説明

光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法

【課題】接着強度及び剥離強度が高く、しかも作業性及び経済性に優れた光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物4のコンクリート表面10のうち補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、シート1に圧力を加えて光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を密着させ、シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シート(以下、光硬化型FRPシートと云う場合がある。)及び光硬化型樹脂のゼリー状物(以下、単にゼリー状物と云う場合がある。)を、コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ当てがい、紫外線を当てることにより硬化させて接着し同コンクリート構造物を補修、補強する方法の技術分野に属し、更に云えば、接着強度及び剥離強度が高く、しかも作業性及び経済性に優れている、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物は、施工上の問題として、セメントと骨材等の混練が不十分で分離する所謂ジャンカ、或いは打継ぎ部の所謂コールドジョイント等が不良箇所として発生し、ひび割れの発生や剥離、落下等が深刻な問題となってい。そこで、前記のような補修必要箇所へ紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型FRPシートを当てがい、同光硬化型FRPシートに圧力を加えてコンクリート表面へ密着させ、紫外線を照射して接着させて補修、補強する方法が実施されている。しかし、前記光硬化型FRPシートは凹凸の粗いコンクリートの表面になかなか馴染むことができず、接触不良から接着強度及び剥離強度が弱いものとなり、剥がれ落ちてしてしまうこともある。そこで、例えば下記の特許文献1に開示された補修・補強方法では、光硬化型FRPシートをコンクリート構造物の補修必要箇所に当てがう前に、コンクリート表面の凹凸部へ樹脂を塗りつけ、該樹脂をへら等で均した後に硬化させ、凹凸部を平滑することで、光硬化型FRPシートの接着強度が高まると説明されている。
【0003】
特許文献2に開示された補修・補強方法は、コンクリート構造物の補修必要箇所に多孔質シート状体を当てがい、その上から密着させ硬化させた光硬化型FRPシートにドリル等で注入口を設け、該注入口からひび割れ箇所又は剥離箇所等の不良箇所の細部にわたり硬化性液体を注入し硬化させて補修、補強すると説明されている。
【特許文献1】特開2003−175515号公報
【特許文献2】特開2004−150238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の補修・補強方法は、コンクリート構造物の表面に樹脂を塗布し平滑にして硬化させた後、光硬化型FRPシートを接着するので、二度手間となる。しかも、光硬化型FRPシートは、コンクリート構造物に塗布した樹脂がある程度硬化するまで当てがうことができないので工期が長引き、作業性及び経済性が悪い。また、通常パテとして使用する樹脂は、着色されており、塗布して硬化した後は、ひび割れ等を確認することができないといった問題もある。
【0005】
上記特許文献2の補修・補強方法は、多孔質シート状体を当てがったり、接着した光硬化型FRPシートにドリル等で孔を設け、該孔から硬化性液体を注入したりと、作業が甚だ面倒である。しかも、硬化性液体は、光硬化型FRPシートが硬化するまで注入できないので、作業性も悪い。また、コンクリート表面に多孔質シート状体を当てがうことを必要としており、同方法で接着不良又は経年剥離した光硬化型FRPシートを再度接着することはできない。
【0006】
本発明の目的は、コンクリート表面の凹凸を光硬化型合成樹脂のゼリー状物を塗布して均し、その上から光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、紫外線を照射することにより接着強度及び剥離強度を増大させ、しかも作業性及び経済性に優れ、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、接着不良又は経年剥離した光硬化型繊維強化樹脂シートを補修、補強することができる、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法は、
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シート1を、コンクリート構造物4のコンクリート表面10のうち補修必要箇所6、7の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シート1に圧力を加えてコンクリート表面10へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、同シート1に圧力を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を密着させ、該シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明に係る光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法は、
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シート1を、コンクリート構造物4のコンクリート表面10のうち補修必要箇所6、7の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シート1に圧力を加えてコンクリート表面10へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、又は当てがう前に同シート1を可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい、前記シート1に圧力を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させ、該シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明に係る光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法は、
