説明

光配線盤

【課題】 低コストな構成によって光ケーブルの光回線を自在な配列順序でコネクタ成端することが可能な光配線盤を提供する。
【解決手段】 ケーブル側光ファイバ2と成端用光ファイバ30との接続部22を収納する接続部収納ユニット23と、光コネクタ24が複数配列されてなる光コネクタ配列部25とを有する成端ユニット20を複数備えた光配線盤を用いて、光コネクタ33によりコネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバ30をケーブル側光ファイバ2と接続し、成端用光ファイバ30のうち少なくとも一つの光回線は、ケーブル側光ファイバ2との接続部22を収納した接続部収納ユニット23が属する成端ユニット20とは異なる成端ユニット20に属する光コネクタ配列部25の光コネクタ24と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの光ファイバを切替可能に接続するための光配線盤に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバケーブルを光配線盤内で切替可能にコネクタ接続する場合、一般的には、光ファイバケーブルの先端部を光配線盤内に引き込んで固定し、光ファイバケーブルの先端部に露出された光ファイバ(ケーブル側光ファイバ)を成端用光ファイバ(例えばファンアウトコード)に融着接続し、成端用光ファイバの先端に組み立てられた光コネクタプラグを光配線盤内に配列された光コネクタアダプタと接続する。これにより、ケーブル側光ファイバは、成端用光ファイバを介していずれかの光コネクタアダプタに対応付けられる。
ケーブル側光ファイバに対して他の光ファイバを接続するには、他の光ファイバの先端に設けられた光コネクタプラグを任意の光コネクタアダプタに接続することにより、他の光ファイバとケーブル側光ファイバとを切替可能に接続することができる。
【0003】
このような配線を行う場合、光配線盤の構成としては、以下の2通りのある。
(1)ケーブル側光ファイバとファンアウトコードとの融着接続部を収納する融着ユニットを多数配列して設けるともに、光コネクタアダプタが複数配列されたコネクタユニットを多数配列して設け、光配線盤内で、融着ユニットとコネクタユニットとを分けて収納する(例えば特許文献1参照)。
(2)トレーまたはモジュール等の収納ユニットを複数配列して設け、それぞれの収納ユニットに融着接続部とファンアウトコードと光コネクタアダプタとを収納する(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−4849号公報
【特許文献2】特開2001−128200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他の光ファイバを光配線盤内の光コネクタアダプタとコネクタ接続する際に光回線の線番照合を容易に行うことができるように、光コネクタアダプタにおける光回線の配列順序は、光ケーブルにおける光回線の配列順序(ケーブル側光ファイバの線番の順序)にかかわらず、自由自在に設定したいという要求がある。
上記(1)の構成の光配線盤では、ケーブル側光ファイバに接続されたファンアウトコードを任意の光コネクタアダプタと接続することで、ケーブル側光ファイバを任意の光コネクタアダプタと対応付けることができる。しかしながら、(1)の構成の光配線盤は物品コストが高いという問題がある。
また、上記(2)の構成の光配線盤の場合、それぞれのケーブル側光ファイバを任意の収納ユニットに振り分けて配線することによって、光回線の順序を変更することができるが、ケーブル側光ファイバ(テープ心線等の光ファイバ心線であることが多い。)の配線を振り分けるにはケーブル側光ファイバがケーブルから露出される根元部を保護し、そこからケーブル側光ファイバの振り分けをしなければならないので、小心数の単位で振り分けることが難しい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低コストな構成によって光ケーブルの光回線を自在な配列順序でコネクタ接続することが可能な光配線盤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、光ファイバケーブル側の光ファイバであるケーブル側光ファイバを、光コネクタによりコネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバと接続し、前記ケーブル側光ファイバを光コネクタを介して他の光ファイバと切替可能に接続する光配線盤であって、前記光配線盤は、前記ケーブル側光ファイバと成端用光ファイバとの接続部を収納する接続部収納ユニットと、光コネクタが複数配列されてなる光コネクタ配列部とを有する成端ユニットを複数備えており、前記成端用光ファイバのうち少なくとも一つの光回線は、当該成端用光ファイバのケーブル側光ファイバとの接続部を収納した接続部収納ユニットが属する成端ユニットとは異なる成端ユニットに属する光コネクタ配列部の光コネクタと接続されていることを特徴とする光配線盤を提供する。
この光配線盤においては、前記複数の成端ユニットが収納された函体内に、2つの成端ユニットをまたぐように前記成端用光ファイバを配線するためのユニット間配線領域が設けられている構成を採用することも可能である。
前記成端用光ファイバは、多心光ファイバの一端が個々の単心光ファイバに単心分離されてなるファンアウトコードであり、前記ケーブル側光ファイバは前記ファンアウトコードの多心光ファイバ側である他端と接続された多心光ファイバを用いることも可能である。
前記成端ユニットは、成端用光ファイバを振り分けて配線されるための振り分け配線領域を備えることが好ましい。この振り分け配線領域は、接続部収納ユニットと光コネクタ配列部との間に設けることができる。
前記接続部収納ユニットが前記成端ユニットの外側に引き出された状態と、前記接続部収納ユニットが前記振り分け配線領域を閉鎖するように前記成端ユニット内に格納された状態とを取ることができるように、前記接続部収納ユニットを引き出し可能に支持する引き出し機構を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接続部と光コネクタを成端ユニット内にコンパクトに収納することができるので、上記(1)の構成の光配線盤のように、接続部の収納スペースと光コネクタの収納スペースとをそれぞれ分けた場合に比べて、光配線盤の低コスト化が可能となる。しかも、成端用光ファイバの光コネクタは、当該成端用光ファイバのケーブル側光ファイバとの接続部を収納した接続部収納ユニットが属する成端ユニットに限らず、任意の成端ユニットに属する光コネクタ配列部の光コネクタと接続することができるので、上記(2)の構成の光配線盤について述べた問題が解決され、光ケーブルにおける光回線の配列順序(ケーブル側光ファイバの線番の順序)にかかわらず、光コネクタアダプタにおける光回線の配列順序を、自由自在に設定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の光配線盤の内部構成の一例を示す(a)正面図、(b)右側面図、(c)背面図である。図2は、図1の光配線盤における成端ユニットの(a)平面図、(b)正面図である。図3は、図2の成端ユニットの右側面図である。図4は、接続部収納ユニットおよび支持板を省略して図2に示す成端ユニットを図示した背面図である。図5は、本発明の光配線盤における光ファイバの配線方法を説明する概略図である。
【0009】
図1に示すように、本形態例の光配線盤10は、函体11内に、複数の成端ユニット20を上下に多段に積層した構成となっている。
函体11の下部には、函体11内に引き込まれた光ファイバケーブル1,3の先端部を固定するケーブル固定部12,13が設けられている。
本形態例の説明では、それぞれの光ファイバケーブル1,3を区別するため、第1の光ファイバケーブル1を外線ケーブル、第2の光ファイバケーブル3を局内ケーブルと呼ぶことにする。ここで外線ケーブル1は、光配線盤10が設置された伝送局の外から局内へと引き込まれた外線側光ケーブルであり、局内ケーブル3は、伝送装置等の局内装置と接続された装置側光ケーブルである。外線ケーブル1が固定される外線ケーブル固定部12は、図1(c)に示すように光配線盤10の背面側に設けられており、局内ケーブル3が固定される局内ケーブル固定部13は、図1(a)に示すように光配線盤10の前面側に設けられている。
【0010】
外線ケーブル1の先端部には光ファイバ心線等の光ファイバ2(以下、外線側光ファイバ2という場合がある。)が露出されている。外線側光ファイバ2としては、単心あるいは多心の光ファイバ心線が普通であるが、例えば、コードケーブルの端末に露出された光ファイバコード等も採用可能である。外線側光ファイバ2が単心光ファイバの場合、外線側光ファイバ2の1本づつがケーブル側光回線を構成するが、外線側光ファイバ2が多心光ファイバの場合、多心光ファイバ内の個々の光ファイバがそれぞれケーブル側光回線を構成することになる。
