説明

光通信装置、光通信方法及び光通信システム

【課題】受信装置との距離に応じた適切な通信が可能な光通信装置、光通信方法及び光通信システムを提供する。
【解決手段】送信装置は、データに対応する光信号を送信するものであって、光信号に対して、データを到達させるべき距離に応じた強度に変調して、この強度変調された光信号を出力する。これにより、送信装置は、データを受信すべき受信装置との距離に応じて、そのデータに対応する光信号の強度を変えることができるため、受信装置に確実にデータを受信させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置、光通信方法及び光通信システムに関し、特に、可視光を用いて光通信を行うと共に、その可視光を照明光として利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線や可視光を用いた光通信が利用されつつある。このうち、赤外線通信においては、アイ・セイフティ(目の保護)の観点から高い電力での送信ができず、通信速度の向上に限界があるという問題等がある。一方、可視光通信においては、色が可変の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の可視光素子を光源としているため、上記赤外線通信の問題を解消し、可視光素子が高速で点滅するという特性を利用してデータを送信できるという利点等がある(非特許文献1参照)。
【0003】
このような可視光素子は、光通信としてだけでなく、照明光としても用いられる。例えば、特許文献1に記載の装置は、光3原色の赤色(R)、緑色(G)、青色(B)それぞれの光を発光する3種のLEDを用いて、混色により白色光で照明する共に、各LEDに個別のデータを載せて多重色通信を行うようにしている。
【0004】
この場合において、可視光素子の通信に用いられる光量は、照明光としての光量を十分に満たすことが求められる。例えば、特許文献2に記載の装置においては、パルス領域で発光(オン)し、フラット領域で発光しない(オフ)ようにしたパルス信号列について、そのオンオフ位置を反転させた反転パルス位置変調に基づいて、LEDを発光させることにより、パルスのオン時間を長くして、照明の光度を向上させて通信を行うようにしている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“可視光通信とは”、[online]、可視光通信コンソーシアム、[平成16年9月7日検索]、インターネット<http://www.vlcc.net/about.html>
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−290335号公報
【特許文献2】特開2004−72365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光源によって一定の強度で可視光信号が発光される場合、受信装置と光源との距離が近い場合は、受信装置は十分な光強度を受信することができる。このため、正確な信号を受信することができ、誤り訂正等に必要な冗長成分や再送等が少なく済み、高スループットの通信を行うことができる。しかし、光源から遠くなると強度が落ち、その他の光がノイズ成分として受信されるため、冗長成分や再送等を十分考慮しないと受信装置はデータを受信することができない。このため受信装置と光源の距離が離れるほど、スループットが低下する。
【0008】
このような場合、光源より遠い距離にある受信装置に合わせて、冗長成分や再送を多くすると、近距離にある受信装置は、高スループットで通信ができるにもかかわらず、少ない情報しか得られない。一方、近距離の受信装置にあわせて冗長成分を少なくすると、遠距離の受信装置は、全くデータを受け取れない可能性がある。
【0009】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、受信装置との距離に応じた適切な通信が可能な光通信装置、光通信方法及びそれらを含む光通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点に対して、本発明は、データに対応する光信号を送信する光通信装置であって、前記光信号に対して、前記データを到達させるべき距離に応じた強度に変調する強度変調手段と、前記強度変調手段により強度変調された光信号を出力する出力手段とを有する。
【0011】
この構成により、データに対応する対応する光信号が、そのデータが到達すべき距離に応じた強度に変調されて出力されるため、受信装置まで確実にデータを到達させることが可能となる。
【0012】
また、本発明は、前記強度変調手段が、前記光信号の強度を該光信号の波長毎に変化させる。
【0013】
この構成により、データが到達すべき距離に応じて異なる波長の光信号が出力される。
【0014】
また、本発明は、前記強度変調手段が、前記光信号の強度を該光信号に対応する時分割多重方式におけるタイムスロット毎に変化させる。
【0015】
この構成により、データが到達すべき距離に応じて異なる強度の各タイムスロットに対応する光信号が出力される。
【0016】
また、本発明は、前記出力手段が、出力すべき前記光信号の強度に応じて前記タイムスロットを可変にする。
【0017】
この構成により、光信号の波形が崩れることが防止される。
【0018】
同様に、本発明は、前記出力手段が、連続して出力すべき前記光信号の強度がハイレベルからローレベルに変化する際において強度差が所定値以上である場合に、前記ハイレベルの光信号を出力してから所定時間経過後に前記ローレベルの光信号を出力する。
【0019】
同様に、本発明は、前記出力手段が、連続して出力すべき前記光信号の強度差が所定値以上である際に、出力順序を入れ替えて前記所定値未満とする。
【0020】
また、本発明は、前記出力手段が、可視光領域の波長を有する光信号を発する。
【0021】
また、本発明は、前記出力手段が、照明装置である。
【0022】
また、本発明は、前記出力手段が、照明光に、前記強度変調手段により強度変調された光信号を重畳して出力する。
【0023】
