説明

光音響画像化方法および装置

【課題】高速で光音響画像を表示することができる光音響画像化方法を得る。
【解決手段】被検体を例えばレーザユニット13が発した光により走査し、それにより被検体から発せられた音響波を検出して音響波検出信号を得、この音響波検出信号に基づいて被検体の3次元光音響画像を示すボリュームデータを作成する光音響画像化方法において、前記ボリュームデータを作成する前に前記光の走査と併行して、投影画像生成部60により音響波検出信号に基づいて、光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成し、また前記音響波検出信号に基づいて、光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、これらの光音響断層画像および光音響投影画像を画像表示手段14に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光音響画像化方法すなわち、生体組織等の被検体に光を照射し、光照射に伴って発生する音響波に基づいて被検体を画像化する方法に関するものである。
【0002】
また本発明は、光音響画像化方法を実施する装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば特許文献1や非特許文献1に示されているように、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響画像化装置が知られている。この光音響画像化装置においては、例えばパルスレーザ光等のパルス光が生体内に照射される。このパルス光の照射を受けた生体内部では、パルス光のエネルギーを吸収した生体組織が熱によって体積膨張し、音響波を発生する。そこで、この音響波を超音波プローブなどで検出し、それにより得られた電気的信号(光音響信号)に基づいて生体内部を可視像化することが可能となっている。
【0004】
光音響画像化方法は、特定の吸光体から放射される音響波のみに基づいて画像を構築するようにしているので、生体における特定の組織、例えば血管等を画像化するのに好適である。そこで光音響画像化方法は、人体の手術中等に血管を画像化、表示して、その位置を確認するために適用することも考えられている。このような用途に光音響画像化方法を適用する場合、従来は例えば特許文献2に示されているように、被検体の2次元領域を示す光音響信号から2次元領域を示すいわゆるボリュームデータを作成し、そのボリュームデータに基づいて任意の断面についての断層画像を構築するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−21380号公報
【特許文献2】特開2011−5042号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】A High-Speed Photoacoustic Tomography System based on a Commercial Ultrasound and a Custom Transducer Array, Xueding Wang, Jonathan Cannata, Derek DeBusschere, Changhong Hu, J. Brian Fowlkes, and Paul Carson, Proc. SPIE Vol. 7564, 756424 (Feb.23, 2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光音響画像化方法を上述したように血管位置確認用などに適用する場合は、医療診断の場合と異なって、スライス位置を何度も変えて何枚もの断層画素を観察するようなことは必要ではなく、とにかくプローブの移動に伴って迅速に光音響画像を表示することが望まれる。しかし従来の光音響画像化方法においては、前述の通りボリュームデータを作成し、そのボリュームデータに基づいて光音響画像を生成、表示するようにしていたので、光音響画像を短い所要時間で表示することが困難になっていた。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、高速で光音響画像を表示することができる光音響画像化方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
また本発明は、そのような光音響画像化方法を実施することができる光音響画像化装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による光音響画像化方法は、
被検体を光により走査し、それにより被検体から発せられた音響波を検出して音響波検出信号を得、この音響波検出信号に基づいて前記被検体の3次元光音響画像を示すボリュームデータを作成する光音響画像化方法において、
前記ボリュームデータを作成する前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成し、
この光音響投影画像を表示手段に表示することを特徴とするものである。
【0011】
なお上記の「光の走査と併行して」とは、光音響投影画像を生成するタイミングと光走査のタイミングとが少なくとも一部期間において重なっていることを意味するものであり、そのようにすれば、光の走査といわゆるリアルタイムの感覚で光音響投影画像が生成、表示されるようになる。
【0012】
なお本発明の光音響画像化方法においては、前記光音響信号の絶対値を前記光の照射深さ方向について積分し、この積分された光音響信号の値に基づいて前記光音響投影画像を生成することが望ましい。
【0013】
そしてその場合は、上記積分を行う照射深さ方向を、任意に設定可能としておくことが望ましい。
【0014】
また本発明の光音響画像化方法においては、
前記ボリュームデータを作成する前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、
