説明

光記録媒体

【課題】製造コストを削減すること。
【解決手段】光ビームの照射によってデータ記録可能な光ディスク100であって、基板113と、基板113上に設けられデータを記録可能な記録層112と、制御用ディスク120を装着する取り付け部104と、記録装置に固定するクランプ部103と、を備えた記録用ディスク110と、記録用ディスク110と着脱可能で、記録層112に対するデータ記録時における制御情報の凹凸パターンを記録した基板121を備えた制御用ディスク120と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光などの光ビームを照射することによってデータを記録可能な光記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
データの追記や書き換えが可能な光ディスクは、光透過性基板の一方の面にランドやグルーブ構造の制御情報である凹凸パターンを設け、この凹凸パターン上に、有機色素材料や相変化材料からなる記録層を設け、この記録層の上に、反射層を設け、この反射層上に、保護層を設けた構造となっている。そして、基板側から光ビームを照射することによって、記録層にデータを記録するようになっている。基板に設けられた制御情報の凹凸パターンは、データ記録時のクロック信号生成、トラッキングサーボ制御、アドレッシング等のために用いられる。
【0003】
この基板に設けられた制御情報の凹凸パターンは、射出成形機の金型に、凹凸のパターンが形成されたスタンパを設置し、このスタンパによってパターンを転写することによって成型される。
【0004】
しかしながら、基板の凹凸パターンは、スタンパのパターンを転写して形成されるため、設計値通りに、グルーブの深さや幅を形成することが困難である。また、基板に凹凸パターンを形成するためのスタンパは、スタンピングが繰り替えされると、品質が劣化してしまい、これに伴い、基板に形成されるグルーブも所定の深さや幅に形成することができなくなってしまう。
【0005】
このため、データ記録時のガイド用のパターンが印刷された記録補助シートを記録層の設けられた基板に接合することによって光ディスクを容易に製造することができる従来技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−132586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この従来技術においては、記録層が設けられた基板に、単にガイド用のパターンが印刷された記録補助シートを接合しているだけなので、基板ごと記録捕縄シートを生成する必要があり、その製造コストは増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製造コストを削減することができる光記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光ビームの照射によってデータ記録可能な光記録媒体であって、第1の基板と、前記第1の基板上に設けられ、データを記録可能な記録層とを備えた記録用記録媒体と、前記記録用記録媒体と着脱可能で、前記記録層に対するデータ記録時における制御情報を記録した第2の基板を備えた制御用記録媒体と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造が困難で製造コストが増大する制御情報のパターンが必要な制御用記録媒体と、記録層が設けられた記録用記録媒体とを分離することで、製造コストがかかる制御用記録媒体の製造を減らし、記録用記録媒体は制御情報のパターンのない平板で製造することができ、光記録媒体の製造をより容易に行うことができるとともに、製造コストの削減を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光記録媒体の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる光ディスクの全体構造を示す模式図である。光ディスク100は、図1に示すようにデータ記録用の記録媒体である記録用ディスク110と、記録用ディスク110にデータを記録する際にデータ記録時のクロック信号生成、トラッキングサーボ制御、アドレッシング等のための制御情報パターンが記録された制御用ディスク120とに分離された構造となっている。
【0013】
また、図1に示すように、記録用ディスク110には、その基板中央に、データ記録時に記録再生装置(図示せず)の回転駆動機構であるディスクテーブルが係合するセンタ孔105が設けられている。また、記録用ディスク110には、図1に示すように、データ記録時に制御用ディスク120を装着するために、制御用ディスク110の周端面に形成された溝301に嵌めて固定する取り付け部104と、ディスク中央付近で制御用ディスク110のセンター孔に嵌めて固定するとともにディスクテーブルと係合するクランプ部103が基板上に形成されている。このため、記録用ディスク110は、制御用ディスク120を着脱可能となっている。
