説明

光触媒膜の性能評価用器具および光触媒膜の性能評価方法

【課題】 少なくとも一部に直管状部を有する透光性バルブを備えたランプの光触媒性能をスピントラップ剤を用い容易に測定することができる器具および評価方法を提供するものである。
【解決手段】 直管状部を有する透光性バルブ61の光触媒膜が形成されたバルブ61外周面に装着されるパッキン3を有する一対のリング状のホルダ4,4と、バルブ61に遊嵌した状態で上記パッキン3,3により挟圧されてバルブ61に液密固定され、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口21を有する外筒2とを備えている光触媒膜の性能評価用器具1および性能評価方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性のバルブを有するランプの外表面に形成された光触媒膜の性能を評価する器具およびその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光触媒の作用原理は、光が照射された光触媒膜面で活性酸素が発生し、光触媒膜面に吸着された有機物が活性酸素によって分解されるというものである。この作用原理を利用して、ホルムアルデヒドなどの室内汚染物質や酢酸、プロピオン酸、アンモニアおよびアセトアルデヒドなどの悪臭物質あるいはたばこの煙に含まれる汚染物質などを分解させたり、抗菌機能を付加させたりし光触媒膜付の製品が開発されてきている。
【0003】
上記光触媒の作用およびその性能評価方法についてさらに詳述する。光触媒にそのバンドギャップ以上のエネルギーをもつ光を照射すると、価電子帯の電子は光励起により伝導帯に遷る。そのとき、価電子帯では電子が抜けた正孔(h)が生じ、伝導帯には電子(e)が生じる。光触媒作用はこれら正孔あるいは電子が表面に吸着した化合物と作用して、反応を進めさせるものである。よって、反応速度は表面の単位面積当りに存在する正孔あるいは電子の量に存在している。
【0004】
そして、光触媒の性能評価は、この正孔の変化量を計測することにより行われていた。すなわち、被膜表面に局在した正孔あるいは電子はその表面上の空間に電場を形成するので、この空間の電場を測定することで局在キャリア量が分かる。また、不活性ガスを吹き付けて測定することで表面に移動してきた正孔や電子などのキャリアを消費せずに生成したキャリア量が分かる。これに対し、水蒸気や反応性化学物質が存在するガスを吹き付けて同様の測定を行い、これら二つの表面電位の変化を比較することで、表面で消費されるキャリア量の測定が可能となって光触媒の性能評価を行うことができる。(特許文献1)
【特許文献1】特開平11−258206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の測定方法は、キャリアである正孔(h)や電子(e)の測定に限定される。光触媒は大気中で用いられることが多く、大気下では空気中に存在する酸素へ伝導帯の電子が移動しスーパーオキサイドラジカル(O・)が生成することや触媒表面の表面水酸基あるいは吸着水が、価電子帯の正孔によって酸化されヒドロキシラジカル(OH・)が生成し、これが溶液中や大気中に放出した化合物を酸化分解して精度の高い性能評価ができないということがある。
【0006】
これらラジカル種を測定する方法として、ESRスピントラップ法が近年注目を集めている。上記ESRスピントラップ法とは、電子スピン共鳴でありラジカルを測定するのに有効な測定方法であるが、ヒドロキシルラジカルのようなフリーラジカルを直接測定することは困難であり、そこで、スピントラップ法と組み合わせることでこれを容易にすることができた。
【0007】
スピントラップ法はDMPO(5.5−Dimethyl−1−pyrroline−N−oxide)のようなスピントラップ剤を用いてヒドリキシラジカルを捕捉し、安定なスピンアダクトDMPO−OH・を形成して測定する方法である。
【0008】
DMPOは、水などで希釈して使用することが多いため、光触媒や応用製品から発生するラジカルを測定するには水溶液を保持するために適切な形状および容量ならびに抗酸化性を有しスピントラップ剤を失活させない治具が不可欠となってくる。
【0009】
そして、上述したように光触媒膜を形成した各種製品が出現してきていて、蛍光ランプなどの照明機器分野においても、透光性バルブの表面に上記光触媒作用を有する酸化チタンなどからなる被膜を形成することが知られている。
【0010】