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シート1を、コンクリート構造物4のコンクリート表面10のうち補修必要箇所6、7の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シート1に圧力を加えてコンクリート表面10へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、同シート1に圧力及び振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させ、該シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した発明に係る光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法は、
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シート1を、コンクリート構造物4のコンクリート表面10のうち補修必要箇所6、7の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シート1に圧力を加えてコンクリート表面10へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、又は当てがう前に同シート1を可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい、同シート1に圧力及び振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させ、該シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へワイヤーメッシュ等の補強材料5を当てがい、該補強材料5の上に光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布して、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、又はコンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へ補強材料5を当てがい、該補強材料5の上に光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布し、該ゼリー状物2の上に再度補強材料5を当てがい、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがい、若しくはコンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布し、その上に補強材料5を当てがい、その上に光硬化型繊維強化樹脂シート1を当てがって、前記光硬化型繊維強化樹脂シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
光硬化型繊維強化樹脂シート1は、その一方の端をコンクリート表面10へ当てがい、順次他方の端へ向かって圧力を加えてゆき、先にコンクリート表面10へ塗布した光硬化型樹脂のゼリー状物2を押し付けつつ密着させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載した発明は、請求項1又は2又は5又は6に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
光硬化型繊維強化樹脂シート1は、押圧ローラー8で押して必要な大きさの圧力を加えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載した発明は、請求項3〜6のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
光硬化型繊維強化樹脂シート1へ圧力と振動を同時に加えて、又は光硬化型繊維強化樹脂シート1へ圧力を加えた後に振動を加えて前記シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10へ密着させることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載した発明は、請求項3又は4又は5又は又は6又は8に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
光硬化型繊維強化樹脂シート1は、押圧ローラー8をバイブレーターで振動させて光硬化型繊維強化樹脂シート1に振動を加えることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載した発明は、請求項1〜9のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ、光硬化型繊維強化樹脂シート1又は光硬化型樹脂のゼリー状物2を、圧力を加えて又は圧力と振動を加えて密着させると同時に紫外線を照射して、前記光硬化型繊維樹脂シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2を硬化させることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載した発明は、請求項1〜9のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ、光硬化型繊維強化樹脂シート1又は光硬化型樹脂のゼリー状物2を、圧力を加えて又は圧力と振動を加えて密着させた後速やかに紫外線を照射して、前記光硬化型繊維樹脂シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2を硬化させることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載した発明は、請求項1〜11のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ接着した光硬化型繊維強化樹脂シート1の剥離箇所11に対し、光硬化型繊維強化樹脂シート1の外側から常温硬化型樹脂又は紫外線を照射すると硬化する光硬化型樹脂の液状を含むゼリー状物13を注入して空隙を密室に埋め、該ゼリー状物13を常温で又は紫外線を照射して硬化させ、コンクリート構造物4の表面10へ接着させることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載した発明は、請求項1〜11のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に紫外線を透す被覆フィルムを貼って前記光硬化型樹脂のゼリー状物2のダレを防ぎつつ、該被覆フィルムの上から光硬化型樹脂のゼリー状物2へ紫外線を照射して、前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をダレ落ちしない程度に硬化させ、前記被覆フィルムを剥がした後に、光硬化型繊維強化樹脂シート1を光硬化型樹脂のゼリー状物2の上に当てがい、前記光硬化型繊維強化樹脂シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強することを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載した発明は、請求項1〜13のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法において、
紫外線の照射は、光硬化型繊維強化樹脂シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2を十分に硬化させて接着強度を確保するのに必要な紫外線積算量を満たす紫外線強度と移動速度で紫外線源を移動させながら照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法によれば、コンクリート構造物の補修必要箇所6、7の表面へゼリー状物を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に光硬化型FRPシートを当てがい、同シートに圧力を加えて前記ゼリー状物をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シートを密着させ紫外線を照射するので、塗布した前記ゼリー状物2は凹凸の粗いコンクリート表面10の細部にまで行き渡たる。つまり、ゼリー状物でコンクリート表面10の凹凸内部の空気を隈無く脱泡することができ、光硬化型FRPシートを確実にコンクリート表面10に密着させ硬化させることができ、ひいては、接着強度及び剥離強度が増大する。しかも、ゼリー状物は、前記光硬化型FRPシートと共に紫外線を照射して硬化させるので、コンクリート表面10を完全に平滑した後に光硬化型FRPシート1を接着することと比して、工期の大幅な短縮が可能で、作業性及び経済性に大変優れている。
【0023】
また、コンクリート構造物の表面10と剥離した光硬化型FRPシート1(11)の外側から常温硬化型樹脂又は紫外線を照射すると硬化する光硬化型樹脂の液状を含むゼリー状物13を注入して空隙を密に埋め、該ゼリー状物13を常温で又は紫外線を照射して硬化させるので、例えば、既に接着した光硬化型FRPシートが接着不良又は経年剥離等でコンクリート表面10から剥がれても、容易且つ即座にコンクリート表面10へ接着させて、補修、補強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布し、その上に光硬化型FRPシート1を当てがい、同シート1に圧力を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を密着させ、該シート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面10へ接着させて補修、補強する。
【実施例1】
【0025】
先ず、請求項1に記載した発明に係る光硬化型FRPシートを用いたコンクリート構造物の補修、補強方法の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明で使用する光硬化型FRPシート1の使用前の形態を示している。図1中の符号1が光硬化型FRPシート(厚さ2mm程度)で、符号3は同光硬化型FRPシート1の表面を被覆、保護する透光性の被覆フィルム(厚さ1mm程度)である。
【0026】
本発明で使用する光硬化型FRPシート1の主たる構成材料は、例えばポリエステル樹脂等である。これに例えばガラス繊維等の連続繊維を含浸させて補強されており、補修、補強に必要十分な強度を持たせている。また、紫外線を吸収すると反応し分解する光重合開始剤、その分解した光重合開始剤と反応するモノマー、オリゴマー、各種添加剤等を含有している。
【0027】
この光硬化型FRPシート1は、例えば80℃〜100℃程度に加熱すると可塑化し軟化する。また、後述の紫外線照射装置9等で紫外線を照射すると、光重合性開始剤が反応して分解され、モノマー、オリゴマー等の樹脂成分と反応し、更にこの反応生成物が樹脂成分と連鎖的に反応して分子量が増大して硬化し、接着性能を発揮する。前記被覆フィルム3、3は、使用前に光硬化型FRPシート1の粘着面を紫外線から遮断するように保護するためのものであり、使用に際して接着面側の被覆フィルム3を取り剥がしてコンクリート構造物4の表面10へ貼り付ける。表面側の被覆フィルム3は、光硬化型FRPシート1の接着操作が完了するまで残しておく。
【0028】
図2は、補修、補強が必要なコンクリート構造物4の断面図を例示している。補修必要箇所6、7の有無の検査、確認は、例えばコンクリート表面10は、ハイビジョンカメラ、デジタルカメラ、光学カメラ等の撮影機器を用いて行い、コンクリート内部については、赤外線センサーを用いて検出したコンクリート構造物4の温度を基に判し特定したり、又はコンクリート表面10を木槌等で叩いて、その打音を基に判別し特定する。かくすると、肉眼では判、特定しがたい初期段階或いは内部の補修必要箇所6、7、例えばジャンカ6、又はひび割れ7の存在や進行状況を精密に判し特定できる。従って、早い段階で必要な補修、補強対策ができ、コンクリート構造物4の悪化を早期に抑制、防止できる。
