説明

光送受信システム及び送受信装置

【課題】複数の光送信部から光信号を複数の伝送路を介して相手装置に送信する構成において、伝送路の接続の有無に関係なく複数の光送信部を発光させる場合と比べて消費電力を抑制した光送受信システム及び送受信装置を提供する。
【解決手段】光送受信システム1は、複数の第1の光送信部21a〜21d、第1の光受信部22、第1の制御部23を有する第1の送受信装置2と、複数の第2の光受信部41a〜41d、第2の光送信部42、第2の制御部43を有する第2の送受信装置4とを備え、第1の制御部23は、複数の第1の光送信部21a〜21dのうちの一部の第1の光送信部21dから光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として第1の光受信部22が光信号を受信したとき、複数の第1の光送信部21a〜21dのうち一部の光送信部21d以外の他の第1の光送信部21a〜21cから光信号を送信させる段階を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送受信システム及び送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号を再生装置で再生して遠方に位置する映像表示装置に伝送する場合、電線による電気信号では、伝送損失が大きく正確な映像を表示できないことから、再生した映像信号を光信号に変換して送信器から光ファイバを介して受信器に送信する信号伝送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、光信号の発光部のレーザは、人体及び装置に潜在的に有害である強力な出力を発生し得ることから、光ファイバのリンクが損なわれた場合には、不活性すなわちパルス化したレーザを出力させ、リンクが正常に回復し、パルス化された戻り光を検出できた場合には、活性すなわちレーザを連続出力させる通信システムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2010−166546号公報
【特許文献2】特開平03−212266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数の光送信部から光信号を複数の伝送路を介して相手装置に送信する構成において、伝送路の接続の有無に関係なく複数の光送信部を発光させる場合と比べて消費電力を抑制した光送受信システム及び送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の光送受信システム及び送受信装置を提供する。
【0007】
[1]光信号を送信する複数の第1の光送信部と、光信号を受信する第1の光受信部と、前記複数の第1の光送信部を制御する第1の制御部と、を有する第1の送受信装置と、
前記複数の第1の光送信部からの光信号を受信する複数の第2の光受信部と、前記第1の光受信部に光信号を送信する第2の光送信部と、前記複数の第2の光受信部のいずれかが光信号を受信したとき、当該光信号の受信の応答として前記第2の光送信部から光信号を送信させる第2の制御部と、を有する第2の送受信装置と、を備え、
前記第1の制御部は、前記複数の第1の光送信部のうちの一部の第1の光送信部から光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記複数の第1の光送信部のうち前記一部の光送信部以外の他の第1の光送信部から光信号を送信させる段階を有する光送受信システム。
【0008】
[2]前記第1の制御部は、前記一部の第1の光送信部から光信号を送信させるとき、第1の光量で光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記一部の第1の光送信部から前記第1の光量よりも光量が多い第2の光量で光信号を送信させるとともに、前記他の第1の光送信部から前記第1の光量で光信号を送信させ、前記他の第1の光送信部から送信させた前記第1の光量の光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記他の第1の光送信部から前記第1の光量よりも光量が多い前記第2の光量で光信号を送信させる前記[1]に記載の光送受信システム。
【0009】
[3]光信号を送信する複数の光送信部と、光信号を受信する光受信部と、前記複数の光送信部のうちの一部の光送信部から光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記光受信部が光信号を受信したとき、前記複数の光送信部のうち前記一部の光送信部以外の他の光送信部から光信号を送信させる段階を有する制御手段と、を備えた送受信装置。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び3に係る発明によれば、複数の光送信部から光信号を複数の伝送路を介して相手装置に送信する構成において、伝送路の接続の有無に関係なく複数の光送信部を発光させる場合と比べて消費電力を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1と同様に消費電力を抑制することができるとともに、高出力で光信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、第1の実施の形態に係る第1の制御部の機能を説明するための図、図2(b)は、第1の実施の形態に係るレーザ駆動信号と光信号の出力例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間におけるリンク確立の全体フローを示す図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における制御系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における映像系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における制御系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における映像系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【図10】図10は、本発明の第4の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。