説明

光記録媒体の包装体

【課題】光記録媒体の生保存性に優れ、長期間にわたって保存しても、保存前の感度、解像度、回折効率、多重露光の回数、などを維持することができ、感度、解像度、回折効率、多重露光の回数、などに優れた光記録媒体を提供することができる光記録媒体の包装体を提供すること。
【解決手段】ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体を、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)以下の包装材料で密閉してなることを特徴とする光記録媒体の包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィを利用して情報が記録される光記録媒体を長期間保存することができる光記録媒体の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度画像データ等の大容量の情報を書き込み可能な記録媒体の一つとして光記録媒体が挙げられる。このような光記録媒体としては、例えば、光磁気ディスク、相変化型光ディスク等の書換型光記録媒体やCD−R等の追記型光記録媒体については既に実用化されているが、光記録媒体の更なる大容量化に対する要求は高まる一方である。しかし、従来より提案されている光記録媒体は全て二次元記録であり、記録容量の増大化には限界があった。そこで、近時、三次元的に情報を記録可能なホログラム型の光記録媒体が注目されている。
【0003】
前記ホログラム型光記録媒体は、一般に、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光として記録層から出射される。
このホログラム型光記録媒体では、記録層内に光学特性分布が三次元的に形成されるので、一の情報光により情報が書き込まれた領域と、他の情報光により情報が書き込まれた領域とを部分的に重ね合わせること、即ち多重記録が可能である。デジタルボリュームホログラフィを利用した場合には、1スポットの信号対雑音比(S/N比)は極めて高くなるので、重ね書きによりS/N比が多少低くなっても元の情報を忠実に再現できる。その結果、多重記録回数が数百回までに及び、光記録媒体の記録容量を著しく増大させることができる(特許文献1参照)。
【0004】
このようなホログラム型の光記録媒体としては、例えば、図3に示すように、下側基板1表面にサーボピットパターン3を設け、このサーボピットパターン表面にアルミニウム等からなる反射膜2と、この反射膜上に少なくともフォトポリマーを含有する記録層4と、この記録層上にカバー基板5とを有するものが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、前記光記録媒体では、記録層にフォトポリマーが含まれているため、長期間保存すると、記録層中の酸素又は水分の濃度が徐々に高まり、該記録層が変質して感度が変動したり、酸素又は水分による重合阻害効果によって、該記録層の感度が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、前記フォトポリマー材料に対して、ガスバリア性を有するバリア層を別個に設けることにより、記録層への酸素又は水分の浸入を防ぐ技術が提案されている(非特許文献1参照)。しかし、ガスバリア性を有するバリア層は、一般に、ポリビニルアルコール、などの水素結合を豊富に含む素材であって、ガスバリア性に富む反面、耐水性に劣るという問題がある。
【0006】
このように、ガスバリア性と耐水性を両立する光記録媒体を単独で開発するのは容易ではない。しかし、ライトワンス型の記録媒体であれば、感光性のフォトポリマーは記録によってその役割を終えるため、記録以降の保存にそれほど精密な耐湿性、ガスバリア性を要求されるものではない。このことは、上述の通り、ガス及び湿度によって変動する性能の内容から明らかである。
したがって、ライトワンス型の記録媒体であれば、製造されてから実際に使用されるまでの期間において、酸素又は水分から保護すればよく、この機能は記録媒体そのものによらず、包装体の併用によっても実現可能である。しかしながら、ホログラム型の光記録媒体を長期間保存することができる光記録媒体の包装体もまた未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開2002−123949号公報
【特許文献2】特開平11−311936号公報
【非特許文献1】フォトポリマーハンドブック(フォトポリマー懇話会編、工業調査会発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、使用前のホログラム型の光記録媒体を長期間保存でき、さらに該光記録媒体の感度の低下を抑えることができる光記録媒体の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明者らが検討を行った結果、使用前のホログラム型の光記録媒体の包装体において、該光記録媒体の包装材料の透湿度を一定の値にすることにより、長期間保存しても、感度が低下していない光記録媒体を提供することができることを知見した。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体を、透湿度1.0g/(m2・day)以下の包装材料で密封してなることを特徴とする光記録媒体の包装体である。
<2> 光記録媒体を包装材料で密閉する際の相対湿度が、20〜45%である前記<1>に記載の光記録媒体の包装体である。
<3> 包装材料の酸素透過率が、0.01〜10ml/(m・day・MPa)である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<4> 包装材料が、遮光性を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
【0011】
<5> 光記録媒体が、追記型である前記<1>から<4>に記載の光記録媒体の包装体である。
<6> 光記録媒体が、未使用である前記<5>に記載の光記録媒体の包装体である。
<7> 光記録媒体が、ガスバリア性を有する材料で覆われている前記<1>から<6>に記載の光記録媒体の包装体である。
<8> 光記録媒体が、記録層を有し、該記録層がフォトポリマーを含む前記<1>から<7>に記載の光記録媒体の包装体である。
<9> 光記録媒体が、第一の基板と第二の基板との間に、記録層と、フィルタ層とを有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<10> 光記録媒体が、該光記録媒体に対する、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われる光記録方法に用いられる前記<1>から<9>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<11> フィルタ層が、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有する色材含有層を有する前記<9>から<10>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<12> フィルタ層が、色材含有層上にコレステリック液晶層とを有する前記<11>に記載の光記録媒体の包装体である。
<13> 色材が、赤色顔料である前記<11>から<12>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<14> 赤色顔料における532nmの光に対する透過率が、33%以下であり、且つ655nmの光に対する透過率が、66%以上である前記<13>に記載の光記録媒体の包装体である。
<15> フィルタ層が、色材含有層上に誘電体蒸着層を有する前記<11>から<14>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<16> 色材含有層が、バインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が、ポリビニルアルコール樹脂である前記<11>から<15>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<17> 色材含有層表面が、ラビング処理されている前記<11>から<16>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<18> フィルタ層が、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層した誘電体蒸着層を有する前記<9>から<17>のいずれかに光記録媒体の包装体である。
<19> 誘電体蒸着層が、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層した前記<18>に記載の光記録媒体の包装体である。
<20> 誘電体蒸着層が、誘電体薄膜を2〜20層積層した前記<18>から<19>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<21> フィルタ層が、単層のコレステリック液晶層を有する前記<9>から<20>いずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<22> フィルタ層が、コレステリック液晶層を2層以上積層した積層体である前記<9>から<20>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
該<22>に記載の光記録媒体においては、コレステリック液晶層を2層以上積層しており、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、記録又は再生時に用いられる情報光及び参照光、更に再生光は、反射膜に到達しないので、反射面上での乱反射による拡散光が発生することを防ぐことができる。したがって、この拡散光によって生じるノイズが再生像に重畳されてCMOSセンサ又はCCD上で検出されることもなく、再生像が少なくともエラー訂正可能な程度に検出することができるようになる。拡散光によるノイズ成分はホログラムの多重度が大きくなればなるほど大きな問題となる。つまり、多重度が大きくなればなるほど、例えば、多重度が10以上になると、1つのホログラムからの回折効率が極めて小さくなり、拡散ノイズがあると再生像の検出が非常に困難となるのである。この構成によれば、このような困難性は除去することができ、今までにない高密度画像記録が実現できる。
<23> コレステリック液晶層における選択反射波長帯域が連続的である前記<21>から<22>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<24> コレステリック液晶層が、少なくともネマチック液晶化合物、及び光反応型カイラル化合物を含有する前記<21>から<23>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<25> コレステリック液晶層が、円偏光分離特性を有する前記<21>から<24>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<26> コレステリック液晶層における螺旋の回転方向が互いに同じである前記<21>から<25>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<27> コレステリック液晶層における選択反射中心波長が互いに異なる前記<21>から<26>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<28> コレステリック液晶層における選択反射波長帯域幅が100nm以上である前記<21>から<27>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<29> フィルタ層が、第一の光を透過し、該第一の光と異なる第二の光を反射する前記<9>から<28>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<30> 第一の光の波長が600〜900nm、であり、かつ第二の光の波長が350nm以上600nm未満である前記<29>に記載の光記録媒体の包装体である。
<31> フィルタ層内の±40°以内の光における655nmでの光透過率が、50%以上であり、且つ532nmでの光反射率が、30%以上である前記<9>から<30>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<32> フィルタ層が、入射角度±40°における655nmでの光透過率が50%以上であり、かつ532nmでの光反射率が30%以上である前記<9>から<31>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<33> フィルタ層のλ〜λ/cos20°(ただし、λは照射光波長を表す。)における光反射率が40%以上である前記<9>から<32>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<34> フィルタ層のλ〜λ/cos40°(ただし、λは照射光波長を表す。)における光反射率が、40%以上である前記<9>から<33>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<35> フィルタ層が、ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体の選択反射膜として用いられる前記<9>から<34>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<36> フィルタ層が、光反応型カイラル化合物を有し、該光反応型カイラル化合物が、キラル部位と、光反応性基とを有し、該キラル部位がイソソルビド化合物、イソマンニド化合物及びビナフトール化合物から選択される少なくとも1種である前記<9>から<35>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<37> 光反応性基が、光照射により炭素−炭素二重結合のトランスからシスへの異性化を生じる基である前記<36>に記載の光記録媒体の包装体である。
<38> 第二の基板が、サーボピットパターンを有する前記<9>から<37>のいずれに記載の光記録媒体の包装体である。
<39> サーボピットパターン表面に反射膜を有する前記<38>に記載の光記録媒体の包装体である。
<40> 反射膜が、金属反射膜である前記<39>に記載の光記録媒体の包装体である。
<41> フィルタ層と反射膜との間に、第二の基板表面を平滑化するための第一ギャップ層を有する前記<39>から<40>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
<42> 記録層とフィルタ層との間に、第二ギャップ層を有する前記<9>から<41>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体である。
【0012】
