ストライプ状のパターンの液晶ポリマー層93を形成し、その後、残存する光重合性液晶材料層92を除去することによって得られる。
このようなパターン化位相差フィルムの製造において、紫外光などの活性エネルギー線を光重合性液晶材料層92に対して広範囲にわたって照射することによって量産性を高めるために、通常、ロングアーク型の放電ランプを具えた光照射装置が用いられ、マスク95は、遮光部96および透光部97が伸びる方向(図21において紙面に垂直な方向)が、ロングアーク型の放電ランプの長手方向に直交するよう配置される。
【0006】
しかしながら、このような光照射装置においては、以下のような問題がある。
すなわち、ロングアーク型の放電ランプは線光源であるために、光学系によって、放電ランプから放射される光を当該放電ランプの長手方向において互いに平行な平行光とすることができない。このため、図22に示すように、マスク95の透光部97を透過する光の一部が、マスク95にその面方向に対して斜交して入射されることにより、被照射物である光重合性液晶材料層92における遮光部96の縁部の直下に位置する領域に照射される結果、マスク95のパターンに忠実で解像度の高いパターンを有する液晶ポリマー層93を形成することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−185983号公報
【特許文献2】特開2009−276664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる光照射装置および光照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ、およびこの放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並ぶよう配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、
それぞれ前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並ぶよう配置されてなるマスクとを備えてなり、
前記光出射部からの光が、前記マスクを介して被照射物に照射されることを特徴とする。
【0010】
本発明の光照射装置においては、前記光出射部と前記マスクとの間の光路上に偏光素子が配置されていることが好ましい。
また、前記光出射部からの光を前記一方向に伸びる線状に集光して前記被照射物に前記マスクを介して照射する集光部材をさらに備えていることが好ましい。
また、前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、断面が放物線状の光反射面を有するシリンドリカルミラーよりなるものであってもよい。
また、前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、シリンドリカル凸レンズを有してなるものであってもよい。
また、前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転楕円面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、断面が楕円状の光反射面を有するシリンドリカルミラーと、前記光出射部における光源素子に対応して前記一方向に並ぶよう配置された複数のシリンドリカル凸レンズとよりなるものであってもよい。
また、前記光出射部は、それぞれ同方向に伸びる少なくとも2つの光源素子列を有してなり、これらの光源素子列は、一の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極間中心点と、当該光源素子に最も接近する、他の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極間中心点とを結ぶ直線が、前記一方向に伸びる直線と斜交するよう配置されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の光照射装置においては、前記被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送する搬送手段を有することが好ましい。
このような光照射装置においては、前記被照射物がフィルム状のものであり、前記搬送手段は前記被照射物に接して搬送するローラーを有してなり、前記被照射物における前記ローラーに接する箇所に光が照射されることが好ましい。
【0012】
また、本発明の光照射装置においては、前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、
前記光出射部からの光を前記一方向に伸びる帯状の光として前記マスクに向かって反射する平面ミラーが配置された構成とすることができる。
【0013】
また、本発明の光照射装置においては、前記被照射物が、位相差フィルム製造用の光重合性液晶材料若しくは配向膜材料であることが好ましい。
【0014】
本発明の光照射方法は、ショートアーク型の放電ランプ、およびこの放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並ぶよう配置されてなる光源素子列を有する光出射部から出射された光を、それぞれ前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並ぶよう配置されてなるマスクを介して被照射物に照射することを特徴とする。
【0015】
本発明の光照射方法においては、前記光出射部と前記マスクとの間の光路上に配置された偏光素子によって偏光光を照射してもよい。
また、本発明の光照射方法においては、前記光出射部からの光を、集光部材によって前記一方向に伸びる線状に集光し、当該集光された光を、前記マスクを介して被照射物に照射することが好ましい。
また、本発明の光照射方法においては、前記被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送しながら、当該被照射物に光を照射することが好ましい。
このような光照射方法においては、前記被照射物がフィルム状のものであり、この被照射物に接して搬送するローラーを有する搬送手段によって当該被照射物を搬送しながら、当該被照射物における当該ローラーに接する箇所に光を照射することが好ましい。