また、本発明は、前記出力手段が、ディスプレイ装置である。
【0024】
また、本発明は、前記出力手段が、画像光に、前記強度変調手段により強度変調された光信号を重畳して出力する。
【0025】
また、本発明は、前記データが、該データを到達させるべき距離を特定する情報が付加されており、前記強度変調手段が、前記距離を特定する情報に基づいて、前記光信号に対して、前記データを到達させるべき距離に応じた強度に変調する。
【0026】
また、本発明は、前記出力手段が、発光ダイオードを光源として有する。
【0027】
また、本発明は、データに対応する光信号を送信する光通信装置であって、前記データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を受光する受光手段と、前記受光手段により受光された光信号を解析して、その解析結果により前記データを取得する解析手段とを有する。
【0028】
この構成により、上述の光通信装置からの光信号を受光してデータを得ることができる。
【0029】
また、本発明は、前記受光手段が、強度が波長毎に変化された光信号を受光し、前記解析手段が、前記受光手段により受光された光信号を波長毎に解析する。
【0030】
また、本発明は、前記受光手段が、強度が時分割多重方式におけるタイムスロット毎に変化された光信号を受光し、前記解析手段が、前記受光手段により受光された光信号をタイムスロット毎に解析する。
【0031】
また、本発明は、前記受光手段が、可視光領域の波長を有する光信号を受光する。
【0032】
また、本発明は、前記受光手段が、データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を重畳した照明光を受光し、前記解析手段が、前記受光手段により受光された照明光から前記光信号を抽出して解析する。
【0033】
また、本発明は、前記受光手段が、データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を重畳した画像光を受光し、前記解析手段が、前記受光手段により受光された画像光から前記光信号を抽出して解析する。
【0034】
また、本発明は、前記解析手段により取得された前記データに付加される画面構成データに基づいて、前記データを利用した画像表示を行う画像表示手段を有する。
【0035】
また、本発明は、データに対応する光信号を送信する光通信方法であって、前記光信号に対して、前記データを到達させるべき距離に応じた強度に変調する強度変調ステップと、前記強度変調ステップにより強度変調された光信号を出力する出力ステップとを有する。
【0036】
また、本発明は、前記強度変調ステップが、前記光信号の強度を該光信号の波長毎に変化させる。
【0037】
また、本発明は、前記強度変調ステップが、前記光信号の強度を該光信号に対応する時分割多重方式におけるタイムスロット毎に変化させる。
【0038】
また、本発明は、前記出力ステップが、出力すべき前記光信号の強度に応じて前記タイムスロットを可変にする。
【0039】
また、本発明は、前記出力ステップが、連続して出力すべき前記光信号の強度がハイレベルからローレベルに変化する際において強度差が所定値以上である場合に、前記ハイレベルの光信号を出力してから所定時間経過後に前記ローレベルの光信号を出力する。
【0040】
また、本発明は、前記出力ステップが、連続して出力すべき前記光信号の強度差が所定値以上である際に、出力順序を入れ替えて前記所定値未満とする。
【0041】
また、本発明は、前記出力ステップが、可視光領域の波長を有する光信号を発する。
【0042】
また、本発明は、前記出力ステップが、照明光に、前記強度変調ステップにより強度変調された光信号を重畳して出力する。
【0043】
また、本発明は、前記出力ステップが、画像光に、前記強度変調ステップにより強度変調された光信号を重畳して出力する。
【0044】
また、本発明は、前記データが、該データを到達させるべき距離を特定する情報が付加されており、前記強度変調ステップが、前記距離を特定する情報に基づいて、前記光信号に対して、前記データを到達させるべき距離に応じた強度に変調する。
【0045】
また、本発明は、データに対応する光信号を送信する光通信方法であって、前記データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を受光する受光ステップと、前記受光ステップにより受光された光信号を解析して、その解析結果により前記データを取得する解析ステップとを有する。
【0046】
また、本発明は、前記受光ステップが、強度が波長毎に変化された光信号を受光し、前記解析ステップが、前記受光ステップにより受光された光信号を波長毎に解析する。
【0047】
また、本発明は、前記受光ステップが、強度が時分割多重方式におけるタイムスロット毎に変化された光信号を受光し、前記解析ステップが、前記受光ステップにより受光された光信号をタイムスロット毎に解析する。
【0048】
また、本発明は、前記受光ステップが、可視光領域の波長を有する光信号を受光する。
【0049】
また、本発明は、前記受光ステップが、データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を重畳した照明光を受光し、前記解析ステップが、前記受光ステップにより受光された照明光から前記光信号を抽出して解析する。
【0050】
また、本発明は、前記受光ステップが、データを到達させるべき距離に応じて強度が変調された光信号を重畳した画像光を受光し、前記解析ステップが、前記受光ステップにより受光された画像光から前記光信号を抽出して解析する。
【0051】
また、本発明は、前記解析ステップにより取得された前記データに付加される画面構成データに基づいて、前記データを利用した画像表示を行う画像表示ステップを有する。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、データに対応する光信号が、そのデータが到達すべき距離に応じた強度に変調されて出力されるため、受信装置まで確実にデータを到達させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】光源から送信される信号の第1の例を示す図である。