<43> 前記<1>から<42>のいずれかに記載の光記録媒体の包装体を製造することを特徴とする光記録媒体の包装体の製造方法。
【0013】
<44> 前記<1>から<42>のいずれかに記載の光記録媒体に対する、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸となるようにして行われることを特徴とする光記録方法である。
【0014】
<46> 前記<44>から<45>のいずれかに記載の光記録方法により記録層に形成された干渉像に参照光と同じ再生光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することを特徴とする光再生方法である。
<47> 再生光が、光記録媒体の記録に用いられた参照光と同じ角度になるようにして、該再生光を干渉像に照射して記録情報を再生する前記<46>に記載の光再生方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、従来における問題を解決でき、長期間保存することができ、さらに感度が低下しない光記録媒体を提供できる光記録媒体の包装体を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(光記録媒体の包装体)
本発明の光記録媒体の包装体は、ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体を、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)の包装材料で密閉したものである。
【0017】
前記包装体を製造するときの相対湿度としては、25℃において、20〜45%が好ましく、25〜40%がより好ましく、30〜35%が特に好ましい。前記相対湿度が20%未満であると、特にフォトポリマーを含む記録層において、保存中に徐々に進むフォトポリマーの分解反応・劣化反応を抑制するために必要な最低限の酸素又は水分を保つことができずに記録層の性能が劣化するおそれがあり、45%を超えると、前記包装体の内部の湿度が高くなり、酸素あるいは水分の浸入抑制効果が薄くなり、前記光記録媒体の特性が変化するおそれがある。
前記包装体を製造するときの温度としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、10〜40℃であることが好ましく、18〜30℃であることがより好ましい。前記10℃未満であると、空気中の相対湿度が増加した結果、所望の湿度で以って光記録媒体を包装することが困難になることがあり、前記40℃を超えると、相対湿度を極めて低く保たなければ、比較的低い温度で保存を行った際内部で結露するおそれがあり、これに適合した湿度をこの温度で保つのは技術上困難になることがある。
前記光記録媒体の包装体の形態としては、前記光記録媒体を前記包装材料で密閉したものであれば特に制限はなく、例えば、硬質の材料で作られた箱型、又は円筒状の形状、フィルム状の材料で作られた袋状の形状、硬質の材料を骨材とし、フィルム状のものを壁面とした箱型、又は円筒状の形状、後述する材料のうち任意のものを用い、任意の意匠を形取ったもの、などが挙げられる。
前記光記録媒体の包装体に内包する光記録媒体の数としては、1枚のみでもよいし、複数枚でもよい。前記複数枚の光記録媒体を一つの包装体に一括して包装する場合は、光記録媒体同士の接触によるキズの発生を防ぐための方策を包装体に施しておくことが好ましい。また、複数の包装物によって一つの包装体を形作ってもよい。この場合は、前記複数の包装物全体を以って一つの包装体とみなし、その性能は、全体での性能を以って測定されるものである。
前記包装体の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、複数の部材から包装体を形成する場合、予め作製しておいた各部材を適宜組み合わせた上、接合部をガスバリア性を有するシール剤または接着剤での接合、又は熱融着や溶接によって固定し組み立てる方法、射出成形やブロー成形によって一体成形した包装体を、光記録媒体を入れた後封止する方法、などが挙げられる。
前記包装体の密閉方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、後述のバリア性を有する接着剤やシール剤で以って接着する方法、などが挙げられる。
前記接着剤の接着方式としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、2液混合型、1液硬化型、熱融着型、などが挙げられる。
前記シール剤の接着方式としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記接着剤の接着方式と同様のものが挙げられる。
前記包装部材そのものが熱融着性を有している場合における密閉方法としては、例えば、ラミネート、熱圧着、などを用いた方法が挙げられる。
【0018】
前記包装体の保存温度としては、例えば、10〜50℃が好ましく、15〜45℃がより好ましい。前記保存温度が10〜50℃の範囲外であると、前記光記録媒体の特性が変化することがある。
前記包装体の保存湿度(相対湿度)としては、例えば、25℃において、20〜80%が好ましく、30〜60%がより好ましい。前記保存湿度が20〜80%の範囲外であると、前記包装材料が吸湿して物性が変化することがあり、そのため、前記包装材料が所望の透湿性を発揮できないことがある。
【0019】
<包装材料>
前記包装材料の透湿度としては、0.01〜1.0g/(m2・day)であり、0.05〜0.9g/(m2・day)が好ましく、0.1〜0.7g/(m2・day)がより好ましい。前記透湿度が、0.01〜1.0g/(m2・day)であると、十分な保存性を達成することができ、且つ、低コストで包装することが可能になり、0.01g/(m2・day)未満であると、材料のコストが高くなることがあり、1.0g/(m2・day)を超えると、光記録媒体の性能が劣化するおそれがある。前記透湿度は、40℃、90%RHの雰囲気下で測定した値である。
前記透湿度の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法から適宜選択することができ、例えば、JIS K7129 B法(赤外センサー法)を用いた測定方法、ASTM F1249−90に示された測定方法に準じた水蒸気透過度測定装置(MOCON社)を用いた測定方法、などが挙げられる。
前記包装材料の酸素透過率としては、例えば、0.01〜15ml/(m2・day・Mpa)が好ましく、0.05〜12ml/(m2・day・Mpa)がより好ましく、0.1〜10ml/(m2・day・Mpa)が特に好ましい。前記酸素透過率が0.01〜15ml/(m2・day・Mpa)であると、十分な保存性を達成することができ、且つ、低コストで包装することが可能になり、0.01ml/(m2・day・Mpa)未満であると、材料のコストが高くなることがあり、15ml/(m2・day・Mpa)を超えると、光記録媒体の性能が劣化するおそれがある。前記酸素透過率は、25℃80%RHの雰囲気下で測定した値である。
前記酸素透過率の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、JIS K 7126 B法(等圧法)を用いた測定方法、ASTM D3985−81に示された測定方法に準じた酸素透過度測定装置(MOCON社)を用いた測定方法、などが挙げられる。
【0020】
前記包装材料としては、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)であれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、食品、薬剤、印刷版、磁気テープ、写真用銀塩フィルムなど周囲環境の変化に鋭敏な製品に対して用いられているものが挙げられる。具体的には、アルミ蒸着紙(バリア紙)、プラスチックフィルム、金属の蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属を延伸した金属箔、その他の複合材料フィルム、などが挙げられる。
前記アルミ蒸着紙(バリア紙)としては、特に制限はなく、公知のもの中から適宜選択することができる。
前記プラスチックフィルムとしては、特に制限はなく、公知のもの中から適宜選択することができる。
前記プラスチックフィルムの材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、アイオノマー、これらの複合材料、などが挙げられる。
前記金属又は金属酸化物の蒸着フィルムとしては、特に制限はなく、公知のもの中から適宜選択することができ、例えば、ベースフィルムに金属又は金属酸化物を蒸着したもの、などが挙げられる。
前記ベースフィルムとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記プラスチックフィルムが挙げられる。
前記前記金属又は金属酸化物としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミ、これらの酸化物、などが挙げられる。
前記金属を延伸した金属箔としては、特に制限はなく、公知のもの中から適宜選択することができる。
前記金属を延伸した金属箔の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アルミ、などが挙げられる。
前記包装材料の厚みとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、5〜800μmが好ましく、7〜500μmがより好ましく、10〜200μmが特に好ましく。前記厚みが800μmを超えると、コストが高くなることがあり、5μm未満であると、包装材料の機械的な物性が損なわれて、簡単に破れてしまうことがある。
【0021】
前記包装材料としては、遮光性であることが好ましい。前記包装材料を遮光性にすることにより、前記光記録媒体の感度の低下をより効果的に抑えることができる。
前記遮光性を有する包装材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記包装材料の表面を着色したもの、前記包装材料中に顔料や染料を練り込んだもの、などが挙げられる。
前記包装材料の表面を着色したものの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記包装材料の表面に顔料又は染料を塗布する方法、などが挙げられる。
前記顔料及び染料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
前記顔料及び染料を塗布する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、スプレーコート法、ディップロール法、グラビアロールコート法、バーコート法、ギーサー法、ブレードコート法、スクリーン印刷法、などが挙げられる。
前記包装材料中に顔料や染料を練り込んだものの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
前記包装材料中に顔料や染料を練り込んだものとしては、前記包装材料が有機材料であることが好ましい。
前記遮光性を有する包装材料の色としては、例えば、黒色であることが好ましい。デザイン性を向上させるため、様々な色に着色されていてもよい。
前記前記遮光性を有する包装材料の光の透過率としては、例えば、630nm以下の波長の光の場合、0.1%以下が好ましく、0.01%以下がより好ましく、0.001%以下が特に好ましい。
【0022】
<光記録媒体>
前記光記録媒体としては、ホログラフィを利用して情報を記録することを特徴とする。
前記光記録媒体の種類としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、再生専用型、追記型、書換え型、などが挙げられる。これらの中でも、安定して高感度な光記録媒体が要求されており、書き込み可能なフォトポリマータイプの光記録媒体が最も本発明の効果を達成できること、並びに該フォトポリマータイプの光記録媒体は必然的に書き換え不可能であることから、使用前の追記型であることが好ましい。
前記光記録媒体の形態としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カートリッジなどに入れられているもの、カートリッジなどに入れられていないもの、などが挙げられる。
前記カートリッジの材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
前記カートリッジなどに入れられていないものは、破損防止のために、取り外し可能なケース、骨材、緩衝材、などと共に封入することが好ましい。
前記カートリッジ、前記取り外し可能なケース、前記骨材、及び前記緩衝材の含水率としては、例えば、0〜10%が好ましく、0.01〜8%がより好ましく、1〜6%が特に好ましい。前記含水率が、0%である場合は、JIS規格における水分量の検定において有意な量が検出されない場合であって、前記含水率の下限値は特に本発明に限定を与える条件ではない。前記含水率が、10%を超えると、包装内部を加湿することとなり、保存性が不十分になることがある。
【0023】
前記光記録媒体は、ガスバリア性が付与されていることが好ましい。前記ガスバリア性が付与されていると、前記光記録媒体の感度の低下を抑えることができる。
前記ガスバリア性の付与する方法としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記光記録媒体をガスバリア性を有する封止剤で処理する方法、前記光記録媒体をガスバリア性を有する接着剤で処理する方法、前記光記録媒体にガスバリア性を有するコート層を設ける方法、などが挙げられる。
前記光記録媒体をガスバリア性を有する封止剤で処理する方法は、前記光記録媒体を構成する各部材の境界面が見える面を前記封止剤で覆う方法である。
前記封止剤としては、ガスバリア性を有するものであれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリコーン系接着剤、エポキシド系接着剤、アクリレート系接着剤、イソシアネート系接着剤、などが挙げられる。前記封止剤としては、市販のものを用いてもよく、例えば、防錆コーティング剤、シーリング剤、などが挙げられる。これらの中でも、光学的な透明性やデザイン性の観点から、シリコーン系接着剤、エポキシド系接着剤などが好ましい。
前記光記録媒体をガスバリア性を有する接着剤で処理する方法は、貼り合わせによって記録層部分とその他の基板や層を接着する際において、特に記録層に接する接着部位にガスバリア性の接着剤を用いる方法である。この方法により、前記記録層への酸素ガスの浸入が最小限に抑えられ、所望の保存性を達することができる。
前記接着剤としては、ガスバリア性を有するものであれば特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリコーン系接着剤、エポキシド系接着剤、アクリレート系接着剤、イソシアネート系接着剤、などが挙げられる。前記接着剤としては、市販のものを用いてもよく、例えば、防錆コーティング剤、シーリング剤、などが挙げられる。これらの中でも、光学的な透明性やデザイン性の観点から、シリコーン系接着剤、エポキシド系接着剤などが好ましい。
