説明

光重合開始剤、液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示装置

【課題】光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料を提供する。
【解決手段】液晶滴下工法用のシール剤に用いる光重合開始剤であって、下記一般式(1)の構造を有する光重合開始剤。


式(1)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶表示素子の高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤に関する。また、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示セル等の液晶表示素子は、2枚の電極付き透明基板を、所定の間隔をおいて対向させ、その周囲をシール剤で封着してセルを形成し、その一部に設けられた液晶注入口からセル内に液晶を注入し、その液晶注入口をシール剤又は封口剤を用いて封止することにより作製されていた。
この方法では、まず、2枚の電極付き透明基板のいずれか一方に、スクリーン印刷により熱硬化性シール剤を用いた液晶注入口を設けたシールパターンを形成し、60〜100℃でプリベイクを行いシール剤中の溶剤を乾燥させる。次いで、スペーサーを挟んで2枚の基板を対向させてアライメントを行い貼り合わせ、110〜220℃で10〜90分間熱プレスを行いシール近傍のギャップを調整した後、オーブン中で110〜220℃で10〜120分間加熱しシール剤を本硬化させる。次いで、液晶注入口から液晶を注入し、最後に封口剤を用いて液晶注入口を封止して、液晶表示素子を作製していた。
【0003】
しかし、この作製方法によると、熱歪により位置ズレ、ギャップのバラツキ、シール剤と基板との密着性の低下等が発生する、残留溶剤が熱膨張して気泡が発生しキャップのバラツキやシールパスが発生する、シール硬化時間が長い、プリベイクプロセスが煩雑、溶剤の揮発によりシール剤の使用可能時間が短い、液晶の注入に時間がかかる等の問題があった。とりわけ、近年の大型の液晶表示装置にあっては、液晶の注入に非常に時間がかかることが大きな問題となっていた。
【0004】
これに対して、硬化型の樹脂組成物からなるシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶表示素子の製造方法が検討されている。滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、スクリーン印刷により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、必要に応じて液晶アニール時に加熱して更に硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができる。今後はこの滴下工法が液晶表示装置の製造方法の主流となると期待されている。
【0005】
従来工法に用いられるシール剤としては、例えば、特許文献1に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物を主成分とする接着剤が開示されている。この他にも同様のシール剤が、特許文献2、特許文献3、特許文献4又は特許文献5等に開示されている。また、特許文献6には、(メタ)アクリレートを主成分とする液晶シール剤が開示されている。
【0006】
しかしながら、このような滴下工法による液晶表示素子の製造では、未硬化の状態のシール剤が直接液晶と接するため、シール剤成分が液晶中に溶出して液晶を汚染するという問題があった。
とりわけ、近年、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器の普及に伴った装置の小型化を目的とした液晶表示部の狭額縁化により、基板上に形成されるシール剤パターンがブラックマトリックス(BM)等と液晶セルの厚さ方向に重なる位置となるようになってきているが、このようなBM等と重なる位置に形成されたシール剤は、紫外線等の光を照射した後にも硬化しない部分が残るため、この未硬化の部分から液晶中にシール剤成分が溶出して更に液晶が汚染されるという問題があった。
【0007】
このような問題に対して、例えば、基板の裏面、すなわちアレイ側から光を照射する方法が考えられる。しかし、アレイ基板上にも金属配線、トランジスタ等が存在するため、シール剤に光の当たらない部分ができ、光を照射した後にも硬化しない部分が残る。特に光の当たらない部分が50μm以上になれば、シール剤が硬化しない部分ができやすくなり、この部分が液晶と接触すれば、やはり液晶が汚染され、液晶表示ムラは起こりやすくなるという問題があった。
【0008】
更に、従来のシール剤を用いて滴下工法により液晶表示素子を製造する場合、シール剤を充分に硬化させるためには、波長が350nm未満の高いエネルギーを有する紫外線を照射する必要があった。しかしながら、滴下工法による液晶表示素子の製造では、シール剤を硬化させるために照射する紫外線が液晶にも少なからず照射されるため、波長が短く高エネルギーの紫外線によりシール剤を硬化させると、同時に液晶の劣化も発生し、液晶表示素子の表示品位を著しく低下させ、信頼性を低下させるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−160872号公報
【特許文献2】特開平1−243029号公報
【特許文献3】特開平7−13173号公報
【特許文献4】特開平7−13174号公報
【特許文献5】特開平7−13175号公報
【特許文献6】特開平7−13174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶表示素子の高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液晶滴下工法用のシール剤に用いる光重合開始剤であって、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)の構造を有する光重合開始剤である。
【0012】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【0013】
式(1)〜(4)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。
式(3)、(4)中、Zは、アルキル基、フェニル基、又は、シリル基を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0014】
本発明者は、液晶表示素子用シール剤中に特定の構造の重合開始剤を用いることにより、例えば、液晶表示素子用シール剤を滴下工法による液晶表示素子の製造に用いた際に、ブラックマトリックス(BM)等で紫外線等の光の照射が遮蔽される部分(以下、遮光部分ともいう)が存在する場合であっても、該遮光部分を含むシール剤全体を充分に硬化させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明の光重合開始剤において、Yを含む部位以外が光重合開始剤としての能力を発揮する部位である。このような光重合開始剤を用いることにより、比較的低エネルギーの光を照射することにより確実に液晶滴下公報用シール剤を硬化させることができ、液晶の劣化を防止することができる。
【0016】
本発明の光重合開始剤は、Yを含む部位を有することにより、液晶表示素子用シール剤に用いて未硬化の状態で液晶と接触した場合でも液晶を汚染しない性能を発揮することができる。
【0017】
上記一般式(1)又は(2)の構造を有する本発明の光重合開始剤は、下記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤と、下記一般式(6)で示される化合物とを溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、上記溶液に、Ru(H)(CO)(PPh、Ru(CO)(PPh、Ru(H)(PPh、及び、Ru(CO)(PPhからなる群より選択される少なくとも1種の触媒を添加する工程、及び、上記触媒を添加した溶液の溶媒をリフラックスする工程により製造することができる。
