説明

光触媒水素生成用複合ナノ材料およびそれらの使用方法

本発明は、1)ポリマーゲル、2)光触媒、および3)タンパク質ベースのH触媒を含んでなる光触媒H生成用複合材料に関する。本発明はまた、電子ドナーを、1)ポリマーゲル、2)光触媒、および3)タンパク質ベースH触媒を含んでなる複合材料と反応させることを含んでなるHを生成させる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全ての目的のためにその全体が本明細書に援用されている、2005年5月16日に出願された米国仮特許出願第60/681,174号明細書に対し米国特許法119条(e)に従って優先権が与えられる。
【0002】
連邦政府支援の研究または開発に関する陳述
本明細書に開示された発明は、助成金番号MCB−0328341下の全米科学財団および助成金番号19−00−R0006下の海軍研究事務所により、一部、資金が供給された。
【0003】
発明の分野
本発明は、ヒドロゲナーゼ酵素および再生可能な供給源からの水素生成用光触媒により水素生成ナノ粒子を含有する複合材料に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
代替エネルギー源としての水素ガスの生成については、最近、かなりの関心が注がれている。水素燃料電池テクノロジーの増大した使用の実用性は、効率的で経済的に実行可能であり、かつ環境的に問題のない様式で、水素ガスの蓄積を生じさせる能力に依存する(アルモア(Armor)ら、2005年;スピーゲル(Speigel)ら、2004年;ツェン(Tseng)ら、2005年;ウィンター(Winter)ら、2005年)。エネルギーを生み出す適用のために生成される大部分の水素は、メタンまたは化石燃料を改質するプロセスにより発生し、したがって、これらのアプローチに基づく水素エネルギー経済によっては、非再生化石燃料への依存が殆ど減少しない。したがって、供給原料などの再生可能な供給源から効率的に、かつ温室効果ガスまたは他の環境汚染物質を生成させることなく水素ガスを生成できる化学反応用触媒の開発は、極めて重要なことである。
【0005】
ヒドロゲナーゼ類は、合成化学者の羨望となる速度で水素ガスを発生させる高度に展開された触媒である。金属含有ヒドロゲナーゼ類(Hアーゼ類)(ビグネイズ(Vignais)ら、2001年;ピーターズ(Peters)ら、1998年、1999年;アダムス(Adams)ら、1990年)は、以下の式:
【化1】

に従って水素酸化またはプロトン還元のいずれかにおいて機能する種々の微生物により産生される。
【0006】
水素酸化は、エネルギー生成または生合成過程を引き起こす還元等価物の生成に連結する。嫌気性発酵中に、幾つかの微生物は、糖酸化によるプロトン還元および水素ガスの生成に必要な電子担体の酸化と再生とを連結できる。大抵の金属含有ヒドロゲナーゼの触媒部位は、一酸化炭素の二原子リガンドおよびFeに対するシアニドを有するジ−Feまたはヘテロ金属NiFe部位からなる。ヒドロゲナーゼ類は、酵素の活性状態の一体部分として、通常は毒性のこれらの化合物を利用する唯一の既知酵素である。一般の酵素と同様にヒドロゲナーゼ類は、基質アクセスおよび生成物除去に関する経路が、重要な「デザイン」の特徴である活性部位を配置し、化学的に保つタンパク質構造を利用する正確な組織モチーフを示すために構築される。基質、還元体、および生成物は、触媒部位へ、および触媒部位からアクセスしなければならない。さらに、触媒の連続循環には、進行中の反応物添加および生成物の除去を必要とする。ヒドロゲナーゼ酵素の触媒部位は、一酸化炭素リガンドおよびシアニドリガンドを有するユニークな生物学的金属クラスター(FeまたはNiFe)からなる(ピーターズ(Peters)ら、1998年;ハッペ(Happe)ら、1997年;ニコレット(Nicolet)ら、2000年;ピエリク(Pierik)ら、1998年;ボルベダ(Volbeda)ら、1995年)。
【0007】
水素の生物学的生成は、新興の水素経済に重要な役割を果たす可能性が高い(バルフォロメイエフ(Varfolomeyev)ら、2004年;ウンシアース(Wunschiers)ら、2002年;チャム(Chum)ら、2001年)。種々の適用のための材料の中で酵素触媒の利用に対する関心が増大している。適用における酵素利用の文脈において、対処されることが一般に必要な幾つかの考慮事項がある。基質、還元体、および生成物は、触媒部位へ、および触媒部位からアクセスしなければならない。さらに、触媒の連続循環には、進行中の反応物添加および生成物の除去を必要とする。1酵素1秒当り9000Hまでの速度が、これらの酵素から観察されたが(アダムス(Adams)ら、1990年;カマック(Cammack)ら、1999年)、酸素に対するこれら酵素の極度感受性、発現の限定、および単離の困難さにより、水素生成の実用的な手段としてそれらの使用を妨げている。
【0008】
ヒドロゲナーゼ酵素を用いて、商業スケールで水素を発生させる方法およびシステムを開発する試みが不十分である。米国特許第6,858,718号明細書は、ヒドロゲナーゼをコードする遺伝子および分子状水素の微生物的産生のために遺伝子産物を用いる方法を開示している。より具体的には、該発明は、分子状水素を形成するために、プロトンの還元を触媒する安定なヒドロゲナーゼ酵素(HydA)をコードする単離核酸配列を開示している。
【0009】
米国特許第4,532,210号明細書は、交互の明暗サイクルを用いた藻類培養において水素の生物学的産生を開示している。該プロセスは、藻類中に光合成産物(澱粉)を蓄積させるために、光存在下、好気性条件下で水中の藻類を培養するステップ、および水素を発生させるために、暗所で好気性微生物条件下、水中で藻類を培養し、光合成による蓄積物質を分解させる交互のステップを含んでなる。この方法では、培養物から酸素を除去するために窒素ガスパージ技法を用いる。
【0010】
米国特許第4,442,211号明細書は、好気性雰囲気下の培養培地中、第一期の照射時に脱色された藻類を着色が回復するまで培養し、次いで、高められた速度で水素が生成される第二期の照射にこの藻類を供することにより水相中の藻類を光照射に供することによる水素を発生させるプロセスの効率が高まることを開示している。実質的にCOおよび大気Oの無い環境下で光を培養物に照射させる反応セルを用いる。水性媒体中、水分子の分割により発生した水素および酸素の全てを除去するためにセルに不活性ガス(例えば、ヘリウム)を通すことによって、この環境が維持される。H−生成培養物の不活性ガスによる連続パージングにより、Hの持続的生成が可能になったが、このようなパージングは高価であり、藻類の大規模大量培養にとって実用的ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、酵素的H形成、光触媒ナノ材料、および電子/光−クロムポリマーゲルテクノロジーという異なる分野からの知識を組み合わせることによって達成された商業規模で水素を生成させるという長年にわたって感じられてきた必要性を満足させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、簡単な原材料など、再生可能な供給源から水素を生成させる複合材料および方法に関する。