前記光記録媒体にガスバリア性を有するコート層を設ける方法は、前記コート層で前記光記録媒体を覆う方法である。
前記コート層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリN−ビニルピロリドン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体、これらの混合物、などが挙げられる。これらの材料を溶剤に溶解させた上で塗布し溶剤を除いてコート層としてもよいし、熱溶融させたこれらの材料を薄く塗布し冷却してコート層としてもよいし、予め薄膜に加工したこれらの材料をラミネートしてコート層としてもよい。
前記コート層は、添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、光学的な透明性を向上させるものであり、且つガスバリア性に優れているものであれば特に制限はなく、例えば、膨潤性雲母、コロイダルシリカ、酸化チタン、ジルコニア、などの微粒子が挙げられる。
前記光記録媒体を覆う方法としては、前記光記録媒体の全体を覆い包む方法、部分的に覆う方法、などが挙げられる。
前記部分的に覆う方法としては、例えば、前記光記録媒体における、封止剤の部分、接着剤の部分、開口部分、接合部分、などを覆う方法が挙げられる。これらは、1箇所を覆う方法でもよいし、2箇所以上を覆う方法でもよい。
前記封止剤の部分は、記録媒体を構成する部材間に1箇所または複数の間隙があり、これを上述の封止剤で封止してある媒体において、前記封止剤が上記各部材と直接接する部分以外の部分、即ち封止剤の露出部位のことを示す。
前記接着剤の部分は、記録媒体を構成する各部材の接合部分を接着剤で貼り合わせてある部分のうち、接着剤が構成部材と直接接している部分以外の部分、即ち端面のことを示す。
前記開口部分は、記録媒体を構成する部材間に1箇所または複数の間隙があり、これを封止剤やスペーサーなどによって封止せずに開放されている部分のことを示す。より具体的には、前記封止せずに開放されている部分の間隙の最小幅が、0.1μmを超える部分のことである。また、記録層がその他の記録媒体形成部材に覆われることなく外気に開放である場合、この開放部分も開口部とする。
前記接合部分は、記録媒体を構成する部材間に1箇所または複数の間隙があり、その封止されていない間隙の最小幅が0.1μmを超えず、かつ、接着剤や封止剤等で接着または封止されていない部分のことを示す。
【0024】
前記光記録媒体に記録されるホログラムの種類としては、2次元などの情報を記録する比較的薄型の平面ホログラム、立体像など多量の情報を記録する体積ホログラムが挙げられる。また、前記光記録媒体は、透過型及び反射型のいずれであってもよい。
前記ホログラムの具体例としては、例えば、振幅ホログラム、位相ホログラム、ブレーズドホログラム、複素振幅ホログラム、などが挙げられる。
前記光記録媒体は、少なくとも一の支持体上に記録層を積層し、情報光と参照光とが異なる方向から照射される一般的なホログラムの記録に用いられる第一の形態、第一の基板と、第二の基板と、該第二の基板上に記録層と、前記第二の基板と該記録層との間にフィルタ層とを有し、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸になるようにして行われるコリニア方式に用いられる第二の形態などが挙げられる。以下第一の形態及び第二の形態について順に説明する。
【0025】
≪第一の形態≫
前記第一の形態は一般のホログラム記録方法に用いられるもので、層構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体上に記録層を単層又は2以上の層を積層した構成、図10に示すように、支持体42及び43により記録層41を挟み込み、支持体42及び43の最外層にそれぞれ反射防止層44及び45を形成した層構成などが挙げられる。
更に、記録層41及び支持体42との間、記録層41と支持体43との間にガスバリア層などを形成してもよい。また、反射防止層44及び45の表面に保護層などを設けてもよい。
【0026】
<記録層>
前記記録層は、ホログラフィを利用して情報が記録され得るものであり、所定の波長の電磁波(γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波など)を照射すると、その強度に応じて吸光係数や屈折率などの光学特性が変化する材料が用いられる。
【0027】
前記記録層の材料はフォトポリマー及び必要に応じて適宜選択したその他の成分が含まれる。
【0028】
−フォトポリマー−
前記フォトポリマーとしては、光照射で重合反応が起こり高分子化するものや光照射で分解するものなどが挙げられ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノマー、及び光開始剤を含有してなり、更に必要に応じて増感剤、オリゴマー、バインダー、などのその他の成分を含有してなる。
【0029】
前記フォトポリマーとしては、例えば、「フォトポリマーハンドブック」(工業調査会、1989年)、「フォトポリマーテクノロジー」(日刊工業新聞社、1989年)、SPIE予稿集 Vol.3010 p354−372(1997)、及びSPIE予稿集
Vol.3291 p89−103(1998)に記載されているものなどが挙げられる。また、米国特許第5,759,721号明細書、同第4,942,112号明細書、同第4,959,284号明細書、同第6,221,536号明細書、米国特許第6,743,552号明細書、国際公開第97/44714号パンフレット、同第97/13183号パンフレット、同第99/26112号パンフレット、同第97/13183号パンフレット、特許第2880342号公報、同第2873126号公報、同第2849021号公報、同第3057082号公報、同第3161230号公報、特開2001−316416号公報、特開2000−275859号公報、米国特許第6,765,061号明細書、などに記載されているフォトポリマーなどが挙げられる。
【0030】
−モノマー−
前記モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル基やメタクリル基のような不飽和結合を有するラジカル重合型のモノマー、エポキシ環やオキセタン環のようなエーテル構造を有するカチオン重合型系モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、単官能であっても多官能であってもよい。また、光架橋反応を利用したものであってもよい。
【0031】
前記ラジカル重合型のモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ナフト−1−オキシエチルアクリレート、2−カルバゾイル−9−イルエチルアクリレート、(トリメチルシリルオキシ)ジメチルシリルプロピルアクリレート、ビニル−1−ナフトエート、N−ビニルカルバゾール、2,4,6−トリブロムフェニルアクリレート、ペンタブロムアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどが挙げられる。
【0032】
前記カチオン重合型系モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、グリセロールトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサングリシジルエーテル、ビニルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、下記構造式(M1)〜(M6)で表される化合物などが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
【化1】

【0034】
−光開始剤−
前記光開始剤としては、記録光に感度を有するものであれば特に制限はなく、光照射によりラジカル重合、カチオン重合、架橋反応などを引き起こす材料などが挙げられる。
前記光開始剤としては、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ジ−t−ブチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−ジエチルアミノフェニルベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−2−オン、ベンゾフェノン、チオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルアシルホスフィンオキシド、トリフェニルブチルボレートテトラエチルアンモニウム、ビス(η−5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニルチタニウム〕、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、照射する光の波長に合わせて増感色素を併用してもよい。
【0035】
−増感色素−
前記増感色素としては、「Research Disclosure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己、大河原信/編、1987年)、などに記載された公知の化合物を使用することができる。
【0036】
前記増感色素として、分光増感色素などが挙げられる。該分光増感色素として、例えば、特開昭58−15603号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号公報に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号公報、同60−53300号公報に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号公報、同62−3842号公報、特開昭59−89303号公報、同60−60104号公報に記載のメロシアニン化合物などが挙げられる。
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))、などに記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素が挙げられる。
さらに、クマリン(ケトクマリンまたはスルホノクマリンも含まれる。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、などのケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素、などの非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、などの非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素、などのキノンイミン色素、なども分光増感色素に含まれる。
前記分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
−バインダー樹脂−
前記バインダー樹脂は、塗膜性、膜強度、及びホログラム記録特性向上の効果を高める目的で使用されるものであり、ホログラム材料及び光熱変換物質との相溶性を考慮して適宜選択される。前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチン、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアルコール、マレイン酸及びアクリル酸の少なくともいずれかとの共重合体;塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体;塩化ビニル/アクリロニロリル共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体;ニトロセルロース樹脂、などのセルロース誘導体;ポリアクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ノボラック樹脂、可溶性ナイロン、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フォルマリン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、分散性及び耐久性を更に高めるため、以上に挙げたバインダー樹脂分子中に、極性基(エポキシ基、COH、OH、NH、SOM、OSOM、PO、OPO(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、又はアンモニウムであり、一つの基の中に複数のMがあるときは互いに異なっていてもよい)を導入したものが好ましい。該極性基の含有量としては、バインダー樹脂1グラム当り10−6〜10−4当量が好ましい。以上列挙したバインダー樹脂は、ヘミアセタール系やイソシアネート系の公知の架橋剤を添加して硬化処理してもよい。
【0038】
前記記録層の固形分中のバインダーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜95質量%であることが好ましく、35〜90質量%であれることがより好ましい。前記含有量が、10質量%未満であると、安定な干渉像が得られないことがあり、95質量%を超えると、回折効率の点で望ましい性能が得られないことがある。
前記バインダーの感光層中における含有量は、全感光層固形分中、10〜95質量%が好ましく、35〜90質量%がより好ましい。
【0039】
−重合禁止剤及び酸化防止剤−
前記記録層の貯蔵安定性を改良する目的でフォトポリマーの重合禁止剤や酸化防止剤を加えてもよい。重合禁止剤、酸化防止剤としては例えば、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシヤリ−ブチル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−ターシヤリ−ブチルフェノール)、トリフェルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト,フェノチアジン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。使用量としては組成物に使用するモノマーの全量に対して3質量%以内であり、3質量%を超えると、重合が遅くなるか、著しい場合は重合しなくなる。
【0040】
−記録層に含まれるその他の成分−
前記記録層の感度を向上させる目的で光熱変換材料を含有させることもできる。光熱変換材料としては、特願2005−84780号明細書の記載を参考にすることができる。
また、重合時の体積変化を緩和するため、重合成分とは逆方向へ拡散する成分を添加してもよく、あるいは、酸開裂構造を有する化合物を重合体のほかに別途添加してもよい。
【0041】
−記録層の形成方法−
前記記録層は、材料に応じて公知の方法に従って形成することができるが、例えば、湿式成膜法、印刷法、転写法、その場重合による硬膜法、などが好ましい。これらの中でも、前記湿式成膜法、前記その場重合による硬膜法が好ましい。
【0042】
