説明

光磁気センサ、及び、電子機器

【課題】磁気センサ及び光センサを使用したセンサにおいて、磁気センサ又は光センサの何れかが誤動作した場合にも誤動作の影響を軽減することが可能な信頼性の高いセンサを提供する。
【解決手段】検出物の通過に基づく磁界変化に応じた磁気信号を供給する磁気センサ回路100と、検出物の通過に基づく発光ダイオード21からの光量に応じた光信号を供給する光センサ回路200と、を備えている光磁気センサ1であって、磁気信号、及び、光信号を相互演算する演算回路30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサと光センサとを備える光磁気センサ、及び、光磁気センサを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体の検出、物体の通過方向の検出、物体の通過速度の検出などを行う装置では、物体が通過することによって起こる、光量の変化を検出する光センサ、磁界の変化を検出する磁気センサなどが用いられることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1には、磁気センサとして貫通孔の外周に配置された分割空芯コイルを利用し、金属球が貫通孔を通過又は貫通孔の上面を通過したことを検出する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、光センサを利用し、パチンコ玉が検出孔を通過したことを検出する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、少なくとも1つの磁気センサと、少なくとも1つ以上の光センサとが、少なくとも1つの面で隣接するように同一パッケージ内に収容された光・磁気センサが開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、光センサを構成する光検出素子と、磁気センサを構成する磁気検出素子とが共通の半導体基板に形成された光磁気一体型センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−225327号公報(2007年9月6日公開)
【特許文献2】特開平2−306514号公報(1990年12月19日公開)
【特許文献3】特開2000−331578号公報(200年11月30日公開)
【特許文献4】特開2010−129930号公報(2010年6月10日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、磁気センサを用いて物体を検出する場合、他の電気部品、静電気などによる磁界の変化に影響を受け、磁気センサが誤動作するという問題があった。また、接触式の磁気センサの場合には、磁気センサ自体が劣化してしまう。
【0009】
特許文献2に記載の技術のように、光センサを用いて物体を検出する場合、ごみ、汚れなどの遮光物、外部から入射される光などによる光量の変化に影響を受け、光センサが誤動するという問題があった。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術は、磁気センサ及び光センサを同一パッケージ内に収容し、省スペース、手間の削減などを実現する技術である。また、磁気センサ及び光センサから得られる検出信号をそれぞれ独立して得ることによって通過する検出物の方向、速度などを検出する構成である。したがって、光センサ又は磁気センサが誤動作した場合にも信頼性を確保することのできるセンサを提供するものではない。
【0011】
特許文献4に記載の技術もまた、磁気センサ及び光センサを共通の半導体基板に形成して、省スペース、低コスト、省電力などを実現する技術である。また、磁気センサから得られる磁気検出信号と、光センサから得られる光検出信号とを、それぞれ別の端子から出力する構成である。したがって、光センサ又は磁気センサが誤動作した場合にも信頼性を確保することのできるセンサを提供するものではない。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気センサ及び光センサを使用したセンサにおいて、磁気センサ又は光センサの何れかが誤動作した場合にも誤動作の影響を軽減することが可能な信頼性の高いセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る光磁気センサは、上記課題を解決するために、検出物の通過に基づく磁界変化に応じた磁気信号を供給する磁気センサと、上記検出物の通過に基づく発光素子からの光量に応じた光信号を供給する光センサと、を備えている光磁気センサであって、上記磁気信号、及び、上記光信号を相互演算する演算回路を備えていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、上記磁気センサ及び光センサは、物体が通過したことによって変化する磁界及び光量を検知し、検知した変化量に応じて磁界信号及び光信号を供給する。また、上記演算回路は、それぞれ独立した信号である上記磁気信号及び上記光信号を相互演算する。すなわち、上記演算回路において、独立した2つの信号から、演算結果に基づいた1つの出力信号(以降、光磁気センサ信号とも呼称する)を得る。これによって、上記磁気センサ、上記光センサの何れかが誤動作した場合でも、もう一方のセンサの信号に基づいて誤動作の影響を軽減することができるため、正常な光磁気センサ信号を得ることができる。なお、磁気センサが誤動作する原因、及び、光センサが誤動作する原因は相異なるため、何れか一方のセンサが誤動作したときに更にもう一方のセンサが誤動作してしまう確率は低い。したがって、上記磁気信号及び上記光信号を相互演算することで、磁気センサ及び光センサをそれぞれ独立して使用する場合よりも、より信頼性の高いセンサを提供することができる。
【0015】