しかし、蛍光ランプなど透光性の管形バルブが用いられるランプは、点灯回路装置やソケットなどを有する器具に取着され通電して点灯させるため水溶液からなるスピントラップ剤を用い測定し評価することは困難であった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、少なくとも一部に直管状部を有する透光性バルブを備えたランプの光触媒性能をスピントラップ剤を用い容易に測定することができる器具および評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載の光触媒膜の性能評価用器具は、直管状部を有する透光性バルブの光触媒膜が形成されたバルブ外周面に装着されるパッキンを有する一対のリング状のホルダと;バルブに遊嵌した状態で上記パッキンにより挟圧されてバルブに液密固定され、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口を有する外筒とを具備していることを特徴としている。
【0013】
本発明は蛍光ランプなど光源のバルブの一部を外筒および端板をなすホルダなどでもって囲い、その内部にスピントラップ剤を入れ光触媒膜形成部分を浸漬できるようにした光触媒の性能評価用器具であって、従来の測定器具に比べその構造が簡単シンプル、小形化が可能であるとともに組立てや測定用溶液などの出入作業が容易で確実に行うことができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の光触媒膜の性能評価用器具は、 外筒に遮光体が設けられていることを特徴としている。
【0015】
外筒に反射膜などの遮光膜や別成形した遮光板などの遮光体を設けておくことにより、室内蛍光ランプなどの外部から与えられる光を遮断することで光触媒付き光源のみでの評価が可能となるなどの作用を奏する。
【0016】
本発明の請求項3に記載の光触媒膜の性能評価方法は、少なくとも一部に光触媒膜が形成された 直管状部を有する透光性バルブを備えたランプのバルブに、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口を有する外筒を遊嵌させるとともにこの外筒の両端をパッキンを有するリング状のホルダを介しバルブに気密固定させる工程と;上記ランプのバルブに固定された外筒の出入口からスピントラップ剤を注入する工程と;上記ランプに通電して所定時間点灯する工程と;上記ランプのバルブに固定された外筒の出入口からスピントラップ剤の少なくとも一部を抽出する工程と;抽出したスピントラップ剤をスピントラップ法により計測する工程とからなることを特徴としている。
【0017】
この発明は、光触媒膜が形成されたバルブに光触媒膜の性能評価用器具を装着固定し、この器具を構成する外筒の内部にスピントラップ剤を入れ、ランプを所定時間点灯した後、スピントラップ剤を抽出しスピントラップ法によりスピンアダクト(DMPO−OH)を計測するようにしたものである。
【0018】
上記請求項1、2に記載の作用を奏する性能評価用器具を用いているので、請求項1、2に記載の作用を奏する他、抽出した溶液などの計測も電子スピン共鳴装置などを用いるスピントラップ法により容易に、かつ、高い精度で行うことができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の光触媒膜の性能評価方法は、スピントラップ剤が、水溶性の液体または固体からなることを特徴としている。
【0020】
スピントラップ剤は、DMPO(5.5−Dimethyl−1−pyrroline−N−oxide)をなどの水溶性液体状のものに限らず、4−Pyridyl−1−oxide−N−tert−butylnitrore)などの水溶性固体を用いることもできる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明によれば、従来の測定器具に比べその構造が簡単シンプル、小形化できるので、既存の照明器具へ性能評価用の器具を装着させたランプを取り付けることも可能であるとともに組立てや測定用溶液などの出入作業が容易で確実に行える照明用光源ランプの光触媒膜の性能評価の計測に最適の器具を提供することができる。