説明

光走査型顕微鏡およびその使用

【課題】光走査型顕微鏡で広域視野照明も可能にする。
【解決手段】試料(23)の点状または点群状照明のための照明光を生成するスポット照明装置(2)、点状または点群状の照明光を誘導して試料(23)上を走査する走査装置(3、4)、試料(23)上の点状または点群状の照明スポットを、走査装置(3、4)を通して少なくとも1つの共焦点絞り(26)により少なくとも1つの検出ユニット(28)上に結像させるスポット検出装置(5)および走査装置(3、4)を制御してスポット検出装置(5)から読み出しを行う制御ユニットを有する光走査型顕微鏡であって、試料(23)の照明用として広域視野照明光源(29、34)が追加装備されていて、また広域視野照明光源(29、34)の作動時には制御ユニットが、広域視野照明された試料(23)の画像が得られるように、走査装置(3、4)を制御してスポット検出装置(5)から読み出しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の点状または点群状照明のための照明光を供給するスポット照明装置、点状または点群状の照明光で試料上を走査する走査装置、少なくとも1つの共焦点絞りの使用下で、照明された試料の点状または点群状スポットを走査装置を通じて少なくとも1つの検出ユニット上に結像させるスポット検出装置および走査装置を制御してスポット検出装置から読み出しを行なう制御ユニットを持つ共焦点レーザ走査型顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はさらに、レーザ走査型顕微鏡検査のための方法にも関する。当方法では、試料の像は走査および点状または点群状スポットの共焦点結像によって生成されるが、そのため、試料走査により点状または点群状の照明を行う装置が配備されている。
【特許文献1】DE 197 02 753 A1
【特許文献2】US 6,028,306
【特許文献3】WO 88 07695
【特許文献4】DE 2360197A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記種類の共焦点レーザ走査型顕微鏡は現状技術から公知である。これについてはDE 197 02 753 A1が参考になる。分光撮像技術の分野においては、最近では機能増設型の顕微鏡、特に共焦点結像式のレーザ走査型顕微鏡が多用されるようになっている。それにより、選択した試料領域の分光特性を破壊および接触なしに測定することが可能である。その共焦点光学顕微鏡法によれば、回折の制限された共焦点体積内で生成される、その大きさがマイクロメータ領域の光学信号を選択的に検出することができる。走査レーザビームおよび/または試料送出ユニットを持つレーザ走査型顕微鏡は、検査試料の2次元または3次元画像を高いスポット分解能で生成することができる。共焦点レーザ走査型顕微鏡法はこの特性により、バイオメディカル領域の蛍光性試料には殆ど標準法としての地位を占めている。
【0004】
前出のDE 197 02 753 A1によると、上記の蛍光測定のほか試料透過測定の実施も想定されている。そのため、走査されたレーザビームの照明方向で見て下方位置にある、スキャナを通じて投射された点状ビームの透過成分を記録する検出器が作動できるようになっている。そのようにして、いわゆる「透過光走査」が実現される。ただし、試料の下方位置にある検出器の光学的結合が何らかの問題を惹き起こす。それは特に、レーザ走査型顕微鏡の顕微鏡本体には通常観察者のための覗き口も設けられていることによる。その結果、通常の顕微鏡検査のための照明装置と透過光走査用に分離配置された検出器間で切換が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、試料の透過光測定が大きなコスト負担なく実施できるように、上記種類の顕微鏡を改良開発することを基本課題に置いている。
【0006】
この課題は、試料を照明する広域視野照明光源が追加設置されていて、しかも広域視野照明光源の作動時には制御ユニットが、広域視野照明された試料(23)から1画像が取り込めるように走査装置を制御しスポット検出装置から読み出しを行なう、本発明に基づく上記種類のレーザ走査型顕微鏡によって解決される。
【0007】
本課題はまた、試料を広域視野照明し、点状または点群状のスポット走査によって結像させる、上記種類のレーザ走査型顕微鏡鏡検法によって解決される。
【0008】
したがって、本発明は広域視野照明を走査検出と組み合わせた最初のものである。驚くほど簡易なこの手段によってセパレート型の検出器は不要になる。同時に数多くの利点も得られる。
【0009】
広域視野照明には、通常の光学的観察用として元々レーザ走査型顕微鏡に備えられている光源を使用することができる。切換機構はもはや不要である。それゆえ、全体の構造が簡易化される。広域視野照明光源は、主として、試料の透過光照明を実現しよう。また、例えばエピ蛍光測定やあるいは反射測定の実施には、もちろん、それに代わり、および補足的に広域落射照明の使用も可能である。さらに、両モード(落射光、透過光)を同時に実現することもできる。
【0010】
そのほか、共焦点検出装置の深度弁別能力により、深度分解のなされた透過光測定が初めて可能になる。
【0011】
走査用に設置された励起照明光源に比較して通例は非常に広帯域である、殆どが元々備えられている広域視野照明光源によって、共焦点結像の必要性から従来のレーザ走査型顕微鏡では可能でなかった、または光源サイドに非常なコストをかけて初めて可能になった白色光透過走査を実現することができる。広域落射型蛍光励起に関しても同様のことが言える。
