説明

光電スイッチ

【課題】所与の範囲の人為的な数値で受光量を表示する機能を幅広く適用する。
【解決手段】第1運用モードは、サンプリングした受光量にプリセット表示値「100」を設定する(S2)。光電スイッチが既に所持している受光量「0」に対してプリセット表示値「0」を割り当てて(S3)、プリセット表示換算率を求める(S4)。第2運用モードでは、サンプリングした実際の受光量にプリセット表示値「0」「100」を設定して(S8,S9)、プリセット表示換算率を求める(S4)。第3運用モードでは、サンプリングした受光量の最大値(MAX)に所定値(△)を加算した値にプリセット表示値「100」を設定し、最大値(MAX)にサンプリング表示値「0」を設定して(S10,S11)、プリセット表示換算率を求める(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体の有無を非接触で検出する光電スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光電スイッチは、典型的には工場の生産ラインに設置され、移動する物体の有無を検出するのに用いられている。この種の光電スイッチは反射型と透過型に大別される。反射型光電スイッチは、投光部から物体に向けて光を投射し、物体からの反射光を受光部で検知することで物体の存在を検出する(特許文献1)。透過型光電スイッチは、投光部から投射した光が物体によって遮断されたことを受光部で検知することで、物体の存在を検出する(特許文献2)。
【0003】
光電スイッチは典型的には7セグメントディスプレイで構成された表示部を備え、この表示部を使って種々の情報が表示される。運用中の主要な表示項目に受光量、しきい値、スケーリング値があり、光電スイッチに設けられた操作ボタンを操作することで表示項目を切り替えることができる(特許文献3)。
【0004】
特許文献4はスケーリング機能を開示している。スケーリング機能は、複数の光電スイッチの検出能力にかかわる部分を変更することなく表示を整合させる機能であり、具体的には、目標受光量を人為的な任意の値、例えば「5000」で統一する機能をいう。これによれば、個体差のある複数の光電スイッチの光学特性を調整する作業無しに光電スイッチの表示値を整合させることができ、運用上及び管理上の利便性を提供することができる。
【0005】
非特許文献1はプリセット機能を開示している。このプリセット機能は上記のスケーリング機能を発展させた機能であり、より簡便な操作性を提供すると共に感覚的に且つ直感的に認識させる表示態様を提供するものである。例えば、透過型でワーク無しの状態で設定ボタンを1回クリックすることで、ワーク無しの状態の受光量の表示値が「100」になるようにスケーリング機能が設定される。運用中は、「0(ゼロ)」と「100」で規定される範囲で受光量の表示が実行される。なお、表示用の受光量が100を超える場合には100がディスプレイ上に表示されるように構成されている。
【0006】
このプリセット機能によれば、運用中、光電スイッチの表示が「100」に満たない「90」という数値までしか表示されないときには、管理者は、当該光電スイッチの動作状態や環境の状態変化が発生したことを、この「100」に満たない数値を見るだけで感覚的に且つ直感的に認識することができる。
【0007】
プリセット機能の従来の設定手順を説明すれば次の通りである。先ず、受光量をサンプリングする。次に、サンプリングした実際の受光量の平均値又は最小値に「100」ないし「100+Δ」の目標プリセット値を設定する。次に、受光量「0(ゼロ)」に対して目標プリセット値「0(ゼロ)」を割り付ける。そして、これらの数値に基づいてスケーリング換算率(プリセット表示換算率)及びプリセット表示換算式を作成して、この換算式に基づいてプリセット表示モードの運用が実行される。なお、光電センサは、しきい値に対して「50」のしきい値用のプリセット表示値が割り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】JP特開2006−236848号公報
【特許文献2】JP特開2006−236849号公報
【特許文献3】JP特開2006−351380号公報
【特許文献4】JP特開2006−236845号公報
【非特許文献1】カタログ「キーエンス2011 総合」(2010年4月発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のプリセット機能によれば、典型的には透過型の光電スイッチに対して効果的に適用することができる。しかしながら、反射型の光電スイッチに関して、必ずしも好適でない場合があることが判明した。
【0010】
例えば、光沢のあるワークや鏡面仕上げしたワークでは、背景(ワーク無しの状態)の受光量よりも「ワーク有り」の状態での受光量が大きくなる。これに対して暗色のワークでは、背景(「ワーク無し」の状態)の受光量よりも「ワーク有り」の状態での受光量が小さくなる。このことから、ワーク無しの状態をプリセット表示値「100」に設定し、ワーク有りの状態をプリセット表示値「0(ゼロ)」に設定したときには、鏡面仕上げしたワークでは、プリセット表示値が「100」から変化しなくなってしまう。逆に、ワーク無しの状態をプリセット表示値「0(ゼロ)」に設定し、ワーク有りの状態をプリセット表示値「100」に設定したときには、暗色のワークでは、プリセット表示値が「100」から変化しなくなってしまう。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ワークと背景の状態や透過型、反射型などの検出形態を問わず、感覚的に且つ直感的な表示態様を幅広く適用することのできる光電スイッチを提供することにある。
本発明の更なる目的は、どのような検出環境においても感覚的に且つ直感的な表示態様を幅広く適用することのできる光電スイッチを提供することにある。
本発明の更なる目的は、簡便な操作で安定検出でき且つ感覚的に且つ直感的な表示態様を幅広く適用することのできる光電スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
表示部を備え、該光電スイッチの受光量を所定の換算関係に基づいて、人為的な数値の上限値と下限値との範囲で規定される表示値に換算して、該受光量の表示値を前記表示部に表示する光電スイッチであって、
該光電スイッチの受光量を前記表示値に換算する受光量表示換算関係を作成するのに必要なパラメータのうち前記上限値又は前記下限値の一方の値に対応する受光量として前記光電スイッチが実測した受光量を設定し、前記上限値又は前記下限値の他方の値に対応する受光量として前記光電スイッチが既に保有している受光量を割り付けて第1の受光量表示換算関係を求め、該第1の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第1の運用モード設定手段と、
前記光電スイッチの受光量を前記表示値に換算する受光量表示換算関係を作成するのに必要なパラメータのうち前記上限値及び前記下限値として前記光電スイッチが実測した受光量の最大値及び最小値を夫々設定して第2の受光量表示換算関係を求め、該第2の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第2の運用モード設定手段とを有することを特徴とする光電スイッチを提供することにより達成される。
【0013】
前述した問題点が発生したときには、上記の第2の運用モードを使って、前記上限値及び前記下限値として実測した受光量を設定して、上限値及び下限値の双方を実測した受光量に基づいて第2の受光量表示換算関係を求め、この第2の受光量表示換算関係に基づいて算出した表示値を前記表示部に表示することで上述の問題を解消することができ、これにより透過型、反射型のいずれの光電スイッチに対しても人為的な表示値を使った受光量の表示の利便性や複数の光電スイッチの表示を整合させることができる。
【0014】
