説明

光硬化性白色インク組成物

【課題】 着色力に優れ、顔料が沈降し難く、光硬化性に優れるオンデマンド・ピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物を提供する。
【解決手段】 (A−1)平均一次粒子径が0.05〜0.18μmであるルチル型酸化チタン及び/又は(A−2)平均一次粒子径が0.12〜0.25μmであるアナターゼ型酸化チタン、(B)多官能アクリロイルモノマー、(C−1)エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー及び/又は(C−2)第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー、及び(D)光重合開始剤を含有する光硬化性白色インク組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等に使用されるピエゾ方式のインクジェット用の光硬化性白色インク組成物に関する。さらに詳しくは、着色力に優れ、顔料が沈降し難く、光硬化性に優れるオンデマンド・ピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品等に使用されるマーキング方法には、レーザーマーキングとパッド印刷が使用され主流となっている。レーザーマーキングは、スピードの観点から使用されているが、元々黒色の部品表面を焼くだけなのでコントラストが低く視認性が劣るとい問題がある。一方、パッド印刷は、視認性の観点から使用されているが、版の製作が必要なため準備に時間がかかるという問題がある。
【0003】
このため、最近ではインクジェットを利用したものが発表されているが、使用するインクの粘度が5〜25mPa・sと低く、印刷用のインクと比較して1/100〜1/5000の粘度であり、さらに通常の赤色、青色、黄色、緑色、黒色等の顔料の比重が約2であることに対して、白色顔料すなわち酸化チタンの比重が約4と重いため、顔料が沈降し易いものであった。さらに、通常の赤色、青色、黄色、緑色、黒色等の顔料は有機化合物のため親油性であることに対して、酸化チタンは親水性のためインク中では凝集し易く、保存安定性に欠ける物であった。このようなことから、インクジェット用白色インクは、実用化されていないのが現状である。
【0004】
インクジェット用白色インクとしては、3μm以下の顔料粒子を用いたインクジェット記録用インク組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このインクジェット記録用組成物は、導電性付与剤を必須成分とする連続・帯電駆動方式のインクジェットに用いられる組成物であり、現在、主流となっている高品位のオンデマンド・ピエゾ方式インクジェットやサーマルインクジェットのインク組成と異なる。
また、サーマルインクジェット方式に用いられるインクは、熱により気泡を発生するものであり、一方、オンデマンド・ピエゾ方式は、ピエゾ素子に流れる電流により素子が伸縮し、インクを吐出するという方式であるが、気泡による影響を受け易いとい問題があり、両者を兼用することは難しい。例えば、サーマルインクジェット方式に用いられるインクを用いた場合、気泡によりインクが吐出しなかったり、目詰まりを起こしたりするという問題が発生する。
【0005】
また、近年、酸化チタンの用途が広がり、光触媒や化粧品用として粒度の揃った超微細な酸化チタンの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。例えば、光触媒用としては、平均一次粒径が5nm〜1μm程度のアナターゼ型の酸化チタンが一般的に用いられている。また、化粧品用としては、紫外線を遮断するため、平均一次粒径が0.01μm〜0.05μm程度のルチル型もしくはアナターゼ型の酸化チタンが用いられている。
【特許文献1】特開昭62−64874号公報
【特許文献2】特開平7−291629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の様な問題に鑑みなされたものであり、その主たる目的は、着色力に優れ、顔料が沈降し難く、光硬化性に優れるオンデマンド・ピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の基本的な態様としては、(A−1)平均一次粒子径が0.05〜0.18μmであるルチル型酸化チタン及び/又は(A−2)平均一次粒子径が0.12〜0.25μmであるアナターゼ型酸化チタン、(B)多官能アクリロイルモノマー、(C−1)エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー及び/又は(C−2)第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー、及び(D)光重合開始剤を含有することを特徴とするピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物が提供される。好適な態様においては、前記ルチル型酸化チタン(A−1)及び/又はアナターゼ型酸化チタン(A−2)の含有量が、10〜35質量%であり、また前記ルチル型酸化チタン(A−1)及びアナターゼ型酸化チタン(A−2)の表面処理が、アルミナ、酸化ケイ素、及び酸化ジルコニアからなる群から選ばれた少なくとも1種類であり、さらに、前記第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)が、4−ヒドロキシブチルアクリレートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物は、顔料粒径をコントロールすることにより、着色力に優れ、顔料が沈降し難くなる。