光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板
【課題】黒塗装層を省略して製造コストを低減でき、かつ、取付対象の表面の模様を再現できる光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板を提供する。
【解決手段】光透過性文字板５を製造する場合、まず、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設ける。ついで、外観色層３のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する。
【解決手段】光透過性文字板５を製造する場合、まず、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設ける。ついで、外観色層３のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光を透過させて暗い中でも文字を表示させる光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、自動車の車内のヒートコントロールパネル等には種々のスイッチがある。これらのスイッチや、当該スイッチが取り付けられているパネルの本体には、光源からの光を透過させて暗い中でも文字を表示させる光透過性文字板が設けられている（特許文献１）。
【０００３】
従来より用いられる光透過性文字板は、所定の文字色を有する文字色層の上（または、基材となる樹脂層が所定の文字色を有する場合には、その樹脂層の上）に、遮蔽用の黒塗装層および外観色を有する外観色層の２層が積層され、これら黒塗装層および外観色層がレーザ加工によって所定の文字部分だけ除去された構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平９-２１３１５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来の光透過性文字板における外観色層は、レーザ反応性および遮光性が低いので、文字色層（または所定の文字色をした樹脂層）と外観色層との間に、レーザ反応性および遮光性が高い遮蔽用の黒塗装層を必要としていた。
【０００６】
そのため、黒塗装層を省略すれば、遮光性がなくなるので、文字部分以外の部分からも光が透過してしまう不具合が発生する。また、黒塗装層を省略すれば、レーザ反応性も悪くなるので、レーザ加工処理後に、文字部分が所定の文字色にならない現象（いわゆる色残り）が生じるおそれがある。
【０００７】
さらに、従来の光透過性文字板は、黒塗装層を形成する必要があるために、製造コストを低減することが難しいという問題がある。
【０００８】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、黒塗装層を省略しても遮光性を保持し、かつ、文字部分に色残りなどの不具合が生じない光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明の光透過性文字板の製造方法は、
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層または樹脂層の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設ける工程と、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する工程と
を含むことを特徴とする。
【００１０】
本発明の光透過性文字板の製造方法によれば、光透過性を有する文字色層の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設けることにより、黒塗装層を省略することができる。黒塗装層を省略しても、遮光性は保持され、しかも、外観色層にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分に色残りなどの不具合が生じない。しかも、黒塗装層を設けるための製造コストを低減できる。また、文字板の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００１１】
前記製造方法において、前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含むことが遮光性とレーザ反応性を向上させる観点から好ましい。
【００１２】
また、前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色することにより、従来着色材として使用していた有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）のレーザ加工後の色残りを防止する。
【００１３】
また、本発明の光透過性文字板は、
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層と、
前記文字色層の上に配置され、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層と
を備えており、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分は、レーザ加工により除去されている
ことを特徴とする。
【００１４】
本発明の光透過性文字板によれば、光透過性を有する文字色層の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を備えているので、外観色層が、従来の黒塗装層の有する遮光およびレーザ反応の機能を持たせることができる。その結果、黒塗装層を省略することができ、製造コストを低減できる。しかも、外観色層にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００１５】
この光透過性文字板では、前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含むことが遮光性とレーザ反応性を向上させる観点から好ましい。
【００１６】
また、前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉が混入され、着色されたことが、レーザ加工後の色残りを防止する点で好ましい。
【００１７】
さらに、この光透過性文字板では、前記文字色層は、基材となる樹脂層と一体形成されているのが好ましい。
【００１８】
この場合、さらに光透過性文字板の塗装膜厚をより薄くすることができる。
【００１９】
さらに、この光透過性文字板では、前記文字色層は、基材となる樹脂層の上に積層されて形成されているのが好ましい。
【００２０】
この場合、基材となる樹脂層とは別に所望の文字色および光沢等の文字色層を選択することが可能である。
【発明の効果】
【００２１】