ここに、受光量表示換算関係は、後に説明するプリセット表示換算式、プリセット換算率、スケーリング表示換算式、スケーリング変換率を含み、また、これに加えて受光量と、その人為的な数値表示の換算関係を予め記憶した、いわゆる換算テーブルを意味する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、前記上限値又は前記下限値の他方の値に対応する受光量として割り付けた前記光電スイッチが既に保有している受光量を実測した受光量で置換して前記第1の受光量表示換算関係を更新する第1の換算関係更新手段を更に有する。これによれば、第1の換算関係更新手段により作成した第1の受光量表示換算関係による運用は、実質的に、上記の第2の運用モードでの運用と同一となる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、前記光電スイッチの受光量のバラツキ幅の最大値に所定の値を加算した値に前記上限値を設定し、前記バラツキ幅の最大値に前記下限値を設定して第3の受光量表示換算関係を求め、該第3の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第3の運用モード設定手段を更に有する。そして、好ましくは、第3の運用モード設定手段では、前記光電スイッチのしきい値として、背景は検出しないが該背景を表す受光量に近い値が設定されるのがよい。これによれば、特に反射型光電スイッチにおいて、「ワーク無し」の背景に対して何かが通過したときに、これを高感度で光電スイッチを反応させることができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、
前記表示部が、第1のディスプレイと、これに隣接した第2のディスプレイとで構成され、
前記光電スイッチのしきい値を前記上限値と下限値の範囲の表示値に換算するしきい値換算手段を更に有し、
前記受光量の表示値を前記表示部に表示しながら被検出体の有無を検出する運用モード中、前記しきい値の表示値が前記第1のディスプレイに表示され、前記光電スイッチの受光量の表示値が前記第2のディスプレイに表示される。しきい値についても前記上限値と下限値の範囲の表示値で表示することで、しきい値の統一した管理が可能になる。
【0018】
本発明は、最も典型的には、分離型の光電スイッチ及びファイバ型の光電スイッチに適用される。分離型及びファイバ型はコントローラを備え、このコントローラに表示部を備えていることから、複数のコントローラを隣接して配列したときに、全てのコントローラの表示を極めて簡便に整合させた運用が可能になる。なお、一体型光電スイッチにおいても、表示部を有するものについては、本発明は容易に運用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】光電スイッチの全体的な構成のブロック図である。
【図2】光電スイッチの調整機能を実現する構成のブロック図である。
【図3】分離型の光電スイッチの複数のコントローラを横並びに配列した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す複数の分離型光電スイッチの互いに並んで配置したコントローラの平面図である。
【図5】プリセット表示の設定手順を説明するためのフローチャートであり、プリセットボタンの操作を変えるだけで3つのモードを使い分けることができる。
【図6】プリセット表示の設定を更新又は再設定するための操作と手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】プリセットの設定を完了した後に設定値を変更するときのボタン操作とこれにより変更された設定項目を説明するための図であり、(A)は第1運用モードの設定に関し、(B)は第2運用モードの設定に関し、(C)は第3運用モードの設定に関する。
【図8】プリセットの設定を完了した後に設定の方法を含めて変更するときのボタン操作とこれにより変更された設定項目を説明するための図であり、(A)は第1運用モードの設定に関し、(B)は第2運用モードの設定に関し、(C)は第3運用モードの変更に関する。
【図9】プリセットの設定を完了した後にしきい値を変更するときのボタン操作とこれにより変更された設定項目を説明するための図であり、(A)は第1運用モードの設定に関し、(B)は第2運用モードの設定に関し、(C)は第3運用モードの設定に関する。
【図10】プリセットの設定を完了した後にしきい値を変更すると共に設定の方法を変更するときのボタン操作とこれにより変更された設定項目を説明するための図であり、(A)は第1運用モードの設定に関し、(B)は第2運用モードの設定に関し、(C)は第3運用モードの設定に関する。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0021】
図1〜図4は実施例の透過型光電スイッチに関する図である。図示の透過型光電スイッチ1は、投光ヘッド100と受光ヘッド200とコントローラ300とを有し、投光ヘッド100及び受光ヘッド200はヘッドケーブル400を介してコントローラ300に接続されている。すなわち、透過型光電スイッチ1は、投光ヘッド100と受光ヘッド200とコントローラ300とが物理的に分離しており、これらをケーブル400によって接続した分離型の光電スイッチである。
【0022】
図1は、光電スイッチ1のブロック図である。投光ヘッド100は投光部102を備えている。他方、受光ヘッド200は受光部202を備えている。コントローラ300は投光部102を駆動するために所定のパルスを投光ヘッド100に出力する。投光部102の発光素子104は、コントローラ300の投光電源制御回路302から発される発振パルスによって駆動されて、パルス光を外部の検出対象に向って発する。受光部202が受光した光は受光素子204で光電変換され、受光素子増幅回路206、コントローラ300の増幅回路304、A/D変換器306を経て制御部308に送られる。これによって、パルス光に同期した検波が施され、検波信号は更に直流信号等に変換された後、I/O回路360から、検出結果を表わすON/OFF信号として出力される。
【0023】
投光ヘッド100
投光ヘッド100は、投光部102として投光用の発光素子104及びこの発光素子104を駆動するための投光回路106を備える。発光素子104としてLEDやLDなどを採用することができる。投光回路106は、投光APC回路108と、モニタPD等のモニタ用受光素子110を備える。投光APC回路108は発光素子104の出力、つまり発光量が所定値となるよう制御する。
【0024】
投光ヘッド100は、発光量などを表示するための表示灯112を備える。表示灯112及び投光APC回路108は、投光電源ラインを介してコントローラ300の投光電源制御回路302、ヘッド表示灯電源制御回路310から各々駆動電力の供給を受ける。投光ヘッド100のモニタ用受光素子110はモニタ信号増幅回路114に接続されており、ヘッドケーブル400に含まれるモニタラインを介してコントローラ300のLD発光量モニタ回路312に受光量を送出する。LD発光量モニタ回路312は、A/D変換器314を介してデジタル信号に変換した受光量信号を制御部308に供給する。制御部308は、モニタ用受光素子110が検出した発光量に基づいて、発光量が所定値となるように投光電源制御回路302を制御し、投光ヘッド100の投光APC回路108の電流量を調整して発光素子104を駆動するフィードバック制御を行う。
【0025】
受光ヘッド200
受光素子204を駆動するための受光回路208を備える。受光回路208は受光素子増幅回路206、受光部電源回路210等を備える。受光素子204は受光素子増幅回路206に接続されており、受光素子204で受光した受光量は受光素子増幅回路206で増幅されて、ヘッドケーブル400に含まれる信号ラインを介してコントローラ300の増幅回路304に送出される。コントローラ増幅回路304で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器306を介してデジタル信号に変換され、制御部308に入力される。これにより受光素子204の受光量をコントローラ300で検出して検出の判定を行い、最終的にI/O回路360から判定結果を出力する。
【0026】
受光部電源回路210は、受光ヘッド200の駆動電力を供給するための回路であり、ヘッドケーブル400の電源ラインを介してコントローラ300のヘッド電源回路316に接続される。ヘッド電源回路316はコントローラ300の制御部308によって制御される。