さらに、(C−1)エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー及び/又は(C−2)第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマーを含有することにより酸化チタンの分散性が向上し、多官能アクリロイルモノマー及び光重合開始剤と組み合わせることにより、光硬化性に優れたインク組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明者は、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(A−1)平均一次粒子径が0.05〜0.18μmであるルチル型酸化チタン及び/又は(A−2)平均一次粒子径が0.12〜0.25μmであるアナターゼ型酸化チタン、(B)多官能アクリロイルモノマー、(C−1)エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー及び/又は(C−2)第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー、及び(D)光重合開始剤を含有する白色インクジェット用インク組成物が、着色力に優れ、顔料が沈降し難く、光硬化性に優れており、オンデマンド・ピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物として、有用な組成物であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0010】
本発明において用いられるルチル型酸化チタン(A−1)は、真比重が4.2であり、アナターゼ型酸化チタンの真比重の3.9に比べ大きいが、隠蔽力に優れているという特徴を有している。このようなルチル型酸化チタン(A−1)としては、平均一次粒子径が0.05〜0.18μmのものが使用でき、特に0.12〜0.15μmが好ましい。 0.05μm未満では着色力が低下し、0.19μm以上では、顔料が沈降し易くなり好ましくない。
なお、本明細書において、平均一次粒子径とは、一次粒子の平均粒径を言い、一次粒子とは、一般的に粉末を構成する最も小さい粒子のことを言う。一次粒子が凝集した状態を二次粒子といい、通常は二次粒子の状態で構成されている。
【0011】
一方、本発明において用いられるアナターゼ型酸化チタン(A−2)としては、ルチル型酸化チタンに比べ、隠蔽力に劣るが、真比重が小さいため、ルチル型酸化チタンの平均一次粒子径より大きい、0.12〜0.25μmのものが使用でき、特に0.14〜0.20μmが好ましい。0.12μm未満では着色力が低下し、0.25μm以上では、顔料が沈降し易くなり好ましくない。
上記のように、隠蔽性は、酸化チタンの平均一次粒子径に依存することが、実験的に見出されている。また、沈降性は、平均二次粒子径に依存することが知られているが二次粒子径は一次粒子径より大きく、通常は一次粒子が凝集して二次粒子を形成している。
【0012】
また、本発明において用いられるルチル型酸化チタン(A−1)及びアナターゼ型酸化チタン(A−2)の表面処理としては、アルミナ処理、酸化ケイ素処理、及び酸化ジルコニア処理からなる群から選ばれた少なくとも1種類であることが好ましい。即ち、アルミナ処理、アルミナ処理及び酸化ケイ素処理、アルミナ処理及び酸化ジルコニア処理などが使用でき、特にアルミナ処理及び酸化ケイ素処理、アルミナ処理及び酸化ジルコニア処理したものが特に好ましい。無処理の場合は、顔料が凝集し易く、また沈降し易くなるので好ましくない。
【0013】
これらルチル型酸化チタン(A−1)及び/又はアナターゼ型酸化チタン(A−2)の含有量としては、インク組成物中に、10〜35質量%であることが好ましい。酸化チタンの含有量が、10質量%未満の場合、隠蔽力に欠けるので好ましくない。一方、35質量%を超えた場合、高粘度となり、インクジェット塗布性が低下し、さらに光硬化性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明において用いられる多官能アクリロイルモノマー(B)としては、低粘度で光硬化性に優れているものが好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートEO付加体、ペンタエリスリトールトリアクリレートEO付加体、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO付加体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO付加体、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのEO付加体、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
これらの多官能アクリロイルモノマー(B)は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。これら多官能アクリロイルモノマー(B)の配合量としては、インク組成物中に、5質量%以上が好ましく、特に10〜20質量%であることが好ましい。多官能アクリロイルモノマー(B)の配合量が、5質量%未満の場合、光硬化性が低下するので好ましくない。
【0015】
本発明において用いられるエーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)及び/又は第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)は、酸化チタンの分散性を向上させる効果があり、希釈効果が高く、揮発性の少ないものが好ましく用いられる。
上記エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)としては、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、テトラヒドロフリフリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、4−アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−アクリロイルオキシメチル−2−イソブチル−2−エチルー1,3−ジオキソラン、4−アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソランなどが挙げられる。
これらのエーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0016】