このような光重合開始剤の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
式(6)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。
【0021】
上記一般式(3)又は(4)の構造を有する本発明の光重合開始剤は、上記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤と、下記一般式(7)で示される化合物とを溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、上記溶液に、Ru(H)(CO)(PPh、Ru(CO)(PPh、Ru(H)(PPh、及び、Ru(CO)(PPhからなる群より選択される少なくとも1種の触媒を添加する工程、及び、上記触媒を添加した溶液の溶媒をリフラックスする工程により製造することができる。
このような光重合開始剤の製造方法もまた、本発明の1つである。
【0022】
【化7】

【0023】
式(7)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。Zはアルキル基、フェニル基、又は、シリル基を表し、これらには他の官能基がついていても良い。
【0024】
Yとして、分子量が40〜1000である基を選択した場合には、光重合開始剤全体としての分子量が高くなることにより、光重合開始剤が液晶に溶出しにくくなる。
このようなYとしては、例えば、分子量が40〜1000であるアルキル基、分子量が40〜1000であるアルコキシシリル基、分子量が40〜1000であるアルキルシリル基、又は、分子量が40〜1000であるフェニルシリル基等が挙げられる。
上記一般式(6)又は(7)で示される化合物のうち、Yが、分子量が40〜1000である基である化合物としては、例えば、ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ビニルシラン、ビニルベンゼン、ノルボルネン、1−フェニル−1−ペンチン、1−フェニル−1−ブチン、1−トリメチルシリル−1−ヘキシン等が挙げられる。
【0025】
Yとして、エポキシ基を含有する基、又は、オキセタニル基を含有する基を選択した場合には、開始剤として使用後の残渣が熱硬化剤と反応して硬化物に取り込まれることにより、液晶への溶出が抑えられる。
上記一般式(6)又は(7)で示される化合物のうち、Yが、エポキシ基を含有する基、又は、オキセタニル基である化合物としては、例えば、ビニルグリシジルエーテル、エチルオキセタンメタノールビニルエーテル、トリシクロデセンオキサイドビニルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1−フェニルー1−ペンチン、1−トリメチルシリルー1−ヘキシン等が挙げられる。
等が挙げられる。ただし、アリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−9−デセン等のアリル水素を有する化合物は、反応が進行しないため、本発明の光重合開始剤の製造方法には適さない。
【0026】
Yとして、水素結合性官能基を選択した場合には、光重合開始剤と液晶との相溶性が低くなり、液晶へ溶出しにくくなる。
上記水素結合性官能基とは、水素結合性を有する官能基又は残基等を有するものを意味し、例えば、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH基、−NHOH基等の官能基を有するもの、又は、分子内に−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有する基を意味する。
上記一般式(6)又は(7)で示される化合物のうち、Yが水素結合性官能基である化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−(トリメチルシリル)−プロパルギルアルコール等が挙げられる。
【0027】
本発明の光重合開始剤の製造方法は、上記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤と、上記一般式(6)又は(7)で示される化合物とを溶媒に溶解させた溶液を調製する工程を有する。上記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤としては、エネルギー線を照射することにより光重合性ラジカルを発生して光重合開始機能を発揮するものであれば特に限定されない。なかでも比較的低エネルギーのエネルギー線の照射で重合反応を開始できることから、200nm〜500nmに吸収波長が存在するものが好適であり、300nm〜500nmに吸収波長が存在するものがより好適である。
【0028】
このような光重合開始剤としては、具体的には例えば、イルガキュアー651、イルガキュアー184、ダロキュアー1173、イルガキュアー184、イルガキュアー2959、イルガキュアー127、ダロキュアーMBF、ダロキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE−02(いずれもチバ・ジャパン社製)、カヤキュアーBMS、カヤキュアー2−EAQ(、カヤキュアーDMBI、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬社製)、ESACURE KIP150(日本シーベルヘグナー社製)等の市販の光重合開始剤を利用することができる。
【0029】
上記溶剤としては上記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤と一般式(6)又は(7)で示される化合物とを溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、ベンゼンが挙げられる。なかでも、トルエンが好適である。
【0030】
本発明の光重合開始剤の製造方法では、次いで、上記溶液に、Ru(H)(CO)(PPh、Ru(CO)(PPh、Ru(H)(PPh、及び、Ru(CO)(PPhからなる群より選択される少なくとも1種の触媒を添加する。
これらの触媒を用いることにより、上記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤のベンゼン環に直接一般式(6)又は(7)で示される化合物を反応させて結合させることができる。
【0031】
本発明の光重合開始剤の製造方法では、触媒を添加した溶液の溶媒をリフラックスする。
【0032】
本発明の光重合開始剤と光硬化性樹脂とを含有する液晶滴下工法用シール剤もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、本発明の光重合開始剤を含有することにより、液晶滴下工法による液晶表示素子の製造に用いた場合に、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、かつ、液晶を汚染することが少ない。
【0033】
上記光硬化性樹脂としては特に限定されないが、不飽和二重結合を有する樹脂が好適であり、特に反応性の面から(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂が好適である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
【0034】
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、及び、反応性の官能基を変性して(メタ)アクリロイル基を分子中に保有するもの等が挙げられる。なかでも、紫外線の照射により発生した活性ラジカルで速やかに重合又は架橋が進行する点から(メタ)アクリル酸エステルが好適である。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
【0035】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