また、本発明の光照射方法においては、前記被照射物が、位相差フィルム製造用の光重合性液晶材料若しくは配向膜材料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光源素子を構成する放電ランプとして、点光源であるショートアーク型のものを用い、このような放電ランプを有する複数の光源素子を一方向に沿って並ぶよう配置されてなる光源素子列によって光出射部が構成されているため、当該光源素子列を構成する光源素子の各々における放電ランプから放射される光を、光源素子が並ぶ一方向において互いに平行な平行光とすることが可能となり、これにより、被照射物におけるマスクの遮光部の直下に位置する領域に光が照射されることが防止または抑制される結果、マスクのパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図である。
【図3】図1に示す光照射装置をB−B線で切断して示す平面断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る光照射装置における光出射部の正面図である。
【図5】マスクの具体的な構成の一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】マスクにおける集光部材からの光が入射される有効照射幅、マスクと被照射物との間のギャップの許容変動値、およびローラーの半径の関係を示す説明図である。
【図7】パターン化位相差フィルムの製造工程の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の光照射装置によって照射される光の向きを示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係る光照射装置における複合レンズの構成を示す説明図である。
【図12】第4の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。
【図13】偏光素子の一例における構成を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
【図14】パターン化位相差フィルムの製造工程の他の例を示す説明図である。
【図15】第5の実施の形態に係る光照射装置における光出射部の正面図である。
【図16】第5の実施の形態に係る光照射装置において、光出射部からの光を集光部材によって集光したときの光照射領域におけるx方向の照度分布を示す曲線図である。
【図17】第6の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す斜視図である。
【図18】図17に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図である。
【図19】変形例に係る光照射装置において、光出射部からの光を集光部材によって集光したときの光照射領域におけるx方向の照度分布を示す曲線図である。
【図20】3D映像表示装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【図21】パターン化位相差フィルムの製造工程を示す説明図である。
【図22】従来の光照射装置によって照射される光の向きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す斜視図であり、図2は、図1に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図、図3は、図1に示す光照射装置をB−Bで切断して示す平面断面図である。
この第1の実施の形態に係る光照射装置は、例えばパターン化位相差フィルムを製造するために用いられるものであって、複数例えば3つ以上の光源素子12よりなる光源素子列11を有する光出射部10と、この光出射部10からの光を、後述する光源素子12が並ぶ一方向に伸びる線状に集光する集光部材20と、この集光部材20からの光をストライプ状に整形するマスク30と、被照射物Wを搬送する搬送手段40とにより構成されている。
【0019】
光出射部10を構成する光源素子列11においては、図4にも示すように、光源素子12の各々が、一方向(図2において紙面に垂直な方向。以下、この一方向を「x方向」ともいう。)に並ぶよう配置されている。光源素子列11における光源素子12の各々は、発光管14内にその管軸に沿って互いに対向するよう一対の電極(図示省略)が配置されてなるショートアーク型の放電ランプ13と、この放電ランプ13を取り囲むよう配置された、当該放電ランプ13からの光を反射するリフレクタ15とを有する。
【0020】
放電ランプ13としては、発光管14内に水銀、希ガスおよびハロゲンが封入された、例えば波長270〜450nmの紫外光を高い効率で放射する超高圧水銀ランプを用いることができる。このような放電ランプ13において、一対の電極間の電極間距離が例えば0.5〜2.0mm、水銀の封入量が例えば0.08〜0.30mg/mm3 である。
【0021】
第1の実施の形態に係る光照射装置において、リフレクタ15は、その光軸Cを中心とする回転放物面状の光反射面16を有するパラボラミラーにより構成されており、当該リフレクタ15は、その光軸Cが放電ランプ13における発光管14の管軸上に位置され、かつ、その焦点Fが放電ランプ13における電極間の輝点に位置されるよう配置され、この状態で、固定部材18によって放電ランプ13に固定されている。
【0022】
また、第1の実施の形態に係る光照射装置において、集光部材20は、x方向に垂直な断面が放物線状の光反射面21を有する、x方向に沿って伸びるシリンドリカルパラボラミラーにより構成されており、当該集光部材20は、光出射部10における各リフレクタ15の光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その焦点fが被照射物Wの表面上に位置するよう配置されている。
この集光部材20は、目的とする波長の紫外光のみを反射させ、不要な可視光および赤外光を透過させるコールドミラーコーティングが施されてなるものであってもよい。
【0023】