【0027】
コントローラ300
コントローラ300には透過型センサヘッド、反射型センサヘッドを問わず複数種のセンサヘッドが接続可能であり、各センサヘッドを識別する識別機能を備えている。具体的には、コントローラ300は、投光ヘッド100を識別するための投光ヘッド識別回路318及び受光ヘッド200を識別するための受光ヘッド識別回路320を備えている。これらヘッド識別回路318、320は投光ヘッド100、受光ヘッド200の識別信号を検出し、A/D変換器322、324を介して制御部308に送出することで、制御部308によって各センサヘッドが識別される。
【0028】
制御部308には、投光電源制御回路302、ヘッド表示灯電源制御回路310、LD発光量モニタ回路312、コントローラ増幅回路304、ヘッド識別回路320、ヘッド電源回路316などが接続されている。さらに制御部308には、各種設定値などを記憶するための記憶部326、コントローラ300側の情報を表示するための表示回路328、設定値調整を受け付けるためのユーザインタフェースである操作部362(図2)を接続したスイッチ入力回路330、外部との入出力を行うI/O回路360などが接続されており、これら回路はコントローラ電源回路332によって駆動される。
【0029】
次に、光電スイッチ1の調整機能を実現する構成を図2に示すブロック図に基づいて説明する。コントローラ300は、各種制御を行うための制御部308と、設定値などを記憶するための記憶部326と、しきい値や検出値、目標値などを表示するための表示部334と、各種操作や設定を行うための操作部362と、表示部334における表示モードを切り替えるための表示切替部358と、検出結果を出力するための出力部360と、受光部202で受光した受光量のアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器306とを備える。また制御部308は、表示用変換率調整部336と、しきい値調整部338と、判定部340と、検出値を保持する検出値保持部342と、しきい値を保持するしきい値保持部344とを含む。さらに制御部308は記憶部326と接続されており、記憶部326は、しきい値記憶部346と、表示用基準目標値記憶部348と、表示用基準検出値記憶部350と、表示用変換率記憶部352が含まれる。制御部308はCPU等のマイクロプロセッサで構成されている。コントローラ300の操作部362は、表示用基準目標値設定部354と、基準検出値取得部356とを含む。
【0030】
光電スイッチ1は、投光部102で検出対象に向けて発した検出光を受光部202で受光し、その受光量を検出値として判定部340がしきい値と比較し、その判定結果を出力部360より出力する。具体的には、判定部340は、入力された検出値のデジタル値をしきい値と比較して、その結果を検出対象物の有無を示す二値信号として出力部360から外部機器へ出力する。
【0031】
図3はコントローラ300を斜め上方から見た斜視図であり、図3には、DINレール2に4つのコントローラ300を互いに隣り合わせに設置した例が図示されており、そのうちの1台のコントローラ300が上蓋4を開いた状態で図示されている。
【0032】
図4は光電スイッチ1の平面図である。図3及び図4を参照して、表示部334は、横並びに配置した2つの4桁7セグメントディスプレイD1、D2で構成され、この2つの4桁7セグメントディスプレイD1、D2を使って検出値(受光量)やしきい値等が表示される。表示部334を液晶ディスプレイで構成してもよい。
【0033】
ディスプレイD1、D2に隣接して、スイング式のアップダウンボタン6、モードボタン8、セットボタン10、プリセットボタン12等が配設されている。
【0034】
図2に戻って、コントローラ300は表示切替部358を有し、この表示切替部358は上記のモードボタン(Mボタン)8やプリセットボタン12で構成される。モードボタン8やプリセットボタン12を操作することにより、検出値(受光量)及びしきい値をそのまま表示する無変換表示モードと、表示用変換率又は表示用変換式で変換した表示用検出値(表示用受光量)及び表示用しきい値を表示する変換表示モードとを切り替えることができる。
【0035】
セットボタン10とアップダウンボタン6とを操作してしきい値を調整することができる。アップダウンボタン6は、また、しきい値その他の数値の変更、選択肢の決定などに使用される。コントローラ300の表示対象、表示態様、表示示切替え操作、表示モード切替えに関してJP特開2006−351380号明細書に詳しく記載されていることから、このJP特開2006−351380号明細書を援用することにより、その説明を省略する。このJP特開2006−351380号明細書にはプリセットボタン12についての記載は存在しない。プリセットボタン12に割り付けた機能については後に説明する。
【0036】
以上、透過型光電スイッチ1について説明したが、反射型の光電スイッチの構造も実質的に同じであり、本発明は透過型、反射型の光電スイッチに適用可能である。また、本発明は、投光用の発光素子104及びこの発光素子104を駆動するための投光回路106等、並びに、受光素子204を駆動するための受光回路208等をコントローラ300に内蔵し、投光ヘッド100及び受光ヘッド200とコントローラ300とを光ファイバで接続するファイバ型の光電スイッチにも適用可能である。
【0037】
スケーリング機能
複数のコントローラ300を横並びにして使用する場合、各光電スイッチ1(コントローラ300)の表示部334の表示が整合しているのが望ましい。この要望に答えるのがスケーリング機能である。具体的に説明すると、2台の光電スイッチAとBとが同じ条件で設置されたと仮定する。光電スイッチA、Bは、その個体の光学特性の違いから、100%入光状態において、光電スイッチAの検出値(受光量)が「4850」であり、他方の光電スイッチBが「5150」であったとする。なお、この「4850」、「5150」はゼロ調整した後の値である。しきい値は、一般的に、その半分の値つまり一方のセンサAでは「2425」が自動設定され、他方のセンサBでは「2575」が自動設定される。
【0038】
スケーリング機能は、ユーザの選択によって、コントローラ300の表示部334に表示する検出値(受光量)を人為的に変更して、光電スイッチAとBの検出値(受光量)としきい値に関する表示値を整合させる。すなわち、ユーザがスケーリング機能を選択したときには、光電スイッチA、Bの表示部334の表示に関して、「スケーリング表示モード」に切り替わる。
【0039】
スケーリング表示モードでは、100%入光状態での検出値の表示値(目標値つまり初期値)が光電スイッチA及びB共に「5000」となるように調整される。また、しきい値が検出値の半分の値に自動設定されるときには、光電スイッチA及びB共に「2500」が、しきい値のスケーリング表示値として設定される。
【0040】
具体的には、スケーリング機能(スケーリング表示モード)をユーザが選択したときには、検出値(受光量)にスケーリング表示変換率を乗算した値(受光量のスケーリング表示値)が表示部334に表示される。上記の例で説明すれば、一方の光電スイッチAの受光量のスケーリング表示変換率は「5000/4850」であり、他方の光電スイッチBの受光量のスケーリング表示変換率は「5000/5150」である。受光量のスケーリング表示値は、光電スイッチAでは、受光量×(5000/4850)の式に基づいて演算され、その目標値は「5000」になる。他方、光電スイッチBでは、受光量×(5000/5150)のスケーリング表示換算式に基づいて演算され、その目標値は「5000」になる。受光量のスケーリング表示変換率の値は、ユーザがスケーリング機能を再設定する操作を行うまで保持される。
【0041】
同様に、しきい値にスケーリング表示変換率を乗算した値(しきい値のスケーリング表示値)が表示部334に表示される。上記の例で説明すれば、一方の光電スイッチAのしきい値のスケーリング表示変換率は「5000/4850」であり、他方の光電スイッチBのしきい値のスケーリング表示変換率は「5000/5120」である。したがって、しきい値のスケーリング表示の値は、光電スイッチAでは、2425×(5000/4850)の式に基づいて演算され、その値は「2500」になる。また、光電スイッチBでは、2575×(5000/5150)の式に基づいて演算され、その値は「2500」になる。このしきい値のスケーリング値は、ユーザが再設定する操作を行うまで保持される。