請求項2記載の発明によれば、測定環境下における室内光など蛍光灯より生じる光以外の外的要因による光が直接バルブ表面の光触媒膜へ照射されることを防ぐので、真にバルブから発せられる光のみで、ヒドロキシルラジカル生成の有無を測定することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の効果を有する光触媒膜の性能評価用の器具で抽出した溶液などの計測も、電子スピン共鳴装置などを用いるスピントラップ法により容易に、かつ、高い精度が得られる光触媒膜の性能評価方法を提供することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、水溶性スピントラップ剤を用いることで、蛍光ランプなどの光源点灯時に発生するヒドロキシルラジカルを捕捉可能となる。有機溶剤を用いると、光触媒により分解された有機化合物に由来するメチルラジカル(HC3 ・)を優先的に捕捉する虞があった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。図1は光触媒膜の性能評価用器具を示す一部断面正面図、図2は図1の側面図、図3は性能評価用器具が装着されたランプを取り付けた照明器具の下面図である。
【0025】
光触媒膜の性能評価用器具1は、円筒状の外筒2、この外筒2の端面に配設されたリング状のパッキン3,3、このパッキン3を両側から支持するリング状の外側体4aおよび内側体4bからなるホルダ4,4および両ホルダ4,4を橋絡固定する複数本のシャフト5,…とで構成されている。なお、性能評価用器具1は、正面から見て左右ほぼ対称構造であり、一方(右)側のみを断面して示す。
【0026】
両端が開口した円筒状の外筒2は、例えば透明なソーダガラスからなり側面から突出して筒内と連通する複数箇所ここでは2箇所に出入口21,21が設けられている。また、リング状のパッキン3,3、は例えばバイトンゴム(六フッ化フッ素ゴム)で形成され、内径が被測定物であるランプ6のバルブ61に弾性嵌合される大きさであり、外径が外筒2の端面とほぼ合致する大きさを有している。
【0027】
ホルダ4,4は筒状体の端板として作用し、例えばアクリル樹脂などで成形されたいずれも中央部に透孔が形成された外側体4aおよび内側体4bからなり、外側体4aの透孔41はバルブ61外径より大径であるが外筒2外径より小径であり、また、内側体4bの透孔44はバルブ61外径および外筒2外径より大径であって、外側体4aの中央部に形成された凹部41内に上記リング状のパッキン3が配設される。また、内側体4bにはここでは3本のシャフト5,…が挿通される3個の透孔45,…が等間隔で、外側体4aには上記透孔45,…と対応する位置に透孔42,…がそれぞれ設けられている。
【0028】
シャフト5はステンレスなどからなる棒状体で、両端面の中央部にはねじ孔51が設けられている。また、52,…はこのねじ孔51に螺合されるねじである。
【0029】
そして、例えば透光性のガラスバルブ61の外表面に光触媒膜(図示しない。)が形成され両端部に口金65,65が設けられた蛍光ランプ6の光触媒膜の性能測定評価はつぎのようにして行われる。
【0030】
まず、被測定物である酸化チタンなどからなる光触媒膜(図示しない。)が形成された蛍光ランプ6の直管状バルブ61に円筒状の外筒2を通しておき、つぎにホルダ4,4を構成する内側体4b,4bを通し、つぎにバルブ61にリング状のパッキン3,3を弾性嵌合させ、つぎに外側体4a,4aを通す。そして、内側体4bの3個の透孔43,…にそれぞれシャフト5,…を通し、各部材を押すなどして少しずつ内方側に移動させて、外筒2の端面が凹部41内にあるパッキン3に当接したら外側体4aの透孔43,…にねじ52を通し、このねじ52を締め付けることによりねじ52の先端がシャフト5のねじ孔51内に進入して螺合するとともに、このねじ52の締め付けによって外筒2は両端から中心に向け押圧される。
【0031】
この両ホルダ4,4の計6箇所においてねじ止めされることにより、外筒2はパッキン3,3を介し両端から押圧されるためその端面およびバルブ61の外周面に強く当接して気密性の高い固定が行われる。
【0032】
上記のようにして性能評価用器具1がバルブ61に装着されたランプ6は、図3に示すように通常と同様に反射板71などを備えた照明器具7のソケット72,72に口金65,65部を挿着して取り付ける。この後、外筒2側面の一方の出入口21から光触媒の性能評価用のスピントラップ剤例えばDMPO(5.5−Dimethyl−1−pyrroline−N−oxide)を注入する。なお、外筒2側面の出入口21は1箇所でもよいが、2箇所設けることにより通気がよくなりスピントラップ剤の注入を容易にすることができる。また、注入量はバルブ61が液中に没する程度でよい。
【0033】
