説明

光音響画像生成装置及び方法

【課題】血管などの管状の構造物の片側からしか光音響信号の波形が得られないような場合でも、観察者が、光音響画像中に含まれる血管などの構造物を容易に認識可能にする。
【解決手段】レーザユニット13からの光を被検体に照射し、その照射後に、プローブ11を用いて被検体内で発生した光音響信号を検出する。光音響画像再構成手段24、検波・対数変換手段25、及び光音響画像構築手段を用いて、検出された光音響信号から光音響画像を生成する。血管検出手段26は、光音響画像から管状の構造物としての血管を検出する。血管補正手段27は、検出された血管のうちで、光の進行方向奥側の管壁部分が欠けた血管について、血管を光の進行方向手前側から見たときの幅を求める。血管補正手段27は、求めた幅を血管の光進行方向の径であるとみなして、欠けている管壁部分を補間生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響画像生成装置及び方法に関し、更に詳しくは、被検体に照射されたレーザ光により被検体内で生じた光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、レーザパルスなどのパルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、例えば生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。光音響イメージング装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−104816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、図8及び図9に、比較的細い血管及び太い血管から発生する光音響信号を示す。図8及び図9においては、紙面向って左側からレーザ光が照射され、左側に配置された超音波振動子で光音響信号を検出するものとする。血管径が比較的細い場合(図8)、右側方向へ進行するレーザ光は、血管内部でその全てが吸収されず、深部側の血管壁(紙面向って右側の血管壁)まで光が届く。この場合、検出信号には、超音波振動子側の界面と深部側の界面との双方において、波形が現れる。
【0006】
一方、血管径が太い場合(図9)、血管内部で照射されたレーザ光が全て吸収され、深部側の血管壁まで光が届かないことがある。この場合、検出信号には、超音波振動子側の界面にしか波形が現れない。血管の深さ方向の位置が深く、レーザ光が照射される被検体の表面から離れている場合も、同様に、深部側の血管壁まで光が届かず、検出信号には片側にしか波形が現れないことがある。
【0007】
血管径が比較的細い場合、超音波振動子側と深部側との双方に波形が現れるため、そのような検出信号(光音響信号)に基づいて光音響画像を生成すると、血管部分が円形で描画される。しかし、深部側の血管壁までレーザ光が届かない場合、片側にしか波形が現れないことから、本来血管は円形であるにもかかわらず、光の進行方向手前側の血管壁しか画像化されず、血管が例えば半円状に描画されることになる。この場合、観察者は、光音響画像中のどの部分が血管であるかを判断することが困難となる。
【0008】
本発明は、上記に鑑み、血管などの管状の構造物の片側からしか光音響信号の波形が得られないような場合でも、観察者が、光音響画像中に含まれる血管などの構造物を容易に認識可能な光音響画像生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体に照射すべき光を出射する光源ユニットと、前記光源ユニットから出射した光が被検体に照射された後に、被検体内で発生した光音響信号を検出する超音波プローブと、前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、前記光音響画像から管状の構造物を検出する管状物検出手段と、前記検出された管状の構造物のうちで、前記光の進行方向奥側の管壁部分が欠けた管状の構造物について、前記管状の構造物を前記光の進行方向手前側から見たときの幅を求め、該求めた幅を前記管状の構造物の前記光が進行する方向の径であるとみなして欠けている管壁部分を補間生成する管状構造物補正手段とを備えることを特徴とする光音響画像生成装置を提供する。
【0010】
検出対象の管状の構造物は、例えば照射された光を吸収する光吸収体を管状に取り囲む構造物である。具体的には、管状の構造物としては血管などが考えられる。
【0011】
前記管状構造物検出手段は、円弧状のエッジを前記管状の構造物として検出することができる。
【0012】
前記管状構造物補正手段は、更に前記光音響画像中の前記管状の構造物の内側を所定の色で塗りつぶしてもよい。
【0013】
また、前記管状構造物補正手段は、前記欠けていた管壁部分を、前記光音響画像に存在していた管壁部分と区別可能な態様で表示されるように補間生成してもよい。
【0014】
前記超音波プローブが更に前記被検体に対して超音波の送信を行い、該送信した超音波に対する反射超音波を検出し、前記検出された反射超音波に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段と、前記光音響画像と前記超音波画像とを合成する画像合成手段とを更に備える構成を採用してもよい。
【0015】
前記画像合成手段は、前記光音響画像と超音波画像とを重畳することで画像合成を行うものとしてもよい。
【0016】