【0029】
前記カメラ等の撮影機器で判し特定した補修必要箇所6、7、又は赤外線センサーで測定した温度を基に判し特定した補修必要箇所6、7の補修に際しては、同コンクリート表面10に汚れ、異物等が付着していると、光硬化型FRPシート1の接着強度が低下するので、先ずこれらの汚れ、異物等を予めきれいに清掃する。
【0030】
図3は、掃除したコンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ、先ず光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均した段階を示している。前記ゼリー状物2の主たる構成材料は、上述した光硬化型FRPシート1とほぼ同じである。つまり、紫外線を照射すると、即座に数秒程度で硬化し接着性能を発揮するものである。このゼリー状物2は、ガラス繊維等の連続繊維を含浸させて補強した構成として実施しても、或いはガラス繊維等の連続繊維を含浸させない構成として実施しても本発明の目的を達成することはできる。
光硬化型樹脂のゼリー状物2は、紫外線の侵入を防ぐ構造で包装して現場へ搬入し、現場で包装を解いたときは、手早くコンクリート表面10へ塗布する。前記ゼリー状物2をコンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へ塗布するに際し、図4に示すように、補修必要箇所6、7の表面に例えばワイヤーメッシュ又は炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維等の単線又はメッシュ状補強材料5を当てがい(但し、ボルト又は接着剤等の固定手段により固定する場合もある。)、その上にゼリー状物2を巻き込みながら塗布することで、補修・補強したコンクリート構造物4の強度を増加させることができる(請求項5記載の発明)。
【0031】
次に図5は、上記コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7に塗布した前記ゼリー状物2の上から、光硬化型FRPシート1を当てがい密着させた段階を示している。この光硬化型FRPシート1も、前記ゼリー状物2同様、紫外線の侵入を防ぐ構造で包装して現場へ搬入する。現地で包装を解いたときは、特定した補修必要箇所6、7の広さ、形状に合わせて最適な大きさと形状に手早く裁断して使用する。光硬化型FRPシート1は、例えばハサミ、カッター等で容易に裁断でき、必要に応じて現地での裁断が可能で便利である。また、補修必要箇所6、7の大きさを現場で確認しつつ必要最小限の大きさに裁断できるので経済的でもある。
【0032】
補修に必要な又は効果的な大きさと形状に裁断した光硬化型FRPシート1は、接着側面の被覆フィルム3のみを剥がし、その面を速やかに予め塗布してあるゼリー状物2の上からコンクリート表面10の補修必要箇所6、7へ当てがう。なお、ゼリー状物2の上に上記補強材料5を当てがい、その上に光硬化型FRPシート1を当てがうと一層効果的である(請求項5記載の発明)。こうして、当てがった光硬化型FRPシート1を、押圧ローラー8を用い必要十分な大きさの圧力を加えて、ゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ、前記光硬化型FRPシート1をコンクリート表面10へ押し付けて密着させる(請求項7記載の発明)。前記押圧ローラー8は、表面が凹凸形状のものを用いることで、より一層コンクリート表面10へなじませ効果的に密着できる。また、木槌等で叩いて密着させてもよい。かくすると、ゼリー状物2が凹凸の粗いコンクリート表面10の細部にまで行き渡り、凹凸内部の空気を隈無く脱泡することができ、光硬化型FRPシート1を確実にコンクリート表面10に密着させることができる。
【0033】
なお、図6に示すように、光硬化FRPシート1の一方の端をコンクリート表面10へ当てがい、順次他方の端へ向かって圧力を加えてゆき、先にコンクリート表面10へ塗布したゼリー状物2を押し付けつつ順次密着させると、より一層効果的に光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2をコンクリート表面10へ密着させることができる(請求項6記載の発明)。
【0034】
図7は、上記の処理によってコンクリート表面10密着させた前記光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2へ紫外線を照射する段階を示している。この紫外線の照射は、前記光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2が密着したコンクリート表面10の手前位置へ紫外線を発する紫外線照射装置9(紫外線源)を設置し、光硬化型FRPシート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2を十分に硬化させて接着強度を確保するのに必要な紫外線積算量(約2000mJ/cm〜6000mJ/cm程度)を満たす紫外線強度と移動速度で前記紫外線照射装置9を移動させながら照射する。光硬化型FRPシート1及び光硬化型樹脂のゼリー状物2を十分に硬化させるのに必要である約2000mJ/cm〜6000mJ/cm程度の紫外線積算量は、例えば紫外線の波長領域が350nm程度の棒状メタルハライドランプ或いは棒状水銀ランプ等の工業用紫外線照射装置を使用して、300mW/cm程度の紫外線照射強度を、片道の場合は1.0m/min程度、往復の場合は2.0m/min程度の移動速度で移動させながら照射することで満たすことができる(請求項14記載の発明)。すると、紫外線の照射は、光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2に対して一定の紫外線積算量を確保でき、前記光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2にむらなく照射することができる。したがって、前記光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2を即座に完全に硬化させてコンクリート表面10に接着でき補修・補強の効果をあらしめる。その後、光硬化型FRPシート1の表面側の被覆フィルム3を取り剥がす。