【0014】
このため、記録用ディスク110にデータを記録する際には、制御用ディスク120を取り付け部104で記録用ディスク110に固定した上で、記録再生装置のディスクテーブルにクランプ部103で固定してデータを記録する。一方、データ再生時には、記録用ディスク110から制御用ディスク120を取り外して、記録用ディスク110だけを記録再生装置のディスクテーブルにクランプ部103で固定してデータを再生するようになっている。
【0015】
図2は、制御用ディスク120と記録用ディスクの構造を示す模式図である。記録用ディスク110は、図2に示すように、基板113と、記録層112と、保護層111とが積層した構造となっており、基板113側から記録再生装置のレーザ光等の光ビームが照射されるようになっている。
【0016】
基板113は、ガラス基板、ポリカーボネート等の合成樹脂を射出成形して成形された合成樹脂基板であり、データの記録再生時に光ピックアップから出射されたレーザ光等の光ビームを透過できるように上述の光透過性材料で形成されている。また、従来の光ディスクの基板では、一方の面に、ランドやグルーブなどの制御情報となる凹凸パターンが形成されているが、本実施の形態にかかる光ディスク100の基板113では、このような凹凸パターンはなく、平坦に形成されている。
【0017】
さらに基板113は、制御用ディスク120と重ねた場合に既存のDVD(Digital Versatile Disk)等とほぼ同一の厚さとなり、既存のDVD等と互換性を維持することができるように、略0.6mmの厚さで形成されている。なお、基板113は、制御用ディスク120と重ねた場合に既存のDVD等とほぼ同一の厚さとなるような厚さで形成されていればよく、略0.6mmの厚さに限定されるものではない。
【0018】
記録層112は、基板113のレーザ光の照射面と反対の面上に形成されており、データが記録される層である。この記録層112は、光ディスク100が追記型ディスクの場合には基板113の一方の面上にスピンコート等により被着形成される有機色素材料層で形成される。また、光ディスク100が書換型ディスクである場合には、記録層112として相変化材料層を形成し、光ディスク100が光磁気記録ディスクの場合には、記録層112として光磁気記録層を形成する。
【0019】
保護層111は、記録層112の上に形成されている。後述するように、制御用ディスク120の反射層122で反射したレーザ光が記録用ディスク110の記録層112に集光して記録層112が加熱され記録マークを形成することで記録層112にデータを記録しているため、保護層111は、熱伝導率が高い材料で形成することが好ましい。このような保護層111の材料としては、例えば、Al23やTiO2があげられる。
【0020】
制御用ディスク120は、図2に示すように、基板121と、反射層122と、保護層123とが積層した構造となっており、記録用ディスク110へのデータ記録時に、制御用ディスク120の保護層123側の面を記録用ディスク110の保護層111側の面と対向させて重ねることにより、記録用ディスク110を透過してきたレーザ光が反射層122で反射して記録用ディスク110の記録層112にデータを記録するようになっている。
【0021】
基板121は、記録用ディスク110の基板113と同様にガラス基板、ポリカーボネート等の合成樹脂を射出成形して成形された合成樹脂基板である。ただし、本実施の形態の制御用ディスク120は、基板121と反対の面側に形成されている保護層123側の面を記録用ディスク110の保護層111側の面と対向させて重ねて記録用ディスク110を透過してきたレーザ光が反射層122で反射して記録用ディスク110の記録層112にデータを記録するため、基板121自体はレーザ光を透過する必要がない。このため、基板121は、後述する制御情報の凹凸パターンを形成し易く、耐環境性,耐久性に優れた材料で形成すれば良い。このような基板121と材料としては、例えば、ABS樹脂等があげられる。
【0022】
基板121は、記録用ディスク110と重ねた場合に既存のDVD等とほぼ同一の厚さとなり、既存のDVD等と互換性を維持することができるように、略0.6mmの厚さで形成されている。なお、基板121は、記録用ディスク110と重ねた場合に既存のDVD等とほぼ同一の厚さとなるような厚さで形成されていればよく、略0.6mmの厚さに限定されるものではない。
【0023】
また、制御用ディスク120の基板121は、従来の光ディスクの基板と同様に、反射層122側の面に、案内溝であるグルーブ領域と、グルーブ領域間の山部であるランド領域の凹凸パターンが形成されたランド・グルーブ構造となっており、ランド領域およびグルーブ領域に制御情報が記録されている。