本発明は、また、光源ユニットからの光を被検体に照射するステップと、前記照射された光に起因して被検体内で発生した光音響信号を検出するステップと、前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップと、前記光音響画像から管状の構造物を検出するステップと、前記検出された管状の構造物のうちで、前記光の進行方向奥側の管壁部分が欠けた管状の構造物について、前記管状の構造物を前記光の進行方向手前側から見たときの幅を求め、該求めた幅を前記管状の構造物の前記光が進行する方向の径であるとみなして欠けている管壁部分を補間生成するステップとを有することを特徴とする光音響画像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光音響画像生成装置及び方法は、被検体に光を照射して光音響信号を検出し、検出した光音響信号に基づいて光音響画像を生成し、生成した光音響画像から血管などの管状の構造物を検出する。検出した管状の構造物のうち、光の進行方向奥側の管壁部分が欠けたものについて、その管状の構造物を光進行方向手前側から見たときの幅を求め、求めた幅を管状の構造物の光の進行方向の径であるとみなして、管状の構造物の欠けている部分を補間生成する。このようにすることで、円周の一部が欠けた状態の管状の構造物を円形で表示することができ、光音響画像を観察する観察者が、光音響画像中に含まれる管状の構造物を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の光音響画像生成装置を示すブロック図。
【図2】血管の欠けている部分の補間生成を行わないときの光音響画像を示す図。
【図3】血管の補正を示す図。
【図4】血管補正後の光音響画像を示す図。
【図5】動作手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の第2実施形態の光音響画像生成装置を示すブロック図。
【図7】血管部分の内部を塗りつぶした光音響画像を示す図。
【図8】比較的細い血管から発生する光音響信号を示す図。
【図9】比較的太い血管から発生する光音響信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光音響画像生成装置を示す。光音響画像生成装置(光音響画像診断装置)10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及び光源ユニット(レーザユニット)13を備える。
【0020】
レーザユニット13は、被検体に照射するレーザ光を生成する。レーザ光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13が出射するレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に照射される。プローブ11は、レーザユニット13から出射した光が被検体に照射された後に、被検体内の光吸収体がレーザ光を吸収することで生じた超音波(光音響信号)を検出する。プローブ11は、例えば一次元配列された複数の超音波振動子を有する。
【0021】
超音波ユニット12は、受信回路21、AD変換手段22、光音響画像再構成手段24、検波・対数変換手段25、血管検出手段26、血管補正手段27、光音響画像構築手段28、トリガ制御回路29、及び制御手段30を有する。受信回路21は、プローブ11で検出された光音響信号を受信する。AD変換手段22は、受信回路21が受信した光音響信号をデジタル信号に変換する。AD変換手段22は、例えば、外部から入力する所定周波数のADクロック信号に基づいて、所定のサンプリング周期で光音響信号をサンプリングする。受信メモリ23は、AD変換手段22でサンプリングされた光音響信号を記憶する。
【0022】
光音響画像再構成手段24は、受信メモリ23から光音響信号を読み出し、プローブ11の複数の超音波振動子で検出された光音響信号に基づいて、光音響画像の各ラインのデータを生成する。光音響画像再構成手段24は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子からのデータを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。光音響画像再構成手段24は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行ってもよい。あるいは光音響画像再構成手段24は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行ってもよい。
【0023】
検波・対数変換手段25は、光音響画像再構成手段24が出力する各ラインのデータの包絡線を求め、求めた包絡線を対数変換する。光音響画像構築手段28は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、光音響画像を生成する。光音響画像構築手段28は、例えば光音響信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を光音響層画像における深さ方向の位置に変換して光音響画像を生成する。光音響画像再構成手段24、検波・対数変換手段25、及び光音響画像構築手段28は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段を構成する。
【0024】
制御手段30は、超音波ユニット12内の各部を制御する。トリガ制御回路29は、光音響画像生成に際して、レーザユニット13にフラッシュランプトリガ信号を送る。また、フラッシュランプトリガ信号の出力後に、Qスイッチトリガ信号を送る。レーザユニット13は、フラッシュランプ31とQスイッチ32とを含む。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号を受けてフラッシュランプ31を点灯し、レーザ励起を開始する。レーザユニット13は、Qスイッチトリガ信号が入力されるとQスイッチをONにし、パルスレーザ光を出射する。トリガ制御回路29は、被検体に対するレーザ光照射と同期してAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送り、AD変換手段22における光音響信号のサンプリング開始タイミングを制御する。