本発明に係る光磁気センサにおいて、上記磁気信号及び上記光信号はデジタル信号であって、上記演算回路は、上記磁気信号及び上記光信号を論理和演算することが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記磁気信号及び上記光信号の何れかにノイズが付加された場合、何れかの信号の一部のパルスが抜けてしまった場合などにも、信号がデジタル信号であるときには、論理和演算を行うことによって正常な光磁気センサ信号を得ることができる。すなわち、上記磁気センサ及び上記光センサの何れかが誤動作してしまった場合にも、正常な光磁気センサ信号を得ることができる。
【0017】
本発明に係る光磁気センサにおいて、上記磁気信号及び上記光信号はアナログ信号であって、上記演算回路は、上記磁気信号及び上記光信号を差動増幅し、上記演算回路からの出力をAD変換するAD変換器を更に備えていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記磁気信号及び上記光信号がアナログ信号で得られるとき、光信号及び磁気信号を差動増幅することによって、光信号及び磁気信号の何れかのSN比が変動した場合であっても、良好なSN比を保ったまま信号を増幅することができる。さらに、増幅した後に信号をAD変換してデジタル信号に変換する場合にも、チャタリングなどの誤動作を防止することができる。
【0019】
本発明に係る光磁気センサは、上記磁気信号及び上記光信号の値を同一の値に近づけるために、上記磁気信号及び上記光信号の値を調整する信号調整回路を更に備えていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、上記磁気信号及び上記光信号の値の大きさが異なる場合に、それぞれの信号の絶対値を合わせるように調整することができる。これによって、上記磁気信号と上記光信号との間のDCオフセットを軽減することができる。また、上記光磁気センサの特性が、信号値の大きいセンサの特性に偏ってしまうことを防ぐことができる。
【0021】
これは、上記磁気センサ及び上記光センサから得られる上記磁気信号及び上記光信号の値の大きさが、常に一致するとは限らないからである。例えば、上記磁気センサとしてLC共振器を使用し、上記光センサとしてフォトダイオードを使用した場合には、フォトダイオードから得られる上記光信号の値が、LC共振器から得られる上記磁気信号の値と比較して、1〜2桁小さい値になることが多い。
【0022】
本発明に係る光磁気センサにおいて、上記磁気センサ及び上記光センサは、上記磁気信号及び上記光信号を互いに異なるタイミングで上記演算回路に供給することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記磁気信号及び上記光信号が互いに異なるタイミングで上記演算回路に供給されるため、何れの信号が上記演算回路に供給されたかの判定を容易にすることができる。また、上記磁気信号及び上記光信号が上記演算回路に供給される順を判定することによって、物体が通過した方向を検知することができる。更に、上記磁気信号及び上記光信号が上記演算回路に供給されるタイミングの間隔から、物体の通過速度を検知することができる。なお、上記磁気信号及び上記光信号を異なるタイミングで上記演算回路に供給するには、上記磁気センサ及び上記光センサをずらして配置すればよいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明に係る光磁気センサは、上記磁気信号及び上記光信号を同期させる信号同期回路を更に備え、上記演算回路は、上記信号同期回路によって同期された上記磁気信号及び上記光信号を相互演算することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、上記演算回路において、同期した上記磁気信号及び上記光信号を相互演算することによって、相互演算を行う何れのタイミングにおいても、安定したSN比を得ることができる。
【0026】
本発明に係る光磁気センサにおいて、上記信号同期回路は、上記磁気センサと、上記磁気センサに並列に配置された容量素子と、を含んで構成されることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記信号同期回路の一部を上記磁気センサによって構成することができる。これによって、上記信号同期回路を構成する素子を全て新たに設ける場合と比較して、省スペース化することができると共に、素子を減らすことによって光磁気センサ自体の特性のばらつきを軽減することができる。
【0028】
本発明に係る光磁気センサにおいて、上記磁気信号は上記検出物の通過に基づく磁界変化を検出しない場合に供給され、上記磁界変化を検出した場合には供給されず、上記光信号は、上記検出物の通過に基づく発光素子からの光を検出した場合に供給され、上記発光素子からの光を検出しない場合には供給されないことが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、上記磁気センサは、磁界変化を検出していないときには磁気信号を供給し、磁界変化を検出したときには変化量に応じて磁気信号の値を小さくする。また上記光センサも同様である。なお、上記磁気信号及び上記光信号が供給されない状態が、最も信号の値が小さい状態である。また、上記磁界変化又は上記光量変化の検知及び非検知を判別する場合、上記磁気信号及び上記光信号の両信号が供給されている状態から、両信号が供給されない状態に遷移する場合が最もよいSN比にて検知及び非検知を判別することができる。したがって、最もよいSN比にて、上記磁界変化又は上記光量変化の検知及び非検知を判別することができる。
【0030】