外線側光ファイバ2は、函体11に取り付けられた断面略半円状のRガイド14にガイドされていずれかの成端ユニット20に導入されている。函体11内において、外線ケーブル固定部12から成端ユニット20に導入される外線側光ファイバ2は、函体11の右側面の側(図1(c)の左側)に設けられた外線側光ファイバ配線領域16に配線されるようになっている。この外線側光ファイバ配線領域16は、後述のように、2つの成端ユニット20をまたぐように成端用光ファイバ30が配線される成端ユニット間配線領域16としても用いられる。
【0011】
局内ケーブル3の先端部には光ファイバコード等の光ファイバ4(以下、局内側光ファイバ4という場合がある。)が露出されている。光ファイバ4としては単心または多心の光ファイバを用いることができるが、光ファイバの切替接続を1心単位で行うためには、単心光ファイバが用いられる。局内側光ファイバ4の先端には、光コネクタプラグ5が組み立てられている。
局内側光ファイバ4は、函体11に取り付けられた断面略半円状のRガイド15にガイドされていずれかの成端ユニット20まで配線される。函体11内において、局内ケーブル固定部13から成端ユニット20に導入される局内側光ファイバ4は、函体11の右側面の側(図1(a)の右側)に設けられた局内側光ファイバ配線領域17に配線されるようになっている。
【0012】
図2〜図5に示すように、成端ユニット20は、板状のベース21と、外線側光ファイバ2と成端用光ファイバ30との接続部22を収納する接続部収納ユニット23と、光コネクタアダプタ24が複数配列されてなる光コネクタ配列部25とを備えている。
成端ユニット20は、ボルトなどの固定部材(図示略)によって函体11に取り付け固定することができる。
【0013】
接続部収納ユニット23は、複数のトレイ23aが積層され、最上段のトレイ23aの上側に蓋23bが設けられた構成となっており、それぞれのトレイ23aには、外線側光ファイバ2と成端用光ファイバ30との融着接続部22を保持する融着接続部保持部(図示略)が収納されている。
【0014】
図3に示すように、接続部収納ユニット23は、ベース21の背面側の端縁に設けられたヒンジ26aを介して回動可能に連結された支持板26上に固定されている。接続部収納ユニット23は、図3で実線にて示すように、支持板26がベース21に対してほぼ垂直となるように配置されることにより、ベース21上にコンパクトに収納される。この形態例では、ベース21のコーナー部に折り曲げ状に突出片21aが突設されるとともに、支持板26に留め具26bが設けられており、留め具26bが突出片21aに穿設された留め穴(図示略)に嵌着されることにより、支持板26がベース21に対してほぼ垂直となるように保持される。留め具26bは前記留め穴に対して着脱可能になっており、留め具26bを外すとヒンジ26aを中心にして支持板26を回動させ、図3で二点鎖線にて示すように、支持板26を光配線盤10の背面側(図3の右側)に倒し、成端ユニット20の外側に引き出すことができる。つまり、本形態例では、ヒンジ26aにより、接続部収納ユニット23を回動可能に支持する回動機構が構成されている。なお、引き出し機構としては、本形態例のような回動機構に限定されるものではなく、接続部収納ユニット23をスライド移動させる機構など、種々の機構を採用することが可能である。
このように、接続部収納ユニット23を成端ユニット20の外側に引き出すことができるので、光ファイバ2,30同士の接続作業や、その融着接続部22の収納などの作業の利便性に優れている。接続部収納ユニット23を成端ユニット20内に格納することにより、成端ユニット20の内部に配線された光ファイバに不用意に接触する等の不都合を防止できるようになっている。
【0015】
光コネクタ配列部25は、ベース21の前面寄りに形成された枠状のフレーム25aに対して複数の光コネクタアダプタ24が配列状態に取り付けられたものである。光コネクタアダプタ24は、成端用光ファイバ30の端部に組み立てられた光コネクタプラグ33を光コネクタアダプタ24に背面側から挿し込むことにより、成端用光ファイバ30に融着接続された外線側光ファイバ2を、局内側光ファイバ4に対してコネクタ接続可能に成端する。