【0025】
血管検出手段26は、光音響画像から管状の構造物を検出する管状構造物検出手段に相当する。検出対象の管状の構造物は、照射された光を吸収する光吸収体を管状に取り囲む構造物である。血管検出手段26は、光音響画像から、管状の構造物としての血管を検出する。血管検出手段26は、例えば光音響画像における円形及び円弧状のエッジを血管として検出する。本実施形態では、血管検出手段26は、検波・対数変換手段25にて検波・対数処理が施された光音響信号に基づいて、血管の検出を行うものとする。検波・対数処理が施された光音響信号は、光音響画像とみなすことができる。
【0026】
血管補正手段27は、光音響画像における管状の構造物の補正を行う管状構造物補正手段に相当する。血管補正手段27は、血管検出手段26で検出された血管のうち、円周の一部が欠けた円弧状の血管、例えばレーザ光の進行方向の奥側の血管壁が欠けた血管を補正対象の血管とする。血管補正手段27は、補正対象の血管について、円弧状の血管をレーザ光の進行方向の手前から見たときの血管の幅を求める。血管補正手段27は、求めた幅が、血管のレーザ光の進行方向の径であるとみなして、欠けている血管壁部分を補間生成する。血管補正手段27は、例えば半円形で表わされている血管が円形で表わされるように、欠けている部分を補間生成する。
【0027】
図2は、血管補正手段27が血管の欠けている部分の補間生成を行わないときの光音響画像を示す。図2では、プローブ11側からレーザ光の照射を行い、プローブ11が有する一次元配列された複数の超音波振動子で光音響信号を検出するものとする。被検体の表面に近い位置にある血管では、血管径が細いこともあって、表面側から照射されたレーザ光は血管内部で全てが吸収されずに、深部側の血管壁まで光が届く。その結果、超音波振動子側界面(表面側の界面)と深部側の界面との双方から波形が現れ(図8参照)、光音響画像50中に血管51、52が円形で描画される。
【0028】
一方、深部にある血管、或いは血管径が太い血管では、表面側から照射されたレーザ光が血管内部で全て吸収されるなどして深部側の血管壁まで届かず、超音波振動子側界面にしか波形が現れない(図9参照)。このため、光音響画像50において、本来円形で表わされるべき血管53が、深部側の半分が欠けた円弧状になる。血管検出手段26は、円形及び円弧状のエッジを検出することで、光音響画像50に円形で描画される血管51、52と、半円径の血管53とを検出する。血管補正手段27は、例えば血管検出手段26が検出した血管51〜53(図2)のうち、円周に欠けている部分が存在する(円弧状の)血管53を補正対象の血管とする。
【0029】
図3は、血管補正手段27が行う血管の補正を示す。図3において、レーザ光の進行方向は紙面向って上から下に向かう方向であるとする。血管補正手段27は、光進行方向手前側の上半分の円弧の、光進行方向とほぼ直交する方向の(横方向の)幅を求める。求めた幅は、補正対象の血管の横径に相当する。血管は、ほぼ円形であると考えられるので、血管の横径と縦径(光進行方向の径)は一致しているものと考えられる。そこで、血管補正手段27は、補正対象の血管の縦径(光進行方向の径)が、光進行方向とほぼ直交する方向の幅(横径)と一致するものとみなして欠けている円弧の部分を生成し、円周に欠けている部分が存在していた血管を円形に補正する。
【0030】
図4は、血管補正後の光音響画像を示す。血管補正手段27が、図2では深部側半分が欠けた円弧状に描画されていた血管53部分の欠けている円弧の部分を補間生成することで、図4に示す光音響画像では、血管53が円形で描画されることになる。図4に示す光音響画像を観察したユーザは、浅い位置に血管51、52が存在しているのに加えて、深い位置に血管53が存在していることを、容易に認識することができる。
【0031】
図5は、動作手順を示す。トリガ制御回路29は、レーザユニット13に対してフラッシュランプトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号を受けてフラッシュランプ31を点灯する。トリガ制御回路29は、所定のタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、Qスイッチトリガ信号が入力されると、Qスイッチ32をONにし、パルスレーザ光を出射する。出射したパルスレーザ光は、例えばプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に照射される(ステップS1)。
【0032】
プローブ11は、レーザ光の照射後、レーザ光の照射により被検体内で発生した光音響信号を検出する(ステップS2)。超音波ユニット12の受信回路21は、プローブ11で検出された光音響信号を受信する。トリガ制御回路29は、被検体に対する光照射のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送る。AD変換手段22は、サンプリングトリガ信号を受けて光音響信号のサンプリングを開始し、光音響信号のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する。
【0033】
光音響画像再構成手段24は、受信メモリ23から光音響信号のサンプリングデータを読み出し、読み出した光音響信号のサンプリングデータに基づいて、光音響画像の各ラインのデータを生成する。検波・対数変換手段25は、光音響画像再構成手段24で生成された各ラインのデータの包絡線を求め、求めた包絡線を対数変換する。光音響画像構築手段28は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、光音響画像を生成する(ステップS3)。