上記(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物としては特に限定されず、単官能のものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
【0037】
また、2官能のものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
また、3官能以上のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
【0039】
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるものが挙げられる。
【0040】
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては特に限定されず、市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂や、RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂や、EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂や、エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂や、YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂や、YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂や、EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂や、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂や、エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂や、NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂や、YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂や、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物や、エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂や、その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0041】
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、レゾルシノール型エポキシ樹脂(EX−201、ナガセケムテックス社製)360重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸210重量部を空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させることによって得ることができる。
【0042】
また、上記エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、エベクリル3700、エベクリル3600、エベクリル3701、エベクリル3703、エベクリル3200、エベクリル3201、エベクリル3600、エベクリル3702、エベクリル3412、エベクリル860、エベクリルRDX63182、エベクリル6040、エベクリル3800(いずれもダイセルユーシービー社製)、EA−1020、EA−1010、EA−5520、EA−5323、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0043】
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0044】
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
また、上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
【0046】
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品やエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
【0047】
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合禁止剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート51重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
【0048】
上記ウレタン(メタ)アクリレートで市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、エベクリル230、エベクリル270、エベクリル4858、エベクリル8402、エベクリル8804、エベクリル8803、エベクリル8807、エベクリル9260、エベクリル1290、エベクリル5129、エベクリル4842、エベクリル210、エベクリル4827、エベクリル6700、エベクリル220、エベクリル2220(いずれもダイセルユーシービー社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。
【0049】
上記イオン重合性樹脂としては特に限定されないが、エポキシ基やオキセタン基を有する樹脂が好適である。
【0050】
上記エポキシ基を有するイオン重合性樹脂としては特に限定されず、市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂や、RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂や、EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂や、エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂や、YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂や、YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂や、EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂や、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂や、エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂や、NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂や、YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂や、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物や、エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂や、その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0051】
上記オキセタン基を有するイオン重合性樹脂としては特に限定されず、市販品としては例えば、エタナコールEHO、エタナコールOXBP、エタナコールOXTP、エタナコールOXMA(以上、いずれも宇部興産社製)等が挙げられる。
【0052】
本発明の液晶表示素子用シール剤において、上記光硬化性樹脂は、1分子中における硬化性の官能基数の好ましい下限は2個、好ましい上限は5個である。2個未満であると、硬化後に充分な架橋構造が形成されず、若干の未効果成分が液晶中に溶出することがあり、5個を超えると、硬化後の収縮が大きくなり、液晶表示素子基板への充分な密着性が得られないことがある。
