説明

光触媒塗布剤および塗膜の製造方法

【課題】粉末状酸化チタン光触媒を、その触媒活性を阻害することなく基材表面に固定化できる手段を提供する。
【解決手段】酸化チタン光触媒粉末をアルカリ化合物および過酸化水素を含有する溶液に分散して、酸化チタン光触媒粉末粒子を部分的に溶解し、部分溶解液を得ることを含む、光触媒塗布剤の製造方法。この製造方法により製造された光触媒塗布剤を基材に塗布し、乾燥することを含む光触媒塗膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒塗布剤および塗膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒は、粉末状で用いられる場合もあるが、ほとんどの場合は、何らかの基材上に固定した形で使用するのが一般的である。光触媒活性という見地から、その比表面積の大きさから一般に前者の方がより高い活性を発揮できるが、実用的には、前者より後者の方を採用せざるを得ない場合が多い。
【0003】
光触媒の固定化の方法を分類すると、(1)バインダーと混合し、塗膜を形成する方法、(2)酸化チタンの塩類やアルコキシドを加水分解することでチタニアゾルあるいはペルオキソチタニアゾルとし、ゾルゲル法を利用した方法で基材に固定する方法、(3)スパッタリングによる方法、(4)CVD法による方法、(5) プラズマ溶射を利用する方法に大別できる。
【0004】
バインダーを使用する塗布法では、バインダーによって光触媒表面が全く被覆されることなく固定化することは不可能であるので、被覆の程度に応じて光触媒性能は低下してしまう。したがって、高い光触媒性能を発揮させるためには、照射される光をバインダーによって遮られることなく、バインダーと光触媒表面との接触を最小限にし、光触媒粒子の露出度を最大限にし、基材との密着力を高くする工夫がキーとなる。
【0005】
プラズマ溶射法では、一旦高温度で金属酸化物を溶融出来るので、バインダーを使用することなく緻密な膜を得ることは可能であるが、高温度の熱履歴は、元の光触媒の構造変化をもたらせるので、活性が失われてしまうなど、性能を維持させるのは難しい。
【0006】
また、スパッタ法やCVD法などは減圧下でなければ良好な膜が得られず、真空排気できる反応容器が必要であり、一般に成膜速度が遅く、光触媒としての活性が高い緻密な膜を得るためには数百度以上に基材を加熱しなければならない欠点がある。
【0007】
また、ゾルゲル法によるコーティング膜は均一で薄い点では優れているが、比表面積を稼ぐことができないので、粉末状の光触媒との酸化分解能力の比較では遙かに劣ってしまうことが欠点である。したがって、高い光触媒活性を維持するための光触媒の固定化の考え方としては、バインダーの使用量を必要最小限に抑え、基材表面に直接強固に固定する考え方が理想的といえる。
【0008】
酸化チタン粒子をアンモニアと過酸化水素とで溶解する技術については、日本特許第2875993号(特許文献1)にペルオキソ基で修飾したアナターゼ分散液の製造方法が記載されている。この手法は金属チタンあるいは酸化チタンを含むチタン化合物を過酸化水素水とアンモニアを反応させ、80℃以上において2時間以上の加熱処理を行うもので、この場合、酸化チタン粒子は完全に溶解し、ゾルの状態になっていることから、本発明とは区別される。
【0009】
また、日本特許第3122658号(特許文献2)には固体状のチタン化合物に塩基性物質を加え、さらに過酸化水素水を加えて精製し、チタンイオン、チタン含有イオンおよび水素イオン以外の陽イオンの除去により、長期にわたっても安定なペルオキソチタン酸溶液の製造方法が記載されている。これは、用いるチタン化合物は金属チタンあるいは水素化チタン、酸化チタンとさまざまであるが、一度完全に溶解させる工程を経るため、本発明とは区別される。
【特許文献1】日本特許第2875993号
【特許文献2】日本特許第3122658号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
酸化チタンは物品の表面に固定して使用されるが、バインダーを使った固定方法では光触媒活性が著しく低下してしまう。また、ゾルゲル法を用いた方法では、成分は100%が酸化チタンであっても、比表面積が著しく小さくなり、単位面積当たりの触媒性能は極端に低くなる。
【0011】
したがって、活性が阻害されることなく基材表面に固定化できる技術の開発が望まれている。さらには熱処理工程を必要としない固定化技術が開発されれば多様な製品開発が可能となる。
【0012】
そこで本発明は、粉末状酸化チタン光触媒を、その触媒活性を阻害することなく基材表面に固定化できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明は以下の通りである。
[1]酸化チタン光触媒粉末をアルカリ化合物および過酸化水素を含有する溶液に分散して、酸化チタン光触媒粉末粒子を部分的に溶解し、部分溶解液を得ることを含む、光触媒塗布剤の製造方法。
[2]酸化チタン光触媒粉末が、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型またはこれらの混晶型である[1]に記載の製造方法。
[3]アルカリ化合物がアンモニアである[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して等モル量以上のアンモニアを用いる[3]に記載の製造方法。