【図2】反転PPMによる変調の一例を示す図である。
【図3】光源から送信される信号の第2の例を示す図である。
【図4】光源から送信される信号の第3の例を示す図である。
【図5】送信装置の第1の構成を示す図である。
【図6】データシーケンスの一例を示す図である。
【図7】光源からの距離と光強度との対応関係を示す図である。
【図8】光調整部の処理を示す図である。
【図9】受信装置の第1の構成を示す図である。
【図10】送信装置の第2の構成を示す図である。
【図11】受信装置の第2の構成を示す図である。
【図12】送信装置の第3の構成を示す図である。
【図13】送信装置を適用した情報提供システムの第1の実施例を示す図である。
【図14】情報提供システムにおける受信端末の画面表示の一例を示す図である。
【図15】受信端末の構成を示す図である。
【図16】受信端末の第1の動作を示すフローチャートである。
【図17】送信装置を適用した情報提供システムの第2の実施例を示す図である。
【図18】受信端末の第2の動作を示すフローチャートである。
【図19】タイムスロット調整の第1の例を示す図である。
【図20】タイムスロット調整の第2の例を示す図である。
【図21】タイムスロット調整における問題点を示す図である。
【図22】タイムスロット調整の第3の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明は、可視光通信の技術に関するものであり、特に距離による情報の差別化を行う技術を提案する。
【0055】
図1に本発明に係る通信システムにおいて送信装置から送信される信号の第1の例を示す。ここでは、送信装置は、単色のLEDで構成されている照明装置とする。また、信号変調手段として、図2に示すような反転PPM(Inverted Pulse Position Modulation)の手法が用いられるものとする。
【0056】
図1は、3段階の距離に対応した信号の例であり、送信装置が近距離には送信データ101を、中距離には送信データ102を、遠距離には送信データ103を送信する場合、送信データ101は光強度1、送信データ102は光強度1よりも大きい光強度2、送信データ103は光強度2よりも更に大きい光強度3となる。送信装置は、このようにパワー制御された信号(光)について、Time slot1では送信データ101、Time Slot2では送信データ102、Time Slot3では送信データ103を送信する。
【0057】
その後、送信装置は、光強度を1、2、3と周期的に変化させて時分割を施す。図1の塗り潰し部分は発光ON、隙間部分は発光OFFに対応し、反転PPMの手法が実現されている。これにより、一定の光強度では、実現できなかった距離による情報の差別化が可能となる。
【0058】
また、単色光の場合、強度の異なる光が同時に発光されると、弱い(暗い)光は、強い(明るい)光に埋もれてしまい、弱い光に付加した信号が判別できない可能性がある。このため、送信装置は、発光する光強度に応じた時分割を施し、弱い信号が埋もれないようにする。
【0059】
更に、タイムスロットを以下に示すように十分小さくとることにより、ちらつきを低減し、照明としての機能を低下させることなく発光させることができる。LEDの応答時間は最も長くなる緑色系のLEDでも3μs程度である。また、受光素子として考えられるフォトトランジスタの応答速度は2〜4μs程度である。すなわち、光の強度がハイレベルからローレベルへあるいはその逆にローレベルからハイレベルへ切り替わる際のトータルの応答時間は10μs程度である。この程度の時間であれば、人の視覚では光の点滅を感じることができない。このため、タイムスロットを10μs程度に設定することにより、照明として機能を損なうことなく通信を行うことが可能である。また、最小の光強度にオフセット成分を持たせる手段を用いても、ちらつきを低減することができる。
【0060】
また、送信データ101を受信することができる位置にある受信装置は、送信データ101、102、103のすべてを、送信データ102を受信することができる位置にある受信装置は、送信データ102、103を、送信データ103を受信することができる位置にある受信装置は、送信データ103のみを、それぞれ受信することが可能となる。これにより、送信装置から遠い受信装置は、少しの情報しか得ることができないが、送信装置に近い受信装置は、より多くの情報を得ることが可能である。
【0061】
図3に本発明に係る通信システムにおいて送信装置から送信される信号の第2の例を示す。ここでは、送信装置は、3色のLED、例えば赤(R)、青(B)、緑(G)の光を発する照明装置である。また、信号変調手段として、反転PPMの手法が用いられるものとする。
【0062】
図3は、3段階の距離に対応した信号の例であり、送信装置が近距離には送信データ104を、中距離には送信データ105を、遠距離には送信データ106を送信する場合、RBG3色のLEDは、青色LEDが送信データ104を、赤色LEDが送信データ105を、緑色LEDが送信データ106を、それぞれ送信する。送信データ104は、青色の光にPPM変調が施され、光強度1で発光される。また、送信データ105は、赤色の光にPPM変調が施され、光強度2で発光され、送信データ106は、緑色の光にPPM変調が施され、光強度3で発光される。図3の塗り潰し部分は発光ON、隙間部分は発光OFFに対応し、反転PPMの手法が実現されている。これにより、一定の光強度では、実現できなかった距離による情報の差別化が可能となる。
【0063】
図4に本発明に係る通信システムにおいて送信装置から送信される信号の第3の例を示す。ここでは、送信装置は、3色のLED、例えば赤(R)、青(B)、緑(G)の光を発する照明装置である。また、信号変調手段として、反転PPMの手法が用いられるものとする。
【0064】