本発明に係る電子機器は、上記の光磁気センサを備えていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、上記磁気センサ及び上記光センサをそれぞれ独立して使用する電子機器よりもより信頼性の高い電子機器を提供することができる。また、上記磁気センサ及び上記光センサをそれぞれ別々に設ける場合と比較して、省スペース、省電力を実現した電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る光磁気センサは、上記課題を解決するために、磁界変化を検出し、検出した変化量に応じた磁気信号を供給する磁気センサを含む磁気信号生成回路と、光量変化を検出し、検出した変化量に応じた光信号を供給する光センサを含む光信号生成回路と、を備えている光磁気センサであって、上記磁気信号、及び、上記光信号を相互演算する演算回路を備えていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によって、磁気センサ及び光センサをそれぞれ独立して使用する場合よりも、より信頼性の高いセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る光磁気センサの構成例を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光磁気センサの配置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光磁気センサにおいて、光信号及び磁気信号を相互演算した光磁気センサ信号、及び、光磁気センサ信号をAD変換した出力信号を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光磁気センサにおいて、光信号及び磁気信号に対する出力信号を示す図であり、(a)は正常な光信号及び磁気信号に対する出力信号を示し、(b)は正常な光信号及び一定期間の信号が欠落した磁気信号に対する出力信号を示し、(c)は正常な磁気信号及びノイズが印加された光信号に対する出力信号を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る光磁気センサにおいて、デジタル信号として演算回路30に入力される光信号及び磁気信号に対する論理和出力信号を示す図であり、(a)は正常な光信号及び磁気信号に対する論理和出力信号を示し、(b)は正常な光信号及びパルス幅が短くなった磁気センサに対する論理和出力信号を示し、(c)は正常な磁気信号及び信号の欠落した光信号に対する論理和出力信号を示している。
【図6】本発明の一実施形態に係る光磁気センサにおいて、光信号及び磁気信号の値に対する光磁気センサ信号の出力表を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る光磁気センサの構成例を示す図である。
【図8】図7に示す光磁気センサにおいて、光検知信号及び磁気検知信号、光信号及び磁気信号、及び、出力信号の関係を示す図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態に係る光磁気センサの構成例を示す図である。
【図10】入力されるタイミングをずらした光信号及び磁気信号に対する光磁気センサ信号及び出力信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
本実施形態に係る光磁気センサ1について、図1、図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る光磁気センサ1の構成例を示す回路図である。図2は、光磁気センサ1の配置の一例を示す斜視図である。
【0036】
〔光磁気センサの構成〕
図1に示した光磁気センサ1は、演算回路30、磁気信号を生成して演算回路30に供給する磁気センサ回路100(磁気センサ)、光信号を生成して演算回路30に供給する光センサ回路200(光センサ)、演算回路30における演算結果に基づいて出力される信号をAD変換するAD変換器35、発振器36(信号同期回路)、及び、磁気センサ回路100及び光センサ回路200に電源電圧を供給する電源31を備えている。
【0037】
磁気センサ回路100は、カレントミラー比1:1となるように構成されたカレントミラー回路10を備えている。カレントミラー回路10は、トランジスタ11、12を有している。トランジスタ11のエミッタ端子は電源31に接続され、トランジスタ11のベース端子は、トランジスタ12のベース端子に接続され、トランジスタ11のコレクタ端子はトランジスタ11自体のベース端子及びコイル13の一方の端子に接続されている。トランジスタ12のエミッタ端子は電源31に接続され、コレクタ端子は出力点15に接続されている。
【0038】
また、磁気センサ回路100は更に、一方の端子がトランジスタ11のコレクタ端子に接続され、他方の端子が接地されているコイル13、及び、一方の端子が出力点15に接続され、他方の端子が接地された抵抗14を備えている。
【0039】
また、図2に示すように、光磁気センサ1には検出物通過穴40が形成されている。磁気センサ回路100に含まれるコイル13は、検出物通過穴40の周囲を囲むように配置されている。
【0040】
磁気センサ回路100は、後述する発振器36が発振することによってコイル13を発振させ、コイル13の周囲に高周波電磁界を形成することによって、検出物が検出物通過穴40を通過しないときに電流を生成する。また、磁気センサ回路100は、検出物が検出物通過穴40を通過することによる磁界の変化を検出すると、電流の生成を停止する。これは、検出物が、コイル13の周囲に形成されている高周波電磁界を通過することにより、検出物に渦電流が流れてエネルギーが消費されるため、コイル13の電荷が減少し、コイル13において生成される電流が小さくなるためである。
【0041】
磁気センサ回路100において、まず、コイル13は、検出物が検出されないときに、発振器36が発振することによって発振し、電流を生成する。次に、磁気センサ回路100は、コイル13に流れる電流と等しいミラー電流をカレントミラー回路10にて生成し、生成されたミラー電流を出力点15を介して演算回路30に供給する。以降、出力点15を介して演算回路30に供給されるミラー電流を、磁気信号とも呼称する。
【0042】
また、コイル13は、周囲に形成された高周波電磁界が、検出物が検出物通過穴40を通過することによって変化すると、電流の生成を停止する。コイル13にて電流の生成が停止されると、カレントミラー回路10におけるミラー電流の生成も停止される。すなわち、磁気センサ回路100は、演算回路30に対して、検出物の通過を検知しない場合に磁気信号を供給し、検出物の通過を検知した場合に磁気信号を供給しない。
【0043】