光コネクタアダプタ24としては、成端用光ファイバ30の光コネクタプラグ33と局内側光ファイバ4先端の光コネクタプラグ5とをコネクタ接続することが可能なものが採用される。光コネクタの具体例としては、例えば、JIS C 5973に規定されるSC形光コネクタ(Single fiber Coupling optical fiber connector)やJIS C 5983に規定されるMU形光コネクタ(Miniature-Unit couplimg optical fiber connector)等、各種の光コネクタが挙げられる。
【0016】
成端用光ファイバ30は、一端に光コネクタアダプタ24と接続するための光コネクタプラグ33が組み立てられており(このように光ファイバの先端に光コネクタプラグを組み立ててコネクタ接続可能にすることを成端という。)、他端が外線側光ファイバ2と接続されたものである。
本形態例では、成端用光ファイバ30は、多心光ファイバ31の一端側が個々の単心光ファイバ32に単心分離されてなるファンアウトコードである。光コネクタプラグ33は、それぞれの単心光ファイバ32の先端部に組み立てられている。また、多心光ファイバ31側の端部は、図5に示すように外線側光ファイバ2の先端に、多心光ファイバ同士で融着接続されている。
ファンアウトコード30の単心光ファイバ32(光回線)は、光コネクタプラグ33を介して光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24と接続されるが、各単心光ファイバ32は、図5に模式的に図示するように、複数の成端ユニット20にまたがって配線されるのに充分な長さを有している。
【0017】
接続部収納ユニット23と光コネクタ配列部25との間には、ベース21上で成端用光ファイバ30を振り分けて配線するための振り分け配線領域27が確保されている。振り分け配線領域27上には、外線側光ファイバ2や成端用光ファイバ30を保持するためのクランプ27a,27b,27cやワイヤーサドル27e等の光ファイバ保持具が適宜設けられている。外線側光ファイバ2や成端用光ファイバ30を光ファイバ保持具で保持することにより、振り分け配線作業等により生じる振動等が伝達されないため、これら光ファイバ2,30や接続部22の光特性を安定に維持することができる。
【0018】
外線側光ファイバ2は導入口27iから振り分け配線領域27へと導入され、成端用光ファイバ30と接続されると、その接続部は接続部収納ユニット23に収納される。上述したように、接続部収納ユニット23を函体11の背面側に引き出すことにより、外線側光ファイバ2と成端用光ファイバ30との接続作業に必要な作業スペースを容易に確保することができる。
【0019】
成端用光ファイバ30は、接続部収納ユニット23の外側に引き出されると、振り分け配線領域27上で、当該成端ユニット20に属する光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24と接続されるか、他の成端ユニット20に属する光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24と接続されるかによって、振り分けて配線される。
成端用光ファイバ30における多心光ファイバ31から単心光ファイバ32への分岐部34は、ベース21に取り付けられた分岐部ホルダ27dに保持されるようになっている。分岐部ホルダ27dは、例えば面ファスナーなどにより分岐部34をくるんで保持する構造のものを使用することができる。
【0020】
成端用光ファイバ30の光コネクタプラグ33が他の成端ユニット20の光コネクタアダプタ24と接続される場合、当該光コネクタプラグ33を有する単心光ファイバ32は、一旦導入口27iから成端ユニット20外に引き出され、外線側光ファイバ配線領域16に配線され、他の成端ユニット20の振り分け配線領域27の導入口27iを経て他の成端ユニット20の光コネクタアダプタ24と接続される。この場合、前記他の成端ユニット20においては、外線側光ファイバ2ではなく、成端用光ファイバ30が、導入口27iから振り分け配線領域27に導入されることになるが(図2(a)ではこのような成端用光ファイバを符号30Aで区別して示した。)、このような成端用光ファイバ30Aは、振り分け配線領域27上で接続部収納ユニット23を迂回するように配線され、先端の光コネクタプラグ33を光コネクタアダプタ24に接続される。