【0053】
また、本発明の液晶滴下工法用シール剤において、上記光硬化性樹脂としては、例えば、1分子中に光硬化性官能基と熱硬化性官能基とを有する化合物であってもよい。このような化合物としては、例えば、エポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。
【0054】
上記1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物としては、例えば、2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる化合物や、2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、グリシドールを反応させることにより得られる化合物等が挙げられる。
【0055】
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる化合物としては、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。
【0056】
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる化合物の原料となるエポキシ化合物としては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂や、RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂や、EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂や、エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂や、YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂や、YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂や、EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂や、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂や、エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂や、NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂や、YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂や、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物や、エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂や、その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0057】
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる化合物としては、具体的には、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂N−770(大日本インキ社製)190gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加え、均一な溶液とし、この溶液にアクリル酸35gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を6時間行い、次に、トルエンを除去することによって50mol%のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応したノボラック型固形変性エポキシ樹脂を得ることができる(この場合50%部分アクリル化されている)。
【0058】
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる化合物のうち、市販品としては、例えば、エベクリル1561(ダイセルユーシービー社製)が挙げられる。
【0059】
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる化合物は、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールそれぞれ1当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0060】
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる化合物の原料となる2官能以上のイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0061】
また、上記イソシアネートとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
【0062】
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる化合物の原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品や、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
【0063】
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる化合物としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合開始剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.5重量部及びグリシドール111重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
【0064】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、上述した光硬化性樹脂以外に、更に熱硬化性樹脂を含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂としては、具体的には例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。
【0065】
上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、エピクロロヒドリン誘導体、環式脂肪族エポキシ樹脂、イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物等が挙げられる。
【0066】
