説明

光硬化型導電性塗料組成物及び透明帯電防止積層体

【課題】導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れ、塗布のみで塗膜表面に凹凸発生しない光硬化型導電性塗料組成物とこれを塗布してなる透明帯電防止積層体を提供することを目的としている。
【解決手段】分子内に少なくとも2個以上のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、酸化アンチモン(Sb2O5)が重量比で4〜6%ドープされ、かつ、2次平均粒径が50〜100nmの導電性酸化錫を100〜600重量部、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなる分散剤を10〜25重量部、及び、光重合開始剤を1〜20重量部の割合で含有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線または可視光線等の活性光線で容易に硬化して、導電性に優れると共に透明性(全光線透過率)、耐擦過傷性及び硬度に優れた塗膜を形成し得る光硬化型導電性塗料組成物とこれを塗布してなる透明帯電防止積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れた塗膜を得る為に、塗膜が厚くても透明性の悪化(全光線透過率の低下)しない様に、アンチモンがドープされた酸化錫でコートされている硫酸バリウムを主成分とした光硬化型導電性塗料が既に提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3375410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記先に提案された光硬化型導電性塗料の場合、導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れた塗膜を得るができるのであるが、硫酸バリウムの粒子径(一次粒径100nm)が大きく紫外線又は可視光線等の活性光線での硬化後の状態では塗膜表面に凹凸が発生する(ヘーズ値悪化)為、ウール製ポリッシャー等でバフ仕上げという後処理を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れ、塗布のみで塗膜表面に凹凸発生しない光硬化型導電性塗料組成物とこれを塗布してなる透明帯電防止積層体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる光硬化型導電性塗料組成物(以下、「本発明の組成物」と記す)は、分子内に少なくとも2個以上のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、酸化アンチモン(Sb2O5)が重量比で4〜6%ドープされ、かつ、2次平均粒径が50〜100nmの導電性酸化錫を100〜600重量部、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなる分散剤を10〜25重量部、及び、光重合開始剤を1〜20重量部の割合で含有することを特徴としている。
【0007】
本発明の組成物に用いられる(メタ)アクリレート化合物は、分子内に少なくとも2個以上のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物であれば特に限定されないが、耐擦過傷性に優れ硬度が高いものが好ましい。
そして、好ましい(メタ)アクリレート化合物として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、1,6−ビス[3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル]−ヘキサンジオール等の2官能(メタ)アクリレート、若しくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス[(メタ)アクリロキシエチル]等の3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、分子末端に(メタ)アクリロイル基を2個以上有し分子内にウレタン結合を有するアクリル系ウレタンオリゴマーは、得られる塗膜の耐擦過傷性が優れているのでさらに好適に用いられる。
尚、上記(メタ)アクリレート化合物は単独で用いられても併用されてもよい。
【0008】
本発明の組成物に用いられる導電材としての導電性酸化錫は、酸化アンチモンが重量比で4〜6%ドープされ、かつ、2次平均粒径が50〜100nmに限定される。
その理由は、2次平均粒径が50nmより小さくなると塗膜の導電性が低下する一方、100nmより大きくなると塗膜の平滑性が低下し透明性が悪くなるとともに、酸化アンチモンのドープ量が4重量%より少ないと、導電性が低下し、6重量%より大きいと、透明性が低下するためである。
なお、2次平均粒径とは、導電性塗料中に分散している導電材の平均粒径のことをいい、本発明においては、塗料をメチルエチルケトンにて希釈し、レーザー散乱法による粒度分布計(堀場製作所製HORIBA LA−910)にて測定した。
【0009】
本発明の組成物中の導電性酸化錫の配合量は、上記(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して100〜600重量部(好ましくは280〜420重量部)に限定されるが、その理由は、導電性酸化錫の配合量が100重量部より少ないと、塗膜の導電性が低下し、600重量部を超えると塗膜の透明性(全光線透過率)や機械的強度が低下するためである。