以上説明したように、本発明の光透過性文字板の製造方法および光透過性文字板によれば、黒塗装層を省略しても遮光性を保持することができ、製造コストを低減できる。しかも、文字部分に色残りなどの不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の光透過性文字板の製造方法の一実施形態を示す樹脂層および文字色層の上に外観色層を形成する工程の模式説明図である。
【図２】図１の工程の後のレーザ加工工程の模式説明図である。
【図３】図２のレーザ加工工程後に得られた光透過性文字板の断面説明図である。
【図４】本発明の光透過性文字板の製造方法の他の実施形態を示す文字色を有する樹脂層の上に外観色層を直接形成する工程の模式説明図である。
【図５】図４の工程の後のレーザ加工工程の模式説明図である。
【図６】図５のレーザ加工工程後に得られた光透過性文字板の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
(実施形態１)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、本発明に係る光透過性文字板の製造方法について説明する。
【００２４】
まず、図１に示されるように、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層２を、基材となる樹脂層１の上に形成する。
【００２５】
ついで、その文字色層２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設ける。
【００２６】
外観色層３は、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する層であり、具体的には、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分として、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているのが好ましい。また、外観色層３にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色するのが好ましい。
【００２７】
この外観色層３は、とくに、遮光性とレーザ反応性を向上させるために、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムの量を増やすことが好ましい。それとともに、レーザ反応性を従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）よりも向上させるために、顔料としてチタンマイカパール粉が採用されている。
【００２８】
また、着色用の顔料としてチタンマイカパール粉を使用すると、従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）が残らないので、レーザ加工後の色残りを防止し、文字を鮮明に表すことができる。
【００２９】
ついで、図２に示されるように、外観色層３のうち所定の文字形状の部分へ、レーザ光Ａを照射して、所定の文字形状の部分をレーザ加工により除去する。
【００３０】
これにより、レーザ加工後には、図３に示されるように、所定の文字部分４が形成された光透過性文字板５が完成する。
【００３１】
以上のように、本実施形態の光透過性文字板およびその製造方法によれば、光透過性を有する文字色層２の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設けることにより、黒塗装層を省略することができるので、製造コストを低減できる。しかも、外観色層３にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分４に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板全体の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様（シボ）を再現できる。
【００３２】
また、外観色層３は、カーボンブラックと、アルミニウムと、チタンマイカパール粉とを配合した材料で製造されているので、外観色層３の遮光性およびレーザ反応性を十分にもたせることが可能である。
【００３３】
さらに、文字色層２が基材となる樹脂層１の上に積層されて形成されているので、基材となる樹脂層１とは別に所望の文字色および光沢等の文字色層２を選択することが可能である。
(実施形態２)
上記の図１〜３に示される実施形態では、文字色層２が基材となる樹脂層１の上に積層されて形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを一体形成したものを用いて、光透過性文字板を製造してもよい。
【００３４】
具体的には、まず、図４に示されるように、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色樹脂層１２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層１３を設ける。
【００３５】
この文字色樹脂層１は、所定の文字色を有し、光透過性を有する文字色層と、基材となる樹脂層とが一体形成されたものである。
【００３６】
また、外観色層１３は、上記実施形態と同様に、具体的には、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分として、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているのが好ましい。また、外観色層１３にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色するのが好ましい。
【００３７】
この外観色層１３は、とくに、遮光性とレーザ反応性を向上させるために、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムの量を増やすことが好ましい。それとともに、レーザ反応性を従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）よりも向上させるために、顔料としてチタンマイカパール粉が採用されている。
【００３８】
また、着色用の顔料としてチタンマイカパール粉を使用すると、従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）が残らないので、レーザ加工後の色残りを防止し、文字を鮮明に表すことができる。
【００３９】
ついで、図５に示されるように、外観色層１３を、所定の文字形状の部分へレーザ光Ａを照射してレーザ加工により除去する。
【００４０】
これにより、レーザ加工後には、図６に示されるように、所定の文字部分１４が形成された光透過性文字板１５が完成する。
【００４１】