一態様において、本発明は、1)ポリマーゲル、2)光触媒、および3)タンパク質ベースのH触媒を含んでなる光触媒H生成用複合材料に関する。該H触媒は、限定はしないが、クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)、ランプロバクター・モデストガロフィラス(Lamprobacter modestogalophilus)、チオカプサ・ロセオペルシチナ(Thiocapsa roseopersicina)、またはそれらの組合せを含む微生物など、種々の生物に由来し得るヒドロゲナーゼ酵素などの酵素であり得る。この複合材料には、ポリビオロゲンなどのレドックス媒介物、およびCu(0)などの脱酸素剤をさらに含むことができる。光触媒は、ナノ粒子として製剤化でき、タンパク質ケージ構造内にカプセル化できる。
【0013】
触媒はまた、シェルおよびコアを含んでなるタンパク質ケージの形態におけるヒドロゲナーゼ模倣物などの人工酵素であり得る。タンパク質ケージのシェルは、該タンパク質が小型熱ショックタンパク質(HSp)などの24のサブユニットタンパク質であるタンパク質を含むことができる。タンパク質ケージのコアは、白金、ニッケル、鉄、およびコバルトからなる群から選択される金属を含むことができる。
【0014】
本発明はまた、本発明の複合材料を用いてHを生成させる方法に関する。例えば、本発明は、電子ドナーを、1)ポリマーゲル、2)光触媒、および3)タンパク質ベースのH触媒を含んでなる複合材料と反応させることを含んでなるHを生成させる方法に関する。電子ドナーは、限定はしないが、酢酸、クエン酸、酒石酸、エタノール、EDTA、ヒドロキシルアミン、およびそれらの混合物などの種々の供給源から得ることができる。電子ドナーはまた、スルファイト、チオスルフェート、およびジチオナイトであり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
発明の詳細な説明
各々個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照として援用されているかのように、本明細書中の全ての刊行物および特許出願は同程度に参照として援用されている。
【0016】
以下の説明は、本発明を理解する上で有用となり得る情報を含む。本明細書に提供されたいずれの情報も、先行技術であることまたは本発明により権利請求された発明に関連していることを認めるものではなく、具体的または暗に引用されたいずれの刊行物も先行技術であることを認めるものではない。
【0017】
特に定義されない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様の、または等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法および材料が記載されている。
【0018】
本発明は、酵素的H形成、光触媒ナノ材料、および電子/光−クロムポリマーゲルテクノロジーに関する。本発明は、Hが、極めて単純な原材料、すなわち可視光および単純な有機酸(アセテート−食酢)から生成できる、効率性を実質的に高めるシステムを提供する。一態様において、本発明者らは、単純な有機酸、可視光、および光触媒を用いて、ヒドロゲナーゼ酵素活性を惹起し、Hを生成させるのに十分な還元等価体を生成できることを立証した。これらの結果を最適化するために、ヒドロゲナーゼ酵素を固定化し、ポリマーゲルマトリックスにカプセル化し、Hを生成させるために、生じた酵素ゲルペレットを、ジチオナイトなどの電子ドナーおよびメチルビオロゲンなどの電子移動媒介物と共にインキュベートする。このアプローチは、ヒドロゲナーゼ酵素の効率性および特異性、ならびにポリマー製剤化になされる合成調節を利用して、経済的な水素ガス生成の多くの標的および目的に合致する堅固な複合材料を構築する。
【0019】
別の態様において、本発明は、水素ガスを生成させるためにヒドロゲナーゼ模倣物としての新規なタンパク質ケージまたはナノ粒子の使用に関する。タンパク質「シェル」および「コア」の双方を含んでなるナノ粒子は、一緒に混合して完全なナノ粒子またはコア混合物の新規な組成物を形成できる。さらに、該シェルは、有機、無機および金属有機材料、それらの混合物を含む、任意の数の種々の材料を有する完全ナノ粒子を形成するために装填できる。特に好ましい実施形態は、白金などの金属触媒を利用してプロトンの効率的な還元を可能にする。さらに、該シェルはタンパク質様であるので、それらを変化させて、限定はしないが、共有結合および非共有結合誘導化ならびに組換え法など、種々の方法により任意の数の物理的または化学的性質を変化させることができる。
【0020】
通常、化学反応に使用される金属触媒の1つは白金である。しかしながら、白金は、その高コストおよび限定された供給量が知られている。この触媒の利用を最大化するため、経済的に実行可能な触媒を開発するために、1原子当りのPtの触媒効率を最大にすることをベースにした方法を探索することが必要である(スピーゲル(Spiegel)ら、2004年)。Pt触媒の開発を目指した粒子ベースのアプローチにおいて、粒子の直径を最小化し、したがって表面積(すなわち、1粒子当りの曝露Pt原子数)を増加させることが必要である。多数の異なる合成アプローチが、種々の不動態化層を有する白金ナノ粒子を合成するために使用されている(ブルッガー(Brugger)ら、1981年;チェン(Chen)ら、2000年;チェン(Chen)ら、1999年;エクルンド(Eklund)ら、2004年;ゴメズ(Gomez)ら、2001年;チアン(Jiang)ら;2004年;ケラー(Keller)ら、1980年;ナラヤナン(Narayanan)ら、2004年;ソン(Song)ら、2004年;テラニシ(Teranishi)ら、2000年;ツー(Tu)ら、2000年;ザオ(Zhao)ら、2002年)。不動態化層は一般に、曝露されたPt原子を妨害し、効率性を低下させる(ブルッガー(Brugger)ら、1981年)。本発明において、本発明者らは、不動態化層とは異なり、ナノ粒子の全表面をコーティングするわけではないが、それでも溶液中の粒子を単離し、凝集を防ぐ合成プラットフォームとしてのタンパク質ケージを使用した。
【0021】