[5]アルカリ化合物がアルカリ金属水酸化物である[1]または[2]に記載の製造方法。
[6]酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05モル倍〜等モル倍のアルカリ金属水酸化物を用いる[5]に記載の製造方法。
[7]アルカリ化合物が炭酸水素アンモニウムである[1]または[2]に記載の製造方法。
[8]酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05モル倍〜等モル倍の炭酸水素アンモニウムを用いる[7]に記載の製造方法。
[9]アルカリ化合物がアンモニア、アルカリ金属水酸化物および炭酸水素アンモニウムから成る群から選ばれる少なくとも2種の化合物である[1]または[2]に記載の製造方法。
[10]酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.2モル倍以上の過酸化水素を用いる[1]〜[9]に記載の製造方法。
[11]部分的溶解は、酸化チタン光触媒粉末の各粒子の1〜99%を溶解する[1]〜[10]のいずれか1項に記載の製造方法。
[12]部分溶解剤に酸化チタン光触媒粉末をさらに添加する[1]〜[11]のいずれか1項に記載の製造方法。
[13] [1]〜[12]のいずれか1項に記載の製造方法により製造された光触媒塗布剤を基材に塗布し、乾燥することを含む光触媒塗膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光触媒の固定化方法は、原料として高い触媒性能を発揮する酸化チタン結晶粉末を用い、その結晶中のアモルファス部分を優先的にペルオキソチタン酸として溶出させ、これを母体の光触媒結晶粒子と基材との強固な接合のためのバインダーとして利用することを特徴としている。この方法では、光触媒粒子が、その高い比表面積を維持しながら、最小限のバインダーで基材表面に固定化されるので、バインダーによる触媒活性の損失が非常に少ない。さらに、選択的に溶出されるアモルファス部分は光触媒活性を示さない部分であるので、これを取り除くことは母体の結晶成分の比率を増し、光触媒性能を高めることにつながる。また、バインダーは母体の光触媒結晶と全く同じ成分であるので、接着性能も高い。本固定化方法は常温乾燥により実施することができる。また、母体から溶出されたバインダー成分は、光触媒作用による基材の劣化を防ぐ有効なバリアとなるので、基材が有機物であっても光触媒の基材への影響を低減出来る。このため、建築物、自動車、家電、有機塗膜、及び加熱が不可能であった熱可塑性樹脂、構築物に塗布が可能であり、プライマを用いない一液型のコーティング剤として極めて有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[光触媒塗布剤の製造方法]
本発明の光触媒塗布剤の製造方法は、酸化チタン光触媒粉末をアルカリ化合物および過酸化水素を含有する溶液に分散して、光触媒粒子を触媒性能が高まる範囲で適度に部分溶解し、部分溶解液を得ることを含む。
【0016】
本発明に用いられる酸化チタン光触媒粉末は、光触媒活性が高い粉末状の酸化チタンであれば特に制限はなく、安価で取り扱いが容易な市販の酸化チタン粉末であることが望ましい。結晶系は光触媒活性が高いとされるアナタース型が好ましいが、ルチル型、ブルッカイト型、あるいはこれらの混晶型でも良い。
【0017】
アルカリ化合物は、特に制限はないが、アンモニア化合物(例えば、アンモニアまたは炭酸水素アンモニウム)、アルカリ金属水酸化物等、あるいはこれらを混合して使用することができる。
【0018】
アルカリ化合物がアンモニアである場合、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して等モル量以上のアンモニアを用いることが、良好な接着性を有する塗布剤を得るという観点から好ましい。より好ましくは、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対してモル比で1〜4倍のアンモニアを用いる。
【0019】
アルカリ化合物が炭酸水素アンモニウムである場合、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05モル倍〜等モル倍の炭酸水素アンモニウムを用いることが好ましい。より好ましくは、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対してモル比で0.05〜0.2倍の炭酸水素アンモニウムを用いる。
【0020】
アルカリ化合物がアルカリ金属水酸化物である場合、アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05〜等モル倍のアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。より好ましくは、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対してモル比で0.05〜0.2倍のアルカリ金属水酸化物を用いる。
【0021】
本発明では、酸化チタン光触媒粉末をアルカリ化合物および過酸化水素を含有する溶液に分散する。過酸化水素の使用量は、酸化チタン光触媒粉末の部分溶解の程度を考慮して適宜決定できるが、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.2モル倍以上の過酸化水素を用いることが適当である。より好ましくは、酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.5〜4.0モル倍以上の過酸化水素を用いる。