この光送受信システム1は、第1の送受信装置2と、第1の送受信装置2に複数の光伝送媒体3を介して接続された第2の送受信装置4とを備えて概略構成されている。
【0014】
第1の送受信装置2は、光信号を送信する複数の第1の光送信部21a〜21dと、光信号を受信する第1の光受信部22と、複数の第1の光送信部21a〜21dを制御する第1の制御部23とを備える。
【0015】
光伝送媒体3は、本実施の形態では光ファイバであるが、複数のコアをクラッドで覆ったシート状光伝送媒体等の光伝送媒体でもよい。
【0016】
第2の送受信装置4は、複数の第1の光送信部21a〜21dからの光信号を受信する複数の第2の光受信部41a〜41dと、第1の光受信部22に光信号を送信する第2の光送信部42と、第2の光送信部42を制御する第2の制御部43とを備える。
【0017】
(第1の送受信装置の各部の構成)
第1の光送信部21a〜21dは、発光部210と、発光部210を駆動する駆動部211とを備える。発光部210は、例えばレーザダイオード(LD)である。駆動部211は、例えばLDに駆動電流を供給してLDを駆動するLDドライバである。
【0018】
第1の光受信部22は、受光部220と、増幅部221とを備える。受光部220は、例えばフォトダイオード(PD)である。増幅部221は、PDの出力信号を必要な信号レベルに増幅する。第1の光受信部22は、本実施の形態では1つであるが、2つ以上でもよい。
【0019】
第1の制御部23は、複数の第1の光送信部21a〜21dのうちの一部の第1の光送信部、例えば第1の光送信部21dから光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として第1の光受信部22が光信号を受信したとき、一部の第1の光送信部21d以外の他の第1の光送信部21a〜21cから光信号を送信させる。第1の光送信部21dから光信号を送信させるタイミングとしては、例えば、第1の送受信装置2の電源オンに同期して送信させてもよい。また、一部の第1の光送信部から光信号を送信させるとき、1つの第1の光送信部に限られず、2つ以上の第1の光送信部から光信号を送信させてもよい。
【0020】
第1の制御部23の上記制御をより具体的に説明する。第1の制御部23は、一部の第1の光送信部、すなわち第1の光送信部21dから光信号を送信させるとき、第1の光量で光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として第1の光受信部22が光信号を受信したとき、第1の光送信部21dから第1の光量よりも光量が多い第2の光量で光信号を送信させるとともに、一部以外の他の第1の光送信部、すなわち第1の光送信部21a〜21cから第1の光量で光信号を送信させ、それらの第1の光送信部21a〜21cから送信させた第1の光量の光信号の送信の応答として第1の光受信部22が光信号を受信したとき、第1の光送信部21a〜21cから第1の光量よりも光量が多い第2の光量で光信号を送信させる。なお、第1の光送信部21dにおける第1の光量と、第1の光送信部21a〜21cにおける第1の光量とは完全に一致した光量である必要はなく、第1の光送信部21dにおける第2の光量と、第1の光送信部21a〜21cにおける第2の光量よりも低い光量であれば、その光量に差があってもよい。また、第1の光量は光伝送媒体3が送受信装置2、4から外れた状態においても人体への安全が確保された光量、例えば、安全規格を満たす光量範囲の光量であることが好ましい。
【0021】
(第2の送受信装置の各部の構成)
第2の光受信部41a〜41dは、受光部410と、増幅部411とを備える。受光部410は、例えばフォトダイオード(PD)である。増幅部411は、PDの出力信号を必要な信号レベルに増幅する。
【0022】
第2の光送信部42は、発光部420と、駆動部421とを備える。発光部420は、例えばレーザダイオード(LD)である。駆動部421は、例えばLDに駆動電流を供給してLDを駆動するLDドライバである。
【0023】
第2の制御部43は、第1の光送信部21dに対応する第2の光受信部41dが光信号を受信したとき、当該光信号の受信の応答として第2の光送信部42から光信号を送信させる。
【0024】
図2(a)は、第1の実施の形態に係る第1の制御部の機能を説明するための図、図2(b)は、第1の実施の形態に係るレーザ駆動信号と光信号の出力例を示す図である。
【0025】
第1の制御部23は、制御系データDc、映像系データDi、及び駆動部211のデータ出力を制御するデータ出力制御信号Spを生成する。ここで、制御系データDcは第1の光送信部21dに出力され、映像系データDiは第1の光送信部21a〜21cに出力され、データ出力制御信号Spは第1の光送信部21a〜21dに出力されるデータであり、データ出力制御信号Spのパルス周期は制御系データDc及び映像系データDiのパルス周期に比べ長く設定されている。第1の光送信部21dの駆動部211は、データ出力制御信号Spがロー(Low)のとき、制御系データDcを発光部210に伝送させ、データ出力制御信号Spがハイ(Hi)のとき、制御系データDcを発光部210に伝送させないように制御するレーザ駆動信号Sdを生成する。第1の光送信部21a〜21cの各駆動部211は、データ出力制御信号Spがロー(Low)のとき、映像系データDiを発光部210に伝送させ、データ出力制御信号Spがハイ(Hi)のとき、映像系データDiを発光部210に伝送させないように制御するレーザ駆動信号Sdを生成する。そして、第1の光送信部21a〜21dの各駆動部211の発光部210は、レーザ駆動信号Sdに同期した光信号Sを出力する。