また、前記第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)としては、低粘度で光硬化性に優れているものが好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4―ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられ、特に、4―ヒドロキシブチルアクリレートが低粘度で皮膚刺激性等も低く、好ましい。
これら第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
このようなエーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)及び第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)の配合量としては、10質量%以上であることが好ましい。具体的には、エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)を単独で用いる場合、25質量%以上が好ましく、より好ましくは、30〜50質量%である。エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)の配合量が、25質量%未満の場合、顔料の分散性が低下するので好ましくない。また、第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)を単独で用いる場合、10質量%以上が好ましく、より好ましくは、20〜35質量%である。第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)の配合量が、10質量%未満の場合、組成物の粘度が高くなったり、光硬化性が低下したりするので好ましくない。
【0017】
本発明の光硬化性白色インク組成物は、必要に応じて、上記モノマー以外の公知慣用のアクリロイルモノマーと併用して使用してもよい。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。
これらアクリロイルモノマーの配合量としては、インク組成物中に、20質量%以下が好ましく、より好ましくは、10質量%以下である。これらアクリロイルモノマーの配合量が、20質量%を超えた場合、前記多官能アクリロイルモノマー(B)、エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)、及び第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)の含有率が低下し、分散性が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明において用いられる光重合開始剤(D)としては、公知慣用の光重合開始剤が使用でき、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、N,N- ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4,4’- ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドや、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール系化合物;2,4―ビス(トリクロロメチル)―6―(p―メトキシ−フェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−s−トリアジン等のハロメチル−s−トリアジン系化合物が挙げられる。
これら光重合開始剤(D)は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。更に、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン類などの光開始助剤を加えることができる。
また、可視光領域に吸収のあるCGI―784等(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために添加することができる。特にこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、感光性の不飽和二重結合をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光開始助剤に限らず、使用できる。
これら光重合開始剤(D)の配合量としては、インク組成物中に、1〜5質量%であり、特に2〜3質量%用いることが好ましい。光重合開始剤(D)の配合量が、1質量%未満の場合、光硬化性が低下し、一方、5質量%を越えた場合、光重合開始剤の結晶の析出や塗膜下部の光硬化不良が起こり、好ましくない。
【0019】
本発明の光硬化性白色インク組成物は、更に、必要に応じて公知慣用の種々の添加剤を使用することができる。例えば消泡剤、密着性付与剤、レベリング剤、顔料分散剤、熱重合禁止剤等の各種添加剤類を配合することができるが、これらの添加剤は粘度を上昇させ、インクジェット塗布性を低下させるため、インク組成物中に、5質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
【0020】
また、本発明の光硬化性白色インク組成物には、さらに目的に応じて、オリゴマーおよび高分子重合体をインクジェットの塗布性を低下させない範囲で用いることができる。これらオリゴマーまたは高分子重合体は、ラジカル重合性の官能基を有している反応性化合物であることが好ましいが、反応性を有していないものでも使用できる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りのない限り全て「質量部」を示す。
【0022】
〈実施例及び比較例の白色インク組成物の調整〉
下記表1に示す配合成分を、サンドミルで8時間分散し、2μmのフィルターで濾過し、ピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物を得た。














【0023】
【表1】


注.表1中の成分の詳細を、以下に示す。
*1:ルチル型酸化チタン、平均一次粒子径=0.055μm、
表面処理=アルミナ及び酸化ジルコニア処理
*2:アナターゼ型酸化チタン、平均一次粒子径=0.15μm、
表面処理=アルミナ処理