【0012】
走査型検出器による広域視野照明試料の走査により、レーザ走査型顕微鏡に装備された検出装置のスペクトル分析能力を透過光操作にも利用することができ、それによって試料の特性がより明確に描き出される。したがって、スポット検出装置が複数のスペクトルチャネルを持つような改良型が望まれる。
【0013】
広域視野照明は走査スポット照明には左右されずに操作することができる。もちろん、制御ユニットによれば、試料が透過操作と従来型の蛍光操作とで同時に分析される同時操作を導入することもできる。
【0014】
制御ユニットは、例えば様々なスペクトルチャネルから然るべき方法で読み出しを行って、幾つかのスペクトルチャネルからは試料の蛍光情報を、他のスペクトルチャネルからは透過情報を得るようにすることができる。例えば、重畳画像におけるこれら情報の然るべき組み合せにより、従来のシステムに優る試料分析がもたらされる。それゆえ、制御ユニットにより作動時にスポット照明装置と広域視野照明光源とを同時に制御し、スポット検出装置のスペクトルチャネルから然るべき読み出しを行うのが好ましい方法である。
【0015】
さらに、複数のポイントにおいて透過光走査ができることも本発明に基づく手段の長所である。試料下方に配置された従来型セパレート検出器では、然るべきスポット分解能が欠けるためこれは不可能であった。本発明によって開かれた透過光操作におけるマルチポイント式または点群式スキャナの使用が、広域視野照明の経時的変動により発生することのある問題を緩和している。この場合では、マルチポイント式または点群式システムにおいて統合時間を適切に延長することによりこれが補整できるからである。したがって、広域視野照明と走査された点状または点群状照明を同時に行うのが有利である。ここで言う点群とは、レーザ走査型顕微鏡がコンフォーカルに照明および結像する複数ポイントの特に線形として現われる各配置のことである。この手段により、好ましくもさらに、現状技術では不可能であった試料負荷の軽減や測定時間の短縮が実現される。したがって、検出器により、例えば少なくとも1つのニポーディスクおよび少なくとも1つのマトリックス検出器により共焦点点群結像を実現するのが特に好ましい方法である。
【0016】
これに関しては、US 6,028,306、WO 88 07695またはDE 2360197A1に公開されているマルチポイント式またはニポー式装置が参考になる。
同様に、Pawley著“Handbook of Biological Confocal Microscopy ”Plenum Press社1994年刊、461ページ以降に記述されている共鳴走査装置も対象になる。
【0017】
スポット検出装置に関しても、ラインが点群として用いられるのであれば、ライン検出器付きの共焦点スリット絞りを使用することもできる。
【0018】
透過光測定については、最終的には広域視野照明の使用が斬新なコントラスト法を開拓する。これにより、光学顕微鏡に関する従来の技術レベルから公知であるすべてのコントラスト法が可能になる。これの実現には、広域視野照明光源がコンデンサを有していて、コントラスト装置に接続可能であることが望まれる。例えば暗視野照明は、コンデンサに適当なリング体を配置することによって実現可能である。
【0019】
しかし、走査装置が走査対物レンズを有していて、そのひとみ平面に適当なコントラスト装置が接続可能であれば、また別なコントラスト法も考えられる。コントラスト装置をコンデンサ内に組み込めば、暗視野コントラストだけでなく位相コントラスト、VARELコントラスト、偏光コントラストまたは微分干渉コントラストが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下では本発明を図例の引用によりさらに詳しく説明する。各図はそれぞれ次のものを表わしている :
図1は主要部が5つのコンポーネント、すなわち、レーザ走査型顕微鏡検査のための励起光を生成する光源モジュール2、励起光をコリメートして試料上の走査のため然るべき偏向を行なう走査モジュール3、走査モジュールによって用意された走査ビームを顕微鏡光路内で試料の方向に向ける顕微鏡モジュール4および試料からの光線を受け止め検出する検出モジュール5から成るレーザ走査型顕微鏡1の模式図である。その場合検出モジュール5は、図1に描かれているように、スペクトル別のマルチチャネル型に構成することができる。
【0021】
光源モジュール2は、レーザ走査型顕微鏡検査に適した照明光、従って特に蛍光を誘起し得るビームを生成する。適用法に対応させるため、光源モジュールは当目的用に複数の光源を有している。図示された実施態様では光源モジュール2に2つのレーザ6および7が配備されている。それらの後にはそれぞれ光バルブ8および減衰器9が接続されており、それらはビームを結合ポイント10を通じて光ファイバ11に連結させている。光バルブ8は、レーザユニット6または7のレーザ自体の作動を遮断しなくてもビームを遮断させることのできるビーム偏向器として機能する。光バルブ8は、例えば、ビーム遮断のためレーザビームを光ファイバ11へ連結する手前で、図示されていない光の落下方向に偏向させるAOTF(音響光学フィルタ)として形成されている。
【0022】