光センサ回路200はカレントミラー比1:1となるように構成されたカレントミラー回路20を備えている。カレントミラー回路20は、トランジスタ22、23を有している。トランジスタ22のエミッタ端子は電源31に接続され、ベース端子はトランジスタ23のベース端子に接続され、コレクタ端子はトランジスタ22自体のベース端子及びフォトダイオード24に接続されている。トランジスタ23のエミッタ端子は電源31に接続され、コレクタ端子は出力点26に接続されている。
【0044】
また、光センサ回路200は更に、アノード端子が電源31に接続され、カソード端子が接地された発光ダイオード21、カソード端子がトランジスタ22のコレクタ端子に接続され、アノード端子が接地されたフォトダイオード24、及び、一方の端子が出力点26に接続され、他方の端子が接地された抵抗25を備えている。
【0045】
また、光センサ回路200に含まれるフォトダイオード24は、発光ダイオード21が発光する光を受光可能に配置されており、さらに、検出物が検出物通過穴40を通過するときには発光ダイオード21が発光する光を受光不可になるよう配置されている。
【0046】
光センサ回路200は、まず、フォトダイオード24において、発光ダイオード21から受光する光量に応じた電流を生成する。次に、光センサ回路200は、フォトダイオード24に流れる電流と等しいミラー電流をカレントミラー回路20にて生成し、生成したミラー電流を出力点26を介して演算回路30に供給する。以降、出力点26を介して演算回路30に供給されるミラー電流を、光信号とも呼称する。
【0047】
さらに、フォトダイオード24は、発光ダイオード21から発光される光を、検出物が検出物通過穴40を通過することによって遮られると、すなわち、発光ダイオード21から発光される光を受光しなくなると、電流の生成を停止する。フォトダイオード24にて電流の生成が停止されると、カレントミラー回路20におけるミラー電流の生成も停止される。すなわち、光センサ回路200は、演算回路30に対して、検出物の通過を検知しない場合に光信号を供給し、検出物の通過を検知した場合に光信号を供給しない。
【0048】
演算回路30の一方の入力端子は、コンデンサ33を介して磁気センサ回路100の出力点15に接続され、他方の入力端子は、コンデンサ34を介して光センサ回路200の出力点26に接続され、出力端子はAD変換器35に接続されている。演算回路30は、出力点15から供給される磁気信号と、出力点26から供給される光信号を相互演算し、演算結果に基づいた1つの出力信号である光磁気センサ信号をAD変換器35に供給する。
【0049】
AD変換器35は、供給された光磁気センサ信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換し、変換した光磁気センサ信号を出力信号として出力する。
【0050】
発振器36は、磁気センサ回路100及び光センサ回路200を同一周期で動作させ、同期をとる回路である。また、発振器36は、発振することによって、コイル13を発振させることができる。
【0051】
具体的には、発振器36は、磁気センサ回路100及び光センサ回路200における動作タイミングの同期を図るクロックパルスを生成する。生成されたクロックパルスは、接続点16及びトランジスタ27を介して磁気センサ回路100及び光センサ回路200に供給される。
【0052】
磁気センサ回路100に含まれるコイル13は、接続点16を介して発振器36からクロックパルスが供給されると、クロックパルスの周波数と等しい周波数の交流電流を生成する。カレントミラー回路10は、コイル13において生成された交流電流と等しい周波数の交流ミラー電流を生成する。カレントミラー回路10において生成された交流ミラー電流は、クロックパルスと同期した磁気信号として、演算回路30に供給される。
【0053】
また、光センサ回路200に含まれるトランジスタ27のベース端子にクロックパルスが供給されることにより、トランジスタ27のコレクタ端子とエミッタ端子は導通と遮断を繰り返す。トランジスタ27のコレクタ端子とエミッタ端子が導通と遮断を繰り返すことに同期して、発光ダイオード21の発光と非発光が繰り返される。これは、トランジスタ27が導通状態の場合には発光ダイオード21に電流が流れて発光状態になり、トランジスタ27が遮断状態の場合には発光ダイオード21に電流が流れず非発光状態になるためである。
【0054】
フォトダイオード24は、クロックパルスと同期した発光ダイオード21の発光と非発光を検知することによって、クロックパルスの周波数と等しい周波数の交流電流を生成する。カレントミラー回路20は、フォトダイオード24において生成された交流電流と等しい周波数の交流ミラー電流を生成する。カレントミラー回路20において生成された交流ミラー電流は、クロックパルスと同期した光信号として、演算回路30に供給される。
【0055】
これによって、クロックパルスに同期した磁気信号及び光信号が演算回路30に供給される。
【0056】
発振器36において生成したクロックパルスにて磁気信号及び光信号を同期させることにより、演算回路30にて相互演算を行う何れのタイミングにおいても、良好なSN比を保った磁気光センサ信号及び出力信号を得ることができる。
【0057】
〔相互演算〕
次に、演算回路30から出力される光磁気センサ信号、及び、AD変換器35から出力される出力信号について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、光信号及び磁気信号を相互演算した光磁気センサ信号、及び、光磁気センサ信号をAD変換した出力信号を示す図である。図4は、光信号及び磁気信号に対する出力信号を示す図である。(a)は、正常な光信号及び磁気信号に対する出力信号を示し、(b)は、正常な光信号及び一定期間信号が欠落した磁気信号に対する出力信号を示し、(c)は、正常な磁気信号及びノイズが印加された光信号に対する出力信号を示している。
【0058】
また、図3及び図4では、検出物を検出しないときに供給される光信号及び磁気信号が、発振器36によって同期の取れた交流信号で得られる場合の光信号及び磁気信号の信号波形を示している。