そして、上記照明器具7に通電して、ランプ6を所定時間点灯させたら外筒2側面の出入口21から注射器状のもので外筒2内のスピントラップ剤を少々抽出し、この抽出液を電子スピン共鳴装置を用いスピンアダクト(DMPO−OH)を計測する。
【0034】
すなわち、上記光触媒膜の性能評価方法は、光触媒膜が形成され少なくとも一部に 直管状部を有する透光性バルブ61を備えたランプ6のバルブ61に、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口21を有する外筒2を遊嵌させるとともにこの外筒2の両端をパッキン3を有するリング状のホルダ4を介しバルブ61に気密固定させる工程と;上記ランプ6のバルブ61に固定された外筒2の出入口21からスピントラップ剤を注入する工程と;上記ランプ6に通電して所定時間点灯する工程と;上記ランプ6のバルブ61に固定された外筒2の出入口21からスピントラップ剤の少なくとも一部を抽出する工程と;抽出したスピントラップ剤をスピントラップ法により計測する工程を経て行われる。
【0035】
なお、性能評価用器具1の組み立て順序は上記に限らず、例えば外側体4aの凹部41内にパッキン3を配設しておいて組み付けるなどその作業順序に多少の前後入替えがあっても差し支えない。
【0036】
本発明は上述したように外観形状に特長がある蛍光ランプ6などのバルブ61の一部を外筒2で覆い外筒2の内部に測定用のスピントラップ剤を注入できる光触媒の性能評価用器具1であって、従来の測定器具に比べその構造が簡単シンプル、小形化が可能で既存の照明器具7へ性能評価用器具1を装着したランプ6を取り付け点灯させることが可能であるとともに組立てや測定用溶液などの出入作業が容易で確実に行うことができる。また、抽出した溶液などの計測も電子スピン共鳴装置などを用いるスピントラップ法により容易に、かつ、高い精度で行うことができる。
【実施例】
【0037】
試験品は、FL20SS形蛍光ランプ6のバルブ61(外径約28mm)の中間部に、外径が約35mm、内径が約32mm、長さが約120mmの外筒2を通し、その両端部を外径が約60mm、厚さ(外側体+内側体)が約40mmのホルダ4でパッキン3を介し固定して構成した性能評価器具1を装着して、外筒2内にはスピントラップ剤として例えばDMPOが注入されていて、本発明ランプにはバルブに光触媒膜が形成してあるが、比較用のランプには光触媒膜が形成されていない。
【0038】
上記本発明ランプ(光触媒膜付き)および比較用ランプ(光触媒膜無し)の性能について図4および図5を参照して説明する。図4はランプ点灯5分後のDMPO−OHスペクトルを示し、横軸に磁場(mT)を、縦軸にDMPO−OHのシグナル強度(任意値:a.u.)を対比したグラフであり、また、図5は横軸にDMPO−OHの時間変化を示し、横軸に時間(分:min)を、縦軸にDMPO−OHのシグナル強度(任意値:a.u.)対比したグラフである。
【0039】
図4はOH(ヒドロキシルラジカル、オーハーラジカル)とDMPOが結合したスペクトルデータで、光触媒膜を形成したランプは、磁場332,333.5(mT)付近にスペクトル強度比で1:2となるシグナルが観測され、このシグナルパターンは典型的なDMPO―OHのスペクトルであることが明らかとなっている( H.NoDa、et al:Bull.Chem.Soc.Jpn、.65、2505)。
【0040】
一方、光触媒膜を形成していないランプは、磁場332,333.5(mT)にシグナルが観測されていないことから光触媒膜を形成したランプからヒドロキシルラジカルが生成されている。
【0041】
また、図5点灯は1分(min)、3分(min)、5分(min)、10分(min)および15分(min)経過後に外筒2内からDMPO液を注射器状のもので1回に約10ml抽出して、この抽出液を電子スピン共鳴装置を用いスピントラップ法により点灯15分(min)後までのDMPO−OHの強度を比較したデータである。光触媒膜を形成したランプは、点灯後5分までシグナル強度が増大し、以後、強度が低下する。
【0042】
このことは、ランプ点灯5分を経過すると、ヒドロキシルラジカルとDMPOとの反応と、ヒドロキシルラジカルがスピンアダクトDMPO―OHを破壊してしまう反応が同時に進行しているためである。
【0043】
つまり、時間の経過とともに水溶液中に増加したヒドロキシルラジカルがスピンアダクトを破壊する反応を優先的に起こすため、見かけ上スピンアダクトのシグナルが減少しているようにデータ上観測される。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限らない。例えば性能評価用器具の構造は、シャフトを用い一体化したものに限らず外筒の端部に、バルブの貫通孔を設けたキャップ状のホルダ(端板など)を回動や螺合させることにより介在したパッキンを圧縮して液密固定するようにしてもよい。