図1のモデル例ではレーザユニット6は3つのレーザB、C、Dを有しているが、それに対しレーザユニット7はレーザAを1つ持つのみである。したがって、図の6と7は単一波長用レーザと多種波長用レーザの組み合せモデルであり、個別に、または共同で1つまたは複数のファイバに連結されている。複数ファイバを通じてビームを同時連結することも可能であるが、その場合ではビームは後に、すなわち適合光学系の通過後にカラー結合器によって混合される。このようにして、励起光用に種々様々な波長または波長領域を使用することができる。
【0023】
光ファイバ11に通されたビームは、移動式のコリメーション光学系12および13によりビーム結合ミラー14,15を通じて合一化される。
コリメータ12、13は、光源モジュール2から走査モジュール3へ送られるビームが無限大光路にコリメートされるように作用する。これはそれぞれ、(図には描かれていない)中央制御ユニットの制御下のもと光軸に沿って移動することでフォーカシング機能を発揮する個別レンズで行うのが有利である。コリメータ12、13とそれぞれの光ファイバ末端との距離は変更可能なようになっている。
【0024】
この照明光は励起光として用いられ、メインカラースプリッタ17を通じてスキャナ18に誘導される。メインカラースプリッタについては後ほど詳しく述べるので、ここでは顕微鏡モジュール4から戻ってきた試料光を励起光から分離させる機能を持つことだけを指摘しておく。
【0025】
スキャナ18はビームを2軸方向に偏向させるので、ビームは走査対物レンズ19、鏡筒レンズ20、対物レンズ21を通って、プレパラートまたは試料23内にある焦点22に集束する。その場合光学結像は、試料23が励起光により焦点で照明されるように行なわれる。
【0026】
線形フォーカス22で励起されたこのような蛍光ビームは対物レンズ21、鏡筒レンズ20および走査対物レンズ19を通ってスキャナ18に戻るので、スキャナ18に向かっての戻り過程の方向では再び静止ビームになっている。したがって、スキャナ18は蛍光ビームをデスキャンするとも言われる。
【0027】
メインカラースプリッタ17は励起光とは別な波長領域にある蛍光ビームを通すことができるので、蛍光ビームは検出モジュール5の転向ミラー24で転向させた後分析することができる。検出モジュール5は図1の実施態様では4つのスペクトルチャネルを有している。すなわち、転向ミラー24のほうから来た蛍光ビームはサブカラースプリッタ25、25a、25b、25cにより4つのスペクトルチャネルに分割される。
【0028】
各スペクトルチャネルは、試料23に対して共焦点結合を実現する共焦点ピンホール絞り26を有しており、その大きさがビームの検出を可能にする焦点深度を決定する。したがって、絞り26の幾何学構造は、ビームの検出がなされる(厚みのある)プレパラート内の切断面を決定づける。
【0029】
絞り26の後方にはさらに、検出モジュール5に到達した歓迎されざる励起光をブロックするためのブロックフィルタ27が配置されている。特定深度の切断面に由来する、このように分離され扇形に広がった線形ビームは、次に然るべき検出器28によって分析される。上記の第1カラーチャネルと同様に、ピンホール絞り26a、26b、26c、ブロックフィルタ27a、27b、27cおよび検出器28a、28b、28cを持つ他のスペクトル検出チャネルも構成されている。
【0030】
図1のレーザ走査型顕微鏡1は焦点または焦線によって照明される試料領域の共焦点走査のほか、これについて別途図示されているオプション構造によりまた別な計測作業法も可能である。その目的のため、当該ビームが、走査光学系19の照射方向とは逆向きにランプ光学系30およびコンデンサ31を通って試料23のほうに向けられた広域視野照明としてのハロゲンランプ29が配備されている。この照明の透過成分も同様に、対物レンズ21、鏡筒レンズ20、走査対物レンズ19およびスキャナ18を通され、走査法によって走査され、メインカラースプリッタ17および検出モジュール5のサブカラースプリッタによりスペクトル分析される。スキャナ18を通しての検出により試料走査の形でスポット分解が行われ、同時にハロゲンランプ29を通しての広域視野照明も可能である。
【0031】
同じコンセプトを後方反射ビームおよびエピ蛍光ビームの評価にも適用することができる。その場合では、照明光を水銀蒸気ランプ34からランプ光学系35を通じてビームスプリッタ36に誘導し、そこで顕微鏡モジュール4の鏡筒へ連結させる。このビームは、その後対物レンズ21を通って試料23に達する。この場合も照明はスキャナ18の作用を借りずに行われる。それに対し、検出はやはり検出モジュール5の走査光学系19およびスキャナ18を通じて行われる。このように、検出モジュール5はこの追加態様に対して二重機能を有している。当モジュールは、1つには走査入射励起光に対する検出器として用いられる。検出モジュール5は、また1つには、もはやそれ以上構造化されないビームが、すなわち対物レンズ21の下方または上方から広域視野照明光として試料に入射する場合にはスポット分解検出器として作用する。さらにまたスキャナ18も二重作用を有している。それは、点状入射励起光の場合だけでなく、広域視野照明の場合でも試料の点状走査によってスポット分解を達成するからである。
【0032】
上記の手段により、顕微鏡モジュール4において透過法または落射法で走査されない検出器については削減することができる。
【0033】
