免疫機能を調節する組成物および方法
本発明は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を投与することを含む、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法、および免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全体が参考として本明細書中に組み込まれている、2007年9月14日出願の米国仮特許出願第60/993,774号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫系とは、通常は身体を防御し、細菌、ウイルス、および他の浸潤性の異物によって引き起こされる感染症を排除するように働く細胞および細胞成分(分子)の複雑なネットワークである。人が自己免疫疾患に罹患している場合、免疫系は誤って自身を攻撃し、その人自分自身の身体細胞、組織および臓器を標的とする。一部の自己免疫疾患は、ウイルス感染、寄生生物感染および慢性細菌感染症などの特定のトリガーで開始されるまたは悪化することが知られている。免疫系および自己免疫疾患の経路に影響を与える、他のあまり理解されていない影響力には、加齢、慢性ストレス、ホルモンおよび妊娠が含まれる。多くの異なる自己免疫疾患が存在し、これらはそれぞれ異なる様式で身体に影響を与える場合がある。自己免疫疾患の多くは稀であるが、分類としては、自己免疫疾患は数百万人の人々を苦しめている。
【0003】
自己免疫疾患は、しばしば慢性であり、その人が健康であるように見えるまたはそう感じている場合でも、生涯にわたる介護および監視を要する。現在、数種の自己免疫疾患を治療で治癒または寛解させることができる。医師は、ほとんどの場合、患者が自己免疫疾患によって引き起こされる炎症の結果を管理することを支援する。一部の人では、限定された数の免疫抑制医薬品のみが疾患の寛解をもたらし得る。しかし、その疾患が寛解された場合でも、患者がその医薬品を中断できることは稀であり、免疫抑制医薬品の長期的な副作用は相当である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
免疫調節物質は、エリテマトーデスおよび糖尿病などの全身性自己免疫疾患、ならびに免疫不全疾患の治療に有用である。また、免疫調節物質は、癌の免疫療法あるいは外来臓器または腎臓、心臓、もしくは骨髄などの移植片中の他の組織の拒絶の予防にも有用である。免疫調節物質の例には、FK506、ムラミル酸ジペプチド誘導体、レバミゾール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジール、ならびにインターフェロン、インターロイキン、ロイコトリエン、コルチコステロイド、およびシクロスポリンの群からの他のものが含まれる。しかし、これらの化合物の多くは、それを必要としている対象において望ましくない副作用および/または高い毒性を有する。したがって、さらなる治療の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫機能を阻害する方法を提供する。
【0006】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫応答を抑制する方法を提供する。
【0007】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法を提供する。
【0008】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】化合物Xが、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのIFN−γおよびTNFαの産生を阻害したことを示す図である。
【図2】化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのコラーゲン誘発IFN−γの産生を阻害したことを示す図である。
【図3】化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoの抗CD3 mAb誘発IL−17の産生を阻害したことを示す図である。
【図4】化合物Xが、CIAラットからの全血においてex vivoのLPS刺激サイトカインを阻害したことを示す図である。
【図5】化合物Xの予防的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す図である。
【図6】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す図である。
【図7】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて膝の組織病理学的スコアを有意に減少させたことを示す図である。
【図8】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて骨吸収および関節損傷を保護したことを示す図である。
【図9】化合物Xが、CD3刺激マウス脾細胞のサイトカイン放出を阻害したことを示す図である。
【図10】in vivoの化合物Xの急性期治療が、CD3誘発サイトカイン放出の減少をもたらしたことを示す図である。
【図11】化合物Xを用いたin vitro治療が、脾臓細胞のCD3誘発サイトカイン産生を阻害したことを示す図である。
【図12】化合物Xが、ネズミDNFB誘発DTHモデルにおいて炎症を用量依存的に阻害したことを示す図である。
【図13】2つの異なるレジメンを使用した化合物Xを用いた治療が、DNFB−DTH応答の比較可能かつ有意な減少をもたらしたことを示す図である。
【図14】組織学的スコア付けによって決定した、確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウスの関節における、骨損傷に対する化合物Xの効果を示す図である。
【図15】確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウスにおける、a)関節炎ならびにb)パンヌス形成および骨減少に対する化合物Xの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫機能を阻害する方法を提供する。
【0011】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫応答を抑制する方法を提供する。
【0012】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法を提供する。
【0013】
特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、患者自身の免疫系が、患者の組織のうちの1つまたは複数を損傷させる種類のものである。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、患者内の何かまたは患者の環境内の何かによって始動され得る。
【0014】
特定の実施形態では、本発明の自己免疫疾患または自己免疫障害は、開始原因に続くものであり得る。たとえば、自己免疫疾患または自己免疫障害は、感染症および/または何らかの他の開始原因によって引き起こされるものであり得る。潜在的な開始原因には、老齢、感染症(寄生生物感染症など)、ステロイドを用いた治療、ミョウバンを用いた反復ワクチン接種、妊娠および/または癌が含まれ得る。
【0015】
特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、臓器特異的または臓器非特異的であり得る。そのような自己免疫疾患または自己免疫障害の例には、多発性硬化症、関節炎(たとえば、関節リウマチまたは若年性関節炎)、クローン病、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、全身性エリテマトーデス(SLEまたはループス)、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、乾癬、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症、移植片拒絶、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、および血管障害が含まれる。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、多発性硬化症、再生不良性貧血、全身性エリテマトーデス(SLEもしくはループス)、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、白斑、移植片拒絶、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、白斑、移植片拒絶、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、乾癬、ライター症候群、リウマチ熱、強皮症、全身硬直症候群、白斑、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身硬直症候群、白斑、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身硬直症候群、または白斑から選択される。
【0016】
自己免疫疾患または自己免疫障害が血管障害である特定の実施形態では、血管障害には、自己免疫要素を含む任意の血管疾患または障害、たとえば、自己免疫応答によって引き起こされるものが含まれ得る。例示的な血管障害には、レイノー病およびレイノー現象、前部ブドウ膜炎、血管炎、閉塞性血管障害、アテローム形成(すなわち動脈硬化症)、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、再灌流傷害、心伝導障害、心筋炎、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数が含まれる。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、ならびに心伝導障害のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、前部ブドウ膜炎、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、心伝導障害、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、心伝導障害、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、ならびに心伝導障害のうちの、1つまたは複数から選択される。
【0017】
自己免疫疾患または自己免疫障害が移植片拒絶である特定の実施形態では、移植片拒絶は慢性移植片拒絶であり得る。移植片拒絶を治療するために式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与する、本発明の特定の実施形態では、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの投与が、移植片(たとえば、同種移植または異種移植)に対する免疫応答を調節し、未治療の拒絶は、そうでない場合は移植片の損失をもたらす。したがって、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを、移植の前、その間および/またはその後に投与する慣用の免疫抑制剤の代わりに、またはそれに追加で使用し得る。特定の実施形態では、移植片拒絶は、天然または人工の細胞、島細胞、組織(たとえば、天然もしくは人工の皮膚組織)、角膜、骨髄、臓器(たとえば腎臓、肝臓、膵臓、肺、もしくは心臓)、レンズ、またはペースメーカーの移植に応答したものである。
【0018】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法をさらに提供する。特定の実施形態では、免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症および病的状態には、毛細血管漏出、肺不全、敗血症、内毒素ショック、または組織損傷の続発症が含まれる。特定の実施形態では、免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症および病的状態は、毛細血管漏出または敗血症から選択される。
【0019】
本発明の方法での使用に適した化合物には、式Aのものが含まれる:
【化1】
[式中、
W’およびY’のそれぞれは、単結合または20個までの原子を含有する環もしくは20個までの原子の鎖から独立して選択されるリンカーであり、ただし、W’およびY’には、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、W’およびY’には、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、またはスルホニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、W’およびY’は、独立して、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を含有することができ、ただし、さらに、o’が0であり、V1が
【化2】
である場合、Y’は、炭素原子を介してV1と結合しており;
V1は、
【化3】
【化4】
から選択され、q’が0であり、V3が単結合である場合、n’は0または1であり;それ以外は、n’は1であり;
V2は、単結合、
【化5】
から選択され、
L’は、−C(R1003)(R1004)−から選択され、R1003およびR1004のそれぞれは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択されるか、または、R1003およびR1004は、一緒に結合されて炭素環またはヘテロ環を形成し;V3が
【化6】
である場合、L’は、さらにW’から選択され;n’は、0または1であり;
V3は、単結合または
【化7】
から選択され
それぞれのR1001およびR1002は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、またはハロから選択され、前記アルキルまたはアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
Ra'およびRb'のそれぞれは、各々独立して、−OR’もしくは−N(R’)2から選択されるか、または、隣接するRa'およびRb'は、一緒になって、シスもしくはトランスの立体配置を有するエポキシド環を形成し、それぞれのR’は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、または保護基から独立して選択されるか;
あるいは、V1が
【化8】
であり、V2が
【化9】
である場合、R1002およびRb'はどちらも水素であり;
X’は、−CN、−C(NH)N(R'')(R'')、−C(S)−A’、−C(S)R''、−C(O)−A’、−C(O)−R''、−C(O)−SR''、−C(O)−NH−S(O)2−R''、−S(O)2−A’、−S(O)2−R''、S(O)2N(R'')(R'')、−P(O)2−A’、−PO(OR'')−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、または−CH2OHから選択され、
A’は、−OR''、−N(R'')(R'')または−OM’から選択され;
それぞれのR''は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能な標識分子から独立して選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
M’は、陽イオンであり;
G’は、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミドまたは検出可能な標識分子から選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
o’は、0、1、2、3、4、または5であり;
p’は、0、1、2、3、4、または5であり;
q’は、0、1、または2であり;
o’+p’+q’は、1、2、3、4、5または6であり;
V2が単結合である場合、q’は0であり、V3は単結合であり;
V3が
【化10】
である場合、o’は0であり、V1は
【化11】
であり、p’は1であり、V2は
【化12】
であり;
任意の非環状二重結合は、シスもしくはトランスの立体配置であり得るか、または三重結合によって任意選択で置き換えられており;
化合物の1つの
【化13】
部分は、存在する場合は、
【化14】
によって任意選択で置き換えられているか、または化合物の1つの
【化15】
部分は、存在する場合は、
【化16】
によって任意選択で置き換えられており、Q’は、1つまたは複数の置換基を表し、それぞれのQ’は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシまたはアミノカルボニルから独立して選択される]。
特定の実施形態では、V1は、
【化17】
から選択される。
特定の実施形態では、V2は、単結合、
【化18】
から選択される。
【0020】
特定の実施形態では、q’が0であり、V3が単結合である場合、n’は0または1であり;それ以外は、n’は1である。
【0021】
特定の実施形態では、p’は0、1、2、3、または5である。
【0022】
特定の実施形態では、q’は0または1である。
【0023】
特定の実施形態では、V1が
【化19】
である場合、o’は0または1であり、p’は1または2であり、o’+p’は1または2であり、V2は
【化20】
であり、V3は単結合である。
【0024】
特定の実施形態では、V1が
【化21】
である場合、o’は3、4または5であり、p’は0、1または2であり、o’+p’は4または5であり、V2は単結合である。
【0025】
特定の実施形態では、V2が単結合である場合、o’は0、3、4または5であり;p’は0、1、2または5であり、o’+p’は4または5であり、q’は0であり、V3は単結合である。
【0026】
特定の実施形態では、W’およびY’のそれぞれは、単結合、またはアルケニル、アルキニル、アリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、もしくはオキソから独立して選択される1つもしくは複数の置換基で任意選択で置換された低級アルキルもしくはヘテロアルキルから独立して選択される。
【0027】
本発明の方法での使用に適した化合物には、式1のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化22】
[式中、
炭素a’およびb’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素c’およびd’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
Re、Rf、およびRgは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから独立して選択され;
Rh、RiおよびRjは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択され;
Iは、−C(O)−E、−SO2−E、−PO(OR)−Eから選択され、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;Rは、水素またはアルキルであり;
J、LおよびHは、20個までの原子を含有する環または20個までの原子の鎖から独立して選択されるリンカーであり、ただし、J、LおよびHには、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、J、LおよびHには、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、およびスルホニルから選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、J、LおよびHは、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環も含有することができ、ただし、リンカーJは、炭素原子を介して隣接するC(R)OR基と結合しており;
Gは、水素、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、またはカルボキサミドから選択される]。
【0028】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0029】
特定の実施形態では、式1の化合物は、E、Re、Rf、およびRgが上記定義したとおりである、式2によって表される。
【化23】
【0030】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0031】
式2の例示的な化合物には、
【化24】
が含まれる。
【0032】
特定の実施形態では、式1の化合物は、E、Re、Rf、およびRgが上記定義したとおりである、式3によって表される。
【化25】
【0033】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0034】
式3の例示的な化合物には、
【化26】
が含まれる。
【0035】
式1のさらなる例示的な化合物、化合物Xが含まれる。
【化27】
【0036】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式4のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化28】
[式中、
Aは、Hまたは−OP4であり;
P1、P2およびP4は、それぞれ独立して、保護基または水素原子であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキルアリール基、ハロゲン原子、水素原子であり;
Zは、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(O)H、−C(NH)NRcRc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRcRc、−CN、好ましくはカルボン酸、エステル、アミド、チオエステル、チオカルボキサミドまたはニトリルであり;
それぞれのRaは、存在する場合は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のヘテロシクリル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のヘテロシクリルアルキル、5〜10員のヘテロアリールおよび6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
それぞれのRbは、存在する場合は、=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2Rd、−S(O)2ORd、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、−OS(O)Rd、−OS(O)2Rd、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(NH)NRcRc、−C(NRa)NRcRc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcRc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcRc、−OC(NH)NRcRc、−OC(NRa)NRcRc、−[NHC(O)]nRd、−[NRaC(O)]nRd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcRc、−[NRaC(O)]nNRcRc、−[NHC(NH)]nNRcRcおよび−[NRaC(NRa)]nNRcRcから独立して選択される適切な基であり;
それぞれのRcは、存在する場合は、独立して、保護基もしくはRaであるか、または、その代わりに、2つのRcは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、一つもしくは複数の追加のヘテロ原子が任意選択で含まれ、かつ同一もしくは異なるRaのうちの1つもしくは複数または適切なRb基で任意選択で置換されている5〜8員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリールを形成し;
それぞれのnは、独立して、0〜3の整数であり;
それぞれのRdは、独立して、保護基またはRaである]。
【0037】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式5のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化29】
[式中、
P3は、保護基または水素原子であり;
P1、P2、R1およびZは、式4中で上記定義したとおりである]。
【0038】
式5の例示的な化合物には、化合物5aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化30】
【0039】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式6のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化31】
[式中、
炭素gg’と炭素hh’との結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
それぞれのXは、水素を表すか、あるいは、両方のX基は、3員環が形成されるように、一緒になって、1つの置換もしくは非置換のメチレン、酸素原子、置換もしくは非置換のN原子、または硫黄原子を表し;
P1、P2、P3、R1およびZは、上記定義したとおりである]。
【0040】
式6の例示的な化合物には、化合物6aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化32】
【0041】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式7のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化33】
[式中、
炭素e’およびf’は、二重結合または三重結合によって結合されており、炭素e’が二重結合によって炭素f’と結合している場合、立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素g’およびh’は、二重結合または三重結合によって結合されており、炭素g’が二重結合によって炭素h’と結合している場合、立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
T’は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C5〜C14)アリール、(C6〜C16)アリールアルキル、5〜14員のヘテロアリール、6〜16員のヘテロアリールアルキル、または−CH=CHCH2CH3であり;
Tは、−(CH2)q−または−(CH2)q−O−であり、qは、0〜6の整数であり;
Z’は、1、2、3、4、5もしくは6個の同一もしくは異なるハロゲン原子で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキレン、−(CH2)p−O−CH2−または−(CH2)m−S−CH2−であり、pは、0〜4の整数であり;
R11、R12およびR13は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の分枝状もしくは非分枝状のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の分枝状もしくは非分枝状のアルキルアリール基、C1-4アルコキシ、ハロゲン原子、−CH2R14、−CHR14R14、−CR14R14R14、または水素原子であり;
R14は、各々独立して、−CN、−NO2またはハロゲンから選択され;
P1、P2、P3、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0042】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式8のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化34】
[式中、
炭素i’と炭素j’との結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
D’は、CH3、−CH=CHCH2Uまたは−CH=CHCH2CH2Aであり;
Uは、分枝状または非分枝状の置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、およびアリールオキシカルボニルオキシ基であり;
Aは、Hまたは−OP4であり;
P1、P2、P4、R1、R2およびZは、上記定義したとおりである]。
【0043】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式9のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化35】
[式中、
炭素k’およびl’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素m’と炭素n’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
Dは、−CH3または−CH=CHCH2CH3であり;
P1、P2、P3、R1、X、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0044】
式9の例示的な化合物には、化合物9aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化36】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式10のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【0045】
【化37】
[式中、
P1、P2、P3、R1およびZは、上記定義したとおりであり;
Qは、1つまたは複数の置換基を表し、それぞれのQは、独立して、存在する場合は、ハロゲン原子、または、分枝状もしくは非分枝状の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシもしくはアミノカルボニル基である]。
【0046】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、P3、R1、およびZが上記定義したとおりである、式11のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化38】
【0047】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、P3、Q、R1、およびZが上記定義したとおりである、式12のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化39】
【0048】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、R1、R2、U、およびZが上記定義したとおりである、式13のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化40】
【0049】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、R1、R2、Q、およびZが上記定義したとおりである、式14のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化41】
【0050】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、およびZが上記定義したとおりである、式15のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化42】
【0051】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1およびZが上記定義したとおりである、式16のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化43】
【0052】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式17のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化44】
[式中、
炭素o’およびp’は、単結合または二重結合によって結合されており;
炭素q’およびr’は、単結合または二重結合によって結合されており;
P1、P2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0053】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式18のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化45】
[式中、
炭素s’と炭素t’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素u’と炭素v’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
P1、P2、R1、R2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0054】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式19のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化46】
[式中、
炭素w’およびx’は、単結合または二重結合によって結合されており;
炭素y’およびz’は、単結合または二重結合によって結合されており;
P1、P2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0055】
式4〜19の特定の実施形態では、それぞれのRbは、存在する場合は、=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2Rd、−S(O)2ORd、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、−OS(O)Rd、−OS(O)2Rd、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(NH)NRcRc、−C(NRa)NRcRc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcRc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcRc、−OC(NH)NRcRc、−OC(NRa)NRcRc、−[NHC(O)]nRd、−[NRaC(O)]nRd、−[NHC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcRc、−[NRaC(O)]nNRcRc、−[NHC(NH)]nNRcRcおよび−[NRaC(NRa)]nNRcRcから独立して選択される適切な基である。
【0056】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式20
【化47】
、式21
【化48】
、式22
【化49】
、式23
【化50】
、式24
【化51】
、式25
【化52】
、式26
【化53】
、式27
【化54】
、または式28
【化55】
のもの、またはそのうちの任意のものの製薬上許容される塩が含まれる
[式中、
それぞれのPは、独立して、Hまたは保護基から選択され;
Rは、H、C1-6アルキル(たとえば、メチル、エチル、グリセロール)、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルである]。
【0057】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式29のもの、ならびに製薬上許容されるその塩、水和物および溶媒和物が含まれる:
【化56】
[式中、
D1−E1およびF1−G1は、独立して、シスまたはトランスの−C=C−または−C≡C−であり;
R101、R102およびR103は、水素、(C1〜C4)の直鎖または分枝状アルキル、(C2〜C4)アルケニル、(C2〜C4)アルキニル、(C1〜C4)アルコキシ、−CH2R104、−CHR104R104および−CR104R104R104から独立して選択され;
それぞれのR104は、CN、−NO2およびハロゲンから独立して選択され;
W1は、−R105、−OR105、−SR105および−NR105R105から選択され;
それぞれのR105は、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C5〜C14)アリール、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換されたフェニル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C6〜C16)アリールアルキル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された5〜14員のヘテロアリール、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された6〜16員のヘテロアリールアルキルおよび検出可能な標識分子から独立して選択され;
A1は、1、2、3、4、5または6個の同一または異なるハロゲン原子で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキレン、−(CH2)m−O−CH2−および−(CH2)m−S−CH2−から選択され、mは、0〜4の整数であり;