この光音響断層画像を、前記光音響投影画像と共に前記表示手段に表示することが望ましい。
【0015】
また本発明の光音響画像化方法においては、
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の反射音響波投影画像を生成し、
この反射音響波投影画像と前記光音響投影画像とを、両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態にして重畳表示することが望ましい。
【0016】
また本発明の光音響画像化方法においては、
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像を生成し、
この反射音響波断層画像と前記光音響断層画像とを、両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態にして重畳表示することが望ましい。
【0017】
また本発明の光音響画像化方法においては、
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像を生成し、
この反射音響波断層画像および前記光音響投影画像を表示手段に表示することが望ましい。
【0018】
また本発明の光音響画像化方法は、前記光音響断層画像として、生物の血管を示す画像を生成することが望ましい。
【0019】
一方、本発明による光音響画像化装置は、
被検体を光により走査する光走査手段と、
前記光の走査により被検体から発せられた音響波を検出して音響波検出信号を得る音響波検出手段と、
前記音響波検出信号に基づいて前記被検体の3次元光音響画像を示すボリュームデータを作成する手段とを備えてなる光音響画像化装置において、
前記ボリュームデータが作成される前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成する画像構築手段と、
前記光音響投影画像を表示する表示手段とが設けられたことを特徴とするものである。
【0020】
なお、本発明の光音響画像化装置においては、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像も生成可能に構成され、
この光音響断層画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像が別々に表示されるように合成する画像合成手段が設けられていることが望ましい。
【0021】
また本発明の光音響画像化装置においては、
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の反射音響波投影画像も生成可能に構成され、
この反射音響波投影画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態で重畳表示されるように合成する画像合成手段が設けられていることが望ましい。
【0022】
また本発明の光音響画像化装置においては、
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像も生成可能に構成され、
この反射音響波断層画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像が別々に表示されるように合成する画像合成手段が設けられていることが望ましい。
【0023】
さらに本発明の光音響画像化装置においては、
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の音響波断層画像も生成可能に構成され、
この反射音響波断層画像および前記光音響断層画像を、前記表示手段において両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態で重畳表示されるように合成する画像合成手段が設けられていることが望ましい。
【0024】
また本発明の光音響画像化装置においては、
前記光を被検体に向けて発する光照射部および前記音響波検出手段の検出素子をそれぞれ複数、共通の一方向に並べて保持する保持部と、
この保持部を前記一方向と交わる方向に移動させる移動手段とを備えて前記光走査手段が構成されていることが望ましい。
【0025】
光走査手段はその他に、光を被検体に向けて発する光照射部を複数、二次元マトリクス状に配置して構成されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明による光音響画像化方法は、ボリュームデータを作成する前に光の走査と併行して、音響波検出信号に基づいて、走査する光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成し、この光音響投影画像を表示手段に表示するようにしたので、音響波検出信号に基づいて一旦ボリュームデータを作成し、そのボリュームデータに基づいて光音響画像を生成する場合と比べれば、より高速に光音響投影画像を生成、表示可能となる。
【0027】
また、本発明の光音響画像化方法において特に、前記ボリュームデータを作成する前に光の走査と併行して、音響波検出信号に基づいて、走査する光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、この光音響断層画像を前記光音響投影画像と共に表示手段に表示する場合は、光音響投影画像に加えて光音響投影画像もより高速に生成、表示可能となる。
【0028】
また本発明の光音響画像化方法において特に、光音響断層画像を反射音響波断層画像と重畳表示したり、あるいは光音響投影画像を反射音響波投影画像と重畳表示する場合は、生体組織を示す反射音響波画像を参考にして、光音響画像に示された血管等の位置を正確に認識することが可能になる。
【0029】