タンパク質ケージ構造は、タンパク質と金属との間に界面を創製するバイオテンプレートとして使用されている(アレン(Allen)ら、2003年;フレニケン(Flenniken)ら、2003年)。ケージ様構造は、有機材料および無機材料双方のカプセル化用分子容器として作用することが以前に示されている(フレニケン(Flenniken)ら、2003年;マクミラン(McMillan)ら、2002年)。タンパク質ケージ構造は、内面および外面が化学的に異なる十分に規定された容器様形態を創製するために、限定数のタンパク質サブユニットから自己組織化される(ダグラス(Douglas)およびヤング(Young)、1998年;フレニケン(Flenniken)ら、2003年)。また、内部への分子アクセスは、サブユニット界面でポアにより制御できる(キム(Kim)ら、1998年)。プロトンケージ構造は、ナノ材料合成のためにサイズおよび形状が制約された反応環境として利用できることを、本発明者らは以前に示している。(ダグラス(Douglas)およびヤング(Young)、1998年;ウッセルマン(Usselman)ら、2005年;アレン(Allen)ら、2002年、2003年;フレニケン(Flenniken)ら、2003年)。これらのケージは、規定されたサイズおよび結晶形態で無機ナノ粒子を安定化させることが示されている。さらに、遺伝子修飾および化学修飾により、活性部位を、ケージ構造内の正確な位置に創製して劇的に新たな機能性を創製できる(クレム(Klem)ら、2005年)。
【0022】
空間的に選択的なミネラル化のためにケージ内部を用いて、本出願の発明者らは、Hアーゼに示された活性部位への制御された分子アクセスを模倣するタンパク質ケージ構造を首尾よく構築した。簡潔に言うと、ヒドロゲナーゼを含有するキセロゲルおよびヒドロゲルを、出発原料にテトラメトキシシラン(TMOS)を用いて調製した。TMOSと水とHClとの音波処理により、テトラヒドロキシシランを生成する。緩衝(pH8.0)タンパク質溶液(1:1 v:v)の添加により、Si−O−Siネットワークを形成する縮合を開始する。ゾルゲルペレットは、テフロン(Teflon)ウェル中のこの混合から、または反応バイアル中に直接注型された。ゲルを、嫌気性緩衝液で繰り返しリンスして非カプセル化タンパク質を除去した。全てのHアーゼ:ゾルゲルサンプルを、嫌気性条件下で調製した。水素生成は、先に記載されたように密封嫌気性バイアル中に含まれた緩衝液に懸濁されたゲルに、メチルビオロゲンおよびジチオナイトを添加することにより開始された。これらの反応バイアルのヘッドスペースからサンプル採取し、生成した水素の定量化のためにガスクロマトグラフィにより分析した。本発明の種々の態様は、下記にさらに提供される。
【0023】
材料の耐久性
クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)に由来の精製ヒドロゲナーゼは、Hを形成するためにHの還元にとって非常に効率的な触媒である。この酵素の長期安定性は、タンパク質の外面への薄いポリマーコーティングの付加によるか、または高分子電解質の多層中のカプセル化によるタンパク質の修飾により有意に増強される。さらに、該酵素は、電子移動効率を高めるために3−D交差結合ポリビオロゲンゲルマトリックス内に固定化される。
【0024】
材料の工作
ナノ粒子の組成物および形態を調節する能力、したがってナノ材料の光触媒特性を調整する能力は、ヒドロゲナーゼ系への効率的な電子移動のためにナノ粒子を最適化する目的で開発された。さらに、この合成調節は、安価で単純な有機酸(アセテート、タルトレート、シトレート)など、容易に入手できる電子ドナーを利用する。さらに、電気活性ポリビオロゲンゲルの製剤における専門的技術により、電子ドナーと活性ヒドロゲナーゼ触媒との間の電子移動効率は、これら2つの成分間の化学量論的および空間の相互関係の調節により高められ、最適化され、本発明者らがナノ粒子光触媒およびヒドロゲナーゼを固体マトリックス内に取り込ませることを可能にする。
【0025】
効率
太陽光からの効率的なH生成は、光量を調節することにより、およびヒドロゲナーゼの機能として生成されたH量、光触媒、レドックス媒介物、および電子ドナーを直接分析することにより達成される。太陽スペクトルを模倣するXeアークランプは、これら試験に対する光源として利用した。
【0026】
生成速度
水素生成速度は、先に記載されたとおり、酵素的アッセイにおいて直接測定できる。Hの速度は、レドックスパートナーの質量移動を、実施例に詳細に記載される複合材料の製剤において最少にする条件下で測定される。
【0027】
ヒドロゲナーゼおよびO阻害
ヒドロゲナーゼの電気活性ポリマーゲルへの取込みにより、コア−シェル構造を有する材料の創製を可能にする。外層は、光触媒、レドックス媒介物(ビオロゲン)および触媒の光分解により生成されたO反応性Cuコロイドを取り込むことができる。Cuは、脱O剤として通常使用され、シェルの高い表面積は、この目的のために極めて魅力的なものとなる。したがって、外層は、内層内に存在するヒドロゲナーゼを保護するためのO洗浄層として作用できる。内層は、光触媒、ヒドロゲナーゼ、レドックス媒介物、および電子ドナーを含むことができる。この操作法により、Oに対するヒドロゲナーゼの総合的安定性を有意に増強できる。
【0028】
種々の酵素は、酸化シリカゲルマトリックス(ゾルゲル)に固定化でき、完全に活性な状態のままにできることが先に立証されている。実際、多くの場合、酵素安定性およびある一定の酵素の長期安定性または半減期が増大する。酵素カプセル化能力は、基礎的科学および生物工学適用の双方において非常に有望性がある。幾つかの場合、酵素の固定化により、溶液中で極めて短い寿命である中間体の安定化を延長できる。バイオテクノロジーでは、カプセル化によって、可能性のある産業適用のための耐久性のある不均一触媒の生成をもたらすことができる。
【0029】
テトラメチルオルトシリケート誘導ゾルゲル中での精製された活性ヒドロゲナーゼのカプセル化を立証した。これらの酵素がこれら多孔性酸化シリカポリマーゲルに埋設されている場合、水素酸化およびプロトン還元双方の総合的にヒドロゲナーゼ活性の高いパーセンテージで保持されていることを、本発明者らは示した。クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)、ランプロバクター・モデストガロフィラス(Lamprobacter modestogalophilus)、およびチオカプサ・ロセオペルシチナ(Thiocapsa roseopersicina)に由来のカプセル化ヒドロゲナーゼ類の活性は、水素発生反応で測定された溶液中での酵素活性の少なくとも65〜70%の見かけ上の活性を有して固定化できる。カプセル化ヒドロゲナーゼは、保存および温度上昇下、いくらかの安定性増強を示す。L.モデストガロフィラス(L.modestogalophilus)由来の固定化NiFeヒドロゲナーゼは、窒素雰囲気下、室温で保存された場合に10日間にわたりその水素生成活性の85%を保持する。しかしながら、ヒドロゲナーゼ酵素は活性形態で固定化できるという結果は、不均一触媒により固相水素生成材料においてヒドロゲナーゼ類を利用する実用性に取り組む際の主要ステップとなる。
【0030】
生成材料
ヒドロゲナーゼの安定性
電気活性ポリマーゲルマトリックスにおける水素生成酵素の固定化