【0022】
本発明では、アルカリ化合物および過酸化水素の溶液中の濃度は、特に制限はなく、目的物である塗布剤中の光触媒濃度等を考慮して適宜決定できる。アルカリ化合物は、特に濃度において制限はない。過酸化水素は、特に濃度において制限はないが、安全性の点から好ましくは1〜40重量%の過酸化水素水を用いる。
【0023】
酸化チタン光触媒粉末は、粉末を構成する酸化チタン粒子の1%以上からほぼ全量(例えば、99%)を溶解するまで部分溶解を行う。部分溶解の温度は、例えば、室温〜60℃の範囲であり、時間は、部分溶解の程度に応じて適宜決定することができるが、通常、1分〜24時間の範囲である。酸化チタン光触媒粉末は、全量が溶解する前に、溶解を終了する。溶解した酸化チタンはバインダーとして機能し、未溶解の酸化チタン光触媒粉末は、光触媒として機能することから、両者のバランスを考慮して、部分溶解の程度は決定される。両者のバランスを考慮すれば、部分溶解の程度は好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%、さらに好ましくは15〜30%の範囲であることが好ましい。
【0024】
本発明の方法で製造した塗布剤は、酸化チタン光触媒粒子の一部を溶解し、その溶解部分を強力な接着層として利用するものであり、一般的な水ベースあるいは有機溶剤ベースの数%光触媒塗布剤とは異なり、分散液というよりクリーム色を呈したスラリーである。そのまま、あるいは水等で希釈した後に、光触媒固定化に用いることができる。水で薄めた場合、発泡を伴う淡いクリーム色の分散体となる。希釈の程度は、溶解した酸化チタンのバインダーとしての性能及び未溶解の酸化チタン光触媒粉末の光触媒としての性能を考慮して、適宜決定できる。
【0025】
酸化チタン光触媒粉末粒子の部分溶解は、結晶部分よりもアモルファス部分から優先して起こるため、アモルファス部分が除去された時点で溶解を止めることで、光触媒粒子中の結晶成分を高め、光触媒性能を改善できる。
【0026】
尚、特許文献1に記載された方法では、金属チタンあるいは酸化チタンを含むチタン化合物を過酸化水素水とアンモニアを反応させ、80℃以上において2時間以上の加熱処理を行っており、この場合、酸化チタン粒子は完全に溶解し、ゾルの状態になっていることから、本発明の部分溶解法とは区別される。
【0027】
また、特許文献2に記載の方法では、用いるチタン化合物は金属チタンあるいは水素化チタン、酸化チタンとさまざまであるが、一度完全に溶解させる工程を経るため、本発明の部分溶解法とは区別される。
【0028】
[光触媒塗膜の製造方法]
本発明の光触媒塗膜の製造方法は、上記本発明の製造方法により製造された光触媒塗布剤を基材に塗布し、乾燥することを含む。
【0029】
光触媒塗布剤は、上記本発明の塗布剤をそのまま、あるいは、水等の溶媒で希釈することもでき、あるいは、適当な添加剤や充填剤等を添加することもできる。追加で酸化チタン光触媒粉末を添加することもできる。また、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、染料、顔料、充填剤等を光触媒としての活性を損なわない程度に添加することも出来る。また、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルトなどの、光触媒と組み合わせることで光触媒性能を向上させる助触媒を添加することもできる。
【0030】
光触媒塗膜の形成において、基材は、特に制限がなく、例えば、ガラス、セラミックス、各種金属、及びこれらの複合材や、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニール等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機基材などが挙げられる。
【0031】
光触媒塗膜の製造方法は、光触媒塗布剤へ基材のディップコートあるいはスプレーコート、ハケ塗りなどにより基材へ塗布し、溶媒を乾燥させることで行われる。乾燥は常温で行うこともできるが、塗布後直ちに加熱し、強制的に溶媒を蒸発させることで溶解反応を停止することもできる。必要に応じて、ペルオキソチタン酸の重合が促進されやすい塩素イオンや硫酸イオンなどを塗布剤の液性である塩基性を変化させない範囲で添加し、基材への固定化速度を速めることもできる。
【0032】
塗布剤の塗布量は、十分な固着量を得る為には0.2mg/cm2以上あれば良く、0.1 〜25mg/cm2の範囲であることが好ましい。
【0033】
本発明で得られた光触媒固定化膜は、固着強度を向上する目的で、加熱あるいは紫外線を照射することもできる。加熱の場合の温度は基材との組み合わせで適宜決定できる。また、紫外線での場合、紫外線の照射量は、0.1mW/cm2以上、好ましくは0.5〜4mW/cm2で十分な固着強度を得ることができる。紫外線照射の方法としては、太陽光、蛍光灯、ブラックライト、高圧水銀灯などを用いることができるが、短時間で大量の紫外線が照射できること、装置の簡便なものが望ましい。
【0034】
本発明によって得られた光触媒固定化膜を設けた基材は、空気の浄化、水の浄化、防汚、抗菌、防かび、防藻、防臭、紫外線吸収機能、有機物分解機能のいずれかの機能あるいはこれらの複合機能を発揮でき、これらの機能を発揮できるすべての部材への利用が可能である。