前記湿式成膜法による前記記録層の形成は、例えば、前記記録層の材料を溶剤に溶解乃至分散させた溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより、好適に行うことができる。該湿式成膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法などが挙げられる。
【0043】
前記その場重合による硬膜法による前記記録層の形成は、例えば、熱、光、又は、反応成分の混合により硬化し膜を形成することができる液状、又は、溶融した固体の組成物を、任意の形状に成形した後、更に、熱、光、又は、反応成分の混合による反応の進行を用いて硬化することにより好適に行うことができる。
前記その場重合とは、in situ重合とも呼ばれ、溶剤を含むことなく組成物をその場で所望の形状に製膜・成形することができる。
前記成形の方法としては、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法、などの公知の塗布法、型に流し込んだ後に硬化させる方法、などが挙げられる。
【0044】
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100〜2,000μmが好ましく、200〜1,000μmがより好ましい。
前記記録層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、10〜300多重のシフト多重を行っても十分なS/N比を得ることができ、前記より好ましい数値範囲であると、それが顕著である点で有利である。
【0045】
−支持体−
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状平板状、シート状などが挙げられる。
前記構造としては、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
前記大きさとしては、前記光記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0046】
前記支持体の材料としては、特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができるが、光記録媒体の機械的強度を確保できるものであり、記録及び再生に用いる光が基板を通して入射する透過型の場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース、などのアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0047】
前記支持体としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記基板の厚みが、0.1mm未満であると、ディスク保存時の形状の歪みを抑えられなくなることがあり、5mmを超えると、ディスク全体の重量が大きくなってドライブモーターなどにより回転して用いる場合には、過剰な負荷をかけることがある。
【0048】
<光記録方法>
前記光記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透過型、反射型などが挙げられる。また、ホログラムの記録方式もいずれであってもよく、振幅ホログラム、位相ホログラム、ブレーズドホログラム、複素振幅ホログラムなどでもよい。例えば、図9に示す反射型の光記録方法などでもよい。前記光記録方法は、光源61から出射した光をハーフミラー64により透過した情報光51と、反射した参照光52に分割し、情報光51をミラー66及びビームエキスパンダ68を経由して拡大して光記録媒体50の記録層面に照射し、参照光52を、ミラー65及びビームエキスパンダ67を経由して拡大して情報光51が照射される前記記録層面と反対側の記録層面に照射する方法である。このように情報光51と参照光52が照射されると、情報光51と参照光52は前記記録層内で干渉し、干渉縞が生成され、該干渉縞が記録される。なお、該干渉縞は光情報に対応する干渉像である。
【0049】
<光記録再生方法>
前記光記録再生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の光記録方法により記録された光記録媒体に対して、記録時の参照光の照射と、同一の方向から同じ光を照射することにより再生する方法などが挙げられる。前記光を前記光記録媒体の記録層に形成された干渉像に照射すると、該干渉像に対応した記録情報としての回折光が生成され、該回折光を受光して再生することができる。
【0050】
≪第二の形態≫
前記第二の形態は、情報光及び参照光の照射が、該情報光の光軸と該参照光の光軸とが同軸となるようにして行われるコリニア方式に用いられる光記録媒体の形態で、第一の基板と、第二の基板と、該第二の基板上に記録層と、前記第二の基板と該記録層との間にフィルタ層と、必要に応じて、反射膜、ギャップ層、などのその他の部材を有する光記録媒体などが挙げられる。
【0051】
<記録層>
前記記録層は、第一の形態に用いられたフォトポリマーなどからなる記録層と同様の記録層を用いることができる。
前記記録層の位置は、前記第一の基板と、前記第二の基板との間が好ましい。
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、100〜2,000μmが好ましく、200〜1,000μmがより好ましい。
前記記録層の厚みが、前記好ましい数値範囲であると、10〜300多重のシフト多重を行っても十分なS/N比を得ることができ、前記より好ましい数値範囲であると、それが顕著である点で有利である。
【0052】
<第一の基板>
前記第一の基板は、図1及び図2に示すように、記録層4の表面に積層され、記録層4の表面を保護するとともに、光記録媒体21の機械的強度を向上させるものである。
前記第一の基板としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状平板状、シート状、などが挙げられる。
前記構造としては、例えば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記大きさとしては、前記光記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記第一の基板の厚みとしては、例えば、0.3〜2.0mmであることが好ましく、0.5〜1.8mmがより好ましい。
また、記録及び再生に用いる光が前記第一の基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
【0053】
前記第一の基板の材料としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース、などのアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、剥離性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
前記第一の基板としては、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0054】
<第二の基板>
前記第二の基板は、光記録媒体へ記録するための情報光及び参照光の照射位置に関する情報が形成されるとともに、前記光記録媒体の機械的強度を向上させる機能を有する。前記第二の基板は、前記情報が形成されている面を記録層側にして積層することが好ましい。
また、記録及び再生に用いる光が前記第二の基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが必要である。
【0055】
前記第二の基板としては、その形状、構造、大きさ等については、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状、などが挙げられ。これらの中でも、光記録媒体の機械的強度を確保できる形状のものが好ましい。また、前記第一の基板と外形状が同形状であることが好ましい。
前記厚みとしては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.3〜2.0mmであることが好ましく、0.5〜1.8mmがより好ましい。
前記大きさとしては、前記光記録媒体の大きさに応じて適宜選択することができる。
【0056】
前記第二の基板の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂が特に好適である。
前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が特に好ましい。
前記第二の基板としては、前記第一の基板と同様に、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0057】
前記第二の基板における光照射位置に関する情報としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラッキング情報、フォーカス情報、アドレス情報、ディスク条件情報、などが挙げられる。
前記トラッキング情報としては、例えば、ウォブルピット、ウォブルグルーブ、トラッキングピット、などが挙げられる。
前記フォーカス情報としては、例えば、該第二の基板表面に形成した反射膜、フォーカス用ミラー部分、フォーカス用ピット、などが挙げられる。
前記アドレス情報としては、例えば、前記ウォブルピット上に形成した凹凸、エンコードしたピット列、ウォブル変調信号、などが挙げられる。
前記各情報を複合的に形成してもよい。例えば、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアを所定の角度間隔で設け、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間をデータエリアとしてもよい。該アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によってサーボピットパターンを記録することにより形成してもよい(プリフォーマット)。
なお、光記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くてもよい。
【0058】
−反射膜−
前記反射膜は、前記第二の基板のサーボピットパターン表面に形成される。
前記反射膜の材料としては、記録光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。使用する光の波長が、400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。使用する光の波長が、650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、前記反射膜として、光を反射すると共に、追記及び消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用い、ホログラムをどのエリアまで記録したかとか、いつ書き換えたかとか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったかなどのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記及び書き換えすることも可能となる。
【0059】
前記反射膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、などが用いられる。これらの中でも、量産性、膜質等が優れている点で、スパッタリング法が好ましい。
前記反射膜の厚みとしては、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。前記厚みが、50nm以上であると、十分な反射率を実現することができる。
【0060】
−フィルタ層−
前記フィルタ層は、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光及び参照光による光記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能がある。前記光記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録が得られる。
前記フィルタ層の機能としては、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の光を反射することが好ましい。そのためには、光学系側から見て、記録層、フィルタ層、及びサーボビットパターンの順に積層されている構造の光記録媒体であることが好ましい。
前記第一の波長の光としては、600〜900nmが好ましい。
前記第二の波長の光としては、350nm以上600nm未満が好ましい。
前記フィルタ層の光透過率としては、入射角度±40°における、655nmの光の場合、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。さらに、前記フィルタ層の光反射率としては、532nmの光の場合、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック層、更に必要に応じてその他の層の積層体により形成される。また色材含有層を有していてもよい。
前記フィルタ層の積層方法としては、例えば、前記第二の基板に塗布などにより積層する方法、フィルムなどの基材上に積層して光記録媒体用フィルタを作製し、該光記録媒体用フィルタを、前記第二の基板上に積層する方法などが挙げられる。
【0061】
−−誘電体蒸着層−−
前記誘電体蒸着層は、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜を複数層積層してなり、波長選択反射膜とするためには、高屈折率の誘電体薄膜と低屈折率の誘電体薄膜とを交互に複数層積層することが好ましいが、2種以上に限定されず、それ以上の種類であってもよい。また色材含有層を設ける場合は、誘電体蒸着層の下に形成する。
前記積層数としては、2〜20層が好ましく、2〜12層がより好ましく、4〜10層が更に好ましく、6〜8層が特に好ましい。前記積層数が、20層を超えると、多層蒸着により生産効率性が低下し、本発明の目的及び効果を達成できなくなることがある。
【0062】
前記誘電体薄膜の積層順については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、隣接する膜の屈折率が高い場合には、それより低い屈折率の膜を最初に積層する。その逆に隣接する層の屈折率が低い場合には、それより高い屈折率の膜を最初に積層する。前記屈折率が高いか低いかを決める閾値としては、1.8が好ましい。なお、屈折率が高いか低いかは絶対的なものではなく、高屈折率の材料の中でも、相対的に屈折率の大きいものと小さいものとが存在してもよく、これらを交互に使用してもよい。
【0063】
前記高屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Sb、Sb、Bi、CeO、CeF、HfO、La、Nd、Pr11、Sc、SiO、Ta、TiO、TlCl、Y、ZnSe、ZnS、ZrO、などが挙げられる。これらの中でも、Bi、CeO、CeF、HfO、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOが好ましく、これらの中でも、SiO、Ta、TiO、Y、ZnSe、ZnS、ZrOがより好ましい。