本発明は、ヒドロゲナーゼ分子をカプセル化するために種々の合成ポリマー類を用いることからなる固定化ヒドロゲナーゼシステムを提供する。種々の方法のカプセル化により、酵素安定性の増大がもたらされる。ヒドロゲナーゼ酵素が埋設されるポリマーマトリックスの最適化に関する他の因子は、1)種々の電子移動剤/媒介物によりポリマー類をドープする能力および2)基質および反応生成物へのポリマーの浸透性である。以下の水素生成酵素が首尾よくカプセル化された:1)Feだけのヒドロゲナーゼ、2)NiFeの二方向性ヒドロゲナーゼ、および3)アルカリホスファターゼ(水素生成に連結されたホスフェートの酸化)。これら多孔性ポリマー類内の固定化により、ハイスループット不均一性触媒が可能になる。
【0031】
固定化触媒システムにより、化学的手段または電気的手段により得られる還元の可能性が与えられる。電子移動剤/媒介物(合成化学源または生物源から)による三次元触媒のドーピングにより、還元力の外部源が三次元固定化触媒システムの表面に適用できる。
【0032】
調節ヒドロゲナーゼの異種発現
本発明は、宿主細胞において異種ヒドロゲナーゼを調節可能に発現する方法を提供する。シェワネラ・オネルデンシス(Shewanella oneldensis)の調節された異種発現を、宿主の大腸菌(E.coli)において達成された。これは、ヒドロゲナーゼの構造遺伝子およびヒドロゲナーゼの成熟に関与する推定上のアクセサリー遺伝子産物の同時発現により達成された。最大のヒドロゲナーゼ発現は、現システムの最適化により、および種々の供給源からのヒドロゲナーゼ遺伝子の置換により達成できる。調節発現により、安定性の増強、触媒活性、および複合材料構築のための誘導化を目的としたヒドロゲナーゼ酵素の遺伝子操作を可能にする。
【0033】
光触媒のH生成
本発明は、水素ガスを生成させる過程において光触媒を利用する方法をさらに含む。光触媒の添加により、該システムにさらなる調節要素が加えられ、還元等価体の供給源として、より低い電位の電子移動剤/媒介物を使用する可能性が与えられる。該触媒システムは、触媒自体を通って電気的または化学的酸化/還元電位の適用により操作される。光触媒およびそれらの特異的合成の重要成分としては:
1)サイズを調節した触媒ナノ粒子および組成物の合成
2)光活性化ナノ粒子から電子移動媒介物への電子移動
3)光活性化光採取分子からタンパク質ケージカプセル化触媒ナノ粒子への電子移動、
が挙げられる。
【0034】
サイズを調節したナノ粒子および組成物との合成
本発明は、サイズを調節したナノ粒子および組成物を合成する方法をさらに提供する。光レドックス過程の効率を調整する目的で酸化金属ベースのナノ材料の組成物を系統的に変化させるために生体模倣科学的アプローチを採用した。MV生成の有効性組成物の効果を評価するためにある範囲のタンパク質カプセル化ナノ材料の範囲を作出した。これらの材料としては、限定はしないが、Fe、Fe、Mn、Mn、Co、Co、TiO・nHOならびに種々の量のNi(II)、ZnSe、CdSe、CdS、ZnS、およびMoSによりドープされたFeベース材料およびCoベースの材料が挙げられる。これらの材料は、全て合成されており、構造的に特性化されている。
【0035】
脱O
一実施形態において、本発明は、ナノ粒子の構築において脱O剤を使用する。例えば、高度にO反応性であり、脱O剤として作用できるCu(0)を、タンパク質ケージ構造内にカプセル化してヒドロゲナーゼ(または他の)レドックス活性酵素の活性を保護できる。したがって、酸化銅を含有するヒドロゲナーゼタンパク質ケージは、幾つかの利点を有することができる。第一に、Cuは、インサイチュ脱O化システムとして作用し、ナノ粒子の広い表面積は、この目的のために非常に魅力的なものになる。第二に、MVの光還元により発生した還元等価体を、ヒドロゲナーゼシステムのターンオーバーを駆動するために使用できる。還元MVは、Cu(II)をCu(0)へ還元できないので、光還元のこれら2つの生成物は、当然互いに独立している。
【0036】
光触媒および光採取発色団
別の実施形態において、本発明は、光採取分子に関するプラットフォームとしてタンパク質ケース構造を用いる方法を提供する。例えば、CCMV(および他のウィルス)のタンパク質ケージ構造、フェリチン(およびフェリチン様タンパク質)、小型熱ショックタンパク質、Dpsタンパク質を光採取分子の結合のために多価テンプレートとして使用でき、電子移動媒介物(メチルビオロゲン様)の光化学還元を駆動させるために使用できる。これらは、部位特異的様式でケージに結合できるRu(II)ビピリジンおよびRu(II)フェナントロリンなどの分子を含む。還元メチルビオロゲンは、触媒としてRu(bpy)2+を有する有機種(例えば、EDTA)の光化学酸化を通して酸化メチルビオロゲン(MV)から生成できる。さらに、光採取発色団を、ヒドロゲナーゼなどのレドックス活性酵素に直接結合でき、大量輸送の限界およびメチルビオロゲンなどの電子移動媒介物の必要性をなくす可能性を有する。
【0037】
タンパク質ケージカプセル化触媒ナノ粒子
本発明は、触媒ナノ粒子がカプセル化されるタンパク質ケージを含んでなる組成物をさらに提供する。Ptのナノ粒子は、タンパク質ケージ構造(CCMV、フェリン、Hsp、Dps)内に効率的にカプセル化できることを、本発明者らは立証した。これらの粒子は、タンパク質ケージによりサイズおよび形状が制約されており、極めて高い比表面積を有するPtコロイドを増加させることから、Hの還元による高いH形成が得られる。この反応に必要な還元等価体は、還元メチルビオロゲン(MV)により供給できる。あるいは、還元ビオロゲンは、EDTA存在下、Zn(Hg/Znアマルガム)酸化により化学的に生成できる。この結合システムを用いて、Pt粒径依存性、タンパク質ケージ構造の性質(すなわち、Ptナノ粒子に対する還元ビオロゲンの拡散アクセス)、耐用寿命に関する触媒毒作用の阻止、ナノ粒子触媒(例えば、Pd、CoPt、FePt)の組成物、および光触媒カップルの性質の調査により、H生成を最適化できる。
【0038】
種々の組成物のナノ粒子、特に合金粒子の合成で、小型ペプチド類(ファージディスプレイから誘導)を、タンパク質ケージ構造内部への取り込みに本発明者の成功を利用できる。これらのペプチドは、特定の無機固体の核形成および粒子成長に、また、多形体の選択にも特異的であることが示された。したがって、Hを形成するために長期触媒安定性とHの還元時の活性との最適バランスをスクリーンする目的で多数の無機相の合成を方向づけることができる。
【0039】
本明細書に開示されたタンパク質ケージ内にカプセル化されたPt粒子は、合成ヒドロゲナーゼ模倣物として役立つ。このようなシステムにより、合成材料へ、生物学的触媒を有する最良の特性のコロイド状触媒を取込ませることが可能になる。コロイド状触媒および生物学的触媒は双方とも、それら自身の限界(酸素に対する感受性、毒作用、コスト、反応条件および寿命)があるが、これら2つのタイプの触媒を組み合わせることによって、これらの限界を巧みに回避する。