図4は、3段階の距離に対応した信号の例であり、送信装置が近距離には送信データ107、110、113を、中距離には送信データ108、111、114を、遠距離には送信データ109、112、115を送信する場合、近距離への送信データ107は青色LED、送信データ110は赤色LED、送信データ113は緑色LEDによって送信されるものであり、それぞれPPM変調が施され、光強度1で発光される。また、中距離への送信データ108は青色LED、送信データ111は赤色LED、送信データ114は緑色LEDによって送信されるものであり、それぞれPPM変調が施され、光強度2で発光され、長距離への送信データ109は青色LED、送信データ112は赤色LED、送信データ115は緑色LEDによって送信されるものであり、それぞれPPM変調が施され、光強度3で発光される。図4の塗り潰し部分は発光ON、隙間部分は発光OFFに対応し、反転PPMの手法が実現されている。これにより、一定の光強度では、実現できなかった距離による情報の差別化が可能となる。
【0065】
また、同じ波長(同色)の光の場合、強度の異なる光が同時に発光された場合、弱い(暗い)光は、強い(明るい)光に埋もれてしまい、弱い光に付加した信号が判別できない可能性がある。このため、送信装置は、発光する光強度に応じた時分割を施し、弱い信号が埋もれないようにする。
【0066】
また、短距離、中距離、長距離への送信のそれぞれに際し、3色のLEDによってそれぞれの色に別のデータが割り当てられることにより、単色光で通信を行う場合より多くのデータを送信することが可能となる。
【0067】
更には、図3の例では、距離により到達する光の波長が異なるため、距離により色味が異なる可能性があるが、図4の例では、各距離に3色の光が到達するため、すべての距離で光の色味を同じにすることが可能となる。
【0068】
図5に本発明の送信装置の構成図を示す。送信装置は、単色のLEDで構成されている照明装置である。また、信号変調手段として、反転PPMの手法が用いられ、図1に示す信号が送信される。
【0069】
送信装置は、クロック部201、記憶部202、送信制御部203、信号時分割部204、PPM変調部205、パルス反転部206、増幅部207、光電変換部208、光フィルタ209、光学調整部210、照明発光部211及び照明制御部212からなる。
【0070】
データシーケンスには、ヘッダ情報、近距離への送信データ(近距離用データ)、中距離への送信データ(中距離用データ)、遠距離への送信データ(遠距離用データ)等の各種データが含まれている。
【0071】
クロック部201は、同期を取ることが必要な構成要素間のタイミングを合わせるためのクロックを送信制御部203に供給する。送信制御部203は、記憶部202、信号時分割分離部204、増幅部207を制御し、送信される信号の制御を行う。また、送信制御部203は、照明制御部212にも接続されており、信号の強度に応じて照明光の強度の調整を実施することができる。
【0072】
記憶部202は、図示していない主記憶装置より送られてきた「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスを一時保存する。信号時分割分離部204は、近距離用、中距離用、遠距離用の各データ毎にタイムスロットの割り当てを行う。PPM変調部205は、データシーケンスを、ON/OFFのパルスに変換して、PPM変調を行う。パルス反転部206は、PPM変調部205で変調されたPPM信号のON/OFFを反転させ反転PPM信号を生成する。
【0073】
増幅部207は、反転PPM信号を増幅し、通信に耐えうる信号とする。光電変換部208は、増幅器207の出力信号(電気信号)を光信号に変換する。光フィルタ209は、この光信号から余分な周波数成分を除去し、所望の発光色に対応する周波数成分を取り出す。光学調整部210は、反射鏡やレンズ、光の指向性を制御する照明用の傘等の光学系から構成され、光フィルタ209からの光信号(可視光)を照射する。照明発光部211は、LED等で構成された発光手段と、光学調整部210が照射する可視光をユーザが照明として所望している光強度とすべく、オフセットを乗せる手段とを有し、発光を行う。これにより、光学調整部210は、光フィルタ209からの光信号の強度にオフセットを加えた強度の可視光(照明光)を照射することになる。
【0074】
以下、図5の送信装置における送信手順を示す。送信対象のデータは、図示していない主記憶部に格納されている。図示していないCPUは、この送信対象のデータに対して、送信したい距離に応じて、図6に示すように、送信データ302にはデータ識別フラグ301、送信データ304にはデータ識別フラグ303、送信データ306にはデータ識別フラグ305を付加してデータシーケンスを作成し、記憶部202に送る。これらデータ識別フラグ301、303、305により送信対象のデータを送信すべき距離の判別が可能となる。
【0075】
送信制御部203は、記憶部202に保存されている送信対象のデータについて、その送信対象のデータに付加されたデータ識別フラグに基づいて、図1に示すように時分割処理を行い、同期を取る為のプリアンブル等のパケットヘッダをそれぞれの送信データに付加する。PPM変調部205は、このヘッダが付加された送信データについてPPM変調を行い、更にパルス反転部206は、反転PPM信号を生成する。
【0076】
送信制御部203は、タイムスロット毎に、近距離用データは光強度1、中距離用データは光強度2、遠距離用データは光強度3の光となるように、増幅部207に対して電圧増幅の指示を行う。これにより、可視光信号を受信可能な距離の差別化を行うことができる。
【0077】
図7に示すように、光は距離の2乗に反比例して減衰していく。このため、送信装置(光源)からの距離dで光強度aを得ようとした場合、光源の光強度はa×d^2/b(bはある波長の光の減衰係数)となる。光強度は、この式に基づいて決定される。
【0078】
照明制御部212は、照明光全体の光強度を照明として使用する光強度にするために必要な電圧を決め、照明発光部211に指示を出す。具体的には図8に示す。ユーザが必要としている光強度を得るためには、破線で示した電圧(平均)をLEDに印加する必要があるとする。しかし、送信データを増幅しただけの出力307では十分でない。この場合、照明発光部211は、ON部分にオフセット308を乗せ、平均の電圧が必要な電圧になるようにする。なお、図8では、ONの部分にのみオフセットを乗せたが、OFFの部分にも同じ電圧のオフセットを乗せてもよい。