また本発明の光音響画像化方法において特に、光音響信号の絶対値を光の照射深さ方向について積分し、この積分された光音響信号の値に基づいて光音響投影画像を生成するようにし、その上で積分を行う光照射深さ方向を任意に設定可能としておけば、投影画像が形成される深さ方向の範囲を任意に変えることが可能になる。そこで、この場合の光音響投影画像を参照すれば、深さ方向に亘って存在し得る例えば血管等の組織が、所定深さよりも浅い位置に存在するのか、あるいは深い位置に存在するのかを正確に把握することが可能になる。
【0030】
また本発明による光音響画像化装置は、ボリュームデータが作成される前に光の走査と併行して、音響波検出信号に基づいて、走査する光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成する画像構築手段と、光音響投影画像を表示する表示手段とを有するものであるので、上述した本発明の光音響画像化方法を実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態の方法を実施する光音響画像化装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の構成の一部を詳しく示すブロック図
【図3】上記光音響画像化方法における処理の流れを示すフローチャート
【図4】図1の装置に用いられる走査機構を示す斜視図
【図5】上記光音響画像化方法において表示される画像を示す概略図
【図6】光音響投影画像の生成を説明する図
【図7】本発明の第2実施形態の方法を実施する光音響画像化装置の概略構成を示すブロック図
【図8】図7の構成の一部を詳しく示すブロック図
【図9】本発明の第3実施形態の方法を実施する光音響画像化装置の概略構成を示すブロック図
【図10】本発明の第4実施形態の方法を実施する光音響画像化装置の概略構成を示すブロック図
【図11】図10の構成の一部を詳しく示すブロック図
【図12】図9の装置において表示される画像を示す概略図
【図13】図10の装置において表示される画像を示す概略図
【図14】本発明の第5実施形態の方法において用いられる二次元プローブを示す斜視図
【図15】本発明の第5実施形態の方法を実施する光音響画像化装置の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の方法を実施する光音響画像化装置10の基本構成を示すブロック図である。この光音響画像化装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、およびレーザ光源(レーザユニット)13を備えている。なおこの光音響画像化装置10は、超音波画像と光音響画像との双方を生成可能に形成されている。レーザユニット13は、被検体に照射すべきレーザ光を出射する。レーザ光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13から出射したレーザ光は、例えば複数の光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に照射される。
【0033】
プローブ11はさらに、被検体に対して音響波の一つである超音波の出力(送信)を行うと共に、被検体から反射して戻って来る反射超音波の検出(受信)を行う。そのためにプローブ11は、例えば一次元に配列された複数の超音波振動子を有する。またプローブ11は、被検体内の観察対象物がレーザユニット13からのレーザ光を吸収することで生じた超音波(音響波)を、上記複数の超音波振動子によって検出する。そしてこのプローブ11においては、上記導光手段の端部つまり複数の光ファイバの先端部等が、上記複数の超音波振動子の並び方向に沿って配置され、そこから被検体に向けてレーザ光が照射される。
【0034】
なお被検体の光音響画像あるいは超音波画像を取得する際、プローブ11は上記超音波振動子および導光手段の端部が延びる一次元方向に対してほぼ直角な方向に移動され、それにより被検体がレーザ光および超音波によって二次元走査される。この走査は、検査者が手操作でプローブ11を動かして行ってもよいが、例えば図4に示す走査機構を用いれば、より精密な二次元走査が実現される。この図4に示す走査機構は、プローブ11に連結された螺合部80と、保持板81と、この保持板81に回転自在に保持されて螺合部80に螺合したボールねじ82と、保持板81に固定されて螺合部80の貫通孔に通されたガイドロッド83と、上記ボールねじ82を正逆回転させるモータ84とから構成されたものである。この走査機構において、モータ84が駆動されると、回転するボールねじ82に螺合している螺合部80が螺進退し、プローブ11が図中のW方向に移動して上記の通りの二次元走査がなされる。
【0035】
図1に戻って、超音波ユニット12は、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像再構成手段25、この光音響画像再構成手段25の出力を受ける投影画像生成部60、超音波画像再構成手段26、この超音波画像再構成手段26並びに上記光音響画像再構成手段25の出力を受ける断層画像生成部70、この断層画像生成部70並びに上記投影画像生成部60の出力を受ける画像合成手段27を有している。さらに超音波ユニット12は、トリガ制御回路28、送信制御回路30、および制御手段31を有している。制御手段31は、超音波ユニット12内の各部を制御する。
【0036】
プローブ11は、前記音響波を検出して音響波検出信号を出力し、また前記反射超音波を検出して超音波検出信号を出力する。受信回路21は、それらの音響波検出信号および超音波検出信号を受信する。AD変換手段22はサンプリング手段であり、受信回路21が受信した音響波検出信号および超音波検出信号をサンプリングしてデジタル信号に変換する。AD変換手段22は、例えば外部から入力されるADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で上記各信号をサンプリングする。
【0037】