【0040】
還元体
本発明は、還元メチルビオロゲン(およびその他の)媒介物形成に関する還元体をさらに含む。有機物としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、タルトレート、シトレート、アセテート、エタノール(および他のアルコール類)などである。ヒドロキシルアミン、スルファイト、チオスルフェート、ジチオナイト、およびZnなどの無機物は全て使用できる。スルファイト(SO2−)を用いる利点は、これが、石油精製の汚染副産物(SO+HO→HSO)であることである。スルファイトの酸化により、スルフェート(SO2−)形成がもたらされる。したがって、還元体としてのスルファイトを利用することによって、有機種の酸化により生じたCO生成の問題を克服する。
【0041】
複合材料
本発明は、レドックスタンパク質から電極への電子移動を促進させる方法をさらに提供する。シリカ誘導ゾルゲル材料内へレドックス活性タンパク質のナノ範囲の封じ込めは、メチルビオロゲンなどの媒介物を必要とし、タンパク質による電子移動を促進する。これらゲルの多孔性は、カプセル化タンパク質へのアクセスを提供する。電極表面とヒドロゲナーゼおよび他のレドックス活性タンパク質のレドックス中心との間の直接的電子移動を促進する材料によって、化学的還元体に対する触媒的依存が解消される。ヒドロゲナーゼの場合、これら新規な材料は、酵素的連合触媒生成およびH−2(g)の酸化時にカプセル化酵素から電極への電子の流れを促進する。該材料は、電気活性マトリックスから誘導される。Snドープ化シリカ[Sn/SiO]、V、MoO、およびMnOなど、種々の生体電子工学ガラスが報告されている。
【0042】
スルファイトから水素生成のための結合酵素システム
ヒドロゲナーゼは、1)自由に拡散する溶液ベースのシステム中、2)共有結合(スルファイトオキシダーゼとヒドロゲナーゼとの交差結合)により、または3)電気活性多孔性ゲル内への両成分の取込みにより、酵素スルファイトオキシダーゼに結合できる。このシステムにおいて、スルファイトのスルフェートへの酵素的酸化から誘導された還元等価体は、ヒドロゲナーゼによりプロトンの還元に方向づけることができる。上述のとおり、スルファイト(SO2−)を用いる利点は、これが、石油精製の汚染副産物(SO+HO→HSO)であることである。スルファイトの酸化により、スルフェート(SO2−)形成がもたらされる。したがって、還元体としてのスルファイトの利用はまた、有機種の酸化により生じたCO生成の問題を克服する。
【0043】
ヒドロゲナーゼに対する光触媒の結合
スルファイト、有機酸、または多分エタノールなどの豊富な電子ドナー源から水素を生成するために光エネルギーを利用できる不均一触媒の開発において、ヒドロゲナーゼ酵素を光触媒(ナノ粒子光触媒など)に結合する。結合されたシステムは、水溶液中または固定化ゲル中で作用できる。基質および生成物が液相に移行できるような不均一触媒を生成するために、複合材料の成分は、電気活性ゲル(酸化シリカまたは他のポリマー類、例えば、ポリビオロゲン)中に固定化できる。Cu(0)などの酸素消費触媒ナノ粒子の添加は、酸素感受性ヒドロゲナーゼが酸素不活化しないように保護するために役立つ。
【0044】
さらなる説明なしに、前述の説明および以下の例示的実施例を用いて、通常の当業者は、本発明の化合物を作製し、利用し、権利請求された方法を実施できると思われる。したがって、以下の作業実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであり、決して本開示の残部を限定するものとして解釈してはならない。
【実施例】
【0045】
実施例1:ポリマーゲル中のヒドロゲナーゼ類のカプセル化
本実施例は、具体的にHアーゼ:ゾルゲル材料の水素生成活性に焦点を合わせている。ヒドロゲナーゼはまた、水素の酸化もまた触媒する二方向性酵素である。Hアーゼ:ゾルゲルペレットを、水素の頭部圧力下、緩衝(pH8.0)液中に入れることによって、該ペレットを水素酸化活性についてアッセイした。電子の流れは、メチルビオロゲンの還元によりモニターした。HアーゼのNiFe(ランプロバクター・モデストガロフィラス(Laprobacter modestogalophilus)(Lm)およびチオカプサ・ロセオペルシチナ(Thiocapsa roseopersicina)(Tr))またはFeのみ(クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)(CpI))の形態を有するHアーゼ:ゾルゲルペレットは、溶液中で観察された水素発生の比活性の約60〜70%を保持する(表1)(ヒドロゲナーゼ類の単離:(a)L.モデストガロフィラス(L.modestogalophilus):ザドボルニー,O.A.(Zadvorny,O.A.);ゾリン,N.A.(Zorin,N.A.);ゴゴトフ,I.N.(Gogotov,I.N.);ゴルレンコ,V.M.(Gorlenko,V.M.)Biochemistry(Mosc)2004年、69、164−169頁。(b)T.ロセオペルシチナ(T.roseopersicina):シャーマン,M.B.(Sherman,M.B.);オルロバ,E.V.(Orlova,E.V.);スミルノバ,E.A.(Smirnova,E.A.);ホブモラー,S.(Hovmoller,S.);ゾリン,N.A.(Zorin,N.A.)J Bacteriol.1991年、173,2576−2580頁。(c)C.パスツリアナム(C.pasteurianum):チェン,J.S.(Chen,J.S.);モルテンソン,L.E.(Mortenson,L.E.)Biochim.Biophys.Acta 1974年、371、283−298頁)。
【0046】
【表1】

【0047】
同一の条件下でアッセイされたブランクゲルは、水素生成を示さなかった。C.パスツリアナム(C.pasteurianum)に由来のFeのみのヒドロゲナーゼCpIの熱処理粗製抽出液製剤からなる部分的精製製剤(処理粗製抽出液は、加圧処理細胞による細胞溶解により調製され、次いで55℃で10分間のインキュベート、4℃で一晩沈殿および20000gでの遠心分離による細胞粒子ならびに沈殿タンパク質の除去を行った)は、より高度に精製された製剤と比較した場合のカプセル化後、同様の活性レベルを保持した(それぞれ70%および60%)。これは、抽出液のさらなるタンパク質の高分子成分の共カプセル化が、有意に活性に影響を及ぼさないことを示唆している。粗製抽出液のカプセル化は、より不十分に規定された材料を生じるが、ヒドロゲナーゼの異種発現は容易ではなく、精製が困難であり、バルク精製材料の調製が極めて高価であることから、ほぼ等しい活性レベルを保持しながら酵素の粗製製剤をカプセル化し、固定化する能力は、実際問題として重要である。今日まで、CpIは、嫌気性条件下で増殖されたC.パスツリアナム(C.pasteurianum)の細胞から直接精製され、酵素は、酸素不在下、および還元剤の存在下で精製される。