【0079】
照明発光部211は、照明制御部212に指示された電圧により、発光を行う。この際、光学調整部210の光学系によって発光する光に指向性を持たせてもよい。また、オフセットを乗せる操作は、増幅部207において行われてもよい。光学調整部210は、光フィルタ209からの光信号の強度にオフセットを加えた強度の照明光を照射する。以上の手順により、図1に示す可視光信号を生成することが可能となる。
【0080】
図9に本発明の受信装置の構成図を示す。図9の受信装置は、光学調整部401、光電変換部402、増幅部403、パルス反転部404、PPM復調部405、クロック同期部406、時分割信号復調部407、記憶部408及び受信制御部409からなる。
【0081】
光学調整部401は、鏡やレンズ等の光学系と、光フィルタ等から構成されており、送信データに対応する光信号のみを抽出する。光電変換部402は、フォトダイオード、CCDカメラ等に代表される受光素子等で構成されており、光信号を電気信号に変換する。増幅部403は、光電変換部402で変換された電気信号を復調可能なレベルに増幅する。パルス反転部404は、増幅後の信号(反転PPM信号)のON/OFFの反転を行いPPM信号に戻す。PPM復調部405は、このPPM信号を「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスに復調する。受信制御部409は、クロック同期部406、時分割信号復調部407、記憶部408の制御を行う。クロック同期部406は、クロック発生部を内蔵しており、復調されたデータの同期を取る。時分割信号復調部407は、時分割多重されて送られてきたデータの復調を行う。記憶部408は、データを一時保持する。なお、光電変換部402と増幅部403は、フォトトランジスタで代表されるように一体となったものでもよい。
【0082】
以下、図9の受信装置における受信手順を示す。光学調整部401において受光された光は、内蔵される光フィルタによってフィルタリングされ、必要な周波数の光のみが取り込まれる。取り込まれた光は、光電変換部402において電気信号に変換され、増幅部403において増幅される。パルス反転部404、PPM復調部405は、増幅された信号
(反転PPM信号)を反転してPPM信号とし、更に、「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスに復調する。その後、時分割信号復調部407は、データシーケンスをヘッダ毎に分割し、送信対象のデータを生成する。
【0083】
図10に本発明の送信装置の他の構成の例を示す。図10の送信装置は、3色のLED(赤色LED、青色LED、緑色LED)で構成される照明装置である。この送信装置は、記憶部202、信号分離部213、PPM変調部214、215、216、パルス反転部217、218、219、増幅部220、221、222、光電変換部223、224、225、光フィルタ226、227、228、光学調整部210、照明発光部211、照明制御部212、送信制御部203、クロック部201からなる。
【0084】
クロック部201は、同期を取ることが必要な構成要素間のタイミングを合わせるためのクロックを送信制御部203に供給する。送信制御部203は、記憶部202、信号分離部213、増幅部220、221、222を制御し、送信される信号の制御を行う。また、送信制御部203は、照明制御部212にも接続されており、信号の強度に応じて照明光の強度の調整を実施することができる。
【0085】
記憶部202は、図示していない主記憶装置より送られてきた「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスを一時保存する。信号分離部213は、データシーケンスを近距離用、中距離用、遠距離用のデータ毎に分割し、それぞれの距離に応じたパスに信号を送出する。
【0086】
PPM変調部、パルス反転部、増幅部、光電変換部、光フィルタは、それぞれ赤色、青色、緑色のそれぞれに1つ、すなわち3つずつ備えられている。PPM変調部214、215、216は、入力データを、ON/OFFのパルスからなるPPM信号に変換する。パルス反転部217、218、219は、前段のPPM変調部214、215、216の変調によって得られたPPM信号のON/OFFを反転させ、反転PPM信号を生成する。増幅部220、221、222は、反転PPM信号を増幅し、通信に耐えうる信号とする。光フィルタ226、227、228は、増幅後の信号から余分な周波数成分を除去し、所望の発光色に対応する周波数成分を取り出す。光学調整部210は、反射鏡やレンズ、照明用の指向性を制御する傘等の光学系から構成され、光フィルタ226、227、228からの光信号(可視光)を照射する。照明発光部211は、LED等で構成された発光手段と、光学調整部210が照射する可視光をユーザが照明として所望している光強度とすべく、オフセットを乗せる手段とを有し、発光を行う。これにより、光学調整部210は、光フィルタ209からの光信号の強度にオフセットを加えた強度の可視光(照明光)を照射することになる。
【0087】
以下、図3に示す信号を送信する場合の図10の送信装置における送信手順を示す。送信対象のデータは、図示していない主記憶部に格納されており、図示していないCPUは、この送信対象のデータに対して、送信したい距離に応じて、図6に示すようにデータ識別フラグ301、303、305を付加してデータシーケンスを作成し、記憶部202に送る。データシーケンスには、ヘッダ情報、近距離用データ、中距離用データ、遠距離用データ等の各種データが含まれている。
【0088】
信号分離部213は、データ識別フラグにより、送信すべき信号の振り分けを行う。ここでは、近距離用データはパスBへ、中距離用データはパスRへ、遠距離用データはパスGへ振り分けられる。また、信号分離部213は、振り分けの際、同期を取る為のプリアンブル等のパケットヘッダをそれぞれの送信データに付加する。PPM変調部214、215、216は、このヘッダが付加された送信データについてPPM変調を行い、更にパルス反転部217、218、219は、反転PPM信号を生成する。