【0042】
ユーザは、スケーリング表示モードを使うことで、複数の光電スイッチの受光量及びしきい値の表示値を互いに整合させることができる。
【0043】
プリセット機能
受光量を人為的に規定した表示値に換算してこの換算した表示値を使って表示する上記のスケーリング機能の発展形として、表示範囲についても例えばA/D変換器306の階調数(bit数)とは独立して人為的に規定され、より簡便な操作性を提供すると共に感覚的に且つ直感的に認識させる表示態様を提供するものである。例えば、透過型でワーク無しの状態で設定ボタンを1回クリックすることで、ワーク無しの状態の受光量の表示値が「100」になるようにスケーリング機能つまりプリセット機能が設定され、このスケーリング機能に応じた表示用の受光量が4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されることになる。このとき、「0(ゼロ)」と「100」で規定される範囲内で受光量の表示が行われ、表示用の受光量が「100」を超える場合には100が4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるように構成されている。
【0044】
このプリセット機能を実行するプリセット表示モードの運用では、上述したように光電スイッチ1の受光量が「0〜100」の範囲で表示される。また、好ましくは、しきい値についても、人為的に規定した表示値に換算してこの換算した表示値を使って表示するのがよい。このとき、プリセット機能に応じた表示用のしきい値が4桁7セグメントディスプレイD1、D2の他方に表示されることになる。これによれば、しきい値についても管理者が一元的に管理することができる。
【0045】
プリセット表示機能は、透過型だけでなく反射型の光電スイッチにも適用される。したがって、以下の説明において、透過型、反射型を総称するときには「光電スイッチ」という文言を使用する。
【0046】
第1運用モード(図5のS2、S3)
第1運用モードでは、受光量をサンプリングして、この実際の受光量に対してプリセット表示値「100」を設定する。しきい値は、光電スイッチでは、一般的に、受光量の半分の値が自動設定されることから、このしきい値(設定値)に対してプリセット表示値「50」が割り付けられる。また、受光量「0(ゼロ)」に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」が割り付けられる。そして、これらの値に基づいてプリセット表示換算率及び換算式が作成され、この換算式や換算率に基づいてプリセット表示モードが運用される。この場合のプリセット表示換算率及び換算式の作成は、前述したスケーリング機能の場合と同じ考え方に従って行われる。変形例として、受光量に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」を設定し、受光量「0(ゼロ)」に対してプリセット表示値「100」を割り付けるようにしてもよい。この第1運用モードの設定処理は、プリセットボタン12を比較的短い時間押し下げる「短押し」を行うことによって実行される。
【0047】
図5〜図10はプリセット機能の内部処理を説明するための図である。図5はユーザが第一段階で行う設定処理を示す。図5を参照して、光電スイッチ1は、プリセットボタン12を押し下げられている間、受光量のサンプリング処理を行う(S1)。そして、プリセットボタン12が解放されると、プリセットボタン12を押し下げている期間が所定時間以内であればプリセットボタン12が「短押し」されたと判定し、ステップS2に進んで、サンプリングした受光量の平均値を求め、この平均値(Ave)に対してプリセット表示値として「100」が設定される。
【0048】
なお、「100」が設定される値を、サンプリングした受光量の平均値で例示しているが、例えば平均値から所定値を減算ないし除算したものや最小値等のサンプリングした受光量を代表する値であってもよい。
【0049】
ステップS3において、光電スイッチ1は、光電スイッチ1が予め記憶している受光量「0(ゼロ)」に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」を割り付け、そして、このプリセット表示値「100」と「0」に基づいた受光量のプリセット表示換算式を作成する(S4)。この受光量のプリセット表示換算式(プリセット表示変換率)は上述したスケーリング演算と実質的に同じ考えに基づいて作成される。次のステップS5において、光電スイッチ1は、設定値(しきい値)にプリセット表示値「50」が割り付ける。このように、プリセットボタン12を比較的短い時間押し下げる(短押し)ことでプリセット表示値に関する設定処理が完了する。
【0050】
透過型光電スイッチ1で説明すれば、「ワーク有り」は全遮光であり受光量は「0(ゼロ)」である。したがって、「ワーク有り」の状態ではプリセット表示値「0」が表示部334(図4)に表示される。逆に「ワーク無し」の状態では受光量のプリセット表示値が表示され、このプリセット表示の目標値は「100」である。
【0051】
したがって、プリセット表示モードでの光電スイッチの運用では受光量に関して「0」〜「100」の範囲の数値で表示され、「0」を下回る数値あるいは「100」を超える数値は表示されず、そのような場合はそれぞれ「0」、「100」が表示されることになる。変形例として「ワーク有り」の状態でプリセット表示値「100」を表示部334に表示し、「ワーク無し」の状態でプリセット表示値「0」を表示するように前述のプリセット表示値の設定値を反転させてもよい。
【0052】
プリセット設定の当初は、横並びのコントローラ300(図4)の数値が「0」、「100」で統一されることから、前述したスケーリング表示と同じメリットをユーザに提供することができる。光電スイッチの経時的な能力低下(例えば光量の低下や汚れ)等が発生したときには、プリセット表示が「100」よりも低い値(例えばプリセット表示の最大値が「95」)に止まることから、この「95」という数値を見ることで光電スイッチの動作状態や状態変化を直感的に把握することができる。
【0053】
図7〜図10の各々の(A)は、典型的にはステップS1〜S5(図5)の処理によって設定されたプリセット表示値やプリセット表示変換率を簡単な操作で再設定できることを説明するための図である。
【0054】
図7の(A)を参照して、図5のステップS1〜S5でパラメータを設定した後又はプリセット表示モードを運用している最中に、プリセットボタン12を「短押し」すると、目標値「100」というプリセット表示値の内部処理値の設定を変更することができる。この内部処理値以外のパラメータはホールドされる。この内部処理値の変更は例えばアップダウンボタン6を操作することで行うことができる。図7の(A)の中段は、現在の受光量の平均値(Ave)が内部処理で「110」となるように設定された状態を示している。このように内部処理の値として「100」を越えた値を設定することで、運用中の受光量のバラツキに応答してプリセット表示値が変化しないようにすることができる。換言すると、内部処理で「100」を越えた値となったときには表示部334の表示はプリセット表示値「100」で飽和することから、表示部334には「100」が表示される。
【0055】
プリセット表示モードの運用中、何回でも、単にプリセットボタン12を操作することで、プリセット表示値「100」に関する内部処理値の設定変更やプリセット表示換算式に使う受光量を置換して換算率を更新することができる(図7の(A)の下段)。具体的には、図6のフローチャートを参照して、光電スイッチ1は、プリセットボタン12を押し下げることで現在の受光量のサンプリングを行い(S20)、そしてこのサンプリングした受光量(プリセット表示値「100」に対応する受光量)の平均値をプリセット表示値「100」とする更新を実行する(S21)。そして、光電スイッチ1は、プリセット表示値「0(ゼロ)」についてはホールドされている値をそのまま使ってステップS4、S5と同様にプリセット表示変換率などを求め、この新たに作成したプリセット表示換算式に設定し直す。