【0048】
長期安定性および温度適合性は、潜在的なハイスループット水素発生の生体触媒における必須の機能である。活性化ヒドロゲナーゼ酵素は、酸素に感受性であり、典型的に希釈酵素製剤は、室温で限定された保存寿命を有し得る。これらの性質は、認識されるこれらの生体触媒の有用性にとって克服する必要がある障壁である。保存寿命(図2)および熱安定性(図3)に関する詳細な試験は、精製Lm NiFeヒドロゲナーゼおよびCpI熱処理抽出液を用いて実施された。ゲルカプセル化酵素は、4週間に亘り出発材料の約80%の活性を維持しながら、嫌気性緩衝液下、室温で保存できる(図2)。カプセル化ヒドロゲナーゼの安定性の増強は、大部分がより長期間で判断が下される。温度試験は、カプセル化酵素が溶液中のものと同等に機能することを示す(図3)。将来の試験は、より長期の保存期間をモニターするが、これらの酵素のカプセル化に関する条件の最適化が試みられていないこと考慮すると、本明細書に示された結果が裏付けられる。
【0049】
この時点で、どの因子が、Hアーゼ:ゾルゲルの活性の時間依存的衰退の一因となるかは不明瞭である。還元媒介物は、長期曝露後のゾルゲル材料に結合すると思われる。これは、TMOS由来のゾルゲルのSi−Oネットワークおよび未反応Si−OH部分が、強力なイオン対電位をゾルゲル材料内に存在することから驚くべきことではない。これは、経時的Hアーゼ:ゾルゲルの活性の緩徐な減少の一因となり得る。
【0050】
CpI Hアーゼの溶液およびゾルゲルカプセル化サンプルを、プロテアーゼで処理して(C.パスツリアナム(C.pasteurianum)抽出液のサンプルを、活性アッセイ前にプロテアーゼカクテルで25分間処理した)、観測された水素生成活性が、ゾルゲル材料の多孔性構造内に埋設された酵素に由来することを確認した(図4)(TrおよびLmヒドロゲナーゼは、タンパク質分解消化に感受性ではない)。溶液のCpI Hアーゼ活性は、プロテアーゼ曝露25分後にほぼゼロに減少する。CpI Hアーゼ:ゾルゲル活性は、同様のプロテアーゼ処理後7%未満に減少する。この小さな減少は、アクセス可能な表面結合または未カプセル化Hアーゼのプロテアーゼ消化から生じ得る。これらの結果は、大部分の活性なHアーゼが、ゲル内に埋設され、タンパク質分解に対して保護されていることを明確に示している。さらに、これらの結果は、高いカプセル化の効率があり、ヒドロゲナーゼ活性の観察された減少がタンパク質の部分的カプセル化によるものではないことを示している。したがって、活性の喪失は、カプセル化手法の結果としての酵素不活化、またはマトリックス中の質量移動速度の総合的減少に起因し得る。
【0051】
アーゼの多孔性ゾルゲル内へのナノスコープ封じ込めにより、機能性水素生成生体材料の合成を生じた。不均一性触媒として、これら新規な材料は、膨大な可能性と有用性を有する。
【0052】
実施例2:Hspケージ内にカプセル化されたPtナノ粒子の合成
この実施例は、Hspケージ内にカプセル化されたPtナノ粒子の合成を記載する。メタノコッカス・ジャナッシー(Methanococcus jannaschii)に由来の小型熱ショックタンパク質(Hsp)の自己集合ケージ様構造は、規定された空間整列を有する金属クラスターをカプセル化するために使用されている(フレニケン(Flenniken)ら、2003年)。Hspは、ケージ構造を介してポアにより6.5nmの内腔を規定する12nmのケージ内に24のサブユニットから構築され、それによって分子は、内部環境と外部環境との間に折り返し輸送できる(図5)(キム(Kim)ら、1998年)。
【0053】
簡潔に概説すると、精製Hspを、PtCl42−と65℃で15分間インキュベートした。タンパク質ケージは、1タンパク質ケージ当り150、250、または1000Ptでインキュベートした。引き続きジメチルアミンボラン錯体((ChNBH)による還元により、褐色溶液を形成した。ゲルろ過クロマトグラフィによる反応生成物の特性化により、未処理Hspと同一の保持容量が明らかとなり、タンパク質(280nm)とPt(350nm)成分の共溶出を示した(図6)。動的光散乱法は、反応後の粒子直径に変化を示さなかった。透過型電子顕微鏡(TEM)によるPt処理Hsp(Pt−Hsp)の可視化により、電子線回折(図7Aの差込図)によりPt金属として同定された電子密度コアおよび負に染色された場合、無処置の12nmタンパク質ケージ(図7B)を明らかにした。この染色サンプルにおいて、Pt粒子は、バックグラウンド染色上に明瞭に見ることができ、ケージ構造内に局在化している。1000Pt/ケージの平均装填に対して、2.2の金属粒子(0.7nmが観察された)(図7C)。250Pt/ケージの理論的装填において、1の粒子(0.2nmが観察された)(図8)、一方、150Pt/ケージの装填において、電子顕微鏡の限界のため粒子を識別できなかった。Hspフリー対照反応は、溶液から急速に沈殿した凝集Ptコロイドを形成した。同じ総タンパク質濃度でウシ血清アルブミン(BSA)を用いる対照反応はまた、バルク沈殿が生じ、Ptのフラクションのみは、TEMにより観察された場合、粒径(3〜120nm)の広い分布で溶液中に残った。
【0054】
Pt−Hspタンパク質ケージ複合体は、非常に効率的なヒドロゲナーゼ酵素と同等の速度でHを形成するためにHを還元できる非常に活性な人工触媒である。典型的なヒドロゲナーゼアッセイでは、還元メチルビオロゲン(MV)は、反応を駆動させるために還元等価体源として使用された。MVを生成するためにジチオナイトを用いる大抵のインビトロヒドロゲナーゼアッセイとは異なり、可視光および共触媒(Ru(bpy)2+)が、EDTAなどの簡単な有機物の酸化によりMVを生成するために使用されている(ブルッガー(Brugger)ら、1981年;チアン(Jiang)ら、2004年)(図9)。この修飾アッセイにおいて、この溶液を、IRフィルターおよびUVカットオフフィルター(<360nm)で装備された150W Xeアークランプにより25℃で照明された。Pt−Hsp(0.51μM)は、pH5.0でMV2+(0.5mM)、Ru(bpy)2+(0.2mM)、およびEDTA(200mM)の存在下で照明され、生じたHは、ガスクロマトグラフィにより定量化された。1ケージ当りを基準にして算出された場合、H形成の開始速度は、1Hsp当り1000Ptの装填因子に対して4.47×10/秒(394H/秒)および250の装填因子に対して7.63×10/秒(405H/秒)であった(図6)。これらの速度は、ヒドロゲナーゼ酵素に対して報告されたものと同等である(1タンパク質分子当り4×10から9×10/秒)(アダムス(Adams)ら、1990年)。
【0055】
最低Pt装填(150Pt/Hsp)に対してH生成活性は検出されなかった。これは、Ptのサイズ依存活性の以前の報告と一致する(グリーンバウム(Greenbaum)ら、1988年)。それはまた、これらのサンプル中のTEMによる個別のPt粒子を我々が検出できないことと一致し、合成されたPt粒子が、活性に必要なある閾値限界以下であることを意味する。