【0035】
なお、コンクリート表面10に密着させた光硬化型FRPシート1は、時間の経過と共に樹脂自体の形状が戻る現象、所謂スプリング効果が発生する場合がある。その防止方法として、光硬化型FRPシート1に圧力を加えると同時に紫外線を照射して前記光硬化型FRPシート1を硬化させたり、或いは、圧力を加えた後速やかに紫外線を照射して前記光硬化型FRPシート1を硬化させると、該光硬化型FRPシート1を効果的に効率良くコンクリート表面10に接着できる(請求項10及び11記載の発明)。
【0036】
また、ゼリー状物2を塗布し、その上に光硬化型FRPシート1を当てがい紫外線を照射するまでの作業に時間を要する場合や、施工場所の気温が高くゼリー状物2が軟化し液状化する場合、又は塗布したゼリー状物2の塗布厚さが大きくてダレ落ちやすい場合、或いは補修必要箇所6、7が例えば天井部分のように当てがった光硬化型FRPシート1や塗布したゼリー状物2が落下又はボタ落ちする場合等には、前記光硬化型樹脂のゼリー状物2のダレ落ちを防ぐことが肝要である。その方法として、コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物2を塗布してコンクリート表面10の凹凸を均し、その上に紫外線を透す被覆フィルムを貼って光硬化型樹脂のゼリー状物2のダレ落ちを防ぎつつ、該被覆フィルムの上から光硬化型樹脂のゼリー状物2に紫外線を照射して、該光硬化型樹脂のゼリー状物2がダレ落ちない程度に予硬化させることが好ましい。その後に、前記被覆フィルムを剥がし、光硬化型FRPシート1を光硬化型樹脂のゼリー状物2の上に当てがい、前記光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2に紫外線を照射してしっかり硬化させコンクリート表面10へ接着させると、補修必要箇所6、7の表面へ塗布したゼリー状物2はダレ落ちる心配がなく、効果的に効率良く補修・補強することができる(請求項13記載の発明)。
【0037】
図8は、補修、補強したコンクリート構造物4の断面図を例示している。紫外線に反応し硬化してコンクリート表面10に接着した光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2の接着強度は、約2.5N/mmにもなる。また補修、補強したコンクリート表面10は、接着した光硬化型FRPシート1及びゼリー状物2が薄く透明なので補修、補強する前とほぼ変わらない外観を呈し自然な状態に仕上がる。
【実施例2】
【0038】
次に請求項2に記載した発明に係る補修、補強方法の実施例を説明する。なお、本実施例の補修、補強方法の多くは、上記実施例1の補修、補強方法と共通するので、共通部分についての重複する説明は省略する。
本実施例は、コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へ当てがった光硬化型FRPシート1に可塑化する温度(80℃〜100℃程度)に加熱したこて等を被覆フィルム3の上から押し付けて可塑化状態に軟化させ、(又は当てがう前に同シート1を可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい圧力を加えて光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させることを特徴とする(作業方法の図示は省略)。光硬化型FRPシート1を加熱して軟化させる手段として、前記加熱したこてを使用する方法以外に、例えばドライヤー又はヒーター等を用い、或いはその他の手段を用い可塑化する温度の熱風を吹き付けてもよく、前記光硬化型FRPシート1が可塑化状態に軟化できればその加熱手段を選ばない。かくすると、可塑化状態に軟化した光硬化型FRPシート1、より一層ゼリー状物の上からコンクリート表面10の細部にわたり柔軟に密着させることができ、接着強度及び剥離強度を高めることができる。
【実施例3】
【0039】
次に請求項3に記載した発明に係る補修、補強方法の実施例を説明する。なお、本実施例の補修、補強方法、上記実施例1の補修、補強方法と多く共通するので、共通点についての重複する説明は省略する。
本実施例では、コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7へ当てがった光硬化型FRPシート1に圧力を加える押圧ローラー8をバイブレータで振動させて光硬化型FRPシート1に振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させることを特徴とする(図示は省略、請求項9記載の発明)。
【0040】
このとき、光硬化型FRPシート1へ圧力を加えるのと同時に振動を加えて、又は光硬化型FRPシート1へ圧力を加えた後に振動を加えて同シート1をコンクリート表面10へ密着させると、前記シート1をより一層効果的にゼリー状物の上からコンクリート表面10に密着させることができる(請求項8記載の発明)。
【実施例4】
【0041】
次に請求項4に記載した発明に係る補修、補強方法の実施例を説明する。なお、本実施例の補修、補強方法は、上記実施例1、2及び3の補修、補強方法を組み合わせた内容であるから、共通点の重複する説明は省略する。
本実施例では、コンクリート構造物4の補修必要箇所6、7の表面10へ当てがった光硬化型FRPシート1を可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させ、又は当てがう前に同シート1を可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい、同シート1に圧力及び振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物2をコンクリート表面10の凹凸へ押し付けつつ同シート1を前記コンクリート表面10に密着させることを特徴とする(図示は省略)。
【実施例5】
【0042】