上記エピクロロヒドリン誘導体としては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂や、RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂や、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂や、EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂や、エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂や、YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂や、YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂や、EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂や、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂や、エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂や、エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂や、NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂や、エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂や、YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂や、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物や、エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂や、その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0067】
また、上記環式脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2080、セロキサイド3000、エポリードGT300、EHPE(いずれもダイセル化学社製)等が挙げられる。
【0068】
また、上記イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物としては、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物に対して2当量のグリシドールを触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0069】
上記イソシアネートとしては例えばイソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0070】
また、上記イソシアネートとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
【0071】
上記イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物の具体的な合成法としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、グリシドール222重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
【0072】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、本発明の光重合開始剤以外に更に他の光重合開始剤を含有してもよい。
このような光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、紫外線等の光が照射されることでラジカル又はイオンを生成する重合開始剤が挙げられる。
【0073】
上記光が照射されることでラジカルを生成するラジカル重合開始剤としては、市販されているものとしては例えば、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア369、イルガキュア379(以上、いずれもチバ・スペシャリティーケミカルズ社製)、ベンソインメチルエー
テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。なかでも吸収波長域が広い点で、イルガキュア907、イルガキュア651、BIPE及びルシリンTPOが好適である。
【0074】
上記光が照射されることでイオンを生成するイオン重合開始剤としては特に限定されず、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。
【0075】
本発明の液晶滴下工法用シール剤における光重合開始剤の配合量としては特に限定されないが、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。0.1重量部未満であると、本発明のシール剤を充分に硬化させることができないことがあり、10重量部を超えると、本発明のシール剤に光を照射したときに、シール剤の表面が先に硬化してしまい、内部を充分に硬化させることができず、また、貯蔵安定性が低下することがある。
【0076】
上記光硬化性樹脂が1分子中に光硬化性官能基と熱硬化性官能基とを有する化合物である場合や、上記熱硬化性樹脂を含有する場合、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、熱硬化剤を含有していてもよい。上記熱硬化剤を含有することで、上記熱硬化剤は、本発明のシール剤の硬化物の接着性、耐湿性を向上させることができる。
【0077】
上記熱硬化剤としては特に限定されないが、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。上記熱硬化剤として固形の有機酸ヒドラジドを用いることで、紫外線等の光を照射することによる本発明のシール剤の硬化性が向上する。この理由は明確ではないが、以下の通りであると考えられる。
すなわち、本発明のシール剤中に含有さる固形の有機酸ヒドラジドが、照射された紫外線等の光、及び、上記発光剤から生じた光を本発明のシール剤中で散乱させることで、例えば、BM等で照射された紫外線が遮蔽された部分にも紫外線が照射され、その結果、本発明の液晶滴下工法用シール剤の硬化性が向上するものと考えられる。
【0078】
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては特に限定されず、例えば、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、その他アミキュアVDH、アミキュアUDH(いずれも、味の素ファインテクノ社製)、2MZA−PW(四国化成社製)、ADH(大塚化学社製)等が挙げられる。
【0079】
本発明の液晶滴下工法用シール剤には、上記固形の有機酸ヒドラジド以外の熱硬化剤が含有されていてもよく、例えば、熱硬化剤として、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が含有されていてもよい。
【0080】
本発明の液晶滴下工法用シール剤が上記熱硬化剤を含有する場合、その含有量としては特に限定されないが、上記光硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。1重量部未満であると、熱硬化剤を含有させる効果がほとんど得られず、50重量部を超えると、本発明の液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなり、ハンドリング性を損ねる場合がある。より好ましい上限は、30重量部である。
【0081】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と液晶表示素子基板とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、ガラス基板等との接着性向上効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への流出を防止するとができることから、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等や、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物からなるもの等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0082】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の目的にフィラーを含有してもよい。上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラーが挙げられる。
【0083】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサー、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他添加剤等を含有してもよい。
【0084】
本発明の液晶滴下工法用シール剤を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記光硬化性樹脂、光重合開始剤、及び、必要に応じて配合される添加剤等を、従来公知の方法により混合する方法等が挙げられる。このとき、イオン性の不純物を除去するために層状珪酸塩鉱物等のイオン吸着性固体と接触させてもよい。
【0085】
本発明の液晶滴下工法用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、紫外線等の光が直接照射されない部分が存在しても、電極間を充分に導電接続ことができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤と、導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0086】
上記導電性微粒子としては特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0087】
本発明の液晶滴下工法用シール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いて液晶表示素子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明のシール剤及び/又は本発明の上下導通材料をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して硬化させる。本発明のシール剤等が熱硬化性を有する場合には、更に100〜200℃のオーブン中で1時間加熱硬化させて硬化を完了させ、液晶表示素子を作製する。
本発明の液晶滴下工法用シール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【0088】
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、上記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)の構造を有する光重合開始剤を用いることにより、液晶汚染性の少ない良好なシール剤を得ることが可能となる。
即ち、光重合開始剤に比較的大きい分子量を有したり、不飽和二重結合、反応性のエポキシ基やアミノ基を有したり、又は、水素結合性官能基を有したりすることにより、液晶に溶出することがなくなる。また、開始剤の開始波長に長波長で開始するものを選択することにより、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶表示素子の高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、これらを用いてなる液晶表示素子を提供することができる。
【発明の効果】
【0089】
本発明によれば、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶表示素子の高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0091】
<光重合開始剤の調製>
(光重合開始剤Aの調製)
トルエン1Lに、イルガキュア651を0.5mol、トリエトキシビニルシランを0.5mol及びRu(H)(CO)(PPhを0.01mol溶解し、135℃1時間還流した後、トルエンと未反応物とを除去することにより光重合開始剤Aを得た。
【0092】
(光重合開始剤Bの調整)
トルエン1Lに、イルガキュア184を0.5mol、トリエトキシビニルシランを0.5mol及びRu(H)(CO)(PPhを0.01mol溶解し、135℃1時間還流した後、トルエンと未反応物とを除去することにより光重合開始剤Bを得た。
【0093】
(光重合開始剤Cの調整)
トルエン1Lに、イルガキュア651を0.5mol、1−フェニル−1−ペンチン(TCI社製)1mol及びRu(H)(CO)(PPhを0.01mol溶解し、135℃ 6時間還流した後、トルエンと未反応物とを除去することにより光重合開始剤Cを得た。
【0094】
(光重合開始剤Dの調整)
トルエン1Lに、イルガキュア651を0.5mol、トリシクロデセンオキサイドビニルエーテル(丸善化学薬品製、「ETCVE」)1mol及びRu(H)(CO)(PPhを0.01mol溶解し、135℃ 6時間還流した後、トルエンと未反応物とを除去することにより光重合開始剤Dを得た。
【0095】
<硬化性樹脂の合成>
(エポキシアクリレート(1)の合成)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ社製、「850CRP」)173gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加え、均一な溶液とした。この溶液にアクリル酸70gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を8時間行った。
次に、トルエンを除去することによって、全てのエポキシ基をアクリロイル基に変成したエポキシアクリレート(1)(850CRP完全変性品)を得た。
【0096】
(エポキシ基の一部分をアクリル酸と反応させたビスフェノールE型エポキシエポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(2)の合成))
ビスフェノールE型エポキシ樹脂(三井化学社製、「R−710」)173gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加え、均一な溶液とした。この溶液にアクリル酸52.5gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を6時間行った。次に、トルエンを除去することによって75mol%のエポキシ基がアクリル酸と反応したビスフェノールE型エポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(2))を得た。なお、変性率は、樹脂を塩酸−ジオキサン溶液に溶解させた後、エポキシ基によって消費された塩酸量をKOHを用いて滴定する方法によって測定した。
【0097】
(エポキシ基の一部分をアクリル酸と反応させたビスフェノールF型エポキシエポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(3)の合成))
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ社製、「830CRP」)173gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加え、均一な溶液とした。この溶液にアクリル酸52.5gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を6時間行った。次に、トルエンを除去することによって、75mol%のエポキシ基がアクリル酸と反応したビスフェノールF型エポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(3))を得た。なお、変性率は、樹脂を塩酸−ジオキサン溶液に溶解させた後、エポキシ基によって消費された塩酸量をKOHを用いて滴定する方法によって測定した。
【0098】
(エポキシ基の一部分をアクリル酸と反応させたビスフェノールE型エポキシエポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(4)の合成))
ビスフェノールE型エポキシ樹脂(三井化学社製、「R−710」)173gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加え、均一な溶液とした。この溶液にアクリル酸35gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を6時間行った。