トリガ制御回路28は、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。レーザユニット13は、YAGやチタン−サファイアなどのQスイッチパルスレーザの励起光源であるフラッシュランプ32と、レーザ発振を制御するQスイッチ33とを含む。レーザユニット13は、トリガ制御回路28が光トリガ信号を出力すると、フラッシュランプ32を点灯させてQスイッチパルスレーザを励起する。トリガ制御回路28は、例えばフラッシュランプ32がQスイッチパルスレーザを十分に励起させると、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ33は、Qスイッチトリガ信号を受けるとオンし、Qスイッチパルスレーザからレーザ光を出射させる。フラッシュランプ32の点灯からQスイッチパルスレーザが十分な励起状態となるまでに要する時間は、Qスイッチパルスレーザの特性などから見積もることができる。
【0038】
なお、上述のようにトリガ制御回路28からQスイッチを制御するのに代えて、レーザユニット13内において、Qスイッチパルスレーザを十分に励起させた後にQスイッチ33をオンにしてもよい。その場合は、Qスイッチ33をオンにしたことを示す信号を超音波ユニット12側に通知してもよい。
【0039】
またトリガ制御回路28は、送信制御回路30に、超音波送信を指示する超音波トリガ信号を入力する。送信制御回路30は、上記超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。トリガ制御回路28は、先に光トリガ信号を出力し、その後、超音波トリガ信号を出力する。つまりトリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力に後続して、超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射、および音響波の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信、および反射超音波の検出が行われる。
【0040】
トリガ制御回路28はさらに、AD変換手段22に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。このサンプリングトリガ信号は、前記光トリガ信号が出力された後で、かつ超音波トリガ信号が出力される前、より好ましくは被検体に実際にレーザ光が照射されるタイミングで出力される。そのためにサンプリングトリガ信号は、例えばトリガ制御回路28がQスイッチトリガ信号を出力するタイミングに同期して出力される。AD変換手段22は上記サンプリングトリガ信号を受けると、プローブ11にて検出された超音波(光音響信号)のサンプリングを開始する。
【0041】
トリガ制御回路28は、光トリガ信号の出力後、音響波の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段22は超音波検出信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路28は、AD変換手段22が超音波検出信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11の検出対象は、音響波から反射超音波に変わる。AD変換手段22は、検出された超音波検出信号のサンプリングを継続することで、音響波検出信号と超音波検出信号とを、連続的にサンプリングする。
【0042】
AD変換手段22は、サンプリングした音響波検出信号および超音波検出信号を、共通の受信メモリ23に格納する。受信メモリ23に格納されたサンプリングデータは、ある時点までは音響波検出信号のデータであり、ある時点からは超音波検出信号のデータとなる。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された音響波検出信号と超音波検出信号とを分離する。データ分離手段24は、分離した音響波検出信号を光音響画像再構成手段25に入力し、超音波検出信号を超音波画像再構成手段26に入力する。
【0043】
光音響画像再構成手段25および超音波画像再構成手段26は、被検体の3次元領域を示すボリュームデータも作成可能なものであるが、本実施形態の方法では、そのボリュームデータの作成に先行して、後述する投影画像および断層画像が生成される。以下、その点の機能について説明する。
【0044】
光音響画像再構成手段25は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子の各出力信号から得られた上記データを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。なお、この光音響画像再構成手段25は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行うものでもよい。あるいは光音響画像再構成手段25は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行うものでもよい。超音波画像再構成手段26も、超音波検出信号に基づいて作成された上記データから、断層画像である超音波画像の1ライン毎のデータを生成する。
【0045】
図2は、光音響画像再構成手段25が生成した再構成画像データが入力される投影画像生成部60および、光音響画像再構成手段25が生成した再構成画像データ並びに超音波画像再構成手段26が生成した再構成画像データが入力される断層画像生成部70の構成を詳しく示すものである。
【0046】
この図2に示されるように投影画像生成部60は、光音響画像再構成手段25が生成した再構成画像データが入力される絶対値化手段61と、それに順次接続された深度方向データ積分手段62、対数変換手段63および投影画像構築手段64を有しており、前記レーザ光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成する。なお、この光音響投影画像の生成については、後に詳しく説明する。