【0059】
本実施形態では、図3に示すように、演算回路30が、光信号と磁気信号との差分を増幅する差動増幅器によって実現されている場合を例に挙げて説明する。ここでは、図3に示すように、光信号の値が磁気信号の値よりも大きい場合に値の大きな光磁気センサ信号が出力され、光信号の値が磁気信号の値よりも小さい場合に値の小さな光磁気センサ信号が出力される。
【0060】
図3に示すように、演算回路30は、磁気センサ回路100から供給される磁気信号、及び、光センサ回路200から供給される光信号を差動増幅し、光磁気センサ信号を生成する。演算回路30において生成された光磁気センサ信号は、AD変換器35にてAD変換され、出力信号として出力される。
【0061】
図4(a)に示すように、磁気センサ回路100及び光センサ回路200が正常に動作し、正常な磁気信号及び光信号が演算回路30に供給された場合、AD変換器35からは正常な出力信号が出力される。
【0062】
磁気センサ回路100の誤動作によって信号が一定期間欠落した磁気信号と、正常な光信号が演算回路30に供給された場合であっても、光信号と磁気信号との差分が増幅された後にAD変換される。磁気信号が一定期間欠落した場合にも、磁気信号と光信号との差分を演算した値の正負は、正常な磁気信号と正常な光信号との差分を演算した値の正負と変わらない。したがって、磁気信号が一定期間欠落した場合であっても、光磁気センサ信号が一定期間欠落してしまうことはない。このため、図4(b)に示すように、磁気センサ回路100bにおける誤動作の影響を受けて信号が一定期間欠落した磁気信号が入力された場合にも、演算回路30において誤動作の影響を軽減し、正常に近い光磁気センサ信号及び出力信号を得ることができる。
【0063】
光センサ回路200の誤動作によって信号にノイズが印加された光信号と、正常な磁気信号が演算回路30に供給された場合であっても、光信号と磁気信号との差分が増幅された後にAD変換される。信号にノイズが印加された場合であっても、磁気信号と光信号との差分を演算した値の正負は、正常な磁気信号と正常な光信号との差分を演算した値の正負と変わらない。したがって、光信号と正常な磁気信号との差分を演算することによって、光信号に印加されたノイズの影響を軽減することができる。なぜなら、差動増幅演算は、2つの信号間の差を増幅する演算であるため、差分が存在すれば出力信号が得られるためである。このため、図4(c)に示すように、光センサ回路200の誤動作の影響を受けた光信号が入力された場合にも、演算回路30において誤動作の影響を軽減し、正常に近い光磁気センサ信号及び出力信号を得ることができる。
〔デジタル信号の場合〕
なお、本実施形態では、アナログ信号として得られる光信号及び磁気信号を演算回路30にて相互演算した後にAD変換器35にてAD変換する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、デジタル信号として得られる光信号及び磁気信号を演算回路30にて相互演算する構成を採用してもよい。この場合には、例えば、演算回路30は、デジタル信号として得られる光信号と磁気信号との論理和をとる論理回路によって実現されればよい。以降、論理和演算した後の演算回路30の出力を論理和出力信号とも呼称する。
【0064】
このように、演算回路30において論理和演算することで相互演算を行う場合には、検出物の検知の有無による、光信号及び磁気信号の演算回路30への供給の有無が同じであることが好ましい。
【0065】
デジタル信号として得られる光信号及び磁気信号(以降、それぞれ、デジタル光信号、及び、デジタル磁気信号とも呼称する)が演算回路30に供給される場合の、デジタル光信号、デジタル磁気信号、及び、演算回路30から出力される論理和出力信号の関係について、図5を参照して説明する。図5は、演算回路30に入力されるデジタル光信号及びデジタル磁気信号に対する論理和出力信号を示す図である。(a)は、正常なデジタル光信号及びデジタル磁気信号に対する論理和出力信号を示し、(b)は、正常なデジタル光信号及びパルス幅が短くなったデジタル磁気センサに対する論理和出力信号を示し、(c)は、正常なデジタル磁気信号及び信号の欠落したデジタル光信号に対する論理和出力信号を示している。
【0066】
なお、図5では、検出物を検出しないときに供給される光信号及び磁気信号が、パルス信号で得られる場合の光信号及び磁気信号の信号波形を示している。
【0067】
図5(a)に示すように、磁気センサ回路100及び光センサ回路200が正常に動作し、正常なデジタル磁気信号及びデジタル光信号が演算回路30に供給された場合、演算回路30からは正常な論理和出力信号が出力される。
【0068】
磁気センサ回路100の誤動作によってパルス幅が短くなったデジタル磁気信号、及び、正常なデジタル光信号が演算回路30に供給される場合でも、演算回路30においてデジタル磁気信号とデジタル光信号との論理和演算が行われることにより、図5(b)に示すように、磁気センサ回路100の誤動作による影響を軽減し、正常な論理和出力信号を得ることができる。
【0069】
正常なデジタル磁気信号、及び、光センサ回路200の誤動作によって信号が欠落したデジタル光信号が、演算回路30に供給される場合でも、演算回路30においてデジタル磁気信号とデジタル光信号との論理和演算が行われることにより、図5(c)に示すように、光センサ回路200bの誤動作による影響を軽減し、正常な論理和出力信号を得ることができる。
【0070】
なお、光信号及び磁気信号がデジタル信号で得られるときに演算回路30にて論理和演算する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アナログ信号で得られた光信号及び磁気信号をAD変換した後に演算回路30にて論理和演算する構成を採用してもよい。
【0071】
なお、発振器36は、水晶発振子、セラミック発振子などの固体振動子を回路に備える発振回路、コイルとコンデンサとからなるLC発振回路、コンデンサと抵抗からなるCR発振回路などによって実現することができる。
【0072】