【0064】
前記低屈折率の誘電体薄膜の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Al、BiF、CaF、LaF、PbCl、PbF、LiF、MgF、MgO、NdF、SiO、Si、NaF、ThO、ThF、などが挙げられる。これらの中でも、Al、BiF、CaF、MgF、MgO、SiO、Siが好ましく、これらの中でも、Al、CaF、MgF、MgO、SiO、Siがより好ましい。
なお、前記誘電体薄膜の材料においては、原子比についても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、成膜時に雰囲気ガス濃度を変えることにより、原子比を調整することができる。
【0065】
前記誘電体薄膜の成膜方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオンプレーティング、イオンビーム等の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、などが挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法、スパッタリングが好ましく、スパッタリングがより好ましい。
前記スパッタリングとしては、成膜レートの高いDCスパッタリング法が好ましい。なお、DCスパッタリング法においては、導電性が高い材料を用いることが好ましい。
また、前記スパッタリングにより多層成膜する方法としては、例えば、(1)1つのチャンバで複数のターゲットから交互又は順番に成膜する1チャンバ法、(2)複数のチャンバで連続的に成膜するマルチチャンバ法とがある。これらの中でも、生産性及び材料コンタミネーションを防ぐ観点から、マルチチャンバ法が特に好ましい。
前記誘電体薄膜の厚みとしては、光学波長オーダーで、λ/16〜λが好ましく、λ/8〜3λ/4がより好ましく、λ/6〜3λ/8が特に好ましい。
【0066】
−−コレステリック液晶層−−
前記コレステリック液晶層は、少なくとも、コレステロール誘導体、又はネマチック液晶化合物及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記コレステリック液晶層は、単層コレステリック液晶層及び2層以上の複数層コレステリック液晶層のいずれであってもよい。
【0067】
前記コレステリック液晶層としては、円偏光分離機能を有するものが好ましい。前記円偏光分離機能を有するコレステリック液晶層は、液晶の螺旋の回転方向(右回り又は左回り)と円偏光方向とが一致し、波長が液晶の螺旋ピッチであるような円偏光成分の光だけを反射する選択反射特性を有する。該コレステリック液晶層の選択反射特性を利用して、一定の波長帯域の自然光から特定波長の円偏光のみを透過分離し、その残りを反射する。
【0068】
前記フィルタ層は、垂直入射を0°とし±20°の範囲であるλ〜λ/cos20°(ただし、λは、照射光波長を表す。)における光反射率が、40%以上であることが好ましく、垂直入射を0°とし±40°の範囲であるλ〜λ/cos40°(ただし、λは、照射光波長を表す。)における光反射率が、40%以上であることが特に好ましい。前記λ〜λ/cos20°、特にλ〜λ/cos40°(ただし、λは、照射光波長を表す。)における光反射率が、40%以上であれば、照射光反射の角度依存性を解消でき、通常の光記録媒体に用いられているレンズ光学系を採用することができる。このためにはコレステリック液晶層の選択反射波長幅が大きいことが好ましい。
具体的には、(1)単層コレステリック液晶層の場合には、コレステリック液晶層の選択反射波長領域幅Δλは、下記数式1で表されことから、(ne−no)の大きな液晶を用いることが好ましい。
<数式1>
Δλ=2λ(ne−no)/(ne+no)
ただし、前記数式1中、noは、コレステリック液晶層に含有されるネマチック液晶分子の正常光に対する屈折率を表し、neは、該ネマチック液晶分子の異常光に対する屈折率を表し、λは、選択反射の中心波長を表す。
また、特願2004−352081号明細書記載のように、カイラル化合物として感光性を有し、光によって液晶の螺旋ピッチを大きく変化させることができる光反応型カイラル化合物を用い、該光反応型カイラル化合物の含有量やUV照射時間を調整することにより、螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に連続的に変化した前記フィルタ層を用いることが好ましい。
【0069】
また、(2)複数層コレステリック液晶層の場合には、選択反射中心波長が互いに異なり、前記各コレステリック液晶層の螺旋の回転方向が互いに同じであるコレステリック液晶層を積層することが好ましい。
前記コレステリック液晶層は、上記特性を充たせば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述したように、ネマチック液晶化合物、及びカイラル化合物を含有してなり、重合性モノマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0070】
−−−ネマチック液晶化合物−−−
前記ネマチック液晶化合物は、液晶転移温度以下ではその液晶相が固定化することを特徴とし、その屈折率異方性Δnが、0.10〜0.40の液晶化合物、高分子液晶化合物、及び重合性液晶化合物の中から目的に応じて適宜選択することができる。溶融時の液晶状態にある間に、例えば、ラビング処理等の配向処理を施した配向基板を用いるなどにより配向させ、そのまま冷却等して固定化させることにより固相として使用することができる。
【0071】
前記ネマチック液晶化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、十分な硬化性を確保する観点から、分子内に重合性基を有するネマチック液晶化合物が好ましく、これらの中でも、紫外線(UV)重合性液晶が好適である。該UV重合性液晶としては、市販品を用いることができ、例えば、BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC242;Merck社製の商品名E7;Wacker−Chem社製の商品名LC−Sllicon−CC3767;高砂香料株式会社製の商品名L35、L42、L55、L59、L63、L79、L83、などが挙げられる。
【0072】
前記ネマチック液晶化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し、30〜99質量%が好ましく、50〜99質量%がより好ましい。前記含有量が、30質量%未満であると、ネマチック液晶化合物の配向が不十分となることがある。
【0073】
−−−カイラル化合物−−−
前記カイラル化合物としては、(1)複数層コレステリック液晶層の場合には、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、液晶化合物の色相、色純度改良の観点から、例えば、イソマンニド化合物、カテキン化合物、イソソルビド化合物、フェンコン化合物、カルボン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記カイラル化合物としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、Merck社製の商品名S101、R811、CB15;BASF社製の商品名PALIOCOLOR LC756、などが挙げられる。
【0074】
前記複数層コレステリック液晶層の各液晶層におけるカイラル化合物の含有量としては、前記各コレステリック液晶層の全固形分質量に対し、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、30質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0075】
−−−重合性モノマー−−−
前記コレステリック液晶層には、例えば、膜強度等の硬化の程度を向上させる目的で重合性モノマーを併用することができる。該重合性モノマーを併用すると、光照射による液晶の捻れ力を変化(パターンニング)させた後(例えば、選択反射波長の分布を形成した後)、その螺旋構造(選択反射性)を固定化し、固定化後のコレステリック液晶層の強度をより向上させることができる。ただし、前記液晶化合物が同一分子内に重合性基を有する場合には、必ずしも添加する必要はない。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を持つモノマーなどが挙げられ、具体的には、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーの添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し、0〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記添加量が、50質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向を阻害することがある。
【0076】
−−−その他の成分−−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、増感剤、バインダー樹脂、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、増粘剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、ゲル化剤、などが挙げられる。
【0077】
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフィン誘導体、チオキサントン/アミン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の商品名イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア784、イルガキュア814;BASF社製の商品名ルシリンTPO、などが挙げられる。
【0078】
前記光重合開始剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。前記添加量が、0.1質量%未満であると、光照射時の硬化効率が低いため長時間を要することがあり、20質量%を超えると、紫外線領域から可視光領域での光透過率が劣ることがある。
【0079】
前記増感剤は、必要に応じてコレステリック液晶層の硬化度を上げるために添加することができる。
前記増感剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、などが挙げられる。
前記増感剤の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形分質量に対し、0.001〜1.0質量%が好ましい。
【0080】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース樹脂;側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体;ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体;アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマー;その他の水酸基を有するポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー又はメタアクリル酸アルキルエステルのホモポリマーにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、などが挙げられる。
前記その他の水酸基を有するポリマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタアクリル酸のホモポリマー)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーの多元共重合体、などが挙げられる。
【0081】
前記バインダー樹脂の添加量としては、前記コレステリック液晶層の全固形質量に対し、0〜80質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。前記添加量が、80質量%を超えると、コレステリック液晶層の配向が不十分となることがある。
【0082】
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ベンゾキノン、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記重合禁止剤の添加量としては、前記重合性モノマーの固形分に対し、0〜10質量%が好ましく、100ppm〜1質量%がより好ましい。
【0083】
前記溶媒としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチルエステル、3−メトキシプロピオン酸エチルエステル、3−メトキシプロピオン酸プロピルエステル、3−エトキシプロピオン酸メチルエステル、3−エトキシプロピオン酸エチルエステル、3−エトキシプロピオン酸プロピルエステル等のアルコキシプロピオン酸エステル類;2−メトキシプロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のアルコキシアルコールのエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、テトラヒドロフラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0084】
前記コレステリック液晶層の形成方法としては、例えば、前記溶媒を用いて調製したコレステリック液晶層用塗布液(複数層の場合には、各コレステリック液晶層用塗布液)を前記基材上に塗布し、乾燥させて、例えば紫外線照射することにより、コレステリック液晶層を形成することができる。
最も量産適性のよい手法としては、前記基材をロール状に巻いた形で準備しておき、該基材上にコレステリック液晶層用塗布液をバーコート、ダイコート、ブレードコート、カーテンコートのような長尺連続コーターにて塗布する形式が好ましい。
【0085】
前記塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、などが挙げられる。
前記紫外線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射紫外線は、160〜380nmが好ましく、250〜380nmがより好ましい。照射時間としては、例えば、0.1〜600秒間が好ましく、0.3〜300秒間がより好ましい。紫外線照射の条件を調整することによって前記反応性カイラル剤を用いた光コレステリック液晶層における螺旋ピッチを液晶層の厚み方向に沿って連続的に変化させることができる。
【0086】