【0056】
この新たに作成したプリセット表示換算式に基づく運用で都合が悪い場合には、図6のフローチャートに戻って、光電スイッチ1は、プリセットボタン12を押し下げることで現在の受光量のサンプリングを行う(S20)。そして、光電スイッチ1は、プリセットボタン12と他のボタンが一緒に短押しされたと判断すると、このサンプリングした実際の受光量(プリセット表示値「0」に対応する受光量)の平均値をプリセット表示値「0(ゼロ)」とする設定を実行し(S23)、そして、ステップS22で、既に作成されているプリセット表示換算式の中のプリセット表示値「0」に関する受光量を上記の実際の受光量で置換したプリセット表示換算式を作成し(S22)、この新しく設定した換算式に基づいてプリセット表示モードの運用を行う(図8(A)の下段)。ステップS22におけるプリセット表示換算式は、以下のようにして作成する。
【0057】
ここで、既にプリセット表示値「100」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の平均値(前回値)をVpre(以下、「100」対応値)とし、今回プリセット表示値「0(ゼロ)」と対応づけられたサンプリングした実際の受光量の平均値をVcur(以下、「0」対応値)とし、プリセット表示モードの運用中に得られる実際の受光量をX、4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるプリセット表示値をPとする。「100」対応値Vpreと「0」対応値Vcurと比較し、Vpre>Vcurであれば、実際の受光量の増加に従いプリセット表示値が増加するプリセット表示換算式が選択される。他方、Vpre<Vcurであれば、実際の受光量の増加に従いプリセット表示値が減少するプリセット表示換算式が選択されることになる。
【0058】
前者の場合プリセット表示換算式は次の通りである。
P=100×(X−Vcur)/(Vpre−Vcur):Vcur≦X≦Vpre、
P=0:X<Vcur
P=100:X>Vpre
【0059】
後者の場合プリセット表示換算式は次の通りである。
P=100×(Vcur−X)/(Vcur−Vpre):Vpre≦X≦Vcur、
P=0:X>Vcur
P=100:X<Vpre
【0060】
なお、「100」対応値Vpreと「0」対応値Vcurとが実質的に同一となってしまった場合は、ワークの有無を安定して判別するためのしきい値の設定が不可能となるため、このような場合はプリセット表示変換式の更新を実行しない。
【0061】
図5のステップS1〜S5でパラメータを設定した後、図7の(A)を参照して上述した目標値「100」という受光量のプリセット表示値の内部処理値の設定変更の他に、しきい値のプリセット表示値を変更することができる(図9(A))。図9(A)を参照して、新しくプリセット表示換算式を設定し、該プリセット表示換算式に基づいたプリセット表示モードの運用中に、プリセット表示値「50」の値を例えばアップダウンボタン6を操作することで変更することができる。これは、しきい値のプリセット表示値「50」に対して変更を加えるようにしてもよいし、しきい値そのものに対して変更を加えるようにしてもよい。例えば、しきい値のプリセット値「50」に変更を加えたときには、これに対応してしきい値も設定変更される。このしきい値の変更の際には、他のパラメータ及びプリセット表示換算式は従前の状態まま保持される。図9(A)の第3段目はしきい値のプリセット値が「75」に変更された状態を示す。
【0062】
上述したように、一旦プリセットボタン12を押し下げて受光量のサンプリングを行いプリセット表示変換率又はプリセット表示換算式を設定した後、次に、単にプリセットボタン12を操作することで、最新の受光量に基づいてプリセット表示変換率又はプリセット表示換算式を設定し直すことができる(図5のステップS2〜S5)。なお、一旦プリセットボタン12を押し下げて受光量のサンプリングを行いプリセット表示変換率又はプリセット表示換算式を設定した後、プリセットボタン12を「短押し」して最新の受光量に基づいてプリセット表示変換率又はプリセット表示換算式を設定し直したが、一旦プリセットボタン12を押し下げて受光量のサンプリングを行いプリセット表示変換率又はプリセット表示換算式を設定した後、プリセットボタン12を「長押し」すると、検出値(受光量)及びしきい値をそのまま表示する無変換表示モードに移行する。
【0063】
また、図9の(A)の下段は、プリセットボタン12を短押ししたときの設定変更を説明するための図である。しきい値の変更(「50」→「75」)に加えてプリセット表示換算式を更新したければ、図6のフローチャートに戻って、プリセットボタン12を押し下げることで現在の受光量のサンプリングが行われ(S20)、そして、プリセットボタン12を短押しすると、このサンプリングした実際の受光量(プリセット表示値「100」に対応する受光量)の平均値をプリセット表示値「100」とする設定が実行され(S21)、そして、ステップS22でプリセット表示値の換算式が作成され、この新しく設定した換算式が設定される(図9(A)の最下段)。この新しい換算式の算出では、しきい値「75」及びサンプリングした現在の受光量の他のパラメータはホールドされた従前の値が採用される。なお、新しい換算式の算出に変更後のしきい値を採用する例を説明したが、本件発明はしきい値については値の変更にかかわらず、例えば「50」というような所定の値を採用するようにしてもよい。
【0064】
また、図10(A)の最下段は、プリセットボタン12と他のボタンを一緒に短押ししたときの設定変更を説明するための図である。しきい値の変更(「50」→「75」)に加えて、最新の情報に基づいてプリセット表示値「0(ゼロ)」の更新が行われる。すなわち、図6のフローチャートに戻って、プリセットボタン12と他のボタンを一緒に短押しすることで、このサンプリングした受光量(プリセット表示値「0(ゼロ)」に対応する受光量)の平均値をプリセット表示値「0(ゼロ)」とする設定が実行され(S23)、そして、ステップS22でプリセット表示値の換算式(しきい値「75」)が作成され、この新しく設定した換算式が設定される(図9(A))。この新しい換算式の算出では、サンプリングした現在の受光量(プリセット表示値「0(ゼロ)に相当する受光量)の他のパラメータはホールドされた従前の値が採用される。
【0065】
図5のステップS2、S3による上述したプリセット表示を第1運用モードと呼べば、この第1運用モードは、サンプリングした受光量に基づいて、この実測した受光量に目標値「100」のプリセット表示値を設定して、それ以外のパラメータは既に光電スイッチが保有しているデータに基づいてプリセット換算式を作ることを基本にしている。したがって、この第1運用モードは、ステップS1で行う受光量のサンプリングを、「ワーク無し」の状態で行う場合に都合が良い。そして、運用中も新たにサンプリングした受光量に基づいてプリセット換算式を更新することができる(図6のS21、S22)。更に、必要に応じて、「ワーク無し」のプリセット表示値「0(ゼロ)」に対応する受光量を実測して、この実測した受光量に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」を設定した上でプリセット換算式を更新することができる(図6のS23、S22)。
【0066】
第2運用モード(図5のS8、S9)
第2運用モードでは、典型的にはワークを搬送している状態で受光量をサンプリングして、受光量の実測値である最大値(MAX)及び最小値(MIN)に対してプリセット表示値「100」及び「0」を設定する。光電スイッチでは、この最大値と最小値の中間の値にしきい値が自動設定されることから、この自動設定されているしきい値に対してプリセット表示値「50」が割り付けられる。そして、これらの値に基づいてプリセット表示換算率及び換算式が作成され、この換算式や換算率に基づいてプリセット表示モードが運用される。プリセット表示換算率及び換算式の作成は、前述したスケーリング機能の場合と同じ考え方に従って行われる。変形例として、最大値(MAX)に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」を設定し、最小値(MIN)に対してプリセット表示値「100」を設定するようにしてもよい。この第2運用モードの設定処理は、第1運用モードの設定処理とは異なる操作により、例えばプリセットボタン12を比較的長い時間押し下げる「長押し」を行うことによって実行される。つまり、光電スイッチ1は、プリセットボタン12の操作を監視し、操作の違いに応じて運用モードを選択するように構成されることが好ましい。