【0024】
反射層122は、基板121上(図2では基板121の下側)に形成され、制御用ディスク120の保護層123側の面を記録用ディスク110の保護層111側の面と対向させて重ねることにより、記録用ディスク110を透過してきたレーザ光を反射するようになっている。
【0025】
保護層123は、反射層122の上(図2では反射層122の下側)に形成されている。制御用ディスク120の反射層122で反射したレーザ光が記録用ディスク110の記録層112に集光して記録層112が加熱され記録マークを形成することで記録層112にデータを記録しているため、保護層123は、熱伝導率が高い材料で形成することが好ましい。このような保護層123の材料としては、例えば、Al23やTiO2があげられる。
【0026】
次に、記録用ディスク110の基板に形成された取り付け部104と制御用ディスク120の溝301の構造について説明する。図3−1は、記録用ディスク110の取り付け部104と制御用ディスク120の溝301の拡大斜視図であり、図3−2は、記録用ディスク110の取り付け部104と制御用ディスク120に形成された溝301をディスク水平方向からみた模式図である。
【0027】
図3−1、3−2に示すように、制御用ディスク120の基板121の周端面には溝301が形成されており、記録用ディスク110の基板113上に形成された取り付け部104の突部がこの溝301に嵌るように、取り付け部104の突部の幅と溝301の幅が同一で形成されている。そして、取り付け部104の突部が溝301に嵌った状態で、記録用ディスク110と制御用ディスク120とを互いに逆方向にスライドさせることにより、両ディスクが固定されるようになっている。
【0028】
なお、本実施の形態では、このように取り付け部104の突部を制御用ディスク120に形成された溝301に嵌合させて両ディスクを固定する構成となっているが、かかる構造に限定されるものではない。ただし、記録用ディスク110のクランプ部103と取り付け部104は、記録用ディスク110と制御用ディスク120の中心位置合わせを容易に行える構造とすることが好ましい。
【0029】
次に、このように構成された本実施の形態にかかる光ディスク100に対するデータ記録方法について説明する。光ディスク100に記録を行う際は、図2に示すように、記録用ディスク110の記録面側の保護層111と制御用ディスク120の反射面側の保護層123が対向するように重ね合わせ、記録用ディスク110の取り付け部104を制御用ディスク120の溝301に嵌合させるとともにクランプ部103で制御用ディスクのセンタ孔に嵌めることによって、両ディスクを固定する。そして、記録用ディスク110のセンター孔105を記録再生装置のディスクテーブルに係合させて、記録用ディスク110と制御用ディスク120をディスクテーブルにセットする。
【0030】
そして、記録再生装置によって、データ記録に使用するレーザ光を、図2に示すように、記録用ディスク110の基板113側から照射する。レーザ光は、制御用ディスク120の反射層122で反射して、その反射光に基づいてフォーカス制御が行われる。また、制御用ディスク120の基板121に形成されたランド・グルーブ構造の制御情報パターンに基づいてトラッキング制御が行われる。そして、反射して集光されたレーザ光により記録用ディスク110の記録層112が加熱され、記録マークが形成されることによりデータが記録される。このようにして記録用ディスク110にデータを記録したら、取り付け部104による制御用ディスク120の固定を解除して、記録用ディスク110と制御用ディスクを分離する。
【0031】
次に、このようにしてデータが記録された本実施の形態にかかる光ディスク100のデータ再生方法について説明する。データ記録済みの記録用ディスクには、上述のようにトラッキング制御のための凹凸パターンが形成されていないが、既に記録層112に記録マークが形成されている。このため、この記録マークの反射率の変化によって、記録マークが形成されている部分と記録されていない部分とを比較して十分な差があれば、この記録マークに基づいてレーザ光のフォーカス制御およびトラッキング制御を行うことができるようになっている。仮に、記録マークの反射率変化が十分な差がない場合には、反射率を補うために実施の形態2で説明する再生用ディスクを記録用ディスクを装着してフォーカス制御を行うように構成すればよい。
【0032】
このように実施の形態1にかかる光ディスク100は、記録用ディスク110とデータ記録時のみに必要な制御情報の凹凸パターンが形成された制御用ディスク120とを分離した構造とし、データ記録時に両ディスクを組み合わせて使用しているので、製造コストが増大する制御用ディスク120の製造を削減することができ、これによって、光ディスク100の製造を容易にするとともに、製造コストの削減を図ることができる。この結果、ユーザに対して安価な光ディスク100を提供することが可能となる。