【0010】
本発明の組成物中には、導電材の分散性を向上させるために分散剤が配合される。
分散剤としては、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂が必須で、その配合量は、(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して10〜25重量部に限定される。
その理由は、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の配合割合が、10重量部より少なくなると、目的とする導電材の分散効果が低くなり塗膜の透明性(ヘーズ値上昇)が低下し、25重量部より多くなると塗膜の耐擦過傷性が低下するためである。
【0011】
また、分散剤としては、上記親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂以外に、
芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩からなる陰イオン界面活性剤(例えば、β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(例えば、花王社製商品名デモールN))を併用することが好ましい。
上記芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩からなる陰イオン界面活性剤の配合量は、(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
すなわち、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩からなる陰イオン界面活性剤の配合割合が、0.1重量部より少なくなると、塗料の保存安定性が低下し、10重量部より多くなると塗膜の耐擦過傷性が低下するおそれがある。
【0012】
本発明の組成物中には、光重合開始剤が配合される。この光重合開始剤は、紫外線や可視光線等の活性光線により重合を開始させる性質を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
【0013】
本発明の組成物中の光重合開始剤の配合量は、上記(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して1〜20重量部に限定される。
その理由は、光重合開始剤の配合量が、1重量部より少ないと光重合速度が遅く、十分な塗膜の耐擦過傷性や硬度を得るために長時間の活性光線の照射を必要とし、時には未硬化となることもあり、20重量部より多いと塗膜の導電性、耐擦過傷性、耐熱性、耐候性等が低下してしまうためである。
【0014】
本発明の組成物中には、導電材の分散性を向上させるため及び塗料の塗工性を良くするために有機溶剤が一般的に配合される。
有機溶剤としては、特に限定されないが、沸点が80〜180℃程度のものが好適である。すなわち、沸点が80℃未満のものでは、塗料の保存中や塗工中、該溶媒の蒸発により塗料の濃度や粘度が変化するおそれがあり、一方、沸点が180℃を超えるものでは乾燥工に時間を要することがある。また、揮発性の強いものも、塗料の保存中や塗工中、該溶媒の蒸発により塗料の濃度や粘度が変化するおそれがあるので好ましくない。なお、導電材との親和性の点から、酸素を含有する溶媒であることが好ましい。
【0015】
かかる有機溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、イソプロピルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール等が好適に挙げられる。これらは単一で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0016】
本発明の組成物中の有機溶媒の配合量は、上記(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して300〜2000重量部が好ましい。
すなわち、有機溶媒の配合量が300重量部未満では塗膜の透明性や塗料の保存安定性が低下し、一方、2000重量部を超えると塗料の粘度が低くなり過ぎで塗工性が低下したり、導電材が沈降しやすくなるおそれがある。
【0017】
なお、本発明の組成物においては、上記(メタ)アクリレート化合物、導電性粉末、分散剤、光重合開始剤、及び、有機溶剤の必須構成成分の他に、必要に応じて物性を損なわない範囲内で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、表面改質剤、脱泡剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0018】
本発明の組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶剤に上記芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩からなる陰イオン界面活性剤を加え、2次平均粒径が50〜100nmに調製された導電材分散液を、有機溶剤に親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、(メタ)アクリレート化合物、光重合開始剤等を加えて溶解させた溶液へ加えて更に混合分散することにより行われる。分散には、導電材を塗料中に十分分散させるために塗料の分散や配合に通常用いられる機器、例えばサンドミル、ボールミル、アトライター、高速回転攪拌装置、三本ロール等が使用される。