【0089】
送信制御部203は、パスBの近距離用データは光強度1、パスRの中距離用データは光強度2、パスGの遠距離用データは光強度3の光となるように、増幅部220、221、222に対して電圧増幅の指示を行う。これにより、可視光信号を受信可能な距離の差別化を行うことができる。
【0090】
また、図4に示す信号を送信する場合には、送信装置は、図10における信号分離部213に代えて時分割信号分離部を備え、時分割多重を行うことで実現可能である。この場合、送信時には、光学調整部210は、3色の光の同期を取る。これにより、送信装置からの距離によらずに、色味を一定にし、強度調整の手順を簡便にすることができる。
【0091】
図11に本発明の受信装置の他の構成の例を示す。図11の受信装置は、光学調整部401、光波長分割部410、光電変換部411、412、413、増幅部414、415、416、パルス反転部417、418、419、PPM復調部420、421、422、クロック同期部406、時分割信号復調部407、記憶部408及び受信制御部409からなる。
【0092】
光学調整部401は、鏡やレンズ等の光学系と、光フィルタ等から構成されている。光波長分割部410は、光フィルタから構成されており、複数の波長を有する光を単一の周波数の光に分光する。光電変換部411、412、413は、フォトダイオード、CCDカメラ等に代表される受光素子等で構成されており、光信号を電気信号に変換する。増幅部414、415、416は、光電変換部411、412、413で変換された電気信号を復調可能なレベルに増幅する。パルス反転部417、418、419は、増幅後の信号(反転PPM信号)のON/OFFの反転を行いPPM信号に戻す。PPM復調部420、421、422は、このPPM信号を「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスに復調する。受信制御部409は、クロック同期部406、時分割信号復調部407、記憶部408の制御を行う。クロック同期部406は、クロック発生部を内蔵しており、復調されたデータの同期を取る。時分割信号復調部407は、時分割多重されて送られてきたデータの復調を行う。記憶部408は、データを一時保持する。
【0093】
以下、図11の受信装置における受信手順を示す。なお、送信装置からは、赤色、青色、緑色の3色の光が送出されるものとする、光学調整部401によって受光された光は、光波長分割部410の光フィルタでフィルタリングされ、赤色、青色、緑色の周波数の光のみが取り込まれ、赤色の光はパスRへ、青色の光はパスBへ、緑色の光はパスGへ分配される。これらの光は、光電変換部411、412、413において電気信号に変換され、増幅部414、415、416において増幅される。パルス反転部417、418、419、PPM復調部420、421、422は、増幅された信号(反転PPM信号)を反転してPPM信号とし、更に、「0」、「1」のデータ列であるデータシーケンスに復調する。その後、時分割信号復調部407は、データシーケンスをヘッダ毎に分割し、送信対象のデータを生成する。
【0094】
なお、図11の受信装置は、多色のLEDを含む照明装置からの光を受信する場合のみならず、LEDディスプレイ、液晶等からの光を受信する場合にも適用することができる。
【0095】
また、送信装置は、図10に示す多色の照明装置における増幅部220、221、222、光電変換部223、224、225、光フィルタ226、227、228、光学調整部210、照明発光部211、照明制御部212を、図12に示すように、LEDディスプレイ表示用演算部232、LEDディスプレイ制御部233、LEDディスプレイ駆動部235、LEDディスプレイ表示用記憶部234からなるLEDディスプレイ通信送信器折衝ユニット231とLEDディスプレイ236で構成されたLEDディスプレイやLED液晶等であってもよい。
【0096】
図13に本発明の送信装置を適用した情報提供システムの第1の実施例を示す。図13では、送信装置は、単一の光源のみを有するものとする。送信装置としては、LEDディスプレイのようなものが用いられ、送信装置の光学調整部は、凸型レンズにより広範囲に光を放出するものとする。図13では、送信装置から距離によって3種類のデータが送信される。送信されるデータとしては、図14に示すように、遠距離用データは見出しのデータのみ(図14(1))、中距離用データは詳細な説明のデータ(図14(2))、近距離用のデータは図画データ等を含むデータ(図14(3))というように、距離に応じて内容が異ならせることが可能である。なお、遠距離用データのヘッダ部分には、取得したデータの度合いによる画面構成の情報および、音声出力方法を含ませるようにすることができる。
【0097】
図15に情報提供システムにおける受信端末の構成図を示す。可視光受信部501は、図9又は図11に示す受信装置であり、可視光信号の受信、復調を行う。DSP(Digital Signal Processor)502は、可視光受信部501において復調されたデータの処理を行う。D/A(Digital/Analog)変換部504は、DSP502によって出力されるデジタル音声信号等をアナログ音声信号に変換して、スピーカ等の音声出力部513に供給する。A/D(Analog/Digital)変換部503は、マイクロホン等の音声入力部505から入力されるアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換してDSP502に供給する。キー操作部506は、例えばテンキーやオンフックキー、オフフックキー、電源ボタン、機能選択キー(ファンクションキー)等を有し、ユーザによるダイアル入力の他、各種のキー入力の取込処理を行う。画面表示部507は、例えば液晶ディスプレイや液晶タッチパネル等からなり、通信に関する各種表示の他、各種画像やメッセージ等の表示やメニュー画面などの表示を行う。
【0098】