X1は、−(CH2)n−および−(CH2)n−O−から選択され、nは、0〜6の整数であり;
Y1は、水素、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、または(C2〜C6)アルキニル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C5〜C14)アリール、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換されたフェニル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C6〜C16)アリールアルキル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された5〜14員のヘテロアリール、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された6〜16員のヘテロアリールアルキルおよび検出可能な標識分子から選択され;
それぞれのR100は、電気陰性基、=O、−ORa1、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、=S、−SRa1、=NRa1、=NONRa1、−NRc1Rc1、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Ra1、−S(O)2Ra1、−S(O)2ORa1、−S(O)2NRc1Rc1、−OS(O)Ra1、−OS(O)2Ra1、−OS(O)2ORa1、−OS(O)2NRc1Rc1、−C(O)Ra1、−C(O)ORa1、−C(O)NRc1Rc1、−C(NH)NRc1Rc1、−OC(O)Ra1、−OC(O)ORa1、−OC(O)NRc1Rc1、−OC(NH)NRc1Rc1、−NHC(O)Ra1、−NHC(O)ORa1、−NHC(O)NRc1Rc1および−NHC(NH)NRc1Rc1から独立して選択され;
それぞれのRa1は、水素、(C1〜C4)アルキル、(C2〜C4)アルケニルまたは(C2〜C4)アルキニルから独立して選択され;
それぞれのRc1は、独立して、Ra1であるか、または、その代わりに、Rc1Rc1は、それが結合している窒素原子一緒になって、5または6員の環を形成する]。
【0058】
式29の特定の実施形態では、X1−Y1が−CH2CH3である場合、R101、R102またはR103のうちの少なくとも1つは、水素以外である。
【0059】
特定の実施形態では、式29の化合物は、式30によって表される。
【化57】
【0060】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式31〜37のもの、ならびに製薬上許容されるその塩、水和物および溶媒和物が含まれる:
【化58】
[式中、
R106は、−OH、−OCH3、−OCH(CH3)2または−NHCH2CH3であり;
R107は、
【化59】
である]。
【0061】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式38のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化60】
[式中、
炭素aa’およびbb’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素cc’およびdd’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
Re、Rf、およびRgは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから独立して選択され;
Eは、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;
Rh、RiおよびRjは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択され;
R4は、水素、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシから選択され;
R5は、以下のi〜ivから選択され:i)CH2CH(R6)CH2[式中、R6は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである];ii)CH2C(R6R7)CH2[式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリール、もしくはフルオロであるか、またはR6およびR7は、一緒に結合されて炭素環もしくはヘテロ環を形成する];iii)CH2OCH2、CH2C(O)CH2、またはCH2CH2;あるいはiv)R5は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環である;
R8およびR9は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリールもしくはヘテロアリールから独立して選択されるか、または、R8およびR9は、一緒に結合されて炭素環もしくはヘテロ環を形成する]。
【0062】
特定の実施形態では、R8およびR9は水素である。
【0063】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0064】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、Re、Rf、E、Ri、R5、R8およびR9が上記定義したとおりである、式39〜44のもの、および製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化61】
【化62】
式39、41、および43の例示的な化合物には、
【化63】
が含まれる。
【0065】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。そのような化合物の例には、化合物Zが含まれる。
【化64】
【0066】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式46のもの、製薬上許容されるその塩またはプロドラッグが含まれる:
【化65】
[式中、
それぞれの
【化66】
は独立して、二重または三重結合を示し;
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、OR、OX1、SR、SX2、N(R)2、NHX3、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、またはSO2N(R)2であり;
それぞれのRは、水素またはC1-6脂肪族、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環から選択される任意選択で置換された基から独立して選択されるか、あるいは;
同一窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し;
それぞれのX1は、独立して、適切なヒドロキシル保護基であり;
それぞれのX2は、独立して、適切なチオール保護基であり;
それぞれのX3は、独立して、適切なアミノ保護基であり;
R4は、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、またはSO2N(R)2である]。
【0067】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式47のもの、または製薬上許容されるその塩もしくはプロドラッグが含まれる:
【化67】
[式中、
Y’は、単結合、または20個までの原子を含有する環もしくは20個までの原子の鎖から選択されるリンカーであり、ただし、Y’には、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、Y’には、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、またはスルホニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、Y’は、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を含有することができる;
Z’は、−CN、−C(NH)N(R'')(R'')、−C(S)−A’、−C(S)R''、−C(O)−A’、−C(O)−R''、−C(O)−SR''、−C(O)−NH−S(O)2−R''、−S(O)2−A’、−S(O)2−R''、S(O)2N(R'')(R'')、−P(O)2−A’、−PO(OR'')−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、または−CH2OHから選択され、
A’は、−OR''、−N(R'')(R'')または−OM’から選択され;
それぞれのR''は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能な標識分子から独立して選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
M’は、陽イオンである]。
【0068】
特定の実施形態では、式47の化合物は、式48によって表される。
【化68】
【0069】
特定の実施形態では、式47の化合物は、式49によって表される。
【化69】
【0070】
上記化合物(たとえば、式Aまたは式1〜49のの化合物)は、炎症または炎症性疾患の治療または予防に有用であることが知られている。そのような化合物の例は、以下の特許および出願中に開示されている:US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号、US2005/0228047号、US2005/0238589号およびUS2005/0261255号。これらの化合物は、本発明の方法での使用に適している。
【0071】
本発明において有用な他の化合物は、上述の式Aまたは式1〜49の化合物のうちの任意のものと化学的に類似の変異体である化合物である。用語「化学的に類似の変異体」には、それだけには限定されないが、様々な部分を既知のバイオスター(biostere)で置き換えること;上記化合物のうちの1つの末端基を上記の任意の他の化合物の対応する末端基で置き換えること、化合物中の任意の二重結合の配向を変更すること、任意の化合物中の任意の二重結合を三重結合で置き換えること、および上記化合物のうちの1つ中に存在する1つまたは複数の置換基を任意の他の化合物の対応する置換基で置き換えることが含まれる。
【0072】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式50のもの、および製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化70】
[式中、
Xは、R301、OR301、またはSR301であり;
R301は
(a)水素原子;
(b)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル
【化71】
[式中、Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、−NO2、−CN、−C(=O)−R301、−SO3H、水素原子、ハロゲン、メチル、−ORxそれぞれから独立して選択され、Rxは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子、およびヒドロキシルであり、Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvのうちの任意のものは、C(=O)−R301である場合、前記Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvは、別のC(=O)−R301で置換されていない]、
(g)検出可能な標識分子;または
(h)包括的に2〜8個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝鎖のアルケニルであり;
Q1は、(C=O)、SO2または(CN)であり、ただし、Q1がCNである場合、Xは存在せず;
Q3およびQ4は、それぞれ独立して、O、SまたはNHであり;
R302およびR303のうちの一方は水素原子であり、他方は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)RkQ2Rlであり、Q2は、−O−もしくは−S−であり;Rkは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に0〜6個の炭素原子のアルキレンであり、Rlは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に0〜8個の炭素原子のアルキルであり、ただし、Rlが0である場合、Rlは水素原子であり;
R304は
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であり得る、包括的に1〜6個の炭素原子のアルキルであり;
R305は
【化72】
であり、
Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、上記定義されたとおりであり;
R306は
(a)H;
(b)包括的に1〜4個の炭素原子のアルキル、直鎖状または分枝状であり;
Y301は、−OH、メチル、−SH、直鎖状もしくは分枝状の包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル、包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシ、または(CH)p(Z)qであり、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3であり、Zは、シアノ、ニトロまたはハロゲンであり;
Tは、OまたはSである]。
【0073】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式51、52、53または54のものが含まれる:
【化73】
【化74】
[式中、
それぞれのR307は、水素および1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキルから独立して選択され;
R308、R309、R310、R319、およびR320は、以下から独立して選択され、
(a)水素;
(b)1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;
(c)ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、1〜20個の炭素原子を有する置換アルキル;
(d)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリール;ならびに
(e)Z−Y
[式中、Zは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換低級アルキル;ならびにアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリールから選択され;
Yは、水素;アルキル;シクロアルキル;カルボキシル;カルボキサミド;アリール;ヘテロアリール;アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリールから選択される];
R311〜R318は、以下から独立して選択され、
(a)水素;
(b)ハロ;
(c)1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;
(d)ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、1〜20個の炭素原子を有する置換アルキル;
(e)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリール;あるいは
R308〜R320は、独立して、リポキシン主鎖と炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、もしくは環を形成する単結合であるか;または
R307〜R320のうちの任意の2は、それらが結合している原子ならびに任意選択で1〜6個の酸素原子、1〜6個の窒素原子、もしくは1〜6個の酸素原子および1〜6個の窒素原子の両方と一緒になって、3〜20個の原子を含有する環を形成する]。
【0074】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式55のものが含まれる:
【化75】
[式中、
R401は、
【化76】
【化77】
から選択され;
R402は、
【化78】
から選択され;
X10は、R411、OR411、またはSR411であり;
R411は、
(a)水素原子;
(b)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル
【化79】
[式中、Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、−NO2、−CN、−C(=O)−R411、−SO3H、水素原子、ハロゲン、メチル、−ORxそれぞれから独立して選択され、Rxは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子、およびヒドロキシルであり;Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvのうちの任意のものは、C(=O)−R411である場合、前記Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvは、別のC(=O)−R411で置換されていない]
(g)検出可能な標識分子;または
(h)包括的に2〜8個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝鎖アルケニルであり;
Q1は、(C=O)、SO2または(CN)であり;
Q3は、O、SまたはNHであり;
R412およびR413のうちの一方は水素原子であり、他方は以下から選択され、
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)R431Q2R432であり、Q2は、−O−もしくは−S−であり;R431は、直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に0〜6個の炭素原子のアルキレンであり、R431は、直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に0〜8個の炭素原子のアルキルであり;
R413aおよびR413bは、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)R431Q2R432[式中、R431、Q2、およびR432は、上記定義したとおりである]であり;
R414は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であることができる、包括的に1〜6個の炭素原子のアルキルであり;
R415は、
(a)直鎖状または分枝状であることができる、1〜9個の炭素原子のアルキル;
(b)−(CH2)−Ri
[式中、n=0〜4であり、Riは、
(i)包括的に3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(ii)フェニル;または
(iii)置換フェニル
【化80】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである]である];
(b)R431Q2R432[式中、R431、Q2、およびR432は、上記定義したとおりである];
(c)−C(Riii)(Riv)−Ri、
[式中、RiiiおよびRivは、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである]である];
(e)直鎖状または分枝状の、包括的に1〜8個の炭素原子のハロアルキル、および包括的に1〜6個のハロゲン原子であり;
R416は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状の、包括的に1〜4個の炭素原子のアルキル;
(c)ハロゲンであり;
Y401またはY402のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H;
(b)(CH)p(Z)q[式中、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3であり、それぞれのZは、独立して、シアノ、ニトロもしくはハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(d)=NH;または
(e)=Oであり;
Y403またはY404のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H;
(b)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(a)=NH;または
(b)=Oであり;
Y405またはY406のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H
(b)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(a)=NH;または
(b)=Oであり;
R421は、
(a)H;または
(b)1〜8個の炭素原子のアルキルであり;
R422およびR423は、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)ヒドロキシル、もしくはチオール;
(c)メチルもしくはハロメチル;
(d)ハロゲン;または
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシであり;
R424およびR425は、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)ヒドロキシル、もしくはチオール;
(c)メチルもしくはハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシ;または
(f)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキルもしくはハロアルキルであり;
R426は、
(a)置換フェニル
【化81】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである];
(b)置換フェノキシ
【化82】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである];または
(c)
【化83】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである]である]。
【0075】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式56のものが含まれる:
【化84】
[式中、
Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムから選択される陽イオンであり、かつナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび亜鉛の陽イオンであり;
Wは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、またはスルホンアミドであり;
R501〜R503のそれぞれは、水素、アルキル、アリール、アシルまたはアルコキシアシルから独立して選択され;
nは、0、1または2であり;
mは、1または2であり;
フェニル環上の2つの置換基は、オルト、メタ、またはパラである]。
【0076】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式57のものが含まれる:
【化85】
[式中、
Iは、−C(O)−E、−SO2−E、−PO(OR)−Eから選択され、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、または−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンであり;Rは、ヒドロキシルまたはアルコキシであり
J’およびK’は、20個までの原子の鎖および20個までの原子を含有する環から独立して選択されるリンカーであり、ただし、J’およびK’には、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、J’およびK’には、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、およびスルホニルから選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、J’およびK’は、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環も含有することができ、ただし、リンカーJ’およびK’は、炭素原子またはC−ヘテロ原子結合を介して隣接するC(R)OR基と結合しており、ヘテロ原子は、酸素、硫黄、リンまたは窒素であり;
Gは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、およびカルボキサミドから選択され、
Re、RfおよびRgは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシルおよびアミノアシルから独立して選択され;
R601、R602およびR603は、水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ただし、R601、R602およびR603は、独立して、リンカーJ’またはK’と結合することができ;
R604およびR605は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロから独立して選択され、ただし、R604およびR605は、一緒に結合して、炭素環、ヘテロ環または芳香環を形成することができ、ただし、さらに、R604およびR605は、単結合によって置き換えられて、三重結合を形成することができる]。
【0077】
本発明の方法での使用に適した他の化合物は、国際出願WO2006055965号、WO2007090162号、およびWO2008/103753号に記載のオキシリピンであり、それ中の化合物は、本明細書中に参考として組み込まれている。そのような化合物の例は、表1に示す式58〜132のものである。これらの化合物には、長鎖ω−6脂肪酸、ドコサペンタエン酸(DPAn−6)(化合物58〜73)およびドコサテトラエン酸(DTAn−6)(化合物74〜83)、ならびにDPAn−6のω−3対応物、ドコサペンタエン酸(DPAn−3)(化合物84〜97)が含まれる。さらなる化合物は、ドコサノイド98〜115、γ−リノレン酸(GLA)(化合物116〜122)、およびステアリドン酸(SDA)(化合物123〜132)である。
【0078】
【表1−1】
【0079】
【表1−2】
【0080】
【表1−3】
【0081】
【表1−4】
【0082】
【表1−5】
【0083】
【表1−6】
【0084】
【表1−7】
【0085】
【表1−8】
【0086】
【表1−9】
【0087】
本発明の方法での使用に適した他のオキシリピン化合物には、表1に示した化合物の類似体が含まれる。そのような化合物には、それだけには限定されないが、1つまたは複数の二重結合が三重結合によって置き換えられた類似体、1つまたは複数のカルボキシ基を誘導体化してエステル、アミドまたは塩が形成された類似体、ヒドロキシル保有炭素をさらに誘導体化して(たとえば、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキルアリール基、ハロゲン原子で)第三級アルコール(またはそのエーテル、エステル、もしくは他の誘導体)が形成された類似体、1つまたは複数のヒドロキシル基を誘導体化してエステルまたは保護アルコールが形成された類似体、あるいは前述の修飾のうちの任意の組合せを有する類似体が含まれる。
【0088】
本発明の方法での使用に適したさらなるオキシリピン化合物には、ドコサペンタエン酸(DPAn−6)の単離ドコサノイド;DPAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DPAn−3)の単離ドコサノイド;DPAn−3のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DTAn−6)の単離ドコサノイド;またはDTAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体が含まれる。
【0089】
用語「アシル」とは、当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)−、好ましくはアルキルC(O)−によって表される基をいう。
【0090】
用語「アシルアミノ」とは、当分野で認識されており、アシル基で置換されたアミノ基をいい、たとえば、式ヒドロカルビルC(O)NH−によって表し得る。
【0091】
用語「アシルオキシ」とは、当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O−、好ましくはアルキルC(O)O−によって表される基をいう。
【0092】
用語「アルコキシ」とは、それに酸素が結合した、アルキル基、好ましくは低級アルキル基をいう。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。
【0093】
用語「アルコキシアルキル」とは、アルコキシ基で置換されたアルキル基をいい、一般式アルキル−O−アルキルによって表し得る。
【0094】
本明細書中で使用する用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族基をいい、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基でアルケニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えたアルケニル部分をいう。そのような置換基は、1つまたは複数の二重結合中に含まれるまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に存在し得る。さらに、そのような置換基には、安定性が困難となる場合を除いて、以下に記載するアルキル基について企図されるものがすべて含まれる。たとえば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
【0095】
用語「アルキル」とは、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた、飽和脂肪族の基をいう。好ましい実施形態では、直鎖状または分枝鎖のアルキルは、その主鎖中に30個以下(たとえば、直鎖状ではC1〜C30、分枝鎖ではC3〜C30)、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造中に5、6または7個の炭素を有する。
【0096】
さらに、明細書、実施例、および特許請求の範囲全体にわたって使用する用語「アルキル」(または「低級アルキル」)には、「非置換アルキル」および「置換アルキル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基で炭化水素主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えた有するアルキル部分をいう。そのような置換基には、別段に指定しない限りは、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、もしくはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくは芳香族ヘテロ環部分が含まれることができる。当業者には、適切な場合は、炭化水素鎖状の置換された部分自体が置換されていることができることが理解されよう。たとえば、置換アルキルの置換基には、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート、ホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル、スルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、エステルを含む)、−CF3、−CNなどの、置換されたおよび置換されていない形態が含まれ得る。例示的な置換アルキルを以下に記載する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどでさらに置換されていることができる。
【0097】
用語「Cx-y」とは、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と併せて使用した場合は、鎖中にx〜y個の炭素を含有する基が含まれることを意味する。たとえば、用語「Cx-yアルキル」とは、鎖中にx〜y個の炭素を含有する直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含めた、置換または非置換の飽和炭化水素基をいい、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリ(tir)フルオロエチルなどのハロアルキル基が含まれる。C0アルキルとは、基が末端位置にある場合は水素を示し、内部の場合は単結合を示す。用語「C2-yアルケニル」および「C2-yアルキニル」とは、長さおよび可能な置換が上述のアルキルと類似であるが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含有する、置換または非置換の不飽和脂肪族基をいう。
【0098】
本明細書中で使用する用語「アルキルアミノ」とは、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基をいう。
【0099】
本明細書中で使用する用語「アルキルチオ」とは、アルキル基で置換されたチオール基をいい、一般式アルキルS−によって表し得る。
【0100】
本明細書中で使用する用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基をいい、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基でアルキニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えたアルキニル部分をいう。そのような置換基は、1つまたは複数の三重結合中に含まれるまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に存在し得る。さらに、そのような置換基には、安定性が困難となる場合を除いて、上記に記載するアルキル基について企図されるものがすべて含まれる。たとえば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。
【0101】
本明細書中で使用する用語「アミド」とは、基
【化86】
をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、2つのR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0102】
用語「アミン」および「アミノ」とは、当分野で認識されており、非置換および置換のアミンの両方ならびにその塩、たとえば、
【化87】
によって表される部分をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、2つのR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0103】
本明細書中で使用する用語「アミノアルキル」とは、アミノ基で置換されたアルキル基をいう。
【0104】
本明細書中で使用する用語「アラルキル」とは、アリール基で置換されたアルキル基をいう。
【0105】
本明細書中で使用する用語「アリール」には、環のそれぞれの原子が炭素である、置換または非置換の単環芳香族基が含まれる。好ましくは、環は5〜7員環、より好ましくは6員環である。また、用語「アリール」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。アリール基には、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが含まれる。
【0106】
用語「カルバメート」とは、当分野で認識されており、基
【化88】
をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、両方のR10基は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0107】
本明細書中で使用する用語「炭素環」、「カルボシクリル」、および「炭素環」とは、環のそれぞれの原子が炭素である、非芳香族の飽和または不飽和の環をいう。好ましくは、炭素環は、3〜10個の原子、より好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0108】
本明細書中で使用する用語「カルボシクリルアルキル」とは、炭素環基で置換されたアルキル基をいう。
【0109】
用語「カルボネート」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビル基を表す−OCO2−R10基をいう。
【0110】
本明細書中で使用する用語「カルボキシ」とは、式−CO2Hによって表される基をいう。
【0111】
本明細書中で使用する用語「エステル」とは、R10がヒドロカルビル基を表す−C(O)OR10基をいう。
【0112】