次に、トルエンを除去することによって50mol%のエポキシ基がアクリル酸と反応したビスフェノールE型エポキシアクリレート樹脂(部分変性樹脂(4))を得た。
なお、変性率は、樹脂を塩酸−ジオキサン溶液に溶解させた後、エポキシ基によって消費された塩酸量をKOHを用いて滴定する方法によって測定した。
【0099】
(実施例1)
合成した部分変性樹脂(2)100重量部、光重合開始剤A3.2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0100】
(実施例2)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(3)50重量部、光重合開始剤A3.2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0101】
(実施例3)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(4)50重量部、光重合開始剤A3.2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0102】
(実施例4)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(4)50重量部、光重合開始剤B3.6重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0103】
(実施例5)
合成した部分変性樹脂(2)100重量部、光重合開始剤C 5重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0104】
(実施例6)
合成した部分変性樹脂(2)100重量部、光重合開始剤D 5.5重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0105】
(比較例1)
合成した部分変性樹脂(2)100重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー651を2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0106】
(比較例2)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(3)50重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー651を2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0107】
(比較例3)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(4)50重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー651を2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0108】
(比較例4)
合成したエポキシアクリレート(1)50重量部、合成した部分変性樹脂(4)50重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー184を2重量部、熱硬化剤(味の素ファインテクノ社製、「アミキュアVDH」)16重量部、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、「SO−C1」)30重量部、及び、シランカップリング剤(信越化学社製、「KBM403」)2重量部を配合し、遊星式攪拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて攪拌した後、セラミック3本ロールにて均一に混合させて液晶滴下工法用シール剤を得た。
【0109】
<評価>
実施例及び比較例で作製した液晶滴下工法用シール剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0110】
(液晶表示パネルの作製)
配向膜及び透明電極付き基板の一方に、実施例及び比較例で得られた液晶表示素子用シール剤を長方形の枠を描く様にディスペンサーで塗布した。次に、液晶(メルク社製、「ZN−5001LA」)を滴下し、もう一方の基板を貼り合わせ、高圧水銀ランプを100mW/cmで5秒間照射し硬化させ、更に120℃で1時間熱硬化させて、液晶表示パネルを作製した。なお、本硬化条件は光照射量が一般条件に比べて少なく(通常の6分の1)色むらが発生し易い。
【0111】
(液晶表示パネル評価(色むら評価))
得られた液晶表示パネル(サンプル数5個)について、液晶表示パネル作製直後におけるシール剤付近の液晶配向乱れを目視によって確認した。配向乱れは表示部の色ムラより判断しており、色ムラの程度に応じて以下のように評価を行った。
○:色むらが全くないか、あってもごく微かである
×:色むらがある
【0112】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明によれば、光が直接照射されない箇所があっても充分に硬化させることができ、特に滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶表示素子の高表示品位及び高信頼性を実現することができる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶滴下工法用のシール剤に用いる光重合開始剤であって、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)の構造を有することを特徴とする光重合開始剤。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

式(1)〜(4)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。
式(3)、(4)中、Zは、アルキル基、フェニル基、又は、シリル基を表す。
【請求項2】
下記一般式(5)の構造を有する光重合開始剤と、下記一般式(6)又は(7)で示される化合物とを溶媒に溶解させた溶液を調製する工程、
前記溶液に、Ru(H)(CO)(PPh、Ru(CO)(PPh、Ru(H)(PPh、及び、Ru(CO)(PPhからなる群より選択される少なくとも1種の触媒を添加する工程、及び、
前記触媒を添加した溶液の溶媒をリフラックスする工程により製造されたものである
ことを特徴とする請求項1記載の光重合開始剤。
【化5】

【化6】

式(6)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表す。
【化7】

式(7)中、Yは、分子量が40〜1000である基、エポキシ基を含有する基、オキセタニル基を含有する基、又は、水素結合性官能基を表し、Zはアルキル基、フェニル基、又は、シリル基を表す。
【請求項3】
200nm〜500nmに吸収波長が存在することを特徴とする請求項1又は2記載の光重合開始剤。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の光重合開始剤と光硬化性樹脂とを含有することを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。
【請求項5】
請求項4記載の液晶滴下工法用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
【請求項6】
請求項4記載の液晶滴下工法用シール剤及び/又は請求項5記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2009−227969(P2009−227969A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27799(P2009−27799)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】