【0034】
血管検出手段26は、光音響画像から血管を検出する(ステップS4)。血管検出手段26は、例えば光音響画像における円形及び円弧状のエッジを血管として検出する。血管補正手段27は、血管検出手段26で検出された血管のうち、円周の一部が欠けた円弧状の血管を補正対象の血管として、その血管を円形に補正する(ステップS5)。血管補正手段27は、血管の補正では、円弧状の血管をレーザ光の進行方向の手前から見たときの血管の幅を求め、求めた幅が、血管のレーザ光の進行方向の径であるとみなして、欠けている血管壁部分を補間生成する。
【0035】
画像表示手段14は、表示画面上に、血管部分が補正された光音響画像を表示する(ステップS6)。血管の補正なしに、検出された光音響信号に基づいて生成された光音響画像を表示すると、図2に示すように表面から深い位置にある血管が円弧状に表示され、それが血管であるのか否かを判別しづらい。これに対して、光音響画像において血管の欠けている部分を補正することで、図4に示すように血管が丸く表示されるため、観察者は、血管が存在していることを容易に認識できる。
【0036】
本実施形態では、血管補正手段27が、血管の光進行方向の幅と血管の光進行方向に対してほぼ直交する方向の幅とがほぼ等しくなるという性質を利用して、補正対象の血管の光進行方向に対してほぼ直交する方向の幅を求め、その血管の光進行方向の幅が求めた幅と等しいと仮定して、円周の一部が欠けた血管の欠けた部分を補正する。このようにすることで、片側からしか波形が得られないことで丸く描画されていなかった血管を円形で表示することができる。補正された光音響画像を観察する観察者は、光進行方向奥側の血管壁にまで光が届かない血管についても血管が円形で表示されることで、光音響画像中のどの部分が血管であるかを容易に認識することができる。
【0037】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図6は、本発明の第2実施形態の光音響画像生成装置を示す。光音響画像生成装置10aは、図1に示す第1実施形態の光音響画像生成装置10の構成に加えて、送信制御回路33、データ分離手段34、超音波画像再構成手段35、検波・対数変換手段36、超音波画像構築手段37、及び画像合成手段38を備える。本実施形態の光音響画像生成装置10aは、光音響画像に加えて、超音波画像の生成を行う点で、第1実施形態の光音響画像生成装置10と相違する。
【0038】
本実施形態では、プローブ11は、光音響信号の検出に加えて、被検体に対する超音波の出力(送信)、及び送信した超音波に対する被検体からの反射超音波の検出(受信)を行う。トリガ制御回路29は、超音波画像の生成時は、送信制御回路33に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送る。送信制御回路33は、トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。プローブ11は、超音波の送信後、被検体からの反射超音波を検出する。
【0039】
プローブ11が検出した反射超音波は、受信回路21を介してAD変換手段22に入力される。トリガ制御回路29は、超音波送信のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリグトリガ信号を送り、反射超音波のサンプリングを開始させる。AD変換手段22は、反射超音波のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する。光音響信号の検出(サンプリング)と、反射超音波の検出(サンプリング)とは、どちらを先に行ってもよい。
【0040】
データ分離手段34は、受信メモリ23に格納された光音響信号のサンプリングデータと反射超音波のサンプリングデータとを分離する。データ分離手段34は、分離した光音響信号のサンプリングデータを光音響画像再構成手段24に入力する。光音響画像の生成、及び血管の検出・補正は、第1実施形態と同様である。データ分離手段34は、分離した反射超音波のサンプリングデータを、超音波画像再構成手段35に入力する。
【0041】
超音波画像再構成手段35は、プローブ11の複数の超音波振動子で検出された反射超音波(そのサンプリングデータ)に基づいて、超音波画像の各ラインのデータを生成する。各ラインのデータの生成には、光音響画像再構成手段24における各ラインのデータの生成と同様に、遅延加算法、CBP法、ハフ変換法、又はフーリエ変換法を用いることができる。検波・対数変換手段36は、超音波画像再構成手段35が出力する各ラインのデータの包絡線を求め、求めた包絡線を対数変換する。
【0042】
超音波画像構築手段37は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、超音波画像を生成する。超音波画像再構成手段35、検波・対数変換手段36、及び超音波画像構築手段37は、反射超音波に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段を構成する。画像合成手段38は、光音響画像と超音波画像とを合成する。画像合成手段38は、例えば光音響画像と超音波画像とを重畳することで画像合成を行う。合成された画像は、画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えてすることも可能である。
【0043】
本実施形態では、光音響画像生成装置は、光音響画像に加えて超音波画像を生成する。超音波画像を参照することで、光音響画像では画像化することができない部分を観察することができる。光音響画像において、光進行方向奥側の血管壁にまで光が届かない血管についても血管が円形で表示される点は、第1実施形態と同様である。
【0044】
なお、光音響画像において、血管などの管状の構造物の内側を所定の色で塗りつぶすこととしてもよい。図7に、血管部分の内部を塗りつぶした光音響画像を示す。血管補正手段27は、補正前の光音響画像(図2)において光の進行方向奥側の円弧が欠けていた血管53については、欠けている部分を補間生成した上で、円形の血管部分の内側を所定の色で塗りつぶす。欠けが生じていない血管51、52については、補正なしに、円形の血管部分の内側を所定の色で塗りつぶせばよい。検出された血管部分に色を付けることで、血管部分の認識がより容易となる。
【0045】
血管補正手段27は、欠けている管壁部分の補間生成に際して、補間生成する管壁部分を、もともと光音響画像に存在していた管壁部分と区別可能な態様で表示されるようにしてもよい。血管補正手段27は、例えば図3の欠けている下側部分の円弧の色を、上側の円弧の色とは異なる色としてもよい。この場合、光音響画像中のどの部分が、もともとの光音響画像には存在しておらず、補間生成により補正された部分であるかを判別することができる。
【0046】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響画像生成装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10:光音響画像生成装置(光音響画像診断装置)
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
14:画像表示手段
21:受信回路
22:AD変換手段
23:受信メモリ
24:画像再構成手段
25:検波・対数変換手段
26:血管検出手段
27:血管補正手段
28:画像構築手段
29:トリガ制御回路
30:制御手段
25:送信制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照射すべき光を出射する光源ユニットと、
前記光源ユニットから出射した光が被検体に照射された後に、被検体内で発生した光音響信号を検出する超音波プローブと、
前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、
前記光音響画像から管状の構造物を検出する管状物検出手段と、
前記検出された管状の構造物のうちで、前記光の進行方向奥側の管壁部分が欠けた管状の構造物について、前記管状の構造物を前記光の進行方向手前側から見たときの幅を求め、該求めた幅を前記管状の構造物の前記光が進行する方向の径であるとみなして欠けている管壁部分を補間生成する管状構造物補正手段とを備えることを特徴とする光音響画像生成装置。
【請求項2】
前記管状構造物検出手段が、円弧状のエッジを前記管状の構造物として検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の光音響画像生成装置。
【請求項3】
前記管状構造物補正手段が、更に前記光音響画像中の前記管状の構造物の内側を所定の色で塗りつぶすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光音響画像生成装置。
【請求項4】
前記管状の構造物が血管であることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項5】
前記管状の構造物が、前記照射された光を吸収する光吸収体を管状に取り囲む構造物であることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項6】
前記管状構造物補正手段が、前記欠けていた管壁部分を、前記光音響画像に存在していた管壁部分と区別可能な態様で表示されるように補間生成するものである請求項1から5何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項7】
前記超音波プローブが更に前記被検体に対して超音波の送信を行い、該送信した超音波に対する反射超音波を検出し、
前記検出された反射超音波に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成手段と、
前記光音響画像と前記超音波画像とを合成する画像合成手段とを更に備えることを特徴とする請求項1から6何れかに光音響画像生成装置。
【請求項8】
前記画像合成手段が、前記光音響画像と超音波画像とを重畳することで画像合成を行うものであることを特徴とする請求項7に記載の光音響画像生成装置。
【請求項9】
光源ユニットからの光を被検体に照射するステップと、
前記照射された光に起因して被検体内で発生した光音響信号を検出するステップと、
前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップと、
前記光音響画像から管状の構造物を検出するステップと、
前記検出された管状の構造物のうちで、前記光の進行方向奥側の管壁部分が欠けた管状の構造物について、前記管状の構造物を前記光の進行方向手前側から見たときの幅を求め、該求めた幅を前記管状の構造物の前記光が進行する方向の径であるとみなして欠けている管壁部分を補間生成するステップとを有することを特徴とする光音響画像生成方法。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−17760(P2013−17760A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155367(P2011−155367)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】