マスク30は、x方向に長尺な矩形の板状のものであって、集光部材20の下方において、当該集光部材20による反射光の光軸Lに対して垂直な平面に沿って配置されている。このマスク30は、それぞれx方向に垂直な方向(図2および図3において左右方向。以下、この方向を「y方向」ともいう。)に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部がx方向に交互に並ぶよう配置されてなるものである。
図5は、マスク30の具体的な構成の一例を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。このマスク30においては、例えば石英ガラスよりなる透光性基板31の一面に、例えばクロムよりなる多数の線状の遮光膜32が所要の間隔で離間して並ぶよう配置されており、遮光膜32が形成された領域によって線状の遮光部35が形成され、隣接する遮光膜32間の領域によって透光部36が形成されている。このマスク30には、図5(a)において破線Lbで示すように、遮光部35および透光部36が並ぶx方向に伸びる帯状の光が入射される。
【0024】
被照射物Wは、後述する搬送手段40によってy方向に搬送されるため、マスク30は、被照射物Wに対して離間して配置される。マスク30と被照射物Wとの間の最小ギャップGは、例えば50〜1000μmである。
また、被照射物Wは、後述するローラー41に接した状態で搬送されることにより、マスク30と被照射物Wとの間のギャップは、当該被照射物Wがy方向に搬送されるにつれて変動するため、マスク30における集光部材20からの光が入射される有効照射幅dは、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値や、ローラー41の半径を考慮して可能な範囲で小さく設定することが好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、被照射物Wが搬送されてマスク30の直下領域を通過する際には、被照射物Wとマスク30との間のギャップは、先ず、被照射物Wがy方向に移動するにつれて小さくなり、マスク30の中央位置の直下に到達した後には、被照射物Wがy方向に移動するにつれて大きくなるが、最小有効照射幅dが大きい程、ギャップの変動幅も大きくなるため、後述するマスク30のパターンに忠実で高解像度のパターンを形成することができないからである。
具体的には、図6に示すように、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値をa、ローラー41の半径をrとしたとき、有効照射幅dは、d=√{r2 −(r−a)2 }×2により求めることができる。この式において、理論上は、被照射物Wの厚みを勘案することが必要であるが、被照射物Wの厚みは、ローラー41の半径に比較して極めて小さいため、無視することができる。具体的な例を挙げると、マスク30と被照射物Wとの間のギャップの許容変動値aが50μm、ローラー41の半径rが300mmである場合には、有効照射幅dは約11mm以下であることが好ましい。従って、上記した光出射部10におけるショートアーク型の各放電ランプ13からの放射光を、各リフレクタ15および集光部材20によりx方向に伸びる線状に集光することが、かかる有効照射幅dの範囲内に光を集光させるために有効であり、ひいては、マスク30のパターンに忠実で高解像度のパターンを形成することに繋がる。
【0025】
搬送手段40は、被照射物Wに接して当該被照射物Wを搬送するローラー41を有する。具体的には、ローラー41は、被照射物Wに接する箇所がマスク30の直下位置に位置されるよう、当該ローラー41の回転軸(図示省略)がx方向に伸びる姿勢で配置されており、当該ローラー41が回転することにより、被照射物Wがy方向に搬送される。
被照射物がフィルム状のものである場合には、搬送手段40が被照射物Wに接して当該被照射物Wを搬送するローラー41を有するので、ローラー41の偏芯を少なくすることにより、マスク30と、ローラー41に接したフィルム状の被照射物Wとの間のギャップを一定に保つことができる。
なお、ローラー41に水冷機構を設けることにより、被照射物Wに高照度の紫外光が照射された場合でも、被照射物Wに接したローラー41により被照射物Wを冷却することができるので、被照射物Wのシュリンクなどの変形を防止することができる。
【0026】
上記の光照射装置においては、図2に示すように、光出射部10から出射された光が、集光部材20およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。具体的に説明すると、光出射部10においては、光源素子列11における各光源素子12の放電ランプ13から放射された光が、当該光源素子12におけるリフレクタ15の光反射面16によって反射されることにより、当該リフレクタ15の光軸Cに沿った平行光とされて光出射面17から集光部材20に向かって出射される。その後、光出射部10から出射された平行光とされた光は、集光部材20における光反射面21により下方に向かって反射されることにより、x方向に伸びる線状に集光されながらマスク30に入射される。このとき、マスク30に入射される光は、x方向において互いに平行な平行光である。そして、マスク30に入射された光が図5に示す当該マスク30における遮光部35および透光部36によってストライプ状に整形されて被照射物Wに照射されることにより、被照射物Wにおけるローラー41が接する箇所の表面には、マスク30における遮光部35および透光部36のパターンに対応するストライプ状の光照射領域が形成されると共に、被照射物Wが搬送手段40によってy方向に搬送されることにより、当該被照射物Wに対して、所要の光照射処理が達成される。
【0027】
このような光照射装置においては、光重合性液晶材料を用い、以下のようにしてパターン化位相差フィルムを製造することができる。
