説明

免疫調節のための方法および組成物

【課題】胎児喪失、自己免疫疾患またはアレルギー疾患の治療を必要とする動物にてその免疫系の抑制方法を提供する。
【解決手段】門脈免疫化についで発現の増加を示す遺伝子の1つが1gスーパーファミリーに属し機能が未知の分子であるOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を投与。ここでOX−2タンパク質が可溶性融合タンパク質であり、可溶性融合タンパク質が免疫グロブリンFc領域に連結したOX−2の細胞外ドメインを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胎児喪失、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を処理する方法および組成物に関する。本発明は胎児喪失、自己免疫疾患およびアレルギー疾患を処理するタンパク質OX−2の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は身体を感染因子および疾患から防御し、我々の生存に不可欠である。しかし、ある例では、免疫系は病気の原因となりうる。一例は、免疫系がそれ自身の宿主組織を攻撃し、多くの例において衰弱させる病気を引き起こし、ときには死に至らせる自己免疫疾患である。自己免疫疾患の例は、多発性硬化症、1型インシュリン依存性糖尿病、紅斑性狼瘡、関節炎を包含する。免疫系が病気を引き起こす第2の例は組織または器官移植におけるものである。一卵性双生児のごとき遺伝的に同一な動物の場合を除き、組織および器官移植は受容者の免疫系によって異物として拒絶される。移植に対する免疫応答は種を超えた移植または異物移植においても報告されている。免疫系が宿主を害する第3の例は、通常無害な抗原が引き起こす炎症およびいくつかの場合における組織損傷によって免疫系が活性化されるアレルギー反応におけるものである。
【0003】
移植、自己免疫疾患およびアレルギー反応における有害な免疫応答を抑制するために、免疫抑制剤(シクロスポリンA(cyclosporin A)、タクロリマス(tacrolimas)およびコルチコステロイド(corticosteroid)または抗体治療(抗T細胞抗体のごとき)が施される。残念ながら、これらの非特異的方法の免疫抑制は一般的に好ましくない副作用を有する。たとえば、シクロスポリンは腎機構の低下、高血圧、毒性を引き起こしえ、また、患者の生涯にわたって投与しなければならない。コルチコステロイドは感染に対する抵抗力の低下、痛みを伴う関節炎、骨粗鬆症および白内障を引き起こしうる。抗T細胞抗体は発熱、高血圧、下痢または無菌性髄膜炎を引き起こしえ、また極めて高価である。
【0004】
免疫抑制に関する問題から、宿主における、移植に対して、自己免疫疾患における「自己の」組織に対して、およびアレルギーに関する無害な抗原に対しての無応答性または寛容性を誘導する方法または治療の開発に関心がもたれている。特に、動物同種異系移植片モデルにおいて、発明者は、レシピエント動物にドナー動物由来の照射を受けた脾臓細胞の門脈経由前移植注入を行うと移植生存を増加されられることを示した。これに対し、尾静脈経由移植前注入では移植生存が延びなかった。
【0005】
門脈(pv)免疫化に続く寛容性の誘導に関する分子機構の理解は、移植、自己免疫疾患およびアレルギーに有用たりうる免疫寛容性の誘導方法の開発を導く。
【0006】
本発明者は門脈免疫化についで発現の増加を示す遺伝子を同定した。単離された該遺伝子の1つはIgスーパーファミリーに属し、機能が未知の分子であるOX−2をコードする。発明者は、OX−2に対する抗体の投与が通常pv免疫化についで観察される移植生存を阻害することを示した。発明者はまた、OX−2のレベルと胎児喪失のリスクとの間に負の相関があることも示した。発明者はさらに、OX−2が細胞障害性細胞とIL−2生産を抑制し、IL−4生産を誘導することも示した。これら総ての結果はOX−2が免疫抑制に関与することを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、広義には、本発明はかかる治療を必要とする動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の投与を含んでなる免疫系の抑制方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1の具体例において、本発明は、組織または器官の移植前のレシピエント動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の投与を含んでなる、レシピエント動物における移植組織または器官に対する免疫寛容性の誘導方法を提供する。
【0009】
別の具体例においては、本発明は、レシピエント動物における移植前の組織または器官へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の投与を含んでなる、組織または器官移植を受けるレシピエント動物における移植片対宿主疾患の予防または抑制方法を提供する。
【0010】
さらに別の具体例においては、本発明は、その必要にある動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質の有効量をコードする核酸配列の投与を含んでなる、胎児喪失の予防または抑制方法を提供する。
さらに別の具体例においては、本発明は、自己免疫疾患を有する、有する疑いのあるまたは有する可能性のある動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質の有効量をコードする核酸配列の投与を含んでなる、自己免疫疾患の予防または治療方法を提供する。
【0011】
さらに別の具体例においては、本発明は、アレルギーを有する、または有すると推測される動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の投与を含んでなる、アレルギーの予防または治療方法を提供する。
【0012】
本発明は、移植または自己免疫疾患における寛容性の誘導に使用する、OX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列を含有する医薬的組成物も包含する。発明者は、ネズミOX−2をクローニングし、配列決定した。したがって、本発明はネズミOX−2遺伝子をコードし、図7に示した配列および配列番号1を有する単離された核酸配列ならびに図8に示したアミノ酸配列および配列番号2を有する単離されたOX−2タンパク質を包含する。
【0013】
上記のように、OX−2を使用し、免疫抑制を誘導できる。したがって、OX−2阻害は免疫抑制の予防にも有用でありうる。
【0014】
したがって、別の態様では、本発明は、その必要のある動物へのOX−2阻害剤の有効量の投与を特徴とする免疫抑制の予防方法を提供する。好ましい具体例において、OX−2阻害剤はOX−2に結合する抗体またはOX−2の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0015】
1の具体例において、本発明は、その必要のある動物へのOX−2阻害剤の有効量の投与を含んでなる胎児喪失の誘導方法を提供する。
【0016】
本発明は、免疫応答の誘導および増強に使用する、有効量のOX−2阻害剤を含有する医薬的組成物を包含する。
【0017】
その他の本発明の特徴および効果を、以下の記載から明らかにする。しかしながら、以下の詳細な記載や具体例、さらに示されている好ましい実施態様は説明の目的でのみ記載していると理解されるべきである。開示した発明の精神や範囲内での様々な変更や修飾は、以下の詳細な記載を読むことにより当業者にとっては容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はβ−アクチンプライマーを用いた抑制差引きハイブリダイゼーションのPCR確認である。
【図2】図2はIL−10プライマーを用いた抑制差引きハイブリダイゼーションのPCR確認である。
【図3】図3は差引きハイブリダイゼーション法で得られた4クローンからの32P−標識プローブを用いたオートラジオグラフである。
【図4】図4は脾臓付着細胞のフローサイトメトリープロフィールである。
【図5】図5AおよびBはpv免疫化後のOX−2抗原の増加した発現を示すウエスタンブロットである。図5Aは対照マウス抗体、抗マウスCD8での呈色、図5Bは抗ラットMRC OX−2での呈色を示す。
【図6】図6は%生存 対 腎移植後日数を示すグラフである。
【図7】図7はラット、マウスおよびヒトMRC OX−2のcDNA配列を示す。
【図8】図8はラット、マウスおよびヒトMRC OX−2タンパク質の推定アミノ酸配列を示す。
【図9】図9Aおよび9Bは肝臓NPMCを用いる同種異系DCによる刺激後のサイトカイン生産と細胞増殖を示す棒グラフである。
【図10】図10A、図10Bおよび図10Cは肝臓NPMCによる細胞増殖およびサイトカイン生産の抑制を示す棒グラフである。
【図11】図11はNPCの副次集団におけるOX−2発現を示すFACSデータの棒グラフ分析である。
【図12】図12は種々の肝臓NPMC細胞フラクションにおけるB7−1、B7−2およびOX−2のmRNA発現のPCR分析を示す。
【図13】図13Aおよび13Bは、Flt3L処理マウスからのNPMCによる増殖およびサイトカイン生産を示す棒グラフである。
【図14】図14はC57BL16腎同種移植片を有するC3HマウスおよびFlt3処理C57BL16ドナーからのサイトカイン生産を示す棒グラフである。
【図15】図15はFlt3処理マウスからのNPCでの移植片拒絶反応抑制を示す棒グラフである。
【図16】図16は抗−OX−2がNPCによる抑制を逆転することを示すグラフである。一次同種刺激に対する抗−B7−1、抗−B7−2および抗−OX−2の影響を示す。
【図17】図17は抗−OX−2 mAbがNPCによる抑制を逆転し、免疫調節細胞のを阻害することを示すグラフである。
【図18】図18Aは、胎児喪失を受けたマウスからの8〜11日胎盤におけるアンチセンス抗OX−2とのin situeハイブリダイゼーションを示す写真である。図18Bは、自然胎児喪失の疑いのないマウスからの8〜11日胎盤におけるアンチセンスOX−2とのin situeハイブリダイゼーションを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者は門脈免疫化についで発現の増加を示す遺伝子を同定した。これらの遺伝子は免疫抑制または寛容性の発達に役割を果たし、移植拒絶反応、胎児喪失、自己免疫疾患またはアレルギーの予防または治療の治療法の開発に有用でありうる。
【0020】
サプレッション・サブトラクティブ・ハイブリダイゼーション(suppression subtractive hybridization)(SSH)を使用し、発明者は、前移植ドナー特異的免疫化に沿って同種異系腎移植を受けたマウスで選択的に発現し、タンパク質OX−2をコードするクローンを単離した。ラットのOX−2タンパク質(MRC OX−2としても知られる)は、胸腺細胞、濾胞樹状細胞、内皮、B細胞および神経細胞の細胞表面に発現する41Kd−47Kd糖タンパク質として記載されている。異なる組織における見かけ上の分子量の違いはおそらくグリコシル化機能の違いである。該分子の機能は未知だったが、DNAおよびアミノ酸配列分析は、リンパ球抗原認識および細胞−細胞相互作用において重要な分子(例えば、CD4、ICAMs、VCAMs)、ならびに神経系の付着レセプター分子(NCAMs)を包含する免疫グロブリン遺伝子ファミリーの分子と高度の相同性を有することを示している。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは、少なくとも免疫系内において、細胞認識、転移およびリンパ球認識レパートリーの規則正しい発達(胸腺内選択を調整による)に重要な役割を果たすとも考えられるインテグリンおよびセレクチンファミリーの他の分子と区別される。
発明者は、OX−2に対する抗体の投与が、通常前移植pv免疫化についで観察される移植生存を抑制することを示した。発明者はまた、OX−2のレベルと胎児喪失のリスクとの間に負の相関があることも示した。発明者はさらに、OX−2が細胞障害性細胞とIL−2生産を抑制し、IL−4生産を誘導することも示した。これら総ての結果はOX−2が免疫抑制に関与することを示す。
【0021】
治療方法
免疫抑制の誘導
1の態様において、本発明は、かかる治療を必要とする動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の投与を含んでなる免疫応答の抑制方法を提供する。
【0022】
「OX−2」なる用語は、完全長OX−2タンパク質と該タンパク質の断片または部分とを包含する。好ましい該タンパク質の断片または部分は免疫応答の抑制に十分なものである。該OX−2タンパク質は抗体調製に使用できる断片も包含する。
【0023】
好ましい具体例において、OX−2タンパク質は可溶性の融合タンパク質として調製される。該融合タンパク質は免疫グロブリン(Ig)Fc領域に結合したOX−2の細胞外ドメインを含有しうる。該OX−2融合は当業者に既知の技術を使用して調製できる。通常、OX−2の細胞外ドメインをコードするDNA配列はIgのFcをコードするDNA配列と結合していて、OX−2−該FcIg誘導タンパク質を生産する適当な発現系で発現する。OX−2タンパク質を既知の配列から得、または組換えDNA技術を使用して調製できる。該タンパク質はOX−2のあらゆる既知の公開された配列を有しうる。(該配列はGenBankから入手できる。ヒト配列受け入れ番号M17226 X0523;ラット配列受け入れ番号X01785;およびマウス配列受け入れ番号AF029214。)該タンパク質を修飾して、該タンパク質の免疫抑制特性を変化させないアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含ませることができる。保存的アミノ酸置換は、OX−2アミノ酸配列の1以上のアミノ酸を電荷、大きさおよび/または疎水度の性質が類似するアミノ酸と置き換えることを含む。保存的置換のみがなされた場合、結果として生じるアナログは機能的にOX−2タンパク質と同等である。非保存的置換は、、OX−2アミノ酸配列の1以上のアミノ酸を非類似の電荷、大きさおよび/または疎水度の性質を有するアミノ酸と置き換えることを含む。
【0024】
OX−2タンパク質を修飾し、より治療上有効または適当にすることができる。例えば、環化はペプチドにより好ましいコンフォメーションをとらせるので、OX−2ペプチドを環化できる。当業者に既知の技術を用いてOX−2ペプチドの環化をなすことができる。とくに、適切な間隔をあけた遊離スルフヒドリル基を有するコンポーネントの間にジスルフィド結合を形成できる。該結合は、アミノ酸、非アミノ酸コンポーネントまたは両者の組み合わせの側鎖間で形成されうる。さらに、塩酸、硫酸、臭化水素、リン酸などを包含する無機酸、またはギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、オギザル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸を包含する有機酸との反応によってOX−2タンパク質または本発明のペプチドを医薬上の塩に変換できる。OX−2タンパク質および本発明の核酸の投与の「有効量」は、意図する結果をなすために必要な投与量と期間で、有効な量をいう。OX−2タンパク質および本発明の核酸の有効量動物の疾患状態、年齢、性別および体重によって変化する。投与量を調節して最適な治療応答を得ることができる。例えば、毎日いくつかに分割して投与し、または治療状態の緊急性に応じて投与量を減少させうる。
【0025】
本明細書で使用する「動物」なる用語は、動物界を構成するヒトを含むすべてを包含する。
【0026】
1の具体例では、本発明は、器官または組織の移植前にレシピエント動物にOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を投与することを特徴とする、レシピエント動物における移植した器官または組織に免疫寛容を導入する方法を提供する。本発明は移植した器官または組織に免疫寛容を導入するためのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする核酸配列の有効量の使用を包含する。
【0027】
「免疫寛容の導入」なる用語は、持続性で汎発性の免疫不全の導入なしに、特定の抗原に対して免疫系を無応答性にすることをいう。「抗原」なる用語は、免疫反応を導入できる物質をいう。自己免疫疾患の場合、免疫寛容は、宿主が異物であると認識して自己免疫応答を引き起こす自己抗原に対して、免疫系を無応答性にすることを意味する。アレルギーの場合、免疫応答は、通常宿主に免疫応答を生じさせるアレルゲンに対して、免疫系を無応答性にすることを意味する。移植の場合、免疫応答は、移植における抗原に対して、免疫系を無応答性にすることを意味する。同種異系抗原は、血液グループ抗原のごとき、種の一部のメンバーにのみ見出される抗原をいう。異種抗原は、1の種のメンバーには存在するが、別の種のメンバーには存在しない抗原をいう。これに対応し、同種異系移植片は同種のメンバー間の移植片をいい、異種移植片は異種のメンバー間の移植片をいう。
【0028】
レシピエントは、ネズミ、ブタ、イヌ、反芻動物、ヒトでない霊長類および好ましくはヒトを含む動物界の任意のメンバーであってよい。移植される器官または組織は、レシピエントと同種由来であってよく(同種移植片)、別の種由来であってよい(異種抗原)。組織または器官は、心臓、肝臓、腎臓、肺、膵臓島、脳組織、角膜、骨、腸、皮膚および造血細胞を含む任意の組織または器官であってよい。
【0029】
本発明の方法は移植組織の免疫細胞がレシピエントの免疫系に免疫攻撃を開始する移植片対宿主疾患の予防に使用できる。これは、例えば白血病、再生不能性貧血および酵素または免疫不全治療での、骨髄またはリンパ組織のごとき免疫際像を含む移植組織が移植された場合に起こりうる。
【0030】
したがって、別の具体例において、本発明は、レシピエント動物に移植前に、移植する器官または組織にOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を投与することを特徴とする該器官または組織の移植を受けるレシピエント動物における移植片対宿主疾患の予防または抑制方法を提供する。
【0031】
本発明者は、OX-2発現レベルと生殖能力との間に関係があることを示した。特に、本発明者は低レベル(または無のレベル)のOX−2が胎児喪失と関係することを示した。したがって、本発明は、OX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を必要ある動物に投与することを特徴とする胎児喪失の予防または抑制方法を提供する。本発明は、胎児喪失の予防または抑制のためのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用を包含する。