【0035】
具体的な例としては、例えば、照明器具、空調機、清掃機、冷蔵庫、洗濯機等の家電品、浄水器、浄水場処理槽等の水処理施設、板ガラス、ガラス繊維、ガラス粉等の各種ガラス、道路壁パネル等の各種道路部材、建築用内外装材、タイル等が挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら制限されるものではない。
【0037】
実施例1
原料として粉末状酸化チタン光触媒P25(日本アエロジル製)を2.0gビーカーに採取し、これにアンモニア水(28%、関東化学製、特級)3.5mLと過酸化水素水(関東化学製、特級、33%)8.5mLを加え、直ちに攪拌した。過酸化水素を加えて攪拌をはじめると系は発熱し、溶解が進行する。攪拌開始15分後にはおよそ30%の酸化チタンが溶解し、数時間経過後にはすべての酸化チタンは溶解する。したがって、基材への塗布は、過酸化水素添加後5〜15分以内に行うのが好ましく、塗布後は直ちにドライヤーにて強制的に溶媒を蒸発させることで溶解反応を停止できる。本実施例では、過酸化水素添加5分後の分散体を基材への塗布に用いた。
【0038】
基材との強力な接着力と高い光触媒活性を両立するには、P25の場合は溶解の程度を5〜50%、好ましくは10〜30%以内とするのが好ましい。ここでは過酸化水素添加5分後の分散体の一部を採取し、基材となるガラス板(6×6cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風を用いて80℃で乾燥させ、同15分以内に溶媒の蒸発を完了させ、同定化を終了した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰した熱湯内に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は6mgであった。
【0039】
固着力の評価方法を以下に示す。はじめに、ガラス板へ光触媒の固着を行い、このときの固着量を測定後、2通りの方法にて固着力評価を行った。90℃の沸騰水に2時間浸漬し、その後80℃のホットプレート上で十分に乾燥させ、固着させた光触媒表面を、メラミン樹脂を用いて2往復させることで剥離させ、剥離後の重量を測定した。また、湯浴に浸すことなく十分に乾燥させた状態でのメラミン樹脂による剥離試験も行った。固着時の重量に対する剥離後の残存固着重量の割合を求め、評価した。結果は表1に示す。
【0040】
チタン化合物を固定化したガラス板試料を550mLのパイレックスガラス製反応容器内に設置した。反応容器を5Torrまで脱気し、高純度空気(日本酸素製、CO2、0.5ppm以下)で大気圧まで戻した。反応容器内にアセトンを約550ppmになるように液体の状態で注入し、室温で気化させた。吸着平衡後にブラックライト(SANKYOU DENKI製、FL10LB、10W、1本、照射距離20cm、0.5mW/cm2)を照射させた。完全酸化反応によって生成するCO2濃度はガスクロマトグラフ(TCD)で測定した。ブラックライトを4時間照射後に生成したCO2濃度より、アセトンからのCO2への転化率を算出したところ85%であった。
【0041】
比較例1
実施例1で用いた粉末状酸化チタン光触媒P25(日本アエロジル製)を20mg採取し、ガラス板(5×5cm)に蒸留水を用いて塗布し、乾燥させたものを実施例1と同様に光触媒性能を評価した。この時のブラックライトを4時間照射後に生成したCO2濃度について、アセトンからのCO2への転化率を算出したところ95%であった。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0042】
実施例2
実施例1と同様に合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を4W直管型ブラックライト(東芝製、FL4BLB)1本の表面にスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。このとき、固定化された光触媒量は3mgであった。その後、電池式蛍光灯点灯器に装着後、光源を点灯させたままで、パイレックスガラス製反応容器(容積2000mL)内に設置した。反応容器を5Torrまで脱気し、高純度空気(日本酸素製、CO2、0.5ppm以下)で大気圧まで戻した。反応容器内にアセトンを約550ppmになるように液体の状態で注入し、室温で気化させた。光触媒反応で減少するアセトン濃度をガスクロマトグラフ(FID)にて測定し、完全酸化反応によって生成するCO2濃度はガスクロマトグラフ(TCD)で測定した。また、4W直管型ブラックライトから照射される紫外線の光強度を紫外線強度計(UM−10)に受光部(UM360)を取り付けたもの(いずれもコニカミノルタ製)で測定したところ、2500μW/cm2であったのに対し、固定化させたブラックライトから照射される紫外線の光強度は66μW/cm2であった。ブラックライトを90分照射後に生成したCO2濃度より、アセトンからCO2への転化率を算出したところ、100%であった。
【0043】
比較例2
市販の光触媒スプレー(ミラクルチタン、大野石油製)を4W直管型ブラックライト(東芝製、FL4BLB)1本にスプレー塗布した。このとき、固定化された光触媒量は5mgであった。実施例2と同様にブラックライトを90分照射後に生成したCO2濃度よりアセトンからCO2への転化率を算出したところ、4.5%であった。本発明の光触媒体は市販の光触媒スプレーを塗布したブラックライトに比べ、非常に高い光触媒性能を示した。