【0056】
生成速度が1Pt当りの基準で算出される場合、それらが、他の報告されたPtナノ粒子と比較するのは極めて好ましい。1000Pt/ケージを有するPt−Hspの開始速度は、268H/Pt/分であり、これは、比較が可能である報告された文献値(20H/Pt/分(ブルッガー(Brugger)ら、1981年)、16H/Pt/分(ケラー(Keller)ら、1980年)、および6.5H/Pt/分(ソン(Song)ら、2004年)よりも有意に良好である。さらに、Pt−Hspの開始H生成速度は、タンパク質フリー対照反応において生成されたPt粒子に対して得られたものよりも約20倍超である。Hを生成するために結合光化学反応の長期安定性は、最適化されておらず、該反応の有意な遅速は、最初の20分後に見られる(図10)。このH生成の減衰は、主として光触媒Ru(bpy)2+、およびPt触媒の水素化に供される電子媒介物(MV2+)の分解のためであると思われる。
【0057】
ヒドロゲナーゼ酵素とは異なり、人工Pt−Hspシステムは、Oに感受性ではなく、COによるH生成の有意な阻止を示さないが、チオールにより毒される。Pt−Hsp触媒反応は、還元ビオロゲン(MV)の存在により駆動された。MVは、上記の光還元または結合光還元反応よりも約40%遅いH生成速度を生じたジョーンズ(Jones)リダクター(ハリス(Harris)ら、1999年)(Znアマルガム)を用いることにより生成できた。また、Pt−Hspは、インサイチュ還元およびメチレンブルーの脱色によりモニターされる逆反応(H→2H+2e)を触媒できる(シーフェルト(Seeffeldt)ら、1989年)。この人工システムに関して重要なこととして、Pt−Hsp構築体は、著しく安定であり、複合体の沈殿なしで、または触媒活性の喪失をしないで85℃に加熱できる。
【0058】
十分に規定された熱安定性タンパク質ケージ構造は、これら生物学的触媒に共通した多くの特徴を有する人工ヒドロゲナーゼを生成するために使用されている。空間的選択様式で小型の金属クラスターが、Hを形成するためにHの還元に係わる活性な部位として作用するHspのケージ様構造の内部に導入されている。これら人工酵素の特異的活性は、既知のヒドロゲナーゼ酵素と同等であり、先に記載されたPtナノ粒子よりも有意に良好である。Hspのタンパク質ケージ構造は、小型のクラスターの完全性を維持するために作用し、凝集を防ぎ、これら「活性部位」へのアクセスを調節する。Pt−Hsp複合体は85℃まで安定であり、機能性ナノ粒子のデザインおよび実施のためにタンパク質構造を用いることの有用性を示している。
【0059】
前述の詳細な説明は、あくまで理解を明瞭にするために記載されたものであり、それから不必要な限定を考えるべきではなく、したがって変更は当業者にとって明白になるであろう。
【0060】
本発明を、その具体的な実施形態に関連して説明したが、当然のことながら、さらなる変更が可能であり、本出願は、一般に本発明の原理に従った本発明の任意の変更、使用、または適応を包含することが意図されており、本発明が関係する技術分野で公知のまたは慣例的な実施の範囲に入り、本明細書に前述した本質的な形態に適用でき、添付の特許請求の範囲に従った、本開示からのかかる逸脱を含むものである。
【0061】
本明細書に引用された全ての刊行物は、刊行物が引用される本発明の具体的な態様を開示し、説明のために参照として本明細書に援用されている。
【0062】
References
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【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明のより完全な理解およびそのさらなる利益のため、以下の図面が参照される:
【図1】水素生成デバイスに用いられる複合材料を示す図面である。
【図2】溶液中およびゾルゲル中にカプセル化されたC.パスツリアナム(C.pasteurianum)(CpI)およびL.モデストガロフィラス(L.modestogalophilus)(Lm)ヒドロゲナーゼの水素生成活性を示すグラフである:◆、溶液中のCpI;●、ゾルゲル中のCpI;▲、溶液中のLm;■、ゾルゲル中のLm。
【図3】溶液中およびゾルゲル中にカプセル化されたC.パスツリアナム(C.pasteurianum)(CpI)およびL.モデストガロフィラス(L.modestogalophilus)(Lm)ヒドロゲナーゼの水素生成活性の温度依存性を示すグラフである:◆、溶液中のCpI;●、ゾルゲル中のCpI;▲、溶液中のLm;■、ゾルゲル中のLm。
【図4】プロテアーゼの存在下(開放)および不在下(陰影)、C.パスツリアナム(C.pasteurianum)からの溶液およびゾルゲルカプセル化ヒドロゲナーゼの水素生成活性を示すグラフである。
【図5】(A)メタノコッカス・ジャナッシー(Methanococcus jannaschii)(pdb:1shs)由来の小型熱ショックタンパク質(Hsp)ケージの空間充填画像および(B)該ケージの内腔を示すHspの破断図を示す。
【図6】Hspのゲルろ過クロマトグラフィを示す図である:(A)非ミネラル化Hsp;(B)タンパク質(280nm)とミネラル(350nm)の共溶出を示す250Pt/Hspによりミネラル化されたHsp;(C)タンパク質(280nm)とミネラル(350nm)の共溶出を示す、1000Pt/Hspによりミネラル化されたHsp。
【図7】(A)非染色Hsp1000PtのTEMを示す画像であり、差込図は、Hsp1000PtからのPtの電子線回折を示し、(B)2%酢酸ウラニルで染色されたHsp1000PtのTEM、(C)Hsp1000Pt中のPt粒子直径の柱状図を示し、平均2.2(0.7nmのスケールバー)20nmである。
【図8】(A)2%酢酸ウラニルで染色されたHsp250PtのTEMを示す画像であり、(B)Hsp250Pt中のPt粒子直径の柱状図を示し、スケールバー)20nmである。
【図9】Pt−HsPからの光媒介H生成を示す略図であり、メチルビオロゲン(MV2+)は、Ru(bpy)2+光触媒とH生成を担うPt−Hspとの間の電子移動媒介物として用いられる。
【図10】0.2mMのRu(bpy)2+、0.5mMのメチルビオロゲン、200mMのEDTA、および500mMのアセテートpH5.0中のPt−HspからのH生成を示すグラフであり:▲、1000Pt/Hsp5.1×10−10mol Pt;■、250Pt/Hsp8.2×10−10mol Pt。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ポリマーゲルと、
2)光触媒と、
3)タンパク質をベースとするH触媒と、
を含む光触媒H生成用複合材料。
【請求項2】