【0067】
具体的に図5を参照してプリセット表示の第2運用モードを説明する(S23)。この第2運用モードは、ワークが走行している状態で受光量をサンプリングする場合に都合が良い。光電スイッチ1は、プリセットボタン12を押し下げられている間、受光量のサンプリング処理を行う(S1)。そして、プリセットボタン12が解放されると、プリセットボタン12を押し下げている期間が所定時間を超えていればプリセットボタン12が「長押し」されたと判定し、ステップS6に進んで、サンプリングした受光量の最大値(MAX)と最小値(MIX)の比較を行う。そして、光電スイッチ1は、この最大値と最小値との差が所定値よりも大きいときには、ワークを走行させた状態で受光量をサンプリングしたと判断してステップS8に進む。
【0068】
なお、サンプリングした受光量の最大値(MAX)と最小値(MIX)の比較を行う例を示しているが、必ずしも比較を行う必要はない。この比較は、後述する第3運用モードとプリセットボタン12の操作を「長押し」する点で共通していることから、第2運用モードと第3運用モードとを自動的に見分けるために実施しているものであるから、例えば、第2運用モードと第3運用モードとのプリセットボタン12の操作手順を変えるなどして運用モードを見分ける必要がない場合は、この比較を飛ばしてステップS8に進むようにしても良い。
【0069】
ステップS8では、最大値(MAX)に対してプリセット表示値「100」が設定される。そして、次のステップS9で、最小値(MIX)に対してプリセット表示値「0(ゼロ)」が設定される。つまり、実測値に基づいてプリセット表示値「100」と「0(ゼロ)」の設定が行われる。そして、前述したステップS4で、この設定した2つのパラメータに基づいてプリセット換算式が作成され、また、最大値と最小値の中間の値がしきい値のプリセット表示値として設定される(S5)。
【0070】
上記ステップS5におけるプリセット換算式は、以下のようにして作成される。ここで、プリセット表示値「100」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最大値(MAX)をVmax(以下、「100」対応値)とし、プリセット表示値「0(ゼロ)」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最小値(MIN)をVmin(以下、「0」対応値)とし、プリセット表示モードの運用中に得られる実際の受光量をX、4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるプリセット表示値をPとする。
【0071】
プリセット換算式は次の通りである。
P=100×(X−Vmin)/(Vmax−Vmin):Vmin≦X≦Vmax、
P=0:X<Vmin
P=100:X>Vmax
【0072】
すなわち、この第2運用モードでは、サンプリングにより実測した受光量の最大値及び最小値にプリセット表示値「100」「0(ゼロ)」が設定され、そして、これに基づいたプリセット換算率及び換算式が設定される。
【0073】
なお、サンプリングにより実測した受光量の最大値及び最小値をプリセット表示値「100」「0(ゼロ)」に設定したが、これは「ワーク有り」と「ワーク無し」を表す代表値として最大値及び最小値を選択した例である。サンプリングにより実測した受光量に基づいて得られる代表値であって「ワークの有り」と「ワーク無し」とを表す代表値であればこれに限られない。最大値あるいは最小値から所定量オフセットないし所定割合となるものを「ワーク有り」と「ワーク無し」とを表す代表値とみなしてもよい。
【0074】
図7の(B)を参照して、プリセットボタン12を長押しすると前述したように第2運用モードのプリセット換算式が設定される(図7(B)の中段)。この第2運用モードで運用中に、プリセットボタン12を短押しすることで、目標値「100」というプリセット表示値の内部処理値の設定を変更することができる。これは、図7の(A)を参照して説明したのと同様である。つまり、この内部処理値以外のパラメータはホールドされた状態で、目標値「100」というプリセット表示値の内部処理値の設定だけを変更することができる。内部処理値「110」に変更した後の設定値の状態を図7(B)の下段に示す。
【0075】
プリセットボタン12を長押しすることで、上述した第2運用モードのプリセット換算式つまり現在の実測値に基づく最大値と最小値に基づくプリセット換算式を設定することができる。この場合にも、最大値と最小値以外のパラメータをホールドした状態でプリセット換算式の作成が行われ、該プリセット換算式に基づいたプリセット表示モードの運用が実行される(図8の(B)の中段)。
【0076】
一旦プリセット換算式の作成が行われた後、更に、プリセットボタン12を操作することで、プリセット表示値「100」の再設定、プリセット表示値「0(ゼロ)」の再設定あるいは検出値(受光量)及びしきい値をそのまま表示する無変換表示モードに移行することができる。
【0077】
光電スイッチ1は、一旦プリセット換算式の作成が行われた後、プリセットボタン12と他のボタンが一緒に短押しされたと判断すると、図6のステップS23に進んで、プリセット表示値「0(ゼロ)」に相当する受光量の平均値をプリセット表示値「0(ゼロ)」に再設定して、この値に基づいてプリセット換算式の更新を行う。この場合にも、更新した最小値以外のパラメータをホールドした状態でプリセット換算式の作成が行われる(図8の(B)の下段)。
【0078】
上記のようにしてプリセットボタン12を長押しして受光量のサンプリングを行うと、前述した図5のステップS7〜ステップS9並びにステップS4、S5によって最新の実測受光量に基づいてプリセット換算式を設定することができる(図9(B)の第2段目)。また、このときに、アップダウンボタン6を操作することで、しきい値のプリセット表示値を変更することができる(図9(B)の第3段目の「75」の数字)。このしきい値のプリセット表示値の変更に伴ってしきい値の値が変更されるのは前述した通りである。
【0079】
また、プリセットボタン12と他のボタンを一緒に短押しすることで、このサンプリングした受光量(プリセット表示値「0(ゼロ)」に対応する受光量)の平均値をプリセット表示値「0(ゼロ)」とする設定が実行され(図6のS23)、そして、次のステップS22でプリセット表示値の換算式が作成され、この新しく設定した換算式が設定される(図10(B)の最下段)。この新しい換算式の算出では、しきい値「75」及び他のパラメータはホールドされた従前の値が採用される。
【0080】
なお、この第2運用モードにおいても、前述した第1運用モードと同様に、一旦プリセット換算式の作成が行われた後、プリセットボタン12を短押しすることで、プリセット表示値「100」に対応する受光量に関して、最新の受光量に基づいてプリセット表示値「100」を更新して(図6のS21)、この更新したパラメータに基づいてプリセット換算式を再設定できるようにしてもよい(図6のS22)。この場合にあっても、他のパラメータに関しては前回の値を使用するのがよい。
【0081】
上記のステップS22におけるプリセット表示換算式は、以下のようにして作成される。ここで、既にプリセット表示値「0(ゼロ)」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の平均値(前回値)をVpre(以下、「0」対応値)とし、今回プリセット表示値「100」と対応づけられたサンプリングした実際の受光量の平均値をVcur(以下、「100」対応値)とし、プリセット表示モードの運用中に得られる実際の受光量をX、4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるプリセット表示値をPとする。