【0044】
比較例3
実施例1で用いた粉末状酸化チタン光触媒P25(日本アエロジル製)500mgに水50mLを加え、あらかじめ分散機で水分散体を調製し、それに市販のバインダーであるリチウムシリケート35 LSS-35(日産化学製)を0.5mL加え、攪拌して分散体を得た。この分散体の一部を採取し、実施例1と同様にガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風にて80℃で乾燥して固定化した。この場合のリチウムシリケートの固形成分は酸化チタンに対して20%である。この市販のバインダーを用いてガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求め、評価した(表1)。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0045】
比較例4
比較例3と同様にP25 500mgに水を50mL加え、あらかじめ分散機で水分散体を調製し、それに市販のバインダーであるリチウムシリケート45 LSS-45(日産化学製)を0.5mL加え、攪拌して分散体を得た。この分散体の一部を採取し、実施例1と同様にガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風にて80℃で乾燥して固定化した。この場合のリチウムシリケートの固形成分は酸化チタンに対して20%である。この市販のバインダーを用いてガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求め、評価した(表1)。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0046】
比較例5
比較例3と同様にP25 500mgに水を50mL加え、あらかじめ分散機で水分散体を調製し、それに市販のバインダーであるリチウムシリケート75 LSS-75(日産化学製)を0.5mL加え、攪拌して分散体を得た。この分散体の一部を採取し、実施例1と同様にガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風にて80℃で乾燥して固定化した。この場合のリチウムシリケートの固形成分は酸化チタンに対して20%である。この市販のバインダーを用いてガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求め、評価した(表1)。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0047】
比較例6
比較例3と同様にP25 500mgに水を50mL加え、あらかじめ分散機で水分散体を調製し、それに市販のバインダーであるリチウムシリケート35 LSS−35(日産化学製)を0.05mL加え、攪拌して分散体を得た。この分散体の一部を採取し、実施例1と同様にガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風にて80℃で乾燥して固定化した。この場合のリチウムシリケートの固形成分は酸化チタンに対して2%である。この市販のバインダーを用いてガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求め、評価した(表1)。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0048】
比較例7
P25を500mg採取して水を50mL加え、あらかじめ分散機で水分散体を調製し、それにチタニアゾルTKC−301(テイカ製)を5mL加え、攪拌して分散体を得た。この分散体の一部を採取し、実施例1と同様にガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーの温風にて80℃で乾燥して固定化した。この場合のチタニアゾルの固形成分は酸化チタンに対して20%である。この市販のバインダーを用いてガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求め、評価した(表1)。また、このガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した(表1)。
【0049】
比較例3〜7の水分散体は、特開2004-351365号公報、特開2003-73610号公報、特開2001-098187号公報、特開2000-256580号公報などに記載の塗料をベースに作成したものである。
【0050】
バインダーの固形成分量は実施例1と比較例3〜5は同程度とみなされるが、この量の市販のバインダーを加えると固着力は優れているものの、光触媒機能は著しく低下してしまうことがわかる。比較例6のようにバインダーの固形成分量を2%に減少させると、光触媒性能は50%程度の低下ですむが、固着力が低下する。以上の結果より、実施例1のP25をアルカリ化合物と過酸化水素とで溶解し、溶解成分を接着成分として利用する方法が強固な固着力と高い光触媒性能を両立できることがわかる。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例3