【0033】
例えば、10枚等複数枚の記録用ディスク110を一枚の制御用ディスク120と1セットとしてセット販売することにより、制御情報の凹凸パターンが一枚ごとに記録された光ディスクを同一枚数製造する場合に比べて、製造コストを削減することができるようになり、販売価格も安価に設定することが可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる光ディスクは、制御用ディスクを取り付けるクランプ部、取り付け部が記録用ディスクではなく、制御用ディスクに形成されており、また、同様のクランプ部、取り付け部が形成された再生用ディスクを備えたものである。
【0035】
図4は、実施の形態2にかかる光ディスクの全体構造を示す模式図である。光ディスク400は、図4に示すようにデータ記録用の記録媒体である記録用ディスク410と、記録用ディスク410にデータを記録する際にデータ記録時のクロック信号生成、トラッキングサーボ制御、アドレッシング等のための制御情報パターンが記録された制御用ディスク420とに分離された構造となっている。この他、記録用ディスク410の再生時に装着される再生用ディスクがある。
【0036】
図4に示すように、記録用ディスク410の周端面には、制御用ディスク420を装着するために制御用ディスク420の後述する取り付け部404と嵌合する溝部401が形成されており、この他に、記録用ディスク410の上面および下面には制御用ディスク420を装着するための突起部等は設けられていない。
【0037】
また、図4に示すように、制御用ディスク420には、その基板中央に、データ記録時に記録再生装置(図示せず)の回転駆動機構であるディスクテーブルが係合するセンタ孔405が設けられている。また、制御用ディスク420には、記録用ディスク410を装着するために、記録用ディスク410の周端面に形成された溝401に嵌めて固定する取り付け部404と、ディスク中央付近で記録用ディスク410のセンター孔に嵌めて固定するとともにディスクテーブルと係合するクランプ部403が基板上に形成されている。このため、記録用ディスク410は、制御用ディスク420を着脱可能となっている。
【0038】
再生用ディスクも、制御用ディスク420と同様の構造のクランプ部および取り付け部(図示せず)が形成されている。
【0039】
このため、記録用ディスク410にデータを記録する際には、記録用ディスク410を取り付け部404で制御用ディスク420に固定した上で、記録再生装置のディスクテーブルにクランプ部403で固定してデータを記録する。一方、データ再生時には、記録用ディスク410から制御用ディスク420を取り外して、記録用ディスク410を取り付け部404で再生用ディスクに固定した上で、記録再生装置のディスクテーブルにクランプ部で固定してデータを再生する。
【0040】
すなわち、本実施の形態にかかる記録用ディスク410には、クランプ部、取り付け部が設けられていないので、データ再生時には再生専用の再生用ディスクを装着して再生することになる。
【0041】
図5は、再生用ディスク430と記録用ディスク410の構造を示す模式図である。記録用ディスク410は、図5に示すように、基板413と、記録層412と、保護層411とが積層した構造となっており、基板413側から記録再生装置のレーザ光等の光ビームが照射されるようになっている。この記録用ディスク410の基板413、記録層412、保護層411については実施の形態1と同様である。
【0042】
再生用ディスク430は、図5に示すように、基板433と、反射層432と、保護層431とが積層した構造となっており、記録用ディスク410のデータ再生時に、再生用ディスク430の保護層431側の面を記録用ディスク410の保護層411側の面と対向させて重ねることにより、記録用ディスク410を透過してきたレーザ光が反射層432で反射して記録用ディスク410の記録層412からデータを再生するようになっている。
【0043】
基板433は、ガラス基板、ポリカーボネート等の合成樹脂を射出成形して成形された合成樹脂基板である。ただし、本実施の形態の再生用ディスク430は、基板433と反対の面側に形成されている保護層431側の面を記録用ディスク410の保護層411側の面と対向させて重ねて記録用ディスク410を透過してきたレーザ光が反射層432で反射して記録用ディスク410の記録層412のデータを再生するため、基板433自体はレーザ光を透過する必要がない。このため、基板433は、耐環境性,耐久性に優れた材料で形成すれば良い。このような基板433と材料としては、例えば、ABS樹脂等があげられる。
【0044】