【0026】
レーザの安全性を考慮し、第1の送受信装置2の電源がオンされた光伝送媒体3が第2の送受信装置4側で接続されているかどうか不明の場合、第1の制御部23は間欠的なデータ出力制御信号Spを生成し、レーザを間欠的に発光させてレーザ光量を低光量にし、光伝送媒体3が第1の送受信装置2及び第1の送受信装置4の両方に接続されていることが確認できた場合には、第1の制御部23はデータ出力制御信号Spをロー(Low)に維持し、駆動部211はレーザを定常的に発光させてレーザ光量を上げる制御を行っている。ここで、「光量」は平均光量を意味しており、本実施の形態では、ピークを変えずに単位時間当たりの制御系データDcまたは映像系データDiのパルス数を制御することで平均光量を制御しているが、単位時間当たりのパルス数を変えずにピークを変更する制御であってもよく、また、両者を組み合わせた制御であってもよい。図2(b)に示す場合は、発光周期Trが3ms、発光期間Tonが2ms、未発光期間Toffが1msである。発光期間Tonにおけるレーザ駆動信号Sdは、制御系データDc又は映像系データDiに対応したパルス信号であり、その周期trは31.25nsとなっている。「発光期間」は、パルスにより点灯している状態の期間をいい、「未発光期間」は、パルスにより点灯していない状態の期間をいう。「間欠的に発光」とは、発光期間と未発光期間が交互に存在して発光することをいう。
【0027】
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第1の送受信装置2の複数の第1の光送信部21a〜21dのうち一部の第1の光送信部21dから光信号を送信することで、光伝送媒体3の接続の有無に関係なくすべての第1の光送信部21a〜21dから光信号を送信する場合と比べて消費電力が抑制される。
(2)第1の送受信装置2から間欠的に発光する光信号を送信し、第2の送受信装置4からそれに対する応答があってはじめて連続的に発光する光信号を送信することで、光伝送媒体3の接続の有無に関係なく高出力のレーザを連続的に出力する場合と比べて安全性が高まる。
【0028】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。この光送受信システム1は、第1の実施の形態に対応する、第1の送受信装置2、複数の光伝送媒体3及び第2の送受信装置4を有し、さらに第1の送受信装置2に接続された再生装置5と、第2の送受信装置4に接続された映像表示装置6とを備えて概略構成されている。なお、図3では、映像系データは再生装置5から映像表示装置6への一方向で伝送され、制御系データは再生装置5と映像表示装置6との間の双方向で伝送されるように構成されている。
【0029】
再生装置5は、DVD(Digital Versatile Disc)、BlueRayDisc(登録商標)等の記録媒体から映像を再生するものである。なお、再生する情報は映像に限られず、静止画像や音声のみ、又は映像若しくは静止画像と音声の両方でもよい。本実施の形態の再生装置5は、映像系データとして、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のデジタル映像信号及びクロック信号(CLK)を出力し、制御系データとして、例えばDDC_SCL(Display Data Channel用のSerial Clock)信号、DDC_SDA(Display Data Channel用のSerial Data)信号等の映像表示装置6とデータ通信するためのDDC信号を第1の送受信装置2に出力する。
【0030】
映像表示装置6は、第2の送受信装置4から出力された映像系データを制御系データに基づいて表示画面に表示する。
【0031】
図4は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0032】
第1の送受信装置2は、データ入出力制御部24と、パケット制御部25と、リンク制御部26と、映像系データに対応して設けられた複数の第1の光送信部21a〜21d、及びパラレル/シリアル(パラシリ)変換部27a〜27dと、制御系データに対応して設けられた第1の光送信部21e、第1の光受信部22、パラレル/シリアル(パラシリ)変換部27e及びシリアル/パラレル(シリパラ)変換部28とを備える。
【0033】
第2の送受信装置4は、映像系データに対応して設けられた複数の第2の光送信部41a〜41d及び複数のシリアル/パラレル(シリパラ)変換部44a〜44dと、制御系データに対応して設けられた第2の光受信部41e、第2の光送信部42、シリアル/パラレル(シリパラ)変換部44e及びパラレル/シリアル(パラシリ)変換部45と、リンク制御部46と、パケット制御部47と、データ入出力制御部48とを備える。
【0034】
(第1の送受信装置の各部の構成)
第1の光送信部21a〜21eは、第1の実施の形態の第1の光送信部21a〜21dと同様に構成されている。
【0035】
データ入出力制御部24は、再生装置5との間でデータの授受を行う。
【0036】