[水酸化ナトリウムの場合:チタンに対して塩基成分が1/20モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を水酸化ナトリウム溶液(1mol/L)1.25mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は6.8mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、30%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0053】
実施例4
[水酸化ナトリウムの場合:チタンに対して塩基成分が1/10モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を水酸化ナトリウム溶液(1mol/L)2.5mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は10.0mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、15%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0054】
実施例5
[水酸化カリウムの場合:チタンに対して塩基成分が1/20モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を水酸化カリウム溶液(1mol/L)1.25mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は10.2mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、24%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0055】
実施例6
[水酸化カリウムの場合:チタンに対して塩基成分が1/10モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を水酸化カリウム溶液(1mol/L)2.5mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は9.7mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、14%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0056】
実施例7
[炭酸水素アンモニウム:チタンに対して塩基成分が1/20モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を炭酸水素アンモニウム溶液(1mol/L)1.25mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は6.8mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、92%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0057】
実施例8
[炭酸水素アンモニウム:チタンに対して塩基成分が1/10モル量のとき]
実施例1においてアンモニア水を炭酸水素アンモニウム溶液(1mol/L)2.5mLとした以外は、同様にして行い、合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を基材となるガラス板(5×5cm)に10mg相当をスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。ガラス板に固定化されたチタン化合物は沸騰水に2時間以上浸漬しても剥離は認められないほどの強固な固着力を有していた。この時のガラス板に固定化された酸化チタン量は8.4mgであった。ガラス板表面に固定化したP25の光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、81%であった。ガラス板表面の固着力を実施例1で示す方法で評価した結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
実施例9
原料として粉末状酸化チタン光触媒ST-01(石原産業製)100mgをビーカーに採取し、これにアンモニア水(28%、関東化学製、特級)0.2mLと過酸化水素水(33%、関東化学製、特級)0.5mLを加え、直ちに攪拌した。攪拌5分後に、メンブレンフィルター(セルロース・混合エステルタイプ、孔径100nm、ADVANTEC製)を用いてろ過を行い、再度脱イオン水を通水することで洗浄を行った。その後、フィルター上に残った酸化チタンを回収し、80℃にて乾燥させた。上記の工程を数回行い、得られた酸化チタン200mgをガラス板(6cm×6cm)上に蒸留水を用いて塗布し、乾燥させた。この光触媒性能を、実施例1と同様に550mLのパイレックス容器を用いて、アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、63.0%であった。
【0060】
比較例8
上記の実験で用いた粉末状酸化チタン光触媒ST-01(石原産業製)を200mg採取し、ガラス板(6cm×6cm)に蒸留水を用いて塗布し、乾燥させたものを実施例1と同様の方法で光触媒の性能評価を行った。アセトンからのCO2への転化率を算出することによって求めたところ、35.1%であった。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例10