この実施形態の光透過性文字板およびその製造方法においても、光透過性を有する文字色樹脂層１２の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層１３を設けることにより、黒塗装層を省略することができるので、製造コストを低減できる。しかも、外観色層１３にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分１４に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板全体の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００４２】
また、外観色層１３は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているので、外観色層１３の遮光性およびレーザ反応性を十分にもたせることが可能である。
【００４３】
さらに、文字色樹脂層１２は、所定の文字を有し、透過性を有する文字色層と、基材となる樹脂層とが一体形成されているので、光透過性文字板１５の全体の塗装膜厚をより薄くすることができる。そのため、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様をより正確に再現できる。
【符号の説明】
【００４４】
１ 樹脂層
２ 文字色層
３ 外観色層
４ 文字部分
５ 光透過性文字板
１２ 文字色樹脂層
１３ 外観色層
１４ 文字部分
１５ 光透過性文字板
Ａ レーザ光
【技術分野】
【０００１】
本発明は、光を透過させて暗い中でも文字を表示させる光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、自動車の車内のヒートコントロールパネル等には種々のスイッチがある。これらのスイッチや、当該スイッチが取り付けられているパネルの本体には、光源からの光を透過させて暗い中でも文字を表示させる光透過性文字板が設けられている（特許文献１）。
【０００３】
従来より用いられる光透過性文字板は、所定の文字色を有する文字色層の上（または、基材となる樹脂層が所定の文字色を有する場合には、その樹脂層の上）に、遮蔽用の黒塗装層および外観色を有する外観色層の２層が積層され、これら黒塗装層および外観色層がレーザ加工によって所定の文字部分だけ除去された構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平９-２１３１５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来の光透過性文字板における外観色層は、レーザ反応性および遮光性が低いので、文字色層（または所定の文字色をした樹脂層）と外観色層との間に、レーザ反応性および遮光性が高い遮蔽用の黒塗装層を必要としていた。
【０００６】
そのため、黒塗装層を省略すれば、遮光性がなくなるので、文字部分以外の部分からも光が透過してしまう不具合が発生する。また、黒塗装層を省略すれば、レーザ反応性も悪くなるので、レーザ加工処理後に、文字部分が所定の文字色にならない現象（いわゆる色残り）が生じるおそれがある。
【０００７】
さらに、従来の光透過性文字板は、黒塗装層を形成する必要があるために、製造コストを低減することが難しいという問題がある。
【０００８】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、黒塗装層を省略しても遮光性を保持し、かつ、文字部分に色残りなどの不具合が生じない光透過性文字板の製造方法、および光透過性文字板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明の光透過性文字板の製造方法は、
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層または樹脂層の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設ける工程と、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する工程と
を含むことを特徴とする。
【００１０】
本発明の光透過性文字板の製造方法によれば、光透過性を有する文字色層の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設けることにより、黒塗装層を省略することができる。黒塗装層を省略しても、遮光性は保持され、しかも、外観色層にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分に色残りなどの不具合が生じない。しかも、黒塗装層を設けるための製造コストを低減できる。また、文字板の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００１１】
前記製造方法において、前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含むことが遮光性とレーザ反応性を向上させる観点から好ましい。
【００１２】
また、前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色することにより、従来着色材として使用していた有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）のレーザ加工後の色残りを防止する。
【００１３】
また、本発明の光透過性文字板は、
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層と、
前記文字色層の上に配置され、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層と
を備えており、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分は、レーザ加工により除去されている
ことを特徴とする。
【００１４】
本発明の光透過性文字板によれば、光透過性を有する文字色層の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を備えているので、外観色層が、従来の黒塗装層の有する遮光およびレーザ反応の機能を持たせることができる。その結果、黒塗装層を省略することができ、製造コストを低減できる。しかも、外観色層にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００１５】
この光透過性文字板では、前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含むことが遮光性とレーザ反応性を向上させる観点から好ましい。
【００１６】
また、前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉が混入され、着色されたことが、レーザ加工後の色残りを防止する点で好ましい。
【００１７】
さらに、この光透過性文字板では、前記文字色層は、基材となる樹脂層と一体形成されているのが好ましい。