【0021】
また、ベース21上、光コネクタ配列部25よりも前面側(図2(a)の下側、図3の左側)には、光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24とコネクタ接続される局内側光ファイバ4が配線される局内側光ファイバ配線領域28が設けられている。局内側光ファイバ配線領域28には、局内側光ファイバ4がベース21から前面側に落下しないようにガイドするガイド部材28aが設けられている。
局内側光ファイバ4は、局内側光ファイバ配線領域28の右側に設けられた導入口28iから局内側光ファイバ配線領域28へと導入されると、光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24からいずれかを選択してコネクタ接続することができる。
【0022】
図2に示すように、光コネクタ配列部25により、局内側光ファイバ配線領域28と振り分け配線領域27とが仕切られている。また、光コネクタ配列部25の横に張り出した仕切り壁29により、外線側光ファイバ配線領域16と局内側光ファイバ配線領域17とが仕切られている。このため、局内側光ファイバ配線領域17,28に配線される局内側光ファイバ4と、振り分け配線領域27および外線側光ファイバ配線領域16に配線される外線側光ファイバ2および成端用光ファイバ30とが混在することが防止され、外線側と局内側のそれぞれの光ファイバを整然と区分けして配線することができる。
【0023】
以上説明したように、本形態例の光配線盤においては、図5に示すように、単心光ファイバ32が光コネクタプラグ33により接続される光コネクタアダプタ24としては、ファンアウトコード30の多心光ファイバ31と外線側光ファイバ2との接続部22を収納した接続部収納ユニット23が属する成端ユニット20の光コネクタアダプタ24に限らず、接続部22が収納された成端ユニット20とは異なる成端ユニット20に属する光コネクタ配列部25の光コネクタアダプタ24を選択することもできる。
従って、本形態例の光配線盤10によれば、外線ケーブル1における光回線の配列順序(外線側光ファイバ2の線番の順序)にかかわらず、光コネクタアダプタ24における光回線の配列順序を、自由自在に設定することが可能となる。
2つの成端ユニット20をまたぐように成端用光ファイバ30を配線するための成端ユニット間配線領域16が函体11内に設けられているので、成端ユニット20の外に引き出された成端用光ファイバ30を函体11内に収納して保護することができる。成端ユニット間配線領域16は、前記仕切り板29により局内側光ファイバ配線領域17と仕切られているので、成端ユニット20間に配線された成端用光ファイバ30の存在が局内側光ファイバ4の配線に影響を与えることがなく、局内側光ファイバ4における接続切替を円滑に行うことができる。
【0024】
成端用光ファイバの長さは、複数の成端ユニット間にまたがって配線される場合を考慮して、充分な長さに設定することができる。ケーブル側光ファイバ(実施例における外線側光ファイバ)の先端に成端用光ファイバが接続されるので、光ファイバケーブルの先端部に露出されるケーブル側光ファイバの長さをむやみに長くする必要がなく、光ファイバケーブルの布設や引き込み作業が容易になる。
【0025】
ケーブル側光ファイバとして多心光ファイバを採用することにより、ケーブル側光ファイバが単心光ファイバである場合と比較して、光回線の数を減らすことなく光ケーブル内収納される光ファイバの本数を少なくすることができ、光ケーブルの外径の縮小や取扱い性の向上に有利である。
成端用光ファイバとして、多心光ファイバの一端が個々の単心光ファイバに単心分離されてなるファンアウトコードを用いることにより、ケーブル側光ファイバが多心光ファイバであっても、ケーブル側の光回線を個々に振り分けて光コネクタアダプタと接続することが可能となる。
【0026】
成端用光ファイバを振り分けて配線するための振り分け配線領域を備えることにより、成端用光ファイバの振り分けや余長の収納を容易に行うことができる。
振り分け配線領域が接続部収納ユニットと光コネクタ配列部との間に設けられているので、振り分け配線領域に配線された光ファイバが成端ユニット外に突出することを防止し、光ファイバを傷めてしまう等の不都合を防止することができる。