パケット制御部25は、再生装置5から映像表示装置6に向かうデータの方向(DS方向)については、シリアルデータ転送を行うためのデータのパケット化を行い、映像表示装置6から再生装置5に向かうデータの方向(US方向)については、パケットデータからのデータの抽出を行う。
【0037】
リンク制御部26は、第1及び第2の送受信装置2、4間においてシリアル伝送を行う際のリンク制御を行うものであり、第1の実施の形態の第1の制御部23と同様に、第1の光送信部21a〜21eに対する発光制御を行う。
【0038】
パラシリ変換部27a〜27eは、パラレルデータをシリアルデータに変換するとともに、8ビットから10ビットに変換する8B10B変換を行うものである。シリパラ変換部28は、シリアルデータをパラレルデータに変換するとともに、10ビットから8ビットに変換する8B10B逆変換を行うものである。この8B10B変換は、伝送データが適度に0と1が含まれるようにDCバランス調整を行うものであり、8B10Bとして知れらる方式では、8ビットごとのデータの塊をあらかじめ決められた0と1の割合が50%に近い10ビットのデータに変換することによってDCバランスを調整している。
【0039】
データ入出力制御部24、パケット制御部25、リンク制御部26、パラシリ変換部27a〜27e及びシリパラ変換部28は、それぞれ一部又は全部を再構成可能回路(FPGA:Field Programmable Gate Array)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、専用LSI(Large Scale Integration)等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0040】
(第2の送受信装置の各部の構成)
第2の光受信部41a〜41eは、第1の実施の形態の第2の光受信部41a〜41dと同様に構成されている。
【0041】
パラシリ変換部45は、パラレルデータをシリアルデータに変換するものである。シリパラ変換部44a〜44eは、シリアルデータをパラレルデータに変換するものである。
【0042】
リンク制御部46は、第1及び第2の送受信装置2、4間においてシリアル伝送を行う際のリンク制御を行うものであり、第1の実施の形態の第2の制御部43と同様に、第2の光送信部42に対する発光制御を行う。
【0043】
パケット制御部47は、DS方向については、パケットデータからのデータの抽出を行い、US方向については、シリアルデータ転送を行うためのデータのパケット化を行う。
【0044】
データ入出力制御部48は、映像表示装置6との間でデータの授受を行う。
【0045】
リンク制御部46、パケット制御部47、データ入出力制御部48、パラシリ変換部45及びシリパラ変換部44a〜44eは、それぞれ一部又は全部をFPGA、ASIC、専用LSI等のハードウエア回路によって構成してもよい。
【0046】
(第2の実施の形態の動作)
図5は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間におけるリンク確立の全体フローを示す図である。
【0047】
まず、制御系データの下り(DS)方向及び上り(US)方向のリンクを確立させる(S1)。制御系データのDS方向及びUS方向のリンクが確立すると(S1:Yes)、映像系データのDS方向のすべてのリンクを確立させる(S2:Yes)。この場合、制御系データのDS方向及びUS方向のリンクが保持されていることを確認しつつ(S3:Yes)、映像系データのDSのリンクを確立させる(S2)。
【0048】
映像系データのDSのすべてのリンクが確立すると(S2:Yes)、映像系データのDS方向のすべてのリンクが保持されていることを確認し(S4:Yes)、制御系データのDS方向及びUS方向のリンクが保持されているか否かを判断する(S6)。上記ステップS4において、映像系データのDS方向の一部のリンクが保持されていない場合は(S4:No)、制御系データのDS方向及びUS方向のリンクを保持していることを確認し(S5:Yes)、上記ステップS2に戻る。
【0049】
上記ステップS3、S4の制御系データのDS/US方向のリンクが保持されずに切れる場合は、以下の要因が考えられる。
(a)受信側にて光が検出されなくなった場合
(b)受信側にてシリアル/パラレル変換時にエラーが生じた場合(例えば8B10Bエラーやバイトアライメントエラーなど)
上記ステップS4の映像系データのDS方向のリンクが保持されずに切れる場合も上記(a)、(b)と同様の要因が考えられる。
【0050】
(制御系データのフロー)
図6は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における制御系データのリンク確立に関するフローを示す図である。なお、図6中、(A)、(B)、(C)は、それぞれ異なるデータを意味している。本実施の形態では、8B10BのKキャラクターを変えている。(A)はK28.5、(B)はK28.6、(C)はK28.0である。図7中の(A)、(B)も図6と同様である。
【0051】
第1の送受信装置2の電源が投入されると、リンク制御部26は、制御系データのDS方向に対して定常的な発光を指示する。制御系データ用の第1の光送信部21eは、定常的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0052】
第2の送受信装置4の電源が投入され、第2の光受信部41eが光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、第2の光受信部41eから光を検出したことが通知されると、制御系データ用の第2の光送信部42に対して定常的な発光を指示する。第2の光送信部42は、定常的に発光する光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0053】