【0082】
「0」対応値Vpreと「100」対応値Vcurと比較し、Vpre<Vcurであれば、実際の受光量の増加に従いプリセット表示値が増加するプリセット表示換算式が選択され、Vpre>Vcurであれば、実際の受光量の増加に従いプリセット表示値が減少するプリセット表示換算式が選択されることになる。前者の場合プリセット表示換算式は次の通りである。
【0083】
P=100×(X−Vpre)/(Vcur−Vpre):Vpre≦X≦Vcur、
P=0:X<Vpre
P=100:X>Vcur
【0084】
後者の場合のプリセット表示換算式は次の通りである。
P=100×(Vpre−X)/(Vpre−Vcur):Vcur≦X≦Vpre、
P=0:X>Vpre
P=100:X<Vcur
【0085】
なお、「0」対応値Vpreと「100」対応値Vcurとが実質的に同一となってしまった場合は、ワークの有無を安定して判別するためのしきい値の設定が不可能となるため、このような場合はプリセット表示変換式の更新を実行しない。
【0086】
第3運用モード(図5のS10、S11)
第3運用モードは、典型的に反射型の光電スイッチに適用されるが、透過型の光電スイッチにも適用可能である。「ワーク無し」の背景の受光量のバラツキを考慮に入れたプリセット表示値が設定される。そして、この背景の受光量のバラツキを逸脱した受光量を検出したときには、「ワーク有り」の判定を行うと共にプリセット表示値「100」が表示される。勿論、「ワーク無し」に対してプリセット表示値「100」又は「0(ゼロ)」を設定し、「ワーク有り」に対して、これとは反対のプリセット表示値「0(ゼロ)」又は「100」を設定することができる。この第3運用モードの設定処理は、プリセットボタン12を「長押し」すると共に、サンプリングした受光量の最大値と最小値との差が小さいときに実行される。勿論、第1、第2のモードとは異なるボタン操作があったときに、直ちにこの第3運用モードによる設定処理を実行するようにしてもよい。
【0087】
好ましい形態として、この第3運用モードでプリセット表示値の運用を実行する際に又はこの第3運用モードの設定を行う際に、光電スイッチのしきい値として、背景は検出しないが背景を表す検出値(受光量)に極めて近い値を設定する感度設定手段を備えているのがよい。これにより、光電スイッチの検出精度を向上しながらプリセット表示による利便性をユーザに提供することができる。
【0088】
上述したように、第3運用モードは例えば反射型光電スイッチでの検出において背景と被検出体との受光量の差が比較的小さいときに特に効果的である。すなわち、第3運用モードによれば、「ワーク無し」の状態つまり背景を基準として、僅かでも受光量が変化したときに光電スイッチを動作させると共にプリセット表示値「100」(又は「0(ゼロ)」)を表示させることができる。
【0089】
具体的には、図5のステップS1、S6、S7、S10、S11、S4、S5が第3運用モードでの設定処理を示す。先ず、ステップS1で「ワーク無し」の状態で受光量をサンプリングする。次に、サンプリングした現在の受光量の最大値(MAX)と最小値(MIN)とを比較し(S6)、受光量の変化量つまり背景の受光量のバラツキ量を見て、ステップS10で、サンプリングした受光量の最大値(MAX)に所定の値(△)を加算した値に対してプリセット表示値「100」が設定される。ここに、所定の値(△)として、背景は検出しないが背景を表す検出値(受光量)に極めて近い値を設定するのがよい。
【0090】
次のステップS11では、実測した現在の受光量の最大値(MAX)にプリセット表示値「0(ゼロ)」が設定され、このプリセット表示値「100」「0(ゼロ)」に基づいてプリセット換算式が作成及び設定される(S4)。そして、次のステップS5で、最大値(MAX)に上記所定の値(△)の半分の値を加算した値に対してしきい値を割り付け、そしてこのしきい値にプリセット表示値「50」が設定される。
【0091】
ここでのステップS5におけるプリセット換算式は、以下のようにして作成される。ここで、プリセット表示値「100」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最大値(MAX)に所定の値(△)を加算した値をVmax+Δ(以下、「100」対応値)とし、プリセット表示値「0(ゼロ)」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最大値(MAX)をVmax(以下、「0」対応値)とし、プリセット表示モードの運用中に得られる実際の受光量をX、4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるプリセット表示値をPとすると、プリセット換算式を次の式で表すことができる。
【0092】
P=100×(X−Vmax)/Δ:Vmax≦X≦Vmax+Δ、
P=0:X<Vmax
P=100:X>Vmax+Δ
【0093】
なお、上記プリセット換算式は典型的に反射型の光電スイッチに適用されるものではあるが、例えば、透過型の光電スイッチに適用されプリセット換算式を用意して、プリセットボタン12の操作やサンプリング時のワークの状態、あるいはセンサヘッドの識別信号等により自動的に反射型の光電スイッチと透過型の光電スイッチとを自動的に判別するようにしてもよい。透過型の光電スイッチに適用する場合には、ステップS5におけるプリセット換算式は、以下のようにして作成する。ここで、プリセット表示値「100」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最小値(MIN)に所定の値(△)を減算した値を「Vmin−Δ」(以下、「100」対応値)とし、プリセット表示値「0(ゼロ)」と対応づけられているサンプリングした実際の受光量の最小値(MIN)をVmin(以下、「0」対応値)とし、プリセット表示モードの運用中に得られる実際の受光量をX、4桁7セグメントディスプレイD1、D2の一方に表示されるプリセット表示値をPとすると、プリセット換算式を次の式で表すことができる。
【0094】
P=100×(Vmin−X)/Δ:Vmin−Δ≦X≦Vmin、
P=0:X>Vmin
P=100:X<Vmin−Δ
となる。
【0095】
この第3運用モードによれば、何かが通過して受光量が僅かに変化するだけでも反射型光電スイッチが動作することになる。上述したように、しきい値は、背景は検出しないが背景を表す検出値(受光量)に極めて近い値を設定されることが好ましい。したがって、上記所定の値(△)ないし上記所定の値(△)の半分の値は、適切なしきい値を先に求めた後に定めるようにしてもよい。
【0096】
図7の(C)を参照して、プリセットボタン12を長押しすると前述したように第3運用モードのプリセット換算式が設定される(図7(C)の中段)。この第3運用モードで運用中に、プリセットボタン12を短押しすることで、目標値「100」というプリセット表示値の内部処理値の設定を変更することができる。これは、図7の(A)や(B)を参照して説明したのと同様である。つまり、この内部処理値以外のパラメータはホールドされた状態で、目標値「100」というプリセット表示値の内部処理値の設定だけを変更することができる。内部処理値「110」に変更した後の設定値の状態を図7(C)の下段に示す。
【0097】
プリセットボタン12を長押しして背景の受光量をサンプリングし(図6のS20)、上述した第3運用モードのプリセット換算式つまり実測値に基づく最大値(MAX)と所定値(△)に基づいてプリセット換算式が設定され、該プリセット換算式に基づいたプリセット表示モードの運用が実行される。(図8の(C)の中段)。
【0098】
一旦プリセット換算式の作成が行われた後、更に、プリセットボタン12を操作することで、プリセット表示値「100」の再設定、プリセット表示値「0(ゼロ)」の再設定あるいは検出値(受光量)及びしきい値をそのまま表示する無変換表示モードに移行することができる。光電スイッチ1は、一旦プリセット換算式の作成が行われた後、更に、プリセットボタン12と他のボタンを一緒に短押しすると、図6のステップS23に進んで、プリセット表示値「0(ゼロ)」に相当する受光量(MAX)をプリセット表示値「0(ゼロ)」に再設定して、この値に基づいてプリセット換算式の更新が行われる。この場合にも、最大値(MAX)以外のパラメータをホールドした状態でプリセット換算式の作成が行われる(図8の(C)の下段)。