前記紫外線照射の条件を調整するために、前記コレステリック液晶層に紫外線吸収剤を添加することもできる。該紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、などが好適に挙げられる。これらの紫外線吸収剤の具体例としては、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同第3,707,375号明細書、同第3,754,919号明細書、同第4,220,711号明細書、などに記載されている。
【0087】
前記複数層の場合には、各コレステリック液晶層の厚みは、例えば、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。前記厚みが、1μm未満であると、選択反射率が十分でなくなり、10μmを超えると、液晶層の均一配向が乱れてしまうことがある。
また、各コレステリック液晶層の合計厚み(単層の場合には、コレステリック液晶層の厚み)は、例えば、1〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
【0088】
−−コレステリック層を有する光記録媒体用フィルタの製造方法−−
前記光記録媒体用フィルタの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光記録媒体用フィルタは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基材ごとディスク形状に加工(例えば打ち抜き加工)されて、光記録媒体の第二の基板上に配置されるのが好ましい。
【0089】
−−−基材−−−
前記基材としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、例えば、平板状、シート状、などが挙げられる。
前記構造としては、例えば、単層構造であってもいし、積層構造であってもよい。
前記大きさとしては、前記光記録媒体用フィルタの大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0090】
前記基材の材料としては、特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
前記基材は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。前記基材の厚みが、10μm未満であると、基板の撓みにより密着性が低下することがある。一方、500μmを超えると、情報光と参照光の焦点位置を大きくずらさなければならなくなり、光学系サイズが大きくなってしまうことがある。
【0092】
前記光記録媒体用フィルタの形成方法としては、例えば、前記溶媒を用いて調製した各コレステリック液晶層用塗布液を前記基材上に所望の塗布方法により塗布することによって、各コレステリック液晶層を形成することができる。
最も量産適性のよい手法としては、前記基材をロール状に巻いた形で準備しておき、該基材上に各コレステリック液晶層用塗布液をバーコート、ダイコート、ブレードコート、カーテンコートのような長尺連続コーターにて塗布する形式が好ましい。
【0093】
前記各コレステリック液晶層の厚みとしては、例えば、1〜10μmが好ましく、2〜7μmがより好ましい。前記厚みが、1μm未満であると、選択反射率が十分でなくなることがあり、10μmを超えると、液晶層の均一配向が乱れてしまうことがある。
また、前記光記録媒体用フィルタの厚み(基材を除く各コレステリック液晶層の合計厚み)は、例えば、1〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
【0094】
前記各コレステリック液晶層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記基材上に各コレステリック液晶層用塗布液を塗布し、配向し、固化され、基材ごとディスク形状に打ち抜かれて、第二の板上に配置されるのが好ましい。
【0095】
−ギャップ層−
前記ギャップ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第二の基板とフィルタ層の間に、第一ギャップ層を形成してもよく、フィルタ層と記録層の間に第二ギャップ層を形成してもよい。
【0096】
−−第1ギャップ層−−
前記第1ギャップ層は、必要に応じて前記フィルタ層と前記反射膜との間に設けられ、前記第二の基板表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するのにも有効である。即ち、前記記録層は、記録用参照光及び情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、前記記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
前記第1ギャップ層の形成方法としては、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成する方法が挙げられる。また、フィルタ層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
前記第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
【0097】
−−第2ギャップ層−−
前記第2ギャップ層は、必要に応じて記録層とフィルタ層との間に設けられる。
前記第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル=ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、又は、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、及び商品名ゼオノアが特に好ましい。
また、前記第2ギャップ層の材料としては、光硬化性又は熱硬化性の、アクリル樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物が挙げられる。前記光硬化性又は熱硬化性のアクリル樹脂組成物、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物を所望の厚みに塗布した後、光又は熱によって硬化し前記第2ギャップ層を形成することができる。これらの中でも、入手の簡便さと、製膜の簡便さ、製膜後の夾雑物の少なさの点で、光硬化性のアクリル樹脂組成物が好ましい。
前記第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
前記第2ギャップ層の形成方法としては、例えば、フィルム状の材料を用いる場合には、基板の形又は所望の形に打ち抜いた前記フィルム状材料を接着剤によって貼り合わせる方法、フィルム状の材料を熱融着によって張り合わせる方法又は圧着する方法、光硬化性又は熱硬化性の樹脂組成物を用いる場合には、スピンコート、カーテンコート、ブレードコートなど公知の任意の塗布方法により基板上に樹脂組成物を塗布した後硬化する方法、などが挙げられる。
【0098】
−保護層−
前記反射膜を含む第二の基板においては、ホログラム記録層が形成される側でないほうの基板上に、保護層を設けることが好ましい。
前記保護層は、反射膜、ホログラム記録層を物理的、化学的に保護するために設けられ、その厚みは、1nm〜2mmが好ましく、5nm〜1mmがより好ましい。
前記保護層の材料としては、例えば、SiO、SiO、MgF、SnO、Si等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質が挙げられる。
前記保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して該基板上に設けることも可能である。あるいは、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合は、これらを適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合は、そのまま、もしくは溶媒に溶解して塗布液とし、塗布後UV光を照射し硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加することが可能である。
【0099】
(光記録媒体の製造方法)
前記光記録媒体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、組成物調製工程と、記録層積層工程と、フィルタ層形成工程と、更に必要に応じて、第1ギャップ層形成工程と、積層体形成工程、などのその他の工程を含んでなる。
【0100】
<組成物調製工程>
前記組成物調製工程は、前記記録層の材料を調製する工程であり、モノマー、光開始剤、増感剤、オリゴマー及びバインダーなどからなるフォトポリマー及び必要に応じて適宜選択したその他の成分を含む光記録用組成物を、溶解、分散、混合などにより調製する。前記組成物調製工程では、必要に応じて溶剤を用いることができる。前記調製の条件としては、例えば、温度23℃、相対湿度10%、低温度乾燥の環境で行われる。
【0101】
<記録層積層工程>
前記記録層積層工程は、前記フィルタ層上、又は該フィルタ層上に第2ギャップ層が積層されている場合は、該第2ギャップ層上に、ホログラフィにより情報を記録する記録層を積層する工程であり、前記組成物調製工程において調製された前記光記録用組成物を塗工などにより積層する工程である。
前記記録層の積層方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、湿式成膜法や注入法による積層方法などが挙げられる。
前記湿式成膜法は、前記記録層材料を溶剤に溶解乃至分散させた溶液(塗布液)を用いる(塗布し乾燥する)ことにより形成する方法である。
該湿式成膜法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法などが挙げられる。
前記注入法は、前記第一基板と前記第二基板との隙間に、記録層溶液を注入する方法である。
前記注入法としては、例えば、前記第一の基板と前記第二の基板との間に外周スペーサ及び内周スペーサを挟みこんでディスクセルを作り、前記外周スペーサの一部に切り欠きを設けてその口を注入口として、該ディスクセルに前記光記録用組成物を注入する方法、前記第一の基板と前記第二の基板とを平行に保持し、2枚の基板の間隙に光記録用組成物を注入する方法、などが挙げられる。
前記注入法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外周注入法、内周注入法、ギャップ注入法などが挙げられる。
前記注入の条件としては、温度23℃、粘度330mPa・s、0.5MPaの圧力、相対湿度10%、硬化時間として温度80℃、40分間などが挙げられる。
前記注入装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジ、エア圧ディスペンサー、などが挙げられる。
【0102】
−外周スペーサ−
前記外周スペーサの形状は、外周が光記録媒体の外周形状と略同一であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、四角形、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。これらの中でも、円形が好ましい。
前記外周スペーサの断面形状は、例えば、四角形、矩形、台形、円形、楕円形などが挙げられる。これらの中でも、厚みを一定にする作用の観点から四角形、台形、矩形などが好ましい。図2に示す外周スペーサ37は、その断面が四角形の一例である。
前記外周スペーサの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層の厚みと略同一の厚みであることが好ましい。具体的には、前記記録層の厚みと同じ100〜2,000μmであることが好ましい。
前記外周スペーサの幅としては、少なくとも0.5mmあれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5〜5mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましく、0.5〜2mmが特に好ましい。前記幅が、0.5mm未満であると、前記記録層の厚みを一定にするための保持機能が機械強度の面や支持面積の面で低下することがあり、5mmを超えると、ホログラム記録領域が狭められ、記録容量が損なわれることがある。
【0103】
前記外周スペーサの材料としては、特に制限はなく、無機材料及び有機材料のいずれをも好適に用いることができるが、成形性やコストの点から前記有機材料が好ましい。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、セラミック、石英、シリコン、などが挙げられる。
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成形性、剥離性、コストの点から、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0104】
前記外周スペーサの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、真空成形型押し出し加工、削り出し加工などが挙げられる。
【0105】
−内周スペーサ−
前記内周スペーサの形状は、内周が光記録媒体に設けられている開口部の形状と略同一であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、四角形、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。これらの中でも、円形が好ましい。
前記内周スペーサの断面形状は、前記外周スペーサと同じ形状が好ましく、例えば、四角形、矩形、台形、円形、楕円形などが挙げられる。これらの中でも、厚みを一定にする作用の観点から四角形、台形、矩形などが好ましい。
前記内周スペーサの厚みは、前記記録層の厚みの均一性の観点から前記外周スペーサと同一であることが求められる。
前記内周スペーサの幅は、前記記録層の厚みの均一性保持機能の観点、及び記録層の記録領域の確保の観点から前記外周スペーサと同一であってもよく、異なっていてもよい。前記内周スペーサの材料及び製造方法としては、前記外周スペーサで述べたものと同様の材料及び製造方法を用いることができる。また、前記内周スペーサの材料及び製造方法は、外周スペーサと異なっていてもよく、同一であってもよい。
【0106】
<フィルタ層形成工程>
前記フィルタ層形成工程は、前記光記録媒体用フィルタを光記録媒体形状に加工し、該加工したフィルタを前記第二の基板に貼り合わせて波長選択反射層を形成する工程である。ここで、前記光記録媒体用フィルタの製造方法については、上述した通りである。なお、場合によっては、基板上に直接フィルタ層を形成することもできる。例えば、基板上に色材含有層用塗布液を塗布して色材含有層を形成し、該色材含有層上にスパッタリング法により誘電体蒸着膜を形成する方法などが挙げられる。
前記フィルタ層の形状としては、前記光記録媒体形状であれば特に制限はなく、例えば、ディスク形状、であることが好ましい。
前記加工としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレスカッターによる切り出し加工、打ち抜きカッターによる打ち抜き加工、などが挙げられる。
前記貼り合わせとしては、例えば、接着剤、粘着剤、などを用いて気泡が入らないようにフィルタを基板に貼り付ける。
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、UV硬化型、エマルジョン型、一液硬化型、二液硬化型等の各種接着剤が挙げられ、それぞれ公知の接着剤を任意に組み合わせて使用することができる。
前記粘着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、などが挙げられる。
前記接着剤又は前記粘着剤の塗布厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光学特性や薄型化の観点から、接着剤の場合、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、粘着剤の場合、1〜50μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0107】
<第1ギャップ層形成工程>
前記第1ギャップ層形成工程は、前記第二の基板と前記フィルタ層との間に、第1ギャップ層を形成する工程である。該第1ギャップ層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、第二の基板上に対して、前記スピン塗布による方法、前記非熱軟化性シートを貼付する方法、前記蒸着及び前記スパッタリングなどが挙げられる。
【0108】
<積層体形成工程>
前記積層体形成工程は、前記記録層積層工程、前記フィルタ層形成工程及び前記第1ギャップ層形成工程により、前記記録層、前記フィルタ層及び第1ギャップ層が形成された第二の基板と、前記第一の基板とを貼り合わせて積層体を形成し、必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む工程である。
前記貼り合わせ方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の基板と前記第二の基板と必要に応じて適宜選択したその他の層とを、接着剤で接着する方法、接着剤を用いず圧着する方法、真空中で貼り合わせる方法などが挙げられる。
前記接着剤で接着する方法は、前記第一の基板と、前記第二の基板と、必要に応じて適宜選択したその他の層とを、外周を合致させ、各層間に前記接着剤を塗布し、外側から0.01〜0.5MPaの圧力をかけて、23〜100℃で接着する。
該接着の際に、気泡が無く密着させるためには、真空中で貼りあわせることが好ましい。
【0109】
−接着剤−
前記接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤などが挙げられる。
これらの中でも、透明性であることから、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤がより好ましい。
【0110】
前記接着剤を用いず圧着する方法は、各層の有する接着性を利用して密着させて積層体を形成すること方法である。
前記接着剤を用いず圧着する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記第一の基板と、前記第二の基板と、必要に応じて適宜選択したその他の層とを、各外周を合致させ、外側から0.01〜0.5MPaの圧力をかけて、23〜100℃で接着する方法、などが挙げられる。該密着の際に、気泡が無く密着させるためには、真空中で貼りあわせることが好ましい。
【0111】
<その他の工程>
前記その他の工程としてとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記記録層と前記フィルタ層の間に第2ギャップ層を形成する第2ギャップ層形成工程、第二の基板においてホログラム記録層が形成される側でないほうの基板上に前記保護層を形成する保護層形成工程、光記録媒体の側面周囲を封止剤で封止する側面封止工程などが挙げられる。
【0112】
<第二の形態における光記録方法及び再生方法>
前記第二の形態における光記録方法は、前記光記録媒体に情報光及び参照光を同軸光束として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録するいわゆるコリニア方式による光記録方法である。
前記再生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光記録方法により記録層に形成された干渉像に参照光と同じ光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することができる。
【0113】
前記第二の形態の光記録方法及び再生方法では、二次元的な強度分布が与えられた情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを感光性の記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光として記録層から出射される。
ここで、前記第二の形態の光記録方法及び再生方法は、以下に説明する光記録再生装置を用いて行われる。
【0114】
前記光記録方法及び再生方法に使用される光記録再生装置について図8を参照して説明する。
図8は、前記第二の形態に係る光記録再生装置の全体構成図である。なお、光記録再生装置は、光記録装置と再生装置を含んでなる。
この光記録再生装置100は、光記録媒体21が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光記録媒体21の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、光記録媒体21に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光記録媒体21に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光記録媒体21に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31を光記録媒体21の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
【0115】
光記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、及び再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)を光記録媒体20の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光記録媒体21の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TE及び後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31を光記録媒体21の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
【0116】
光記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内の後述するCMOS又はCCDアレイの出力データをデコードして、光記録媒体21のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、光記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。
コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、及びスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、及びRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
【0117】
前記第二の形態の光記録方法及び再生方法に使用される光記録再生装置は、本発明の前記光記録媒体を用い、情報光及び参照光による干渉縞の記録と同時に増感光により光熱変換がなされて増感させるので、高解像度であり回折効率の高い光記録媒体が得られる。
【0118】
<光記録媒体の具体例1>
図4は、本発明の具体例1における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この具体例1に係る光記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂又はガラスの第二の基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図4では第二の基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、図3に示すように周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1,750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚みに比べて充分に小さいものである。
【0119】
第一ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を第二の基板1の反射膜2上にスピンコート等により塗布して形成される。第一ギャップ層8は、反射膜2を保護すると共に、記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるため、記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けると有効である。
第一ギャップ層8上にはフィルタ層6が設けられ、また、フィルタ層6と記録層4との間に第二ギャップ層7が設けられ、該フィルタ層6と第一の基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)によって第2のギャップ層及び記録層4を挟むことによって光記録媒体21が構成される。なお、情報光及び再生光がフォーカシングするポイントが存在するが、このフォーカシングエリアをフォトポリマーで埋めていると過剰露光によるモノマーの過剰消費が起こり、多重記録能が下がってしまう。そこで、無反応で透明な第二ギャップ層7を設けることが有効となる。
【0120】
図4において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。したがって、情報光、記録及び再生用参照光は緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層6a、6b、6cからなる。このコレステリック液晶層からなるフィルタ層6は、第一ギャップ層8上に塗布によって直接形成してもよいし、基材上にコレステリック液晶層を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層によって、λ〜λ/cos20°、特にλ〜λ/cos40°(ただし、λは、照射光波長を表す。)における光反射率が、40%以上となり、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることがなくなる。
【0121】
具体例1における光記録媒体21は、図1に示すようなディスク形状でもよいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合には、サーボピットパターンは無くてもよい。また、この光記録媒体21では、第二の基板1は0.6mm、第一ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は2〜3μm、第二ギャップ層7は70μm、記録層4は0.6mm、第一の基板5は0.6mmの厚みであって、合計厚みは約1.9mmとなっている。
【0122】
次に、図7を参照して、光記録媒体21周辺での光学的動作を説明する。まず、サーボ用レーザから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は、反射膜2上で焦点を結ぶように光記録媒体21に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。光記録媒体21の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、第一の基板5、記録層4、第二ギャップ層7、フィルタ層6、及び第一ギャップ層8を通過し、反射膜2で反射され、再度、第一ギャップ層8、フィルタ層6、第二ギャップ層7、記録層4、及び第一の基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサ又はCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
なお、図6に示したλ〜1.3λの反射域は、λ=532nmのとき1.3λ=692nmとなり、サーボ光が655nmの場合は、サーボ光を反射してしまう。ここに示すλ〜1.3λの範囲は、フィルタ層における±40°入射光への適性であるが、実際にそうした大きな斜め光まで使用する場合は、入射角±20°以内のサーボ光をマスキングして使用すれば支障なくサーボ制御できる。また、使用するフィルタ層におけるコレステリック液晶層の螺旋ピッチを十分大きくすれば、フィルタ層内での入射角を±20°以内で全て設計することも容易であり、その場合は、λ〜1.1λのコレステリック液晶層でよいのでサーボ光透過には全く支障がなくなる。
【0123】
また、記録用/再生用レーザから生成された情報光及び記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となりハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が記録層4内で干渉パターンを生成するように光記録媒体21に照射される。情報光及び記録用参照光は、入出射面Aから入射し、記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光及び記録用参照光は、記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は、反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は、螺旋ピッチが液晶層の厚み方向に連続的に変化した3層のコレステリック液晶層から形成され、赤色光のみを透過する性質を有するからである。あるいは、フィルタ層を漏れて通過する光を入射光強度の20%以下に抑えていれば、たとえその漏れ光が底面に到達して戻り光となっても、再度フィルタ層で反射されるので再生光へ混じる光強度は、入射光強度の4%(入射光強度×20%×20%)以下となり、実質的に問題とはならない。
【0124】
<光記録媒体の具体例2>
図5は、前記具体例2における光記録媒体の構成を示す概略断面図である。この具体例2に係る光記録媒体22では、フィルタ層6以外は具体例1と同様に構成される。