【0047】
また図2に示されるように断層画像生成部70は、光音響画像再構成手段25が生成した再構成画像データが入力される検波手段71と、それに順次接続された対数変換手段72、光音響断層画像構築手段73を有するとともに、超音波画像再構成手段26が生成した再構成画像データが入力される検波手段75と、それに順次接続された対数変換手段76、超音波断層画像構築手段77を有している。そして光音響断層画像構築手段73および超音波断層画像構築手段77は、超音波/光音響画像合成手段74に接続されている。
【0048】
上記検波手段71は光音響画像再構成手段25が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、対数変換手段72はその包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。そして光音響断層画像構築手段73は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、光音響断層画像を生成する。より詳しくは、この光音響断層画像構築手段73は、例えば音響波検出信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を、断層画像における深さ方向の位置に変換して光音響断層画像を生成する。
【0049】
検波手段75、対数変換手段76および超音波断層画像構築手段77も、基本的に上記と検波手段71、対数変換手段72および光音響断層画像構築手段73とそれぞれ同様に機能して、超音波断層画像を生成する。以上述べた超音波断層画像および光音響断層画像の生成並びに、光音響投影画像の生成は、前記レーザ光の走査と併行してなされる。
【0050】
超音波/光音響画像合成手段74は、以上の通りにして生成された光音響断層画像を示すデータと超音波断層画像を示すデータを受けて、それら両画像を、両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態で重畳表示されるように合成する。このようにして合成された合成断層画像と、投影画像生成部60が生成した光音響投影画像とは、次に図1の画像合成手段27によって、互いに別の位置に表示されるように合成され、最終的にそれらの画像が画像表示手段14に表示される。
【0051】
以上説明した処理の流れをまとめると、図3に示す通りとなる。すなわち、先ず光トリガ信号が出力され(A1)、それによりレーザの励起が開始され(A2)、パルスレーザ光が出射される(A3)。次にサンプリングトリガ信号が出力され(A4)、音響波検出信号のサンプリングが開始され(A5)、音響波検出信号が受信メモリに格納される(A6)。次いで超音波トリガ信号が出力され(A7)、それにより超音波が送信され(A8)、反射超音波が受信されて超音波検出信号がサンプリングされ(A9)、超音波検出信号が受信メモリに格納される(A10)。次に音響波検出信号と超音波検出信号が分離され(A11)、光音響投影画像および断層画像(光音響断層画像と超音波断層画像との重畳画像)が生成され(A12)、次に光音響投影画像および断層画像が別個に表示されるように合成され(A13)、それらの画像が画像表示手段14に表示される(A14)。
【0052】
図5は、上述のようにして画像表示手段14に表示される画像の一例を概略的に示すものである。図中の右側に示すように、光音響投影画像においては、例えば血管分布が画像化して示される。ここに、レーザ光の走査を水平な矢印で示すが、この走査が進むにつれて走査範囲の投影画像が逐次表示される。そしてここに破線の水平線で示す一つの断面に関する光音響断層画像が、図中左側に示すように、血管位置を断面方向から見た状態を示すものとして表示される。本実施形態においては特に、この光音響断層画像と、被検体の組織を示す超音波断層画像(図中粗いハッチングを付して示す部分)とが位置合わせした上で重畳表示されるので、組織内の血管位置を明確に確認可能となる。
【0053】
ここで、前述した光音響投影画像の生成について、図2および図6を参照して説明する。図6の左側に示すように、断層画像内でレーザ光照射深さ方向に延びる1本のラインLについて考えると、光吸収して体積膨張、収縮する部分(例えば血管)に関する光音響信号(これは超音波信号の場合も同様)がプラス、マイナスに変化する。そこで図2の絶対値化手段61によりこの信号の絶対値を取った上で、それを深度方向データ積分手段62により光照射深さ方向について積分すると、その積分値は上記ラインLに沿った部分の光吸収の積算値に対応するものとなる。したがってこの積分値を、光走査する全域について求めて、図2に示す投影画像構築手段64によりその積分値に基づいて画像化を行えば、光吸収が有る部分を示す投影画像を得ることができる。なお、図2に示す対数変換手段63は基本的に同図に示す対数変換手段72と同じものである。
【0054】
以上述べたように本実施形態では、ボリュームデータを作成する前にレーザ光の走査と併行して、音響波検出信号に基づいてレーザ光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像並びに、レーザ光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、それらの画像を画像表示手段14に表示するようにしているので、一旦ボリュームデータを作成し、そのボリュームデータに基づいて光音響画像を生成する場合と比べれば、より高速に光音響投影画像並びに光音響断層画像を生成、表示可能となる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態による光音響画像化方法について説明する。図7および8は、この第2実施形態の方法を実施する光音響画像化装置110を示すものであり、図7はその基本構成を示し、図8はこの光音響画像化装置110の投影画像生成部60および断層画像生成部170を詳しく示すものである。なお図7および8において、図1および2中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0056】