9に示す実施例は、コンクリート構造物3の補修必要箇所6、7の表面へ接着した光硬化型FRPシート1の剥離箇所11に対する補修・補強方法を示す。即ち、光硬化型FRPシート1における剥離箇所11の外側から例えばドリル等で孔を設け、該孔から例えばポンプ又は注入器等12を用いて、常温硬化型樹脂又は紫外線を照射すると硬化する光硬化型樹脂の液状を含むゼリー状物13を注入して空隙を密に埋め、該ゼリー状物13を常温で又は紫外線を照射して硬化させる。かくすると、図10に示すように、前記光硬化型繊維強化樹脂シート1の剥離箇所11をコンクリート構造物4の表面10へ接着させることができる。つまり、既に接着した光硬化型FRPシート1が接着不良又は経年剥離等でコンクリート表面10から剥離しても、容易に且つ即座にコンクリート表面10へ接着して、補修、補強することができる(請求項12記載の発明)。
【0043】
なお、以上に本発明の実施例を説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】光硬化型FRPシートの使用前の形状断面図である。
【図2】補修必要箇所を有するコンクリート構造物の断面図である。
【図3】光硬化型樹脂のゼリー状物を補修必要箇所の表面へ塗布する段階を示した説明図である。
【図4】補修必要箇所の表面へ補強材料を当てがいその上に光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布した実施例を示した説明図である。
【図5】光硬化型FRPシートを補修必要箇所の表面へ密着させる段階を示した説明図である。
【図6】光硬化型FRPシートを補修必要箇所の表面へ密着させる異なる実施例を示した説明図である。
【図7】光硬化型FRPシートに紫外線を照射する段階を示した説明図である。
【図8】補修、補強したコンクリート表面の断面図である。
【図9】光硬化型FRPシート又は光硬化型樹脂のゼリー状物の剥離箇所にゼリー状物を注入する段階を示した説明図である。
【図10】光硬化型FRPシート又は光硬化型樹脂のゼリー状物の剥離箇所を補修、補強したコンクリート構造物の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 光硬化型繊維強化樹脂シート(光硬化型FRPシート)
2 光硬化型樹脂のゼリー状物
4 コンクリート構造物
5 補強材料
6 ジャンカ
7 ひび割れ
8 押圧ローラー
10 コンクリート表面
13 常温硬化型樹脂又は光硬化型樹脂のゼリー状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シートを、コンクリート構造物のコンクリート表面のうち補修必要箇所の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シートに圧力を加えてコンクリート表面へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布してコンクリート表面の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、同シートに圧力を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物をコンクリート表面の凹凸へ押し付けつつ同シートを密着させ、該シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項2】
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シートを、コンクリート構造物のコンクリート表面のうち補修必要箇所の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シートに圧力を加えてコンクリート表面へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布してコンクリート表面の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、又は当てがう前に同シートを可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい、前記シートに圧力を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物をコンクリート表面の凹凸へ押し付けつつ同シートを前記コンクリート表面に密着させ、該シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項3】
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シートを、コンクリート構造物のコンクリート表面のうち補修必要箇所の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シートに圧力を加えてコンクリート表面へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布してコンクリート表面の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、同シートに圧力及び振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物をコンクリート表面の凹凸へ押し付けつつ同シートを前記コンクリート表面に密着させ、該シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項4】
紫外線を受けると硬化し接着する光硬化型繊維強化樹脂シートを、コンクリート構造物のコンクリート表面のうち補修必要箇所の表面へ当てがい、同光硬化型繊維強化樹脂シートに圧力を加えてコンクリート表面へ密着させ、紫外線を照射して接着させ補修する方法において、
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布してコンクリート表面の凹凸を均し、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、又は当てがう前に同シートを可塑化する温度に加熱して可塑化状態に軟化させて当てがい、同シートに圧力及び振動を加えて前記光硬化型樹脂のゼリー状物をコンクリート表面の凹凸へ押し付けつつ同シートを前記コンクリート表面に密着させ、該シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項5】