先ず、図7(a)に示すように、フィルム基材51上に、液状の配向膜用材料を塗布して乾燥または硬化することによって配向膜用材料層52Aを形成し、当該配向膜用材料層52Aに対してラビング処理を施すことにより、図7(b)に示すように、フィルム基材51上に配向膜52を形成する。次いで、図7(c)に示すように、配向膜52上に光重合性液晶材料層53Aを形成し、その後、光重合性液晶材料層53Aに対し、上記の光照射装置によって選択的露光処理を行って、光重合性液晶材料層53Aの一部を硬化させることにより、図7(d)に示すように、ストライプ状にパターン化された液晶ポリマー層53が形成される。そして、配向膜52上に残留する光重合性液晶材料層53Aを除去することにより、図7(e)に示すように、フィルム基材51上に配向膜52を介してストライプ状に液晶ポリマー層53が形成されてなるパターン化位相差フィルムが得られる。
【0028】
第1の実施の形態に係る光照射装置によれば、光源素子12を構成する放電ランプ13が点光源であるショートアーク型のものであり、このような放電ランプ13と回転放物面状の光反射面16を有するリフレクタ15とよりなる複数の光源素子12を一方向(x方向)に沿って並ぶよう配置されてなる光源素子列11によって、光出射部10が構成されているため、当該光源素子列11を構成する光源素子12の各々における放電ランプ13から放射される光が、当該光源素子12の各々におけるリフレクタ15によって、光源素子12が並ぶ一方向において互いに平行な平行光とされ、これにより、集光部材20からの光は、図8に示すように、マスク30の透光部36にその面方向に対して直交若しくは略直交して入射されて当該透光部36を透過する。従って、被照射物Wにおけるマスク30の遮光部35の直下に位置する領域に光が照射されることが防止または抑制される結果、マスク30のパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。
この第2の実施の形態に係る光照射装置は、例えばパターン化位相差フィルムを製造するために用いられるものであって、複数例えば3つ以上の光源素子12よりなる光源素子列11を有する光出射部10と、この光出射部10からの光を、後述する光源素子12が並ぶ一方向(x方向)に伸びる線状に集光する集光部材20と、この集光部材20からの光をストライプ状に整形するマスク30と、被照射物Wを搬送する搬送手段40とにより構成されている。ここで、マスク30および搬送手段40は、第1の実施の形態に係る光照射装置におけるマスク30および搬送手段40と同様の構成である。
【0030】
光出射部10を構成する光源素子列11においては、光源素子12の各々が、x方向(図9において紙面に垂直な方向)に並ぶよう配置されている(図4参照)。光源素子列11における光源素子12の各々は、発光管14内にその管軸に沿って互いに対向するよう一対の電極(図示省略)が配置されてなるショートアーク型の放電ランプ13と、この放電ランプ13を取り囲むよう配置された、当該放電ランプ13からの光を反射するリフレクタ15とを有する。ここで、放電ランプ13は、第1の実施の形態に係る光照射装置における放電ランプ13と同様の構成である。
【0031】
第2の実施の形態に係る光照射装置において、リフレクタ15は、その光軸Cを中心とする回転放物面状の光反射面16を有するパラボラミラーにより構成されており、当該リフレクタ15は、その光軸Cが放電ランプ13における発光管14の管軸上に位置され、かつ、その焦点Fが放電ランプ13における電極間の輝点に位置されるよう配置され、この状態で、固定部材18によって放電ランプ13に固定されている。
【0032】
また、第2の実施の形態に係る光照射装置において、集光部材20は、x方向に沿って伸びるよう配置された、光照射機構10からの光を一方向に伸びる線状に集光するシリンドリカル凸レンズ22と、このシリンドリカル凸レンズ22からの光をマスク30に向かって反射する平面ミラー23とにより構成されている。
集光部材20におけるシリンドリカル凸レンズ22は、光出射部10における各リフレクタ15の光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その凸面が光出射面となる向きに、その焦点fが平面ミラー23によって投影される被照射物Wの表面上に位置されるよう配置されている。
集光部材20における平面ミラー23は、マスク30の上方において、当該平面ミラーの光反射面24が、リフレクタ15の光軸Cに対して例えば45°の角度で傾いた状態で配置されている。
【0033】
上記の光照射装置においては、光出射部10から出射された光が、集光部材20およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。具体的に説明すると、光出射部10においては、光源素子列11における各光源素子12の放電ランプ13から放射された光が、当該光源素子12におけるリフレクタ15の光反射面16によって反射されることにより、当該リフレクタ15の光軸Cに沿った平行光とされて光出射面17から集光部材20に向かって出射される。その後、光出射部10から出射された平行光とされた光は、集光部材20におけるシリンドリカル凸レンズ22によってx方向に伸びる線状に集光されながら、平面ミラー23の光反射面24により下方に向かって反射されることにより、マスク30に入射される。このとき、マスク30に入射される光は、x方向において互いに平行な平行光である。そして、マスク30に入射された光が当該マスク30における遮光部35および透光部36によってストライプ状に整形されて被照射物Wに照射されることにより、被照射物Wにおけるローラー41が接する箇所の表面には、マスク30における遮光部35および透光部36のパターンに対応するストライプ状の光照射領域が形成されると共に、被照射物Wが搬送手段40によってy方向に搬送されることにより、当該被照射物Wに対して、所要の光照射処理が達成される。
【0034】
第2の実施の形態に係る光照射装置によれば、光源素子12を構成する放電ランプ13が点光源であるショートアーク型のものであり、このような放電ランプ13と回転放物面状の光反射面16を有するリフレクタ15とよりなる複数の光源素子12を一方向(x方向)に沿って並ぶよう配置されてなる光源素子列11によって、光出射部10が構成されているため、当該光源素子列11を構成する光源素子12の各々における放電ランプ13から放射される光が、当該光源素子12の各々におけるリフレクタ15によって、光源素子12が並ぶ一方向において互いに平行な平行光とされるので、これにより、被照射物Wにおけるマスク30の遮光部35の直下に位置する領域に光が照射されることが防止または抑制される結果、マスク30のパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