【0019】
本発明にかかる透明帯電防止積層体(以下、「本発明の積層体」と記す)は、透明な基材表面に、上記本発明の組成物を塗工かつ乾燥し、光硬化させてなる、塗膜厚みが0.5〜5.0μmである帯電防止透明硬化塗膜を備えていることを特徴としている。
【0020】
本発明の積層体において、透明な基材としては、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ABS樹脂等のプラスチック板あるいはプラスチックフィルム、ガラス等の無機物質からなる板やフィルム等が挙げられる。
本発明の組成物を上記基材に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー法、バーコート法、ドクターブレード法、ロールコート法、およびディッピング法等の一般的な塗布方法が挙げられる。
【0021】
本発明の積層体において、帯電防止透明硬化塗膜の厚みは、0.5〜5.0μmに限定され、好ましくは1.5〜3μmであるが、その理由は、塗膜が0.5μmより薄いと帯電防止性と耐擦過傷性が低下し、5μmより塗膜が厚いと透明性が低くなってしまうためである。
基材上に塗布された本発明の組成物を乾燥する方法としては、特に限定されないが、熱風乾燥、赤外線照射による乾燥等が挙げられる。
また、本発明の組成物は、乾燥後、光硬化されるが、光硬化の方法としては、活性な光線であれば、紫外線でも可視光線でも構わない。因みに、紫外線照射に使用される光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等がある
【発明の効果】
【0022】
本発明の組成物は、分子内に少なくとも2個以上のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、酸化アンチモン(Sb2O5)が重量比で4〜6%ドープされ、かつ、2次平均粒径が50〜100nmの導電性酸化錫を100〜600重量部、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなる分散剤を10〜25重量部、及び、光重合開始剤を1〜20重量部の割合で含有するので、導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れ、塗布のみで塗膜表面に凹凸発生しない帯電防止透明硬化塗膜を得ることができる。
したがって、導電性・透明性・耐擦過傷性及び硬度に優れた帯電防止透明硬化塗膜を備えた本発明の積層体を生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を、その実施例を参照しつつ詳しく説明する。
【0024】
(実施例1)
溶液A(親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 商品名ソルバインTA5R[塩化ビニル88重量%/酢酸ビニル1重量%/ビニルアルコール11重量%])25重量部を有機溶剤としてのメチルイソブチルケトン60重量部で溶解した溶液)と溶液E(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100重量部と重合禁止剤としてのヒドロキノン0.1重量部、α-ヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤IRGCURE 127[チバ・ジャパン製]10重量部を有機溶剤としてのブチルセロソルブ60重量部で溶解した溶液)とをスリーワンモータにて混合・攪拌しながら、溶液F(酸化アンチモン重量比が5%である導電性酸化錫310重量部を芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩からなる陰イオン界面活性剤としてのβ‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(花王社製商品名デモールN)10重量部、有機溶剤としてのメチルイソブチルケトン350重量部、ブチルセロソルブ230重量部の混合溶媒中で2次平均粒径が70nmになる様に分散させた溶液)を添加したあと30分間、混合・攪拌を行うことにより光硬化型導電性塗料組成物を調製した。
上記にて得られた光硬化型導電性塗料組成物を基材としての透明アクリル樹脂板(厚み3mm)上に塗膜厚みが2μmになるようにバーコーターにより塗布し、乾燥(40℃で10分熱風乾燥)させた。これに高圧水銀ランプにより1800mJ/cm2の光を照射し紫外線硬化させて透明帯電防止積層体Iを得た。
【0025】
(実施例2)
溶液Fの導電性酸化錫の配合量を380重量部にし、塗膜厚みを1.5μmにしたこと以外は実施例1と同様にして透明帯電防止積層体IIを得た。
【0026】
(実施例3)
上記溶液Aに代えて溶液B(親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 商品名ソルバインAL[塩化ビニル93重量%/酢酸ビニル2重量%/ビニルアルコール5重量%])25重量部を有機溶剤としてのメチルイソブチルケトン60重量部で溶解した溶液)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして透明帯電防止積層体IIIを得た。
【0027】