本実施形態の方法は、超音波画像は生成しないものである。そこでこの光音響画像化装置110は図1に示した光音響画像化装置10と対比すると、データ分離手段24および超音波画像再構成手段26が省かれ、また断層画像生成部70に代えて図8に詳細を示す断層画像生成部170が適用されたものとなっている。なお投影画像生成部60としては、図1の光音響画像化装置10におけるのと同じものが用いられている。
【0057】
ここで適用されている断層画像生成部170は基本的に、図2に示された検波手段71、対数変換手段72および光音響断層画像構築手段73から構成されており、光音響断層画像のみを生成する。つまり、超音波断層画像は生成されないので、それと光音響断層画像とが重畳表示されることもない。断層画像生成部170により生成された光音響断層画像と、投影画像生成部60により生成された光音響投影画像は、共に画像表示手段14において表示される。
【0058】
本実施形態でも、ボリュームデータを作成する前にレーザ光の走査と併行して、音響波検出信号に基づいてレーザ光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像並びに、レーザ光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、それらの画像を画像表示手段14に表示するようにしているので、一旦ボリュームデータを作成し、そのボリュームデータに基づいて光音響画像を生成する場合と比べれば、より高速に光音響投影画像並びに光音響断層画像を生成、表示可能となる。
【0059】
本発明の光音響画像化方法においては、以上述べた投影画像並びに断層画像の表示形態に限らず、その他の形態でそれら両画像を表示することも可能である。下の表1は、そのような表示形態の例を示すものである。なお「光音響+超音波」は、両画像の重畳表示を意味する。
【表1】

【0060】
先に説明した第1の実施形態は上記No.3の表示形態を採用したものであり、また第2の実施形態は上記No.1の表示形態を採用したものである。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態による光音響画像化方法について説明する。図9は、この第3実施形態の方法を実施する光音響画像化装置210の基本構成を示すものであり、本装置210は図1に示した第1実施形態の光音響画像化装置10と比べると、画像合成手段27に代えて表示画像生成手段227が設けられる一方、積分深さ設定手段220が追加された点で異なる。
【0062】
積分深さ設定手段220は、先に説明したように投影画像生成部60の深度方向データ積分手段62(図2参照)が行う積分処理を、例えば被検体の表面からどの程度の深さまで行うかを設定するものであり、一例としてその深さを数値で入力するキーボードや、あるいは画像表示手段14に表示される深さ位置を示すカーソルを移動させるマウス等から構成される。この積分深さ設定手段220が設定する積分深さの情報は、制御手段31に入力される。制御手段31は、上記深度方向データ積分手段62が行う積分処理において、入力された上記情報が示す深さの位置までデータを積分するように、この積分処理を制御する。
【0063】
表示画像生成手段227は、上述のように積分深さが設定された上で投影画像生成部60が生成した光音響投影画像と、断層画像生成部70が生成した超音波断層画像とを、例えばプローブ11の走査と併行していわゆるリアルタイムで画像表示手段14に表示させる。なお先に述べた通り、この「併行して」とは、光音響投影画像を表示するタイミングと光走査のタイミングとが少なくとも一部期間において重なっていることを意味する。
【0064】
以上のようにして表示される超音波断層画像と光音響投影画像の一例を、図12に示す。なおここでは、同図左側に示す超音波断層画像において、上に述べたようなカーソルCSが表示される例を示している。
【0065】
この例では、もし上記積分深さ設定を行わない、つまり積分深さを限定しないとすると、同図右側に示す光音響投影画像において領域RGには、その図中上方から血管分布が延びて示されることになる。それに対して上記の積分深さ設定を行うと、この設定深さよりも深い所に存在する血管は、図示のように非表示になる。したがって、この設定深さを、例えば手術においてメスで切ることができる最大深さとすれば、光音響投影画像に表示されている血管は全てメスで切る可能性が有ると認識するこができる。そうであれば、手術において、ここに表示されている血管だけを避けていれば、血管をメスで切ってしまうことを確実に防止可能となる。
【0066】
それに対して積分深さを限定しない場合は、メスで切ることが無い深い所に存在する血管も全て光音響投影画像に表示されるので、避ける必要の無い箇所までメスを入れるべきではないと認識されてしまうことがある。さらには、メスで血管を切ってしまったと思っても実際には血管が深い所に有って切れていなかった、ということも当然起こり得るので、光音響投影画像に表示されている血管の画像を、メスを入ることを避けるべき領域として把握してよいかどうかあやふやになるという問題も生じる。積分深さを上記の通りに設定すれば、このような問題を招くことを防止できる。
【0067】
次に、本発明の第4実施形態による光音響画像化方法について説明する。図10は、この第4実施形態の方法を実施する光音響画像化装置310の基本構成を示すものであり、本装置310は図9に示した第3実施形態の光音響画像化装置210と比べると、投影画像生成部60に代えて、図11に詳細構成を示す投影画像生成部360が設けられたで異なる。
【0068】
図11に示す投影画像生成部360は、図2に示す投影画像生成部60と比べると、投影画像構築手段64の前段に配置された浅部データ選別手段300と、この浅部データ選別手段300から入力を受ける浅部投影画像構築手段301とが設けられると共に、投影画像構築手段64並びに浅部投影画像構築手段301から入力を受ける全投影画像/浅部投影画像合成手段302が設けられた点で相違している。