【0032】
上記のとおり、本発明は自己免疫疾患の治療または予防のためにも使用できる。自己免疫疾患においては、宿主の免疫系が特定の抗原を「自己」と誤認して、該抗原を発現する宿主組織に対して免疫反応が開始される。通常、免疫系はそれ自身の宿主組織に対して寛容であり、自己免疫は免疫寛容系の故障であると考えられる。
【0033】
したがって、さらなる具体例においては、本発明は、自己免疫疾患を有する、有する疑いのあるまたは有する可能性のある動物にOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を投与することを特徴とする自己免疫疾患の予防または治療方法を提供する。本発明は、自己免疫疾患の予防または治療のための、OX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用もまた包含する。
【0034】
本発明に従って治療または予防される自己免疫疾患は、1型インシュリン依存性糖尿病、成人呼吸障害症候群、炎症性の腸疾患、皮膚炎、髄膜炎、血栓性の血小板減少性紫斑病、シェーグレン症候群、脳炎、ブドウ膜炎、白血球付着不全、慢性関節リウマチ、リューマチ熱、ライター症候群、乾癬関節炎、進行性全身性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、天疱瘡、類天疱瘡、壊死性の血管炎、重症筋無力症、多発性硬化症、紅斑性狼瘡、多発性筋炎、サルコイドーシス、肉芽腫症、血管炎、悪性貧血、中枢神経系炎症障害、抗原抗体複合体媒介疾患、自己免疫溶血性貧血、橋本病、グレーヴズ病、習慣性の自然流産、ルナール症候群、糸球体腎炎、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、セリアック病、AIDSの自己免疫合併症、萎縮性胃炎、強直性脊椎炎およびアジソン病を包含するが、これに限定されるものではない。
【0035】
上記のように、本発明の方法はアレルギー反応の治療または予防のために使用できる。アレルギー反応においては、免疫系は通常無害な抗原またはアレルゲン
に対して攻撃を開始する。本発明の方法を使用して予防または治療できるアレルギーは、枯草熱、喘息、アトピー性の湿疹を、ウルシおよびキヅタ、ハウスダスト、ダニ、ハチの花粉、豆、甲殻類などに対するアレルギーを同様に包含するが、これに限定されるものではない。
【0036】
したがって、さらなる具体例において、本発明は、アレルギーを有するまたは有する疑いのある動物にOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量を投与することを特徴とするアレルギーの予防または治療方法を提供する。本発明は、アレルギーの予防または治療のためのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用を包含する。
【0037】
免疫抑制の予防
別の態様において、本発明は、その必要にある動物へのOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の投与を含んでなる免疫抑制の予防方法を提供する。
【0038】
これに限定するものではないが、感染、癌および後天性免疫不全症候群を包含する免疫抑制の予防が望まれる多くの状況がある。
【0039】
1の具体例では、本発明は、その必要にある動物へのOX−2に結合する薬剤の有効量の投与を含んでなる免疫抑制の予防方法を提供する。
【0040】
好ましい具体例においては、OX−2に結合する薬剤はOX−2特異性抗体である。本発明者は例4および5に記載したOX−2に対する抗体を調製した。OX−2に対する抗体を、出典明示により本明細書に取り込む、KohlerおよびMilstein、Nature 256、495 (1975)ならびにU.S. Patent Nos. RE 32,011; 4,902,614; 4,543,439;および4,411,993に記載された技術のごとき当業者に既知の技術を使用して、調製することもできる。(出典明示により本明細書に取り込む、Monoclonal Antibodies、Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses、Plenum Press、Kennett、McKearn、およびBechtol(編)、1980、およびAntibodies: A Laboratory Manual、HarlowおよびLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988も参照)。
本発明の本文においては、抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(FabおよびF(ab')2)および組換えにより生産された結合パートナーを包含するものと理解される。
【0041】
別の具体例においては、OX−2抑制剤はOX−2の発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。OX−2遺伝子由来の核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドをOX−2を抑制する本発明の方法に使用できる。本発明者は、例3に記載したOX−2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを調製した。
【0042】
したがって、本発明は、その必要にある動物へのOX−2由来核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効量の投与を含んでなる免疫抑制の予防方法を提供する。
【0043】
本明細書において使用するアンチセンスオリゴヌクレオチドなる用語はその標的に相補的な核酸配列をいう。
【0044】
本発明の1の具体例においては、TがUであってよい図7記載の配列を有する核酸分子、またはその断片に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0045】
「オリゴヌクレオチド」なる用語は、天然に存在する塩基、糖および糖間(骨格)結合からなるヌクレオチドのオリゴマーもしくはポリマーまたはヌクレオチドモノマーをいう。該用語は天然には存在しないモノマーを含んでなる修飾または置換オリゴマー、または類似に機能するその一部もまた包含する。かかる修飾または置換オリゴヌクレオチドは、細胞取り込みの向上やヌクレアーゼ存在化での安定性の増加のごとき性質ゆえに、天然に存在する形態より好ましいことがありうる。該用語は2以上の化学的に別個の領域を含むキメラオリゴヌクレオチドもまた包含する。たとえば、キメラオリゴヌクレオチドは有益な性質を与える(例えば、ヌクレアーゼ耐性の増加、細胞への取り込みの増加)少なくとも1の修飾ヌクレオチド領域を含みえ、または本発明の2以上のオリゴヌクレオチドが結合してキメラオリゴヌクレオチドを形成しうる。
【0046】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレチドまたはデオキシリボヌクレオチド核酸であってよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジンおよびウラシルを含む天然に存在する塩基を含有してよい。オリゴヌクレオチドはまた、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルアデニン、2−プロピルアデニンおよび他のアルキルアデニン、5−ハロウラシル、5−ハロシトシン、6−アザウラシル、6−アザシトシンおよび6−アザチミン、シュードウラシル、4−チオウラシル、8−ハロアデニン、8−アミノアデニン、8−チオールアデニン、8−チオールアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニンおよび他の8−置換アデニン、8−ハログアニン、8−アミノグアニン、8−チオールグアニン、8−チオールアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニンおよび他の8−置換グアニン、アザウラシル、デアザウラシル、アザチミジン、デアザチミジン、アザシトシン、デアザシトシン、アザアデニン、デアザアデニン、アザグアニンおよびデアザグアニン、5−トリフルオロメチルウラシルおよび5−トリフルオロシトシンのごとき修飾塩基も含有してよい。
【0047】
本発明の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リン酸骨格、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間結合または短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環糖間結合における修飾リン、酸素ヘテロ原子も含有してよい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアート、ホスホトリエステル、メチルホスホネートおよびホスホロジチオアートを包含してよい。本発明の具体例においては、ホスホロチオアート結合は4〜6の3’末塩基間に結合する。別の具体例では、ホスホロチオアート結合は総てのヌクレオチドに結合する。
【0048】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療または実験薬剤にとしてより適切なヌクレオチドアナログも含んでよい。オリゴヌクレオチドアナログの例は、DNA(またはRNA)のデオキシリボース(またはリボース)リン酸骨格がペプチドに見出されたものと類似のポリアミド骨格と置換したペプチド核酸(PNA)である(P.E. Nielsenら、Science 1991、254、1497)。PNAアナログは、インビボおよびインビトロで酵素による分解に抵抗性を有し、寿命が長いことが示されている。PNA鎖はまた、PNA鎖とDNA鎖との間の電荷反発の欠如のため、相補DNA配列により強固に結合する。他のオリゴヌクレオチドは、ポリマー骨格、環状骨格または非環状骨格を有するヌクレオチドを含有しうる。例えば、ヌクレオチドはモルホリノ骨格構造を有しうる(米国特許第5,034,506号)。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改良するグループ、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改良するグループであるレポーターグループのごときグループも含有しうる。
【0049】
当業者に既知の方法を使用する化学合成および酵素的なライゲーション反応を用いて、アンチセンス核酸分子を構成できる。天然に存在するヌクレオチド、または分子の生化学的安定性を増加させるためまたはmRNAもしくは天然の遺伝子で形成された2本鎖の物理的安定性を増加させるためにデザインされた様々な修飾ヌクレオチド、たとえば、ホスホロチアート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いて、本発明のアンチセンス核酸分子またはその断片を化学的に合成できる。アンチセンス配列が高効率制御領域の調節下で生産され、ベクターを導入する細胞型によって活性が決定される、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態で細胞に導入した発現ベクターを用いて、生化学的にアンチセンス配列を生産することもできる。
【0050】
組成物
本発明は、免疫抑制の予防において使用するOX−2抑制剤を含有する医薬組成物と同様に、免疫四癖において使用するOX−2タンパク質または核酸を包含する医薬組成物も包含する。
【0051】
かかる医薬組成物は、病巣内、血管内、血管内、局所的、直腸、非経口、吸入または皮下、皮内、筋肉内、髄膜下、経腹膜、経口および大脳内に使用できる。該組成物は、液体、固体または半固体形態、例えば、ピル、錠剤、クリーム、ゼラチンカプセル、カプセル、坐剤、ソフトゼラチンカプセル、ゲル、膜、チューブレット(tubelet)、溶液または懸濁液であってよい。
【0052】
本発明の上記医薬組成物は、ヒトまたは動物への投与を目的とできる。投与量は個々の必要性、目的の効果および投与経路の選択に依存する。
【0053】
患者に投与できる医薬上許容される組成物の既知の調製方法、ペルセ(per se)によって上記医薬組成物を調製でき、活性物質の有効量が医薬上許容されるビヒクルと結合して混合物になる。適当なビヒクルは、例えば Remington's Pharmaceutical Sciences(Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA 1985)に記載されている。
【0054】
これに基づき、上記医薬組成物は、排他的なものではないが、1以上の医薬上許容されるビヒクル、希釈剤に関連し、安定したpHを有し、生理学的な流体と等張である緩衝溶液に含まれた活性化合物または物質を包含する。医薬組成物は所望により免疫抑制薬または免疫寛容を向上させる抗体または免疫応答を向上させる免疫調節薬剤のごとき他の薬剤を含有してよい。
【0055】
1の具体例では、免疫寛容の導入に使用する医薬組成物は、医薬上許容される希釈剤または担体との混合物でのOX−2タンパク質の有効量を含んでなる。該OX−2タンパク質は患者に投与できる可溶性の形態での免疫付着分子として調製されることが好ましい。組織または器官移植の場合、組成物は、静脈注入または移植部位での直接潅流が可能な可溶性の形態で、OX−2タンパク質を含むことが好ましい。
【0056】
別の具体例では、免疫寛容の導入に使用する医薬組成物は、医薬上許容される希釈剤または担体との混合物でのOX−2タンパク質をコードする核酸分子の有効量を含んでなる。
【0057】
遺伝子治療において免疫寛容を導入するために本発明のOX−2タンパク質をコードする核酸分子を使用できる。レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびDNAウイルスベクターのごときデリバリービヒクルを使用して、OX−2タンパク質をコードする核酸配列、またはその断片を含んでなる組換え分子をインビボで細胞または組織に直接導入できる。これらを、マイクロインジェクションやエレクトロポレーションのごとき物理的技術または共沈およびリポソームへのDNAの取り込みのごとき化学的方法を使用して、インビボで細胞に導入することもできる。組換え分子は、エアゾールの形態または洗浄によってもデリバリーされうる。細胞への直接注入のごとき、細胞外的にも本発明の核酸分子を投与できる。免疫グロブリン(Ig)Fc領域をコードする核酸分子との融合体としてOX−2をコードする核酸分子を調整することが好ましい。
【0058】
別の態様では、免疫抑制の予防に使用する医薬組成物は、医薬上許容される希釈剤または担体との混合物でのOX−2抑制剤の有効量を含んでなる。単独または他の活性薬剤または抗体との組み合わせのどちらかでワクチンとしてかかる組成物を投与できる。組み合わせで使用する場合、OX−2抑制剤はワクチン中の抗原に対する潜在的な免疫応答によって補助剤様に作用しうる。
【0059】
1の具体例では、免疫抑制に使用する医薬上の組成物は、医薬上許容される希釈剤または担体との混合物でのOX−2に対する抗体の有効量を含んでなる。抗体は静脈内でデリバリーされる。
【0060】
別の具体例では、医薬上許容される希釈剤または担体との混合物でのOX−2遺伝子由来の核酸配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド核酸の有効量を含んでなる。該オリゴヌクレオチド分子はOX−2核酸配列を含む組成物のために上記のように投与されうる。
【0061】
ネズミOX−2
本発明者はネズミOX−2遺伝子をクローニングし、配列決定した。したがって、本発明はしたがって、本発明はネズミOX−2遺伝子をコードし、図7に示した配列および配列番号1を有する単離された核酸配列を包含する。
【0062】
「単離」なる用語は、組換えDNA技術により生産した場合には細胞物質もしくは培地を、または化学合成した場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を、実質的に含まない核酸をいう。「核酸」なる用語はDNAおよびRNAを包含することを意図し、2本鎖または1本鎖のいずれでもありうる。
好ましくは、精製され単離された本発明の核酸分子は、(a)TがUであってよい、配列番号1に示した核酸配列;(b)(a)に相補的な核酸配列;(c)少なくとも15塩基、好ましくは20〜30塩基で、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で(a)もしくは(b)とハイブリダイスする(a)もしくは(b)の断片;または、(a)遺伝コードの縮重のためにコドン配列における(a)または(b)のいずれとも異なる核酸配列、を含んでなる。
【0063】
下記のように、本発明は、本発明のネズミOX−2タンパク質のトランケーション(truncation)、本発明のタンパク質のアナログおよびホモログならびにそのトランケーション(truncation)をコードする核酸分子を包含することが理解されよう。さらに、本発明のcDNAに対応するmRNAの選択的スプライシングによって生じる本発明の核酸分子の様々な形態が本発明に包含されることも理解されよう。
【0064】
単離された本発明のDNAである核酸分子は、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法を使用して本発明の新規なタンパク質をコードする核酸を選択的に増幅することによって単離したものであってよく、cDNAまたはゲノムDNAであってよい。PCRで使用するために図7に示した核酸分子から合成オリゴヌクレオチドプライマーをデザインすることができる。このオリゴヌクレオチドと標準的なPCR増幅技術とを使用してcDNAまたはゲノムDNAから核酸を増幅できる。このようにして増幅した核酸を適当なベクターにクローニングし、DNA配列分析によって特徴づけできる。様々な技術、たとえば、Chirgwinらのグアニジン−チオシアネート抽出法、Biochemistry、18、5294-5299(1979)によって全細胞mRNAの単離することにより、cDNAをmRNAから調製できることが理解されよう。ついで、リバーストランスクリプターゼ(例えば、Gibco/BRL、Bethesda、MDから入手可能なMoloney MLV reverse transcriptaseまたはSeikagaku America, Inc.、St. Petersburg、FLから入手可能なAMV reverse transcriptase).を使用してmRNAからcDNAを合成できる。
【0065】