*3:ルチル型酸化チタン、平均一次粒子径=0.12μm、
表面処理=アルミナ及び酸化ジルコニア処理
*4:アナターゼ型酸化チタン、平均一次粒子径=0.21μm、
表面処理=アルミナ処理
*5:ルチル型酸化チタン80%アナターゼ型酸化チタン20%、
平均一次粒子径=0.14μm、
表面処理=アルミナ及び酸化ジルコニア処理
*6:ルチル型酸化チタン、平均一次粒子径=0.035μm、
表面処理=アルミナ及び酸化ジルコニア処理
*7:ルチル型酸化チタン、平均一次粒子径=0.21μm、
表面処理=アルミナ処理
*8:アナターゼ型酸化チタン、平均一次粒子径=0.10μm、
表面処理=無し。
*9:アナターゼ型酸化チタン、平均一次粒子径=0.30μm、
表面処理=アルミナ処理
*10:東亞合成社製のポリエステルアクリレート、商品名 M−8030
*11:日本化薬社製 商品名 カヤラッドTMPTA、
トリメチロールプロパントリアクリレート
*12:共栄社化学社製 商品名 1,9ND−A
1,9−ノナンジオールジアクリレート
*13:新中村化学社製、商品名 NKエステル A−TMPT−3EO
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート
*14:大阪有機化学社製、商品名 MEDOL10、
4−アクリロイルオキシメチル−2−メチルー2−エチル−1,3−
ジオキソラン
*15:大阪有機化学社製、商品名 4−HBA、
4−ヒドロキシブチルアクリレート
*16:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の光重合開始剤、
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−
プロパン−1−オン
*17:日本化薬社製の光重合開始剤、
2,4−ジエチルチオキサントン
*18:ビッグケミー社製の酸化チタン用分散剤、Disperbyk−111
【0024】
上記実施例1〜5及び比較例1〜5で調整した白色インク組成物の粘度、明度(L値)、及び沈降性を以下のように評価し、その結果を、表2に示した。
【0025】
(1)粘度
上記実施例1〜5及び比較例1〜5の白色インク組成物を、オンデマンド・ピエゾ方式インクジェットプリンターで、塗布する時の粘度(40℃)を測定した。
(適正粘度=5〜25mPa・s)
測定は、動粘度(mm/s)をキャノンフェンスケ型粘度計により測定し、比重を比重計により測定し、その値の積から、粘度(mPa・s)を算出した。
【0026】
(2)明度(L値)
上記実施例1〜5及び比較例1〜5の白色インク組成物を、銅箔をエッチングで除去した紙フェノール基板上に、オンデマンド・ピエゾ方式インクジェットプリンターで、塗布温度が40℃で、膜厚が10μmとなるように印刷し、その後、UVコンベアー炉で2000mJ/cm照射し、光硬化した。
このようにして得られた基板上の硬化塗膜を、ミノルタ製色彩色差計 CR−221で明度(L値)を測定し、以下のように評価した。
○:L値が75を超えるもの。
×:L値が75以下のもの。
【0027】
(3)沈降性
上記実施例1〜5及び比較例1〜5の白色インク組成物を、40℃で1週間保管し、以下の基準で評価した。
○:透明な上澄みが全くないもの。
△:透明な上澄みが僅かに発生しているもの。
×:透明な上澄みがはっきりと発生したもの。
【0028】
【表2】

【0029】
上記表2から明らかなように、実施例1〜5の白色インク組成物は、隠蔽力に優れ、さらにインクジェットプリンターで塗布可能な粘度で、酸化チタンが沈降することが無いことが判る。
一方、ルチル型で平均一次粒子径が0.035μmの酸化チタンを用いた比較例2は、沈降性には優れていたが、隠蔽力に劣っていた。
また、アナターゼ型で平均一次粒子径が0.1μmの酸化チタンを用いた比較例4は、沈降性と隠蔽性共に劣っていた。
また、エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−1)及び第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)を使用しなかった比較例1、ルチル型で平均一次粒子径が0.21μmの酸化チタンを用いた比較例3、及びアナターゼ型で平均一次粒子径が0.30μmを用いた比較例5は、隠蔽力には、優れていたが、沈降性に劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A−1)平均一次粒子径が0.05〜0.18μmであるルチル型酸化チタン及び/又は(A−2)平均一次粒子径が0.12〜0.25μmであるアナターゼ型酸化チタン、(B)多官能アクリロイルモノマー、(C−1)エーテル結合を持つ単官能アクリロイルモノマー及び/又は(C−2)第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー、及び(D)光重合開始剤を含有することを特徴とするピエゾ方式インクジェット用の光硬化性白色インク組成物。
【請求項2】
前記ルチル型酸化チタン(A−1)及び/又はアナターゼ型酸化チタン(A−2)の含有量が、10〜35質量%であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性白色インク組成物。
【請求項3】
前記ルチル型酸化チタン(A−1)及びアナターゼ型酸化チタン(A−2)の表面処理が、アルミナ処理、酸化ケイ素処理、及び酸化ジルコニア処理からなる群から選ばれた少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性白色インク組成物。
【請求項4】
前記第一級水酸基を持つ単官能アクリロイルモノマー(C−2)が、4−ヒドロキシブチルアクリレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性白色インク組成物。

【公開番号】特開2007−332166(P2007−332166A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283105(P2004−283105)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(591021305)太陽インキ製造株式会社 (327)
【Fターム(参考)】