前記H触媒が、ヒドロゲナーゼである請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記ヒドロゲナーゼが、前記ポリマーゲル内にカプセル化される請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記ゲルが、多孔性である請求項3に記載の複合材料。
【請求項5】
前記ゲルが、ゾル−ゲルである請求項4に記載の複合材料。
【請求項6】
前記H触媒が、ヒドロゲナーゼ模倣物である請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記ヒドロゲナーゼ模倣物が、ナノ粒子である請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記ナノ粒子が、シェルおよびコアを含むタンパク質ケージの形態である請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
前記シェルが、タンパク質を含む請求項8に記載の複合材料。
【請求項10】
前記タンパク質が、24のサブユニットタンパク質である請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
前記タンパク質が、小型の熱ショックタンパク質(HSp)である請求項10に記載の複合材料。
【請求項12】
前記コアが、金属を含む請求項8に記載の複合材料。
【請求項13】
前記金属が、白金、ニッケル、鉄、およびコバルトからなる群から選択される請求項12に記載の複合材料。
【請求項14】
前記金属が、白金である請求項13に記載の複合材料。
【請求項15】
レドックス媒介物をさらに含む請求項1に記載の複合材料。
【請求項16】
前記レドックス媒介物が、ポリビオロゲンを含む請求項15に記載の複合材料。
【請求項17】
脱酸素剤をさらに含む請求項16に記載の複合材料。
【請求項18】
前記脱酸素剤が、Cu(0)を含む請求項17に記載の複合材料。
【請求項19】
前記光触媒が、ナノ粒子として製剤化される請求項1に記載の複合材料。
【請求項20】
前記光触媒が、タンパク質ケージ構造内にカプセル化される請求項1または19に記載の複合材料。
【請求項21】
前記ヒドロゲナーゼ酵素が、クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)、ランプロバクター・モデストガロフィラス(Lamprobacter modestogalophilus)、チオカプサ・ロセオペルシチナ(Thiocapsa roseopersicina)、またはそれらの組合せに由来する請求項1に記載の複合材料。
【請求項22】
前記材料が、
i)前記光触媒および前記ヒドロゲナーゼ酵素をさらに含む内層と、
ii)前記光触媒、前記レドックス媒介物、および前記脱酸素剤をさらに含む外層と、
を含む請求項17に記載の複合材料。
【請求項23】
電子ドナーを、1)ポリマーゲル、2)光触媒、および3)タンパク質をベースとするH触媒を含む複合材料と反応させることを含むHを生成させる方法。
【請求項24】
前記H触媒が、ヒドロゲナーゼである請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ヒドロゲナーゼ酵素が、クロストリジウム・パスツリアナム(Clostridium pasteurianum)、ランプロバクター・モデストガロフィラス(Lamprobacter modestogalophilus)、チオカプサ・ロセオペルシチナ(Thiocapsa roseopersicina)、またはそれらの組合せに由来する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒドロゲナーゼが、ポリマーゲル内にカプセル化される請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ゲルが、多孔性である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ゲルが、ゾル−ゲルである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記H触媒が、ヒドロゲナーゼ模倣物である請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記ヒドロゲナーゼ模倣物が、ナノ粒子である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ナノ粒子が、シェルおよびコアを含むタンパク質ケージの形態である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記シェルが、タンパク質を含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質が、24のサブユニットタンパク質である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質が、小型の熱ショックタンパク質(HSp)である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記コアが、金属を含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記金属が、白金、ニッケル、鉄、およびコバルトからなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記金属が、白金である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記光触媒が、ナノ粒子として製剤化される請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記光触媒が、タンパク質ケージ構造内にカプセル化される請求項23に記載の方法。
【請求項40】
前記電子ドナーが、酢酸、クエン酸、酒石酸、エタノール、EDTA、ヒドロキシルアミン、およびそれらの混合物からなる群のうちの1つである請求項23に記載の方法。
【請求項41】
前記電子ドナーが、スルファイト、チオスルフェート、およびジチオナイトからなる群のうちの1つである請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−539786(P2008−539786A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512439(P2008−512439)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/018900
【国際公開番号】WO2007/086918
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(507377746)モンタナ ステート ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】