【００１８】
この場合、さらに光透過性文字板の塗装膜厚をより薄くすることができる。
【００１９】
さらに、この光透過性文字板では、前記文字色層は、基材となる樹脂層の上に積層されて形成されているのが好ましい。
【００２０】
この場合、基材となる樹脂層とは別に所望の文字色および光沢等の文字色層を選択することが可能である。
【発明の効果】
【００２１】
以上説明したように、本発明の光透過性文字板の製造方法および光透過性文字板によれば、黒塗装層を省略しても遮光性を保持することができ、製造コストを低減できる。しかも、文字部分に色残りなどの不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の光透過性文字板の製造方法の一実施形態を示す樹脂層および文字色層の上に外観色層を形成する工程の模式説明図である。
【図２】図１の工程の後のレーザ加工工程の模式説明図である。
【図３】図２のレーザ加工工程後に得られた光透過性文字板の断面説明図である。
【図４】本発明の光透過性文字板の製造方法の他の実施形態を示す文字色を有する樹脂層の上に外観色層を直接形成する工程の模式説明図である。
【図５】図４の工程の後のレーザ加工工程の模式説明図である。
【図６】図５のレーザ加工工程後に得られた光透過性文字板の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
(実施形態１)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、本発明に係る光透過性文字板の製造方法について説明する。
【００２４】
まず、図１に示されるように、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層２を、基材となる樹脂層１の上に形成する。
【００２５】
ついで、その文字色層２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設ける。
【００２６】
外観色層３は、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する層であり、具体的には、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分として、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているのが好ましい。また、外観色層３にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色するのが好ましい。
【００２７】
この外観色層３は、とくに、遮光性とレーザ反応性を向上させるために、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムの量を増やすことが好ましい。それとともに、レーザ反応性を従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）よりも向上させるために、顔料としてチタンマイカパール粉が採用されている。
【００２８】
また、着色用の顔料としてチタンマイカパール粉を使用すると、従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）が残らないので、レーザ加工後の色残りを防止し、文字を鮮明に表すことができる。
【００２９】
ついで、図２に示されるように、外観色層３のうち所定の文字形状の部分へ、レーザ光Ａを照射して、所定の文字形状の部分をレーザ加工により除去する。
【００３０】
これにより、レーザ加工後には、図３に示されるように、所定の文字部分４が形成された光透過性文字板５が完成する。
【００３１】
以上のように、本実施形態の光透過性文字板およびその製造方法によれば、光透過性を有する文字色層２の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層３を設けることにより、黒塗装層を省略することができるので、製造コストを低減できる。しかも、外観色層３にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分４に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板全体の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様（シボ）を再現できる。
【００３２】
また、外観色層３は、カーボンブラックと、アルミニウムと、チタンマイカパール粉とを配合した材料で製造されているので、外観色層３の遮光性およびレーザ反応性を十分にもたせることが可能である。
【００３３】
さらに、文字色層２が基材となる樹脂層１の上に積層されて形成されているので、基材となる樹脂層１とは別に所望の文字色および光沢等の文字色層２を選択することが可能である。
(実施形態２)
上記の図１〜３に示される実施形態では、文字色層２が基材となる樹脂層１の上に積層されて形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを一体形成したものを用いて、光透過性文字板を製造してもよい。
【００３４】
具体的には、まず、図４に示されるように、所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色樹脂層１２の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層１３を設ける。
【００３５】
この文字色樹脂層１は、所定の文字色を有し、光透過性を有する文字色層と、基材となる樹脂層とが一体形成されたものである。
【００３６】
また、外観色層１３は、上記実施形態と同様に、具体的には、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分として、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているのが好ましい。また、外観色層１３にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色するのが好ましい。
【００３７】
この外観色層１３は、とくに、遮光性とレーザ反応性を向上させるために、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムの量を増やすことが好ましい。それとともに、レーザ反応性を従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）よりも向上させるために、顔料としてチタンマイカパール粉が採用されている。
【００３８】
また、着色用の顔料としてチタンマイカパール粉を使用すると、従来の有機顔料（フタロシアニンブルー、ジオキサジンバイオレット等）が残らないので、レーザ加工後の色残りを防止し、文字を鮮明に表すことができる。