実施例1と同様に合成したチタン水和物分散溶液(過酸化水素添加5分後の分散体)を6W直管型ブラックライト(東芝製、FL6BLB)1本の表面にスプレー塗布し、ドライヤーにて80℃で乾燥して固定化した。このとき、固定化された光触媒量は5mgであった。その後、蛍光灯点灯器に装着後、パイレックスガラス製反応容器(容積4000mL)内に設置した。反応容器を5Torrまで脱気し、硫化水素/水素混合ガス(日本酸素製,硫化水素濃度:4.95%)を硫化水素濃度として100ppmになるように導入させたのちに、高純度空気(日本酸素製、CO2、0.5ppm以下)で大気圧まで戻した。その後,ブラックライトを点灯させ、光触媒反応で減少する硫化水素濃度を北川式検知管にて測定した。ブラックライト点灯60分後の硫化水素濃度は0ppmであった。なお、ブラックライトを点灯させずに60分間暗所にて吸着させたときの硫化水素濃度は、85ppmであった。結果を図3に示す。
【0063】
比較例9
市販の光触媒スプレー(ミラクルチタン、大野石油製)を6W直管型ブラックライト(東芝製、FL6BLB)1本にスプレー塗布し、実施例2と同様の測定を行った。このとき、塗布された光触媒量は10mgであった。ブラックライトを60分照射後の硫化水素濃度は45ppmであった。本発明の光触媒体は市販の光触媒スプレーを塗布したブラックライトに比べ、非常に高い光触媒性能を示した。結果を図3に示す。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、光触媒塗膜を有する物品の製造分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施例2および比較例2のガスクロマトグラフ(FID)によるアセトン濃度変化での光触媒評価結果。
【図2】実施例2および比較例2の光触媒反応によってアセトンから生成した二酸化炭素濃度の測定結果から算出したアセトンからの二酸化炭素への転化率。
【図3】実施例10および比較例9における、硫化水素の光触媒による分解結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン光触媒粉末をアルカリ化合物および過酸化水素を含有する溶液に分散して、酸化チタン光触媒粉末粒子を部分的に溶解し、部分溶解液を得ることを含む、光触媒塗布剤の製造方法。
【請求項2】
酸化チタン光触媒粉末が、アナタース型、ルチル型、ブルッカイト型またはこれらの混晶型である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
アルカリ化合物がアンモニアである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して等モル量以上のアンモニアを用いる請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
アルカリ化合物がアルカリ金属水酸化物である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項6】
酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05モル倍〜等モル倍のアルカリ金属水酸化物を用いる請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
アルカリ化合物が炭酸水素アンモニウムである請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.05モル倍〜等モル倍の炭酸水素アンモニウムを用いる請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
アルカリ化合物がアンモニア、アルカリ金属水酸化物および炭酸水素アンモニウムから成る群から選ばれる少なくとも2種の化合物である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項10】
酸化チタン光触媒粉末に含まれるチタンに対して0.2モル倍以上の過酸化水素を用いる請求項1〜9に記載の製造方法。
【請求項11】
部分的溶解は、酸化チタン光触媒粉末の各粒子の1〜99%を溶解する請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
部分溶解剤に酸化チタン光触媒粉末をさらに添加する請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法により製造された光触媒塗布剤を基材に塗布し、乾燥することを含む光触媒塗膜の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−146138(P2007−146138A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289443(P2006−289443)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(302062377)日本メンテナスエンジニヤリング株式会社 (4)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】