単離された本発明のRNAである核酸分子は、本発明のOX−2タンパク質をコードするRNA分子を生産するために、本発明の新規なタンパク質をコードするcDNAをcDNAの転写を行わせる適当なベクターへクローニングすることによって単離であってよい。例えば、cDNAをベクターノバクテリオファージプロモーター(例えば、T7プロモーター)の下流にクローニングし、T7ポリメラーゼを使用してインビトロで転写させ、標準的な技術によって結果物であるRNAを単離できる。標準的な技術を使用して本発明の核酸分子を化学的に合成することもできる。商業的に入手可能なDNAシンセサイザー(例えば、Itakuraら、米国特許第4,598,049号;Caruthersら、米国特許第4,458,066号;およびItakura米国特許第4,401,796号および第4,373,071号を参照)に完全に自動化されている、ペプチド合成類似の、固相合成を包含する様々な化学的ポリヌクレオチド合成法が知られている。本発明の核酸分子配列を、転写のために通常表されるものに対して逆にして、アンチセンス核酸分子を生産することができる。開始コドンより先の領域または非保存領域を逆にすることによって、アンチセンス配列を構成することが好ましい。とくに、本発明の核酸分子またはその断片に含まれる核酸配列、好ましくは図7に示した核酸配列を、転写のために通常表されるものに対して逆にして、アンチセンス核酸分子を生産することができる。
【0066】
天然に存在するヌクレオチド、または分子の生化学的安定性を増加させるためまたはmRNAもしくは天然の遺伝子で形成された2本鎖の物理的安定性を増加させるためにデザインされた様々な修飾ヌクレオチド、たとえば、ホスホロチアート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを用いて、本発明のアンチセンス核酸分子またはその断片を化学的に合成できる。アンチセンス配列が高効率制御領域の調節下で生産され、ベクターを導入する細胞型によって活性が決定される、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウイルスの形態で細胞に導入した発現ベクターを用いて、生化学的にアンチセンス配列を生産することもできる。
【0067】
本発明は、本発明のOX−2タンパク質と選択されたタンパク質、または選択マーカータンパク質とを含んでなる融合タンパク質をコードする核酸もまた提供する。
【0068】
本発明はさらに、図8および配列番号2に示したアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質を包含する。本発明の本文において、本発明のタンパク質は、性化学的活性を保持する様々な構造形態の1次タンパク質を包含しうる。例えば、本発明のタンパク質は、酸性もしくは塩基性塩または中性の形態であってよい。さらに、個々のアミノ酸残基は酸化または還元によって修飾されていてよい。
【0069】
本明細書に記載したように、完全長アミノ酸配列(図8)に加えて、本発明のタンパク質は該タンパク質のトランケーション(truncation)、ならびに該タンパク質のアナログおよびホモログ、ならびにそのトランケーション(truncation)も包含しうる。トランケーションされた(truncated)タンパク質は少なくとも15アミノ酸残基のペプチドを含みうる。
【0070】
本明細書に記載したように、図8に示したアミノ酸配列を有するタンパク質をアナログ、および/またはそのトランケーション(truncation)は、以下に限定されるものではないが、1以上のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含むアミノ酸配列を包含しうる。アミノ酸置換は性質を保存する、または保存しないものであってよい。保存的アミノ酸置換は、本発明のタンパク質の1以上のアミノ酸を電荷、大きさおよび/または疎水度の性質が類似するアミノ酸と置き換えることを含む。保存的置換のみがなされた場合、結果として生じるアナログは機能的に同等である。非保存的置換は、OX−2アミノ酸配列の1以上のアミノ酸を非類似の電荷、大きさおよび/または疎水度の性質を有するアミノ酸と置き換えることを含む。1以上のアミノ酸挿入を図8のアミノ酸配列に導入できる。アミノ酸挿入は単一のアミノ酸残基または2〜15アミノ酸の長さで変化する連続したアミノ酸からなりうる。
【0071】
欠失は、図8に示したアミノ酸配列の1以上のアミノ酸または個々の部分の除去を含みうる。欠失アミノ酸は隣接するものであっても、隣接しないものであってもよい。欠失の結果として生じるアナログの長さの下限は約10アミノ酸、好ましくは100アミノ酸である。
【0072】
該タンパク質をコードするヌクレオチド配列に変異を導入することにより、本発明のタンパク質のアナログを調製できる。本発明のタンパク質のアナログの発現のために構築されたヌクレオチド配列の変異はコード配列のリーディングフレームを保存するものでなければならない。さらに、変異によって、レセプターmRNAの翻訳に不利に作用する、ループまたはヘアピン構造のごとき、二次mRNA構造を生じさせる相補領域がつくられないことが好ましい。天然配列の断片へのライゲーションを可能にする制限部位が側方にある変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することにより、変異を所定の部位に導入できる。ライゲーションについで、結果として生じた再構築配列は、目的のアミノ酸挿入、置換または欠失を有するアナログをコードする。
【0073】
別法として、オリゴヌクレオチドディレクテッド部位特異的変異法を用いて、目的の置換、欠失または挿入によって変化した特定のコドンを有する変化した遺伝子を得ることができる。目的の欠失に適した便利な制限エンドヌクレアーゼ部位を利用して本発明のタンパク質の欠失またはトランケーション(truncation)を構築できる。上記の改変を行う具体的な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory press (1989))によって開示されている。
【0074】
本発明は、本発明のタンパク質のアイソフォームもまた意図している。アイソフォームは本発明のタンパク質とアミノ酸の数および種類が同じものを含むが、分子構造が異なる。本発明が意図するアイソフォームは、本明細書に記載した半発明のタンパク質と同じ性質を有するものである。
【0075】
本発明は、選択されたタンパク質または選択マーカータンパク質と結合して融合タンパク質を生産する、本発明のタンパク質もまた包含する。さらに、本発明のタンパク質の免疫原性の部分も本発明の範囲内である。
【0076】
組換えDNA法を使用して、本発明のタンパク質(トランケーション(truncation)、アナログなどを含む)を調製できる。したがって、既知の方法で、本発明のタンパク質をコードする配列を有する本発明の核酸分子を、確実に該タンパク質を発現させる適当な発現ベクターに組み込むことができる。ベクターが使用する宿主細胞と両立できるかぎりにおいて、可能性のある発現ベクターは、以下に限定されるものではないが、コスミド、プラスミドまたは修飾をうけたウイルス(例えば、複製に血管のあるレトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)を包含する。「宿主細胞の形質転換に適当な」発現ベクターは、本発明の核酸分子と、該核酸分子と有効に結合し、発現に使用するために宿主細胞に基づいて選択した調節配列とを含む発現ベクターをいう。有効に結合した、とは、核酸が該核酸を発現させるように調節配列に結合していることをいう。
【0077】
したがって、本発明は本発明の核酸分子、またはその断片、および挿入されたタンパク質配列の転写と翻訳に必要な調節配列を含む本発明の組換え発現ベクターを意図している。かかる発現ベクターは、OX−2タンパク質をコードする核酸配列を使用する上記の治療に有用である。細菌、真菌またはウイルス遺伝子を包含する様々なソースから、適当な調節配列を得ることができる(例えば、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、CA (1990)に記載された調節配列を参照)。適当な調節配列の選択は選択した宿主細胞に依存し、また当業者は容易に理解できる。かかる調節配列の例は、転写プロモーターおよびエンハンサーまたはRNAポリメラーゼ結合配列、翻訳開始シグナルを含むリボゾーム結合配列を包含する。さらに、選択した宿主細胞および使用するベクターに依存して、複製起点、付随的なDNA制限部位、エンハンサーおよび転写誘導性を与える配列を発現ベクターに組み込むことができる。天然のタンパク質および/またはその側方の領域によって必要な調節配列を得られることが理解されよう。さらに、本発明は、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発明の核酸分子を含んでなる組換え発現ベクターを提供する。すなわち、該DNA分子は該DNA分子の転写によって、図7に示したヌクレオチドを含んでなる核酸配列に対してアンチセンスであるRNA分子を発現するように、調節配列に有効に結合している。アンチセンスRNA分子の連続する発現を導く、該アンチセンス核酸に結合した調節配列を選択できる。
【0078】
本発明の組換え発現ベクターは、本発明の組換え分子を用いて形質転換または形質移入された宿主細胞の選択を容易にする選択マーカー遺伝子もまた含みうる。選択マーカー遺伝子の例は、G418およびハイグロマイシン(hygromycin)のごとき特定の薬物に対する耐性を与えるタンパク質、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼまたはホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子である。選択マーカー遺伝子の転写は、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼまたはホタルルシフェラーゼのごとき選択マーカータンパク質濃度の変化によってモニターされる。選択マーカー遺伝子がネオマイシン耐性のごとき抗生物質耐性を与えるタンパク質をコードする場合、G418を用いて形質転換細胞を選択できる。選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生き残り、他の細胞は死滅する。これにより、本発明の組換え発現ベクターの発現の可視化とアッセイが可能になり、特に発現および表現型における変異の効果の測定が可能になる。選択マーカーを目的の核酸由来の分離マーカーに導入できることが理解されよう。
【0079】
組換え発現ベクターは、組換えタンパク質の発現を増加させ;組換えタンパク質の溶解度を増加させ;アフィニティー精製におけるリガンドとして作用して標的組換えタンパク質の精製を助ける融合部をコードする遺伝子もまた含みうる。例えば、融合タンパク質の精製に続いて融合部から組換えタンパク質分離するために、タンパク質加水分解の開裂部位を表駅組換えタンパク質に付加することができる。
【0080】
組換え発現ベクターを宿主細胞へ導入して形質転換宿主細胞を生産できる。「形質転換宿主細胞」なる用語は、本発明の組換え発現ベクターを用いて形質転換または形質移入された原核および真核細胞を包含することを意図する。「を用いて形質転換された」、「を用いて形質移入された」、「形質転換」および「形質移入」なる用語は当業者に既知の多くの可能な技術の1つによって細胞へ核酸(例えば、ベクター)を導入することを包含することを意図する。例えば、エレクトロポレーションまたは塩化カルシウム媒介形質転換によって核酸を用いて原核細胞を形質転換できる。リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介形質移入、リポフェクチン、エレクトロポレーションまたはマイクロインジェクションのごとき慣用技術によって核酸を哺乳動物細胞へ導入できる。宿主細胞の適切な形質転換および形質移入方法を、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory press (1989))、および他の実験書に見出すことができる。
【0081】
適当な宿主細胞は広範囲の原核および真核宿主細胞を包含する。例えば、イー・コリのごとき細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルスを使用)、酵母細胞または哺乳動物細胞中で本発明のタンパク質を発現させられる。他の適当な宿主細胞を、Goeddel、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、CA (1991)に記載された調節配列を参照)に見出すことができる。
【0082】
固相合成(Merrifield、1964、J. Am. Chem. Assoc. 85:2149-2154)または均一溶液中での合成(Houbenweyl、1987、Methods of Organic Chemistry, ed. E. Wansch, Vol. 15 I and II、hieme、Stuttgart)のごときタンパク質化学において周知の技術を用いて、化学合成によって本発明のタンパク質を調製することもできる。
【0083】
下記の非制限的な実施例は本発明を説明するものである。
【0084】
実施例
例1
この実施例は、pv免疫化に続く特定の遺伝子の発現の増加を示す。
ネズミ:
c3H/HEJおよびC57BL/6マウスをザ・ジャクソン・ラボラトリー(The Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME.)から購入した。マウスを5匹/ケージで飼育し、餌および水を自由に摂食させた。すべてのマウスを8〜12週齢で使用した。
【0085】
モノクローナル抗体
下記のファーミンジェン(Pharmingen)(San Diego、CA)から入手したモノクローナル抗体を使用した:抗−IL−2(JES6-1A12;ビオチニル化 JES6-5H4);抗−IL−4(11B11;ビオチニル化 BVD6-24G2);抗−IFNγ(R4-6A2;ビオチニル化 XMG1.2);抗−IL−10(JES5-2A5;ビオチニル化 SXC-1、Pharmingen、San Diego、CA);マウスIgG1アイソタイプ対照(クローン107.3、BALB/C−抗−TNP)。ストレプトアビジン 西洋ワサビペルオキシダーゼおよび組換えマウスGM−CSFもまたファーミンジェン(Pharmingen)(San Diego、CA)から入手した。
【0086】
NLDC−145(抗マウス樹状細胞)、およびF(ab')2ウサギ抗ラットIgG FITC複合体(マウスIgGと非交差)、またはF(ab')2ウサギ抗ラットIgG PEをセロテック(Serotec、Canada)から入手した。
【0087】
ウサギ補体、L3T4、抗−thy1.2、抗−Ly2.2、抗−Ly2.1(マウスIgG3)、FITC-MAC-1 およびマウスIgG1抗−ラットOX−2をシダーレーンラボ(Cedarlane Labs、Hornby、Ontario.)から入手した。
抗−CD28 (PV-1)および抗−CTLA (UC10-4F10-11)をそれぞれシー・ジューン博士(Drs. C. June)およびジェイ・ブルーストーン博士(J. Bluestone)から入手し、抗−B7−1、抗−B7−2をジー・パワーズ博士(Dr. G. Powers)から入手した。高力価の後者4つのすべての抗体を、セルマックスシステム(CELLMAX system)(CELLCO Inc.、Germantown、MD、USA)中でインビトロ培養により生産した。
【0088】
細胞調製
各実験において、異なる治療グループの個々のマウスから、脾臓、パイエル板(PP)および腸間膜リンパ節(MLN)細胞懸濁液を無菌的に調製した。
【0089】
インビトロで骨髄細胞の培養により樹状細胞を入手した際は、下記の技術を用いた(Gorczynskiら、1996a)。
ドナー雄性C57BL/6(またはBALB/c)マウスの大腿骨から骨髄プラグを吸引し、洗浄し、αF10に再懸濁した。細胞を逐次的に抗体(L3T4、抗−thy1.2、抗−Ly2.2)の混合物とウサギ補体で処理し、マウスリンホパクー(lymphopaque)(Cedarlane Labs、Ontario)を通して遠心分離して死細胞を除去した。細胞をαF10中で3回洗浄し、組織培養フラスコ内αF10 10ml中で培養した。36時間間隔で新しいGM-CSFを添加した。培養3.5日目と7日目にリンホパクー(lymphopaque)を通して細胞を分離し、組換えGM-CSFとともにαF10中で再培養した。10日目にサンプルの一部を、NLDC-145およびFITC抗ラットIgG、抗−OX−2およびPE抗マウスIgG、FITC抗−B7−1またはFITC抗−B7−2で着色した。かかる培養から得た細胞を使用したこれらの抗体の着色の平均値は、それぞれ93%±7%、14%±5%、78%±9%および27%±6%であった。残った細胞を洗浄し、上記のように門脈に注入した。
【0090】
門脈免疫化および腎移植
上記のように、pv免疫化および腎移植を実施した(Gorczynskiら、1994)。すべてのC3Hマウスを、15x106 C57BL/6 10日培養、骨髄由来、樹状細胞を用いてpv/iv免疫化し、ついでC57BL/6腎移植をした。移植日に、動物にシクロスポリンA(cyclosporin A) 10mg/Kgの1回の筋肉内注射をした。マウスを移植5日後の組織採取とRNA調製に供した。他の研究では、本文中に記載したように動物を供した。
【0091】
モノクローナル抗体を移植を受けたマウスに注入した際は、移植2時間以内に開始し、2日間隔(x4注入)で100mg静脈内に注入した。
【0092】
移植を受けたマウスの脾臓細胞からのサイトカイン生産
サイトカイン生産の導入を評価するために用いた培養においては、αF10中、3連で、照射を受けた(2000R)C57BL/6脾臓刺激細胞によって刺激した脾臓応答細胞を使用した。多数の研究において、移植を受けたマウスの脾臓、リンパ節またはパイエル板からのサイトカイン生産に定量的または定性的な有意差は観察されていなかった(Gorczynskiら、1994b)。レプリケートウエル(replicate well)から40時間目に上清をプールし、ELISAアッセイでリンホカイン生産を3連でアッセイした。すべてのキャプチャー(capture)抗体、ビオチニル化検出抗体および組換えサイトカインは、ファーミンジェン(Pharmingen)(San Diego、CA−上記参照)から入手した。
【0093】