【0069】
この投影画像生成部360においては、深度方向データ積分手段62が行う積分処理は、積分深さを設定しないで、つまり積分深さを限定しないでなされる。したがって投影画像構築手段64では、図1に示した第1実施形態の光音響画像化装置10と同様に、積分深さを限定しない光音響投影画像(全投影画像)が構築される。
【0070】
それと共に、対数変換手段63が出力したデータは浅部データ選別手段300に入力され、そこで、所定の深さまでのデータが選別、抽出される。こうして選別、抽出されたデータは、浅部投影画像構築手段301に送られる。なお、どの深さまでのデータを選別するかは、図10の積分深さ設定手段220により設定される。そこで浅部投影画像構築手段301では、選別された浅部に関するデータのみを用いて光音響投影画像(浅部投影画像)が構築される。こうして構築される浅部投影画像は、結局、深度方向データ積分手段62が行う積分処理を、積分深さを限定して行ない、その後に構築された投影画像と同様のものとなる。
【0071】
以上のようにして投影画像構築手段64が構築した全投影画像と、浅部投影画像構築手段301が構築した浅部投影画像は、全投影画像/浅部投影画像合成手段302において合成され、その合成された投影画像が図10の画像表示手段14において表示される。図13は、以上のようにして合成、表示される光音響投影画像の一例を、超音波断層画像と共に示すものである。ここでは、図12に示した表示例と同様の投影画像(浅部投影画像)が表示されると共に、図12の例では何も表示されない領域RGに、全投影画像VGが表示されることになる。この全投影画像VGは、その他の浅部投影画像に対して、濃度を低くしたり、あるいは表示色を変えたりすることにより、区別して表示される。そこで本実施形態では、画像表示手段14における表示画像から、図12に表示例を示した第3実施形態におけるのと同様に、所定の深さまでには何が存在するかを知ることができ、それに加えて、それよりも深い領域に何が存在するかを知ることも可能になる。
【0072】
次に、本発明の第5実施形態による光音響画像化方法について説明する。図14は、この第5実施形態の方法において用いられる二次元超音波探触子(プローブ)411を示すものであり、また図15はこの方法を実施する光音響画像化装置410の基本構成を示すものである。本装置410は図9に示した第3実施形態の光音響画像化装置210と比べると、プローブ11に代えて上記の二次元プローブ411が用いられ、それに伴ってプローブ走査機構15が省かれた点で異なっている。
【0073】
二次元プローブ411は図14に示すように、例えば前述した光ファイバの出射端部などの光出射部400が二次元マトリクス状に複数配置された構造を有する。なお、光照射により生じた音響波を検出する超音波振動子は図示を省略してあるが、それらは各出射端部と対にして配置したり、あるいは二次元マトリクス状に複数配置された光出射部400を取り囲む状態に配置すればよい。この二次元プローブ411によれば、図中に2点鎖線で概略的に示すように、被検体に対して1断面毎にパルスレーザ光を照射することができる。そしてこのように光照射する位置を、その照射面と直交する方向に順次変えて行くことができる。
【0074】
すなわちこの二次元プローブ411によれば、図4に例示したような走査機構を用いることなく、パルスレーザ光により被検体を走査することが可能になる。こうして被検体を走査して得られた1断面毎のデータに基づいて、既述の実施形態におけるのと同様に投影画像生成部60において光音響投影画像が生成され、その投影画像が画像表示手段14においてリアルタイムで表示される。
【0075】
なお、上述のようにして被検体の1断面毎に光を照射する他、二次元マトリクス状に複数配置された光出射部400の全部から同時に光を照射した上で、データの取得は1断面毎に行うようにしても構わない。
【0076】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響画像化装置および方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正および変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
10、110、210、310、410 光音響画像化装置
11 プローブ
12 超音波ユニット
13 レーザユニット
14 画像表示手段
21 受信回路
22 AD変換手段
23 受信メモリ
24 データ分離手段
25 光音響画像再構成手段
26 超音波画像再構成手段
27 画像合成手段
28 トリガ制御回路
29 サンプリング制御回路
30 送信制御回路
31 制御手段
32 フラッシュランプ
33 Qスイッチ
60、360 投影画像生成部
70、170 断層画像生成部
80 螺合部
81 保持板
82 ボールねじ
83 ガイドロッド
84 モータ
220 積分深さ設定手段
227 表示画像生成手段
300 浅部データ選別手段
301 浅部投影画像構築手段
302 全投影画像/浅部投影画像合成手段
411 二次元プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を光により走査し、それにより被検体から発せられた音響波を検出して音響波検出信号を得、この音響波検出信号に基づいて前記被検体の3次元光音響画像を示すボリュームデータを作成する光音響画像化方法において、
前記ボリュームデータを作成する前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成し、
この光音響投影画像を表示手段に表示することを特徴とする光音響画像化方法。
【請求項2】
前記光音響信号の絶対値を前記光の照射深さ方向について積分し、