【0035】
[第3の実施の形態]
図10は、第3の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。 この第3の実施の形態に係る光照射装置は、例えばパターン化位相差フィルムを製造するために用いられるものであって、複数例えば3つ以上の光源素子12よりなる光源素子列11を有する光出射部10と、この光出射部10からの光を、後述する光源素子12が並ぶ一方向(x方向)に伸びる線状に集光する集光部材20と、この集光部材20からの光をストライプ状に整形するマスク30と、被照射物Wを搬送する搬送手段40とにより構成されている。ここで、マスク30および搬送手段40は、第1の実施の形態に係る光照射装置におけるマスク30および搬送手段40と同様の構成である。
【0036】
光出射部10を構成する光源素子列11においては、光源素子12の各々が、x方向(図10において紙面に垂直な方向)に並ぶよう配置されている(図4参照)。光源素子列11における光源素子12の各々は、発光管14内にその管軸に沿って互いに対向するよう一対の電極(図示省略)が配置されてなるショートアーク型の放電ランプ13と、この放電ランプ13を取り囲むよう配置された、当該放電ランプ13からの光を反射するリフレクタ19とを有する。ここで、放電ランプ13は、第1の実施の形態に係る光照射装置における放電ランプ13と同様の構成である。
【0037】
第3の実施の形態に係る光照射装置において、リフレクタ19は、その光軸Cを中心とする回転楕円面状の光反射面16を有する楕円集光鏡により構成されており、当該リフレクタ19は、その光軸Cが放電ランプ13における発光管14の管軸上に位置され、かつ、その第1焦点F1が放電ランプ13における電極間の輝点に位置されると共に、その第2焦点F2が光照射部10と集光部材20との間の位置に位置されるよう配置され、この状態で、固定部材18によって放電ランプ13に固定されている。
【0038】
また、第3の実施の形態に係る光照射装置において、集光部材20は、x方向に垂直な断面が楕円状の光反射面26を有する、x方向に沿って伸びるシリンドリカル楕円ミラー25と、このシリンドリカル楕円ミラー25によって反射された光が入射される複合レンズ27とにより構成されている。
集光部材20におけるシリンドリカル楕円ミラー25は、光出射部10における各リフレクタ19の光軸Cに垂直な光出射面17の前方において、その第1焦点f1がリフレクタ19の第2焦点F2上に位置され、その第2焦点f2が被照射物Wの表面上に位置されるよう配置されている。
集光部材20における複合レンズ27は、図11に示すように、光出射部10における光源素子12の各々に対応する複数のシリンドリカル凸レンズ28が、x方向(図11において左右方向)に並ぶよう配置されて構成されている。また、複合レンズ27におけるシリンドリカル凸レンズ28の各々は、その凸面が光入射面となる向きに、その焦点がシリンドリカル楕円ミラー25によって投影されるリフレクタ15の第2焦点F2上に位置されるよう配置されている。
【0039】
上記の光照射装置においては、光出射部10から出射された光が、集光部材20およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。具体的に説明すると、光出射部10においては、光源素子列11における各光源素子12の放電ランプ13から放射された光が、当該光源素子12におけるリフレクタ19の光反射面16によって反射されることにより、光出射面17から集光部材20におけるシリンドリカル楕円ミラー25に向かって出射される。その後、光出射部10から出射された光は、シリンドリカル楕円ミラー25における光反射面26により下方に向かって反射されることにより、x方向に伸びる線状に集光されながら、複合レンズ27を介してマスク30に入射される。このとき、マスク30に入射される光は、複合レンズ27におけるシリンドリカル凸レンズ28の各々によって、x方向において互いに平行な平行光とされる。そして、マスク30に入射された光が当該マスク30における遮光部35および透光部36によってストライプ状に整形されて被照射物Wに照射されることにより、被照射物Wにおけるローラー41が接する箇所の表面には、マスク30における遮光部35および透光部36のパターンに対応するストライプ状の光照射領域が形成されると共に、被照射物Wが搬送手段40によってy方向に搬送されることにより、当該被照射物Wに対して、所要の光照射処理が達成される。
【0040】
第3の実施の形態に係る光照射装置によれば、光源素子12を構成する放電ランプ13が点光源であるショートアーク型のものであり、このような放電ランプ13と回転楕円面状の光反射面16を有するリフレクタ19とよりなる複数の光源素子12を一方向(x方向)に沿って並ぶよう配置されてなる光源素子列11によって、光出射部10が構成されているため、当該光源素子列11を構成する光源素子12の各々から出射される光が、集光部材20における複合レンズ27を構成するシリンドリカル凸レンズ28によって、光源素子12が並ぶ一方向において互いに平行な平行光とされるので、これにより、被照射物Wにおけるマスク30の遮光部35の直下に位置する領域に光が照射されることが防止または抑制される結果、マスク30のパターンに忠実で解像度の高いパターンを形成することができる。
【0041】
[第4の実施の形態]
図12は、第4の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す側面断面図である。 この第4の実施の形態に係る光照射装置は、例えばパターン化位相差フィルムを製造するために用いられるものであって、集光部材20とマスク30との間の光路上に偏光素子45が配置されていることを除き、第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の構成である。