第1の送受信装置2の第1の光受信部22が光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部26に通知する。リンク制御部26は、シリアル化/逆シリアル化(SerDes:Serialize Deserialize)リンク確立用データの出力を制御系データ用の第1のパラシリ変換部27eに指示する。第1のパラシリ変換部27eはSerDesリンク確立用データを出力し、第1の光送信部21eは、光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0054】
第2の送受信装置4のシリパラ変換部44eがSerDesリンク確立用データを受信することで、SerDes(DS)のリンクが確立したことになる。シリパラ変換部44eは、SerDes(DS)のリンクが確立したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、SerDesリンク確立用データの出力を制御系データ用のパラシリ変換部45に指示する。パラシリ変換部45は、SerDesリンク確立用データを出力し、第2の光送信部42は、光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0055】
第1の送受信装置2のシリパラ変換部28が第2の送受信装置4からSerDesリンク確立用データを受信すると、SerDes(US)のリンクが確立したことになる。シリパラ変換部28は、SerDes(US)のリンクが確立したことをリンク制御部26に通知する。リンク制御部26は、SerDes(US)のリンクが確立したことを示すデータの出力を制御系データ用のパラシリ変換部27eに指示する。パラシリ変換部27eは、SerDes(US)のリンクが確立したことを示すデータを出力し、第1の光送信部21eは、光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0056】
第2の送受信装置4のシリパラ変換部44eがSerDes(US)のリンクが確立したことを示すデータを受信すると、SerDes(US)のリンクが確立したことをリンク制御部46に通知する。
【0057】
一定時間経過後に第1及び第2の送受信装置2、4間はリンク状態になる。
【0058】
(映像系データのフロー)
図7は、第2の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における映像系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【0059】
第1の送受信装置2の電源が投入されると、リンク制御部26は、映像系データのDS方向に対して定常的な発光を指示する。映像系データ用の第1の光送信部21a〜21dは、定常的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0060】
第2の送受信装置4の電源が投入され、第2の光受信部41a〜41dが光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、第2の光受信部41a〜41dのすべてから光を検出したことの通知を受けると、制御系データ用のパラシリ変換部45に対して映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを出力するように指示する。パラシリ変換部45は、映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを出力し、第2の光送信部42は光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0061】
第1の送受信装置2のシリパラ変換部28が第2の送受信装置4から映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを受信すると、映像系の全チャンネルで光を検出したことをリンク制御部26に通知する。
【0062】
一定時間経過後に第1及び第2の送受信装置2、4間はリンク状態になる。
【0063】
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態によれば、第1の送受信装置2の複数の第1の光送信部21a〜21eのうち一部の第1の光送信部21eから光信号を送信することで、光伝送媒体3の接続の有無に関係なくすべての第1の光送信部21a〜21eから光信号を送信する場合と比べて消費電力が抑制される。
【0064】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光送受信システムについて説明する。本実施の形態は、第2の実施の形態とは、リンク制御部26、46による制御方法が異なり、他は第2の実施の形態と同様に構成されている。本実施の形態の光送受信システムは、第2の実施の形態と同様に構成されているため、図示を省略する。本実施の形態は、光信号が高出力の場合にも適したものである。
【0065】
(制御系データのフロー)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における制御系データのフローを示す図である。なお、図8中、(A)、(B)、(C)は、それぞれ異なるデータを意味している。本実施の形態では、8B10BのKキャラクターを変えている。(A)はK28.5、(B)はK28.6、(C)はK28.0である。図9の(A)も図8と同様である。
【0066】