図16に図15の受信端末の動作のフローチャートを示す。受信端末がデータ受信のための初期設定を行った後(S101)、可視光受信部501は、可視光信号の受信、復調を行い、データシーケンスの生成を行う(S102)。CPU508は、可視光受信部501により復調されたデータシーケンスに含まれるデータ識別フラグを特定する(S103)。
【0099】
次に、CPU508は、特定したデータ識別フラグに基づいて、データシーケンスに遠距離用データである送信データ3が含まれているか否かを判定する(S104)。送信データ3が含まれていなかった場合には、受信端末は、データ受信状態に戻る。一方、送信データ3が含まれていた場合には、CPU508は、この送信データ3を解析し、結果をバッファメモリ512に格納する(S105)。
【0100】
次に、CPU508は、特定したデータ識別フラグに基づいて、データシーケンスに中距離用データである送信データ2が含まれているか否かを判定する(S106)。送信データ2が含まれていなかった場合には、CPU508は、画像処理プロセッサ511に画像構築・表示の指示を出す。画像処理プロセッサ511は、この指示に従って、送信データ3に含まれている画面構成データに基づき、送信データ3のみによって図14(1)に示すような画像の構築及び表示を行う。また、CPU508は、DSP502に音声出力の指示を出す。DSP502は、この指示に従って、送信データ3に含まれている音声出力方法データに基づき、音声出力処理を行う(S110)。一方、データシーケンスに送信データ2が含まれていた場合には、CPU508は、この送信データ2を解析し、結果をバッファメモリ512に格納する(S107)。
【0101】
次に、CPU508は、特定したデータ識別フラグに基づいて、データシーケンスに近距離用データである送信データ1が含まれているか否かを判定する(S108)。送信データ1が含まれていなかった場合には、CPU508は、画像処理プロセッサ511に画像構築・表示の指示を出す。画像処理プロセッサ511は、この指示に従って、送信データ3に含まれている画面構成データに基づき、送信データ3と送信データ2とによって図14(2)に示すような画像の構築及び表示を行う。また、CPU508は、DSP502に音声出力の指示を出す。DSP502は、この指示に従って、送信データ3に含まれている音声出力方法データに基づき、音声出力処理を行う(S110)。
【0102】
一方、データシーケンスに送信データ1が含まれていた場合には、CPU508は、この送信データ1を解析し、結果をバッファメモリ512に格納する(S109)。更に、CPU508は、画像処理プロセッサ511に画像構築・表示の指示を出す。画像処理プロセッサ511は、この指示に従って、送信データ3に含まれている画面構成データに基づき、送信データ3、送信データ2及び送信データ1とによって図14(3)に示すような画像の構築及び表示を行う。また、CPU508は、DSP502に音声出力の指示を出す。DSP502は、この指示に従って、送信データ3に含まれている音声出力方法データに基づき、音声出力処理を行う(S110)。
【0103】
図17に本発明の送信装置を適用した情報提供システムの第2の実施例を示す。図17では、LEDディスプレイである2つの送信装置である光源550及び560が存在し、受信端末がこれら2つの送信装置550及び560の前を通過する。この場合における受信端末の受信動作を図18のフローチャートに示す。
【0104】
受信端末は、図17のA地点で光源550が送信している送信データ1−3を既に受信状態である。この場合、受信端末は、送信データ1−2の受信状況を監視し(S201)、図17のB地点において受信できた場合、タイマ510により計時を開始する(S202)。更に、受信端末は、送信データ1−1の受信状況を監視する(S203)。送信データ1−1を受信しておらず(S203で否定判断)、且つ、送信データ1−2も受信できなくなった場合(S204で否定判断)、受信端末は、光源550から離れた、すなわち、受信端末のユーザが光源550の発信している情報に興味がないと判断し、計時を終了し、送信データ1−2を破棄する(S205)。
【0105】
一方、図17のC地点において送信データ1−1を受信することができた場合(S203で肯定判断)、受信端末は、送信データ1−2を受信していた時間αをバッファメモリ512に格納する(S206)。その後、受信装置が図17のD地点を通過し、送信データ1−1を受信できなくなった場合(S207で否定判断)、送信データ1−1を受信していた時間βをバッファメモリ512に格納する(S208)。
【0106】
次に、受信端末は、送信データ1−1を受信していた時間βの1/2と送信データ1−2を受信していた時間αとを比較し(S209)、時間βの1/2が時間α以上であった場合には、受信端末のユーザが光源550の発信している情報に興味があったと判断し、光源550からの各送信データを保持する(S210)。一方、時間βの1/2が時間α未満であった場合には、受信端末は、当該受信端末のユーザが光源550の発信している情報に興味がないと判断し、光源550からの各送信データを破棄する(S211)。
【0107】
更に、受信端末は、次の光源である光源560の受信状態が送信している送信データ2−3の受信状況を監視し(S212)、図17のE地点において受信できた場合、受信端末のユーザが光源550の発信している情報に興味がなくなったと判断し、光源550からの各送信データを破棄する(S214)。一方、送信データ2−3が受信できていない場合には、受信端末は、S213において電源OFFとなるまで、あるいは、光通信のアプリケーションが終了するまで、送信データ2−3の受信状況の監視を継続する。以上の方法により、受信端末は、ユーザに当該ユーザが望まない不要な情報を保持しないことが可能となる。
【0108】
図19にタイムスロット調整の一例を示す。可視光通信における受信装置の性能が向上すると、更に高速なON/OFF変調がなされることが予測される。この場合、送信装置が図1及び図4のような信号を生成する場合、送信データ101、107、110、113等の信号のハイ(High)レベルからロー(Low)レベルへの応答時間を基準としたタイムスロットを設定すると、例えば送信データ103、109、112、115の信号のHighレベルからLowレベルに光強度を落としたとき、信号の残像等の影響により、受信装置において、受信している光の強度が十分に低下せず、信号の誤認識をしてしまう可能性がある。