コンクリート構造物の補修必要箇所へワイヤーメッシュ等の補強材料を当てがい、該補強材料の上に光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布して、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、又はコンクリート構造物の補修必要箇所へ補強材料を当てがい、該補強材料の上に光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布し、該ゼリー状物の上に再度補強材料を当てがい、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがい、若しくはコンクリート構造物の補修必要箇所へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布し、その上に補強材料を当てがい、その上に光硬化型繊維強化樹脂シートを当てがって、前記光硬化型繊維強化樹脂シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項6】
光硬化型繊維強化樹脂シートは、その一方の端をコンクリート表面へ当てがい、順次他方の端へ向かって圧力を加えてゆき、先にコンクリート表面へ塗布した光硬化型樹脂のゼリー状物を押し付けつつ密着させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項7】
光硬化型繊維強化樹脂シートは、押圧ローラーで押して必要な大きさの圧力を加えることを特徴とする、請求項1又は2又は5又は6に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項8】
光硬化型繊維強化樹脂シートへ圧力と振動を同時に加えて、又は光硬化型繊維強化樹脂シートへ圧力を加えた後に振動を加えて前記シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物をコンクリート表面へ密着させることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項9】
光硬化型繊維強化樹脂シートは、押圧ローラーをバイブレーターで振動させて光硬化型繊維強化樹脂シートに振動を加えることを特徴とする、請求項3又は4又は5又は6又は8に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項10】
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ、光硬化型繊維強化樹脂シート又は光硬化型樹脂のゼリー状物を、圧力を加えて又は圧力と振動を加えて密着させると同時に紫外線を照射して、前記光硬化型繊維樹脂シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物を硬化させることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項11】
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ、光硬化型繊維強化樹脂シート又は光硬化型樹脂のゼリー状物を、圧力を加えて又は圧力と振動を加えて密着させた後速やかに紫外線を照射して、前記光硬化型繊維樹脂シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物を硬化させることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項12】
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ接着した光硬化型繊維強化樹脂シートの剥離箇所に対し、光硬化型繊維強化樹脂シートの外側から常温硬化型樹脂又は紫外線を照射すると硬化する光硬化型樹脂の液状を含むゼリー状物を注入して空隙を密に埋め、該ゼリー状物を常温で又は紫外線を照射して硬化させ、コンクリート構造物の表面へ接着させることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項13】
コンクリート構造物の補修必要箇所の表面へ光硬化型樹脂のゼリー状物を塗布してコンクリート表面の凹凸を均し、その上に紫外線を透す被覆フィルムを貼って前記光硬化型樹脂のゼリー状物のダレ落ちを防ぎつつ、該被覆フィルムの上から光硬化型樹脂のゼリー状物へ紫外線を照射して、前記光硬化型樹脂のゼリー状物をダレ落ちしない程度に硬化させ、前記被覆フィルムを剥がした後に、光硬化型繊維強化樹脂シートを光硬化型樹脂のゼリー状物の上に当てがい、前記光硬化型繊維強化樹脂シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物に紫外線を照射して硬化させコンクリート表面へ接着させて補修、補強することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。
【請求項14】
紫外線の照射は、光硬化型繊維強化樹脂シート及び光硬化型樹脂のゼリー状物を十分に硬化させて接着強度を確保するのに必要な紫外線積算量を満たす紫外線強度と移動速度で紫外線源を移動させながら照射することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載した光硬化型繊維強化樹脂シートを用いたコンクリート構造物の補修・補強方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−226103(P2006−226103A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10514(P2006−10514)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【Fターム(参考)】