【0099】
上記のようにしてプリセットボタン12を長押しして背景の受光量のサンプリングを行うと、前述した図5のステップS10、S11並びにステップS4、S5によって最新の最大値(MAX)及び所定値(△)に基づいてプリセット換算式を設定し、該プリセット換算式に基づいたプリセット表示モードの運用を実行することができる(図9(C)の第2段目)。また、このときに、アップダウンボタン6を操作することで、しきい値のプリセット表示値を変更することができる(図9(C)の第3段目の「75」の数字)。このしきい値のプリセット表示値の変更に伴ってしきい値の値が変更されるのは前述した通りである。
【0100】
また、一旦プリセット換算式の作成が行われた後プリセットボタン12と他のボタンを一緒に短押しすることで、このサンプリングした最大値(プリセット表示値「0(ゼロ)」に対応する受光量)をプリセット表示値「0(ゼロ)」とする設定が実行され(図6のS23:図10(C)の第3段目)、そして、次のステップS22でプリセット表示値の換算式が作成され、この新しく設定した換算式が設定される(図10(C)の最下段)。この新しい換算式の算出では、しきい値「75」及び他のパラメータはホールドされた従前の値が採用される。
【0101】
上述したように、プリセット表示モードにおいて第1〜第3のモードの中から任意のモードを選択してプリセット表示することができることから、光電スイッチが、透過型、反射型を問わず、また、鏡面処理したワークを含む広い適用範囲に対してプリセット表示による表示上の利便性をユーザに提供することができる。
【0102】
また、プリセット表示モードで運用している最中であっても、簡単な操作で既に設定している一部の設定値を最新の受光量に基づいて更新したりしきい値を変更することでプリセット表示を最適化することができる。また、プリセット表示モードで運用している最中であっても内部処理値の再設定を簡単な操作で行うことができる。したがって、簡単な操作でプリセット表示の設定及びその再設定を行うことができるだけでなくプリセット表示の適用範囲を拡大することができる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施例をプリセット表示モードに基づいて説明したが、プリセット表示とスケーリング表示は、受光量に関して人為的に規定した値を表示する点で共通していることから、当業者であれば、上述した実施例の説明をスケーリング表示に置換して読むことができる。従って、当業者であれば、本発明をプリセット表示及びスケーリングに対して適用可能であることを容易に理解できるであろう。このことから、本発明を定義するときに、スケーリング表示とプリセット表示とを総称して「人為的数値表示」と呼び、特に、限定的に特定するときに限って「プリセット表示」や「スケーリング表示」という用語を使用する。また、光電スイッチの受光量をプリセット表示値に換算する際にプリセット表示換算率及びプリセット表示換算式を求める例を示したが、本件発明は受光量表示換算関係を示すものであれば、換算率や換算式といった形式に限られず、例えば換算テーブルのような形式を採用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、反射型、透過型を問わず任意の形式の光電スイッチに適用することができる。また、本発明は、スケーリング表示及びプリセット表示に代表される所与の範囲の人為的な数値を使って受光量を表示する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 透過型光電スイッチ
100 投光ヘッド
200 受光ヘッド
300 コントローラ
334 表示部
336 変換率調整部
338 しきい値調整部
352 表示用変換率記憶部
354 表示用基準目標値設定部
6 アップダウンボタン
8 モードボタン
10 セットボタン
12 プリセットボタン
D1 第1の7セグメントディスプレイ
D2 第2の7セグメントディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を備え、該光電スイッチの受光量を、所定の換算関係に基づいて、人為的な数値の上限値と下限値との範囲で規定される表示値に換算して、該受光量の表示値を前記表示部に表示する光電スイッチであって、
該光電スイッチの受光量を前記表示値に換算する受光量表示換算関係を作成するのに必要なパラメータのうち前記上限値又は前記下限値の一方の値に対応する受光量として前記光電スイッチが実測した受光量を設定し、前記上限値又は前記下限値の他方の値に対応する受光量として前記光電スイッチが既に保有している受光量を割り付けて第1の受光量表示換算関係を求め、該第1の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第1の運用モード設定手段と、
前記光電スイッチの受光量を前記表示値に換算する受光量表示換算関係を作成するのに必要なパラメータのうち前記上限値及び前記下限値として前記光電スイッチが実測した受光量の最大値及び最小値を夫々設定して第2の受光量表示換算関係を求め、該第2の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第2の運用モード設定手段とを有することを特徴とする光電スイッチ。
【請求項2】
前記上限値又は前記下限値の他方の値に対応する受光量として割り付けた前記光電スイッチが既に保有している受光量を、実測した受光量で置換して前記第1の受光量表示換算関係を更新する第1の換換算関係更新手段を更に有する、請求項1に記載の光電スイッチ。
【請求項3】
前記受光量の最大値又は最小値の一方を実測した現在の受光量で置換して前記第1の受光量表示換算関係を更新する第2の換算関係更新手段を更に有する、請求項1又は2に記載の光電スイッチ。
【請求項4】
前記光電スイッチの受光量のバラツキ幅の最大値に所定の値を加算した値に前記上限値を設定し、前記バラツキ幅の最大値に前記下限値を設定して第3の受光量表示換算関係を求め、該第3の受光量表示換算関係に基づいて算出した前記表示値を前記表示部に表示する第3の運用モード設定手段を更に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電スイッチ。
【請求項5】
前記第3の運用モード設定手段が、前記光電スイッチのしきい値として、背景は検出しないが該背景を表す受光量に近い値を設定する感度設定手段を備えている、請求項4に記載の光電スイッチ。
【請求項6】
前記表示部が、第1のディスプレイと、これに隣接した第2のディスプレイとで構成され、
前記光電スイッチのしきい値を前記上限値と下限値の範囲の表示値に換算するしきい値換算手段を更に有し、
前記第1、第2の運用モード中、前記しきい値の表示値が前記第1のディスプレイに表示され、前記光電スイッチの受光量の表示値が前記第2のディスプレイに表示される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電スイッチ。
【請求項7】
前記表示部が、第1のディスプレイと、これに隣接した第2のディスプレイとで構成され、
前記光電スイッチのしきい値を前記上限値と下限値の範囲の表示値に換算するしきい値換算手段を更に有し、
前記第1、第2、第3の運用モード中、前記しきい値の表示値が前記第1のディスプレイに表示され、前記光電スイッチの受光量の表示値が前記第2のディスプレイに表示される、請求項4又は5に記載の光電スイッチ。
【請求項8】
前記上限値が「100」であり、前記下限値が「0」である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電スイッチ。
【請求項9】
前記光電スイッチが分離型の光電スイッチである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光電スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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