【0109】
このような問題の対策として、送信装置は、例えば送信データ103、109、112、115のHighレベルからLowレベルへの応答時間を基準とした図19のようなタイムスロットを設定する。更に、送信装置は、図20に示すように、各送信データのHighレベルからLowレベルへの応答時間を基準としたタイムスロットを各送信データに設定するという方法をとってもよい。この場合、図19に示したタイムスロットを一定にとる方法より、高速な情報伝達を行うことができる。しかし、図21に示すように、送信装置が送信データ3を送信した直後に送信データ1の送信を行うと、送信データ1のHighレベルまで光度が低下できず、信号波形が崩れてしまう可能性がある。そこで、送信装置は、送信データ3を送信した直後には、余剰スロットとして、送信データ3の1ビット分の猶予を持たせる、あるいは、図22に示すように、送信するデータの順序を送信データ1、2、3、3、2、1、1、2、・・・というように順序を入れ替えて送信を行う。これにより、単位時間あたりの各送信データに対するタイムスロットの数は同じになり、前記問題点も改善される。以上の方法により、送信装置は、高速なON/OFF制御にも対応可能な信号を生成することができる。
【0110】
以上、本発明によれば、送信装置における光強度を変換させることにより、光源からの距離による情報の差別化が可能となる。更に、各信号の受信時間を計測することにより、受信端末に不要なデータを保存させないことが可能となる。また、高速な通信が行われる場合に、タイムスロットの幅を十分にとる、信号の強度毎にタイムスロット幅を可変させる、信号の送信順序を変えることにより、信号波形が崩れてしまうことを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上、説明したように、本発明に係る光通信装置及び光通信方法は、送信装置及び通信システムは、受信装置との距離に応じた適切な通信が可能であり、光通信装置及び光通信方法として有用である。
【符号の説明】
【0112】
101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,302,304,306 送信データ、201 クロック部、202,408 記憶部、203 送信制御部、204 信号時分割部、205,214,215,216 PPM変調部、206,217,218,219,404,417,418,419 パルス反転部、207,220,221,222,403,414,415,416 増幅部、208,223,224,225,402,411,412,413 光電変換部、209,226,227,228 光フィルタ、210,401 光学調整部、211,229 照明発光部、212 照明制御部、213 信号分離部、231 LEDディスプレイ通信送信器折衝ユニット、232 LEDディスプレイ表示用演算部、233 LEDディスプレイ制御部、234 LEDディスプレイ表示用記憶部、235 LEDディスプレイ駆動部、236 LEDディスプレイ、301,303,305 データ識別フラグ、307 増幅部出力、308 オフセット電圧、405,420,421,422 PPM復調部、406 クロック同期部、407 時分割信号復調部、409 受信制御部、410 光波長分割部、501 可視光受光部、502 DSP部、503 A/D変換部、504 D/A変換部、505 音声入力部、506 キー操作部、507 画面表示部、508 CPU、509 メモリ、510 タイマ、511 画像処理プロセッサ、512 バッファメモリ、513 音声出力部、550,560 光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重方式の光通信を行う光通信装置であって、
所定のコンテンツを複数のデータで構成し、時分割で送信される当該所定のコンテンツを構成する各データに対応する光信号の強度をそれぞれ異なる強度で出力する出力手段を備えることを特徴とする光通信装置。
【請求項2】
時分割多重方式の光通信を行う光通信装置であって、
時分割で送信される各データに対応する光信号の強度がそれぞれ異なる強度で出力される光信号を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された強度がそれぞれ異なる光信号を解析して、その解析結果により前記各データを取得して、当該取得したデータの全てを用いて所定のコンテンツを出力する手段と、
を備えることを特徴とする光通信装置。
【請求項3】
時分割多重方式の光通信を行う光通信方法であって、
所定のコンテンツを複数のデータで構成し、時分割で送信される当該所定のコンテンツを構成する各データに対応する光信号の強度をそれぞれ異なる強度で出力するステップを備えることを特徴とする光通信方法。
【請求項4】
時分割多重方式の光通信を行う光通信方法であって、
時分割で送信される各データに対応する光信号の強度がそれぞれ異なる強度で出力される光信号を受光する受光ステップと、
前記受光された強度がそれぞれ異なる光信号を解析して、その解析結果により前記各データを取得して、当該取得したデータの全てを用いて所定のコンテンツを出力するステップと、
を備えることを特徴とする光通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−60680(P2012−60680A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278493(P2011−278493)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2005−280974(P2005−280974)の分割
【原出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】