第1の送受信装置2の電源が投入されると、リンク制御部26は、制御系データのDS方向に対して間欠的な発光を指示する。制御系データ用の第1の光送信部21eは、間欠的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0067】
第2の送受信装置4の電源が投入され、第2の光受信部41eが光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、第2の光受信部41eから光を検出したことの通知を受けると、制御系データ用の第2の光送信部42に対して間欠的な発光を指示する。第2の光送信部42は、間欠的に発光する光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0068】
第1の送受信装置2の第1の光受信部22が第2の送受信装置4からの光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部26に通知する。リンク制御部26は、定常的な発光を制御系データ用の第1の光送信部21eに指示する。第1の光送信部21eは、定常的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0069】
第2の送受信装置4の第2の光受信部41eが光を予め定められた時間検出すると、第2の光受信部41eは、予め定められた時間光を検出したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、定常的な発光を第2の光送信部42に指示する。第2の光送信部42は、定常的に発光する光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0070】
第1の送受信装置2の第1の光受信部22が第2の送受信装置4からの光を予め定められた時間検出すると、第1の光受信部22は、予め定められた時間光を検出したことをリンク制御部26に通知する。リンク制御部26は、SerDesリンク確立用データの出力を制御系データ用のパラシリ変換部27eに指示する。パラシリ変換部27eは、SerDesリンク確立用データを出力し、第1の光送信部21eは、光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0071】
第2の送受信装置4のシリパラ変換部44eが第2の送受信装置4からSerDesリンク確立用データを検出すると、SerDes(DS)のリンクが確立したことになる。第2の送受信装置4のシリパラ変換部44eは、SerDes(DS)のリンクが確立したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、SerDesリンク確立用データの出力を制御系データ用のパラシリ変換部45に指示する。パラシリ変換部45は、SerDesリンク確立用データを出力し、第2の光送信部42は、光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0072】
第1の送受信装置2のシリパラ変換部28が第2の送受信装置4からSerDesリンク確立用データを検出すると、SerDes(US)のリンクが確立したことになる。シリパラ変換部28は、SerDes(US)のリンクが確立したことをリンク制御部26に通知する。リンク制御部26は、SerDes(US)のリンクが確立したことを示すデータの出力を制御系データ用のパラシリ変換部27eに指示する。パラシリ変換部27eは、SerDes(US)のリンクが確立したことを示すデータを出力し、第1の光送信部21eは、光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0073】
第2の送受信装置4のシリパラ変換部44eがSerDes(US)のリンクが確立したことを示す光を検出すると、SerDes(US)のリンクが確立したことをリンク制御部46に通知する。
【0074】
一定時間経過後に第1及び第2の送受信装置2、4間はリンク状態になる。
【0075】
(映像系データのフロー)
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る第1及び第2の送受信装置間における映像系データのリンク確立に関するフローを示す図である。
【0076】
第1の送受信装置2の電源が投入されると、リンク制御部26は、映像系データのDS方向に対して間欠的な発光を指示する。映像系データ用の第1の光送信部21a〜21dは、間欠的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0077】
第2の送受信装置4の電源が投入され、第2の光受信部41a〜41dが光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部46に通知する。リンク制御部46は、第2の光受信部41a〜41dのすべてから光を検出したことの通知を受けると、制御系データ用のパラシリ変換部45に対して映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを出力するように指示する。パラシリ変換部45は、映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを出力し、第2の光送信部42は光信号を第1の送受信装置2に送信する。
【0078】
第1の送受信装置2のシリパラ変換部28が第2の送受信装置4からの映像系の全チャンネルで光を検出したことを示すデータを検出すると、映像系の全チャンネルで光を検出したことをリンク制御部26に通知する。
【0079】
リンク制御部26は、第1の光送信部21a〜21d(映像系データのDS方向)に対して定常的な発光を指示する。映像系データ用の第1の光送信部21a〜21dは、定常的に発光する光信号を第2の送受信装置4に送信する。
【0080】
第2の送受信装置4の第2の光受信部41a〜41dすべてにおいて一定時間光を検出すると、光を検出したことをリンク制御部46に通知する。
【0081】
一定時間経過後に第1及び第2の送受信装置2、4間はリンク状態になる。
【0082】
(第3の実施の形態の効果)
第3の実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第1の送受信装置2の複数の第1の光送信部21a〜21eのうち一部の第1の光送信部21eから光信号を送信することで、光伝送媒体3の接続の有無に関係なくすべての第1の光送信部21a〜21eから光信号を送信する場合と比べて消費電力が抑制される。
(2)第1の送受信装置2から間欠的に発光する光信号を送信し、第2の送受信装置4からそれに対する応答があってはじめて連続的に発光する光信号を送信することで、光伝送媒体3の接続の有無に関係なく高出力のレーザを連続的に出力する場合と比べて安全性が高まる。
【0083】
[第4の実施の形態]
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る光送受信システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態は、第2の実施の形態とは、映像系データに関するパラシリ変換部27a〜27d及びシリパラ変換部44a〜44dを省いたものであり、他は第2の実施の形態と同様に構成されている。なお、第1の送受信装置2には、再生装置5から受信した映像系データを一時保持するバッファ(図示省略)を備え、第2の送受信装置4には、映像表示装置6に送信する映像系データを一時保持するバッファ(図示省略)を備えている。
【0084】
この構成においても、映像系データに介してはシリアル/パラレル変換及びパラレル/シリアル変換を行わずに、再生装置5から第1の送受信装置2、第1の送受信装置2から第2の送受信装置4、第2の送受信装置4から映像表示装置6にシリアルデータのまま伝送する点を除き、第2及び第3の実施の形態と同様の作用、効果を奏する。
【0085】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形、実施が可能である。例えば本発明の要旨を変更しない範囲内で、各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることが可能であり、各実施の形態のフローにおいて、ステップの追加、削除、変更、入替え等が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…光送受信システム、2…第1の送受信装置、3…光伝送媒体、4…第2の送受信装置、5…再生装置、6…映像表示装置、21a〜21e…第1の光送信部、22…第1の光受信部、23…第1の制御部、24…データ入出力制御部、25…パケット制御部、26…リンク制御部、27a〜27e…パラシリ変換部、28…シリパラ変換部、41a〜41e…第2の光受信部、42…光送信部、43…第2の制御部、44a〜44e…シリパラ変換部、45…パラシリ変換部、46…リンク制御部、47…パケット制御部、48…データ入出力制御部、210…発光部、211…駆動部、220…受光部、221…増幅部、410…受光部、411…増幅部、420…発光部、421…増幅部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を送信する複数の第1の光送信部と、
光信号を受信する第1の光受信部と、
前記複数の第1の光送信部を制御する第1の制御部と、
を有する第1の送受信装置と、
前記複数の第1の光送信部からの光信号を受信する複数の第2の光受信部と、
前記第1の光受信部に光信号を送信する第2の光送信部と、
前記複数の第2の光受信部のいずれかが光信号を受信したとき、当該光信号の受信の応答として前記第2の光送信部から光信号を送信させる第2の制御部と、
を有する第2の送受信装置と、を備え、
前記第1の制御部は、前記複数の第1の光送信部のうちの一部の第1の光送信部から光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記複数の第1の光送信部のうち前記一部の光送信部以外の他の第1の光送信部から光信号を送信させる段階を有する光送受信システム。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記一部の第1の光送信部から光信号を送信させるとき、第1の光量で光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記一部の第1の光送信部から前記第1の光量よりも光量が多い第2の光量で光信号を送信させるとともに、前記他の第1の光送信部から前記第1の光量で光信号を送信させ、
前記他の第1の光送信部から送信させた前記第1の光量の光信号の送信の応答として前記第1の光受信部が光信号を受信したとき、前記他の第1の光送信部から前記第1の光量よりも光量が多い前記第2の光量で光信号を送信させる請求項1記載の光送受信システム。
【請求項3】
光信号を送信する複数の光送信部と、
光信号を受信する光受信部と、
前記複数の光送信部のうちの一部の光送信部から光信号を送信させるとともに、当該光信号の送信の応答として前記光受信部が光信号を受信したとき、前記複数の光送信部のうち前記一部の光送信部以外の他の光送信部から光信号を送信させる段階を有する制御手段と、
を備えた送受信装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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