光信号及び磁気信号の値に対する、光磁気センサ信号の出力について、図6を参照して説明する。図6は、光信号及び磁気信号の供給に対する光磁気センサ信号の出力表を示す図である。
【0073】
図6に示すように、光信号は、検出物が検知されないときに供給され、検出物が検知されたときに供給が停止される。磁気信号は、検出物が検知されないときに供給され、検出物が検知されたときに供給が停止される。これに対し、光磁気センサ信号は、光信号及び磁気信号が共に供給されるときに出力され、光信号及び磁気信号が共に供給されないときに停止される。すなわち、光磁気センサ信号は、磁気センサ回路100及び光センサ回路200において検出物が検知されないときに出力され、検出物が検知されたときに停止される。
【0074】
なお、本実施形態では、検出物の通過を検知しないときに光信号及び磁気信号を供給し、検出物の通過を検出したときに光信号及び磁気信号を供給しない構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、検出物の通過を検知しないときに光信号及び磁気信号共の供給を停止され、検出物の通過を検知したに光信号及び磁気信号共を供給する構成を採用してもよい。
【0075】
<実施形態2>
〔光磁気センサの構成〕
次に、光磁気センサの他の構成例について、図7を参照して説明する。図7は、光磁気センサの他の構成例(光磁気センサ2)を示す図である。なお、説明の便宜上、実施形態1に係る構成要素と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとする。
【0076】
図7に示した光磁気センサ2が備える磁気センサ回路100aは、トランジスタ11の替わりにトランジスタ11aによってカレントミラー回路10aを構成していること以外は、実施形態1に示す磁気センサ回路100と同じ構成である。また、図7に示した光磁気センサ2が備える光センサ回路200aは、トランジスタ23の替わりにトランジスタ23aによってカレントミラー回路20aを構成していること以外は、実施形態1に示す光センサ回路200と同じ構成である。
【0077】
例えば、フォトダイオード24に流れる電流(以降、光検知信号とも呼称する)は、一般的に、最大で10nA〜数十nA程度であることが多い。これに対し、コイル13に流れる電流(以降、磁気検知信号とも呼称する)は、数百nA〜数μA程度である場合もある。コイル13に流れる電流のミラー電流である磁気信号の値と、フォトダイオード24に流れる電流のミラー電流である光信号の値とが、上述のように大幅に異なる場合には、良好な光磁気センサ信号及び出力信号を得ることができないことがある。
【0078】
このような場合には、上記の構成を備えることによって、光信号の大きさと磁気信号の大きさとが大幅に異なる(例えば、値の桁が異なるある場合)場合であっても、双方の信号の大きさを等しくすることができ、良好な光磁気センサ信号及び出力信号を得ることができる。
【0079】
具体的には、カレントミラー回路10aは、トランジスタ11aとトランジスタ12とを含み、カレントミラー比n:1(ただし、n>1とする)となるよう構成されている。また、カレントミラー回路20aは、トランジスタ22とトランジスタ23aとを含み、カレントミラー比1:m(ただし、m>1とする)に構成されている。
【0080】
カレントミラー回路10aは、カレントミラー比がn:1となるように構成されていることによって、出力点15に流れるミラー電流(すなわち、磁気信号)を、コイル13に流れる電流の1/n倍になるように調整することができる。これによって、コイル13に流れる磁気検知信号の1/n倍の大きさの磁気信号を得ることができる。図7に示すように、コイル13に流れる電流の値をIaと表すと、出力点15に流れる電流の値はIa/nと表すことができる。
【0081】
また、カレントミラー回路20aは、カレントミラー比が1:mとなるように構成されていることによって、出力点26に流れるミラー電流(すなわち、光信号)を、フォトダイオード24に流れる電流のm倍になるように調整することができる。これによって、フォトダイオード24に流れる光信号検知信号のm倍の光信号を得ることができる。図7に示すように、フォトダイオード24に流れる電流の値をIbと表すと、出力点26に流れる電流の値はm×Ibと表すことができる。
【0082】
値の大きな磁気信号が小さな値になるように調整し、値の小さな光信号が大きな値になるように調整することによって、磁気信号及び光信号の大きさを等しくすることができ、演算回路30において大きさの等しい信号に基づいて相互演算することができる。これによって、良好な光磁気センサ信号及び出力信号を得ることができる。
【0083】
〔相互演算結果〕
次に、光検知信号及び磁気検知信号、カレントミラー回路10a及び20aで信号の値を調整された光信号及び磁気信号、及び、相互演算された後のAD変換された出力信号について、図8を用いて説明する。図8は、光検知信号及び磁気検知信号の値を調整した光信号及び磁気信号、及び、光信号及び磁気信号を相互演算した後AD変換した出力信号の関係を示す図である。
【0084】
図8に示すように、カレントミラー回路20aは、フォトダイオード24に流れる光検知信号を基に、光検知信号をm倍した光信号を生成する。また、カレントミラー回路10aは、コイル13に流れる磁気検知信号を基に、磁気検知信号を1/n倍した磁気信号を生成する。
【0085】
カレントミラー回路10a、20aにて生成された磁気信号及び光信号は、共に演算回路30に供給されて相互演算された後、AD変換器35にてAD変換され、出力信号として出力される。
【0086】
図8に示すように、光検知信号の大きさと磁気検知信号の大きさとに大幅な違いがある場合であっても、信号の値を調整することによって、良好な出力信号を得ることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、磁気検知信号及び光検知信号を調整する構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、磁気検知信号のみを調整する構成、又は、光検知信号のみを調整する構成を採用してもよい。
【0088】