図1のレーザ走査型顕微鏡1は、その上組み合せ操作も可能であり、その場合光源モジュール2から点状または点群状に入射した励起光のほか、ハロゲンランプ29または水銀蒸気ランプ34からの広域視野照明も試料23に向けられ、そのように重複照明された試料においてスキャナ18および検出モジュール5により、それぞれ対応した点状または点群状の走査が達成される。したがって、サブカラースプリッタ25〜25cの然るべき選択によって、旧来の透過式または反射式顕微鏡検査法をレーザ蛍光測定と組み合わせることができる。そのように、走査および検出器28〜28cの信号評価から得られた画像情報は、次に単独で、または重畳状態で評価および表示することができる。
【0034】
図1の構造は、特に検出モジュール5に関しては、単なるモデル例として理解しなければならない。
図2はこれの代替になる構造を示したものであり、点状焦点22の代わりに線形の共焦点結像が使用されている。この場合では2つのスペクトルチャネルの装備された検出モジュール5にはピンホール絞り26の代わりにスリット型絞り26’が設置されている。
【0035】
スリット状になるこの部分コンフォーカル結像では、もちろん試料23の照明に関してもそれ相応に、焦線を持ったレーザビームモジュール3での照明が必要になる。したがって、図2の構造ではビーム結合ミラー14および15の後方にビーム形成ユニット16が追加配置されていて、これがレーザの供給する回転対称なガウス型プロフィールのレーザビームから、もはや回転対称でない、長方形型照明フィールドの形成に適した横断面を持つ線形ビームを生成している。したがって、スキャナ18は線形ビームと称される照明光を励起光として試料23上に偏向誘導する。焦線が十分に長い場合ではスキャナ18は、図2にも示されているように、1軸偏向に限定することができる。
【0036】
検出モジュール5での共焦点スリット開口の使用はモデル例としてのものに過ぎない。原則として、点雲型またはニポーディスク型など任意のマルチポイント型装置が使用できる。ただし、検出器28がスポット分解能を有していて、スキャナ通過時に試料の複数点が同時平行的に捕捉されることが不可欠である。
【0037】
このコンセプトにより、技術水準的にこれまでは必要であった顕微鏡モジュール4のノンデスキャン検出器が省略できる。その上、共焦点検出により、ノンデスキャン検出の場合では通例高コストのマトリックスセンサでしか得られないような高分解能が達成できる。しかも、例えばハロゲンランプ29または水銀蒸気ランプ34など入射広域視野照明の経時的変動についても、スポット分解検出器28、28aにおける然るべき統合により解消することができる。
【0038】
レーザ走査型顕微鏡1のこの操作法にはもちろん、メインカラースプリッタ17およびサブカラースプリッタ25がそれに適合するように調整される。それにより、カラースプリッタが然るべきダイクロイックタイプとして構成されていれば、両種照明、すなわち下方からの広域視野照明と対物レンズ21を通しての照明を同時に行なうことができる。また、走査された光源モジュール2からの照明と任意に組み合わせることも可能である。それに対応して重なり合う評価信号のグラフィック模様が、従来法に優る画像情報を提供する。
【0039】
例えば、ラインスキャナの共焦点マルチポイント結像とマルチチャネルスペクトル検出との組み合せにより高度に並行的なデータ記録が可能である。1秒当り200画像以上という撮像率が達成でき、レーザ走査型顕微鏡ではこれ迄実現されなかったリアルタイム性が現実になる。他方、レーザ走査型顕微鏡1は、特に強度の弱い信号に対し高感度の検出を可能にする。単点式の共焦点レーザ走査型顕微鏡との比較では、撮像時間、試料内結像面積、視野およびピクセル当りのレーザ出力を同じとして、多点結像のポイント数をnで表わせば√n倍改良された信号対雑音比が実現される。検出器の場合1走査線500〜2,000が典型的な値である。
【0040】
レーザ走査型顕微鏡1の光源2はそれに必要な前提、すなわち、例えばビーム形成ユニット16から発せられる照明ラインなど、比較可能な単点式共焦点スキャナのレーザフォーカスに対しn倍の出力を持つ多点照明という条件を満たしている。
【0041】
そのほか、撮像時間および信号対雑音比を同条件にして単点式共焦点スキャナと比較した場合の試料負荷に関しては、すなわち試料に当てることで試料を退色させるかもしれないビームの照射は、これ迄単点式共焦点スキャナで適用されてきたビーム出力を複数の点に、例えばラインに分布させることで1/nの量に減らすことができる。
【0042】
このように、多点走査式のレーザ走査型顕微鏡は単点式共焦点スキャナと比較した場合、信号対雑音比および試料負荷が同じであれば脆弱な試料物質の低強度信号をn倍速く、撮像時間が同じであれば√n倍改良された信号対雑音比で、または撮像時間が同じであれば、信号対雑音比同等で試料負荷1/nで結像させることが可能である。
【0043】
図3は、図1または2のレーザ走査型顕微鏡1においてラインスキャナ設置構造での光路のモデル例を模式化したものである。したがって、ここでは点群はラインとして実現されている。それに対応して照明スポットも線形である。既に図1および図2に描かれた構成部品には同じ符号が付けてあるので、それらの説明に関しても少なくとも一部は図1および2が参考になる。
【0044】
図3では照明光路Bは実線で、それに対して検出光路Dは破線で描いてある。図3から明らかなように、試料23は2種類の方法で照明される。一方ではハロゲンランプ29、ランプ光学系30および図3の例では2つの光学系31a、31bとして描かれたコンデンサ31を通じて広域視野照明が行なわれる。また一方、レーザ7からも照明が発せられるが、それは線形照明であるため図3に示された切断面の方向では試料内に焦点を結ばない。
【0045】
スキャナ18はラインを試料23の上に偏向させ、生成されたスポット像に対応する、すなわち線形スポットであることからスリット絞りとして構成されている共焦点絞り26の上にそれをコンフォーカルに形成させる。試料23では線形に入射した励起光のコヒーレンスが蛍光励起により停止される。それは蛍光がインコヒーレントな相互作用プロセスだからである。色素分子は顕微鏡の光学分解能以下の大きさである。各色素分子は点放射体として他の試料箇所とは無関係に放射し、対物レンズのひとみ全体を満たしている。図3では破線で描かれている検出光路が生成される。焦線として実現できるこのようなスポット照明はメインカラースプリッタ17により検出光路Dから分離される。このメインカラースプリッタはDE 10257237 A1に記載されている帯状ミラーと同形式で構成されている。その上面図は図4に示されている。高度反射部分HRと高度透過部分HTとを持つそのような帯状ミラーは独立したスペクトルメインスプリッタとして機能する。図から分かるように、それは、試料平面で反射した、すなわちコヒーレントな照明光が線形(単点検出器の場合は点状)に集束されている、走査装置のひとみ平面内にある。それに対して、検出対象のインコヒーレントな信号ビームはひとみ平面全体を満たし、高度透過部分HTからほぼ完全に透過する。したがって、「カラースプリッタ」とは、本発明の意味では非スペクトル作用の分離器と解されるものである。
【0046】
広域視野照明に関しては、照明領域の調整ができるように、ランプ光学系30とコンデンサ31a、31bとの間に視野絞りが設置される。さらに、コンデンサ31a、31bには開口絞りA1を接続することもできる。これはレーザ走査型顕微鏡のひとみ平面に対して共役位置にある。この場合のひとみ平面とは、ひとみ平面P1、スキャナ18の存在する平面およびメインカラースプリッタ17の配置されている平面のことである。旧来の顕微鏡検査法から公知である、例えば暗視野、位相コントラスト、VARELコントラストまたは微分干渉コントラストなどのコントラスト法を適用するために、開口絞りA1として、およびそのほかひとみ平面P1に、様々な光学素子を使用することができる。適した開口絞りA1、またはひとみ平面1に設置可能な素子については、例えば冊子“Microscopy from the very beginning” Carl Zeiss Mikroskopie社、D−07740、イエーナ(1997年刊、18〜23ページ)に説明されている。この企業出版物の公開内容は本発明に明確に取り込まれている。そのようなコントラスト操作に適しているのは、もちろんひとみ平面P1だけではない。他のひとみ平面もその目的に有用である。
【0047】
当操作は、例えばメインカラースプリッタ17の近くでも行えるようにし、あるいは検出光路の単一(または複数)スペクトルチャネル内でサブカラースプリッタ25後方にあるリレー光学系により行うことができよう。
【0048】
図3の光路には、図1と2を手掛かりに既に説明した素子に加えリレー光学系ROも配置されているが、これは走査光学系19と鏡筒レンズ20間の中間像平面ZB1に加え照明光路用のまた別な中間像平面ZB2を提供する。照明光路の第3の中間像平面ZB3はメインスプリッタ17の前に位置するため、この場合カラースプリッタにおいてひとみ平面が構成される。構造をコンパクトな状態に維持したい場合は、リレー光学系ROは省くこともできる。
【0049】
本発明は、迅速作業性のある共焦点レーザ走査型顕微鏡の適用可能性を大幅に拡大するものである。このような改良開発の重要性は、細胞生物学的に関する標準文献およびそこに記述されている細胞、副細胞の迅速な変化過程、さらには多数の色素を用いた検査方法を手掛かりに読み取ることができる。
例えば下記の文献が参考になる :
B.Alberts他著(2002年): Molecular Biology of the Cell ; Garland Science刊

1,2G.Karp著(2002年): Cell and Molecular Biology ; Concepts and Experiments ; Wiley Text Books刊

1,2R.Yuste他著(2000年): Imaging neurons – a laboratory Manual ; Cold Spring Harbor Laboratory Press刊、 ニューヨーク

R.P.Haugland著(2003年): Handbook of fluorescent Probes and research Products第10版 ; Molecular Probes Inc. and Molecular Probes Europe BV刊
本発明は次のプロセスおよび変遷にとって非常に重要な意味を持っている :
【0050】
有機体の生育
記述の本発明は、なかでも1/10秒から時間レベルまでのダイナミックな変遷を特徴とする生育過程の研究に適している。ここでは細胞結合面および有機体全体への適用例について記述する :
・ Abdul−Karin、M. A.他は2003年“Microvasc. Res.”第66巻、113〜125ページに動物生体における血管の変化に関する長期分析結果を記録した。その場合、蛍光画像は数日間隔で撮影された。運動の定角軌道を模式的に描くために、3次元のデータ記録が適合アルゴリズムで評価されている。
・ Soll、D. R.他は2003年“Scientic World Journ.”第3巻827〜841ページに3次元空間全体における生体細胞の核および偽足に関する顕微鏡データのソフトウェアベースによる運動分析について記述している。
・ Grossmann, R他は2002年“Glia”第37巻229〜240ページにラットの微小神経膠細胞における運動の3次元分析について記述している。そのデータは10時間以上に亘って記録されたものである。神経膠細胞にはトラウマ性傷害の後に同時に迅速反応が発現するので、高いデータ収得率およびそれ相応のデータ量が得られる。
これに関しては特に次のことが重要なポイントである :
・ その隣接細胞がレーザ照明に敏感に反応するので3次元ROI照明から保護されねばならない3次元領域での生細胞の分析
・ 例えばFRET実験などにおいて、3次元のレーザ照準照明下で退色するマーカーによる生細胞の3次元領域での分析
・ 例えば3次元FRAP、FLIP実験などにおいて、レーザ照準照明下で退色する、同時にROI外の観察も必要なマーカーによる生細胞の3次元領域での分析
・ 例えば3次元伝達物質の活性化など、レーザ照明下での操作原因により変化するマーカーおよび薬剤による生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばpaGFP、Kaedeなど、レーザ照明下での操作原因により変色するマーカーによる生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばコンフォーカル性と検出感度との最適バランスが要求される微弱マーカーによる生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばCFP、GFP、YFP、DsRed、HcRedなど可変性多重マーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 機能に依存して変色する、例えばCa+マーカーなどでマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 生育に起因して変色するマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞、例えばGFPによる形質転換動物
・ 例えばpaGFP、Kaedeなど、レーザ照明下での操作原因により変色するマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 検出感度に有利なようにコンフォーカル性の制限を要求する微弱マーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 最終項目とそれ以前の項目との組み合せ
【0051】
細胞内の運搬過程
記述の本発明は細胞内運搬過程の研究にはこの上なく適している。この場合では正しく非常に微小な運動構造体、例えばタンパク質を高速度で(殆どが1/100秒の領域)描写しなければならないからである。複雑な運搬過程のダイナミックスを捕捉するためには、ROIブリーチングを伴うFRAPもしばしば適用される。そのような研究例として、ここでは以下のものを挙げておく :
・ Umenishi, F.他が2000年“Biophys J.”第78巻1024〜1035ページに、GFP変換された培養細胞におけるアクアポリンの空間運動性についての分析結果を記述している。その場合、細胞膜の照準点を局部ブリーチングして、周辺における蛍光拡散の分析を行っている。
・ Gimpl, G.他が2002年“Prog.Brain Res.”第139巻43〜55ページに、ROIブリーチングによる実験、運動性分析のための蛍光撮像およびGFPマーキングされたオキシトシン受容体の線維芽細胞内での分布について記述している。その場合、空間位置設定、分解能およびブリーチングと撮像との直接的な時間的連続性に関して高い要求が課されている。
・ Zhang他が2001年“Neuron”第31巻261〜275ページに、GFP変換された神経細胞における生細胞の撮像について記述している。その場合、顆粒の運動がブリーチングと蛍光撮像との組み合せにより分析された。神経細胞のダイナミックスに起因して、撮像速度には高い要求が課される。
【0052】
分子間の相互作用
記述の本発明は、特に分子間およびその他副細胞間の相互作用の描写に適している。これらの場合では非常に微小な構造が高速度(1/100秒レベル)で描出されねばならない。相互作用に必要な分子の空間ポジションの解明には、例えばROIブリーチングを伴うFRETなどの間接的な技術を使用することもできる。適用される例として、ここでは以下のものを挙げておく :
・ Petersen, M. A.およびDalley, M. E.が2004年“Glia”第46巻195〜206ページに、ラット海馬角の培養における2チャネル撮影について記述している。この場合は、マーカーとしてのレクチンとシトックスについて3次元空間において長時間に亘り2チャネルで記録される。
・ Yamamoto, N.他が2003年“Clin. Exp. Metastasis”第20巻633〜638ページに、ヒトの線維肉腫細胞の2色撮影について記述している。この場合では緑色と赤色の蛍光タンパク質(GFPおよびRFP)が同時にリアルタイムで観察された。
・ Bertera, S.他が2003年“Biotechniques”第35巻718〜722ページに、合成後色が緑から赤に変化するタイムレポータプロテインによってマーキングされた転換マウスのマルチカラー撮影について記述している。撮像は生体動物の組織内3次元空間で迅速シリーズとして行われる。
【0053】
細胞間の信号伝達
記述の本発明は、殆どが極端に迅速になる信号伝達過程の研究には他に抜きん出て適している。殆どが神経生理学に関するこの過程では経時的分解能に最大限の要求が課される。それは、イオンによって媒介される活動が1/100秒から1/1000秒以下の範囲で起こるからである。筋肉系または神経系の検査への適用例として、ここでは次のものを挙げておく :
・ Brum G他が2000年“J Physiol”第528巻419〜433ページに、伝達物質としてのカフェインによる刺激後のカエルの筋肉細胞における迅速なCa+活動の位置確認について記述している。この位置確認およびマイクロメータ単位の精度を持つ分解能は、迅速型の共焦点顕微鏡の使用下でないと達成されない。
・ Schmidt H他が2003年“J Physiol”第551巻13〜32ページに、転換マウスの神経細胞突起におけるCa+イオンの分析について記述している。変化するCa+に結合するタンパク質による、マウス内での迅速なCa+変化状況についての研究は、高分解能を持つ共焦点顕微鏡により初めて行うことができた。それは、神経細胞内におけるCa+活動の位置確認およびその精確な経時的動力学が重要な役割を果たしているからである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】点状に走査するレーザ走査型顕微鏡の模式図
【図2】点群状に走査するレーザ走査型顕微鏡の模式図
【図3】図2のレーザ走査型顕微鏡における主要部切断面の模式図
【図4】図2のレーザ走査型顕微鏡におけるメインビームスプリッタ
【符号の説明】
【0055】
1 レーザ走査顕微鏡
2 光源モジュール
3 走査モジュール
4 顕微鏡モジュール
5 検出モジュール
6,7 レーザ
8 光バルブ
9 減衰器
10 結合ポイント
11 光ファイバ
12,13 コリメーション光学系
14,15 ビーム結合ミラー
17 メインカラースプリッタ
18 スキャナ
19 走査対物レンズ
20 鏡筒レンズ
21 対物レンズ
22 焦点
23 試料
24 転向ミラー
25 サブカラースプリッタ
26 共焦点ピンホール(絞り)
27 ブロックフィルタ
28 検出器
29 ハロゲンランプ
30 ランプ光学系
31 コンデンサ
34 水銀蒸気ランプ
35 ランプ光学系
36 ビームスプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 試料(23)の点状または点群状照明のための照明光を生成するスポット照明装置(2)、
− 点状または点群状の照明光を誘導して試料(23)上を走査する走査装置(3、4)、
− 試料(23)上の点状または点群状の照明スポットを、走査装置(3、4)を通して、少なくとも1つの共焦点絞り(26)により、少なくとも1つの検出ユニット(28)上に結像させるスポット検出装置(5)および
− 走査装置(3、4)を制御して、スポット検出装置(5)から読み出しを行う制御ユニット
を有する光走査型顕微鏡、それも特に共焦点レーザ走査型顕微鏡であって、
試料(23)の照明用として広域視野照明光源(29、34)が追加装備されていること、および広域視野照明光源(29、34)の作動時には制御ユニットが、広域視野照明された試料(23)の画像が得られるように、走査装置(3、4)を制御してスポット検出装置(5)から読み出しを行うこと
を特徴とするレーザ走査型顕微鏡。
【請求項2】
広域視野照明光源(29)が透過測定のために透過照明を、または蛍光励起のために試料(23)に対し落射照明を実現することを特徴とする、請求項1に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項3】
スポット検出装置(5)が複数のスペクトルチャネルを有していることを特徴とする、先行請求項の1つに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項4】
制御ユニットが、スポット照明装置(2)と広域視野照明光源(29、34)をそれらの作動時に同時に制御してスポット検出装置のスペクトルチャネルから読み出しを行うことを特徴とする、請求項3に記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項5】
スポット検出装置(5)が、少なくとも1つのニポーディスクおよび少なくとも1つのマトリックス検出器を有していることを特徴とする、先行請求項の1つに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項6】
スポット検出装置(5)が、少なくとも1つのスリット絞り(26’)および少なくとも1つのライン検出器(28)を有していることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項7】
広域視野照明光源(29)が、コントラスト装置A1の接続可能なコンデンサ(31)を有していることを特徴とする、先行請求項の1つに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項8】
走査装置が、走査対物レンズ(19)を有し、そこから点状または点群状のスポットが生成され、それに対応する位置に少なくとも1つのひとみ平面P1があって、そこへコントラスト装置の接続ができるということを特徴とする、先行請求項の1つに記載のレーザ走査型顕微鏡。
【請求項9】
試料(23)の画像が、点状または点群状スポットの走査および共焦点結像によって生成され、および点状または点群状スポットによる試料の走査照明のための装置が配備されている、レーザ走査型顕微鏡検査のための方法であって、試料(23)が、広域視野照明され、点状または点群状スポットの走査によって結像されることを特徴とする方法。
【請求項10】
試料(23)が、広域視野照明によって透過照明されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
共焦点結像が、スペクトル分解のもとで行われる、方法に関する先行請求項の1つに記載の方法。
【請求項12】
広域視野照明と点状または点群状スポットによる走査照明が、同時に行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
共焦点結像では、少なくとも1つのニポーディスクが、少なくとも1つのマトリックス検出器と組み合わされて、または少なくとも1つのスリット絞りが、少なくとも1つのライン検出器と組み合わされて使用されることを特徴とする、方法に関する先行請求項の1つに記載の方法。
【請求項14】
次のコントラスト法、すなわち暗視野コントラスト、位相コントラスト、VARELコントラスト、偏光コントラスト、微分干渉コントラストのうちの1つが使用される、方法に関する先行請求項の1つに記載の方法。
【請求項15】
先行請求項の少なくとも1つに記載の装置および/または方法の、生育過程の研究のための、特に細胞結合レベルおよび完全な有機体における、それも特に1/10秒から時間単位に到るまでの動力学プロセスについての研究のための使用であって、特に下記の研究対象、すなわち
・ その隣接細胞が、レーザ照明に敏感に反応するので3次元ROI照明から保護されねばならない3次元領域での生細胞の分析
・ 例えばFRET実験などにおいて、3次元のレーザ照準照明下で退色するマーカーによる生細胞の3次元領域での分析
・ 例えば3次元FRAP、FLIP実験などにおいて、レーザ照準照明下で退色する、同時にROI外の観察も必要なマーカーによる生細胞の3次元領域での分析
・ 例えば3次元伝達物質の活性化など、レーザ照明下での操作原因により変化するマーカーおよび薬剤による生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばpaGFP、Kaedeなど、レーザ照明下での操作原因により変色するマーカーによる生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばコンフォーカル性と検出感度との最適バランスが要求される微弱マーカーによる生細胞の3次元領域での照準分析
・ 例えばCFP、GFP、YFP、DsRed、HcRedなど可変性多重マーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 機能に依存して変色する、例えばCa+マーカーなどでマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 生育に起因して変色するマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞、例えばGFPによる形質転換動物
・ 例えばpaGFP、Kaedeなど、レーザ照明下での操作原因により変色するマーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 検出感度に有利なようにコンフォーカル性の制限を要求する微弱マーキングのなされた3次元組織結合における生細胞
・ 最終項目とそれ以前の項目との組み合せ
のうちの少なくとも1つに照準した使用。
【請求項16】
先行請求項の少なくとも1つに記載の装置および/または方法の、細胞内移動過程の研究のための適用であって、特に微小可動構造体、例えばタンパク質の高速度(殆どが1/100秒レベル)描出のための、特にROIブリーチングを伴うFRAPにおける適用。
【請求項17】
先行請求項の少なくとも1つに記載の装置および/または方法の、好ましくは、例えばROIブリーチングを伴うFRETなど副分子構造解明のための間接的技術の使用下における、分子間およびその他副細胞間の相互作用の描写のための、特に非常に微小な構造の高速度描写のための使用。
【請求項18】
先行請求項の少なくとも1つに記載の装置および/または方法の、イオンにより媒介される活動が1/100秒から1/1000秒以下までの範囲で起こり高い経時的分解能が要求される領域での、特に筋肉系または神経系の検査における迅速な信号伝達過程、特に神経生理学過程への適用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−30987(P2006−30987A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177034(P2005−177034)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(396000455)カール ツァイス イエナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (44)
【Fターム(参考)】