図13は、偏光素子の一例における構成を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。この偏光素子45は、ワイヤーグリッド偏光素子であり、例えばガラス若しくは石英ガラスよりなる矩形の透明基板46の一面に、多数の金属ワイヤー47が当該透明基板46の一辺に平行な方向に沿って一定の間隔で配置されて構成されている。金属ワイヤー47の配置ピッチは、光出射部10からの光の波長以下とされている。金属ワイヤー47を構成する金属材料としては、光反射率が高いものを用いるが好ましく、具体的には、アルミニウム、銀などを用いることが好ましい。
このような偏光素子(ワイヤーグリッド偏光素子)45においては、金属ワイヤー47の配置ピッチの約2倍以上の波長の光が、金属ワイヤー47が配置された面から照射されたときに、当該光を構成する振動成分のうち、金属ワイヤー47が伸びる方向に振動する成分を反射若しくは吸収すると共に、金属ワイヤー47が伸びる方向と垂直な方向に振動する成分を透過することによって、直線偏光光とされる。
【0042】
上記の光照射装置においては、光出射部10から出射された光が、集光部材20、偏光素子45およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。このとき、集光部材20からの光は、偏光素子45によって直線偏光光とされるため、当該直線偏光光が被照射物Wに照射される。
【0043】
このような光照射装置においては、光配向膜用材料を用い、以下のようにしてパターン化位相差フィルムを製造することができる。
先ず、図14(a)に示すように、フィルム基材51上に、液状の光配向膜用材料を塗布して乾燥または硬化することによって光配向膜用材料層55Aを形成する。
次いで、光配向膜用材料層55Aに対して、上記の光照射装置によって直線偏光光による選択的露光処理を行うことにより、図14(b)に示すように、フィルム基材51上にストライプ状にパターニングされた第1の光配向膜55を形成する。
更に、適宜の光照射装置によって、上記図14(b)で照射した偏光光と90°偏光方向が異なる直線偏光光により全面露光処理を行うことにより、図14(c)に示すように、隣接する第1の光配向膜55間に第2の光配向膜56を形成する。
次いで、図14(d)に示すように、第1の光配向膜55および第2の光配向膜56の表面上に、光重合性液晶材料層57Aを形成し、その後、光重合性液晶材料層57Aに対し、適宜の光照射装置によって全面露光処理を行って、当該光重合性液晶材料層57Aを硬化させることにより、図14(e)に示すように、第1の光配向膜55上に形成された第1の液晶ポリマー層部分57およびこの第1の液晶ポリマー層部分57とは液晶の配向状態が異なる第2の液晶ポリマー層部分58がストライプ状にパターン化されてなる液晶ポリマー層59が形成され、以て、パターン化位相差フィルムが得られる。
【0044】
このような光照射装置によれば、第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の効果が得られると共に、被照射物Wに対して直線偏光光を照射することができるので、光配向膜用材料を用いてパターン化位相差フィルムを製造するための光照射装置として極めて好適である。
【0045】
[第5の実施の形態]
図15は、第5の実施の形態に係る光照射装置における光出射部を示す正面図である。この第5の実施の形態に係る光照射装置は、光出射部を除き、第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の構成である。
この光照射装置における光出射部10は、2つの光源素子列11a,11bが互いに同方向に伸びて並ぶよう配置されて構成されている。具体的に説明すると、光源素子列11a,11bの各々は、複数の光源素子12が一方向(x方向)に並ぶよう配置されて構成され、光源素子12の各々は、ショートアーク型の放電ランプ13と、この放電ランプ13を取り囲むよう配置された、当該放電ランプ13からの光を反射するリフレクタ15とを有する。放電ランプ13およびリフレクタ15は、第1の実施の形態に係る光照射装置における放電ランプ13およびリフレクタ15と同様の構成である。
そして、2つの光源素子列11a,11bは、一方の光源素子列11aに係る光源素子12における放電ランプ13の電極間中心点と、当該光源素子12に最も接近する、他方の光源素子列11bに係る光源素子12における放電ランプ13の電極間中心点とを結ぶ直線Tが、x方向に伸びる直線Xと斜交するよう配置されている。
【0046】
図16は、第5の実施の形態に係る光照射装置において、光出射部からの光を集光部材によって集光したときの光照射領域におけるx方向の照度分布を示す曲線図である。この図において、縦軸は相対照度、横軸はx方向における相対的な位置を示し、曲線(1)は、一方の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(2)は他方の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(3)は、光出射部全体からの光による光照射領域の照度分布曲線である。
図16に示すように、一方の光源素子列および他方の光源素子列のいずれか一方からの光による照度分布においては、当該光源素子列における各光源素子からの光による光照射領域が互いに重畳することなく並んでいるため、照度のピークとボトムとの差が極めて大きいものである。これに対し、光出射部全体からの光による照度分布においては、一方の光源素子列からの光による光照射領域と他方の光源素子列からの光による光照射領域とが重畳され、しかも、一方の光源素子列からの光による光照射領域における照度のピーク位置と、他方の光源素子列からの光による光照射領域における照度のピーク位置とが互いに異なるため、照度のピークとボトムとの差が極めて小さいものであり、均一な照度分布が得られることが理解される。
【0047】
このように、第5の実施の形態に係る光照射装置によれば、第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の効果が得られると共に、光出射部が、それぞれ同方向に伸びる2つの光源素子列11が特定の位置関係で配置されて構成されているため、x方向において均一な照度分布を有する光を照射することができる。