IFNγアッセイでは、100 ng/ml R4-6A2でコートした平底96穴ヌンク(Nunc)プレート(Gibco、BRL)を使用した。3連で、様々な容量の上清を結合させ、4℃で、3回洗浄し、ビオチニル化抗IFNγ(XMG1.2)を添加した。洗浄後、洗浄後、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(Cedarlane Labs)とともにプレートをインキュベートし、適当な基質を用いて顕出させ、ELISAプレートリーダーを使用してOD405を測定した。JES5-2A5をキャプチャー抗体とし、ビオチニル化SXC-1を顕出(developing)抗体として、同じELISAシステムを用いてIL−10を分析した。各アッセイ信頼性は0.01〜0.1 ng/mlの範囲でサイトカインレベルを検出した。IL−2およびIL−4のELISAアッセイでは、JES6-1A12および11B11をキャプチャー抗体として使用し、ビオチニル化JES6-5H4またはBVD6-24G2を顕出抗体をして使用した。
各サイトカインの検出感度は10pg/mlであった。
【0094】
オリゴヌクレオチドプライマー
β−アクチンおよび他のサイトカインのPCR増幅に使用したプライマーは以前の刊行物(Gorczynski、R.M.、1995a;Gorczynski、R.M.、1995b;Gorczynski、R.M.、1996a)に記載されている。
さらに、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
2本鎖cDNA(DP)を得るためのcDNA合成プライマ−:

5'-TTTTGTACAAGCTT30-3'
アダプター1(Ad1):
5'-CTAATACGACTCACTATAGGGCTCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGT-3'
アダプター2(Ad2):
5'-TGTAGCGTGAAGACGACAGAAAGGGCGTGGTGCGGAGGGCGGT-3'
PCRプライマー1(P1):5'-CTAATACGACTCACTATAGGGC-3'
ネステッドプライマー1(NP1):5'-TCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGT-3'
PCRプライマー2(P2):5'-TGTAGCGTGAAGACGACAGAA-3'
ネステッドプライマー1(NP2):5'-AGGGCGTGGTGCGGAGGGCGGT-3'
【0095】
ドライバーおよびテスターの調製
ivまたはpv免疫化し、腎移植したマウスのグループ当り5のプールした腸間膜リンパ節(MLN)およびパイエル板(PP)からRNAを抽出した。ポリ(A)+mRNAをドライバー(iv)グループから調製し、1ngDPプラーマ−とともに2本鎖cDNAを使用し、T4 DNAポリメラーゼとともにcDNA合成キット(Clontech)を使用した。最終的なcDNA調製物をRsaIで3時間、酵素(GIBCO)15単位を含む反応混合物50ml中で消化し、cDNAをフェノール抽出し、エタノール沈殿し、7mlの脱イオン水中に再懸濁した(濃度約300ng/ml)。
【0096】
RsaI消化テスターcDNA(pvグループ)を同じ形式で調製した。TE緩衝液に希釈した50ngのテスターcDNAを、50単位/ml T4リガーゼを使用して18時間、16℃で分離ライゲーション反応において、2mlのAd1およびAd2(各10mM)に連結した。ついで、0.2M EDTA 1mlを添加し、混合物を70℃、5分間加熱し、リガーゼを不活性化し、生産物を-70℃で保存した。
【0097】
差し引きハイブリダイゼーションおよびPCR増幅
pv2本鎖にされたAd1−連結cDNAおよびAd2−連結cDNAを20ng含む2本の試験管の各々にドライバー(iv)2本鎖cDNA 600ngを添加した。標準的な方法で、試料を撹拌し、エタノールで沈殿させ、ハイブリダイゼーション緩衝液に再懸濁し、鉱物油を上載し、変性させ、アニーリングさせた。ついで、2の独立した試料を一つにし、200ngの新しいドライバーcDNAを添加して、mRNAの特異的な発現を高め、再び混合物を10時間、68℃で変性させ、アニーリングさせた。最終的な試料をEDTAを含むHepes緩衝液で希釈し、−20℃で保存した。
【0098】
差し引き後、差し引きしたcDNAに2回のPCR増幅を実施した。1回目では、差し引きしたcDNA 1mlを、P1およびP2の各1mlを用いて増幅した。増幅の条件はディアトチェンコ(Diatchenko)によって記載された通りである。増幅した生産物を脱イオン水で10倍に希釈し、生産物1mlをネステッドプライマー(NP1およびNP2)を使用し10サイクルの増幅反応を行うさらなる増幅のために使用した。「ハウスキーピング遺伝子」として知られる対照オリゴヌクレオチドプライマー(β−アクチン)、およびiv/pv免疫化マウスで発現が異なることが既に公開されている遺伝子用のプライマーとともに、もとのドライバー/テスターおよび差し引きしたcDNAの部分試料をPCR反応に使用した。これらのデータを図1および図2に示した。
【0099】
図1はβ−アクチンプライマーを用いた抑制差引きハイブリダイゼーションのPCR確認を示す。差し引きしていない(レーン1、3、5および7)または差し引きした(レーン2、4、6および8)mRNA由来の試料を逆転写し、異なるPCRサイクル回数で、β−アクチンプライマーを使用してPCRで試験した。レーン1および2:15サイクル;レーン3および4:20サイクル;レーン5および6;25サイクル;レーン7および8:30サイクル。
【0100】
図2はIL−10プライマーを用いた抑制差引きハイブリダイゼーションのPCR確認を示す。使用したプライマーがIL−10用のものであり、異なるサイクル回数が下記の通りである以外は、図1と同様に、差し引きしていない(レーン2および4)または差し引きした(レーン3および5)mRNA由来の試料を
試験した。レーン2および3:20サイクル;レーン4および5:30サイクル;レーン1:分子量標準。
【0101】
さらに、下記のように差し引きしたcDNAのクローニングを実施した。
【0102】
差し引きしたcDNAのクローニングとさらなる分析
TAクローニングキット(Invitrogen、California)を用いて、PCRIIベクターへの直接結合とにより、PCR増幅cDNAをクローニングした。挿入断片:ベクター比3:1、T4リガーゼ(3U/μl)を含む1×ライゲーション緩衝液中で、一晩14℃で、ライゲーションを実施した。ついで、標準的な形質転換プロトコールを用いて、ライゲーション産物をINFαF'コンピテント大腸菌(Escherichia Coli)へ挿入し、X−gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-D-ガラクトシダーゼ)を含んだプレートにおいてアンピシリンを用いて選択した。プラスミド抽出・スピンキット(Plasmid extraction Spin kit)(Qiagen、Germany)を用いてミニプレップ(miniprep)プラスミドDNAを精製し、制限酵素EcoR Iで切断し、該プラスミドが目的の挿入断片を含むか否かを確認した。T7シーケンシングキット(T7 sequencing kit)(Pharmacia Biotech、Canada)を用いた(T7 sequencing kit)ジデオキシ配列決定法によって挿入断片を有するプラスミドを配列決定した。バイオテクノロジー情報国立センター(NIH、Bethesda、USA)のBLASTプログラムを用いて核酸相同姓検索を行った。ノザンハイブリダイゼーションを用いて、下記のようにクローニングした物のさらなる分析を行った。ネステッドPCRプライマーを用いてpCRII中の挿入断片を12サイクル増幅した。キアキック・スピン・PCR精製キット(Qiaquick Spin PCR Purification Kits)(Qiagen)を用いて増幅した物を精製し、ランダムプライミングによって32P標識し、もとの(および新しい)ivまたはpv全RNAの試料20mgをノザンハイブリダイゼーションのプローブとして使用した。cDNAプローブ 100ng当り最低5×106cpm、0.1mg/ml 超音波処理熱変成サケ精子DNAを含むエクスプレスHyb溶液(ExpressHyb solution)(Clontech)中でハイブリダイゼーションを行った。1×SSCと0.1%SDSで15分間、27℃でフィルターを4回洗浄し、ついで、0.2×SSCと0.1%SDSで30分間、42℃で高度にストリンジェントな洗浄を行った。曝露時間は18時間〜6日で変化させた。図3は上記の差引きハイブリダイゼーション法(pv cDNAをテスター物質として、iv cDNAをドライバー物質をして使用した)で得られた4クローンからの32P−標識プローブを用いたオートラジオグラフを示す。β−アクチン用の標識対照プローブをPCR複製で調製した。ivまたはpv免疫化を受けたマウスから全RNAを調製し、18時間(クローン#28)〜6日(#71)顕出させたゲルを用い、図示したように同型レーンに等量を荷した。クローン8はマウスポリ(A)結合タンパク質と最も高い相同性を有する。クローン16はラットMRC OX−2と最も高い相同性を有する。クローン28はヒト ジンクフィンガータンパク質と最も高い相同性を有する。
【0103】
ウエスタン ブロッティング プロトコール
使用した技術は実質的にサンドフ(Sandhu)らによって記載され(1991)、ブロンステイン(Bronstein)らによって改良されたものである。図5に記載したグループを用いて、試料を腎移植14日後に得た。新しいラット胸腺細胞を対照として用いた。一次抗体の添加前に、試料を12%SDS−PAGE中で電気泳動し、PVDF膜(Novex Co.、San Diego、CA)に移した。市販の抗−ラット OX−2を試験試薬として使用し、マウスCD8aに対する抗体を対照抗体にした。使用した顕出(developing)抗体は市販の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗−マウスIgGであった。総ての試薬は、シダーレーンラボ(Hornby、Ontario、Canada)から入手した。
【0104】
DNA配列相同性比較
DNASIAプログラム(バーション2.0)を用いて、B7-1、B7-2、CD28およびCTLA-4について、既知のcDNA配列とのマウスOX−2の比較を行った。
【0105】
結果
抑制差引きハイブリダイゼーション(SSH)技術の評価
使用したSSH技術の有効性を評価するため、PCR分析によって、pv免疫化マウス由来のリンパ組織においてIL−10のmRNAの発現が明らかに増加したという、以前の証拠を用いた。したがって、β−アクチンおよびIL−10用のPCRプライマーを用いて、テスター、ドライバーおよび差し引きした物質由来のcDNAの希釈分析を行った。図1に示したように、SSH後、35サイクルの増幅の後に、差し引きした物質においてβ−アクチンのシグナルが検出された。対照によって、差し引きしていない物質においてはシグナルはわずか15サイクル後に存在している。さらに鋳型の定量的分析を用いて、β−アクチンmRNAの約1000〜10,000の欠乏に対応することを見出した。別の研究において、IL−10 mRNAを分析し(図2)、差し引きした/差し引きしていない物質における30サイクル増幅での検出の比較により、有意にIL−10 mRNAが多いことを見出した(図2、レーン4および5)。
【0106】
差引き(subtraction)の有意性のさらなる試験において、差し引きしていないおよび差し引きしたテスター(pv)cDNAの混合物を標識し、iv(テスター)およびpv(ドライバー)全RNAのノザンブロットにハイブリダイズさせた。その結果(データは示してしない)は差し引きしたテスターcDNAプローブはテスターRNAとともに有意に強いシグナルを確かに生じることを示した。ノザンブロットにおいてシグナルを生じる総てのcDNA種がcDNA混合物中の0.1〜0.3%以上の濃度を示す証拠が与えられ、これらのデータは、テスター(pv)物質とドラーバー(iv)物質との間に共通する豊富なcDNAにおける付随的な減少とともに、pv特異的cDNAの高度の豊富化を生じたこととさらに矛盾しない。
【0107】
pv免疫化マウス由来の組織における特徴的なcDNA断片の検出
pv免疫化マウス由来の組織試料に特徴的なcDNA断片の検出のためのSSHの有意性と妥当性を、さらに選択したテスター特異的cDNAのクローニングと配列分析の後に確認した。(配列決定した66のうちの)10の無作為に選択したcDNAクローンをプローブに用いて、pvまたはiv全RNAの多様な調製物を調べた。明らかになったすべての特徴的なmRNAはpv試料中で特異的に発現した。β−アクチンプローブを対照として、これらのノザンブロットの4のオートラジオグラムを図3に示した。18時間〜6日の異なる曝露時間を用い、目的の試料におけるpv特異的cDNAの異なる存在量を示した。
【0108】
図示した4クローンのcDNA挿入断片を、他の62クローンとともに、部分的に配列決定し、GenBankおよびEMBLデータベースにおいて相同性分析した。これらのデータの概略を表1に示した。約30のcDNA断片が他の記載配列と少なくとも50%以上の相同性(少なくとも50ntにわたり、BLASTスコア>250)を有した。さらに14クローンは既知のラット/ヒト遺伝子と同様の相同性を示した。双方の組は、異なる遺伝子ファミリーのメンバーを表しうる。さらに22クローンはデータベースに登録されたものと有意な一致を示さず、したがって、pv免疫化後に上方制御された新規の遺伝子を表しうる。分析した66クローンのいずれにおいてもIL−4またはIL−10遺伝子配列(pv免疫化後に続いてmRNAが過剰発現することが知られている、図2も参照)との相同性が検出されなかった事実から、示したデータは、かかる特異的に発現した遺伝子の最小限の概算であることは明らかである。
【0109】
図3に示したクローンに対する配列相同性(比較した配列にわたり、>80%相同性)から、これらのクローンはさらに特徴づけられる。クローン8はマウスポリ(A)結合タンパク質と最も高い相同性を有することが示され;クローン16はラットMRC OX-2と最も高い相同性を有することが示され;クローン28はヒト ジンクフィンガータンパク質と最も高い相同性を有することが示された。クローン71に対して相同性を有する配列は見出されなかった。下記のデータにおいて、ラットcDNAに対して(ラット胸腺細胞および樹状細胞において選択的に発現するものとして既に特徴付けられた分子、OX−2について)相同性を示したこれらのクローンの1つの分析を記載した。このクローンのさらなる研究の根本的理由は、門脈を介した樹状細胞の注入が我々のモデル系において同種異系移植片生存を延ばす有効な方法であることを示すデータにある。しかし、門脈を介して注入された骨髄由来樹状細胞自身がOX−2を発現するのに対し(上記参照)、初期の研究(1〜5)のように照射を受けた樹状細胞(FACS分析によりOX−2-)を門脈を介してうけたマウスから得た組織を用いて、図3に示したものと同じデータが得られていることを特記する。さらに、両方の条件で、我々が移植0.5〜2.5日後に得た組織を使用した場合、この抑制差引きハイブリダイゼーション法によってOX−2 mRNAは検出されなかった。これらの結果は、検出されたOX−2シグナルがpv免疫化についでの細胞における新規の発現の増加の結果であるとする考えに一致する。
【0110】
ラットOX−2のネズミ等価物の発現のためのpv免疫化マウス組織由来のcDNAライブラリーのプローブ探索
cDNAライブラリーを、材料と物質に記載したように、クロンテック(ClonTech)から購入したキットを使用し、腎移植前に25×106照射(2000Rads)C57BL/6骨髄細胞を用いたpv免疫化を受けたC3Hマウスの5匹のプールから調製したmRNAから構築した。クローンをLB培地にまき、ラットOX−2との相同性を示す32gP標識アンプリコンを用いてプローブ探索した。1.3Kbクローンを検出し、増幅し、特異的に発現した産物を検出するために32P標識した後にノザンゲル分析によって示した。自動DNAシーケンサーおよび蛍光標識デオキシヌクレオチドを用いて配列決定した後に、この1.3kb断片が、ラットOX−2のGeneBank配列から決定したラットOX−2 mRNAの3’非翻訳領域をコードする領域と>95%の相同性を有することを見出した。
【0111】
プライマー構築プログラムを用いて、ラットGeneBank配列の1〜19位(5’非翻訳領域とリーダー配列の部分に応答する)を表す5’PCRプライマーおよび我々の特徴付けたマウス配列に基づく3’プライマーを合成し、長距離増幅を実施して、ラットOX−2遺伝子のネズミ等価物のオープン・リーティング・フレーム(ORF)をコードすると予測されるアンプリコンを生産した。このアンプリコンは約1.4Kb長(予測通り)であることを確認した。自動シーケンシングで、3’非翻訳領域とともに、対応するラット産物と>90%の相同性を有するORFを含む、ラットMRC OX−2遺伝子のマウスホモログの完全長配列を得た。この配列をGeneBankに提出した(受け入れ番号AF004023)。
【0112】
DNASISプログラムを用い、予測したマウスのタンパク質配列は、B7−1およびB7−2と51%の相同性を、CD28と48%の相同性およびCTLA4と54%の相同性を有していた(非開示)。
【0113】
pv免疫化後の延長された移植片生存において発現したOX−2ホモログ重要な役割の証明
OX−2遺伝子によってコードされる生産物の潜在的な重要性を明確にすることを試み、pv免疫化と腎移植を受けたマウスの移植モデルにおいて市販のラットOX−2に対する抗体を用いた。第1のかかる研究においては、pv免疫化後のOX−2分子の発現の特異的な増加があるかどうかを調べた。肝単核細胞および脾臓細胞のOX−2およびNLDC145の2重着色を用いたFACS分析によって、ivおよびpv免疫化マウス由来の肝臓または脾臓のNLDC145+細胞の数は類似するが、pv免疫化後のOX-2+NLDC145+の数は4倍であることを見出した。図4はiv免疫化/移植マウス(パネルAおよびB)またはpv免疫化/移植マウス(パネルCおよびD)由来の脾臓付着細胞のフローサイトメトリープロフィールである。移植7日後に細胞を採取し、対照(クローン107.3)マウスIgG1血清(左側パネル)または抗−OX−2(右側パネル)およびF(ab')2PE−抗−マウスIgGと同様に、NLDC145およびF(ab')2FITC−抗−ラットIgGで着色した。データは3つの別個の研究のうちの1つを表したものである。示した値は、各象限の全細胞数を表す。pv免疫化マウスの肝臓または脾臓の2重陽性細胞の無名数(×105)は各3.2±0.5および39±8であった(図4の脾臓付着細胞のFACSプロフィール参照)。この4倍の増加は、pv免疫化に使用した細胞、骨髄由来樹状細胞(約20% OX−2+ 上記)または照射全脾臓リンパ細胞(OX−2-)のいずれか、に無関係であると考えられ、生存OX−2+(ドナー)細胞の検出のみならず、インビボにおけるOX−2の新規の発現を示唆している。
【0114】
ウエスタンブロット、図5、はpv免疫化後のOX−2抗原の増加した発現を示す。ウエスタンブロッティングに用いた技術は既に記載した。図6に記載したグループを用い、腎移植14日後に試料を得た。新しいラット胸腺細胞(レーン5)を対照として用いた。レーン1および2は3ドナー/グループ(各々、iv免疫化;pv免疫化+抗−OX−2注入)からプールした試料を表す。レーン3および4の試料はpv免疫化と腎移植のみ(抗体処理なし)を受けた個々のマウス由来のものである。抗−ラットMRC OX−2による着色を図5Bに示し;対照抗体(マウスLy2.1に対する)、抗マウスcD8aによる着色を図5Aに示した。使用した顕出(developing)抗体は市販の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗−マウスIgGである。マウスIgG1アイソタイプ対照クローン107.3を使用した場合、シグナルは見られなかった(データは示していない)。データは3つの同等の研究のうちの1つを表している。
【0115】
腎移植14日後のiv対pv免疫化および移植されたマウスの移植脾臓から調製した試料のウエスタン・ブロッティング(図5Aおよび5B参照)で、分子量43Kdと概算された移動バンドの着色が現れ、他で報告されているラット胸腺から単離されたこの分子の広範なグリコシル化のデータに一致した。抗−OX−2でのインビボ処理とともにpv免疫化を受けたマウスにおいては、ウエスタンブロットにおいて検出可能なシグナルは見られなかった(図5、レーン2参照)。ネズミIgG1アイソタイプ対照(BALB/C 抗−TNP、クローン107.3:未公開)では、着色がみられず、観察されたバンドはFcレセプターではないと考えられる。
【0116】
図6は移植片%生存 対 腎移植後日数を示す。市販の抗−OX−2モノクローナル抗体は、ドナー特異的pv免疫化後の移植片延長を解除するが、抗−マウスCD28または抗−マウスCTLA4は、解除しない。C57BL/6腎同種異系移植片を受けたC3Hマウスの6匹のグループは、その他の処理を受けず(シクロスポリンAのみ―◇―)、または、さらに上記のように15×106C57BL/6骨髄由来樹状細胞によるpv免疫化を受けた(−□−)。これら後者のマウスの一部は、市販の抗−ラットOX−2モノクローナル抗体(−黒三角−)、アイソタイプ対照(クローン107.3、−▽−)、またはマウスに対する抗体CD28(−・−)もしくはCTLA4(−*−)の、100mg/マウスのiv注入(隔日、×4注入)を受けた。示した異なるグループの生存動物を2の研究からプールした。マウスアイソタイプ対照自身は、pv免疫化後の増加した腎移植片生存に変化を与えないことを特記する。(p<0.002、マン−ホイットニー、U検定)。
【0117】
最後の2の研究では、上記のようにマウスにpv免疫化および移植をしたが、ここでは市販の抗−ラットOX−2(×4注入;100mg/マウス、2日間隔)のiv注入も行った。図5AおよびBならびに6で示したように、これらの抗−OX−2の注入は、pv免疫化後にみられる、移植片生存の延長を有意に減少させ(図6)およびOX−2抗原の発現を有意に増加させた(ウエスタンブロッティング、図5Aおよび5B)。抗−CD28/抗−CTLA4(図6参照)、または、この研究では示していないが、抗−B7−1もしくは抗−B7−2を使用した場合、pv免疫化後の移植片生存に撹乱は見られなかった。
【0118】
別個の実験においては、示したように(表2参照)モノクローナル抗体を用いた付加的な治療とともにpv免疫化を受けたマウスから細胞を採取した。抗−OX−2を用いた治療後は、動物にpv−ドナー特異的移植前免疫化を行った多種のモデル系において発明者が記載したサイトカイン生産の変化(IL−4およびIL−10を生産する極性化)はもはや無かった。試験した他の4のモノクローナル抗体のいずれかを用いた処理ではpv免疫化後に見られるサイトカイン生産の極性化における逆転は生じず、pv免疫化を欠くこれらのモノクローナル抗体(Mabs)単独の使用では、pv免疫化自身によるものと類似して、移植片生存を増加させる傾向を生じ、IL−4およびIL−10を増加させるサイトカイン生産における有意な極性化を生じた(表2上半分)。
【0119】
OX−2は、ラット胸腺細胞および樹状細胞において選択的に発現するものとして、既にバークレー(Barclay)らによって特徴付けられた分子である(1981、1982)。樹状細胞はリンパ球への重要なシグナル伝達細胞であり、サイトカイン生産および移植片拒絶を調節する可能性もあり、また樹状細胞の注入はpv慣用を導入する有効な手段である。発明者は、pv免疫化後にOX−2発現が増加することを確認し、さらにこれが機能的な結果を有するかどうかを研究した。増加した移植片生存およびサイトカイン生産における極性化とともに(図6および表2)、図4および5に示したように、実際にpv免疫化マウスから単離した脾臓細胞ではOX−2の増加した発現があった。対照的に、インビボの抗−OX−2の導入は、増加した移植片生存を完全に失わせ、同時に増加した移植片生存と観察された変化したサイトカインプロフィールを逆転した。このデータは、移植片生存の促進におけるOX−2+細胞の可能性のある機能と一致する。
【0120】
記載した研究において、門脈を介して注入したドナー樹状細胞はそれ自身OX−2+である(上記材料と方法の記載を参照)。しかし、pv注入に照射全脾臓細胞(FACSにより、OX−2-)を使用した研究において、FACS分析(図4)およびウエスタンブロット(図5)において、ならびに抑制差引きハイブリダイゼーション(図3)から、同一の結果が得られた。このことは、上記のごとく、移植後初期(1〜2日)の増加したmRNA発現の証拠に欠けることに矛盾しない。したがって、pv免疫化マウスの脾臓において検出された「OX−2シグナル」は、必然的に注入したOX−2+細胞に由来するものではなく、新たな発現に由来するものであると考えられる。しかし、OX−2の多形マーカーが無い場合、増加した発現がドナー細胞由来か宿主由来(または双方)かを決定できない。実際に多少驚くべきことに、ラットOX−2に対するネズミ抗体は記載した形式でネズミOX−2と交差反応する。OX−2のインビボの役割の信頼性の高い分析は、ネズミOX−2ホモログに対して生じた抗体を使用した上記と同様の研究を必要とし、これらの実験は現在進行中である。pv免疫化は、腎臓/肝臓(本文と図4参照)の検出可能なOX-2+NLDC145+細胞の無名数の4倍の変化のみを導くが、この4倍の相違にも関わらず、移植片生存におけるこの定量的な相違(図6)の役割の証明とともに、pv対iv免疫化マウス由来のRNAを使用したノザンゲルにおけるOX−2シグナルの明白な相違(図3)が確認されたことを指摘することも重要である。おそらく、これらの結果は各々、使用したノザンアッセイの感度に対する制限、およびOX−2:OX−2リガンド相互作用後に生じる「協同刺激」の量的な機能を反映するものである。
【0121】
ネズミB7−1、B7−2、CD28およびCTLA4(Borrielloら、1997)との予測したネズミOX−2タンパク質配列の相同性は約50%だが、後者の分子に対する抗体はpv免疫化後の延長された移植片生存および変化したサイトカイン生産を逆転させない(図6、表2、および(Castleら、1993)を参照)。実際、pv免疫化無しに注入された後者の抗体自身が、pv免疫化によって導入されたサイトカイン生産における同じ変化の一部を生じる。
【0122】
例2
ネズミOX−2
この例はネズミMRC OX−2のクローニングおよび配列決定を記載する。
キャップ・ファインダーPCR cDNAライブラリー構築キット(Cap Finder PCR cDNA library construction kit)(Clontech)を使用し、5日前に10×106同種異系B10.BR骨髄由来樹状細胞同種異系細胞を門脈(pv)経由で予め免疫化した生体C3Hマウス由来のMLN細胞からcDNAライブラリーを構築した。本発明者は、PCR−選択cDNA差引きハイブリダイゼーションキット(PCR-Select cDNA subtraction hybridization kit)(Clontech)およびpv経路または側方尾静脈を介して免疫化したマウスのプールしたMLNから得たRNAを使用し、既にラットMRC OX−2 cDNAの3’非翻訳領域と98%以上の相同性を有する350bpアンプリコンを得ていた。ノザンブロット分析によって、このアンプリコンがiv対pv免疫化マウスから調整したRNA中の特異的発現産物を検知することを確認した。このアンプリコンを用いて、増幅ライブラリーの5×105クローンをスクリーニングした。cDNAクローンの配列は、アプライド・バイオシステム377自動シーケンサー(Applied Biosystems 377 Automated Sequencer)を用い、ダイ・ターミネーター・サイクル・シーケンシング法(Dye Terminator Cycle Sequencing method)(Applied Biosystems, Foster City, CA)を利用して確立した。本明細書で報告したヌクレオチド配列を、GenBank/EMBLデータバンクに受け入れ番号AF004023で提示した。
【0123】
図7に示したcDNAは837塩基対のオープンリーディングフレームであり、推定アミノ酸配列は248アミノ酸であり、30が開裂リーダー配列を表す。この、ならびにラットおよびヒトにおける等価分子の予測分子量は、分子に等しく、約25kDaである。該分子は高度にグリコシル化されており、ラット胸腺における測定分子量は47kDaである。
【0124】
ネズミMRC OX−2は、ラットまたはヒトにおける等価分子との、それぞれ約92%および77%の、アミノ酸レベルでの全体にわたる相同性を示す。ラット分子について述べられているように、203〜229の配列は架橋ドメイン(高度に疎水的な領域)を表していると考えられ、229〜248の領域は細胞質内領域と考えられ、C末に隣接した229位までの高度に塩基性残基の伸長部がある。
【0125】
結合貫通膜およびC末領域においては、ラットおよびヒトとの相同性はそれぞれ約98%および85%であった。Igスーパーファミリーの構成員から予測されるように、Ig様ドメインのβ鎖間にジスルフィド結合を形成する多数の保存Cys残基があり(それぞれ、21と91;130と184);残基91は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー内で最も高度に保存されたものであることが既に見出されていた。ラットおよびヒトとの、N末Igドメイン間の相同性は、隣のIgドメインに対し、それぞれ88%および82%、または97%および73%であった。これらの種における分子に対するリガンド特異性が明らかになれば、V末Igドメインにおけるラットとマウス間可変性におけるこの相対的集中はさらに理解可能になりうる。分子の推定細胞外部(1〜202)は種にわたって保存されている多数のN−グリコシル化部位(44、65、73、80、94、127、130および151)を含むことを特記する。これは、腺で発現した物質の測定サイズから推測され、既にラットcDNAについて報告されている。上記分子の細胞質内領域は既知のシグナル伝達キナーゼと配列相同性を有さず、免疫レセプターチロシン活性化モチーフ(ITAM:DXXYXXLXXXXXXXYDXL)の周知の共通配列を有さない。さらに、該分子は、活性化カスケードに他のタンパク質キナーゼを順番に取り込みうるアダプター分子の「ドッキング部位」として働く典型的なSH2またはSH3領域を欠く。したがって、細胞外ドメインのリガンド結合活性は上記分子の生物学的に重要な領域をあらわすと考えられる。OX―2とのリガンド相互作用に属するいくつかの可能性のある機能を、文献の他のデータから推測できる。相同的な分子、Ng−CAMはN−結合オリゴ糖残基に結合することが報告されており、プロテインチロシンホスファターゼ免疫応答において重要な調節の役割を果たすことが知られている。さらに最近、Igスーパーファミリーの別の付着分子メンバーであるALCAMは、その遺伝子がヒトの第3染色体のOX−2遺伝子の近くに位置し、CD6(スカベンジャーレセプターシステインリッチファミリー、SRCRのメンバー)に結合し、CD6に対する抗体自身が免疫機能調節に役割を果たすことができることが示された。
例3
OX−2陽性細胞の1型サイトカイン生産阻害
本発明者は、肝臓単核、非実質性細胞(NPC)が、同種異系C57BL/6樹状細胞(DC)をC3H脾臓応答細胞とともにインキュベーションした場合に見られる免疫応答を阻害できることを示した。本発明者は、樹状細胞のOX−2の増加した発現がサイトカイン生産と腎同種異系移植片拒絶反応に関連することもまた見出した。本発明者はさらに肝臓NPCによる阻害がこれらの細胞によるOX−2発現の機能であることを明らかにした。
【0126】
新しいC57BL/6脾臓由来DCをC3H脾臓応答細胞および他の推定共調節細胞ととのみ培養した。後者は新しいC3HもしくはC57BL/6肝臓NPC由来、またはヒトFlt3リガンド(Flt3L)の静脈内注入によって10日間処理したC3HもしくはC57BL/6マウス由来である。(IL−4+GM−CSF)を含む骨髄培養由来のネズミ骨髄由来樹状細胞の異なる群をまた、推定調節細胞のソースとして使用した。刺激した全培養の上清の、異なるサイトカイン(IL−2、IL−4、IFNγ、TGFβ)の機能的発現を試験した。新しいC57BL/6脾臓由来DCはIL−2生産を誘導し、IL−4生産を誘導しないことを見出した。上記ソース由来の細胞はIL−2抑制およびIFNγ生産、ならびにIL−4生産促進およびTGFβ生産促進を示した。阻害は、半定量的PCRおよびFACS分析によって明らかにしたように、これらの細胞のOX−2の増加した発現に関連した。サイズ分割により、OX−2発現細胞はNLDC145+細胞の部分群であった。このデータは慣用の同種異系刺激DCによるサイトカイン生産誘導の調整におけるOX−2発現細胞の役割を暗示する。
【0127】
材料および方法
マウス:雄性および雌性C3H/HEJおよびB10.BR(H−2k/k)、B10.D2(H−2d/d)およびC57BL/6(H−2b/b)をザ・ジャクソンラボラトリーズ、バーハーバー、メイン(the Jackson laboratories、Bar Harbour、Maine)から購入し、5匹/ケージで飼育し、餌および水を自由に摂食させた。すべてのマウスを8〜12週齢で使用した。
【0128】
モノクローナル抗体
特に明記した場合を除き、すべてファーミンジェン(Pharmingen)(San Diego、CA、USA)から入手したモノクローナル抗体(以下、Mabsという)を使用した:抗−IL−2(JES6-1A12;ビオチニル化、JES6-5H4);抗−IL−4(11B11;ビオチニル化、BVD6-24G2);抗IFNγ(R4-6A2;ビオチニル化、XMG1.2);抗−IL−10(JES5-2A5;ビオチニル化、SXC-1、Pharmingen、San Diego、CA);マウスIgG1アイソタイプ対照(クローン107.3、BALB/C−抗−TNP);PE抗−B7−1/B7−2(Cedarlane Labs、Hornby、Ontario、Canada)。
【0129】
ラット抗−マウスOX−2モノクローナル抗体は、LPS刺激ネズミDCの粗精製の膜抽出物を用いたラットの免疫化、ついで非分泌ラットミエローマ親細胞ライン(YB2/3Hl.P2.G11.16Ag.20)との融合によってイムノ・プレサイス・アンチボディ(Immuno-Precise Antibodies Ltd.)(Victoria, BC, Canada)が調製したものである。ハイブリドーマ上清を予めウエスタンゲルに流したDC抽出物の40から45Kd調製物でコートしたプレートを使用し、ELISAでスクリーニングした(Barclay, A.N. 1981. Immunology 44:727;Barclay, A.N.およびH.A. Ward. 1982. Eur. J. Biochem. 129:447)。陽性クローンを完全長ネズミOX−2をコードするcDNAクローンで形質導入したCHO細胞のFACS分析を使用して再度スクリーニングした(Chen, Z., H. ZengおよびR. M. Gorczynski. 1997. BBA. Mol. Basis Dis. 1362:6-10)。
セロテック、カナダ(Serotec、Canada)から入手したFITC−結合F(ab’)2ウサギ抗−ラットIgG(マウスIgGと非交差応答)を2次抗体として使用した。さらなる分析(M3B5)のために選択したMabをセルマックスシステム(CELLMAX system)(Cellco Inc.、Germantown、MD)のバルク中で成長させた。ラット免疫グロブリン粗精製調製物(30%飽和硫酸アンモニア調製)を対照Igとして使用した。
【0130】
アッセイの特異性を確かめるために抗−サイトカインMabを用いた組織培養アッセイにおいて、使用した関連Mab 10μg/mlが試験した5.0ng/mlまでのサイトカインを中和することを見出した。
【0131】
NLDC145(抗−マウスDC)もまたセロテック(Serotec)から入手した。組換えマウスIL−4をL.ヤング博士(Dr. L. Yang)(The Toronto Hospital)から入手し;マウスrGM−CSFをファーミンジェン(Pharmingen) から購入した。組換えヒトFlt3L(CHO細胞由来)をA.B.トルート博士、イムネックス社、シアトル、ワシントン、USA(Immunex Corp.、Seattle、Washington、USA)から入手した。
【0132】
腎移植
腎移植を、実質的に(Gorczynski, R.M.ら、1994a. Transplantation 58:816-820)の記載と同様に実施した。ハロセインと一酸化二窒素との組み合わせを用いて動物を麻酔し、手術後の微麻酔にノボジェシック(novogesic)を使用した。慣用方法を用いて同所性の腎移植を実施した。要するに、ドナー動物に200単位のヘパリン(heparin)を与え、除去と左腎摘出したレシピエント動物への移植の前に、腎臓に2mlの氷冷ヘパリン化生理食塩水溶液を流した。移植腎動脈をレシピエントの腹部大動脈に吻合術によって結合し、腎動脈をレシピエントの下大静脈に吻合術によって結合した。手術日とその後2日間、レシピエントにセフォテタン(cefotetan)30mg/kgをim注入した。特に明記しない限り、残った宿主の腎臓を手術2日後に除去した。個々の研究に記載したように、pv免疫化による、モノクローナル抗体による、または経口免疫化によるレシピエントの処理を行った。
【0133】
門脈および経口免疫化
既に記載(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231;Gorczynski, R.M.ら. Transplantation 62:1592-1600)されたように、門脈および経口免疫化を実施した。すべての動物をネンブタル(nembutal)によって麻酔した。正中線腹部切開し、内臓をさらした。30ゲージ針を用い、上腸間膜動脈を通して、0.1mlで細胞を注入した。注入後、針を直ちに引き出し、2mm3ゲル泡を用いた穏やかな加圧により血腫形成無しに確実に止血した。
【0134】
pv免疫化用の骨髄由来樹状細胞(DC)を、rIL−4およびrGM−CSFとともにインビトロのT枯渇骨髄細胞の培養から得た(Gorczynski, R.M.ら. Transplantation 62:1592-1600)。培養10日目に、培養NLDC145およびFITC抗−ラットIgG、またはFITC抗−CD3で着色し、>95% NLDC145+および<5% CD3+細胞であることを確認した(Gorczynski, R.M.ら. Transplantation 62:1592-1600)。これらの細胞を洗浄し、マウスに注入、または混合白血球培養に用いた。
【0135】
細胞調製:
核実験において、個々のマウスから脾臓および骨髄細胞(Gorczynski, R.M.ら. Transplantation 62:1592-1600)懸濁液を無菌的に調製した。肝臓単核非実質性細胞(NPC)を実質的に(Gorczynski, R.M. 1994b. Immunology 81:27-35)の記載と同様に調製した。まず、マウス・リンホパーク(Cedarlane Labs)を通した分離(15分間、17,000rpm、室温)の前に、組織を37℃、45分間コラゲナーゼ/ジスパーゼの混合物とともに、消化した。単核細胞を2−めるかぷ戸エタノールおよび10%胎児子牛血清(aF10)を添加したa−最小必須培地(Minimal Essential Medium)に再懸濁した。Flt3Lを注入したマウスから細胞を採取し、動物を10日間毎日Flt3L 10mg/マウスのiv注入で処理した。酵素消化後、これらのマウス由来の肝臓/脾臓細胞の回復は、生理食塩水注入対照と比較して著しく増加した(それぞれ、120×106、390×106対7×106および120×106)。
【0136】
細胞毒性およびサイトカインアッセイ:
細胞毒性またはサイトカイン生産の誘導を評価するために使用した培養において、3連で、αF10中で照射(2000R)刺激細胞で応答細胞を刺激した。サイトカインアッセイのために40時間目に上清をレプリケートウエル(replicate well)からプールした。刺激の36および54時間目の間にアッセイした培養からは、サイトカインレベルにおける再現性のある相違は検出されなかった。いくつかの実験においては、培養に1μCi/ウエル(72時間目)の3HTdRを与え、14時間後の細胞採取とウエル型βカウンターでの計数により増殖を評価した。
【0137】
細胞を5日目の同等培養から培養採取し、プールし、計数し、51Cr EL4(H2b/b)またはP815(H2d/d)とともに異なるエフェクター:標的で再培養して、細胞毒性を測定した。4時間目の上清を採取し、特異的な細胞毒性を評価した。
【0138】
IL−2/IL−4依存セルライン、CTLL−2およびCT4.Sを用いたバイオアッセイによりIL−2およびIL−4活性を分析した。分析の標準化用の組換えサイトカインをジェンザイム(Genzyme)(Cambridge、MA)から購入した。11B11存在下でIL−2分析を構成して、IL−4とCTLL−2の潜在的な刺激を遮断した;S4B6存在下でIL−4分析を構成し、IL−2媒介刺激を遮断した。IL−2およびIL−4分析において、培養に付加された50pgの組換えリンホカインを再現性よく検出した。
【0139】
さらに、ELISAアッセイによりIL−2、IL−4、IFNγおよびIL−10を分析した。IFNγのアッセイでは、R4−6A2 100ng/mlでコートした平底ヌンク(Nunc)プレートを用いた。3連で、様々な希釈率の上清を結合させ、4℃で3回洗浄し、ビオチニル化 抗−IFNγ(XMG1.2)を添加した。洗浄後、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼとともにプレートをインキュベートし、適当な物質で縣出させ、ELISAプレートリーダーを用いてOD405を測定した。標準化用組換えIFNγをファーミンジェン(Pharmingen)から入手した。JES5−2A5をキャプチャー抗体として、ビオチニル化SXC−1を縣出(developing)抗体として使用し、ELISAによってIL−10を同様に分析した。標準化用rIL−10をペプロ・テック社(Pepro Tech Inc.)(Rocky Hill, NJ)から入手した。各分析で、サイトカイン 0.1ng/mlを検出した。IL−2およびIL−4のELISAアッセイではJES6−1A12および11B11をキャプチャー抗体として使用し、JAS6−5H4またはBVD6−24G2を縣出(developing)抗体として使用した。各サイトカインの縣出感度は20pg/mlであった。IL−2およびIL−4のバイオアッセイとELISAとの間の相関性を確認したところ、良好であった(r>0.90)。以下に報告したすべての研究においては、ELISAアッセイのみのデータを示した。いくつかの研究(例えば、図14、16、17)からサイトカインデータを蓄積したところ、サイトカイン生産の確かな値は上記のように分析の標準化に市販の組換えサイトカインを用いて得られた。C3H抗−C57BL/6培養からの上清は、上記の条件下で、再現性よくそれぞれ、950±200pg/ml IL−2および80±25pg/ml IL−4を含んでいた。
【0140】
RNA調製
RNA抽出のために、(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231)の記載のように、雄性マウス由来のDCおよび腎臓同種異系移植片を与えた腎臓同種異系雌性マウス由来の組織の異なるソースを採取した。各試料のOD280/260を測定し、オリゴ(dT)プライマー(27-7858:Pharmacia、USA)を用いて逆転写を実施した。水でcDNAを希釈して、全容量100mlとし、ネズミGAPDH、B7−1、B7−2またはOX−2用プライマーを用いたPCRに使用するまで−70℃で凍結した。センス(s)およびアンチセンス(AS)プライマーの合成は、開示された配列を用いて、バイオテクノロジー・サービス・センター、小児病院、トロント(the Biotechnology Service Centre、Hospital for Sick Children、Toronto)によって行われた。5’プライマーを32P末端標識し、エタノール沈殿による精製後の特異的活性レベルと同等にした。PCRによって5mlcDNAを35サイクル増幅し、試料を12.5%ポリアクリルアミドゲルで分析し、オートラジオグラフィーのために一晩(18時間)曝露した。H−Yプライマーセットを用いた対照研究において、この技術の信頼性は、1:105の濃度で雄性細胞を添加した雌性脾臓細胞の抽出物由来のH−YmRNAを検出するものである(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231; Gorczynski, R.M.ら. Transplantation 62:1592-1600)。異なるPCR産物の発現の定量的な比較には、オートラジオグラムの濃度スキャンを用いた。
GAPDHセンス: 5'TGATGACATCAAGAAGGTGGTGAAG3'
GAPDHアンチセンス: 5'TCCTTGGAGGCCATGTAGGCCAT3'
B7−1センス: 5'CCTTGCCGTTACAACTCTCC3'
B7−1アンチセンス: 5'CGGAAGCAAAGCAGGTAATC3'
B7−2センス: 5'TCTCAGATGCTGTTTCCGTG3'
B7−2アンチセンス: 5'GGTTCACTGAAGTTGGCGAT3'
OX−2センス: 5'GTGGAAGTGGTGACCCAGGA3'
OX−2アンチセンス: 5'ATAGAGAGTAAGGCAAGCTG3'
【0141】
統計学的分析:
多様な群の研究で、ANOVAを実施し、有意性を比較した。いくつかの場合では(個々の状況による)、ついで群間の対の比較も実施した。
【0142】
結果
抗原刺激は、肝臓NPC存在下において、養子移入での増殖とIL−2生産を促成する能力を有する細胞群の発達を誘導する:
以前の原稿(Gorczynski, R. M.ら、Transplantation. 66: 000-008)において、同型のNPCおよび同種異系(C57BL/6)DC存在下で刺激したC3H樹状細胞が、C57BL/6DCで刺激した新しい樹状細胞由来のIL−2精製を抑制し、およびインビボのC57BL/6腎同種異系移植拒絶反応の抑制の可能性を有する細胞群を生じることを報告した。このNPCの機能がMHC限定のものかどうかを確かめるために、下記の研究を実施した。
【0143】
C57BL/6(H−2b/b)脾臓細胞をインビトロで、これにつづくNPC:C57BL/6;B10.BR;B10.D2(H−2d/d)存在下/非存在下で、B10.BR(H−2k/k)骨髄由来DCで刺激した。さらに、対照培養をNPCのみとともにインキュベートした。これらのもとの部分試料で、増殖およびIL−2/IL−4性酸を測定した。さらに、5日目に。もとの培養の他の組から細胞を採取し、洗浄し、2×105細胞を5×106の新しいC57BL/6脾臓細胞およびB10.BR DCを含む培養に添加した。標準的な形式でこれらの後者の培養の増殖およびサイトカイン生産を測定した。3つの同等の研究から蓄積したデータを図9のパネルA)およびB)に示した。
【0144】
図9は本明細書に記載した方法に従った肝臓NPCを用いる同種異系DCによる刺激後のサイトカイン生産と細胞増殖の調節を示す棒グラフである。
パネルA)では、5×106 C57BL/6応答脾臓細胞単独(群1)、または2×105B10.BR DC(群2)とともに、培養を開始した。別の群(それぞれ、3〜5および6〜8)はC57BL/6応答細胞、および、それぞれ(3〜5)C57BL/6;B10.BR;B10.D2由来の2×105NPCを含み、またはこれらと同一のNPCおよびB10.BR DC(6〜8)を含んだ。データは、3つの別個の研究における3連の培養から得た増殖およびサイトカイン生産の平均値を示す。パネルB)では、3連で、2×105B10.BR DC単独で、または上パネルに示した培養から採取した2×105細胞も加えて刺激した5×106C57BL/6応答脾臓細胞の培養の増殖およびサイトカイン生産を示す。さらに、データは、3つの別個の実験の算術平均値を示す。*P<0.005 対照培養(各パネルの左端)と比較。
【0145】
多くの興味深い点がある。上記のように、同種異系(B10.BR)DCで刺激した細胞への脾臓応答細胞(この場合C57BL/6)と同系のNPCの添加は、DC単独で刺激した細胞と比較して、上記応答細胞の増殖とIL−2生産の減少を導いた(図9の上パネル、パネルA)の群6と2を比較)。対照のIL−4生産は促進された。NPC単独では、応答細胞と同系か異系かに関わらず、明確な効果を生じなかった(図9のパネルA)、群3〜5)。さらに、DC+NPC混合物を与えた1次培養由来の細胞は、同じ(B10.BR)DCとの2次培養において、刺激した新しい脾臓細胞の増殖とIL−2生産を抑制できた(IL−4生産の促進に対し)(図9のパネルB参照)。しかし、この図のデータには別の重要な点がある。B10.BR NPC(DC刺激−図9パネルA)群8とMHC一致)、または第三者B10.D2 NPC(脾臓応答細胞および同種異系刺激DC−図9パネルA)群7の双方とMHC不一致)とともに、のどちらを使用しても同じ1次培養での増殖/IL−2生産の抑制が観察された。さらに、B10.BRまたはB10.D2 NPC単独で刺激した培養(群4および5)では明確な効果は観察されなかった。最終的に、B10.BRまたはB10.D2のいずれか由来のDCおよびNPCで刺激した1次培養から採取した細胞もまた、B10.BR DCで刺激した2次C57BL/6脾臓細胞培養の増殖/IL−2生産を抑制した。さらに、NPC単独での1次培養から採取した細胞はかかる抑制を生じなかった(図9パネルB参照)。したがって、1次培養において2次培養で測定された抑制の誘導と同様に、増殖/IL−2生産の抑制およびIL−4生産の促進が観察され、NPCによってすべてが誘導され、MHC制限的ではなかった。
【0146】
肝臓NPCによる阻害/抑制の特異性
図9などに示したデータの解釈は、NPCがDC刺激した細胞へ、DC自身による抗原シグナルとは区別されるシグナルを伝達するというものである(および、MHC非制限的)。このシグナルはDCによる抗原特異的シグナルを調節する。図9に示した免疫調節の抗原特異性を評価するために、下記の実験を実施した
【0147】
B10.BRまたはB10.D2マウス由来のNPCの存在下/非存在下で、B10.D2またはB10.BR骨髄由来DCを用いC57BL/6脾臓応答細胞を刺激した。上記のように、これらの培養の部分試料で増殖およびサイトカイン生産を測定した。さらに、これらの1次培養から採取した細胞のさらなる部分試料を、B10.BR(図10パネルB))またはB10.D2(図10パネルC)DCで刺激した新しいC57BL/6脾臓細胞の培養に添加した。さらに、増殖およびサイトカイン生産を測定した。3つのかかる研究から蓄積したデータを図10に示した。
【0148】
図10Cは肝臓NPCによる増殖およびサイトカイン生産の抑制の特異性を示す(詳細は、図9および図9の記載を参照)。パネルA)では、3連で、3日間2×105B10.BRまたはB10.D2 DCと、B10.BRまたはB10.D2マウス由来のNPCとで/または該NPCなしで、C57BL/6樹状細胞5×106を刺激した。データは3回繰り返した研究の算術平均を示す。パネルB)およびC)では、3連で、B10.BR DC(パネルB)またはB10.D2 DC(パネルB)のいずれかと、1次培養由来の付加的細胞2×105とともに/または該細胞なしで、新しいC57BL/6応答脾臓細胞を培養した。さらに、データは3つの研究の増殖/サイトカイン生産の算術平均を表す。
*P<0.005 対照培養(各パネルの左端)と比較。
【0149】
1次培養(パネルA))のデータは、図9での観察を再現し、抗原およびMHC−非制限的形式で、NPCがDCで刺激した応答細胞の増殖およびIL−2生産を抑制することを示す。しかし、この図のパネルB)およびC)のデータは、これらの1次培養由来の細胞を用いた抑制の養子移入が、抑制の誘導に用いたNPCではなく、1次培養に用いたDCの抗原特異性に影響を受け、抗原制限的形式で起こることを明確に示している。したがって、NPC群のこれらの補助的細胞は、「抑制誘導の促進細胞」である機能的性質を有する。他の研究(データは示さず)において、最終的な分析系が同種異系標的細胞に対する細胞毒性の測定を含むところ、DCおよび肝臓NPCで刺激した1次培養から採取した細胞を使用し、同様の溶解(サイトカイン生産以外に)の抑制が観察されたことを特記する(Gorczynski, R. M., et al. 1998a. Transplantation. 66: 000-008参照)。
【0150】
Flt3L処理マウスからの肝臓細胞長調製物は潜在的なDCおよび「促進」細胞のソースである:
同種異系抗原のpv注入、または肝臓由来同種異系単核細胞のiv注入がレシピエント動物に有効な非応答性を導入することを十分に報告した(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231;Gorczynski, R.M. ら. Transplantation 62:1592-1600;Gorczynski, R.M. ら. 1994a. Transplantation 58:816-820.;Gorczynski, R. M., および D. Wojcik. 1992. Immunol. Lett. 34:177-182;Gorczynski, R. M. ら. 1995b. Transplantation. 60:1337-1341)。正常なマウスから回収した全肝臓単核細胞の数は、5×106細胞/マウスであった。回収率を増加させ、肝臓自身が同種異系刺激DCおよび「促進」細胞の双方のソースとなる可能性を探索するため、2匹のC57BL/6マウスに10日間毎日、既知のDCの増殖因子(Steptoe, R. J. ら. 1997. J Immunol. 159:5483-5491)であるヒトCHO由来Flt3L 10mg/マウスをiv注入した。これらのドナーから肝臓組織を採取し、プールし、上記、材料および方法の部分に記載したように単核細胞を調製した(平均130×106細胞/ドナー)。単位重力沈降技術(Miller, R. G., および R. A. Phillips. 1969. J. Cell. Comp. Physiol. 73:191-198)を用いて大きさによりさらに副次分割した。回収した細胞の典型的な大きさのプロフィールを図11に示した(3つの研究のうちの1つ)。
【0151】
図11はNPCの副次集団におけるOX−2発現を示す。これは、Flt3L−処理C57BL/6マウスから10日目に単離した細胞の沈降分析(細胞プロフィール)およびFACS分析である。2匹のC57BL/67マウスに毎日10日間Flt3L 10μg/マウスをiv注入した。肝臓NPCを4℃で、3時間沈降させ、示した分画を回収した(それぞれ、分画1〜4は、沈降速度2.5〜3.8、3.8〜5.1、5.1〜6.4および6.4〜8.0mm/hr)。3連で、細胞の部分試料を示したMabで着色した。細胞のリマインダーを図12〜14で用いた。データは3つの研究から蓄積した。
【0152】
これらの同じ研究において、図11に示した種々の分画を下記のように試験した。まず、B7−1、B7−2、NLDC145に対する、FITC−標識Mabで細胞を標識し、ラット抗−マウスOX−2(M3B5)をFITC抗−ラットIgGを2次抗体として用いて着色した。さらに、異なる細胞試料から抽出したmRNAのGAPDH、B7−1、B7−2およびOX−2の発現をPCRで分析した。データを図11に示した(3つの別個の研究から蓄積)および図12(代表的なPCRデータは1の実験のものである)。
【0153】
図12は肝臓NPMCにおけるB7−1、B7−2およびOX−2のPCR検出を示す。これはFlt3L処理マウス(図11)から単離した種々の肝臓NPMC細胞分画におけるOX−2、B7−1およびB7−2のmRNA発現のPCR分析である。データは3つの研究のうちの1つの代表的なものである。
【0154】
さらに上記細胞の部分試料を用いて、培養中の新しいC3H脾臓応答細胞を刺激した。上記のように(図9参照)、増殖およびサイトカイン分析を実施し、さらにこれらの1次培養から細胞を採取し、C3H脾臓応答細胞およびC57BL/6骨髄由来DCの新しい2次培養に添加した。さらに、これらの2次培養の増殖およびサイトカイン生産を分析した。このタイプの3つの研究から蓄積したデータを図13(パネルA)およびB))に示した。
【0155】
図13は、Flt3L処理マウス由来の肝臓NPMCがIL−2およびIL−4生産の結果を与えたことを示す。Flt3L処理マウス由来NPCによる増殖/サイトカイン生産の刺激、およびその抑制(別個のDC集団によって刺激を導入する場合)は、異なる細胞集団の機能である(詳細には、本文および図11〜12参照)。Flt3L処理C57BL/6マウス肝臓NPC分画を引き出し、3連で、これを単独で、または骨髄由来C57BL/6 DC存在下で用いてC3H脾臓細胞を刺激した(パネルA参照)。さらに、これらの1次培養から採取した細胞を、C57BL/6 DCを用いて刺激した新しいC3H脾臓細胞に添加し(パネルB参照)、さらに増殖/サイトカイン生産を分析した。*P<0.005 対照培養(各パネルの左端)と比較。