本明細書中で使用する用語「エーテル」とは、酸素を介して別のヒドロカルビル基と連結したヒドロカルビル基をいう。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−であり得る。エーテルは、対称または非対称のどちらかであり得る。エーテルの例には、それだけには限定されないが、ヘテロ環−O−ヘテロ環およびアリール−O−ヘテロ環が含まれる。エーテルには「アルコキシアルキル」基が含まれ、これは、一般式アルキル−O−アルキルによって表し得る。
【0113】
本明細書中で使用する用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードが含まれる。
【0114】
本明細書中で使用する用語「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」とは、ヘタリール基で置換されたアルキル基をいう。
【0115】
本明細書中で使用する用語「ヘテロアルキル」とは、どの2つのヘテロ原子も隣接していない、炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子の飽和または不飽和の鎖をいう。
【0116】
用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」には、置換または非置換の芳香族単環構造、好ましくは5〜7員環、より好ましくは5〜6員環が含まれ、その環構造には、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子が含まれる。また、用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つは芳香族ヘテロ環であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。ヘテロアリール基には、たとえば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが含まれる。
【0117】
本明細書中で使用する用語「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。
【0118】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」、および「ヘテロ環」とは、置換または非置換の非芳香環構造、好ましくは3〜10員環、より好ましくは3〜7員環をいい、その環構造には、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子が含まれる。また、用語「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つはヘテロ環であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。ヘテロシクリル基には、たとえば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。
【0119】
本明細書中で使用する用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロ環基で置換されたアルキル基をいう。
【0120】
本明細書中で使用する用語「ヒドロカルビル」とは、=Oまたは=S置換基を有さない炭素原子を介して結合しており、典型的には少なくとも1つの炭素−水素結合、主に炭素主鎖を有するが、任意選択でヘテロ原子が含まれ得る基をいう。したがって、メチル、エトキシエチル、2−ピリジル、およびトリフルオロメチルなどの基は、本出願の目的のためのヒドロカルビルであるとみなされるが、アセチル(連結する炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく酸素を介して連結されている)などの置換基はそうみなされない。ヒドロカルビル基には、それだけには限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロ環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが含まれる。
【0121】
本明細書中で使用する用語「ヒドロキシアルキル」とは、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基をいう。
【0122】
用語「低級」には、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と併せて使用した場合は、置換基中に10個以下、好ましくは6個以下の非水素原子が存在する基が含まれることを意味する。たとえば、「低級アルキル」とは、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基をいう。特定の実施形態では、本明細書中で定義するアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、単独で、またはヒドロキシアルキルおよびアラルキルの言及などの他の置換基と組み合わせて出現するかどうかにかかわらず、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである(その場合、たとえば、アルキル置換基中の炭素原子を数える場合に、アリール基内の原子は数えない)。
【0123】
用語「ポリシクリル」、「ポリサイクル」、および「多環」とは、2つ以上の原子が2つの隣接する環で共有されている2つ以上の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)をいい、たとえば、環は「縮合環」である。ポリサイクルの環のそれぞれは、置換または非置換であることができる。特定の実施形態では、ポリサイクルのそれぞれの環は、環中に3〜10個、好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0124】
用語「シリル」とは、3つのヒドロカルビル部分がそれに結合したケイ素部分をいう。
【0125】
用語「置換された」とは、置換基で主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えた部分をいう。「置換」または「で置換された」には、そのような置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従っており、置換により安定した化合物、たとえば、再配置、環化、脱離などによる変換が自発的に行われないものが生じるという暗黙の条件が含まれることを理解されよう。本明細書中で使用する用語「置換された」とは、有機化合物のすべての許容される置換基が含まれることが企図される。広い態様では、許容される置換基には、有機化合物の、非環状および環状、分枝状および非分枝状、炭素環およびヘテロ環、芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つまたは複数かつ同一または異なることができる。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書中に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。置換基には、本明細書中に記載の任意の置換基には、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、もしくはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくは芳香族ヘテロ環部分が含まれることができる。当業者には、適切な場合は、炭化水素鎖上の置換された部分自体が置換されていることができることが理解されよう。
【0126】
「非置換」であるとして具体的に記述しない限りは、本明細書中の化学部分への言及には、置換された変異体が含まれると理解される。たとえば、「アリール」基または部分への言及には、置換されたおよび置換されていない変異体がどちらも暗黙的に含まれる。
【0127】
用語「スルフェート」とは、当分野で認識されており、−OSO3H基または製薬上許容されるその塩をいう。
【0128】
用語「スルホンアミド」とは、当分野で認識されており、一般式
【化89】
によって表される基をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビルを表すか、または、両方のR10基は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0129】
用語「スルホキシド」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビルを表す−S(O)−R10基をいう。
【0130】
用語「スルホネート」とは、当分野で認識されており、SO3H基または製薬上許容されるその塩をいう。
【0131】
用語「スルホン」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビルを表す−S(O)2−R10基をいう。
【0132】
本明細書中で使用する用語「チオアルキル」とは、チオール基で置換されたアルキル基をいう。
【0133】
本明細書中で使用する用語「チオエステル」とは、R10がヒドロカルビルを表す−C(O)SR10または−SC(O)R10基をいう。
【0134】
本明細書中で使用する用語「チオエーテル」とは、酸素が硫黄で置き換えられているエーテルに相当する。
【0135】
用語「尿素」とは、当分野で認識されており、一般式
【化90】
によって表し得る[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビルを表すか、または、R10の2つの出現は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0136】
用語「プロドラッグ」とは、生理条件下で本発明の治療上活性のある薬剤(たとえば、式Aもしくは式1〜49の化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)へと変換される化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作製する一般的な方法は、生理条件下で加水分解されて所望の分子を出現させる1つまたは複数の選択した部分を含めることである。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性によって変換される。たとえば、エステル(たとえば、アルコールまたはカルボン酸のエステル)が、本発明の好ましいプロドラッグである。特定の実施形態では、上記に表す配合物中の、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンの一部またはすべて、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンの全部分または一部分を、対応する適切なプロドラッグで置き換えることができ、たとえば、親化合物中に存在するヒドロキシルまたはカルボン酸を、エステルとして提示する。
【0137】
「保護基」とは、分子中の反応性の官能基と結合した場合に、官能基の反応性を覆う、減少するまたは防止する原子群をいう。典型的には、保護基は、合成の過程中に所望に応じて選択的に除去し得る。保護基の例は、GreeneおよびWuts、有機化学の保護機(Protective Groups in Organic Chemistry)、第3版、1999年、John Wiley&Sons、NYならびにHarrison他、合成有機方法の概要(Compendium of Synthetic Organic Methods)、第1〜8巻、1971〜1996頁、John Wiley&Sons、NY中に見つけることができる。代表的な窒素保護基には、それだけには限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「TES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが含まれる。代表的なヒドロキシル保護基には、それだけには限定されないが、ヒドロキシル基がアシル化(エステル化)またはアルキル化されているもの、たとえば、ベンジルおよびトリチルエーテル、アルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(たとえば、TMSまたはTIPPS基)、グリコールエーテル、たとえばエチレングリコールおよびプロピレングリコール誘導体ならびにアリルエーテルが含まれる。
【0138】
用語「医療提供者」とは、人、地域などに健康管理サービスを提供する個人または組織をいう。「医療提供者」の例には、医師、病院、高齢者継続介護コミュニティー、高度看護施設、亜急性介護施設、クリニック、多専門クリニック、独立外来センター、在宅保健局、およびHMOが含まれる。
【0139】
用語「治療すること」とは、疾患、障害および/または状態に罹りやすい場合があるが、未だそれに罹患していると診断されていない細胞、組織、系、動物またはヒトにおいて、疾患、障害または状態が起こることを予防すること;疾患、障害または状態を安定化すること、すなわち、その発達を停止させること;ならびに疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状を軽減させること、すなわち、疾患、障害および/または状態の回帰を引き起こすことをいう。
【0140】
本明細書中で使用する、障害または状態を「予防する」治療剤とは、統計試料において、処置していない対照試料と比較して処置した試料において障害もしくは状態の発生を減少させる、または、処置していない対照試料と比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を遅延させるもしくは重篤度を減少させる、化合物をいう。
【0141】
本明細書中で使用する、「免疫抑制剤」とは、抗原/アレルゲンの存在に対して免疫学的応答を発揮する身体の能力を抑制する薬剤をいう。たとえば、疾患を撃退するまたは移植された臓器を拒絶する能力である。これらの薬剤の別の用語は、抗拒絶剤である。これらは、移植後の臓器拒絶だけでなく、クローン病、関節リウマチ、ループス、多発性硬化症、乾癬、ならびに本明細書中に記載の他の疾患および障害などの免疫学的な病因学の多くの他の疾患を治療するためにも使用する。
【0142】
本明細書中で使用する用語「移植片」とは、身体部分、臓器、組織、または細胞をいう。移植片は、肝臓、腎臓、心臓もしくは肺などの1つもしくは複数の臓器のすべてもしくは一部;骨もしくは骨格マトリックスなどの身体部分;皮膚、腸管、内分泌腺などの組織;または様々な種類の前駆体幹細胞を含み得る。
【0143】
上述した式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンのそれぞれの合成は、当分野で周知の方法によって達成することができる。たとえば、式Aまたは式1〜49の化合物の合成は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号およびUS2005/0228047号に記載されている。リポキシン化合物の合成は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、US2002/0107289号、US2004/0019110号、US2006/0009521号、US2005/0203184号、US2005/0113443号に記載されている。オキシリピン化合物の調製は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、WO2006/055965号、WO2007/090162号、およびWO2008/103753号に記載されている。
【0144】
本発明の組成物および方法は、それを必要としている個体を治療するために利用し得る。特定の実施形態では、個体は、ヒトなどの哺乳動物、または非ヒト哺乳動物である。ヒトなどの動物に投与する場合、組成物または化合物は、好ましくは、たとえば、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸ならびに製薬上許容される担体を含む薬剤組成物として投与する。製薬上許容される担体は当分野で周知であり、たとえば、水もしくは生理緩衝食塩水などの水溶液、または他の溶媒もしくはビヒクル、たとえばグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油もしくは注射用有機エステルが含まれる。好ましい実施形態では、そのような薬剤組成物はヒト投与用であるとき、水溶液は、発熱物質を含まないか、または発熱物質を実質的に含まない。賦形剤は、たとえば、薬剤の遅延放出をもたらすか、または1つもしくは複数の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的とするために選択することができる。薬剤組成物は、錠剤、カプセル、スプリンクルカプセル、顆粒、散剤、シロップ、坐薬、注射剤などの単位用量形態であることができる。また、組成物は、経皮送達系、たとえば皮膚パッチ中で存在することもできる。
【0145】
製薬上許容される担体は、たとえば、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸などの化合物を安定化する、またはその吸収を増加させるように作用する、生理的に許容される薬剤を含有することができる。そのような生理的に許容される薬剤には、たとえば、グルコース、スクロースもしくはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸もしくはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート化剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤もしくは賦形剤が含まれる。生理的に許容される薬剤を含めた製薬上許容される担体の選択は、たとえば、組成物の投与経路に依存する。また、薬剤組成物(調製物)は、それ中にたとえば本発明の化合物を取り込ませることができる、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであることもできる。たとえば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、作製および投与が比較的単純な、無毒性、生理的に許容される、かつ代謝可能な担体である。
【0146】
本明細書中で用いる語句「製薬上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答、または他の問題もしくは合併症なしに人間および動物の組織と接触させて使用するために適しており、合理的な利点/危険性の比が釣り合っている、化合物、物質、組成物、および/または剤形をいう。
【0147】
本明細書中で使用する語句「製薬上許容される担体」とは、製薬上許容される物質、組成物またはビヒクル、たとえば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入物質を意味する。それぞれの担体は、配合物の他の成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。製薬上許容される担体として役割を果たすことができる物質の一部の例には、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)製薬配合物中で用いられる他の無毒性の適合性のある物質が含まれる。
【0148】
薬剤組成物(調製物)は、たとえば、経口(たとえば、水性または非水性の溶液または懸濁液中の水薬、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒、舌に施用するためのペースト);舌下;肛門、直腸または経膣(たとえば、膣坐薬、クリームまたは泡沫として);非経口(筋肉内、静脈内、皮下またはくも膜下腔内を含み、たとえば、無菌的な溶液または懸濁液として);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(たとえば皮膚に施用するパッチとして);および局所(たとえば、皮膚に施用するクリーム、軟膏またはスプレーとして)を含めた、いくつかの投与経路のうちの任意のものによって対象に投与することができる。また、化合物は、吸入用に配合してもよい。特定の実施形態では、化合物は、単純に滅菌水中に溶解または懸濁させ得る。適切な投与経路およびそれに適した組成物の詳細は、たとえば、米国特許第6,110,973号、第5,763,493号、第5,731,000号、第5,541,231号、第5,427,798号、第5,358,970号および第4,172,896号、ならびにそれ中に引用される特許中に見つけることができる。最も好ましい投与経路は経口経路である。
【0149】
配合物は、単位剤形で好都合に提示してよく、製薬分野で周知の任意の方法によって調製し得る。担体物質と合わせて単一剤形を生じることができる活性成分の量は、治療する宿主、具体的な投与様式に応じて変動する。担体物質と合わせて単一剤形を生じることができる活性成分の量は、一般に治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100%のうち、この量は、活性成分の約1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲となる。
【0150】
これらの配合物または組成物を調製する方法には、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸などの活性化合物を、担体、および任意選択で1つまたは複数の補助成分と会合させるステップが含まれる。一般に、配合物は、本発明の化合物を、液体担体もしくは微粉固体担体または両方と均一かつ密接に会合させ、その後、必要な場合は、生成物を成形することによって調製する。
【0151】
経口投与に適した本発明の配合物は、それぞれ事前に決定した量の本発明の化合物を活性成分として含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(香味基剤、通常はスクロースおよびアカシアもしくはトラガカントを用いる)、散剤、顆粒の形態、または水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水の液体乳濁液として、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはパステル錠として(不活性基剤、たとえば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアを用いる)および/または洗口液などであり得る。また、組成物または化合物は、ボーラス、舐剤またはペーストとしても投与し得る。
【0152】
経口投与用の固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、散剤、顆粒など)を調製するために、活性成分を、1つまたは複数の製薬上許容される担体、たとえばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のうちの任意のものと混合する:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶液緩染剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)たとえば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物などの潤滑剤;ならびに(10)着色料。カプセル、錠剤および丸薬の場合、薬剤組成物は、緩衝剤も含み得る。また、同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した軟および硬ゼラチンカプセルにおいて充填剤として用い得る。
【0153】
錠剤は、任意選択で1つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成形することによって作製し得る。圧縮錠剤は、結合剤(たとえば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえば、グリコール酸ナトリウムデンプンもしくは架橋結合カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性化剤または分散剤を用いて調製し得る。すりこみ錠は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械中で成形することによって作製し得る。
【0154】
薬剤組成物の錠剤および他の固体剤形、たとえば、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒は、任意選択で、コーティングおよびシェル、たとえば、腸溶コーティングおよび製薬配合分野で周知の他のコーティングを用いて入手または調製し得る。また、これらは、たとえば、所望の放出プロフィールを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、それ中の活性成分の遅延性または徐放性がもたらされるように配合してもよい。これらは、たとえば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用直前に滅菌水または何らかの他の無菌的注射用媒体に溶解することができる、無菌的な固体組成物の形態の無菌的な薬剤を取り込ませることによって、無菌的にし得る。また、これらの組成物は、任意選択で乳白剤を含有してもよく、また、胃腸管の特定の部分中で、活性成分(複数可)のみまたはそれを優先的に、任意選択で遅延性の様式で放出する、組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。また、活性成分は、適切な場合は上述の賦形剤のうちの1つまたは複数と共に、微小カプセル封入形態であることもできる。
【0155】
経口投与に有用な液体剤形には、製薬上許容される乳濁液、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、当分野で一般的に使用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(具体的には、綿実、ラッカセイ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含有し得る。
【0156】
不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、着色料、香料および保存料などのアジュバントも含むことができる。
【0157】
懸濁液は、活性化合物に加えて、たとえば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0158】
直腸、経膣、または尿道投与用の薬剤組成物の配合物は、坐薬として提示してもよく、これは、1つまたは複数の活性化合物を、たとえば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチレートを含み、室温で固体であるが体温で液体であり、したがって直腸または経膣の腔内で溶解して活性化合物を放出する、1つまたは複数の適切な非刺激性の賦形剤または担体と混合することによって調製し得る。
【0159】
口への投与用の薬剤組成物の配合物は、洗口液、または経口スプレー、または経口軟膏として提示し得る。
【0160】
あるいは、またはそれに加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤー、または他の腔内装置を介した送達用に配合することができる。そのような装置を介した送達は、膀胱、尿道、輸尿管、直腸、または腸管への送達に特に有用であり得る。
【0161】
経膣投与に適した配合物には、当分野で適切であることが知られている、そのような担体を含有する膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー配合物も含まれる。
【0162】
局所または経皮投与用の剤形には、散剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、製薬上許容される担体、および必要であり得る任意の保存料、緩衝剤、または噴霧剤と共に、無菌的条件下で混合し得る。
【0163】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、活性化合物に加えて、動物および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物をなどの賦形剤を含有し得る。
【0164】
散剤およびスプレーは、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよび粉末ポリアミド、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素などの慣用の噴霧剤をさらに含有することができる。
【0165】
経皮パッチは、体への本発明の化合物の制御送達を提供する、追加の利点を有する。そのような剤形は、活性化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作製することができる。また、吸収エンハンサーを用いて、皮膚を通過する化合物の流入を増加させるために使用することができる。そのような流動の速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることによって、制御することができる。
【0166】
眼用配合物、眼軟膏、散剤、液剤なども、本発明の範囲内に企図される。例示的な眼用配合物は、その内容が本明細書中に参考として組み込まれている、米国公開第2005/0080056号、第2005/0059744号、第2005/0031697号および第2005/004074号ならびに米国特許第6,583,124号に記載されている。所望する場合は、液体眼用配合物は、涙液、眼房水もしくは硝子体液に類似の特定を有するか、またはそのような流体と適合性を有する。
【0167】
本発明の配合物は、当業者に一般に知られている様式で投与することができる。特定の実施形態では、配合物は、点眼器を用いて投与する。点眼器は、任意の適切な方法で構築することができる。米国特許第5,514,118号に記載されている種類の測定用量点眼器または米国特許第5,584,823号に記載の種類の照明点眼器装置を利用することが望ましい場合がある。以下の米国特許第5,059,188号;第4,834,727号;第4,629,456号;および第4,515,295号に記載の種類の、様々な他の点眼器を利用することもできる。点眼器を開示するここに引用した特許は、本明細書中に参考として組み込まれており、これらの特許中に引用および記述されている様々な特許および出版物も同様である。
【0168】
本明細書中で使用する語句「非経口投与」および「非経口的に投与した」とは、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、それだけには限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内の注射およびインフュージョンが含まれる。
【0169】
非経口投与に適した薬剤組成物は、1つまたは複数の活性化合物と、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、配合物に意図するレシピエントの血液との等張性を与える溶質または懸濁剤もしくは増粘剤を含有し得る、無菌的な等張の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または使用直前に無菌的な注射用液剤もしくは分散液へと再構成し得る無菌的な散剤のうちの1つまたは複数の製薬上許容されるのとを組み合わせて含む。
【0170】
本発明の薬剤組成物中で用い得る適切な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および適切なその混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。たとえば、レシチンなどのコーティング物質を使用することによって、分散液の場合は必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。
【0171】
また、これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含有し得る。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実にし得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物中に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射用製薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらし得る。
【0172】
一部の例では、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収をゆっくりにすることが望ましい。これは、水溶性が乏しい結晶性または非晶質の物質の液体懸濁液を使用することによって達成し得る。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは、立ち代わって、結晶の大きさおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与した薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル溶解または懸濁させることによって達成する。
【0173】
注射用デポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の対象化合物の微小カプセル封入したマトリックスを形成することによって作製する。薬物とポリマーの比、および用いる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。また、デポー注射用配合物は、薬物を体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に封入することによって調製する。
【0174】
本発明の方法で使用するために、活性化合物を、それ自体で、または、たとえば、0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の活性成分を製薬上許容される担体と組み合わせて含有する薬剤組成物として、与えることができる。
【0175】
また、導入方法は、再充填可能または生分解性の装置によっても提供し得る。近年、タンパク質生物製剤を含めた、薬物の制御送達のための様々な遅延放出ポリマー装置が開発されており、in vivoで試験されている。生分解性および非生分解性ポリマーをどちらも含めた様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を用いて、特定の標的部位での化合物の持続放出のための移植片を形成することができる。
【0176】
薬剤組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に毒性とならずに特定の患者、組成物、および投与様式において所望の治療反応を達成するための有効な活性成分の量を得るために、変化させ得る。
【0177】
選択した用量レベルは、用いる特定の化合物もしくは化合物の組合せ、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、用いる特定の化合物(複数可)の投与経路、投与時間、排泄速度、治療期間、他の薬物、用いる特定の化合物(複数可)と組み合わせて使用する化合物および/または物質、治療する患者の年齢、性別、重量、状態、全体的な健康および以前の病歴、ならびに医薬分野で周知の同様の要素を含めた、様々な要素に依存する。
【0178】
当分野の通常の技量を持つ医師または獣医師は、必要な薬剤組成物の治療上有効な量を容易に決定および処方することができる。たとえば、医師または獣医師は、薬剤組成物または化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要よりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加することができる。「治療上有効な量」とは、所望の治療効果を発揮するために十分な化合物の濃度を意味する。化合物の有効量が対象の重量、性別、年齢、および病歴応じて変化することは、一般に理解されよう。有効量に影響を与える他の要素には、それだけには限定されないが、患者の状態の重篤度、治療する障害、化合物の安定性、および、所望する場合は、本発明の化合物と共に投与する別の種類の治療剤が含まれる。より大きな合計用量は、薬剤の複数投与によって送達することができる。有効性および用量を決定する方法は当業者に知られている(本明細書中に参考として組み込まれているIsselbacher他(1996)、ハリソンの内科医学の原理(Harrison’s Principles of Internal Medicine)第13版、1814〜1882頁)。
【0179】
一般に、本発明の組成物および方法で使用する活性化合物の適切な1日用量は、治療効果を生じるために有効な最も低い用量の化合物の量である。そのような有効量は、一般に上述の要素に依存する。
【0180】
所望する場合は、活性化合物の有効な1日用量は、1日にわたって、任意選択で単位剤形で、適切な間隔で別々に投与する1、2、3、4、5、6またはそれ以上の回数の部分用量として投与し得る。本発明の特定の実施形態では、活性化合物は、1日2または3回投与し得る。好ましい実施形態では、活性化合物を1日1回投与する。
【0181】
この治療を受ける患者は、一般に、必要としている霊長類を含めた任意の動物、特にヒト、およびウマ科動物、畜牛、ブタ、ヒツジなどの他の哺乳動物;ならびに家禽およびペットである。
【0182】
特定の実施形態では、免疫機能を阻害する、免疫応答を抑制する、または自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する方法は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを、別の治療剤と共同で共同投与することを含む。本明細書中で使用する、語句「共同投与」とは、以前に投与した治療化合物が身体内でまだ有効である間に第2の化合物を投与する、2つ以上の異なる治療化合物の任意の投与形態をいう(たとえば、2つの化合物は患者内で同時に有効であり、これには、2つの化合物の相乗効果が含まれ得る)。たとえば、異なる治療化合物を、同一配合物または別々の配合物中で、同時にまたは逐次的に投与することができる。したがって、そのような治療を受ける個体は、異なる治療化合物の合わせた効果から利点を得ることができる。
【0183】
特定の実施形態では、異なる式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した他の薬剤と共同投与し得る。たとえば、以下の免疫抑制剤を、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと共同投与し得る:シクロスポリン、シクロスポリンA、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、FK−506、シクロホスファミド、アザチオプレン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、トリアムシノロンアセトニド、デカドロン、ダクリツマブ、バシリキシマブ、酢酸ガラティラメル、インフリキシマブ、ムロモナブ、オクトレオチド、ムラミル酸ジペプチド誘導体、レバミゾール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジール、およびシロリムス。
【0184】
特定の実施形態では、異なる式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、互いと共に共同投与し得る。さらに、そのような組合せは、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した他の薬剤などの他の治療剤、たとえば上記同定した薬剤と共に共同投与し得る。
【0185】
アスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与する実施形態では、アスピリンおよびω−3脂肪酸は、治療レジメンの少なくとも特定の時点において、ω−3脂肪酸が、Serhan他、2002年、J.Exp.Med.、196:1025〜1037頁に記載のように代謝されることが可能となるレベルで、アスピリンおよびω−3脂肪酸の両方が患者中に同時に存在する限りは、同時に、たとえば、両方の構成成分を含む単一配合物としてもしくは別々の配合物中で投与するか、または、別々の時間に投与することができる。特定のそのような実施形態では、ω−3脂肪酸は、魚油などの部分精製した天然の抽出物の形態で提供し、他の実施形態では、ω−3脂肪酸は、C18:3、C20:5、またはC22:6脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸などの1つまたは複数のω−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物として提供し得る。1つまたは複数のω−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物とは、脂肪酸構成成分が、1つまたは複数のω−3脂肪酸、たとえば1つまたは複数の指定したω−3脂肪酸の少なくとも90%、少なくとも95%、またはさらには少なくとも98%である組成物をいう。配合中に加える賦形剤または他の物質などの非脂肪酸構成成分は、脂肪酸構成成分が所望の純度レベルを満たしているかどうかを決定する目的のための考慮対象としない。
【0186】
特定の実施形態では、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、NS−398、またはパレコキシブなどの、アスピリン以外のCOX−2阻害剤は、本明細書中に記載する様々な実施形態のうちの任意のものにおいて、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために、ω−3脂肪酸と組み合わせて使用し得る。特定の実施形態では、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、またはトルメチンなどの、アスピリン以外の非選択的NSAIDは、本明細書中に記載する様々な実施形態のうちの任意のものにおいて、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために、ω−3脂肪酸と組み合わせて使用し得る。様々なCOX−2阻害剤または非選択的NSAIDとω−3脂肪酸との組合せは、様々な部分組または割合の活性ω−3代謝物の生成をもたらし得る。
【0187】
本発明には、本発明の組成物および方法における式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物の製薬上許容される塩の使用が含まれる。特定の実施形態では、本発明の企図される塩は、アルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラアルキルアンモニウム塩が含まれる。特定の実施形態では、本発明の企図される塩には、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属の塩が含まれる。
【0188】
また、製薬上許容される酸付加塩は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどとの様々な溶媒和物として存在することもできる。そのような溶媒和物の混合物も調製することができる。そのような溶媒和物の供給源は、結晶化の溶媒から、調製物もしくは結晶化の溶媒中に内在、またはそのような溶媒に付随的であることができる。
【0189】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色料、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香味料や香料、保存料および抗酸化剤も、組成物中に存在することができる。
【0190】
製薬上許容される抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油可溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が含まれる。
【0191】
本発明は、
a)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを含む製薬配合物;および
b)免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための製薬配合物を投与するための指示書
を含むキットを提供する。
【0192】
本発明は、
a)それぞれが、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと、製薬上許容される賦形剤とを含む、1つまたは複数の単一剤形と;
b)免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための単一剤形を投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
【0193】
特定の実施形態では、本発明は、
a)それぞれが、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの用量を含む、1つまたは複数の単一剤形と;
b)上述の免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した第2の薬剤の、1つまたは複数の単一剤形と;
c)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと、第2の薬剤とを投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
【0194】
本発明は、
a)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを含む、第1の製薬配合物と;
b)上述の免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した第2の薬剤を含む、第2の製薬配合物と;
c)第1および第2の製薬配合物を投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
特定の実施形態では、本発明は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、もしくはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの配合物、または本明細書中に記載のキットを製造することと、医療提供者に、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための配合物またはキットを使用する利点を売り込むこととによる、製薬事業を営む方法に関する。
【0195】
特定の実施形態では、本発明は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、もしくはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの配合物、または本明細書中に記載のキットを販売するための流通ネットワークを提供することと、患者または医師に、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための配合物を使用するための教育資料を提供することとによる、製薬事業を営む方法に関する。
【0196】
特定の実施形態では、本発明は、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの適切な配合物および用量を決定することと、動物における有効性および毒性について同定した配合物の治療プロファイリングを実施することと、同定した調製物を許容される治療プロフィールを有するものとして販売するための流通ネットワークを提供することとによる、製薬事業を営む方法を含む。特定の実施形態では、本方法には、調製物を医療提供者に売り込むための販売部門を提供することが、さらに含まれる。
【0197】
特定の実施形態では、本発明は、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの適切な配合物および用量を決定することと、第三者に、配合物をさらに開発および販売する権利を許諾することとによる、製薬事業を営む方法に関する。
【実施例】
【0198】
式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せのうちの1つまたは複数の生物活性は、以下に記載するものなどの当分野で周知の技術を用いて評価することができる。
【実施例1】
【0199】
CIAラットの血液およびリンパ節細胞に対する化合物Xのex vivo活性の研究
雌ルイスラットに3〜5%のイソフルランを用いて麻酔し、0.3mL(3つの異なる部位で100μL)の、不完全フロイントアジュバント(IFA)中の1.5mg/mLのII型ウシコラーゲン、CII(Elastin Products Inc.、カタログ#CM276)を含有する乳濁液を、0および6日目に尾の根元に皮内注射することによって、関節炎を誘発させた。対照ラットには、等量のIFAのみを注射した。
【0200】
両方の後足の体積を水置換体積測定器(Ugo Basile、Biological Research Apparatus、イタリア)を用いて測定し、関節炎の発症は、足体積の増加によって示され、これは、注射後約11日目に現れた。足体積および体重は、どちらも研究の間中2〜3日毎に測定した。CIIを注射した19〜21日後、ラットをCO2で安楽死させた。血液を心穿刺によって採取し、血清を保存した。
【0201】
化合物X
【化91】
の効果を、2つの異なる治療レジメン下で測定した。第1の(予防的)治療レジメンでは、化合物Xを、1日2回、0.3mg/kgで、0日目から6または10日目に静脈内投与した。ex vivo研究では、動物は、最後の注射後の6日目に安楽死させ、その鼠径リンパ節を収集した。第2の(治療的)治療レジメンでは、化合物Xを、1日2回、0.3mg/kgで、8日目(炎症誘発性マーカーが高度にアップレギュレーションされる)から16または19日目まで静脈内投与した。ex vivo研究では、動物を16日目に安楽死させ、鼠径リンパ節を収集した。治療の過程中に静脈血試料を採取した。CD3活性化には、96ウェルの平底プレートを1μg/mLの抗CD3 mAb(eBioscience、クローンG4.18)でコーティングした。プレートを終夜、4℃で保管し、続いて使用前にPBSで1回すすいだ。組織培養用のウシII型コラーゲンはChondrex(カタログ#2022)から購入し、製造者の指示に従って再構成した。すべてのデータは、GraphPad Prismソフトウェアを用いたt−検定によって処理および分析した。
【0202】
動物を安楽死させた後、両方の後足および膝を取り外し、後足を秤量し、足および膝をホルマリンに入れた。固定液中で1〜2日間、および脱灰液中で4〜5日間の後、足首関節を縦に2つに半分に切断し、膝を前額面で半分に切断した。その後、関節を処理し、包埋し、切片化し、トルイジンブルーで染色した。コラーゲン関節炎足首および膝に、以下の基準に従って、炎症、パンヌス形成および骨吸収について0〜5のスコアを与えた:
【0203】
膝炎症
0 正常
1 関節周囲組織中に最小限の炎症細胞の浸潤
2 緩和な浸潤
3 中等度の浮腫を伴った中等度の浸潤
4 顕著な浮腫を伴った顕著な浸潤
5 重篤な浮腫を伴った重篤な浸潤
【0204】
膝パンヌス
0 正常
1 軟骨および肋軟骨下骨中に最小限のパンヌスの浸潤
2 緩和な浸潤(脛骨または大腿骨の表面または肋軟骨下領域の1/4までに及ぶ)
3 中等度の浸潤(脛骨または大腿骨の表面または肋軟骨下領域の>1/4かつ<1/2に及ぶ)
4 顕著な浸潤(脛骨または大腿の表面の1/2〜3/4に及ぶ)
5 重篤な浸潤(表面の>3/4を覆う)
【0205】
軟骨損傷(膝、大腿骨顆部が強調)
0 正常
1 最小限:明らかな軟骨細胞損失またはコラーゲン破壊を伴わない、トルイジンブルー染色の最小限から緩和な損失
2 緩和:病巣の緩和な(表在)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の緩和な損失
3 中等度:多巣性からびまん性の中等度の(中間区域までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の中等度の損失
4 顕著:多巣性からびまん性の顕著な(深区域までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の顕著な損失
5 重篤:大腿骨および脛骨の両方の多巣性の重篤な(最高到達点までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の重篤なびまん性の損失
【0206】
骨吸収(膝)
0 正常
1 最小限:小領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、稀な破骨細胞
2 緩和:より多くの領域の再吸収、脛骨または大腿の表面の1/4を含む肋軟骨下骨の明確な損失(内側または外側)
3 中等度:脛骨または大腿の表面の>1/4かつ<1/2を含む肋軟骨下骨の明らかな再吸収(内側または外側)
4 顕著:脛骨または大腿の表面の≧1/2かつ<3/4を含む肋軟骨下骨の明らかな再吸収(内側または外側)
5 重篤:脛骨または大腿の表面の>3/4を含む破壊による関節全体の歪み(内側または外側)
【0207】
図1は、化合物Xが、コラーゲン誘発関節炎(CIA)ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのIFN−γおよびTNFαの産生を阻害したことを示す。治療レジメン1を使用した(n=3)。動物を0日目から6日目まで化合物Xで治療し、6日目に屠殺し、新しく収集したリンパ節をナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通して、単一細胞懸濁液が得られた。細胞を洗浄し、RPMI1640/10%FCSに4×106個/mLで再懸濁させた。U字底の96ウェルプレート中で、100μLまたは4×105個の細胞および25または50μg/mLの最終濃度の100μLのコラーゲンを加えた。プレートを、37℃、5%のCO2インキュベーター内で終夜インキュベーションした。上清を収集し、ラットのサイトカインをBioplex(Biorad)で測定した。
【0208】
図2は、化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎(CIA)ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのコラーゲン誘発IFN−γの産生を阻害したことを示す。図2Aでは、動物に化合物Xを0日目から6日目まで与えた(治療レジメン1)。図2Bでは、動物に化合物Xを8日目から16日目まで与えた(治療レジメン2)。
【0209】
図3は、化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoの抗CD3 mAb誘発IL−17の産生阻害したことを示す。図3Aでは、動物に化合物Xを0日目から6日目まで与えた(治療レジメン1)。図3Bでは、動物に化合物Xを8日目から16日目まで与えた(治療レジメン2)。新しく収集したリンパ節をナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通して、単一細胞懸濁液が得られた。細胞を洗浄し、RPMI1640/10%FCSに4×106個/mLで再懸濁させた。抗CD3でコーティングしたプレートに、4×105個の細胞/ウェルおよび100μLのRPMI1640/10%FCSの培地を加えた。プレートを、37℃、5%のCO2インキュベーター内で3日間(図3A)または終夜(図3B)インキュベーションした。ラットのIL−17を、Milliporeのキット(カタログ#RCYTO−18K−01)を用いて、製造者の指示に従って測定した。
【0210】
図4は、化合物Xが、CIAラットからの全血においてex vivoのLPS刺激サイトカインを阻害したことを示す。血液細胞に対する化合物Xの効果を測定するために、ラット全血試料を8、10、13、16および20日目に採取した(n=3〜6)。20日目の試料には、ビヒクルまたは化合物Xを、8日目から開始して、1mg/kg、経口で1日2回与えた。残りの試料には、ビヒクルまたは化合物Xを、8日目から開始して、0.3mg/kg、静脈内で1日2回与えた。血液をU字底の96ウェルプレートに加え(50μL/ウェル)、150μLのRPMI1640/10%FCSの培地で希釈し、10ng/mLのLPSで免疫誘発した。4時間培養した後、上清を採取し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0211】
これらの研究により、流入領域リンパ節から単離された細胞からのコラーゲンまたはCD3誘発性のIFNγ、TNFαおよびIL−17の分泌が、対照と比較して化合物Xで治療した動物において60〜90%減少したことが実証された。さらに、化合物Xによって治療したCIAラットからの全血は、LPS刺激の際に有意により低いサイトカイン産生レベルを有していた。
【0212】
図5は、化合物Xの予防的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、0〜10日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、足腫脹の有意な減少が示された(足首直径によって測定)。
【0213】
図6は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、8〜19日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、平均足首関節体積の有意な減少が示された。
【0214】
図7は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて膝の組織病理学的スコアを有意に減少させたことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、8〜19日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、膝の組織病理学スコア付けによって決定される炎症、パンヌス、軟骨損傷、および骨吸収の有意な減少が示された。
【0215】
図8は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて骨吸収および関節損傷を保護したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。
【実施例2】
【0216】
マウス脾臓細胞に対する化合物Xのex vivo活性の研究
6〜8週齢のBALB/c雌マウス(n=5)に、化合物Xもしくはビヒクルの静脈内注射を1日1回、5日間、または、化合物Xもしくはビヒクルの単一の静脈内注射を与えた。最後の注射の30分後、脾臓を無菌条件下で取り出し、ナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通すことによって単一細胞懸濁液を作製した。細胞を1500rpmで10分間遠心し、液体を吸引した。3mLのACK溶液(Lonza カタログ#10−458E)を5分間加えることによってRBCを溶解した。チューブにRPMI培地を満たし、遠心した。細胞をRPMI/10%FCSに再懸濁させた。抗CD3で事前にコーティングしたプレート(以下に記載の手順に従う)に、4×105個の細胞/ウェルを加えた。18時間の培養後に上清を収集した。サイトカインレベルを、製造者の指示に従ってBioplex(Biorad)によって測定した。
【0217】
CD3刺激には、抗マウスCD3 mAb(BD Pharmingen、クローン145−2C11)を、PBS中に0.2μg/mLで使用して、平底の96ウェルプレートを4℃で終夜コーティングした。使用前にプレートをPBSで2回すすいだ。
【0218】
図9は、化合物Xが、CD3刺激マウス脾細胞のサイトカイン放出を阻害することを示す。この効果を測定するために、マウスに0.3mg/kgの化合物Xの1日1回の静脈内注射を5日間与えた。その後、脾臓細胞を収集し、抗CD3抗体を用いてin vitroで終夜刺激した。
【0219】
図10は、in vivoの化合物Xの急性期治療が、CD3誘発サイトカイン放出の減少をもたらしたことを示す。脾臓細胞を収集する30分前に、マウスに0.03mg/kgの化合物Xの単一の静脈内注射を与えた。T細胞を磁気ビーズによって単離し、T細胞の純度は、フローサイトメトリーによって測定して>95%であった。脾臓細胞または精製したT細胞を、0.2μg/mLの抗CD3で終夜刺激し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0220】
化合物Xを用いたin vivo治療が抗CD3で刺激したサイトカイン産生を阻害する能力は、マウス(n=5)を、脾臓を収集する30分前に、0.03mg/kgの化合物Xの単一の静脈内注射で治療することによって測定した。脾臓細胞を抗CD3 mAbで終夜刺激し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。ビヒクルで治療した動物と比較した、全脾臓細胞による、生じるサイトカイン産生の%阻害を表2に示す。これらの研究により、化合物Xは、ナイーブ動物に投薬した場合、脾細胞におけるex vivoのCD3刺激サイトカイン産生を約35〜60%阻害したことが示された。
【0221】
【表2】
【実施例3】
【0222】
マウス脾臓細胞に対する化合物Xのin vitro活性の研究
6〜8週齢のBALB/c雌マウスを安楽死させ、脾臓を無菌条件下で取り出した。脾臓をナイロン製濾過器に穏やかに押し通した。脾臓細胞および残りの結合組織塊を、6ウェルプレート中で4mLの増殖培地(10%のFCSを添加したRPMI1640)と共にインキュベーションした。化合物Xを加えて最終濃度10nMまたは1000nMとした。対照群は、化合物Xを加えない脾臓細胞であった。すべての群は3つ組(3匹の動物/群)であった。プレートを37℃、5%のCO2インキュベーター内で培養した。1日1回、1mLの培養培地をそれぞれのウェルから取り出し、同じ濃度の化合物Xまたは新鮮な培地のみを含有する1mLの新鮮な増殖培地で置き換えた。培養を5日間続けた。その後、すべての細胞をプレートから除去した。細胞をナイロン製濾過器に押し通してすべての凝集物を除去し、洗浄し、計数し、増殖培地中に2.5×106個/mLとなるように調節した。抗CD3でコーティングしたプレート(以下に記載の手順に従ってコーティング)に、200μLまたは5×105個の細胞/ウェルを加えた。細胞を37℃、5%のCO2インキュベーター内で終夜培養した。上清を収集し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0223】
CD3刺激には、抗マウスCD3 mAb(BD Pharmingen、クローン145−2C11)を、PBS中に0.2μg/mLで使用して、平底の96ウェルプレートを4℃で終夜コーティングした。使用前にプレートをPBSで2回すすいだ。
【0224】
図11は、化合物Xを用いたin vitro治療が、脾臓細胞のCD3誘発サイトカイン産生を阻害したことを示す。
【実施例4】
【0225】
遅延型過敏症モデル
耳腫脹(耳介上の皮膚の腫脹)がこのモデルのエンドポイントであった。本研究は6〜7日間かけて実施し、起こる現象は以下に記載するとおりである。
【0226】
0日目および/または1日目:感作
マウス(雌BALB/c;n=10匹/群)をアセトン/オリーブ油に溶かした0.5%のDNFBで免疫化した。感作は、20μLの溶液を動物の足蹠上に置く、接触アレルゲンを用いて行った。
【0227】
5日目:免疫誘発および投薬
動物に、免疫誘発の15分前に化合物を静脈内投与した。マウスを5日目に免疫誘発した。10μLの0.8%のDNFB溶液を、動物の右耳上に局所的に外部施用した。対照として、左耳をビヒクル単独(アセトン/オリーブ油)で同様に処置した。
【0228】
6日目および7日目:測定および投薬
動物にイソフルランで麻酔し、耳の腫脹を、マイクロメーターを用いて免疫誘発後の24〜48時間以内に測定した。マイクロメーターキャリパーを、それぞれの外耳の上部の周りに、耳からの抵抗が感じられるまで閉めた。化合物(対照および試験)は、研究の完了まで6および7日目に1日1回投与した。
【0229】
図12aは、化合物Xが、ネズミDNFB誘発DTHモデルにおいて炎症を用量依存性の様式で阻害したことを示す。具体的には、化合物Xは、マウス(n=10)において組織腫脹を用量依存的に減少し、最大有効性は、免疫誘発の15分前に静脈内投与した場合に、30μg/kgで38%阻害であった。耳の厚さの増加を免疫誘発の24時間後に測定した(6日目)。図12aに示すデータは、2〜4回の実験の平均である。図12bは、化合物Xおよびデキサメタゾンの治療が、マウスにおいて比較可能なレベルのDTH応答の阻害をもたらしたことを示す(n=10;N=研究の数)。デキサメタゾンは、DNFB免疫誘発の60分前に投与した。
【0230】
図13は、2つの異なるレジメンを使用した化合物Xを用いた治療が、DNFB−DTH応答の比較可能かつ有意な減少をもたらしたことを示す。具体的には、マウスを、0日目〜5日目に1日1回の0.03mg/kgの化合物Xの腹腔内注射、または5日目に0.03mg/kgの化合物Xの単一の腹腔内注射で治療した。
【実施例5】
【0231】
11日目の雄DBA/1Jマウスで確立したII型コラーゲン関節炎における化合物の効果
雄DBA/1Jマウス(到着時に7〜9週齢;最初の免疫化時に少なくとも7週齢)を5匹/ケージで収容し、すべての動物が研究開始時に少なくとも7週齢であるように、到着後十分な日数の間順化させた。
【0232】
マウスにイソフルランで麻酔し、皮内コラーゲン(2mg/ml)の注射を、尾の根元に、150μlの体積で与えた(0日目および21日目)。21〜35日目に関節炎の発症が生じ、マウスを治療群にランダム化した。それぞれの群へのランダム化は、腫脹が少なくとも1本の足で明らかに確立された後に行い、登録時に平均スコアが群間でほぼ同等となることを確かにするように試みた。表3に示すように、登録後に治療を開始し、合計10日間、毎日続けた。10日間の治療の間、以下に提供するスコア付け方法に従って、足のそれぞれ(右前、左前、右後、および左後)に臨床的スコアを与えた。
【0233】
前および後の足の臨床的スコア付けの基準
0 正常
1 1本の後または前の足の関節が罹患、または最小限のびまん性の紅班および腫脹
2 2本の後または前の足の関節が罹患、または緩和なびまん性の紅班および腫脹
3 3本の後または前の足の関節が罹患、または中等度のびまん性の紅班および腫脹
4 顕著なびまん性の紅班および腫脹、または4つの指の関節が罹患
5 足全体の重篤なびまん性の紅班および重篤な腫脹、指の屈曲が不可能
【0234】
すべての投薬溶液は、10ml/kg(0.3ml/30gのマウス)が送達されるように調製した。関節炎の11日目に動物を安楽死させ、前および後の肢の両方を膝と共に取り外し、ホルマリンに入れ、その後、顕微鏡観察用に処理した。固定液中で1〜2日間、その後、脱灰液中で4〜5日間の後、関節を処理し、包埋し、切片化し、トルイジンブルーで染色した。(前および後の足ならびに膝のみを最初に処理した−6つの関節/マウス。)
【0235】
II型コラーゲン関節炎に罹患したマウス関節の組織病理学的スコア付け方法
II型コラーゲン関節炎の病変を有するマウスの足または足首のスコア付けを行う場合、変化の重篤度および罹患した個々の関節の数を考慮しなければならない。可能性のある数々の中手/中足/指または足根/脛骨足根の関節のうち、足または足首の1〜3つの関節のみが罹患している場合、変化の重篤度に応じて、以下のスコア付けスケールから1、2または3の最大スコアの任意の割当てを与えた。3つより多くの関節が関与している場合、以下の完全なスコア付けスケールは、最も重篤に罹患した/大多数の関節にのみ適用した。
【0236】
パンヌス
0 正常
1 軟骨および肋軟骨下骨において最小限のパンヌスの浸潤
2 罹患した関節において硬組織の周辺帯破壊を伴った緩和な浸潤
3 罹患した関節において中等度の硬組織の破壊を伴った中等度の浸潤
4 関節構造の顕著な破壊を伴った顕著な浸潤、ほとんどの関節
5 関節構造の完全またはほぼ完全な破壊に関連する重篤な浸潤、すべての関節に影響
【0237】
骨吸収スコア
0 正常
1 最小限の−小領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、罹患した関節において稀な破骨細胞
2 緩和な−より多くの領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、破骨細胞は罹患した関節においてより多い
3 中等度−皮質の全層欠損なしに延髄線維柱帯および皮質骨の明らかな再吸収、一部の延髄線維柱帯の損失、低倍率で明らかな病変、破骨細胞は罹患した関節においてより多い
4 顕著な−皮質の全層欠損骨、しばしば残りの皮質表面のプロフィールの歪みを伴う、延髄骨の顕著な損失、多数の破骨細胞、ほとんどの関節に罹患
5 重篤な−皮質の全層欠損骨およびすべての関節の関節構造の破壊
【0238】
統計的分析
それぞれの群の組織学的パラメータ(平均±SE)を、χ二乗検定および一元ANOVAを用いて、差異について分析した。有意性はp≦0.05に設定した。
【0239】
【表3】
【0240】
図14は、組織学的スコア付けによって決定した、確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=15)の関節における、骨損傷に対する化合物Xの効果を示す。具体的には、5μg/kgの1日2回の投薬により、ビヒクル対照と比較して、骨損傷のスコアの有意な減少が示された。
【0241】
図15は、a)確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=16)の足における臨床的スコア付けによって決定した関節炎、ならびにb)確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=16)の組織学的スコア付けによって決定したパンヌス形成および骨減少に対する、化合物Xの効果を示す。具体的には、0.5および5.0μg/kgの両方の、化合物Xの1日1回の静脈内投薬により、関節炎対照と比較して関節炎の臨床的症状が阻害された。さらに、0.5および5.0μg/kgの両方の、化合物Xの1日1回の静脈内投薬により、ビヒクル対照と比較してパンヌス形成および骨減少が減少した。
【0242】
参考としての組込み
本明細書中で言及するすべての出版物および特許は、それぞれの個々の出版物または特許が具体的にかつ個々に参考として組み込まれていると指定されているかのように、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている。具体的には、WO2005/105025号、WO2006/078457号、WO2007/041440号、US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号、およびUS2005/0228047号に開示されている式Aまたは式1〜49の化合物、US2002/0107289号、US2004/0019110号、US2006/0009521号、US2005/0203184号、およびUS2005/0113443号に開示されているリポキシン化合物、WO2006/055965号、WO2007/090162号、およびWO2008/103753号に開示されているオキシリピン化合物、WO2005/089744号、US2004/0044050号、US2004/0116408号およびUS2005/0261255号に開示されているエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸の誘導体および/または類似体、ならびにUS7053230号に開示されているアスピリン誘発性脂質メディエーターが、本発明の組成物および方法での使用に適したものとして、参考として組み込まれている。本出願と上述した参照特許公開との間に化合物の構造または名称が矛盾する場合は、本明細書中の任意の定義を含めた本出願が支配する。
【0243】
均等物
対象発明の具体的な実施形態を記述したが、上記明細書は例示的であり、限定するものではない。本発明の多くの変形が、本明細書および以下の特許請求の範囲を検討した際に、当業者に明らかであろう。本発明の完全な範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の完全な範囲ならびに明細書およびそのような変形を参照して決定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全体が参考として本明細書中に組み込まれている、2007年9月14日出願の米国仮特許出願第60/993,774号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫系とは、通常は身体を防御し、細菌、ウイルス、および他の浸潤性の異物によって引き起こされる感染症を排除するように働く細胞および細胞成分(分子)の複雑なネットワークである。人が自己免疫疾患に罹患している場合、免疫系は誤って自身を攻撃し、その人自分自身の身体細胞、組織および臓器を標的とする。一部の自己免疫疾患は、ウイルス感染、寄生生物感染および慢性細菌感染症などの特定のトリガーで開始されるまたは悪化することが知られている。免疫系および自己免疫疾患の経路に影響を与える、他のあまり理解されていない影響力には、加齢、慢性ストレス、ホルモンおよび妊娠が含まれる。多くの異なる自己免疫疾患が存在し、これらはそれぞれ異なる様式で身体に影響を与える場合がある。自己免疫疾患の多くは稀であるが、分類としては、自己免疫疾患は数百万人の人々を苦しめている。
【0003】
自己免疫疾患は、しばしば慢性であり、その人が健康であるように見えるまたはそう感じている場合でも、生涯にわたる介護および監視を要する。現在、数種の自己免疫疾患を治療で治癒または寛解させることができる。医師は、ほとんどの場合、患者が自己免疫疾患によって引き起こされる炎症の結果を管理することを支援する。一部の人では、限定された数の免疫抑制医薬品のみが疾患の寛解をもたらし得る。しかし、その疾患が寛解された場合でも、患者がその医薬品を中断できることは稀であり、免疫抑制医薬品の長期的な副作用は相当である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
免疫調節物質は、エリテマトーデスおよび糖尿病などの全身性自己免疫疾患、ならびに免疫不全疾患の治療に有用である。また、免疫調節物質は、癌の免疫療法あるいは外来臓器または腎臓、心臓、もしくは骨髄などの移植片中の他の組織の拒絶の予防にも有用である。免疫調節物質の例には、FK506、ムラミル酸ジペプチド誘導体、レバミゾール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジール、ならびにインターフェロン、インターロイキン、ロイコトリエン、コルチコステロイド、およびシクロスポリンの群からの他のものが含まれる。しかし、これらの化合物の多くは、それを必要としている対象において望ましくない副作用および/または高い毒性を有する。したがって、さらなる治療の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫機能を阻害する方法を提供する。
【0006】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫応答を抑制する方法を提供する。
【0007】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法を提供する。
【0008】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】化合物Xが、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのIFN−γおよびTNFαの産生を阻害したことを示す図である。
【図2】化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのコラーゲン誘発IFN−γの産生を阻害したことを示す図である。