また、磁気検知信号の大きさよりも、光検知信号の大きさの方が大きい場合には、磁気検知信号を大きくするよう調整し、光検知信号を小さくするよう調整する構成とすればよい。もちろん、磁気検知信号のみを調整する構成、又は、光検知信号のみを調整する構成を採用してもよい。
【0089】
<実施形態3>
次に、光磁気センサのさらに他の構成例について、図9を参照して説明する。図9は、光磁気センサの他の構成例(光磁気センサ3)を示す図である。なお、説明の便宜上、実施形態1に係る構成要素と同様の構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、主に、実施形態1との相違点について説明するものとする。
【0090】
図9に示した光磁気センサ3は、発振器36に替えて、トランジスタ11のコレクタ端子とコイル13の一方の端子とが接続された接続点16に一方の端子が接続され、他方の端子が接地されているコンデンサ17、コレクタ端子が発光ダイオード21のカソード端子に接続され、エミッタ端子が接地されたトランジスタ27、及び、接続点16とトランジスタ27のベース端子との間に接続された増幅AD変換器37と、を備えていること以外は実施形態1に記載の光磁気センサ1と同じ構成である。
【0091】
上記の構成を備えることによって、磁気センサ回路100b及び光センサ回路200bを同一周期で動作させ、同期をとることができる。
【0092】
具体的には、コイル13、及び、コイル13に並行に配置されているコンデンサ17によって発振回路を形成し、発振回路において磁気センサ回路100b及び光センサ回路200bにおける動作タイミングの同期を図るクロックパルスを生成する。生成されたクロックパルスは、接続点16を介して磁気センサ回路100bに供給されると共に、増幅AD変換器37において増幅及びAD変換された後、トランジスタ27を介して光センサ回路200bに供給される。
【0093】
磁気センサ回路100bに含まれるコイル13は、コンデンサ17と共に形成する発振回路においてクロックパルスを生成し、クロックパルスの周波数と等しい周波数の交流電流を生成する。カレントミラー回路10は、コイル13において生成された交流電流と等しい周波数の交流ミラー電流を生成する。カレントミラー回路10において生成された交流ミラー電流は、クロックパルスと同期した磁気信号として、演算回路30に供給される。
【0094】
また、光センサ回路200bに含まれるトランジスタ27のベース端子にクロックパルスが供給されることにより、トランジスタ27のコレクタ端子とエミッタ端子は導通と遮断を繰り返す。トランジスタ27のコレクタ端子とエミッタ端子が導通と遮断を繰り返すことに同期して、発光ダイオード21の発光と非発光が繰り返される。これは、トランジスタ27が導通状態の場合には発光ダイオード21に電流が流れて発光状態になり、トランジスタ27が遮断状態の場合には発光ダイオード21に電流が流れず非発光状態になるためである。
【0095】
フォトダイオード24は、クロックパルスと同期した発光ダイオード21の発光と非発光を検知することによって、クロックパルスの周波数と等しい周波数の交流電流を生成する。カレントミラー回路20は、フォトダイオード24において生成された交流電流と等しい周波数の交流ミラー電流を生成する。カレントミラー回路20において生成された交流ミラー電流は、クロックパルスと同期した光信号として、演算回路30に供給される。
【0096】
これによって、クロックパルスに同期した磁気信号及び光信号が演算回路30に供給される。
【0097】
発振回路において生成したクロックパルスにて磁気信号及び光信号を同期させることにより、演算回路30にて相互演算を行う何れのタイミングにおいても、良好なSN比を保った磁気光センサ信号及び出力信号を得ることができる。
【0098】
なお、磁気信号及び光信号を同期させて相互演算を行う構成について説明したが、これに限定されず、例えば、磁気信号と光信号とが演算回路30に入力されるタイミングをずらすことによって光磁気センサ信号を得る構成を採用してもよい。
【0099】
磁気信号と光信号とが演算回路30に入力されるタイミングをずらすには、例えば、増幅AD変換器37において、増幅AD変換器37に入力されるクロックパルス、すなわち、磁気センサ回路100bに入力されるクロックパルスと同じ位相のクロックパルスを反転して光センサ回路200bに入力する構成を挙げることができる。
【0100】
磁気信号と光信号とが演算回路30に入力されるタイミングをずらした場合の、磁気信号及び光信号に対する光磁気センサ信号及び出力信号を、図10を参照して説明する。図10は、入力されるタイミングをずらした光信号及び磁気信号に対する光磁気センサ信号及び出力信号を示す図である。
【0101】
図10に示すように、演算回路30に磁気信号及び光信号が交互に供給される場合、演算回路30は、順に供給される各信号に基づいて、光磁気センサ信号を生成する。すなわち、演算回路30は、光信号と磁気信号との和を取る演算(以降、和演算とも呼称する)を行うことによって光磁気センサ信号を生成する。検出物が検出されないときに磁気信号及び光信号を交互に演算回路30に供給する場合、演算回路30において和演算を行うことによって、交互に供給されるそれぞれの信号のパルスを含んだ光磁気センサ信号を生成することができる。演算回路30において生成された光磁気センサ信号は、AD変換器35においてAD変換され、デジタル信号の出力信号に変換され、出力される。
【0102】
また、検出物が検出物通過穴40を通過したときには、光信号及び磁気信号の供給が停止されるため、演算回路30からは連続する2つ以上のパルスが出力されなくなる。したがって、連続する2つ以上のパルスが出力されないときに限って検出物が検知されたことを示すことで、例えば、磁気センサ回路100b又は光センサ回路200bの何れかが誤動作することによって1つのパルスが欠落した場合などにも、誤動作の影響を軽減することができる。
【0103】