基板433は、記録用ディスク410と重ねた場合に既存のDVD等とほぼ同一の厚さとなり、既存のDVD等と互換性を維持することができるように、略0.6mmの厚さで形成されている。なお、基板433は、記録用ディスク410と重ねた場合に既存のDVD等とほぼ同一の厚さとなるような厚さで形成されていればよく、略0.6mmの厚さに限定されるものではない。
【0045】
また、従来の光ディスクの基板では、一方の面に、ランドやグルーブなどの制御情報となる凹凸パターンが形成されているが、本実施の形態にかかる再生用ディスク430の基板433では、このような凹凸パターンはなく、平坦に形成されている。これは、記録用ディスク410の再生時には、記録用ディスク410の記録層412に記録された記録マークに基づいてトラッキング制御を行うためである。このため、再生用ディスク430も容易に製造することができ、製造コストの削減を図ることができる。
【0046】
反射層432は、基板433上(図5では基板433の下側)に形成され、再生用ディスク430の保護層431側の面を記録用ディスク410の保護層411側の面と対向させて重ねることにより、記録用ディスク410を透過してきたレーザ光を反射するようになっている。保護層431は、反射層432の上(図5では反射層432の下側)に形成されている。
【0047】
本実施の形態の制御用ディスク420は、基板と、基板上に形成さられた反射層と、反射層の上に形成された保護層とからなり、各層については実施の形態1の制御用ディスクと同様の構成となっている。
【0048】
本実施の形態にかかる記録用ディスク410は、その最内周のリードイン領域に、記録用ディスク410にデータを記録する際、記録したデータを暗号化するための暗号鍵を記録可能となっている。また、本実施の形態の再生用ディスク430には、その最内周のリードイン領域に、上記暗号鍵に対応した復号鍵が出荷時に予め記録されている。そして、この復号鍵を記載したシートを、本実施の形態の光ディスク400の製品に同封しておく。
【0049】
これにより、ユーザは、記録用ディスク410にデータを記録する際には同封された復号鍵を入力する。記録再生装置は、復号鍵を用いてデータを暗号化して記録用ディスク410に記録する。
【0050】
この記録用ディスク410を再生する際には、この記録用ディスク410と、復号鍵が記録された再生用ディスク430を組み合わせ、記録再生装置で再生する。このとき、記録再生装置は、光ディスク400が装填された場合に、再生用ディスク430の最内周のリードイン領域に記録されている復号鍵を読み取る。そして、読み取った復号鍵で記録されているデータを復号化し、復号化することができれば、データの読み取りを行い、復号化することができなければエラーを表示する。これによって、データの機密保護を図ることができる。
【0051】
なお、データを記録する際に復号鍵の入力とともに、ユーザが任意のパスワードを入力し、入力したパスワードと復号鍵から暗号鍵を生成し、データの再生時に復号鍵とパスワードが一致した場合のみ、データの再生が可能になるように構成してもよい。
【0052】
このように実施の形態2にかかる光ディスク400では、記録用ディスク410とデータ記録時のみに必要な制御情報の凹凸パターンが形成された制御用ディスク420とを分離した構造とし、データ記録時に両ディスクを組み合わせて使用しているので、製造コストが増大する制御用ディスク420の製造を削減することができる。また、別途再生用ディスク430を備えているので、記録用ディスク410の再生をより高精度に行うことができる。
【0053】
(変形例)
上記実施の形態2の光ディスク400では、記録用ディスク410は、一方の面からしかデータの記録ができなかったが、基板の両面に記録層を形成した記録用ディスクを用いて、記録用ディスクの両面にデータを記録することにより、より大容量のデータを記録することができる。
【0054】
図6は、両面に記録が可能な記録用ディスクの構造を示す模式図である。図6に示すように、記録用ディスク610の基板613の一方の面に記録層612a、記録層612aの上に保護層611aを形成し、基板613の他方の面に記録層612b、記録層612bの上に保護層611bを形成した構造とする。そして、装着した制御用ディスク420の反射層122に近い側の記録層にデータが記録される。ここで、制御用ディスク420は、実施の形態2の制御用ディスク420と同様の構造をしており、取り付け部404およびクランプ部403が基板上に形成されている。記録用ディスク610は、実施の形態2の記録用ディスク410と同様に、その周端面に制御用ディスク420の取り付け部と嵌合する溝部が形成されており、記録用ディスク410の上面および下面には突起部は存在しない。
【0055】