【００３９】
ついで、図５に示されるように、外観色層１３を、所定の文字形状の部分へレーザ光Ａを照射してレーザ加工により除去する。
【００４０】
これにより、レーザ加工後には、図６に示されるように、所定の文字部分１４が形成された光透過性文字板１５が完成する。
【００４１】
この実施形態の光透過性文字板およびその製造方法においても、光透過性を有する文字色樹脂層１２の上に、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層１３を設けることにより、黒塗装層を省略することができるので、製造コストを低減できる。しかも、外観色層１３にレーザ反応性を持たせることにより、レーザ加工後の文字部分１４に色残りなどの不具合が生じない。また、文字板全体の塗装膜厚を薄くすることができるので、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様を再現できる。
【００４２】
また、外観色層１３は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有した材料で製造されているので、外観色層１３の遮光性およびレーザ反応性を十分にもたせることが可能である。
【００４３】
さらに、文字色樹脂層１２は、所定の文字を有し、透過性を有する文字色層と、基材となる樹脂層とが一体形成されているので、光透過性文字板１５の全体の塗装膜厚をより薄くすることができる。そのため、樹脂製スイッチなどの取付対象の表面の模様をより正確に再現できる。
【符号の説明】
【００４４】
１ 樹脂層
２ 文字色層
３ 外観色層
４ 文字部分
５ 光透過性文字板
１２ 文字色樹脂層
１３ 外観色層
１４ 文字部分
１５ 光透過性文字板
Ａ レーザ光
【特許請求の範囲】
【請求項１】
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設ける工程と、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する工程と
を含むことを特徴とする光透過性文字板の製造方法。
【請求項２】
前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有している、
請求項１に記載の光透過性文字板の製造方法。
【請求項３】
前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色した、
請求項１または２に記載の光透過性文字板の製造方法。
【請求項４】
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層と、
前記文字色層の上に配置され、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層と
を備えており、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分は、レーザ加工により除去されている、
光透過性文字板。
【請求項５】
前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有する、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【請求項６】
前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉が混入され、着色された、
請求項４または５に記載の光透過性文字板。
【請求項７】
前記文字色層は、基材となる樹脂層の上に積層されて形成されている、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【請求項８】
前記文字色層は、基材となる樹脂層と一体形成されている、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【請求項１】
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層の上に、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層を設ける工程と、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分を、レーザ加工により除去する工程と
を含むことを特徴とする光透過性文字板の製造方法。
【請求項２】
前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有している、
請求項１に記載の光透過性文字板の製造方法。
【請求項３】
前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉を混入させて着色した、
請求項１または２に記載の光透過性文字板の製造方法。
【請求項４】
所定の文字色を有し、かつ、光透過性を有する文字色層と、
前記文字色層の上に配置され、所定の外観色を有し、かつ、遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分とを含有する外観色層と
を備えており、
前記外観色層のうち所定の文字形状の部分は、レーザ加工により除去されている、
光透過性文字板。
【請求項５】
前記遮光性を有する成分とレーザ反応性を有する成分は、カーボンブラックおよび／またはアルミニウムを含有する、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【請求項６】
前記外観色層にレーザ反応性を有するチタンマイカパール粉が混入され、着色された、
請求項４または５に記載の光透過性文字板。
【請求項７】
前記文字色層は、基材となる樹脂層の上に積層されて形成されている、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【請求項８】
前記文字色層は、基材となる樹脂層と一体形成されている、
請求項４に記載の光透過性文字板。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−１７１１１０（Ｐ２０１１−１７１１１０Ａ）
【公開日】平成２３年９月１日（２０１１．９．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−３３６４４（Ｐ２０１０−３３６４４）
【出願日】平成２２年２月１８日（２０１０．２．１８）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年９月１日（２０１１．９．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年２月１８日（２０１０．２．１８）
【出願人】（０００１８３４０６）住友電装株式会社 (6,135)
【Ｆターム（参考）】
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