なお、磁気信号と光信号とが演算回路30に入力されるタイミングをずらす構成は、検出物の通過方向を検出する場合にも適用することができる。検出物の通過方向を検知する場合には、例えば、磁気センサ回路100bを構成するコイル13の位置と、光センサ回路200bを構成するフォトダイオード24との位置をずらして配置する構成を採用することができる。
【0104】
コイル13が検出物を先に検知する場合には、まず磁気センサ回路100bにて検出物の通過を検知することによって磁気信号が生成され、次に光センサ回路200bにて検出物の通過を検知することによって光信号が生成される。
【0105】
磁気信号及び光信号は、検出物の通過を検知した順に、すなわち、磁気信号、光信号の順に、演算回路30に供給される。演算回路30は、1つずつ順に供給される信号に基づいて、光磁気センサ信号を生成する。すなわち、演算回路30は、光信号と磁気信号との和演算を行うことによって光磁気センサ信号を生成する。演算回路30において生成された光磁気センサ信号は、AD変換器35においてAD変換され、デジタル信号の出力信号に変換され、出力される。
【0106】
演算回路30は、順に入力される磁気信号及び光信号から光磁気センサ信号を生成してAD変換することにより、磁気信号によるパルス及び光信号によるパルスを含んだ出力信号を得ることができる。
【0107】
これによって、磁気信号又は光信号のいずれの信号が先に生成されたかを判定することができる。すなわち、検出物の通過が、磁気センサ又は光センサのいずれのセンサにおいて先に検知されたかを判定することができる。この判定結果により、検出物の通過方向を検出することもできる。例えば、磁気信号が先に生成された場合には、コイル13が配置されている位置からフォトダイオード24が配置されている方向へ検出物が通過したことが検出できる。また、光信号が先に生成された場合には、フォトダイオード24が配置されている位置からコイル13が配置されている方向へ検出物が通過したことが検出できる。
【0108】
また、磁気センサ回路100b(光センサ回路200b)において検出物の通過が検知された時刻から、光センサ回路200b(磁気センサ回路100b)において検出物の通過が検知された時刻までの時間を判定することによって、検出物の通過速度を検出することも可能である。
【0109】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の光磁気センサは、物体検出、物体の通過方向検出、物体の通過速度検出などを行う装置に備えられるセンサとして、複写機、プリンタ、モーターを用いた電気製品などに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1、2、3 光磁気センサ
10 カレントミラー回路
10a カレントミラー回路(信号調整回路)
11、12 トランジスタ
13 コイル
14 抵抗
15 出力点
16 接続点
17 コンデンサ(容量素子)
20 カレントミラー回路
20a カレントミラー回路(信号調整回路)
21 発光ダイオード(発光素子)
22、23 トランジスタ
24 フォトダイオード
25 抵抗
26 出力点
27 トランジスタ
30 演算回路
31 電源
33、34 コンデンサ
35 AD変換器
36 発振器(信号同期回路)
37 増幅AD変換器
40 検出物通過穴
100 磁気センサ回路(磁気センサ)
200 光センサ回路(光センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出物の通過に基づく磁界変化に応じた磁気信号を供給する磁気センサと、
上記検出物の通過に基づく発光素子からの光量に応じた光信号を供給する光センサと、を備えている光磁気センサであって、
上記磁気信号、及び、上記光信号を相互演算する演算回路を備えている
ことを特徴とする光磁気センサ。
【請求項2】
上記磁気信号及び上記光信号はデジタル信号であって、
上記演算回路は、上記磁気信号及び上記光信号を論理和演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の光磁気センサ。
【請求項3】
上記磁気信号及び上記光信号はアナログ信号であって、
上記演算回路は、上記磁気信号及び上記光信号を差動増幅し、
上記演算回路からの出力をAD変換するAD変換器を更に備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の光磁気センサ。
【請求項4】
上記磁気信号及び上記光信号の値を同一の値に近づけるために、上記磁気信号及び上記光信号の値を調整する信号調整回路を更に備えている
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の光磁気センサ。
【請求項5】
上記磁気センサ及び上記光センサは、上記磁気信号及び上記光信号を互いに異なるタイミングで上記演算回路に供給する
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の光磁気センサ。
【請求項6】
上記磁気信号及び上記光信号を同期させる信号同期回路を更に備え、
上記演算回路は、上記信号同期回路によって同期された上記磁気信号及び上記光信号を相互演算する
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の光磁気センサ。
【請求項7】
上記信号同期回路は、上記磁気センサと、上記磁気センサに並列に配置された容量素子と、を含んで構成される
ことを特徴とする請求項6に記載の光磁気センサ。
【請求項8】
上記磁気信号は上記検出物の通過に基づく磁界変化を検出しない場合に供給され、上記磁界変化を検出した場合には供給されず、
上記光信号は、上記検出物の通過に基づく発光素子からの光を検出した場合に供給され、上記発光素子からの光を検出しない場合には供給されない
ことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の光磁気センサ。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1項に記載の光磁気センサを備えている
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate