説明

光起電力モジュールの製造のための多層シートの使用

【課題】光起電力モジュールの裏面シートにおいて、純粋にポリアミドを基礎とする層と、ポリアミド及びポリオレフィンを含有する層との間の付着を改善する。
【解決手段】ポリアミドを含有する第一外層、ポリアミドおよびポリオレフィンを含有する中間層、および、ポリアミドを含有する第二外層からなるシートであり、各層は、ポリエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルアミドの種類のポリアミドエラストマーを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着を向上させる添加物を含む多層シートをソーラーモジュール用の裏面カバーとして用いる使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーモジュールは、しばしば光起電力モジュールとも呼ばれ、太陽光から電気的エネルギーを生成するために用いられ、コア層としてソーラーセルシステムを含む積層体からなる。このコア層は、被包材料で取り囲まれており、その材料は、機械的影響及び天候による影響に対する保護として用いられる。
【0003】
アクティブなソーラーセルは、この場合、前面カバーと裏面カバーとの間に存在する。前面カバーは、透光性であって、一般にはガラスからなり、該カバーは、しばしばエチレン−酢酸ビニルコポリマーからなる付着媒介層(Haftvermittlerschicht)によって、ソーラーセルを含む層と結合されている。裏面カバーは、電気的な遮蔽を保証し、かつ紫外光などの天候による影響に対する保護として、かつ湿分バリヤとして用いられる。
【0004】
裏面カバーのためには、目下、標準的には、フルオロポリマーシートとポリエステルとからなる複合シートが使用される。外側のフルオロポリマーシートは、その際に、耐候性を保証し、ポリエステルシートは、機械的安定性と、所望の電気的絶縁特性を保証する。内側の更なるフルオロポリマーシートは、ソーラーセルシステムのシール層への結合のために用いられる。しかしながら、かかるフルオロポリマーシートは、ソーラーセル自体のための埋め込み材料として使用されるシール層に対してわずかな付着性しか有さない。更に、フルオロポリマーシートは、副次的な規模でしか電気的絶縁性に寄与せず、そのため、比較的厚いポリエステルシートの使用の必要性がもたらされる。
【0005】
WO2008138022号において、従って、かかる結合に際して、2つのフルオロポリマーシートを、ポリアミド12(PA12)からなるシートと取り替えることが提案されている。この一実施態様で、WO2011066595号においては、ソーラーセルに向かい合った熱可塑性樹脂層が、二酸化チタンなどの光反射性の充填剤を含有し、その一方で、ソーラーセルと反対を向いた熱可塑性樹脂層は、この層のより高い伝熱性をもたらす、ガラス繊維、ウォラストナイトもしくは雲母などの第二の充填剤を含有することが提案される。例示される熱可塑性樹脂は、ポリアミド、ポリエステルもしくはポリアミドとポリオレフィンからなるブレンドの群に由来する。明示的には、PA11、PA12及びPA1010並びにそれらのポリオレフィンとのブレンドが挙げられる。
【0006】
かかる光起電力モジュールは、少なくとも20年の寿命を有する。この期間の間に、層間付着は、できる限り維持され続けねばならない。そのことは、一方で、実際のソーラーセルを含むシール層への裏面シートの接合について当てはまり、かつ他方でまた、裏面シートの個々の層同士の互いの付着についても当てはまる。裏面シートの全ての層中のポリマー分において同じポリアミドが使用される場合に、一般的には非常に良好な付着性が達成される。しかしながら、しばしば、中間層のポリマー割合は、コストの理由から、ポリアミドとポリオレフィンのブレンドからなる。かかる複合材は、ポリオレフィン割合に応じて、低い基礎レベルの付着性を有することがあるが、特に、付着性のレベルは、純粋なポリアミド系と比較して、時間に依存してより大きく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2008138022号
【特許文献2】WO2011066595号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、光起電力モジュールの裏面シートにおいて、純粋にポリアミドを基礎とする層と、ポリアミド及びポリオレフィンを含有する層との間の付着を改善することである。
【0009】
驚くべきことに、前記課題は、ポリエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルアミドの種類のポリアミドエラストマーを使用することによって解決できることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の対象は、以下の層:
a)成形材料からなる第一の外側層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリアミド割合を含有する前記層と、
b)成形材料からなる中間層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも50質量%が、好ましくは少なくとも55質量%が、特に好ましくは少なくとも60質量%が、以下の成分:
I. 30〜95質量部の、好ましくは35〜90質量部の、特に好ましくは40〜85質量部のポリアミドと、
II. 5〜70質量部の、好ましくは10〜65質量部の、特に好ましくは15〜60質量部のポリオレフィンと、
(質量部の合計は、100となる)からなるポリマー割合を含有する前記層と、
c)成形材料からなる第二の外側層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリアミド割合を含有する前記層と、
を含むシートにおいて、
前記a)の層と、前記b)の層と、前記c)の層とは、直接順次連続しており、かつ複合シートの付着性改質は、以下の1.、2.、3.から選択される措置:
1. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記a)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記a)の層の成形材料が、1〜25質量%の、好ましくは2〜20質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
2. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記b)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記b)の層の成形材料が、1〜15質量%の、特に好ましくは2〜10質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
3. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記c)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記c)の層の成形材料が、1〜25質量%の、好ましくは2〜20質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
によって行われ、前記1.、2.、3.でのパーセント表記は、その都度の成形材料に対するものである前記シートである。
【0011】
従って、種々の実施形態が考えられる:
第一の実施形態においては、前記a)の層中にのみポリアミドエラストマーが含まれている。
【0012】
第二の実施形態においては、前記b)の層中にのみポリアミドエラストマーが含まれている。
【0013】
第三の実施形態においては、前記c)の層中にのみポリアミドエラストマーが含まれている。
【0014】
第四の実施形態においては、前記a)の層中にも、前記c)の層中にも、ポリアミドエラストマーが含まれている。
【0015】
第五の実施形態においては、前記a)の層中にも、前記b)の層中にも、ポリアミドエラストマーが含まれている。
【0016】
第六の実施形態においては、前記b)の層中にも、前記c)の層中にも、ポリアミドエラストマーが含まれている。
【0017】
第七の実施形態においては、前記a)の層中にも、前記b)とc)の層中にも、ポリアミドエラストマーが含まれている。
【0018】
以下のより詳細な説明は、特に記載がない限り、前記の全ての実施形態に同様に当てはまる。
【0019】
前記ポリアミドは、部分晶質ポリアミド、例えばPA6、PA66、PA610、PA612、PA10、PA810、PA106、PA1010、PA11、PA1011、PA1012、PA1210、PA1212、PA814、PA1014、PA618、PA512、PA613、PA813、PA914、PA1015、PA11、PA12などのポリアミド又は部分芳香族ポリアミド、いわゆるポリフタルアミド(PPA)であってよい。(ポリアミドの符号は国際規格に相応しており、その際、1つ以上の最初の数字は出発ジアミンのC原子数を示し、1つ以上の最後の数字はジカルボン酸のC原子数を示す。数字が1つだけ挙げられている場合、これは、α,ω−アミノカルボン酸から、もしくはα,ω−アミノカルボン酸から誘導されたラクタムから出発していることを意味し;その他の点はH.Domininghaus,Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,第272頁以降,VDI−Verlag,1976を参照のこと)。好適なPPAは、例えばPA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチルペンタメチレンジアミンを表す)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T並びに最後のタイプと、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との又はω−アミノカルボン酸もしくはラクタムとの共重縮合物である。部分晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される25J/gより高い溶融エンタルピーを有する。
【0020】
しかしながら、そのポリアミドは、半晶質のポリアミドであってもよい。半晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4〜25J/gの溶融エンタルピーを有する。好適な半晶質ポリアミドのための例は、
− 1,10−デカン二酸もしくは1,12−ドデカン二酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとからなるポリアミド(PA PACM10及びPA PACM12)であって、35〜65%のトランス,トランス−異性体割合を有する4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンに由来するもの;
− 上述の部分晶質ポリアミドを基礎とするコポリマー;並びに
− 上述の部分晶質ポリアミドと、それと相容性の非晶質ポリアミドとからなるブレンド
である。
【0021】
そのポリアミドは、非晶質のポリアミドであってもよい。非晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4J/gより低い溶融エンタルピーを有する。非晶質ポリアミドのための例は、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンからなる異性体混合物とからのポリアミド、
− イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンからのポリアミド、
− テレフタル酸/イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンとからなる、場合により4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとの混合物における混合物からのコポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸もしくはセバシン酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及び場合によりラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからの(コ)ポリアミド、
− イソフタル酸、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸と、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(低いトランス,トランス異性体割合で)とからのポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、アルキル置換されたビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン同族体とからの、場合によりヘキサメチレンジアミンとの混合物での(コ)ポリアミド、
− ビス(4−アミノ−3−メチル−5−エチル−シクロヘキシル)メタンと場合により一緒の更なるジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸とからなるコポリアミド、
− m−キシリレンジアミン及び更なるジアミン、例えばヘキサメチレンジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸、例えばテレフタル酸及び/又は2,6−ナフタリンジカルボン酸などのジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、
− ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)メタンと、8〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、並びに
− 1,14−テトラデカン二酸と、芳香族の、芳香脂肪族のもしくは脂環式のジアミンとを含む混合物からのポリアミドもしくはコポリアミド
である。
【0022】
これらの例は、更なる成分(例えばカプロラクタム、ラウリンラクタム又はジアミン/ジカルボン酸の組み合わせ)を添加することによって又は出発成分を別の成分に部分的にもしくは完全に置き換えることによって非常に広範囲に変更することができる。
【0023】
前記b)の層のポリオレフィンは、例えばポリエチレン又はポリプロピレンである。基本的にそれぞれの市販のタイプを使用することができる。例えば、高密度の、中密度のもしくは低密度の線状ポリエチレン、LDPE、アイソタクチックもしくはアタクチックホモポリプロピレン、プロペンとエテン及び/又はブテン−1とのランダムコポリマー、エチレン−プロピレン−ブロックコポリマーなどが該当する。前記ポリオレフィンは、例えばEPMゴムもしくはEPDMゴム又はSEBSなどの衝撃強さを与える成分を含有してもよい;前記ポリオレフィンは、あらゆる公知の方法に従って、例えばツィーグラー・ナッタ法、フィリップス法に従って、メタロセンを用いて又はラジカル的に製造できる。
【0024】
該ポリオレフィンは、ポリアミドへのより良好な接合のために、官能基を有してよい;それに加えて又はその代わりに、相容性媒介剤が添加されてよい。官能基としては、例えば酸無水物基、N−アシルラクタム基、カルボン酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、トリアルコキシシラン基もしくはヒドロキシル基が適している。これらの官能基は、この場合にオレフィンと一緒に適当なモノマーを共重合させることによるか、又はグラフト反応により導入することができる。グラフト反応の場合には、予め形成されたポリオレフィンを、公知のように、不飽和の官能性モノマー及び好ましくはラジカル供与体と高められた温度で反応させる。
【0025】
ポリエーテルエステルアミドは、例えばDE−A−2523991号及びDE−A−2712987号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジオールを含む。ポリエーテルアミドは、例えばDE−A−3006961号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジアミンを含む。
【0026】
ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンでは、そのポリエーテル単位は、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又は1,3−ブタンジオールを基礎としうる。ポリエーテル単位は、また混合型の構成であってもよく、例えばジオールに由来する単位のランダム分布もしくはブロック状分布で構成されていてよい。ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンのモル質量の質量平均は、200〜5000g/モル、好ましくは400〜3000g/モルであり、そのポリエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルアミドの割合は、好ましくは4〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。好適なポリエーテルジアミンは、相応のポリエーテルジオールを、還元的アミノ化又はアクリルニトリルへのカップリングと引き続いての水素化によって転化させることによって得られ、それらは、例えばHuntsman Corp.によるJEFFAMIN(登録商標)D型もしくはED型又はELASTAMINE(登録商標)型の形で、又はBASF SEによるポリエーテルアミンDシリーズの形で市販されている。より少量で、ポリエーテルトリアミンを一緒に使用してもよく、例えば分枝鎖状のポリエーテルアミドが使用されるべき場合にはJEFFAMIN(登録商標)T型のものを使用してよい。好ましくは、ポリエーテルジアミンもしくはポリエーテルトリアミンであって、エーテル酸素原子1個当たりに平均して少なくとも2.3個の炭素原子が鎖中に含まれるものが使用される。本発明によれば、ポリエーテルアミドが、より良好な耐加水分解性のため好ましい。
【0027】
前記a)の層の成形材料は、上述のポリアミドの1つを又は複数を混合物として含んでよい。更に、成形材料の全ポリマー割合に対して、40質量%までは、別の熱可塑性樹脂、例えば衝撃強さを与えるゴムが含まれていてよい。場合により含まれるゴムは、好ましくは、技術水準に相応して、ポリアミドマトリクスとの相容性が得られる官能基を含む。更に、ポリアミドに慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤が、又は好ましくはまた光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤(WO2011066595号)が含まれていてよい。
【0028】
前記b)の層の成形材料は、ポリアミドに加えて、上述のポリオレフィンの1つを又は複数を混合物として含んでよい。更に、ポリアミド成形材料及びポリオレフィン成形材料に慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤、光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤並びに補強性充填剤、例えばガラス繊維、ウォラストナイトもしくは雲母などの充填剤が含まれていてよい。
【0029】
前記c)の層の成形材料のためには、前記a)の層の成形材料と同じものが当てはまり、同様に充填剤に関しては、前記b)の層の成形材料と同じものが当てはまる。更に、前記c)の層の成形材料は、着色されていてよく、かつ/又は艶消し剤を有してよい。
【0030】
個々のシート層は、一般に以下の厚さを有する:
・ 前記a)の層と前記c)の層: 15〜100μm、好ましくは25〜50μm
・ 前記b)の層: 100〜500μm、好ましくは150〜400μm
本発明により使用される多層シートは、先行技術のあらゆる方法、例えば同時押出又は積層によって製造することができる。
【0031】
本発明の対象は、また、光起電力モジュールの裏面カバーとしての特許請求の範囲に記載されるシートの使用である。このためには、前記a)の層は、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と、例えば積層又は接着によって結合される。前記a)の層中のポリアミドもしくはポリアミドエラストマーの割合のため、積層に際して、該シール層に対して良好な付着性が得られる。シール層としては、先行技術により一般に用いられているあらゆる材料を使用できる。
【0032】
更に、本発明の対象は、特許請求の範囲の多層シートを裏面カバーとして含む光起電力モジュールであって、前記a)の層が、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と結合されている前記モジュールである。