【0048】
[第6の実施の形態]
図17は、第6の実施の形態に係る光照射装置の構成の概略を示す斜視図、図18は、図17に示す光照射装置をA−A線で切断して示す側面断面図である。
この第6の実施の形態に係る光照射装置は、例えば平板状の被照射物Wに対して線状のパターンを形成するために用いられるものであって、光出射部10の光出射方向前方において、集光部材の代わりに平面ミラー70が配置された構成とされていることの他は、第1の実施の形態に係る光照射装置と同一の構成を有する。
【0049】
平面ミラー70は、例えば石英ガラスよりなる平板状の基材の一面に、目的とする波長の紫外光のみを反射させ、不要な可視光および赤外光を透過させるコールドミラーコーティングが施されて光反射面71が形成されてなるものである。
平面ミラー70は、光反射面71の法線がリフレクタ15の光軸Cに対して例えば45°の角度で傾いた状態(平面ミラー70による反射光がマスク30にその法線方向から入射される状態で)で配置されている。
【0050】
被照射物Wは、例えば液晶パネル製造用の石英ガラスや高分子材料からなる基板であり、その表面に、図7または図14に示すストライプ状の液晶ポリマー層(53,59)が形成される。
被照射物Wは、例えば、被照射物Wをy方向にマスク30の透光性基板31と平行に搬送するステージよりなる搬送手段(図示せず)によって、光源素子12が並ぶ一方向(x方向)と直交方向(y方向)に搬送される。
【0051】
上記の光照射装置においては、光出射部10から出射された光が、平面ミラー70およびマスク30を介して、搬送手段40によってy方向に搬送される被照射物Wに照射される。具体的には、光出射部10においては、光源素子列11における各光源素子12の放電ランプ13から放射された光が、当該光源素子12におけるリフレクタ15の光反射面16によって反射されることにより、当該リフレクタ15の光軸Cに沿った平行光とされて光出射面17から平面ミラー70に向かって出射される。その後、光出射部10から出射された平行光は、平面ミラー70における光反射面71によって、x方向に伸びる帯状の光としてマスク30に向かって反射される。マスク30に入射される帯状の光は、x方向において互いに平行な平行光である。そして、マスク30に入射された光が当該マスク30における遮光部35および透光部36によってストライプ状に整形されて被照射物Wに照射される。これにより、被照射物Wの表面には、マスク30における遮光部35および透光部36のパターンに対応するストライプ状の光照射領域が形成されると共に、被照射物Wが搬送手段によってy方向に搬送されることにより、当該被照射物Wに対して、所要の光照射処理が達成される。
【0052】
この第6の実施の形態に係る光照射装置によれば、上述した第1の実施の形態に係る光照射装置と同様の効果を得ることができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば第2の実施の形態、第3の実施の形態および第6の実施の形態において、第4の実施の形態と同様に偏光素子が配置されていてもよい。
また、偏光素子が配置される位置は、光出射部とマスクとの間の光路上であればよく、従って、集光部材とマスクとの間の光路上に限定されず、例えば光出射部と集光部材との間の光路上であってもよい。
第6の実施の形態に係る光照射装置は、フィルム状の被処理物に対して線状のパターンを形成するに際して比較的大きな有効照射幅dが許容される場合においても適用することができる。
【0054】
また、光出射部は、それぞれx方向に伸びる3つ以上の光源素子列が、一の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極中心点と、当該光源素子に最も接近する、他の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極中心点とを結ぶ直線が、x方向に伸びる直線と斜交するよう配置されて構成されていてもよい。
例えば第5の実施の形態に係る光照射装置の変形例として、4つの光源素子列よりなる光出射部を有する光照射装置を構成し、この変形例に係る光出射装置において、光出射部からの光を集光部材によって集光したときの光照射領域におけるx方向の照度分布を示す曲線図を図19に示す。この図において、縦軸は相対照度、横軸はx方向における相対的な位置を示し、曲線(1)は、1列目の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(2)は2列目の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(3)は、3列目の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(4)は4列目の光源素子列からの光による光照射領域の照度分布曲線、曲線(5)は、光出射部全体からの光による光照射領域の照度分布曲線である。
図19に示すように、各光源素子列のいずれか一つの光による照度分布においては、当該光源素子列における各光源素子からの光による光照射領域が互いに重畳することなく並んでいるため、照度のピークとボトムとの差が極めて大きいものである。これに対し、光出射部全体からの光による照度分布においては、1列目乃至4列目の各々の光源素子列からの光による光照射領域が重畳され、しかも、各光源素子列からの光による光照射領域における照度のピーク位置が互いに異なるため、第5の実施の形態に係る光出射装置に比較して、照度のピークとボトムとの差が更に小さいものであり、一層均一な照度分布が得られることが理解される。
【符号の説明】
【0055】
10 光出射部
11,11a,11b 光源素子列
12 光源素子
13 放電ランプ
14 発光管
15 リフレクタ
16 光反射面
17 光出射面
18 固定部材
19 リフレクタ
20 集光部材
21 光反射面
22 シリンドリカル凸レンズ
23 平面ミラー
24 光反射面
25 シリンドリカル楕円ミラー
26 光反射面
27 複合レンズ
28 シリンドリカル凸レンズ
30 マスク
31 透光性基板
32 遮光膜
35 遮光部
36 透光部
40 搬送手段
41 ローラー
45 偏光素子
46 透明基板
47 金属ワイヤー
51 フィルム基材
52 配向膜
52A 配向膜用材料層
53 液晶ポリマー層
53A 光重合性液晶材料層
55 第1の光配向膜
55A 光配向膜用材料層
56 第2の光配向膜
57 第1の液晶ポリマー層部分
57A 光重合性液晶材料層
58 第2の液晶ポリマー層部分
59 液晶ポリマー層
70 平面ミラー
71 光反射面
80 3D映像発信部
81 右目用映像発信部
82 左目用映像発信部
85 3D映像表示体形成用フィルム
86 右目用映像表示部
87 左目用映像表示部
88 光源
90 フィルム基材
91 配向膜
92 光重合性液晶材料層
93 液晶ポリマー層
95 マスク
96 遮光部
97 透光部
G 最小ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショートアーク型の放電ランプ、およびこの放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並ぶよう配置されてなる光源素子列を有する光出射部と、
それぞれ前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並ぶよう配置されてなるマスクとを備えてなり、
前記光出射部からの光が、前記マスクを介して被照射物に照射されることを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記光出射部と前記マスクとの間の光路上に偏光素子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記光出射部からの光を前記一方向に伸びる線状に集光して前記被照射物に前記マスクを介して照射する集光部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、断面が放物線状の光反射面を有するシリンドリカルミラーよりなることを特徴とする請求項3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、シリンドリカル凸レンズを有してなることを特徴とする請求項3に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転楕円面状の光反射面を有するものであり、前記集光部材は、断面が楕円状の光反射面を有するシリンドリカルミラーと、前記光出射部における光源素子に対応して前記一方向に並ぶよう配置された複数のシリンドリカル凸レンズとよりなることを特徴とする請求項3に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記光出射部は、それぞれ同方向に伸びる少なくとも2つの光源素子列を有してなり、これらの光源素子列は、一の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極間中心点と、当該光源素子に最も接近する、他の光源素子列に係る光源素子における放電ランプの電極間中心点とを結ぶ直線が、前記一方向に伸びる直線と斜交するよう配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項8】
前記被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送する搬送手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項9】
前記被照射物がフィルム状のものであり、前記搬送手段は前記被照射物に接して搬送するローラーを有してなり、前記被照射物における前記ローラーに接する箇所に光が照射されることを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。
【請求項10】
前記リフレクタは、その光軸を中心とする回転放物面状の光反射面を有するものであり、
前記光出射部からの光を前記一方向に伸びる帯状の光として前記マスクに向かって反射する平面ミラーが配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
【請求項11】
前記被照射物が、位相差フィルム製造用の光重合性液晶材料若しくは配向膜材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の光照射装置。
【請求項12】
ショートアーク型の放電ランプ、およびこの放電ランプを取り囲むよう配置された、当該放電ランプからの光を反射するリフレクタよりなる光源素子の複数が、一方向に並ぶよう配置されてなる光源素子列を有する光出射部から出射された光を、それぞれ前記一方向に垂直な方向に伸びる線状の多数の遮光部および多数の透光部が前記一方向に交互に並ぶよう配置されてなるマスクを介して被照射物に照射することを特徴とする光照射方法。
【請求項13】
前記光出射部と前記マスクとの間の光路上に配置された偏光素子によって偏光光を照射することを特徴とする請求項12に記載の光照射方法。
【請求項14】
前記光出射部からの光を、集光部材によって前記一方向に伸びる線状に集光し、当該集光された光を、前記マスクを介して被照射物に照射することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の光照射方法。
【請求項15】
前記被照射物を前記マスクにおける透光部が伸びる方向に搬送しながら、当該被照射物に光を照射することを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の光照射方法。
【請求項16】
前記被照射物がフィルム状のものであり、この被照射物に接して搬送するローラーを有する搬送手段によって当該被照射物を搬送しながら、当該被照射物における当該ローラーに接する箇所に光を照射することを特徴とする請求項15に記載の光照射方法。
【請求項17】
前記被照射物が、位相差フィルム製造用の光重合性液晶材料若しくは配向膜材料であることを特徴とする請求項12乃至請求項16のいずれかに記載の光照射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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