【0156】
最後に、様々な分画由来の細胞を、抗原チャレンジとしてC57BL/6腎臓同種異系移植片も与えたC3Hマウス 2匹/群に注入した。移植10日後に、これらの個々のマウスから脾臓細胞を採取し、サイトカインとともにC57BL/6またはB10.D2 DCを用いて、培養中、再刺激し、40時間目にサイトカインを測定した(図14)。
【0157】
図14は、C57BL/6腎同種移植片を有するC3HマウスおよびFlt3処理C57BL/6ドナー由来NPCからの細胞のサイトカイン生産を示す棒グラフである。腎移植同種異系移植片レシピエントへiv注入したOX−2+NPCは、それらのマウスから採取しインビトロで再刺激した脾臓細胞における極性化を導いた。標準的な形式(材料および方法を参照)で、Flt3L処理C57BL/6マウス由来のNPC分画を、C57BL/6腎臓同種異系移植片(CsAとともに)を与えたC3Hレシピエント 2匹/群へiv注入した。移植14日後のマウスを使用し、3連で、脾臓細胞をC57BL/6 DC刺激細胞を用いてインビトロで刺激した。60時間目にこれらの培養の上清のサイトカインを分析した。データは、このタイプの3つの研究における培養から蓄積した算術平均を示す。*P<0.005 対照培養(各パネルの左端)と比較。
【0158】
図11のデータは、B7−1および/またはB7−2発現細胞との比較で、遅沈降細胞の明確な副次集団がFlt3L処理マウスから採取した細胞においてOX−2を発現することを示す。通常のOX−2およびB7−2の発現は同等の副次集団で起こった。速沈降細胞(図11、分画3および4)は、NLDC145の着色で、主にB7−1について陽性であり、B7−2またはOX−2については陽性でなかった。細胞集団のFACS分析(図11)およびmRNAのPCR分析(図12)の双方で同様の結論が得られた。
【0159】
これらの異なる細胞集団の機能的能力を調査し、最適な直接刺激(または増殖およびIL−2生産)はB7−1発現細胞(図13のパネルA)、分画3および4)で観察され、OX−2発現細胞のみが2段階培養系(図13パネルB))において初期に明確な(図9および10)抑制効果を生じさせられることを見出した。これらの同一の細胞(分画1および2)は順に、iv注入後、インビトロの刺激において腎同種異系移植片を与えたマウス由来の細胞を極性化し、優勢的にIL−4,IL−10およびTGFβ生産を生じることができた(図14)。これらのデータは、マウスのFlTL処理後、肝臓で、免疫調製を促進する別個の(促進)細胞集団も含む免疫刺激DC集団の拡大が生じるという考えに一致する。
【0160】
Flt3L処理マウス肝臓由来の「促進」活性を有する細胞集団がインビボの移植片生存を延長することの証明
IL−2生産を減少させ、再刺激した細胞のIL−4生産を増加させる処理(pv免疫化のごとき)と移植片生存の延長との間に高い相関関係があること(Gorczynski, R. M., および D. Wojcik. 1994. J. Immunol. 152:2011-2019;Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231;Gorczynski, R.M. ら. Transplantation 62:1592-1600)、また、OX−2の発現の増加もまた、どくりつしてpv免疫化後の移植片生存の増加に関係すること、(Gorczynski, R. M. ら. 1998b. Transplantation. 65:1106-1114)はよく報告されている。次なる疑問は、インビトロで抑制機能を導入し(図9、10および13)、増加した量のOX−2を発現する(図11、12)、Flt3L処理マウスから単離した細胞
自身がインビボの移植片生存の増加を促進する能力を有するかどうかである。
【0161】
上記のように、2匹のC57BL/6マウスの群に、10日間 Flt3L 10mg/マウスのiv注入を行った。酵素消化によりその肝臓から細胞を単離し、単位重力沈降により分画した。細胞4プールを回収し、上記のように抗−OX−2を用いたFACSにおいて部分試料を着色した。C3Hマウス2匹の群に、4つの別個のプールからの10×106細胞ivを行った。対照群には生理食塩水注入のみを行った。つづく48時間にわたり、すべてのマウスにC57BL/6腎移植をおこなった。移植日にすべてのマウスにCsA(10mg/Kg)を与えた。図15のデータは、このタイプ(6マウス/群を表す)の3つの研究から蓄積したものであり、これら5つの異なる群の動物生存を示す。
【0162】
図15は、レシピエントC3Hマウスにiv注入した、Flt3L処理C57BL/6マウス由来のNPCがC57BL/6腎臓同種異系移植片拒絶反応を抑制することを示す。2のマウス群に図11および12に示したFlt3L処理マウス由来のNPCの異なる副次集団を与えた。分画1および2はOX−2+である。マウスに、CsAとともにC57BL/6腎臓同種異系移植片を与えた(材料および物質参照)。再終点として、動物生存をたどった。示したデータは、このタイプの3つの研究から蓄積したものである。*P<0.005 CsAのみ与えたマウス(黒四角)と比較。
【0163】
この図から、OX−2を発現する肝臓細胞のみがiv仲丹生後の移植片生存の増加を促進する能力を有することが明らかである(図11および12の分画1および2参照)。図13のデータとのこれらのデータの比較により、2段階分析系を使用し、これらの細胞集団を機能的「促進」活性を有する細胞として同定できることが確かめられた(図9および10も参照)。これらの分画におけるOX−2発現の比較的等価なレベルにおいて、この実験で、NPC−Fx1またはNPC−Fx2を与えた群の間で、生存の有意な差はなかった(図11)。
【0164】
インビトロで、抗−OX−2モノクローナル抗体は、肝臓NPCによって導入された調節を逆転する:
最終的な研究は、C3H脾臓応答細胞の培養に添加した抗−OX−2モノクローナル抗体M3B5、C57BL/6マウス由来の同種異系(C57BL/6)DCおよびNPCが、2次培養において新しく刺激した応答細胞(図9、10および13参照)のかかるサイトカイン応答を抑制できるかどうかに関した。図16および17のデータは、このタイプの3つの研究から蓄積したものである。
【0165】
図16は一次同種刺激に対する抗−B7−1、抗−B7−2および抗−OX−2の影響を示す。これは、抗−OX−2 Mabが、C57BL/6 DCによるC3H応答脾臓細胞の刺激後、IL−2サイトカイン生産を増加させたことを示している。60時間目にサイトカインを分析した。すべてのデータは3回繰り返した研究から蓄積した算術平均である。*P<0.005 対照培養(左端)と比較。
【0166】
図17は、抗−OX−2がNPCによる抑制を逆転することを示す棒グラフである。それは、肝臓NPCと一緒にインキュベーション後、抗−OX−2Mabが免疫調節細胞の発達をイン・ビトロで抑制することを示す。C3H応答脾臓細胞を3連でNPCに加えてC57BL/6 DCと一緒にインキュベートした(図9および10参照)。これらの培養物の小群は、示されるモノクローナル抗体を含有した。培養物中、60時間でサイトカインをアッセイした(パネルA)。さらに、全群から細胞を採取し、洗浄し、新しいC3H応答脾臓細胞およびC57BL/6 DCに加えた(パネルB)。60時間後、これらの群中のサイトカインをアッセイした。全データは、3回実験を繰り返してまとめた計算平均を示す。*P<0.05は、モノクローナル抗体を加えないNPC培養物由来の対照群と比較した(図の一番左、図16も参照のこと)。
【0167】
一次培養物は、C3H応答脾臓細胞およびC57BL/6DCのみを含有するもの(図16)、またはC57BL/6NPCを加えた同一混合物の2つのタイプがあった。これらの培養のサブセットは、さらに、5μg/mlの抗−B7−1、抗−B7−2または抗−OX−2のいずれかを含有した。DCのみの存在で刺激された応答細胞由来の上澄液をサイトカイン産生について60時間後にアッセイした(図16)。DCおよびNPCの両方と一緒にインキュベートした一次培養物の場合、上澄液を60時間で採取し、サイトカイン産生について試験した(図17A)。さらに、細胞を5日後に採取し、洗浄し、新しいC57BL/6 DCを含有する新しいC3H応答細胞の2次培養液に加えた。該2次培養段階ではモノクローナル抗体を加えなかった。これらの2次培養物のサイトカイン産生についてのデータを図17Bに示す。
【0168】
抗−B7−1または抗−B7−2をDCで刺激された脾臓培養物へ添加すると、サイトカイン産生の抑制が導かれたが(図16)、対照的に、抗−OX−2モノクローナル抗体はこれらの一次培養物中のIL−2産生の増加を導いた(図16)。発明者らは、同様の知見を報告している(Raghebら、submitted for publication)。興味深いことに、抗−OX−2は、これらの一次培養物においてNPCによって引き起こされたサイトカイン産生の抑制を破壊した(図17A参照、また、図9、10および13も参照のこと)。さらに、抗−OX−2は、サイトカイン産生の抑制を新たに刺激された脾臓細胞に移入できる細胞集団の機能的発達を妨げた(図17B)。
【0169】
考察
抗原特異的寛容の状態をリンパ系集団において誘導できるメカニズムの理解において、考慮すべき理論的で実際的な興味が存在する。一例ではあるが、寛容の効果的な誘導は、より成功的な異種性(および外来性)移植に対する主要な挑戦を示す(Akatsuka, Y., C. Cerveny, and J. A. Hansen. 1996. Hum. Immunol. 48:125-134)。移植前(または中)のドナー特異的免疫化がどうのようにかかる状態を生ずるのかを探求するにあたり、著しい努力が注ぎ込まれてきた(Qian, J. H. et al. 1985. J. Immunol. 134:3656-3663; Kenick, S., et al. 1987. Transpl. Proc. 19:478-480; Gorczynski, R. M. 1992. Immunol. Lett. 33:67-77; Thelen, M., and U. Wirthmueller. 1994. Curr. Opin. Immunol. 6:106-112; Akolkar, P. N. et al. 1993. J. Immunol. 150 (April 1):2761-2773; Ahvazi, B. C. et al. J. Leu. Biol. 58 (1):23-31; Albina, J. E. et al. 1991. J. Immunol. 147:144-152)。門脈(pv)免疫化がどうにか寛容誘導を導くという好ましい証拠があり、IL−2、IL−12およびIFNγの産生減少およびIL−4、IL−10、IL−13およびTGFβの増加を伴う宿主細胞由来のサイトカイン産生の変化を追跡することによって、この免疫調節を明らかにモニターすることができる(Thelen, M., and U. Wirthmueller. 1994. Curr. Opin. Immunol. 6:106-112; Gorczynski, R. M. et al. 1998a. Transplantation. 66: 000-008)。にもかかわらず、これらのサイトカインのうちどれが直接および偶然に関わるのかは、不明なままである。
【0170】
pv免疫化後に寛容を誘導できる細胞集団のさらなる分析は、ドナー樹状(DC)細胞が優れた寛容化(tolerizing)集団を示したという多少逆説的な観察を導いた(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231; Gorczynski, R.M. et al. Transplantation 62:1592-1600)。抗原を間欠的に投与したDCは通常、最良の免疫化計画を示すと考えられるので、DC pv免疫化後に活性化され、寛容を導いたメカニズム(Gorczynski, R. M. 1995a. Cell. Immunol. 160:224-231; Gorczynski, R.M. et al. Transplantation 62:1592-1600)は、興味深かった。起源、細胞表面表現型、イン・ビボでの反転およびおそらく機能に関して、DC自体が極端に異種性の集団を示すことはすでに明白である(Salomon, B. et al. 1998. J. Immunol. 160:708-717; Leenen, P.J.M. et al. 1998. J. Immunol. 160:2166-2173)。マウスリンパ節において、少なくとも3つの別個の集団が同定され、その1つは、おそらくリンパ性起源の未熟な表現型を有する小型CD8α+NLDC145+細胞を含み、その数はイン・ビボでのFlt3L処理後に大いに増加した(x100)(Salomon, B. et al. 1998. J. Immunol. 160:708-717)(後者の投与は樹状細胞および造血起源の他の細胞の増殖を導くと報告されている(Maraskovsky, E. et al. 1996. J. Exptl. Med. 184:1953-1962))。これらの細胞は、脾臓白色髄のT細胞領域に見られる指状構造DCに似ており、他の(脊髄由来)DCによって誘導される免疫の調節に関係していた(Salomon, B. et al. 1998. J. Immunol. 160:708-717; Kronin, V. et al. 1996. J. Immunol. 157:3819-3827; Suss, G., and K. Shortman. 1996. J. Exptl. Med. 183:1789-1796)。
【0171】
種々の他の研究は、抗原提示後の免疫(対 寛容)の誘導が、DCの表面の他のシグナル性リガンド(細胞表面の適当なカウンター−リガンド(例えば、刺激性T細胞)と相互作用する)の共存に本質的に依存したことを示した(Larsen, C. P. et al. 1994. J. Immunol. 152:5208-5219; Lenschow, D. J. et al. 1996. Annu. Rev. Immunol. 14:233-258; Larsen, C. P., and T. C. Pearson. 1997. Curr. Opin. Immunol. 9:641-647)。門脈を介したDCの注入が、抗原が別の免疫原DCと共に提示されたとき、その生物学的機能が免疫ではなく寛容の誘導を促進する特有の細胞表面リガンドの発現によって区別できる別の細胞集団を取り込むことによって、寛容を誘導すると推測された。この仮説を支持するいくつかの予備的な証拠が近年報告された(Gorczynski, R. M. et al. 1998a. Transplantation. 66: 000-008)。本明細書において、これを促進細胞と称する。さらに、pv免疫化は新規分子、OX−2(DC上に発現されることが以前に報告されている)の発現増加に関連することが示されたので(Barclay, A.N. 1981. Immunology 44:727; Barclay, A.N., and H.A. Ward. 1982. Eur. J. Biochem. 129:447; Chen, Z. et al. 1997. BBA. Mol. Basis Dis. 1362:6-10; Gorczynski, R. M. et al. 1998b. Transplantation. 65:1106-1114)、該分子は実際、記載の仮説的促進細胞の「マーカー」として働くと推測された。本明細書に報告される実験は、かかる仮説と一致する。
【0172】
本明細書には、肝臓NPC集団内にMHCに制限されない方法で同種異系DCによる刺激を抑制することができ(図9および10参照)、抗原特異的免疫調節細胞集団のイン・ビトロでの発達を誘導することができる(図9および10参照)細胞のサブセットが存在することが示される。該「促進細胞」相互作用のMHCに制限されない性質は、それが共同刺激相互作用の最初の記載(Jenkins, M. K. et al. 1988. J. Immunol. 140:3324-3329)に類似の方法で、記載の同種異系混合白血球反応においてT細胞を刺激するDCに補助的なシグナル(共同刺激シグナルではなく調節シグナル)を提供することによって機能することを示す。結果として、刺激されたリンパ球はそれらのサイトカイン産生プロファイルを改変し(IL−2産生および増殖の減少を伴う)、新たに刺激されるリンパ球に見られる免疫応答を調節することができるようになる(図9および10のパネルB参照)。最も興味深いことに、Flt3L処理によるイン・ビボでのDCの膨張後、実際、肝臓自体が免疫刺激集団(速度沈降分析による巨大細胞)と該推定「促進細胞」集団の両方を含有することが示される(図11−15参照)。さらに、後者の生物学的活性は、細胞表面B7−2とOX−2の両方を優先的に発現するゆっくりと沈降する(小さいサイズの)NLDC145+細胞集団内に属する(図11および12参照)。細胞の該同一集団がイン・ビボでの移植片寛容の調節に活性であるかを調べたとき、先のFlt3L処理の後に、肝臓が腎移植片許容の増加を移入し(図15)、同時に、免疫化マウスのサイトカイン産生プロファイルをIL−4およびTGFβ産生の増加ならびにIL−2およびIFNγ産生の減少の方向へ改変する(図14)細胞の集団を含有しことがさらに見出された。
【0173】
該調節機能におけるOX−2発現自体に関する役割を探求するための最終的な試みにおいて、新鮮な脾臓細胞をDC単独または抗−B7−1、抗−B7−2または抗−OX−2の存在下で刺激した。他の研究(データは示さない)により、使用した骨髄由来DCまでも少数のOX−2+細胞を含有することが確認されたことに注目されたい(RMG−未発表)。サイトカイン産生を減少させた抗−B7−1および抗−B7−2、共同刺激分子としてのこれらの仮説的役割と一致する結果(Hancock, W. W. et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:13967-13972; Freeman, G. J. et al. 1995. Immunity. 2:523-532; Kuchroo, V. K. et al. 1995. Cell. 80:707-718)とは異なり、抗−OX−2は該系においてIL−2産生の少量ではなくかなりの(3つの研究において1.7−2.5倍)増加を生じた(図16)。しかしながら、外来性「促進細胞」が加えられた系(NPC由来)において抗−OX−2Mabの最も重要な包含は、かかる培養物において通常見られる抑制の誘導を完全に遮断したことである(図9および10;図17の下方パネルと比較する)。これらのデータは、OX−2が共同刺激ではなく調節シグナルをこの状況で伝達するという考えに一致する。