従って、記録用ディスク610を裏返して制御用ディスク420に装着することができ、他方の記録層にもデータ記録が可能となる。このため、記録用ディスク610の両面にデータを記録することができ、大容量の光ディスクの製造を容易にしてより製造コストの削減を図ることができ、より安価な光ディスクをユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施の形態1にかかる光ディスクの全体構造を示す模式図である。
【図2】制御用ディスク120と記録用ディスクの構造を示す模式図である。
【図3−1】記録用ディスク110の取り付け部104と制御用ディスク120の溝301の拡大斜視図である。
【図3−2】記録用ディスク110の取り付け部104と制御用ディスク120の溝301をディスク水平方向からみた模式図である。
【図4】実施の形態2にかかる光ディスクの全体構造を示す模式図である。
【図5】再生用ディスク430と記録用ディスク510の構造を示す模式図である。
【図6】両面に記録が可能な記録用ディスクの構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0057】
100,400 光ディスク
103,403 クランプ部
104,404 取り付け部
105,405 センター孔
110,410,610 記録用ディスク
111,123,411,431,611a,611b 保護層
112,412,612a,612b 記録層
113,121,413,433,613 基板
120,420 制御用ディスク
122,432 反射層
301,401 溝
430 再生用ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームの照射によってデータ記録可能な光記録媒体であって、
第1の基板と、前記第1の基板上に設けられ、データを記録可能な記録層とを備えた記録用記録媒体と、
前記記録用記録媒体と着脱可能で、前記記録層に対するデータ記録時における制御情報を記録した第2の基板を備えた制御用記録媒体と、
を備えたことを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
前記記録用記録媒体は、
前記制御用記録媒体を装着する第1の装着部と、前記記録用記録媒体に対して光ビームを照射してデータを記録する記録装置の駆動部に装着可能な第1の固定部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
前記記録用記録媒体と着脱可能な第3の基板と、前記第3の基板上に設けられ、光ビームの照射を反射する反射層とを備えた再生用記録媒体
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項4】
前記再生用記録媒体は、
前記記録用記録媒体を装着する第2の装着部と、前記記録用記録媒体に対して光ビームを照射して前記記録層にデータを記録する記録装置の駆動部に装着可能な第2の固定部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
【請求項5】
前記制御用記録媒体は、
前記記録用記録媒体を装着する装着部と、前記記録用記録媒体に対して光ビームを照射して前記記録層に記録されたデータを再生する再生装置の駆動部に装着可能な固定部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の光記録媒体。
【請求項6】
前記記録用記録媒体は、前記記録層に記録するデータを暗号化する暗号鍵を記録する暗号鍵領域をさらに備え、
前記再生用記録媒体は、前記暗号鍵に対応して、前記記録層に暗号化して記録されたデータを復号化する復号鍵を記録する復号鍵領域をさらに備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の光記録媒体。
【請求項7】
前記記録用記録媒体の前記記録層は、前記第1の基板の両面のそれぞれに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項8】
前記制御用記録媒体は、
照射された光ビームを反射する反射層をさらに備え、
前記第2の基板は、前記制御情報がランド・グルーブ構造で記録されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光記録媒体。
【請求項9】
前記第2の基板は、前記制御情報としてトラッキング情報、クロック生成情報、アドレス情報の少なくとも1つが記録されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−42149(P2007−42149A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221664(P2005−221664)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】