【0125】
図5において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。したがって、情報光、記録及び再生用参照光は、緑色又は青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、色材含有層上に、互いに屈折率の異なる誘電体薄膜が7層積層された誘電体蒸着層を形成した積層体である。この色材含有層と誘電体蒸着膜との組合せであるフィルタ層6は、第一ギャップ層8上に塗布及び蒸着により直接形成してもよいし、基材上に色材含有層及び誘電体蒸着膜を形成したフィルムを光記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。フィルタ層として色材含有層と誘電体蒸着膜との組合せを用いることによって、入射角度±40°における、655nmでの光透過率が50%以上であり、かつ532nmでの光反射率が30%以上となり、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることがなくなる。
【0126】
前記具体例2における光記録媒体22の形状は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよく、具体例1と同様に形成される。
【0127】
次に、図7を参照して、光記録媒体21と同様に構成された光記録媒体22周辺での光学的動作を説明する。光記録媒体22では、光記録媒体21と同様、まず、サーボ用レーザから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は、反射膜2上で焦点を結ぶように光記録媒体22に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は、緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。光記録媒体22の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、第一の基板5、記録層4、第二ギャップ層7、フィルタ層6、及び第一ギャップ層8を通過し、反射膜2で反射され、再度、第一ギャップ層8、フィルタ層6、第二ギャップ層7、記録層4、及び第一の基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。具体例1と同様に、記録層4を構成するホログラム材料は、赤色の光では感光しないようになっているので、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサ又はCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
【0128】
また、記録用/再生用レーザから生成された情報光及び記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となりハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が記録層4内で干渉パターンを生成するように光記録媒体22に照射される。情報光及び記録用参照光は、入出射面Aから入射し、記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光及び記録用参照光は、記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は、反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は、色材含有層と誘電体蒸着膜とを組合せており、赤色光のみを透過する性質を有するからである。あるいは、フィルタ層を漏れて通過する光を入射光強度の20%以下に抑えていれば、たとえその漏れ光が底面に到達して戻り光となっても、再度フィルタ層で反射されるので再生光へ混じる光強度は、入射光強度の4%(入射光強度×20%×20%)以下となり、実質的に問題とはならない。
【実施例】
【0129】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0130】
(実施例1)
<光記録媒体の作製>
実施例1の光記録媒体は、記録層の材料として、米国特許第6,765,061号明細書の実施例1に記載の記録層の材料を用い、第一の基板として、ポリカーボネート基板(外径120mm、内径15mm、厚み0.6mm)を用い、第二の基板として、片方の面に、溝深さ140nm、溝幅300nmのサーボピットを設けたポリカーボネート基板(外径120mm、内径15mm、厚み0.6mm)を用いた。
前記第二の基板は、前記サーボピットが設けられている側に、スパッタ形成により厚み150nmのAgを設けて反射層とした。その後、前記反射層の上に、厚み20μmの接着剤(製品名:SD640、製造元:大日本インキ株式会社)をスピンコートにより塗布して、硬化し、接着層を形成した。該接着層の上に、後述するフィルタ層の製造方法により得られたフィルタ層(基材と、TiO2及びSiO2との多層蒸着層)を積層し、該フィルタ層の上に、厚み20μmの接着剤(製品名:SD640、製造元:大日本インキ株式会社)をスピンコートにより塗布して、硬化させて、第2ギャップ層を形成した。
前記感光性組成物と、前記第一の基板と、前記反射層、フィルタ層、及び第2ギャップ層を形成した第二の基板とを用いて、欧州特許出願公開1388149号明細書に記載の光記録媒体の製造方法に従って、前記第一の基板と第二の基板とを平行に保持したまま、その間隙に、前記感光性組成物を注入して、厚み500μmの記録層を有する光記録媒体を製造した。前記感光性組成物の注入は、液体定量混合注入装置ポシラティオ(リキッドコントロール社製)を用いて行った。
【0131】
<フィルタ層の製造方法>
基材として、厚み80μmポリカーボネートフィルム(製造元:帝人化成(株))を用い、該基材の上に、高屈折率の誘電体薄層と低屈折率の誘電体薄層とを交互に複数層積層し、誘電体蒸着層からなる光記録媒体用フィルタを作製した。前記高屈折率の誘電体層の材料として、TiOを用い、前記低屈折率の誘電体薄層の材料として、SiOを用いて、全層数は20層とした。
【0132】
<最低露光エネルギー量の測定>
前記光記録媒体は、コリニア方式ホログラム記録再生装置(製品名:SHOT−2000、製造元:パルステック工業株式会社)を用いて、記録時の照射光パワー(mJ/cm)を変化させ、再生信号のエラー確率(BER:Bit Error Rate)の変化を測定した。通常、記録光パワーの増加により再生信号の輝度が増加することに伴い、再生信号のBERが徐々に低下する傾向にある。ここでは、ほぼ良好な再生像(BER<10−3)が得られる最低の記録光パワーを記録材料の最適露光エネルギー量とした。
【0133】
<保存安定性の評価>
前記光記録媒体は、表1に記載の包装材料を用いて、表1に記載の包装条件下で、密閉包装を行って、光記録媒体の包装体とした。前記密閉包装は、室温25℃、表1に記載の相対湿度条件に調整した恒温恒湿室内に、室温25℃相対湿度30%の別室で作製され、25℃相対湿度30%の条件において24時間を超えない時間で保管された記録媒体を持ち込み、表1に記載の材質の包装材にて包装後開口部を圧着することにより行った。
前記光記録媒体の包装体は、表1に記載の保存条件下で、300日間保存を行った。その後、保存後の光記録媒体を保存前の前記最低露光エネルギー量で書き込みを行い、該書き込みの状況を下記基準に従って評価し、書き込み特性とした。下記再生条件は全て、参照光のみの照射で、その光量を1mJ/cmに調整し行った。
−基準−
◎:保存後の光記録媒体を書き込み後、保存前の記録特性評価で用いた再生条件と全く同じ再生条件で再生を行ったところ、保存前の記録特性評価で得られた再生像の90%以上の輝度を有する再生像が得られた。
○:保存後の光記録媒体を書き込み後、保存前の記録特性評価で用いた再生条件と全く同じ再生条件で再生を行ったところ、保存前の記録特性評価で得られた再生像の50%以上90%未満の輝度を有する再生像が得られた。
△:保存後の光記録媒体を書き込み後、保存前の記録特性評価で用いた再生条件と全く同じ再生条件で再生を行ったところ、保存前の記録特性評価で得られた再生像の50%未満の輝度を有する再生像が得られた。
×:保存後の光記録媒体を書き込み後、保存前の記録特性評価で用いた再生条件と全く同じ再生条件で再生を行ったところ、再生光が全く得られなかった。
【0134】
(実施例2〜26、及び比較例1〜6)
実施例2〜26、及び比較例1〜6では、それぞれ表1に記載の包装材料、包装条件、封止剤処理の有無、及び保存条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、光記録媒体の包装体を作製し、評価した。
【0135】
【表1】

表1中、包装材料の欄における、材料1〜材料5は、下記表2に示す材料を用いている。
また、表1中、封止剤による処理の欄に「有り」が記載されている実施例は、前記光記録媒体を作製後、下記に示す封止剤による処理を行い、封止剤で処理された光記録媒体を作製した。その後、該封止剤で処理された光記録媒体を用いて、前記書き込み特性の評価を行った。
【0136】
<封止剤による処理>
得られた光記録媒体の辺縁部(前記光記録媒体を構成する各部材の境界面が見える面)は、綿棒を用いて、10%ポリビニルアルコール水溶液(製品名:ポバールPVA205、製造元:株式会社クラレ)を3回塗布した。その後、ドライヤーを用いて水分を除いた。得られた光記録媒体を、封止剤で処理した光記録媒体とした。
【0137】
【表2】

表2中、表面処理の欄の黒色塗装は、材料1〜3のそれぞれのフィルムに、黒色UVインキ(「ダイキュアハイブライト黒」、大日本インキ社製)を、ロールコーターを用いて厚み2〜10μm塗装する処理のことである。
【0138】
(実施例27〜52、及び比較例7〜12)
実施例27〜52、及び比較例7〜12では、第一の基板及び第二の基板として、透明ガラス板(ソーダライムガラス、縦5cm、横5cm、厚み0.6mm)を用いた以外は、それぞれ実施例1〜26、及び比較例1〜6と同様の方法により、光記録媒体の包装体を作製し、評価した。
実施例27〜52、及び比較例7〜12の評価結果は、実施例1〜26、及び比較例1〜6と同様の評価結果であった。
【0139】
表1の結果より、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)以下の包装材料を用い、包装時の相対湿度が20〜45%である実施例1〜18では、高温高湿の条件で、300日間保存しても、書き込み特性が優れていることが判った。
また、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)以下の包装材料を用いて、包装時の相対湿度が20〜45%の範囲外であった実施例19〜20では、書き込み特性がやや劣ることが判った。
また、黒色塗装の処理をしていない材料5を用いた実施例21〜26では、実施例1〜6と比較して、相対湿度45%、保存温度40℃、保存湿度80RH%の条件では、書き込み特性は実施例1と同等の評価が得られたが、前記条件以外では、書き込み特性がやや劣ることが判った。
これに対して、包装材料を用いなかった比較例1〜4及び透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)の範囲外の包装材料を用いた比較例5〜6では、書き込み特性が実施例と比較してかなり劣ることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明の光記録媒体の包装体は、包装材料の透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)以下であることにより、長期間保存しても、感度が低下していない光記録媒体を提供することができ、高性能なホログラム型の光記録媒体を保存するための包装体として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、本発明の光記録媒体の一例の部分断面図である。
【図2】図2は、従来の光記録媒体の積層体の分解斜視図である。
【図3】図3は、従来の光記録媒体の構造を示す概略断面図である。
【図4】図4は、本発明による具体例1に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、本発明による具体例2に係る光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【図6】図6は、コレステリック液晶層を3層積層したフィルタの正面(0°)からの入射光に対する反射特性を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明による光記録媒体周辺の光学系の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、本発明の光記録媒体に用いられる光記録再生装置の全体構成の一例を表すブロック図である。
【図9】図9は、本発明の光記録媒体の一例を示す図である。
【図10】図10は、本発明の光情報記録媒体一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0142】
1 第二の基板
1a 内孔
2 反射膜
3 サーボピットパターン
4 記録層
5 第一の基板
5a 内孔
6 フィルタ層
6a、6b、6c コレステリック液晶層
7 第二ギャップ層
8 第一ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20、21、22 光記録媒体
27 外周スペーサ
28 内周スペーサ
41 記録層
42 支持体
43 支持体
44 反射防止層
45 反射防止層
50 光記録媒体
51 情報光
52 参照光
53 増感光
61 光源1
62 光源2
63 光記録媒体
64 ハーフミラー
65 ミラー
66 ミラー
67 ビームエキスパンダ
68 ビームエキスパンダ
69 ビームエキスパンダ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 操作部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを利用して情報を記録する光記録媒体を、透湿度が0.01〜1.0g/(m2・day)以下の包装材料で密閉してなることを特徴とする光記録媒体の包装体。
【請求項2】
光記録媒体を密閉する際の相対湿度が、20〜45%である請求項1に記載の光記録媒体の包装体。
【請求項3】
包装材料が、遮光性を有する請求項1から2のいずれかに記載の光記録媒体の包装体。
【請求項4】
光記録媒体がガスバリア性を有する材料で覆われている請求項1から3のいずれかに記載の光記録媒体の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−37443(P2008−37443A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211872(P2006−211872)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】