(実施例4)
上記溶液Aに代えて溶液C(親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 商品名ソルバインTA5R[塩化ビニル88重量%/酢酸ビニル1重量%/ビニルアルコール11重量%])11重量部を有機溶剤としてのメチルイソブチルケトン60重量部で溶解した溶液)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして透明帯電防止積層体IVを得た。
【0028】
(比較例1)
溶液Fの代わりに溶液G(酸化アンチモン重量比が10%である導電性酸化錫310重量部をβ‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(花王社製商品名デモールN)10重量部、有機溶媒としてのメチルイソブチルケトン350重量部、ブチルセロソルブ230重量部の混合溶媒中で2次平均粒径が70nmになる様に分散させた溶液)を使用し、塗膜厚みを0.5μmにした事以外は、実施例1と同様にして透明帯電防止積層体Vを得た。
得られた透明帯電防止積層体Vの塗膜は、着色が強くもろいものであった。
【0029】
(比較例2)
溶液Fの代わりに溶液H(酸化アンチモン重量比が10%である導電性酸化錫310重量部をβ‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(花王社製商品名デモールN)10重量部、有機溶媒としてのメチルイソブチルケトン350重量部、ブチルセロソルブ230重量部の混合溶媒中で2次平均粒径が40nmになる様に分散させた溶液)を使用する事以外は実施例1と同様にして透明帯電防止積層体VIを得た。
得られた透明帯電防止積層体VIの塗膜は、着色が強く導電性が低いものであった。
【0030】
(比較例3)
溶液Fの導電性酸化錫の配合量を90重量部にし、塗膜厚みを3.0μmにした事以外は実施例1と同様にして透明帯電防止積層体VIIを得た。
得られた透明帯電防止積層体VIIの塗膜は、導電性が低いものであった。
【0031】
(比較例4)
溶液Fの導電性酸化錫の配合量を710重量部にし、塗膜厚みを1.5μmにしたこと以外は実施例1と同様にして透明帯電防止積層体VIIIを得た。
得られた透明帯電防止積層体VIIIの塗膜は、着色が強くもろいものであった。
【0032】
(比較例5)
上記溶液Aに代えて溶液D(親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製 商品名ソルバインTA5R[塩化ビニル88重量%/酢酸ビニル1重量%/ビニルアルコール11重量%])0.5重量部を有機溶剤としてのメチルイソブチルケトン60重量部で溶解した溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にして透明帯電防止積層体IXを得た。
得られた透明帯電防止積層体IXの塗膜は、分散およびヘーズ値が悪いものであった。
【0033】
上記実施例1〜4及び比較例1〜5で用いた材料の配合割合を表1に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
上記実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた透明帯電防止積層体I〜IXのそれぞれについて、表面抵抗値(Ω/□)、全光線透過率(%)、ヘーズ値(%)、鉛筆硬度を調べ、その結果を塗膜厚みとともに、表2に示した。
なお、表面抵抗値(Ω/□)、全光線透過率(%)、ヘーズ値(%)、鉛筆硬度の評価方法は、以下のとおりである。
【0036】
〔評価方法〕
表面抵抗値:高抵抗計(TR−3、東京エレクトロニック社製)を用いて、塗膜表面の抵抗を測定。
全光線透過率・ヘーズ値:ヘーズメーター(NDH-5000、日本電色工業社製)を用いて測定。
鉛筆硬度:JIS K 5600に基づく試験法により評価。
【0037】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の透明帯電防止積層体は、特に限定されないが、例えば、半導体ウエハー保存容器、電子・電気部材、半導体製造工場の床材や壁材に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に少なくとも2個以上のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物100重量部に対して、酸化アンチモン(Sb2O5)が重量比で4〜6%ドープされ、かつ、2次平均粒径が50〜100nmの導電性酸化錫を100〜600重量部、親水基を持つ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂からなる分散剤を10〜25重量部、及び、光重合開始剤を1〜20重量部の割合で含有することを特徴とする光硬化型導電性塗料組成物
【請求項2】
透明な基材表面に、請求項1に記載の光硬化型導電性塗料組成物を塗工かつ乾燥し、光硬化させてなる、塗膜厚みが0.5〜5.0μmである帯電防止透明硬化塗膜を備えていることを特徴とする透明帯電防止積層体。

【公開番号】特開2012−31249(P2012−31249A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170334(P2010−170334)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】