この積分された光音響信号の値に基づいて前記光音響投影画像を生成することを特徴とする請求項1記載の光音響画像化方法。
【請求項3】
前記積分を行う照射深さ方向を、任意に設定可能とすることを特徴とする請求項1または2記載の光音響画像化方法。
【請求項4】
前記ボリュームデータを作成する前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像を生成し、
この光音響断層画像を、前記光音響投影画像と共に前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光音響画像化方法。
【請求項5】
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の反射音響波投影画像を生成し、
この反射音響波投影画像と前記光音響投影画像とを、両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態にして重畳表示することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の光音響画像化方法。
【請求項6】
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像を生成し、
この反射音響波断層画像と前記光音響断層画像とを、両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態にして重畳表示することを特徴とする請求項4または5記載の光音響画像化方法。
【請求項7】
前記光による走査と併行して前記被検体を音響波により走査し、
この走査に伴って被検体で反射した反射音響波を検出して反射音響波検出信号を得、
この反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像を生成し、
この反射音響波断層画像および前記光音響投影画像を表示手段に表示することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の光音響画像化方法。
【請求項8】
前記光音響断層画像として、生物の血管を示す画像を生成することを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の光音響画像化方法。
【請求項9】
被検体を光により走査する光走査手段と、
前記光の走査により被検体から発せられた音響波を検出して音響波検出信号を得る音響波検出手段と、
前記音響波検出信号に基づいて前記被検体の3次元光音響画像を示すボリュームデータを作成する手段とを備えてなる光音響画像化装置において、
前記ボリュームデータが作成される前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記照射深さ方向に投影された被検体の光音響投影画像を生成する画像構築手段と、
前記光音響投影画像を表示する表示手段とが設けられたことを特徴とする光音響画像化装置。
【請求項10】
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記光の走査と併行して、前記音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の光音響断層画像も生成可能に構成され、
この光音響断層画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像が別々に表示されるように合成する画像合成手段が設けられたことを特徴とする請求項9記載の光音響画像化装置。
【請求項11】
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に投影された被検体の反射音響波投影画像も生成可能に構成され、
この反射音響波投影画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態で重畳表示されるように合成する画像合成手段が設けられたことを特徴とする請求項9または10記載の光音響画像化装置。
【請求項12】
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像も生成可能に構成され、
この反射音響波断層画像および前記光音響投影画像を、前記表示手段において両画像が別々に表示されるように合成する画像合成手段が設けられたことを特徴とする請求項9から11いずれか1項記載の光音響画像化装置。
【請求項13】
前記被検体を音響波により走査する音響波走査手段と、
前記音響波の走査に伴って前記被検体で反射した音響波を検出して反射音響波検出信号を得る反射音響波検出手段とがさらに設けられ、
前記画像構築手段が、前記ボリュームデータが作成される前に前記音響波の走査と併行して、前記反射音響波検出信号に基づいて、前記光の照射深さ方向に延びる面内に関する被検体の反射音響波断層画像も生成可能に構成され、
この反射音響波断層画像および前記光音響断層画像を、前記表示手段において両画像における被検体の共通部位が互いに重なる状態で重畳表示されるように合成する画像合成手段が設けられたことを特徴とする請求項10または11記載の光音響画像化装置。
【請求項14】
前記光を被検体に向けて発する光照射部および前記音響波検出手段の検出素子をそれぞれ複数、共通の一方向に並べて保持する保持部と、
この保持部を前記一方向と交わる方向に移動させる移動手段とを備えて前記光走査手段が構成されていることを特徴とする請求項9から13いずれか1項記載の光音響画像化装置。
【請求項15】
前記光を被検体に向けて発する光照射部を複数、二次元マトリクス状に配置して前記光走査手段が構成されていることを特徴とする請求項9から13いずれか1項記載の光音響画像化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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