【0033】
本発明を以下で例示的に詳説する。このために、以下の成形材料を製造した。その際、"部"は、常に質量部である。
【実施例】
【0034】
外側層のためのコンパウンド1
79.25部のVESTAMID(登録商標)L1901 nf(PA12)と、0.5部のIRGANOX(登録商標)1098(立体障害フェノール系酸化防止剤)と、0.2部のTINUVIN(登録商標)312(紫外線吸収剤)と、20部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて220℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0035】
外側層のためのコンパウンド2
71.75部のVESTAMID(登録商標)L1901 nfと、7.5部のポリエーテルエステルアミド(63.796質量%のラウリンラクタムと、6.645質量%のドデカン二酸と、29.492質量%のPTHF 1000と、0.067質量%の次亜リン酸(50%)とから製造される)と、0.5部のIRGANOX(登録商標)1098と、0.2部のTINUVIN(登録商標)312と、20部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて220℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0036】
外側層のためのコンパウンド3
64.25部のVESTAMID(登録商標)L1901 nfと、15部の、コンパウンド2のときと同じポリエーテルエステルアミドと、0.5部のIRGANOX(登録商標)1098と、0.2部のTINUVIN(登録商標)312と、20部の二酸化チタンSachtleben R 420とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて220℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0037】
中間層のためのコンパウンド4
50.6部のVESTAMID(登録商標)L1901と、26部のMOPLEN HP552L(ホモポリプロピレン、押出型)と、20部のカオリンTEC 110と、3部のKRATON(登録商標)FG1901(無水マレイン酸で変性されたスチレン−エチレン/ブチレン−ブロックコポリマー)と、0.4部のIRGANOX(登録商標)1098とを、二軸押出機(Coperion Werner&Pfleiderer ZSK 25 WLE,36 L/D)を用いて200℃のシリンダ温度で混合した。ストランドを、水浴を用いて冷却し、そして切断し、その造粒物を、引き続き80℃で循環空気炉において12時間にわたり乾燥させた。
【0038】
3層シートの押出
Collin社製の多層シート装置(幅広スリットノズル300mm、ギャップ0〜6mm、3層シートもしくは5層シートのための同時押出フィードブロック)を用いて、約230℃の加工温度で、3層シートを製造した。中間層は、250μmに調整し、外側層は、それぞれ50μmに調整した。結果は、第1表中に示されている。
【0039】
第1表: 例
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の層:
a)成形材料からなる第一の外側層であって、該成形材料が、成形材料全体に対して、少なくとも35質量%のポリアミド割合を含有する前記層と、
b)成形材料からなる中間層であって、該成形材料が、成形材料全体に対して、少なくとも50質量%が、以下の成分:
I. 30〜95質量部のポリアミドと、
II. 5〜70質量部のポリオレフィンと、
(質量部の合計は、100となる)からなるポリマー割合を含有する前記層と、
c)成形材料からなる第二の外側層であって、該成形材料が、成形材料全体に対して、少なくとも35質量%のポリアミド割合を含有する前記層と、
を含むシートにおいて、
前記a)の層と、前記b)の層と、前記c)の層とは、直接順次連続しており、かつ複合シートの付着性改質は、以下の1.、2.、3.から選択される措置:
1. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記a)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記a)の層の成形材料が、1〜25質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
2. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記b)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記b)の層の成形材料が、1〜15質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
3. ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミドから選択されるポリアミドエラストマーを、前記c)の層の成形材料中のポリアミド成分として、前記c)の層の成形材料が、1〜25質量%のポリアミドエラストマーを含有するように使用する措置、
(前記1.、2.、3.でのパーセント表記は、その都度の成形材料に対するものである)によって行われることを特徴とする、前記シート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートであって、
・ 前記a)の層と前記c)の層が、15〜100μmの厚さを有し、かつ
・ 前記b)の層が、100〜500μmの厚さを有することを特徴とする、前記シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシートを、光起電力モジュールの裏面カバーとして用いる使用であって、前記a)の層を、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と結合させる前記使用。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のシートを裏面カバーとして含む光起電力モジュールであって、前記a)の層が、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と結合されている前記モジュール。

【公開番号】特開2013−86510(P2013−86510A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228272(P2012−228272)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(512266187)エボニック インダストリーズ アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Industries AG
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】