【0045】
また、この性能評価用器具は、バルブとの間に完全な液密が要求されるものではなく、内部に注入した液体が漏れない程度の気密性が保持できるものでよい。
【0046】
また、この性能評価用器具を構成する外筒は、ソーダガラスからなるものに限らず他の軟質ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの硬質ガラス、石英ガラスあるいはセラミックスなど少なくとも内面がスピンストラップ剤と反応しにくい材料で形成されたものであればよい。外筒の内径は内部を貫通するバルブ外面と1mm以上離れた、バルバが遊嵌された状態にある大きさであればよい。また、外筒の表面に遮光膜や反射膜などの遮光手段を付与しておくことにより、蛍光ランプより生じる光以外の外的要因による光が直接蛍光ランプのバルブ表面に形成された光触媒膜へ照射されることを防ぐ作用を奏させることができる。
【0047】
また、スピントラップ剤は、DMPOなどの水溶性液体状のものに限らず、4−POBNなどの水溶性固体を用いることもできる。
【0048】
また、本発明はバルブ表面に光触媒膜を形成したランプを被測定物としているが、バルブの形状は全体が直管状をしているものに限らず、U字形状やL字形状など上記性能評価用器具が装着できる直状部を一部に有しているランプに適用できる。また、ランプは蛍光ランプなどの紫外領域を利用するランプに限らず、白熱電球など可視領域に対応するランプの場合にはその波長に合ったスピントラップ剤を用い評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の光触媒膜の性能評価用器具の実施の形態を示す一部断面正面図である。
【図2】図1に示す光触媒膜の性能評価用器具の側面図である。
【図3】図1の性能評価用器具が装着されたランプを取着した照明器具の正面図である。
【図4】ランプ点灯5分後のDMPO−OHスペクトルを示すグラフである。
【図5】DMPO−OHの時間変化を対比して示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1…光触媒膜の性能評価用器具、 2…外筒、 21…出入り口、 3…パッキン、 4…ホルダ、 4a…外側体、 4b…内側体、 5…シャフト、 6…蛍光ランプ(ランプ)、61…バルブ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状部を有する透光性バルブの光触媒膜が形成されたバルブ外周面に装着されるパッキンを有する一対のリング状のホルダと;
バルブに遊嵌した状態で上記パッキンにより挟圧されてバルブに液密固定され、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口を有する外筒と;
を具備していることを特徴とする光触媒膜の性能評価用器具。
【請求項2】
外筒に遮光体が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光触媒膜の性能評価用器具。
【請求項3】
少なくとも一部に光触媒膜が形成された 直管状部を有する透光性バルブを備えたランプのバルブに、側面の少なくとも1箇所にスピントラップ剤の出入口を有する外筒を遊嵌させるとともにこの外筒の両端をパッキンを有するリング状のホルダを介しバルブに気密固定させる工程と;
上記ランプのバルブに固定された外筒の出入口からスピントラップ剤を注入する工程と;
上記ランプに通電して所定時間点灯する工程と;
上記ランプのバルブに固定された外筒の出入口からスピントラップ剤の少なくとも一部を抽出する工程と;
抽出したスピントラップ剤をスピントラップ法により計測する工程と;
からなることを特徴とする光触媒膜の性能評価方法。
【請求項4】
スピントラップ剤が、水溶性の液体または固体であることを特徴とする請求項3記載の光触媒膜の性能評価方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−333688(P2007−333688A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169000(P2006−169000)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】