【図3】化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoの抗CD3 mAb誘発IL−17の産生を阻害したことを示す図である。
【図4】化合物Xが、CIAラットからの全血においてex vivoのLPS刺激サイトカインを阻害したことを示す図である。
【図5】化合物Xの予防的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す図である。
【図6】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す図である。
【図7】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて膝の組織病理学的スコアを有意に減少させたことを示す図である。
【図8】化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて骨吸収および関節損傷を保護したことを示す図である。
【図9】化合物Xが、CD3刺激マウス脾細胞のサイトカイン放出を阻害したことを示す図である。
【図10】in vivoの化合物Xの急性期治療が、CD3誘発サイトカイン放出の減少をもたらしたことを示す図である。
【図11】化合物Xを用いたin vitro治療が、脾臓細胞のCD3誘発サイトカイン産生を阻害したことを示す図である。
【図12】化合物Xが、ネズミDNFB誘発DTHモデルにおいて炎症を用量依存的に阻害したことを示す図である。
【図13】2つの異なるレジメンを使用した化合物Xを用いた治療が、DNFB−DTH応答の比較可能かつ有意な減少をもたらしたことを示す図である。
【図14】組織学的スコア付けによって決定した、確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウスの関節における、骨損傷に対する化合物Xの効果を示す図である。
【図15】確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウスにおける、a)関節炎ならびにb)パンヌス形成および骨減少に対する化合物Xの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫機能を阻害する方法を提供する。
【0011】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫応答を抑制する方法を提供する。
【0012】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法を提供する。
【0013】
特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、患者自身の免疫系が、患者の組織のうちの1つまたは複数を損傷させる種類のものである。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、患者内の何かまたは患者の環境内の何かによって始動され得る。
【0014】
特定の実施形態では、本発明の自己免疫疾患または自己免疫障害は、開始原因に続くものであり得る。たとえば、自己免疫疾患または自己免疫障害は、感染症および/または何らかの他の開始原因によって引き起こされるものであり得る。潜在的な開始原因には、老齢、感染症(寄生生物感染症など)、ステロイドを用いた治療、ミョウバンを用いた反復ワクチン接種、妊娠および/または癌が含まれ得る。
【0015】
特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、臓器特異的または臓器非特異的であり得る。そのような自己免疫疾患または自己免疫障害の例には、多発性硬化症、関節炎(たとえば、関節リウマチまたは若年性関節炎)、クローン病、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、全身性エリテマトーデス(SLEまたはループス)、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、乾癬、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、甲状腺炎、ブドウ膜炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症、移植片拒絶、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、および血管障害が含まれる。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、多発性硬化症、再生不良性貧血、全身性エリテマトーデス(SLEもしくはループス)、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、白斑、移植片拒絶、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、白斑、移植片拒絶、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、アジソン病、抗リン脂質症候群、チャーグ−ストラウス症候群、円板状ループス、線維筋痛症、グレーブス病、重症筋無力症、乾癬、ライター症候群、リウマチ熱、強皮症、全身硬直症候群、白斑、インスリン依存性真性糖尿病(たとえばI型糖尿病)、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身硬直症候群、白斑、または血管障害から選択される。特定の実施形態では、自己免疫疾患または自己免疫障害は、再生不良性貧血、皮膚筋炎、悪性貧血、抗リン脂質症候群、円板状ループス、線維筋痛症、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、全身硬直症候群、または白斑から選択される。
【0016】
自己免疫疾患または自己免疫障害が血管障害である特定の実施形態では、血管障害には、自己免疫要素を含む任意の血管疾患または障害、たとえば、自己免疫応答によって引き起こされるものが含まれ得る。例示的な血管障害には、レイノー病およびレイノー現象、前部ブドウ膜炎、血管炎、閉塞性血管障害、アテローム形成(すなわち動脈硬化症)、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、再灌流傷害、心伝導障害、心筋炎、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数が含まれる。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、ならびに心伝導障害のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、前部ブドウ膜炎、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、心伝導障害、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、アテローム性動脈硬化性心疾患、心伝導障害、ならびに心筋梗塞のうちの、1つまたは複数から選択される。特定の実施形態では、血管障害は、レイノー病およびレイノー現象、閉塞性血管障害、動脈炎(たとえば、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎)、筋内膜過形成(自然または血管形成術後)、内膜および/または血管筋層の炎症性および自己免疫性の肥厚、炎症性血管病変、ならびに心伝導障害のうちの、1つまたは複数から選択される。
【0017】
自己免疫疾患または自己免疫障害が移植片拒絶である特定の実施形態では、移植片拒絶は慢性移植片拒絶であり得る。移植片拒絶を治療するために式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与する、本発明の特定の実施形態では、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの投与が、移植片(たとえば、同種移植または異種移植)に対する免疫応答を調節し、未治療の拒絶は、そうでない場合は移植片の損失をもたらす。したがって、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを、移植の前、その間および/またはその後に投与する慣用の免疫抑制剤の代わりに、またはそれに追加で使用し得る。特定の実施形態では、移植片拒絶は、天然または人工の細胞、島細胞、組織(たとえば、天然もしくは人工の皮膚組織)、角膜、骨髄、臓器(たとえば腎臓、肝臓、膵臓、肺、もしくは心臓)、レンズ、またはペースメーカーの移植に応答したものである。
【0018】
本発明は、前記患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与することを含む、患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法をさらに提供する。特定の実施形態では、免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症および病的状態には、毛細血管漏出、肺不全、敗血症、内毒素ショック、または組織損傷の続発症が含まれる。特定の実施形態では、免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症および病的状態は、毛細血管漏出または敗血症から選択される。
【0019】
本発明の方法での使用に適した化合物には、式Aのものが含まれる:
【化1】
[式中、
W’およびY’のそれぞれは、単結合または20個までの原子を含有する環もしくは20個までの原子の鎖から独立して選択されるリンカーであり、ただし、W’およびY’には、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、W’およびY’には、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、またはスルホニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、W’およびY’は、独立して、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を含有することができ、ただし、さらに、o’が0であり、V1が
【化2】
である場合、Y’は、炭素原子を介してV1と結合しており;
V1は、
【化3】
【化4】
から選択され、q’が0であり、V3が単結合である場合、n’は0または1であり;それ以外は、n’は1であり;
V2は、単結合、
【化5】
から選択され、
L’は、−C(R1003)(R1004)−から選択され、R1003およびR1004のそれぞれは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択されるか、または、R1003およびR1004は、一緒に結合されて炭素環またはヘテロ環を形成し;V3が
【化6】
である場合、L’は、さらにW’から選択され;n’は、0または1であり;
V3は、単結合または
【化7】
から選択され
それぞれのR1001およびR1002は、各々独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、またはハロから選択され、前記アルキルまたはアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
Ra'およびRb'のそれぞれは、各々独立して、−OR’もしくは−N(R’)2から選択されるか、または、隣接するRa'およびRb'は、一緒になって、シスもしくはトランスの立体配置を有するエポキシド環を形成し、それぞれのR’は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシル、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、または保護基から独立して選択されるか;
あるいは、V1が
【化8】
であり、V2が
【化9】
である場合、R1002およびRb'はどちらも水素であり;
X’は、−CN、−C(NH)N(R'')(R'')、−C(S)−A’、−C(S)R''、−C(O)−A’、−C(O)−R''、−C(O)−SR''、−C(O)−NH−S(O)2−R''、−S(O)2−A’、−S(O)2−R''、S(O)2N(R'')(R'')、−P(O)2−A’、−PO(OR'')−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、または−CH2OHから選択され、
A’は、−OR''、−N(R'')(R'')または−OM’から選択され;
それぞれのR''は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能な標識分子から独立して選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
M’は、陽イオンであり;
G’は、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミドまたは検出可能な標識分子から選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
o’は、0、1、2、3、4、または5であり;
p’は、0、1、2、3、4、または5であり;
q’は、0、1、または2であり;
o’+p’+q’は、1、2、3、4、5または6であり;
V2が単結合である場合、q’は0であり、V3は単結合であり;
V3が
【化10】
である場合、o’は0であり、V1は
【化11】
であり、p’は1であり、V2は
【化12】
であり;
任意の非環状二重結合は、シスもしくはトランスの立体配置であり得るか、または三重結合によって任意選択で置き換えられており;
化合物の1つの
【化13】
部分は、存在する場合は、
【化14】
によって任意選択で置き換えられているか、または化合物の1つの
【化15】
部分は、存在する場合は、
【化16】
によって任意選択で置き換えられており、Q’は、1つまたは複数の置換基を表し、それぞれのQ’は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシまたはアミノカルボニルから独立して選択される]。
特定の実施形態では、V1は、
【化17】
から選択される。
特定の実施形態では、V2は、単結合、
【化18】
から選択される。
【0020】
特定の実施形態では、q’が0であり、V3が単結合である場合、n’は0または1であり;それ以外は、n’は1である。
【0021】
特定の実施形態では、p’は0、1、2、3、または5である。
【0022】
特定の実施形態では、q’は0または1である。
【0023】
特定の実施形態では、V1が
【化19】
である場合、o’は0または1であり、p’は1または2であり、o’+p’は1または2であり、V2は
【化20】
であり、V3は単結合である。
【0024】
特定の実施形態では、V1が
【化21】
である場合、o’は3、4または5であり、p’は0、1または2であり、o’+p’は4または5であり、V2は単結合である。
【0025】
特定の実施形態では、V2が単結合である場合、o’は0、3、4または5であり;p’は0、1、2または5であり、o’+p’は4または5であり、q’は0であり、V3は単結合である。
【0026】
特定の実施形態では、W’およびY’のそれぞれは、単結合、またはアルケニル、アルキニル、アリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、もしくはオキソから独立して選択される1つもしくは複数の置換基で任意選択で置換された低級アルキルもしくはヘテロアルキルから独立して選択される。
【0027】
本発明の方法での使用に適した化合物には、式1のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化22】
[式中、
炭素a’およびb’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素c’およびd’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
Re、Rf、およびRgは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから独立して選択され;
Rh、RiおよびRjは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択され;
Iは、−C(O)−E、−SO2−E、−PO(OR)−Eから選択され、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;Rは、水素またはアルキルであり;
J、LおよびHは、20個までの原子を含有する環または20個までの原子の鎖から独立して選択されるリンカーであり、ただし、J、LおよびHには、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、J、LおよびHには、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、およびスルホニルから選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、J、LおよびHは、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環も含有することができ、ただし、リンカーJは、炭素原子を介して隣接するC(R)OR基と結合しており;
Gは、水素、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、またはカルボキサミドから選択される]。
【0028】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0029】
特定の実施形態では、式1の化合物は、E、Re、Rf、およびRgが上記定義したとおりである、式2によって表される。
【化23】
【0030】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0031】
式2の例示的な化合物には、
【化24】
が含まれる。
【0032】
特定の実施形態では、式1の化合物は、E、Re、Rf、およびRgが上記定義したとおりである、式3によって表される。
【化25】
【0033】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0034】
式3の例示的な化合物には、
【化26】
が含まれる。
【0035】
式1のさらなる例示的な化合物、化合物Xが含まれる。
【化27】
【0036】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式4のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化28】
[式中、
Aは、Hまたは−OP4であり;
P1、P2およびP4は、それぞれ独立して、保護基または水素原子であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキルアリール基、ハロゲン原子、水素原子であり;
Zは、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(O)H、−C(NH)NRcRc、−C(S)H、−C(S)ORd、−C(S)NRcRc、−CN、好ましくはカルボン酸、エステル、アミド、チオエステル、チオカルボキサミドまたはニトリルであり;
それぞれのRaは、存在する場合は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C3〜C8)シクロアルキル、シクロヘキシル、(C4〜C11)シクロアルキルアルキル、(C5〜C10)アリール、フェニル、(C6〜C16)アリールアルキル、ベンジル、2〜6員のヘテロアルキル、3〜8員のヘテロシクリル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、4〜11員のヘテロシクリルアルキル、5〜10員のヘテロアリールおよび6〜16員のヘテロアリールアルキルから独立して選択され;
それぞれのRbは、存在する場合は、=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2Rd、−S(O)2ORd、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、−OS(O)Rd、−OS(O)2Rd、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(NH)NRcRc、−C(NRa)NRcRc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcRc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcRc、−OC(NH)NRcRc、−OC(NRa)NRcRc、−[NHC(O)]nRd、−[NRaC(O)]nRd、−[NHC(O)]nORd、−[NRaC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcRc、−[NRaC(O)]nNRcRc、−[NHC(NH)]nNRcRcおよび−[NRaC(NRa)]nNRcRcから独立して選択される適切な基であり;
それぞれのRcは、存在する場合は、独立して、保護基もしくはRaであるか、または、その代わりに、2つのRcは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、一つもしくは複数の追加のヘテロ原子が任意選択で含まれ、かつ同一もしくは異なるRaのうちの1つもしくは複数または適切なRb基で任意選択で置換されている5〜8員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリールを形成し;
それぞれのnは、独立して、0〜3の整数であり;
それぞれのRdは、独立して、保護基またはRaである]。
【0037】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式5のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化29】
[式中、
P3は、保護基または水素原子であり;
P1、P2、R1およびZは、式4中で上記定義したとおりである]。
【0038】
式5の例示的な化合物には、化合物5aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化30】
【0039】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式6のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化31】
[式中、
炭素gg’と炭素hh’との結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
それぞれのXは、水素を表すか、あるいは、両方のX基は、3員環が形成されるように、一緒になって、1つの置換もしくは非置換のメチレン、酸素原子、置換もしくは非置換のN原子、または硫黄原子を表し;
P1、P2、P3、R1およびZは、上記定義したとおりである]。
【0040】
式6の例示的な化合物には、化合物6aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化32】
【0041】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式7のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化33】
[式中、
炭素e’およびf’は、二重結合または三重結合によって結合されており、炭素e’が二重結合によって炭素f’と結合している場合、立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素g’およびh’は、二重結合または三重結合によって結合されており、炭素g’が二重結合によって炭素h’と結合している場合、立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
T’は、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C5〜C14)アリール、(C6〜C16)アリールアルキル、5〜14員のヘテロアリール、6〜16員のヘテロアリールアルキル、または−CH=CHCH2CH3であり;
Tは、−(CH2)q−または−(CH2)q−O−であり、qは、0〜6の整数であり;
Z’は、1、2、3、4、5もしくは6個の同一もしくは異なるハロゲン原子で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキレン、−(CH2)p−O−CH2−または−(CH2)m−S−CH2−であり、pは、0〜4の整数であり;
R11、R12およびR13は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の分枝状もしくは非分枝状のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の分枝状もしくは非分枝状のアルキルアリール基、C1-4アルコキシ、ハロゲン原子、−CH2R14、−CHR14R14、−CR14R14R14、または水素原子であり;
R14は、各々独立して、−CN、−NO2またはハロゲンから選択され;
P1、P2、P3、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0042】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式8のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化34】
[式中、
炭素i’と炭素j’との結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
D’は、CH3、−CH=CHCH2Uまたは−CH=CHCH2CH2Aであり;
Uは、分枝状または非分枝状の置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、およびアリールオキシカルボニルオキシ基であり;
Aは、Hまたは−OP4であり;
P1、P2、P4、R1、R2およびZは、上記定義したとおりである]。
【0043】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式9のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化35】
[式中、
炭素k’およびl’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素m’と炭素n’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
mは、0または1であり;
Dは、−CH3または−CH=CHCH2CH3であり;
P1、P2、P3、R1、X、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0044】
式9の例示的な化合物には、化合物9aならびに製薬上許容されるその塩およびエステルが含まれる。
【化36】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式10のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【0045】
【化37】
[式中、
P1、P2、P3、R1およびZは、上記定義したとおりであり;
Qは、1つまたは複数の置換基を表し、それぞれのQは、独立して、存在する場合は、ハロゲン原子、または、分枝状もしくは非分枝状の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシもしくはアミノカルボニル基である]。
【0046】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、P3、R1、およびZが上記定義したとおりである、式11のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化38】
【0047】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、P3、Q、R1、およびZが上記定義したとおりである、式12のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化39】
【0048】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、R1、R2、U、およびZが上記定義したとおりである、式13のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化40】
【0049】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、R1、R2、Q、およびZが上記定義したとおりである、式14のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化41】
【0050】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1、P2、およびZが上記定義したとおりである、式15のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化42】
【0051】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、P1およびZが上記定義したとおりである、式16のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化43】
【0052】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式17のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化44】
[式中、
炭素o’およびp’は、単結合または二重結合によって結合されており;
炭素q’およびr’は、単結合または二重結合によって結合されており;
P1、P2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0053】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式18のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化45】
[式中、
炭素s’と炭素t’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
炭素u’と炭素v’との二重結合の立体化学はシスまたはトランスであり;
P1、P2、R1、R2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0054】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式19のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化46】
[式中、
炭素w’およびx’は、単結合または二重結合によって結合されており;
炭素y’およびz’は、単結合または二重結合によって結合されており;
P1、P2、およびZは、上記定義したとおりである]。
【0055】
式4〜19の特定の実施形態では、それぞれのRbは、存在する場合は、=O、−ORd、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRd、=NRd、=NORd、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Rd、−S(O)2Rd、−S(O)2ORd、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、−OS(O)Rd、−OS(O)2Rd、−OS(O)2ORd、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rd、−C(O)ORd、−C(O)NRcRc、−C(NH)NRcRc、−C(NRa)NRcRc、−C(NOH)Ra、−C(NOH)NRcRc、−OC(O)Rd、−OC(O)ORd、−OC(O)NRcRc、−OC(NH)NRcRc、−OC(NRa)NRcRc、−[NHC(O)]nRd、−[NRaC(O)]nRd、−[NHC(O)]nORd、[NHC(O)]nNRcRc、−[NRaC(O)]nNRcRc、−[NHC(NH)]nNRcRcおよび−[NRaC(NRa)]nNRcRcから独立して選択される適切な基である。
【0056】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式20
【化47】
、式21
【化48】
、式22
【化49】
、式23
【化50】
、式24
【化51】
、式25
【化52】
、式26
【化53】
、式27
【化54】
、または式28
【化55】
のもの、またはそのうちの任意のものの製薬上許容される塩が含まれる
[式中、
それぞれのPは、独立して、Hまたは保護基から選択され;
Rは、H、C1-6アルキル(たとえば、メチル、エチル、グリセロール)、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルである]。
【0057】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式29のもの、ならびに製薬上許容されるその塩、水和物および溶媒和物が含まれる:
【化56】
[式中、
D1−E1およびF1−G1は、独立して、シスまたはトランスの−C=C−または−C≡C−であり;
R101、R102およびR103は、水素、(C1〜C4)の直鎖または分枝状アルキル、(C2〜C4)アルケニル、(C2〜C4)アルキニル、(C1〜C4)アルコキシ、−CH2R104、−CHR104R104および−CR104R104R104から独立して選択され;
それぞれのR104は、CN、−NO2およびハロゲンから独立して選択され;
W1は、−R105、−OR105、−SR105および−NR105R105から選択され;
それぞれのR105は、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニルまたは(C2〜C6)アルキニル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C5〜C14)アリール、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換されたフェニル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C6〜C16)アリールアルキル、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された5〜14員のヘテロアリール、同一または異なるR基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された6〜16員のヘテロアリールアルキルおよび検出可能な標識分子から独立して選択され;
A1は、1、2、3、4、5または6個の同一または異なるハロゲン原子で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキレン、−(CH2)m−O−CH2−および−(CH2)m−S−CH2−から選択され、mは、0〜4の整数であり;
X1は、−(CH2)n−および−(CH2)n−O−から選択され、nは、0〜6の整数であり;
Y1は、水素、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、または(C2〜C6)アルキニル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C5〜C14)アリール、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換されたフェニル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された(C6〜C16)アリールアルキル、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された5〜14員のヘテロアリール、同一または異なるR100基のうちの1つまたは複数で任意選択で置換された6〜16員のヘテロアリールアルキルおよび検出可能な標識分子から選択され;
それぞれのR100は、電気陰性基、=O、−ORa1、(C1〜C3)ハロアルキルオキシ、=S、−SRa1、=NRa1、=NONRa1、−NRc1Rc1、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)Ra1、−S(O)2Ra1、−S(O)2ORa1、−S(O)2NRc1Rc1、−OS(O)Ra1、−OS(O)2Ra1、−OS(O)2ORa1、−OS(O)2NRc1Rc1、−C(O)Ra1、−C(O)ORa1、−C(O)NRc1Rc1、−C(NH)NRc1Rc1、−OC(O)Ra1、−OC(O)ORa1、−OC(O)NRc1Rc1、−OC(NH)NRc1Rc1、−NHC(O)Ra1、−NHC(O)ORa1、−NHC(O)NRc1Rc1および−NHC(NH)NRc1Rc1から独立して選択され;
それぞれのRa1は、水素、(C1〜C4)アルキル、(C2〜C4)アルケニルまたは(C2〜C4)アルキニルから独立して選択され;
それぞれのRc1は、独立して、Ra1であるか、または、その代わりに、Rc1Rc1は、それが結合している窒素原子一緒になって、5または6員の環を形成する]。
【0058】
式29の特定の実施形態では、X1−Y1が−CH2CH3である場合、R101、R102またはR103のうちの少なくとも1つは、水素以外である。
【0059】
特定の実施形態では、式29の化合物は、式30によって表される。
【化57】
【0060】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式31〜37のもの、ならびに製薬上許容されるその塩、水和物および溶媒和物が含まれる:
【化58】
[式中、
R106は、−OH、−OCH3、−OCH(CH3)2または−NHCH2CH3であり;
R107は、
【化59】
である]。
【0061】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式38のもの、または製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化60】
[式中、
炭素aa’およびbb’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
炭素cc’およびdd’は、二重結合または三重結合によって結合されており;
Re、Rf、およびRgは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル(たとえば、アルコキシアシル、アミノアシル)、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、またはシリルから独立して選択され;
Eは、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノであり;
Rh、RiおよびRjは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択され;
R4は、水素、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシから選択され;
R5は、以下のi〜ivから選択され:i)CH2CH(R6)CH2[式中、R6は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリール、ヘテロアリール、フルオロ、ヒドロキシルまたはアルコキシである];ii)CH2C(R6R7)CH2[式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アリール、もしくはフルオロであるか、またはR6およびR7は、一緒に結合されて炭素環もしくはヘテロ環を形成する];iii)CH2OCH2、CH2C(O)CH2、またはCH2CH2;あるいはiv)R5は、炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環である;
R8およびR9は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アリールもしくはヘテロアリールから独立して選択されるか、または、R8およびR9は、一緒に結合されて炭素環もしくはヘテロ環を形成する]。
【0062】
特定の実施形態では、R8およびR9は水素である。
【0063】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。
【0064】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、Re、Rf、E、Ri、R5、R8およびR9が上記定義したとおりである、式39〜44のもの、および製薬上許容されるその塩が含まれる。
【化61】
【化62】
式39、41、および43の例示的な化合物には、
【化63】
が含まれる。
【0065】
特定の実施形態では、化合物の製薬上許容される塩は、Eを誘導体化することによって形成し、Eは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンである。そのような化合物の例には、化合物Zが含まれる。
【化64】
【0066】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式46のもの、製薬上許容されるその塩またはプロドラッグが含まれる:
【化65】
[式中、
それぞれの
【化66】
は独立して、二重または三重結合を示し;
R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、OR、OX1、SR、SX2、N(R)2、NHX3、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、またはSO2N(R)2であり;
それぞれのRは、水素またはC1-6脂肪族、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分的に不飽和、もしくはアリールの環から選択される任意選択で置換された基から独立して選択されるか、あるいは;
同一窒素上の2つのRは、窒素と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜8員のヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し;
それぞれのX1は、独立して、適切なヒドロキシル保護基であり;
それぞれのX2は、独立して、適切なチオール保護基であり;
それぞれのX3は、独立して、適切なアミノ保護基であり;
R4は、NRC(O)R、NRC(O)N(R)2、C(O)OR、C(O)N(R)2、SO2R、NRSO2R、C(O)R、またはSO2N(R)2である]。
【0067】
本発明の方法での使用に適した他の化合物には、式47のもの、または製薬上許容されるその塩もしくはプロドラッグが含まれる:
【化67】
[式中、
Y’は、単結合、または20個までの原子を含有する環もしくは20個までの原子の鎖から選択されるリンカーであり、ただし、Y’には、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、Y’には、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、またはスルホニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、Y’は、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環を含有することができる;
Z’は、−CN、−C(NH)N(R'')(R'')、−C(S)−A’、−C(S)R''、−C(O)−A’、−C(O)−R''、−C(O)−SR''、−C(O)−NH−S(O)2−R''、−S(O)2−A’、−S(O)2−R''、S(O)2N(R'')(R'')、−P(O)2−A’、−PO(OR'')−A’、−テトラゾール、アルキルテトラゾール、または−CH2OHから選択され、
A’は、−OR''、−N(R'')(R'')または−OM’から選択され;
それぞれのR''は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは検出可能な標識分子から独立して選択され、任意のアルキル、アリールまたはヘテロアリール含有部分は、独立して選択された3個までの置換基で任意選択で置換されており;
M’は、陽イオンである]。
【0068】
特定の実施形態では、式47の化合物は、式48によって表される。
【化68】
【0069】
特定の実施形態では、式47の化合物は、式49によって表される。
【化69】
【0070】
上記化合物(たとえば、式Aまたは式1〜49のの化合物)は、炎症または炎症性疾患の治療または予防に有用であることが知られている。そのような化合物の例は、以下の特許および出願中に開示されている:US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号、US2005/0228047号、US2005/0238589号およびUS2005/0261255号。これらの化合物は、本発明の方法での使用に適している。
【0071】
本発明において有用な他の化合物は、上述の式Aまたは式1〜49の化合物のうちの任意のものと化学的に類似の変異体である化合物である。用語「化学的に類似の変異体」には、それだけには限定されないが、様々な部分を既知のバイオスター(biostere)で置き換えること;上記化合物のうちの1つの末端基を上記の任意の他の化合物の対応する末端基で置き換えること、化合物中の任意の二重結合の配向を変更すること、任意の化合物中の任意の二重結合を三重結合で置き換えること、および上記化合物のうちの1つ中に存在する1つまたは複数の置換基を任意の他の化合物の対応する置換基で置き換えることが含まれる。
【0072】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式50のもの、および製薬上許容されるその塩が含まれる:
【化70】
[式中、
Xは、R301、OR301、またはSR301であり;
R301は
(a)水素原子;
(b)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル
【化71】
[式中、Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、−NO2、−CN、−C(=O)−R301、−SO3H、水素原子、ハロゲン、メチル、−ORxそれぞれから独立して選択され、Rxは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子、およびヒドロキシルであり、Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvのうちの任意のものは、C(=O)−R301である場合、前記Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvは、別のC(=O)−R301で置換されていない]、
(g)検出可能な標識分子;または
(h)包括的に2〜8個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝鎖のアルケニルであり;
Q1は、(C=O)、SO2または(CN)であり、ただし、Q1がCNである場合、Xは存在せず;
Q3およびQ4は、それぞれ独立して、O、SまたはNHであり;
R302およびR303のうちの一方は水素原子であり、他方は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)RkQ2Rlであり、Q2は、−O−もしくは−S−であり;Rkは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に0〜6個の炭素原子のアルキレンであり、Rlは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に0〜8個の炭素原子のアルキルであり、ただし、Rlが0である場合、Rlは水素原子であり;
R304は
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であり得る、包括的に1〜6個の炭素原子のアルキルであり;
R305は
【化72】
であり、
Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、上記定義されたとおりであり;
R306は
(a)H;
(b)包括的に1〜4個の炭素原子のアルキル、直鎖状または分枝状であり;
Y301は、−OH、メチル、−SH、直鎖状もしくは分枝状の包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル、包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシ、または(CH)p(Z)qであり、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3であり、Zは、シアノ、ニトロまたはハロゲンであり;
Tは、OまたはSである]。
【0073】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式51、52、53または54のものが含まれる:
【化73】
【化74】
[式中、
それぞれのR307は、水素および1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキルから独立して選択され;
R308、R309、R310、R319、およびR320は、以下から独立して選択され、
(a)水素;
(b)1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;
(c)ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、1〜20個の炭素原子を有する置換アルキル;
(d)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリール;ならびに
(e)Z−Y
[式中、Zは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換低級アルキル;ならびにアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリールから選択され;
Yは、水素;アルキル;シクロアルキル;カルボキシル;カルボキサミド;アリール;ヘテロアリール;アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリールから選択される];
R311〜R318は、以下から独立して選択され、
(a)水素;
(b)ハロ;
(c)1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、環状、飽和、または不飽和のアルキル;
(d)ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アリールアミノ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、カルボキシ、カルボキサミド、カルボアルコキシ、アリール、およびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、1〜20個の炭素原子を有する置換アルキル;
(e)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、およびカルボキサミドから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、置換アリールまたはヘテロアリール;あるいは
R308〜R320は、独立して、リポキシン主鎖と炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合、もしくは環を形成する単結合であるか;または
R307〜R320のうちの任意の2は、それらが結合している原子ならびに任意選択で1〜6個の酸素原子、1〜6個の窒素原子、もしくは1〜6個の酸素原子および1〜6個の窒素原子の両方と一緒になって、3〜20個の原子を含有する環を形成する]。
【0074】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式55のものが含まれる:
【化75】
[式中、
R401は、
【化76】
【化77】
から選択され;
R402は、
【化78】
から選択され;
X10は、R411、OR411、またはSR411であり;
R411は、
(a)水素原子;
(b)直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)7〜12個の炭素原子のアラルキル;
(e)フェニル;
(f)置換フェニル
【化79】
[式中、Zi、Zii、Ziii、ZivおよびZvは、−NO2、−CN、−C(=O)−R411、−SO3H、水素原子、ハロゲン、メチル、−ORxそれぞれから独立して選択され、Rxは、直鎖状もしくは分枝状であり得る、包括的に1〜8個の炭素原子、およびヒドロキシルであり;Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvのうちの任意のものは、C(=O)−R411である場合、前記Zi、Zii、Ziii、ZivもしくはZvは、別のC(=O)−R411で置換されていない]
(g)検出可能な標識分子;または
(h)包括的に2〜8個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝鎖アルケニルであり;
Q1は、(C=O)、SO2または(CN)であり;
Q3は、O、SまたはNHであり;
R412およびR413のうちの一方は水素原子であり、他方は以下から選択され、
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)R431Q2R432であり、Q2は、−O−もしくは−S−であり;R431は、直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に0〜6個の炭素原子のアルキレンであり、R431は、直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に0〜8個の炭素原子のアルキルであり;
R413aおよびR413bは、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に1〜8個の炭素原子のアルキル;
(c)包括的に3〜6個の炭素原子のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜8個の炭素原子のアルケニル;または
(e)R431Q2R432[式中、R431、Q2、およびR432は、上記定義したとおりである]であり;
R414は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状であることができる、包括的に1〜6個の炭素原子のアルキルであり;
R415は、
(a)直鎖状または分枝状であることができる、1〜9個の炭素原子のアルキル;
(b)−(CH2)−Ri
[式中、n=0〜4であり、Riは、
(i)包括的に3〜10個の炭素原子のシクロアルキル;
(ii)フェニル;または
(iii)置換フェニル
【化80】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである]である];
(b)R431Q2R432[式中、R431、Q2、およびR432は、上記定義したとおりである];
(c)−C(Riii)(Riv)−Ri、
[式中、RiiiおよびRivは、それぞれ独立して、
(i)水素原子;
(ii)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである]である];
(e)直鎖状または分枝状の、包括的に1〜8個の炭素原子のハロアルキル、および包括的に1〜6個のハロゲン原子であり;
R416は、
(a)H;
(b)直鎖状または分枝状の、包括的に1〜4個の炭素原子のアルキル;
(c)ハロゲンであり;
Y401またはY402のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H;
(b)(CH)p(Z)q[式中、p+q=3、p=0〜3、q=0〜3であり、それぞれのZは、独立して、シアノ、ニトロもしくはハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(d)=NH;または
(e)=Oであり;
Y403またはY404のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H;
(b)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(a)=NH;または
(b)=Oであり;
Y405またはY406のうちの一方は、−OH、メチル、または−SHであり、他方は、以下から選択され、
(a)H
(b)(CH)p(Z)q[式中、Z、p、およびqは、上記定義したとおりである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキル;または
(d)包括的に1〜4個の炭素原子のアルコキシであるか、
あるいは、Y401およびY402は、一緒になって、
(a)=NH;または
(b)=Oであり;
R421は、
(a)H;または
(b)1〜8個の炭素原子のアルキルであり;
R422およびR423は、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)ヒドロキシル、もしくはチオール;
(c)メチルもしくはハロメチル;
(d)ハロゲン;または
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシであり;
R424およびR425は、それぞれ独立して、
(a)H;
(b)ヒドロキシル、もしくはチオール;
(c)メチルもしくはハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)1〜3個の炭素原子のアルコキシ;または
(f)直鎖状もしくは分枝状であることができる、包括的に2〜4個の炭素原子のアルキルもしくはハロアルキルであり;
R426は、
(a)置換フェニル
【化81】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである];
(b)置換フェノキシ
【化82】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである];または
(c)
【化83】
[式中、Zi〜Zvは、上記定義したとおりである]である]。
【0075】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式56のものが含まれる:
【化84】
[式中、
Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたは−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムから選択される陽イオンであり、かつナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび亜鉛の陽イオンであり;
Wは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、またはスルホンアミドであり;
R501〜R503のそれぞれは、水素、アルキル、アリール、アシルまたはアルコキシアシルから独立して選択され;
nは、0、1または2であり;
mは、1または2であり;
フェニル環上の2つの置換基は、オルト、メタ、またはパラである]。
【0076】
本発明での使用に適したリポキシン化合物には、式57のものが含まれる:
【化85】
[式中、
Iは、−C(O)−E、−SO2−E、−PO(OR)−Eから選択され、Eは、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、または−OMであり、Mは、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、Na、K、Mg、およびZnから選択される陽イオンであり;Rは、ヒドロキシルまたはアルコキシであり
J’およびK’は、20個までの原子の鎖および20個までの原子を含有する環から独立して選択されるリンカーであり、ただし、J’およびK’には、独立して、1つまたは複数の窒素、酸素、硫黄またはリン原子が含まれることができ、ただし、さらに、J’およびK’には、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、カルボキサミド、シアノ、オキソ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、ホスホリル、およびスルホニルから選択される1つまたは複数の置換基が含まれることができ、ただし、さらに、J’およびK’は、1つまたは複数の縮合炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール環も含有することができ、ただし、リンカーJ’およびK’は、炭素原子またはC−ヘテロ原子結合を介して隣接するC(R)OR基と結合しており、ヘテロ原子は、酸素、硫黄、リンまたは窒素であり;
Gは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、およびカルボキサミドから選択され、
Re、RfおよびRgは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、シリル、アルコキシアシルおよびアミノアシルから独立して選択され;
R601、R602およびR603は、水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから独立して選択され、ただし、R601、R602およびR603は、独立して、リンカーJ’またはK’と結合することができ;
R604およびR605は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、フルオロから独立して選択され、ただし、R604およびR605は、一緒に結合して、炭素環、ヘテロ環または芳香環を形成することができ、ただし、さらに、R604およびR605は、単結合によって置き換えられて、三重結合を形成することができる]。
【0077】
本発明の方法での使用に適した他の化合物は、国際出願WO2006055965号、WO2007090162号、およびWO2008/103753号に記載のオキシリピンであり、それ中の化合物は、本明細書中に参考として組み込まれている。そのような化合物の例は、表1に示す式58〜132のものである。これらの化合物には、長鎖ω−6脂肪酸、ドコサペンタエン酸(DPAn−6)(化合物58〜73)およびドコサテトラエン酸(DTAn−6)(化合物74〜83)、ならびにDPAn−6のω−3対応物、ドコサペンタエン酸(DPAn−3)(化合物84〜97)が含まれる。さらなる化合物は、ドコサノイド98〜115、γ−リノレン酸(GLA)(化合物116〜122)、およびステアリドン酸(SDA)(化合物123〜132)である。
【0078】
【表1−1】
【0079】
【表1−2】
【0080】
【表1−3】
【0081】
【表1−4】
【0082】
【表1−5】
【0083】
【表1−6】
【0084】
【表1−7】
【0085】
【表1−8】
【0086】
【表1−9】
【0087】
本発明の方法での使用に適した他のオキシリピン化合物には、表1に示した化合物の類似体が含まれる。そのような化合物には、それだけには限定されないが、1つまたは複数の二重結合が三重結合によって置き換えられた類似体、1つまたは複数のカルボキシ基を誘導体化してエステル、アミドまたは塩が形成された類似体、ヒドロキシル保有炭素をさらに誘導体化して(たとえば、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換の分枝状または非分枝状のアルキルアリール基、ハロゲン原子で)第三級アルコール(またはそのエーテル、エステル、もしくは他の誘導体)が形成された類似体、1つまたは複数のヒドロキシル基を誘導体化してエステルまたは保護アルコールが形成された類似体、あるいは前述の修飾のうちの任意の組合せを有する類似体が含まれる。
【0088】
本発明の方法での使用に適したさらなるオキシリピン化合物には、ドコサペンタエン酸(DPAn−6)の単離ドコサノイド;DPAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DPAn−3)の単離ドコサノイド;DPAn−3のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体;ドコサペンタエン酸(DTAn−6)の単離ドコサノイド;またはDTAn−6のモノヒドロキシ、ジヒドロキシ、およびトリヒドロキシ誘導体が含まれる。
【0089】
用語「アシル」とは、当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)−、好ましくはアルキルC(O)−によって表される基をいう。
【0090】
用語「アシルアミノ」とは、当分野で認識されており、アシル基で置換されたアミノ基をいい、たとえば、式ヒドロカルビルC(O)NH−によって表し得る。
【0091】
用語「アシルオキシ」とは、当分野で認識されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O−、好ましくはアルキルC(O)O−によって表される基をいう。
【0092】
用語「アルコキシ」とは、それに酸素が結合した、アルキル基、好ましくは低級アルキル基をいう。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。
【0093】
用語「アルコキシアルキル」とは、アルコキシ基で置換されたアルキル基をいい、一般式アルキル−O−アルキルによって表し得る。
【0094】
本明細書中で使用する用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族基をいい、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基でアルケニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えたアルケニル部分をいう。そのような置換基は、1つまたは複数の二重結合中に含まれるまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に存在し得る。さらに、そのような置換基には、安定性が困難となる場合を除いて、以下に記載するアルキル基について企図されるものがすべて含まれる。たとえば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が企図される。
【0095】
用語「アルキル」とは、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた、飽和脂肪族の基をいう。好ましい実施形態では、直鎖状または分枝鎖のアルキルは、その主鎖中に30個以下(たとえば、直鎖状ではC1〜C30、分枝鎖ではC3〜C30)、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造中に5、6または7個の炭素を有する。
【0096】
さらに、明細書、実施例、および特許請求の範囲全体にわたって使用する用語「アルキル」(または「低級アルキル」)には、「非置換アルキル」および「置換アルキル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基で炭化水素主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えた有するアルキル部分をいう。そのような置換基には、別段に指定しない限りは、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、もしくはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくは芳香族ヘテロ環部分が含まれることができる。当業者には、適切な場合は、炭化水素鎖状の置換された部分自体が置換されていることができることが理解されよう。たとえば、置換アルキルの置換基には、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート、ホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル、スルホネートを含む)、およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、エステルを含む)、−CF3、−CNなどの、置換されたおよび置換されていない形態が含まれ得る。例示的な置換アルキルを以下に記載する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどでさらに置換されていることができる。
【0097】
用語「Cx-y」とは、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と併せて使用した場合は、鎖中にx〜y個の炭素を含有する基が含まれることを意味する。たとえば、用語「Cx-yアルキル」とは、鎖中にx〜y個の炭素を含有する直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含めた、置換または非置換の飽和炭化水素基をいい、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリ(tir)フルオロエチルなどのハロアルキル基が含まれる。C0アルキルとは、基が末端位置にある場合は水素を示し、内部の場合は単結合を示す。用語「C2-yアルケニル」および「C2-yアルキニル」とは、長さおよび可能な置換が上述のアルキルと類似であるが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含有する、置換または非置換の不飽和脂肪族基をいう。
【0098】
本明細書中で使用する用語「アルキルアミノ」とは、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基をいう。
【0099】
本明細書中で使用する用語「アルキルチオ」とは、アルキル基で置換されたチオール基をいい、一般式アルキルS−によって表し得る。
【0100】
本明細書中で使用する用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基をいい、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」がどちらも含まれることを意図し、その後者は、置換基でアルキニル基の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えたアルキニル部分をいう。そのような置換基は、1つまたは複数の三重結合中に含まれるまたは含まれない1つまたは複数の炭素上に存在し得る。さらに、そのような置換基には、安定性が困難となる場合を除いて、上記に記載するアルキル基について企図されるものがすべて含まれる。たとえば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が企図される。
【0101】
本明細書中で使用する用語「アミド」とは、基
【化86】
をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、2つのR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0102】
用語「アミン」および「アミノ」とは、当分野で認識されており、非置換および置換のアミンの両方ならびにその塩、たとえば、
【化87】
によって表される部分をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、2つのR10は、それらが結合しているN原子と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0103】
本明細書中で使用する用語「アミノアルキル」とは、アミノ基で置換されたアルキル基をいう。
【0104】
本明細書中で使用する用語「アラルキル」とは、アリール基で置換されたアルキル基をいう。
【0105】
本明細書中で使用する用語「アリール」には、環のそれぞれの原子が炭素である、置換または非置換の単環芳香族基が含まれる。好ましくは、環は5〜7員環、より好ましくは6員環である。また、用語「アリール」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つは芳香族であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。アリール基には、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが含まれる。
【0106】
用語「カルバメート」とは、当分野で認識されており、基
【化88】
をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または、両方のR10基は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0107】
本明細書中で使用する用語「炭素環」、「カルボシクリル」、および「炭素環」とは、環のそれぞれの原子が炭素である、非芳香族の飽和または不飽和の環をいう。好ましくは、炭素環は、3〜10個の原子、より好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0108】
本明細書中で使用する用語「カルボシクリルアルキル」とは、炭素環基で置換されたアルキル基をいう。
【0109】
用語「カルボネート」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビル基を表す−OCO2−R10基をいう。
【0110】
本明細書中で使用する用語「カルボキシ」とは、式−CO2Hによって表される基をいう。
【0111】
本明細書中で使用する用語「エステル」とは、R10がヒドロカルビル基を表す−C(O)OR10基をいう。
【0112】
本明細書中で使用する用語「エーテル」とは、酸素を介して別のヒドロカルビル基と連結したヒドロカルビル基をいう。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基は、ヒドロカルビル−O−であり得る。エーテルは、対称または非対称のどちらかであり得る。エーテルの例には、それだけには限定されないが、ヘテロ環−O−ヘテロ環およびアリール−O−ヘテロ環が含まれる。エーテルには「アルコキシアルキル」基が含まれ、これは、一般式アルキル−O−アルキルによって表し得る。
【0113】
本明細書中で使用する用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードが含まれる。
【0114】
本明細書中で使用する用語「ヘタラルキル」および「ヘテロアラルキル」とは、ヘタリール基で置換されたアルキル基をいう。
【0115】
本明細書中で使用する用語「ヘテロアルキル」とは、どの2つのヘテロ原子も隣接していない、炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子の飽和または不飽和の鎖をいう。
【0116】
用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」には、置換または非置換の芳香族単環構造、好ましくは5〜7員環、より好ましくは5〜6員環が含まれ、その環構造には、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子が含まれる。また、用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つは芳香族ヘテロ環であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。ヘテロアリール基には、たとえば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが含まれる。
【0117】
本明細書中で使用する用語「ヘテロ原子」とは、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。
【0118】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」、および「ヘテロ環」とは、置換または非置換の非芳香環構造、好ましくは3〜10員環、より好ましくは3〜7員環をいい、その環構造には、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子が含まれる。また、用語「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環」には、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共有される、2つ以上の環を有する多環系も含まれ、環のうちの少なくとも1つはヘテロ環であり、たとえば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであることができる。ヘテロシクリル基には、たとえば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。
【0119】
本明細書中で使用する用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロ環基で置換されたアルキル基をいう。
【0120】
本明細書中で使用する用語「ヒドロカルビル」とは、=Oまたは=S置換基を有さない炭素原子を介して結合しており、典型的には少なくとも1つの炭素−水素結合、主に炭素主鎖を有するが、任意選択でヘテロ原子が含まれ得る基をいう。したがって、メチル、エトキシエチル、2−ピリジル、およびトリフルオロメチルなどの基は、本出願の目的のためのヒドロカルビルであるとみなされるが、アセチル(連結する炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく酸素を介して連結されている)などの置換基はそうみなされない。ヒドロカルビル基には、それだけには限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロ環、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが含まれる。
【0121】
本明細書中で使用する用語「ヒドロキシアルキル」とは、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基をいう。
【0122】
用語「低級」には、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどの化学部分と併せて使用した場合は、置換基中に10個以下、好ましくは6個以下の非水素原子が存在する基が含まれることを意味する。たとえば、「低級アルキル」とは、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基をいう。特定の実施形態では、本明細書中で定義するアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、単独で、またはヒドロキシアルキルおよびアラルキルの言及などの他の置換基と組み合わせて出現するかどうかにかかわらず、それぞれ、低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである(その場合、たとえば、アルキル置換基中の炭素原子を数える場合に、アリール基内の原子は数えない)。
【0123】
用語「ポリシクリル」、「ポリサイクル」、および「多環」とは、2つ以上の原子が2つの隣接する環で共有されている2つ以上の環(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)をいい、たとえば、環は「縮合環」である。ポリサイクルの環のそれぞれは、置換または非置換であることができる。特定の実施形態では、ポリサイクルのそれぞれの環は、環中に3〜10個、好ましくは5〜7個の原子を含有する。
【0124】
用語「シリル」とは、3つのヒドロカルビル部分がそれに結合したケイ素部分をいう。
【0125】
用語「置換された」とは、置換基で主鎖の1つまたは複数の炭素上の水素を置き換えた部分をいう。「置換」または「で置換された」には、そのような置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従っており、置換により安定した化合物、たとえば、再配置、環化、脱離などによる変換が自発的に行われないものが生じるという暗黙の条件が含まれることを理解されよう。本明細書中で使用する用語「置換された」とは、有機化合物のすべての許容される置換基が含まれることが企図される。広い態様では、許容される置換基には、有機化合物の、非環状および環状、分枝状および非分枝状、炭素環およびヘテロ環、芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つまたは複数かつ同一または異なることができる。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書中に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。置換基には、本明細書中に記載の任意の置換基には、たとえば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、もしくはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくは芳香族ヘテロ環部分が含まれることができる。当業者には、適切な場合は、炭化水素鎖上の置換された部分自体が置換されていることができることが理解されよう。
【0126】
「非置換」であるとして具体的に記述しない限りは、本明細書中の化学部分への言及には、置換された変異体が含まれると理解される。たとえば、「アリール」基または部分への言及には、置換されたおよび置換されていない変異体がどちらも暗黙的に含まれる。
【0127】
用語「スルフェート」とは、当分野で認識されており、−OSO3H基または製薬上許容されるその塩をいう。
【0128】
用語「スルホンアミド」とは、当分野で認識されており、一般式
【化89】
によって表される基をいう[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビルを表すか、または、両方のR10基は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0129】
用語「スルホキシド」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビルを表す−S(O)−R10基をいう。
【0130】
用語「スルホネート」とは、当分野で認識されており、SO3H基または製薬上許容されるその塩をいう。
【0131】
用語「スルホン」とは、当分野で認識されており、R10がヒドロカルビルを表す−S(O)2−R10基をいう。
【0132】
本明細書中で使用する用語「チオアルキル」とは、チオール基で置換されたアルキル基をいう。
【0133】
本明細書中で使用する用語「チオエステル」とは、R10がヒドロカルビルを表す−C(O)SR10または−SC(O)R10基をいう。
【0134】
本明細書中で使用する用語「チオエーテル」とは、酸素が硫黄で置き換えられているエーテルに相当する。
【0135】
用語「尿素」とは、当分野で認識されており、一般式
【化90】
によって表し得る[式中、それぞれのR10は、独立して、水素もしくはヒドロカルビルを表すか、または、R10の2つの出現は、介在する原子(複数可)と一緒になって、環構造中に4〜8個の原子を有するヘテロ環を完全にする]。
【0136】
用語「プロドラッグ」とは、生理条件下で本発明の治療上活性のある薬剤(たとえば、式Aもしくは式1〜49の化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物)へと変換される化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作製する一般的な方法は、生理条件下で加水分解されて所望の分子を出現させる1つまたは複数の選択した部分を含めることである。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性によって変換される。たとえば、エステル(たとえば、アルコールまたはカルボン酸のエステル)が、本発明の好ましいプロドラッグである。特定の実施形態では、上記に表す配合物中の、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンの一部またはすべて、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンの全部分または一部分を、対応する適切なプロドラッグで置き換えることができ、たとえば、親化合物中に存在するヒドロキシルまたはカルボン酸を、エステルとして提示する。
【0137】
「保護基」とは、分子中の反応性の官能基と結合した場合に、官能基の反応性を覆う、減少するまたは防止する原子群をいう。典型的には、保護基は、合成の過程中に所望に応じて選択的に除去し得る。保護基の例は、GreeneおよびWuts、有機化学の保護機(Protective Groups in Organic Chemistry)、第3版、1999年、John Wiley&Sons、NYならびにHarrison他、合成有機方法の概要(Compendium of Synthetic Organic Methods)、第1〜8巻、1971〜1996頁、John Wiley&Sons、NY中に見つけることができる。代表的な窒素保護基には、それだけには限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert−ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「TES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが含まれる。代表的なヒドロキシル保護基には、それだけには限定されないが、ヒドロキシル基がアシル化(エステル化)またはアルキル化されているもの、たとえば、ベンジルおよびトリチルエーテル、アルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(たとえば、TMSまたはTIPPS基)、グリコールエーテル、たとえばエチレングリコールおよびプロピレングリコール誘導体ならびにアリルエーテルが含まれる。
【0138】
用語「医療提供者」とは、人、地域などに健康管理サービスを提供する個人または組織をいう。「医療提供者」の例には、医師、病院、高齢者継続介護コミュニティー、高度看護施設、亜急性介護施設、クリニック、多専門クリニック、独立外来センター、在宅保健局、およびHMOが含まれる。
【0139】
用語「治療すること」とは、疾患、障害および/または状態に罹りやすい場合があるが、未だそれに罹患していると診断されていない細胞、組織、系、動物またはヒトにおいて、疾患、障害または状態が起こることを予防すること;疾患、障害または状態を安定化すること、すなわち、その発達を停止させること;ならびに疾患、障害または状態の1つまたは複数の症状を軽減させること、すなわち、疾患、障害および/または状態の回帰を引き起こすことをいう。
【0140】
本明細書中で使用する、障害または状態を「予防する」治療剤とは、統計試料において、処置していない対照試料と比較して処置した試料において障害もしくは状態の発生を減少させる、または、処置していない対照試料と比較して障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を遅延させるもしくは重篤度を減少させる、化合物をいう。
【0141】
本明細書中で使用する、「免疫抑制剤」とは、抗原/アレルゲンの存在に対して免疫学的応答を発揮する身体の能力を抑制する薬剤をいう。たとえば、疾患を撃退するまたは移植された臓器を拒絶する能力である。これらの薬剤の別の用語は、抗拒絶剤である。これらは、移植後の臓器拒絶だけでなく、クローン病、関節リウマチ、ループス、多発性硬化症、乾癬、ならびに本明細書中に記載の他の疾患および障害などの免疫学的な病因学の多くの他の疾患を治療するためにも使用する。
【0142】
本明細書中で使用する用語「移植片」とは、身体部分、臓器、組織、または細胞をいう。移植片は、肝臓、腎臓、心臓もしくは肺などの1つもしくは複数の臓器のすべてもしくは一部;骨もしくは骨格マトリックスなどの身体部分;皮膚、腸管、内分泌腺などの組織;または様々な種類の前駆体幹細胞を含み得る。
【0143】
上述した式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン、またはオキシリピンのそれぞれの合成は、当分野で周知の方法によって達成することができる。たとえば、式Aまたは式1〜49の化合物の合成は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号およびUS2005/0228047号に記載されている。リポキシン化合物の合成は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、US2002/0107289号、US2004/0019110号、US2006/0009521号、US2005/0203184号、US2005/0113443号に記載されている。オキシリピン化合物の調製は、すべて本明細書中に参考として組み込まれている、WO2006/055965号、WO2007/090162号、およびWO2008/103753号に記載されている。
【0144】
本発明の組成物および方法は、それを必要としている個体を治療するために利用し得る。特定の実施形態では、個体は、ヒトなどの哺乳動物、または非ヒト哺乳動物である。ヒトなどの動物に投与する場合、組成物または化合物は、好ましくは、たとえば、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸ならびに製薬上許容される担体を含む薬剤組成物として投与する。製薬上許容される担体は当分野で周知であり、たとえば、水もしくは生理緩衝食塩水などの水溶液、または他の溶媒もしくはビヒクル、たとえばグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油もしくは注射用有機エステルが含まれる。好ましい実施形態では、そのような薬剤組成物はヒト投与用であるとき、水溶液は、発熱物質を含まないか、または発熱物質を実質的に含まない。賦形剤は、たとえば、薬剤の遅延放出をもたらすか、または1つもしくは複数の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的とするために選択することができる。薬剤組成物は、錠剤、カプセル、スプリンクルカプセル、顆粒、散剤、シロップ、坐薬、注射剤などの単位用量形態であることができる。また、組成物は、経皮送達系、たとえば皮膚パッチ中で存在することもできる。
【0145】
製薬上許容される担体は、たとえば、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸などの化合物を安定化する、またはその吸収を増加させるように作用する、生理的に許容される薬剤を含有することができる。そのような生理的に許容される薬剤には、たとえば、グルコース、スクロースもしくはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸もしくはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート化剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤もしくは賦形剤が含まれる。生理的に許容される薬剤を含めた製薬上許容される担体の選択は、たとえば、組成物の投与経路に依存する。また、薬剤組成物(調製物)は、それ中にたとえば本発明の化合物を取り込ませることができる、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであることもできる。たとえば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、作製および投与が比較的単純な、無毒性、生理的に許容される、かつ代謝可能な担体である。
【0146】
本明細書中で用いる語句「製薬上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答、または他の問題もしくは合併症なしに人間および動物の組織と接触させて使用するために適しており、合理的な利点/危険性の比が釣り合っている、化合物、物質、組成物、および/または剤形をいう。
【0147】
本明細書中で使用する語句「製薬上許容される担体」とは、製薬上許容される物質、組成物またはビヒクル、たとえば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル封入物質を意味する。それぞれの担体は、配合物の他の成分と適合性があり、患者に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。製薬上許容される担体として役割を果たすことができる物質の一部の例には、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオ脂および坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)製薬配合物中で用いられる他の無毒性の適合性のある物質が含まれる。
【0148】
薬剤組成物(調製物)は、たとえば、経口(たとえば、水性または非水性の溶液または懸濁液中の水薬、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒、舌に施用するためのペースト);舌下;肛門、直腸または経膣(たとえば、膣坐薬、クリームまたは泡沫として);非経口(筋肉内、静脈内、皮下またはくも膜下腔内を含み、たとえば、無菌的な溶液または懸濁液として);経鼻;腹腔内;皮下;経皮(たとえば皮膚に施用するパッチとして);および局所(たとえば、皮膚に施用するクリーム、軟膏またはスプレーとして)を含めた、いくつかの投与経路のうちの任意のものによって対象に投与することができる。また、化合物は、吸入用に配合してもよい。特定の実施形態では、化合物は、単純に滅菌水中に溶解または懸濁させ得る。適切な投与経路およびそれに適した組成物の詳細は、たとえば、米国特許第6,110,973号、第5,763,493号、第5,731,000号、第5,541,231号、第5,427,798号、第5,358,970号および第4,172,896号、ならびにそれ中に引用される特許中に見つけることができる。最も好ましい投与経路は経口経路である。
【0149】
配合物は、単位剤形で好都合に提示してよく、製薬分野で周知の任意の方法によって調製し得る。担体物質と合わせて単一剤形を生じることができる活性成分の量は、治療する宿主、具体的な投与様式に応じて変動する。担体物質と合わせて単一剤形を生じることができる活性成分の量は、一般に治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100%のうち、この量は、活性成分の約1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%の範囲となる。
【0150】
これらの配合物または組成物を調製する方法には、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンおよび/もしくはω−3脂肪酸などの活性化合物を、担体、および任意選択で1つまたは複数の補助成分と会合させるステップが含まれる。一般に、配合物は、本発明の化合物を、液体担体もしくは微粉固体担体または両方と均一かつ密接に会合させ、その後、必要な場合は、生成物を成形することによって調製する。
【0151】
経口投与に適した本発明の配合物は、それぞれ事前に決定した量の本発明の化合物を活性成分として含有する、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(香味基剤、通常はスクロースおよびアカシアもしくはトラガカントを用いる)、散剤、顆粒の形態、または水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油もしくは油中水の液体乳濁液として、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはパステル錠として(不活性基剤、たとえば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシアを用いる)および/または洗口液などであり得る。また、組成物または化合物は、ボーラス、舐剤またはペーストとしても投与し得る。
【0152】
経口投与用の固体剤形(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、散剤、顆粒など)を調製するために、活性成分を、1つまたは複数の製薬上許容される担体、たとえばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のうちの任意のものと混合する:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶液緩染剤;(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)たとえば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物などの潤滑剤;ならびに(10)着色料。カプセル、錠剤および丸薬の場合、薬剤組成物は、緩衝剤も含み得る。また、同様の種類の固体組成物も、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用した軟および硬ゼラチンカプセルにおいて充填剤として用い得る。
【0153】
錠剤は、任意選択で1つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成形することによって作製し得る。圧縮錠剤は、結合剤(たとえば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(たとえば、グリコール酸ナトリウムデンプンもしくは架橋結合カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性化剤または分散剤を用いて調製し得る。すりこみ錠は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械中で成形することによって作製し得る。
【0154】
薬剤組成物の錠剤および他の固体剤形、たとえば、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒は、任意選択で、コーティングおよびシェル、たとえば、腸溶コーティングおよび製薬配合分野で周知の他のコーティングを用いて入手または調製し得る。また、これらは、たとえば、所望の放出プロフィールを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、それ中の活性成分の遅延性または徐放性がもたらされるように配合してもよい。これらは、たとえば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用直前に滅菌水または何らかの他の無菌的注射用媒体に溶解することができる、無菌的な固体組成物の形態の無菌的な薬剤を取り込ませることによって、無菌的にし得る。また、これらの組成物は、任意選択で乳白剤を含有してもよく、また、胃腸管の特定の部分中で、活性成分(複数可)のみまたはそれを優先的に、任意選択で遅延性の様式で放出する、組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。また、活性成分は、適切な場合は上述の賦形剤のうちの1つまたは複数と共に、微小カプセル封入形態であることもできる。
【0155】
経口投与に有用な液体剤形には、製薬上許容される乳濁液、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれる。活性成分に加えて、液体剤形は、当分野で一般的に使用される不活性希釈剤、たとえば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(具体的には、綿実、ラッカセイ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物を含有し得る。
【0156】
不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、着色料、香料および保存料などのアジュバントも含むことができる。
【0157】
懸濁液は、活性化合物に加えて、たとえば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0158】
直腸、経膣、または尿道投与用の薬剤組成物の配合物は、坐薬として提示してもよく、これは、1つまたは複数の活性化合物を、たとえば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチレートを含み、室温で固体であるが体温で液体であり、したがって直腸または経膣の腔内で溶解して活性化合物を放出する、1つまたは複数の適切な非刺激性の賦形剤または担体と混合することによって調製し得る。
【0159】
口への投与用の薬剤組成物の配合物は、洗口液、または経口スプレー、または経口軟膏として提示し得る。
【0160】
あるいは、またはそれに加えて、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤー、または他の腔内装置を介した送達用に配合することができる。そのような装置を介した送達は、膀胱、尿道、輸尿管、直腸、または腸管への送達に特に有用であり得る。
【0161】
経膣投与に適した配合物には、当分野で適切であることが知られている、そのような担体を含有する膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫またはスプレー配合物も含まれる。
【0162】
局所または経皮投与用の剤形には、散剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、製薬上許容される担体、および必要であり得る任意の保存料、緩衝剤、または噴霧剤と共に、無菌的条件下で混合し得る。
【0163】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、活性化合物に加えて、動物および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物をなどの賦形剤を含有し得る。
【0164】
散剤およびスプレーは、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよび粉末ポリアミド、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有することができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素などの慣用の噴霧剤をさらに含有することができる。
【0165】
経皮パッチは、体への本発明の化合物の制御送達を提供する、追加の利点を有する。そのような剤形は、活性化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作製することができる。また、吸収エンハンサーを用いて、皮膚を通過する化合物の流入を増加させるために使用することができる。そのような流動の速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることによって、制御することができる。
【0166】
眼用配合物、眼軟膏、散剤、液剤なども、本発明の範囲内に企図される。例示的な眼用配合物は、その内容が本明細書中に参考として組み込まれている、米国公開第2005/0080056号、第2005/0059744号、第2005/0031697号および第2005/004074号ならびに米国特許第6,583,124号に記載されている。所望する場合は、液体眼用配合物は、涙液、眼房水もしくは硝子体液に類似の特定を有するか、またはそのような流体と適合性を有する。
【0167】
本発明の配合物は、当業者に一般に知られている様式で投与することができる。特定の実施形態では、配合物は、点眼器を用いて投与する。点眼器は、任意の適切な方法で構築することができる。米国特許第5,514,118号に記載されている種類の測定用量点眼器または米国特許第5,584,823号に記載の種類の照明点眼器装置を利用することが望ましい場合がある。以下の米国特許第5,059,188号;第4,834,727号;第4,629,456号;および第4,515,295号に記載の種類の、様々な他の点眼器を利用することもできる。点眼器を開示するここに引用した特許は、本明細書中に参考として組み込まれており、これらの特許中に引用および記述されている様々な特許および出版物も同様である。
【0168】
本明細書中で使用する語句「非経口投与」および「非経口的に投与した」とは、通常は注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、それだけには限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内の注射およびインフュージョンが含まれる。
【0169】
非経口投与に適した薬剤組成物は、1つまたは複数の活性化合物と、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、配合物に意図するレシピエントの血液との等張性を与える溶質または懸濁剤もしくは増粘剤を含有し得る、無菌的な等張の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または使用直前に無菌的な注射用液剤もしくは分散液へと再構成し得る無菌的な散剤のうちの1つまたは複数の製薬上許容されるのとを組み合わせて含む。
【0170】
本発明の薬剤組成物中で用い得る適切な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および適切なその混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。たとえば、レシチンなどのコーティング物質を使用することによって、分散液の場合は必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。
【0171】
また、これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含有し得る。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確実にし得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物中に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射用製薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらし得る。
【0172】
一部の例では、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収をゆっくりにすることが望ましい。これは、水溶性が乏しい結晶性または非晶質の物質の液体懸濁液を使用することによって達成し得る。したがって、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは、立ち代わって、結晶の大きさおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与した薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクル溶解または懸濁させることによって達成する。
【0173】
注射用デポー形態は、ポリ乳酸−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中の対象化合物の微小カプセル封入したマトリックスを形成することによって作製する。薬物とポリマーの比、および用いる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。また、デポー注射用配合物は、薬物を体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に封入することによって調製する。
【0174】
本発明の方法で使用するために、活性化合物を、それ自体で、または、たとえば、0.1〜99.5%(より好ましくは0.5〜90%)の活性成分を製薬上許容される担体と組み合わせて含有する薬剤組成物として、与えることができる。
【0175】
また、導入方法は、再充填可能または生分解性の装置によっても提供し得る。近年、タンパク質生物製剤を含めた、薬物の制御送達のための様々な遅延放出ポリマー装置が開発されており、in vivoで試験されている。生分解性および非生分解性ポリマーをどちらも含めた様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を用いて、特定の標的部位での化合物の持続放出のための移植片を形成することができる。
【0176】
薬剤組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に毒性とならずに特定の患者、組成物、および投与様式において所望の治療反応を達成するための有効な活性成分の量を得るために、変化させ得る。
【0177】
選択した用量レベルは、用いる特定の化合物もしくは化合物の組合せ、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、用いる特定の化合物(複数可)の投与経路、投与時間、排泄速度、治療期間、他の薬物、用いる特定の化合物(複数可)と組み合わせて使用する化合物および/または物質、治療する患者の年齢、性別、重量、状態、全体的な健康および以前の病歴、ならびに医薬分野で周知の同様の要素を含めた、様々な要素に依存する。
【0178】
当分野の通常の技量を持つ医師または獣医師は、必要な薬剤組成物の治療上有効な量を容易に決定および処方することができる。たとえば、医師または獣医師は、薬剤組成物または化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要よりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加することができる。「治療上有効な量」とは、所望の治療効果を発揮するために十分な化合物の濃度を意味する。化合物の有効量が対象の重量、性別、年齢、および病歴応じて変化することは、一般に理解されよう。有効量に影響を与える他の要素には、それだけには限定されないが、患者の状態の重篤度、治療する障害、化合物の安定性、および、所望する場合は、本発明の化合物と共に投与する別の種類の治療剤が含まれる。より大きな合計用量は、薬剤の複数投与によって送達することができる。有効性および用量を決定する方法は当業者に知られている(本明細書中に参考として組み込まれているIsselbacher他(1996)、ハリソンの内科医学の原理(Harrison’s Principles of Internal Medicine)第13版、1814〜1882頁)。
【0179】
一般に、本発明の組成物および方法で使用する活性化合物の適切な1日用量は、治療効果を生じるために有効な最も低い用量の化合物の量である。そのような有効量は、一般に上述の要素に依存する。
【0180】
所望する場合は、活性化合物の有効な1日用量は、1日にわたって、任意選択で単位剤形で、適切な間隔で別々に投与する1、2、3、4、5、6またはそれ以上の回数の部分用量として投与し得る。本発明の特定の実施形態では、活性化合物は、1日2または3回投与し得る。好ましい実施形態では、活性化合物を1日1回投与する。
【0181】
この治療を受ける患者は、一般に、必要としている霊長類を含めた任意の動物、特にヒト、およびウマ科動物、畜牛、ブタ、ヒツジなどの他の哺乳動物;ならびに家禽およびペットである。
【0182】
特定の実施形態では、免疫機能を阻害する、免疫応答を抑制する、または自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する方法は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを、別の治療剤と共同で共同投与することを含む。本明細書中で使用する、語句「共同投与」とは、以前に投与した治療化合物が身体内でまだ有効である間に第2の化合物を投与する、2つ以上の異なる治療化合物の任意の投与形態をいう(たとえば、2つの化合物は患者内で同時に有効であり、これには、2つの化合物の相乗効果が含まれ得る)。たとえば、異なる治療化合物を、同一配合物または別々の配合物中で、同時にまたは逐次的に投与することができる。したがって、そのような治療を受ける個体は、異なる治療化合物の合わせた効果から利点を得ることができる。
【0183】
特定の実施形態では、異なる式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した他の薬剤と共同投与し得る。たとえば、以下の免疫抑制剤を、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと共同投与し得る:シクロスポリン、シクロスポリンA、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、FK−506、シクロホスファミド、アザチオプレン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、トリアムシノロンアセトニド、デカドロン、ダクリツマブ、バシリキシマブ、酢酸ガラティラメル、インフリキシマブ、ムロモナブ、オクトレオチド、ムラミル酸ジペプチド誘導体、レバミゾール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジール、およびシロリムス。
【0184】
特定の実施形態では、異なる式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物を、互いと共に共同投与し得る。さらに、そのような組合せは、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した他の薬剤などの他の治療剤、たとえば上記同定した薬剤と共に共同投与し得る。
【0185】
アスピリンとω−3脂肪酸との組合せを投与する実施形態では、アスピリンおよびω−3脂肪酸は、治療レジメンの少なくとも特定の時点において、ω−3脂肪酸が、Serhan他、2002年、J.Exp.Med.、196:1025〜1037頁に記載のように代謝されることが可能となるレベルで、アスピリンおよびω−3脂肪酸の両方が患者中に同時に存在する限りは、同時に、たとえば、両方の構成成分を含む単一配合物としてもしくは別々の配合物中で投与するか、または、別々の時間に投与することができる。特定のそのような実施形態では、ω−3脂肪酸は、魚油などの部分精製した天然の抽出物の形態で提供し、他の実施形態では、ω−3脂肪酸は、C18:3、C20:5、またはC22:6脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸などの1つまたは複数のω−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物として提供し得る。1つまたは複数のω−3脂肪酸の実質的に純粋な調製物とは、脂肪酸構成成分が、1つまたは複数のω−3脂肪酸、たとえば1つまたは複数の指定したω−3脂肪酸の少なくとも90%、少なくとも95%、またはさらには少なくとも98%である組成物をいう。配合中に加える賦形剤または他の物質などの非脂肪酸構成成分は、脂肪酸構成成分が所望の純度レベルを満たしているかどうかを決定する目的のための考慮対象としない。
【0186】
特定の実施形態では、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、NS−398、またはパレコキシブなどの、アスピリン以外のCOX−2阻害剤は、本明細書中に記載する様々な実施形態のうちの任意のものにおいて、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために、ω−3脂肪酸と組み合わせて使用し得る。特定の実施形態では、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、またはトルメチンなどの、アスピリン以外の非選択的NSAIDは、本明細書中に記載する様々な実施形態のうちの任意のものにおいて、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために、ω−3脂肪酸と組み合わせて使用し得る。様々なCOX−2阻害剤または非選択的NSAIDとω−3脂肪酸との組合せは、様々な部分組または割合の活性ω−3代謝物の生成をもたらし得る。
【0187】
本発明には、本発明の組成物および方法における式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物の製薬上許容される塩の使用が含まれる。特定の実施形態では、本発明の企図される塩は、アルキル、ジアルキル、トリアルキルまたはテトラアルキルアンモニウム塩が含まれる。特定の実施形態では、本発明の企図される塩には、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属の塩が含まれる。
【0188】
また、製薬上許容される酸付加塩は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどとの様々な溶媒和物として存在することもできる。そのような溶媒和物の混合物も調製することができる。そのような溶媒和物の供給源は、結晶化の溶媒から、調製物もしくは結晶化の溶媒中に内在、またはそのような溶媒に付随的であることができる。
【0189】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色料、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香味料や香料、保存料および抗酸化剤も、組成物中に存在することができる。
【0190】
製薬上許容される抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなどの油可溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が含まれる。
【0191】
本発明は、
a)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを含む製薬配合物;および
b)免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための製薬配合物を投与するための指示書
を含むキットを提供する。
【0192】
本発明は、
a)それぞれが、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと、製薬上許容される賦形剤とを含む、1つまたは複数の単一剤形と;
b)免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための単一剤形を投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
【0193】
特定の実施形態では、本発明は、
a)それぞれが、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの用量を含む、1つまたは複数の単一剤形と;
b)上述の免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した第2の薬剤の、1つまたは複数の単一剤形と;
c)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せと、第2の薬剤とを投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
【0194】
本発明は、
a)式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せを含む、第1の製薬配合物と;
b)上述の免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するために適した第2の薬剤を含む、第2の製薬配合物と;
c)第1および第2の製薬配合物を投与するための指示書と
を含むキットを提供する。
特定の実施形態では、本発明は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、もしくはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの配合物、または本明細書中に記載のキットを製造することと、医療提供者に、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための配合物またはキットを使用する利点を売り込むこととによる、製薬事業を営む方法に関する。
【0195】
特定の実施形態では、本発明は、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、もしくはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの配合物、または本明細書中に記載のキットを販売するための流通ネットワークを提供することと、患者または医師に、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための配合物を使用するための教育資料を提供することとによる、製薬事業を営む方法に関する。
【0196】
特定の実施形態では、本発明は、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの適切な配合物および用量を決定することと、動物における有効性および毒性について同定した配合物の治療プロファイリングを実施することと、同定した調製物を許容される治療プロフィールを有するものとして販売するための流通ネットワークを提供することとによる、製薬事業を営む方法を含む。特定の実施形態では、本方法には、調製物を医療提供者に売り込むための販売部門を提供することが、さらに含まれる。
【0197】
特定の実施形態では、本発明は、免疫機能を調節する、免疫応答を抑制する、自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を治療する、または免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症もしくは病的状態を治療するための、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せの適切な配合物および用量を決定することと、第三者に、配合物をさらに開発および販売する権利を許諾することとによる、製薬事業を営む方法に関する。
【実施例】
【0198】
式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、またはアスピリンとω−3脂肪酸との組合せのうちの1つまたは複数の生物活性は、以下に記載するものなどの当分野で周知の技術を用いて評価することができる。
【実施例1】
【0199】
CIAラットの血液およびリンパ節細胞に対する化合物Xのex vivo活性の研究
雌ルイスラットに3〜5%のイソフルランを用いて麻酔し、0.3mL(3つの異なる部位で100μL)の、不完全フロイントアジュバント(IFA)中の1.5mg/mLのII型ウシコラーゲン、CII(Elastin Products Inc.、カタログ#CM276)を含有する乳濁液を、0および6日目に尾の根元に皮内注射することによって、関節炎を誘発させた。対照ラットには、等量のIFAのみを注射した。
【0200】
両方の後足の体積を水置換体積測定器(Ugo Basile、Biological Research Apparatus、イタリア)を用いて測定し、関節炎の発症は、足体積の増加によって示され、これは、注射後約11日目に現れた。足体積および体重は、どちらも研究の間中2〜3日毎に測定した。CIIを注射した19〜21日後、ラットをCO2で安楽死させた。血液を心穿刺によって採取し、血清を保存した。
【0201】
化合物X
【化91】
の効果を、2つの異なる治療レジメン下で測定した。第1の(予防的)治療レジメンでは、化合物Xを、1日2回、0.3mg/kgで、0日目から6または10日目に静脈内投与した。ex vivo研究では、動物は、最後の注射後の6日目に安楽死させ、その鼠径リンパ節を収集した。第2の(治療的)治療レジメンでは、化合物Xを、1日2回、0.3mg/kgで、8日目(炎症誘発性マーカーが高度にアップレギュレーションされる)から16または19日目まで静脈内投与した。ex vivo研究では、動物を16日目に安楽死させ、鼠径リンパ節を収集した。治療の過程中に静脈血試料を採取した。CD3活性化には、96ウェルの平底プレートを1μg/mLの抗CD3 mAb(eBioscience、クローンG4.18)でコーティングした。プレートを終夜、4℃で保管し、続いて使用前にPBSで1回すすいだ。組織培養用のウシII型コラーゲンはChondrex(カタログ#2022)から購入し、製造者の指示に従って再構成した。すべてのデータは、GraphPad Prismソフトウェアを用いたt−検定によって処理および分析した。
【0202】
動物を安楽死させた後、両方の後足および膝を取り外し、後足を秤量し、足および膝をホルマリンに入れた。固定液中で1〜2日間、および脱灰液中で4〜5日間の後、足首関節を縦に2つに半分に切断し、膝を前額面で半分に切断した。その後、関節を処理し、包埋し、切片化し、トルイジンブルーで染色した。コラーゲン関節炎足首および膝に、以下の基準に従って、炎症、パンヌス形成および骨吸収について0〜5のスコアを与えた:
【0203】
膝炎症
0 正常
1 関節周囲組織中に最小限の炎症細胞の浸潤
2 緩和な浸潤
3 中等度の浮腫を伴った中等度の浸潤
4 顕著な浮腫を伴った顕著な浸潤
5 重篤な浮腫を伴った重篤な浸潤
【0204】
膝パンヌス
0 正常
1 軟骨および肋軟骨下骨中に最小限のパンヌスの浸潤
2 緩和な浸潤(脛骨または大腿骨の表面または肋軟骨下領域の1/4までに及ぶ)
3 中等度の浸潤(脛骨または大腿骨の表面または肋軟骨下領域の>1/4かつ<1/2に及ぶ)
4 顕著な浸潤(脛骨または大腿の表面の1/2〜3/4に及ぶ)
5 重篤な浸潤(表面の>3/4を覆う)
【0205】
軟骨損傷(膝、大腿骨顆部が強調)
0 正常
1 最小限:明らかな軟骨細胞損失またはコラーゲン破壊を伴わない、トルイジンブルー染色の最小限から緩和な損失
2 緩和:病巣の緩和な(表在)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の緩和な損失
3 中等度:多巣性からびまん性の中等度の(中間区域までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の中等度の損失
4 顕著:多巣性からびまん性の顕著な(深区域までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の顕著な損失
5 重篤:大腿骨および脛骨の両方の多巣性の重篤な(最高到達点までの深度)軟骨細胞損失および/またはコラーゲン破壊を伴った、トルイジンブルー染色の重篤なびまん性の損失
【0206】
骨吸収(膝)
0 正常
1 最小限:小領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、稀な破骨細胞
2 緩和:より多くの領域の再吸収、脛骨または大腿の表面の1/4を含む肋軟骨下骨の明確な損失(内側または外側)
3 中等度:脛骨または大腿の表面の>1/4かつ<1/2を含む肋軟骨下骨の明らかな再吸収(内側または外側)
4 顕著:脛骨または大腿の表面の≧1/2かつ<3/4を含む肋軟骨下骨の明らかな再吸収(内側または外側)
5 重篤:脛骨または大腿の表面の>3/4を含む破壊による関節全体の歪み(内側または外側)
【0207】
図1は、化合物Xが、コラーゲン誘発関節炎(CIA)ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのIFN−γおよびTNFαの産生を阻害したことを示す。治療レジメン1を使用した(n=3)。動物を0日目から6日目まで化合物Xで治療し、6日目に屠殺し、新しく収集したリンパ節をナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通して、単一細胞懸濁液が得られた。細胞を洗浄し、RPMI1640/10%FCSに4×106個/mLで再懸濁させた。U字底の96ウェルプレート中で、100μLまたは4×105個の細胞および25または50μg/mLの最終濃度の100μLのコラーゲンを加えた。プレートを、37℃、5%のCO2インキュベーター内で終夜インキュベーションした。上清を収集し、ラットのサイトカインをBioplex(Biorad)で測定した。
【0208】
図2は、化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎(CIA)ラットからのリンパ節細胞においてex vivoのコラーゲン誘発IFN−γの産生を阻害したことを示す。図2Aでは、動物に化合物Xを0日目から6日目まで与えた(治療レジメン1)。図2Bでは、動物に化合物Xを8日目から16日目まで与えた(治療レジメン2)。
【0209】
図3は、化合物Xが、2つの異なる治療レジメンを用いて、コラーゲン誘発関節炎ラットからのリンパ節細胞においてex vivoの抗CD3 mAb誘発IL−17の産生阻害したことを示す。図3Aでは、動物に化合物Xを0日目から6日目まで与えた(治療レジメン1)。図3Bでは、動物に化合物Xを8日目から16日目まで与えた(治療レジメン2)。新しく収集したリンパ節をナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通して、単一細胞懸濁液が得られた。細胞を洗浄し、RPMI1640/10%FCSに4×106個/mLで再懸濁させた。抗CD3でコーティングしたプレートに、4×105個の細胞/ウェルおよび100μLのRPMI1640/10%FCSの培地を加えた。プレートを、37℃、5%のCO2インキュベーター内で3日間(図3A)または終夜(図3B)インキュベーションした。ラットのIL−17を、Milliporeのキット(カタログ#RCYTO−18K−01)を用いて、製造者の指示に従って測定した。
【0210】
図4は、化合物Xが、CIAラットからの全血においてex vivoのLPS刺激サイトカインを阻害したことを示す。血液細胞に対する化合物Xの効果を測定するために、ラット全血試料を8、10、13、16および20日目に採取した(n=3〜6)。20日目の試料には、ビヒクルまたは化合物Xを、8日目から開始して、1mg/kg、経口で1日2回与えた。残りの試料には、ビヒクルまたは化合物Xを、8日目から開始して、0.3mg/kg、静脈内で1日2回与えた。血液をU字底の96ウェルプレートに加え(50μL/ウェル)、150μLのRPMI1640/10%FCSの培地で希釈し、10ng/mLのLPSで免疫誘発した。4時間培養した後、上清を採取し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0211】
これらの研究により、流入領域リンパ節から単離された細胞からのコラーゲンまたはCD3誘発性のIFNγ、TNFαおよびIL−17の分泌が、対照と比較して化合物Xで治療した動物において60〜90%減少したことが実証された。さらに、化合物Xによって治療したCIAラットからの全血は、LPS刺激の際に有意により低いサイトカイン産生レベルを有していた。
【0212】
図5は、化合物Xの予防的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、0〜10日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、足腫脹の有意な減少が示された(足首直径によって測定)。
【0213】
図6は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて関節炎を阻害したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、8〜19日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、平均足首関節体積の有意な減少が示された。
【0214】
図7は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて膝の組織病理学的スコアを有意に減少させたことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。具体的には、8〜19日目に0.3mg/kgの化合物Xを1日2回静脈内投薬することにより、膝の組織病理学スコア付けによって決定される炎症、パンヌス、軟骨損傷、および骨吸収の有意な減少が示された。
【0215】
図8は、化合物Xの治療的投薬が、CIAに罹患しているラットにおいて骨吸収および関節損傷を保護したことを示す(ビヒクルまたは化合物Xを用いた治療ではn=9;非関節炎の対照群ではn=4)。
【実施例2】
【0216】
マウス脾臓細胞に対する化合物Xのex vivo活性の研究
6〜8週齢のBALB/c雌マウス(n=5)に、化合物Xもしくはビヒクルの静脈内注射を1日1回、5日間、または、化合物Xもしくはビヒクルの単一の静脈内注射を与えた。最後の注射の30分後、脾臓を無菌条件下で取り出し、ナイロン製濾過器(BD Falconカタログ#352340)に押し通すことによって単一細胞懸濁液を作製した。細胞を1500rpmで10分間遠心し、液体を吸引した。3mLのACK溶液(Lonza カタログ#10−458E)を5分間加えることによってRBCを溶解した。チューブにRPMI培地を満たし、遠心した。細胞をRPMI/10%FCSに再懸濁させた。抗CD3で事前にコーティングしたプレート(以下に記載の手順に従う)に、4×105個の細胞/ウェルを加えた。18時間の培養後に上清を収集した。サイトカインレベルを、製造者の指示に従ってBioplex(Biorad)によって測定した。
【0217】
CD3刺激には、抗マウスCD3 mAb(BD Pharmingen、クローン145−2C11)を、PBS中に0.2μg/mLで使用して、平底の96ウェルプレートを4℃で終夜コーティングした。使用前にプレートをPBSで2回すすいだ。
【0218】
図9は、化合物Xが、CD3刺激マウス脾細胞のサイトカイン放出を阻害することを示す。この効果を測定するために、マウスに0.3mg/kgの化合物Xの1日1回の静脈内注射を5日間与えた。その後、脾臓細胞を収集し、抗CD3抗体を用いてin vitroで終夜刺激した。
【0219】
図10は、in vivoの化合物Xの急性期治療が、CD3誘発サイトカイン放出の減少をもたらしたことを示す。脾臓細胞を収集する30分前に、マウスに0.03mg/kgの化合物Xの単一の静脈内注射を与えた。T細胞を磁気ビーズによって単離し、T細胞の純度は、フローサイトメトリーによって測定して>95%であった。脾臓細胞または精製したT細胞を、0.2μg/mLの抗CD3で終夜刺激し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0220】
化合物Xを用いたin vivo治療が抗CD3で刺激したサイトカイン産生を阻害する能力は、マウス(n=5)を、脾臓を収集する30分前に、0.03mg/kgの化合物Xの単一の静脈内注射で治療することによって測定した。脾臓細胞を抗CD3 mAbで終夜刺激し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。ビヒクルで治療した動物と比較した、全脾臓細胞による、生じるサイトカイン産生の%阻害を表2に示す。これらの研究により、化合物Xは、ナイーブ動物に投薬した場合、脾細胞におけるex vivoのCD3刺激サイトカイン産生を約35〜60%阻害したことが示された。
【0221】
【表2】
【実施例3】
【0222】
マウス脾臓細胞に対する化合物Xのin vitro活性の研究
6〜8週齢のBALB/c雌マウスを安楽死させ、脾臓を無菌条件下で取り出した。脾臓をナイロン製濾過器に穏やかに押し通した。脾臓細胞および残りの結合組織塊を、6ウェルプレート中で4mLの増殖培地(10%のFCSを添加したRPMI1640)と共にインキュベーションした。化合物Xを加えて最終濃度10nMまたは1000nMとした。対照群は、化合物Xを加えない脾臓細胞であった。すべての群は3つ組(3匹の動物/群)であった。プレートを37℃、5%のCO2インキュベーター内で培養した。1日1回、1mLの培養培地をそれぞれのウェルから取り出し、同じ濃度の化合物Xまたは新鮮な培地のみを含有する1mLの新鮮な増殖培地で置き換えた。培養を5日間続けた。その後、すべての細胞をプレートから除去した。細胞をナイロン製濾過器に押し通してすべての凝集物を除去し、洗浄し、計数し、増殖培地中に2.5×106個/mLとなるように調節した。抗CD3でコーティングしたプレート(以下に記載の手順に従ってコーティング)に、200μLまたは5×105個の細胞/ウェルを加えた。細胞を37℃、5%のCO2インキュベーター内で終夜培養した。上清を収集し、サイトカインレベルをBioplexによって測定した。
【0223】
CD3刺激には、抗マウスCD3 mAb(BD Pharmingen、クローン145−2C11)を、PBS中に0.2μg/mLで使用して、平底の96ウェルプレートを4℃で終夜コーティングした。使用前にプレートをPBSで2回すすいだ。
【0224】
図11は、化合物Xを用いたin vitro治療が、脾臓細胞のCD3誘発サイトカイン産生を阻害したことを示す。
【実施例4】
【0225】
遅延型過敏症モデル
耳腫脹(耳介上の皮膚の腫脹)がこのモデルのエンドポイントであった。本研究は6〜7日間かけて実施し、起こる現象は以下に記載するとおりである。
【0226】
0日目および/または1日目:感作
マウス(雌BALB/c;n=10匹/群)をアセトン/オリーブ油に溶かした0.5%のDNFBで免疫化した。感作は、20μLの溶液を動物の足蹠上に置く、接触アレルゲンを用いて行った。
【0227】
5日目:免疫誘発および投薬
動物に、免疫誘発の15分前に化合物を静脈内投与した。マウスを5日目に免疫誘発した。10μLの0.8%のDNFB溶液を、動物の右耳上に局所的に外部施用した。対照として、左耳をビヒクル単独(アセトン/オリーブ油)で同様に処置した。
【0228】
6日目および7日目:測定および投薬
動物にイソフルランで麻酔し、耳の腫脹を、マイクロメーターを用いて免疫誘発後の24〜48時間以内に測定した。マイクロメーターキャリパーを、それぞれの外耳の上部の周りに、耳からの抵抗が感じられるまで閉めた。化合物(対照および試験)は、研究の完了まで6および7日目に1日1回投与した。
【0229】
図12aは、化合物Xが、ネズミDNFB誘発DTHモデルにおいて炎症を用量依存性の様式で阻害したことを示す。具体的には、化合物Xは、マウス(n=10)において組織腫脹を用量依存的に減少し、最大有効性は、免疫誘発の15分前に静脈内投与した場合に、30μg/kgで38%阻害であった。耳の厚さの増加を免疫誘発の24時間後に測定した(6日目)。図12aに示すデータは、2〜4回の実験の平均である。図12bは、化合物Xおよびデキサメタゾンの治療が、マウスにおいて比較可能なレベルのDTH応答の阻害をもたらしたことを示す(n=10;N=研究の数)。デキサメタゾンは、DNFB免疫誘発の60分前に投与した。
【0230】
図13は、2つの異なるレジメンを使用した化合物Xを用いた治療が、DNFB−DTH応答の比較可能かつ有意な減少をもたらしたことを示す。具体的には、マウスを、0日目〜5日目に1日1回の0.03mg/kgの化合物Xの腹腔内注射、または5日目に0.03mg/kgの化合物Xの単一の腹腔内注射で治療した。
【実施例5】
【0231】
11日目の雄DBA/1Jマウスで確立したII型コラーゲン関節炎における化合物の効果
雄DBA/1Jマウス(到着時に7〜9週齢;最初の免疫化時に少なくとも7週齢)を5匹/ケージで収容し、すべての動物が研究開始時に少なくとも7週齢であるように、到着後十分な日数の間順化させた。
【0232】
マウスにイソフルランで麻酔し、皮内コラーゲン(2mg/ml)の注射を、尾の根元に、150μlの体積で与えた(0日目および21日目)。21〜35日目に関節炎の発症が生じ、マウスを治療群にランダム化した。それぞれの群へのランダム化は、腫脹が少なくとも1本の足で明らかに確立された後に行い、登録時に平均スコアが群間でほぼ同等となることを確かにするように試みた。表3に示すように、登録後に治療を開始し、合計10日間、毎日続けた。10日間の治療の間、以下に提供するスコア付け方法に従って、足のそれぞれ(右前、左前、右後、および左後)に臨床的スコアを与えた。
【0233】
前および後の足の臨床的スコア付けの基準
0 正常
1 1本の後または前の足の関節が罹患、または最小限のびまん性の紅班および腫脹
2 2本の後または前の足の関節が罹患、または緩和なびまん性の紅班および腫脹
3 3本の後または前の足の関節が罹患、または中等度のびまん性の紅班および腫脹
4 顕著なびまん性の紅班および腫脹、または4つの指の関節が罹患
5 足全体の重篤なびまん性の紅班および重篤な腫脹、指の屈曲が不可能
【0234】
すべての投薬溶液は、10ml/kg(0.3ml/30gのマウス)が送達されるように調製した。関節炎の11日目に動物を安楽死させ、前および後の肢の両方を膝と共に取り外し、ホルマリンに入れ、その後、顕微鏡観察用に処理した。固定液中で1〜2日間、その後、脱灰液中で4〜5日間の後、関節を処理し、包埋し、切片化し、トルイジンブルーで染色した。(前および後の足ならびに膝のみを最初に処理した−6つの関節/マウス。)
【0235】
II型コラーゲン関節炎に罹患したマウス関節の組織病理学的スコア付け方法
II型コラーゲン関節炎の病変を有するマウスの足または足首のスコア付けを行う場合、変化の重篤度および罹患した個々の関節の数を考慮しなければならない。可能性のある数々の中手/中足/指または足根/脛骨足根の関節のうち、足または足首の1〜3つの関節のみが罹患している場合、変化の重篤度に応じて、以下のスコア付けスケールから1、2または3の最大スコアの任意の割当てを与えた。3つより多くの関節が関与している場合、以下の完全なスコア付けスケールは、最も重篤に罹患した/大多数の関節にのみ適用した。
【0236】
パンヌス
0 正常
1 軟骨および肋軟骨下骨において最小限のパンヌスの浸潤
2 罹患した関節において硬組織の周辺帯破壊を伴った緩和な浸潤
3 罹患した関節において中等度の硬組織の破壊を伴った中等度の浸潤
4 関節構造の顕著な破壊を伴った顕著な浸潤、ほとんどの関節
5 関節構造の完全またはほぼ完全な破壊に関連する重篤な浸潤、すべての関節に影響
【0237】
骨吸収スコア
0 正常
1 最小限の−小領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、罹患した関節において稀な破骨細胞
2 緩和な−より多くの領域の再吸収、低倍率では容易に明らかでない、破骨細胞は罹患した関節においてより多い
3 中等度−皮質の全層欠損なしに延髄線維柱帯および皮質骨の明らかな再吸収、一部の延髄線維柱帯の損失、低倍率で明らかな病変、破骨細胞は罹患した関節においてより多い
4 顕著な−皮質の全層欠損骨、しばしば残りの皮質表面のプロフィールの歪みを伴う、延髄骨の顕著な損失、多数の破骨細胞、ほとんどの関節に罹患
5 重篤な−皮質の全層欠損骨およびすべての関節の関節構造の破壊
【0238】
統計的分析
それぞれの群の組織学的パラメータ(平均±SE)を、χ二乗検定および一元ANOVAを用いて、差異について分析した。有意性はp≦0.05に設定した。
【0239】
【表3】
【0240】
図14は、組織学的スコア付けによって決定した、確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=15)の関節における、骨損傷に対する化合物Xの効果を示す。具体的には、5μg/kgの1日2回の投薬により、ビヒクル対照と比較して、骨損傷のスコアの有意な減少が示された。
【0241】
図15は、a)確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=16)の足における臨床的スコア付けによって決定した関節炎、ならびにb)確立したII型コラーゲン関節炎に罹患しているマウス(n=16)の組織学的スコア付けによって決定したパンヌス形成および骨減少に対する、化合物Xの効果を示す。具体的には、0.5および5.0μg/kgの両方の、化合物Xの1日1回の静脈内投薬により、関節炎対照と比較して関節炎の臨床的症状が阻害された。さらに、0.5および5.0μg/kgの両方の、化合物Xの1日1回の静脈内投薬により、ビヒクル対照と比較してパンヌス形成および骨減少が減少した。
【0242】
参考としての組込み
本明細書中で言及するすべての出版物および特許は、それぞれの個々の出版物または特許が具体的にかつ個々に参考として組み込まれていると指定されているかのように、その全体が本明細書中に参考として組み込まれている。具体的には、WO2005/105025号、WO2006/078457号、WO2007/041440号、US2003/0191184号、WO2004/014835号、WO2004/078143号、US6670396号、US2003/0236423号、およびUS2005/0228047号に開示されている式Aまたは式1〜49の化合物、US2002/0107289号、US2004/0019110号、US2006/0009521号、US2005/0203184号、およびUS2005/0113443号に開示されているリポキシン化合物、WO2006/055965号、WO2007/090162号、およびWO2008/103753号に開示されているオキシリピン化合物、WO2005/089744号、US2004/0044050号、US2004/0116408号およびUS2005/0261255号に開示されているエイコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸の誘導体および/または類似体、ならびにUS7053230号に開示されているアスピリン誘発性脂質メディエーターが、本発明の組成物および方法での使用に適したものとして、参考として組み込まれている。本出願と上述した参照特許公開との間に化合物の構造または名称が矛盾する場合は、本明細書中の任意の定義を含めた本出願が支配する。
【0243】
均等物
対象発明の具体的な実施形態を記述したが、上記明細書は例示的であり、限定するものではない。本発明の多くの変形が、本明細書および以下の特許請求の範囲を検討した際に、当業者に明らかであろう。本発明の完全な範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の完全な範囲ならびに明細書およびそのような変形を参照して決定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫機能を阻害する方法。
【請求項2】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫応答を抑制する方法。
【請求項3】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法。
【請求項4】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法。
【請求項5】
式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物が、式1〜132のうちの任意の1つの化合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫機能を阻害する方法。
【請求項7】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫応答を抑制する方法。
【請求項8】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法。
【請求項9】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法。
【請求項1】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫機能を阻害する方法。
【請求項2】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫応答を抑制する方法。
【請求項3】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法。
【請求項4】
患者に、式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、オキシリピン化合物、前述のうちの任意のもののプロドラッグ、または前述のうちの任意のものの製薬上許容される塩を投与することを含む、前記患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法。
【請求項5】
式Aの化合物、式1〜49のうちの任意の1つの化合物、リポキシン化合物、またはオキシリピン化合物が、式1〜132のうちの任意の1つの化合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫機能を阻害する方法。
【請求項7】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫応答を抑制する方法。
【請求項8】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において自己免疫疾患または自己免疫障害を治療する方法。
【請求項9】
患者にアスピリンおよびω−3脂肪酸を投与することを含む、前記患者において免疫系の活性化によって媒介される疾患、続発症または病的状態を治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−539167(P2010−539167A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524872(P2010−524872)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/010668
【国際公開番号】WO2009/038671
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(509018719)リゾルヴィクス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】RESOLVYX PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】6a Preston Court,Bedford,MA 01730 U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/010668
【国際公開番号】WO2009/038671
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(509018719)リゾルヴィクス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】RESOLVYX PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】6a Preston Court,Bedford,MA 01730 U.S.A.
【Fターム(参考)】
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