接続部収納ユニットが成端ユニットの外側に引き出された状態と、接続部収納ユニットが振り分け配線領域を閉鎖するように成端ユニット内に格納された状態とを取ることができるので、振り分け配線領域に配線された光ファイバに悪影響を与えることなく接続部収納ユニットを引き出して融着接続等の作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、光コネクタを介して光ケーブルの光回線を切替可能に接続するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の光配線盤の内部構成の一例を示す(a)正面図、(b)右側面図、(c)背面図である。
【図2】図1の光配線盤における成端ユニットの(a)平面図、(b)正面図である。
【図3】図2に示す成端ユニットの右側面図である。
【図4】接続部収納ユニットおよび支持板を省略して図2に示す成端ユニットを図示した背面図である。
【図5】本発明の光配線盤における光ファイバの配線方法を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0029】
1…光ファイバケーブル、2…ケーブル側光ファイバ、4…他の光ファイバ、10…光配線盤、11…函体、16…成端ユニット間配線領域、20…成端ユニット、22…接続部、23…接続部収納ユニット、24…光コネクタ(光コネクタアダプタ)、25…光コネクタ配列部、27…振り分け配線領域、30…成端用光ファイバ(ファンアウトコード)、31…多心光ファイバ、32…単心光ファイバ、33…光コネクタ(光コネクタプラグ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブル(1)側の光ファイバであるケーブル側光ファイバ(2)を、光コネクタ(33)によりコネクタ接続可能に成端された成端用光ファイバ(30)と接続し、前記ケーブル側光ファイバを光コネクタを介して他の光ファイバ(4)と切替可能に接続する光配線盤であって、
前記光配線盤は、前記ケーブル側光ファイバと成端用光ファイバとの接続部(22)を収納する接続部収納ユニット(23)と、光コネクタ(24)が複数配列されてなる光コネクタ配列部(25)とを有する成端ユニット(20)を複数備えており、
前記成端用光ファイバのうち少なくとも一つの光回線は、当該成端用光ファイバのケーブル側光ファイバとの接続部を収納した接続部収納ユニットが属する成端ユニットとは異なる成端ユニットに属する光コネクタ配列部の光コネクタと接続されていることを特徴とする光配線盤(10)。
【請求項2】
前記複数の成端ユニットが収納された函体(11)内に、2つの成端ユニットをまたぐように前記成端用光ファイバを配線するための成端ユニット間配線領域(16)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光配線盤。
【請求項3】
前記成端用光ファイバは、多心光ファイバ(31)の一端が個々の単心光ファイバ(32)に単心分離されてなるファンアウトコードであり、前記ケーブル側光ファイバは前記ファンアウトコードの多心光ファイバ側である他端と接続された多心光ファイバであることを特徴とする請求項1または2に記載の光配線盤。
【請求項4】
前記成端ユニットは、成端用光ファイバを振り分けて配線されるための振り分け配線領域(27)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光配線盤。
【請求項5】
前記振り分け配線領域は、接続部収納ユニットと光コネクタ配列部との間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光配線盤。
【請求項6】
前記接続部収納ユニットが前記成端ユニットの外側に引き出された状態と、前記接続部収納ユニットが前記振り分け配線領域を閉鎖するように前記成端ユニット内に格納された状態とを取ることができるように、前記接続部収納ユニットを引き出し可能に支持する引き出し機構(26a)を備えることを特徴とする請求項5に記載の光配線盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−113380(P2006−113380A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301632(P2004−301632)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】