【0174】
現存のデータは、DCの異種性における理解の枠組みの発展内にどのように適合するのか?上記のように、Flt3Lに応答して増殖するリンパ性起源のCD8α+NLDC145+DCの別の集団が免疫調節の原因であるかもしれないという推測が存在する。他のデータは、増加量のB7−2を発現し、寛容を誘導できる集団にDCの発達/成熟を修飾しうるサイトカインとしてIL−10を関連させた(Steinbrink, K. et al. 1997. J Immunol. 159:4772-4780)。これに関して制御特性としてFasの発現の調節の役割は、探求されていない(Suss, G., and K. Shortman. 1996. J. Exptl. Med. 183:1789-1796)。本明細書に開示されるデータは、もう1つ別の分子、OX−2をおそらく、B7−2、Fas等の発現の改変と関連して、寛容化(torelizing)シグナルの伝達に関連させる最初のものである。明らかに自己寛容の調節において胸腺内DCに関する重要な役割がある一方で(Banchereau, J., and R. M. Steinman. 1998. Nature. 392:245-252)、胸腺DC上のOX−2の自然発現が初めて記載されたことは興味深い(脳内と同様に)(Barclay, A.N. 1981. Immunology 44:727)。このことが該場所におけるOX−2の機能的に関連した発現を示すことを示唆するという証拠は未だにない。しかしながら、他の独立したデータもまた、発現したOX−2の存在/不在下で刺激された細胞由来のイン・ビトロでのサイトカイン産生の改変によってアッセイした場合のように、OX−2発現に関する免疫調節的役割を暗示した(Borriello, F. et al. 1997. J. Immuno. 158:4548)。
【0175】
pv免疫化後、移植片生着の増加を未経験のレシピエントに養子的移入できる多数のγδTCR+細胞集団において適度の膨張があることが報告された(Gorczynski, R. M. et al. 1996c. Immunology. 87 (3):381-389)。これらの細胞によって認識される抗原の性質に関して、および集団としてなぜそれらの数がpv免疫化後に優先的に増加するのかは、ほとんど知られていない。これは、OX−2発現後に伝達される免疫調節シグナルに対するγδTCR+対αβTCR+細胞の特異的感受性によって、最終的に説明できるかもしれないと推測される。
【0176】
結論として、発明者は、DCプールにおける機能的異種性を細胞表面でのOX−2の特異的発現によって理解できうることを初めて報告した。該分子の発現は、免疫調節、腎移植片生着の増加(およびイン・ビボおよびイン・ビトロの両方でのサイトカイン産生の改変)を誘導する能力を細胞に与えるようである。本発明は、かかるOX−2発現細胞を「促進細胞」(寛容誘導に関して)と称することを提案する。
【0177】
実施例4
ネズミ抗体の調製
マウス、ラットおよびヒト由来の哺乳動物組織において、胸腺において、樹状細胞の副次集団上に、および脳において発現される43Kd分子に対するマウスおよびラットのハイブリドーマを調製した。関連するOX−2遺伝子のcDNA構築物を発現するアデノウイルスベクターで一時的にトランスフェクトされたCHO細胞を用いて、モノクローナル抗体(Mab)は該構築物(各々、ラットOX−2(rOX−2)、マウスOX−2(mOX−2)およびヒトOX−2(huOX−2))によってコードされる分子を検出する。さらに、少なくともいくつかの抗−ラットMabはネズミOX−2分子上に発現される決定基を検出する。
【0178】
材料および方法
組織由来の抗原調製物およびウェスタンブロッティングをGorczynski et al., Transplantation, 1998, 65:1106-1114に記載のとおりに行った。
脾臓細胞(ヒト試料を移植のための器官回収時に死体から入手した)を樹状細胞/マクロファージの調製に用いた。組織は、コラゲナーゼおよびディスパーゼの混合物で消化し、lymphopaqueを用いて遠心分離した。細胞を37℃で2時間付着させ、勢いよく洗浄し、37℃で14時間インキュベートした。樹状細胞を非付着細胞として単離した(Gorczynski et al., Transplantation, 1996. 62:1592-1600)。一晩インキュベーション前および後でのNLDC−145およびFITC抗−ラットIgGまたはFITC−MAC−1を用いるマウス脾臓細胞の慣用的な染色は、これらの付着細胞において以下の染色パターンを生じた:各々、8%±2%、90%±11%および92%±9%、9%±3%。粗(非付着)樹状細胞調製物を溶菌バッファーで抽出し、タンパク質濃度10mg/mlまで滴定し、免疫化に用いた。次いで、同一材料のいくつかをELISAのスクリーニングに用いた(下記)。
【0179】
脳組織をウェスタンゲル分析に用いた場合、全組織抽出物を12%SDS−PAGE中で電気泳動し、PVDF膜(Novex Co., San Diego, CA)に転移させた。推定の抗−OX−2Mabを試験物質として用い、アイソタイプ抗体(ELISA試験で陰性)を対照として用いた。抗−ラットまたは抗−マウスのいずれかの西洋ワサビペルオキシダーゼおよび適当な基質を用いて、膜を展開させた。
【0180】
免疫化およびMabの産生:
4匹の雌性BALB/cマウスを始めに、フロイントの完全アジュバント中1mgのヒトまたはラット樹状抗原の腹膜内注射によって免疫した。3回の続く追加免疫を3週間の間隔を開けて、フロイントの不完全アジュバントを用い、上記のように投与した。ELISAにより測定して、血清力価が免疫前血清試料の10倍以上に上昇したとき、2つの最も高い応答個体を静脈内により追加免疫した。3日後、ドナーマウスを殺し、脾臓細胞を採取し、プールした。脾臓細胞とX63−Ag8.6.5.3BALB/c親ミエローマ細胞の融合を、ハイブリドーマの1段階選択およびクローニングを0.8%メチルセルロース培地(Immuno-Precise Antibodies Ltd., Victoria, BC)中で行う以外は以前の記載(Kohler, G. and C. Milstein. 1975. Nature. 25: p. 256-259)のとおりに行った。この特許のある半固体培地は、1段階でHAT選択およびクローニングを可能にし、おそらく望ましくない成長の早いハイブリドーマによって、ゆっくりと成長する所望のクローンの過度の成長を排除する。クローンを取り上げ、96ウェル組織培養プレートのウェル中で、1%ヒポキサンチン/チミジン、20%胎児ウシ血清、1%OPIおよび1x106/ml BALB/c胸腺細胞を含有する200μlのDMEM培地中に再懸濁した。4日後、上澄液を免疫抗原で被覆したプレート上でELISAによって抗体活性についてスクリーンした。推定の陽性ハイブリドーマは、限界希釈クローニングによって再クローン化してモノクローナル性を確実にし、FACS中、脳組織から調製した抽出物上でスクリーンした(下記)。
【0181】
ラットmAbの産生の場合、2匹のFisherラットを上記のようにマウス抗原で免疫した。融合に用いた親細胞系統がYB2/0であった以外は本質的に同じ方法にしたがった。
【0182】
推定MabのELISAおよびFACS分析:
ELISAアッセイは、100ng/mlポリ−L−リジンで予め被覆したポリスチレンプレートを用い、次いで、粗樹状細胞抗原(免疫化に用いた)10mg/mlと一緒に一晩インキュベートした。上記の抗−ラット/抗−マウス西洋ワサビペルオキシダーゼ抗体を用いるハイブリドーマ上澄液の結合後にウェルを展開し、プレートを自動ELISAプレートリーダー(TiterTek Multiskan, MCC/340, FlowLabs, Mississauga, Ontario, Canada)中で分析した。
【0183】
推定の抗−OX−2Mabおよび以下の細胞を用いてFACS分析を行った。ラット/マウスlymphopaque(Cedarlane laboratories)またはFicoll−Hypaque(ヒト)によって単離した新鮮な末梢血白血球(PBL);新鮮な脾臓樹状細胞(上記のように、付着および一晩インキュベーション後に単離した);および公表された配列(Chen, Z. et al. 1997. BBA. Mol. Basis Dis. 1362:6-10; McCaughan, G.W., et al. 1987. Immunogenetics. 25: p. 133-135)により関連の種特異的OX−2をコードするnot1/bamH1部位中に挿入されたcDNAの単一コピーを含有するように操作されたウイルスベクター、または対照ベクターのみで形質導入されたCHO細胞。FITC抗−マウス(または抗−ラット)IgGを二次抗体として用いた。
【0184】
混合白血球反応(MLR)およびサイトカイン産生:
2.5x106応答細胞PBLおよびマイトマイシンC処理した刺激細胞PBLの1:1混合物を用いる同種異系MLR培養を24ウェル培養プレート中、10%FCSを補足した1mlのaMEM培地中で開始した。細胞をC3H応答マウス(刺激細胞C57BL/6)、Lewis(LEW)ラット(ブラウン・ノルウェー、BN、刺激細胞として)および個々のヒトドナーから得た。培養上澄液を6時間目に採取し、以前に記載されたELISAアッセイ(マウス)を用い、またはCTLL−2を全応答細胞源由来のIL−2産生についてのバイオアッセイとして用いて、異なるサイトカインについて試験した(Gorczynski, R.M., et al. 1998c. Immunology. 93: p. 221-229)。
【0185】
結果
新鮮なPBLまたは脾臓中の細胞集団の染色についてのいくつかのMabの評価:
本明細書に記載の実験において試験した全Mabは、上記の材料および方法に記載のように予めスクリーンされ、脳抽出物のウェスタンゲル中、分子量42−45Kdを有する分子を検出し、また、OX−2をコードしているウイルスベクターによって形質導入されたCHOを染色した。表3のデータは、新鮮な細胞を用いるこれらのMabについてのFACS分析を示す。データは、ラット、マウスまたはヒトOX−2に向けられたいくつかのMabを用い、新鮮なPBLまたは脾臓から採取した細胞の染色についてのいくつかの独立した分析にわたってまとめられた(付着細胞だけを後者について試験した:これらは全ての場合、全細胞集団の約5%−8%を示した)。
【0186】
表3から、FACS分析により試験した全ての種においてPBLが約1.3%−2.5% OX−2+細胞を含有したこと、および脾臓付着細胞が同様に4%−8%OX−2+細胞を含有したことは明らかである。発明者の以前の研究を確認するように、20x106(または各々、50x106)のC57BL/6(またはBN)骨髄細胞での門脈免疫化によって4日前に処理したC3HマウスまたはLEWラットから得られた脾臓付着細胞は、OX−2+細胞において約3.5−5倍の上昇を示した(表3参照)。これらの条件下、その後に同種移植された細胞/組織の生着において特異的な増加が報告された(Gorczynski, R.M. et al. 1996a. Transplantation 62:1592-1600)。
【0187】
MLRにおいてイン・ビトロでサイトカイン産生を調節する抗−OX−2Mabの能力:
最終的な研究において、これらのMabが同種混合白血球反応(MLR)においてイン・ビトロで刺激された細胞の免疫応答(サイトカイン産生によってアッセイしたとき)を修飾できるかという論点に注意が向けられた。発明者は、以前に、門脈同種異系免疫化によって予め処理されたマウスから得た細胞が主に2型サイトカインを産生したこと、および抗−OX−2Mabが明らかにサイトカイン産生におけるこの偏りを逆転できたこと(および実際に、かかるマウスにおいて見られる移植片生着の増加を破壊する)を示した。表4のデータは、マウスOX−2に対する3つの独立したMabを用いるこれらの結果を確認する。さらに、抗−ラット(またはヒト)OX−2の存在下で刺激されたラットまたはヒト細胞は、同様に、サイトカイン産生の全体的な増加を伴わずに(いずれの群においてもIL−6産生に変化がないことによってここに分析されるように)、アイソタイプ対照Ig(またはIgなし)の存在下で刺激された細胞よりも著しいIL−2産生を示す。
【0188】
考察
該実施例のデータにおいて、ヒト、ラットまたはマウスOX−2に対する種特異的Mabを用いて、宿主樹状細胞の表面で検出される分子に対するMabがイン・ビトロでの異物刺激後のサイトカイン産生を調節する役割を果たしうること、より詳細には、OX−2発現を機能的に遮断することが異物刺激後のIL−2産生(1型サイトカイン)を増加させることを確認する(表4)。また、Borrielloらは、近年、OX−2発現がIL−2およびIFNγ合成の誘導のための共同刺激物質でなかったことを報告した(Borriello, F. et al. 1997. J. Immuno.. 158:4548)−それに関する発明者らのデータは、実際、1型サイトカイン産生に関して陰性シグナルである。門脈によって予め免疫化されたマウスにおいて、初期の報告のように、PBLおよび脾臓におけるOX−2発現細胞の4倍増加、およびOX−2の存在下で細胞刺激後、サイトカイン産生における偏りの逆転(2型サイトカインから1型サイトカインへ)がある(表3および4参照)(Gorczynski, R. M. et al. 1998b. Transplantation. 65:1106-1114)。
【0189】
実施例5
ラット抗体の調製
5匹のラットをGERBUアジュバント(GERBU Biotechnik, Gaiberg, Germany)を用い、マウス樹状細胞(DC)系統DC2.4(ハーバードのK. Rockから贈呈)から精製した500μgの膜タンパク質で免疫した。これらのラット由来の血清を3回目の免疫化の7日後に試験し、ウェスタンブロットから溶出される分子量40Kd−45Kdのプレート結合物質およびAlk Pase抗−ラットIgを用いるELISAにおいて以前に免疫化した試料と比較した。高力価抗体を有する2匹のラットを再免疫し、ハイブリドーマの調製のための脾臓細胞とHAT感受性Sp2/0親細胞の融合のために、4日後に殺した。ハイブリドーマをELISAによってスクリーンし(56/960+ve)、サブクローン化し、冷凍した(−70℃)。さらなる抗−OX−2Mabの特異性試験のため、CHO細胞をOX−2を発現するpBK真核生物発現ベクター(Stratagene, CA)でトランスフェクトできる。リーダー配列を含む全長OX−2cDNAを、ベクター中での指向性クローニングのためにそれらの5’末端に各々Spe1またはXba1部位を有するように構築されたセンスおよびアンチセンスプライマーを用いて、DC2.4細胞から増幅した。予想サイズ(849bp)のバンドがアガロースゲル電気泳動で得られた。クローン化されたcDNAの配列は、自動DNAシークエンサーを用いる配列決定によって確認された(Chen, Z. and Gorczynski, R.M. 1997. Biochem. Biophys. Acta. 100, in press)。CHO細胞をエレクトロポレーションによって(0.5ml中5x106細胞を960MHzおよび120Vにて、Bio−Rad Gene Pulser(Bio-Rad, Hercules, CA)を用いてパルスした)、ピューロマイシン耐性をコードするプラスミドと一緒に全長OX−2発現プラスミドを用いて(100:1比)トランスフェクトし、次いで、ピューロマイシン選択した(12μg/mlで4日間)。ピューロマイシン耐性細胞を限界希釈によってクローン化した。PCRによって確認されたmRNA OX−2を発現する5個のCHOトランスフェクトクローンが得られた。推定のラット抗−マウスOX−2Mabをスクリーンするために、これらのクローンを用いることができる。
【0190】
(a)pv免疫化マウス由来細胞の抗−マウスOX−2でのFACS染色
pv免疫化マウス由来の脾臓および肝臓NLDC145+(樹状細胞マーカー)細胞の抗−ラットOX−290での染色において、4倍の増加が観察された。pv免疫後の種々の時間(12時間;2、7および14日)でのマウスの脾臓および肝臓組織を切片に切り、抗−NLDC145、抗−OX−2Mabを用いて免疫組織化学によって染色した。同一組織由来の単一細胞懸濁液を3色FACSを用い、FITC−抗−マウスOX−2、げっ歯類−抗−NLDC145およびフィコエリトリン−抗−T200(マウスリンパ球マーカー)を用いて、染色することができる。全ての場合(FACSおよび免疫組織化学の両方)、適当な無関係なアイソタイプ対照抗体が包含される。腎移植片のみを受けているかまたは付加的なiv免疫化後の対照マウス由来の組織もまた、試験することができる。OX−2の発現増加を示すNLDC145+(および/またはMAC−1+)細胞の検出は、pv免疫化マウスのみにおいて予想される(Gorczynski, R.M. et al. 1998. J. Immunol. 160, in press参照)。発明者は、DC−関連抗原が生着している移植片を有する動物においてのみ存続することを示した(Gorczynski, R.M., Chen, Z., Zeng, H. and Fu, X.M. 1998. Transplantation submitted)。また、移植後の異なる時間に注入された抗−OX−2が拒絶を引き起こすかどうかを評価した(b)。
【0191】
(b)抗−マウスOX−2による移植片拒絶およびサイトカイン産生の調節
C3Hマウスは、培養したC57BL/6骨髄由来樹状細胞(DC)、CsAおよび腎同種異系移植片でのpv免疫を受ける。マウスの群は、移植後の異なる時間で開始する種々のラット抗−マウスOX−2Mab(100−500μg/マウス、x5、2日間隔)の静脈内注入を受ける(これは(a)由来のデータによって導かれる)。血清クレアチニンおよび動物生存が後に続く。Mab処理マウス由来の血清を、OX−2を発現するCHOトランスフェクト細胞(上記)を用いてELISAおよびFACSによって試験して、抗体過剰を確認する。OX−2発現がpvに誘導される移植片生着の増加に重要ならば、抗−OX−2処理したpv免疫化マウスは、1型サイトカインのサイトカイン産生の同様な偏りを伴って、未処理対照のように移植片拒絶するであろう(培養し、再刺激した細胞を用いてPCR;ELISAによってアッセイした)。対照としてpv免疫化され、移植されたマウスが抗−CD28および抗−CTLA4を受ける場合、これらのMabは、移植片生着またはサイトカイン産生における偏りによってアッセイされるpv免疫化の効果を修飾しない。他のMabではなくOX−2処理が同時に、pv免疫化後のγδTCR+細胞の膨張を破壊することが予想される。
【0192】
実施例6
OX−2の細胞外ドメインをマウスFcに結合している融合タンパク質の調製
その全てが哺乳動物細胞中またはバキュロウイルス系において発現している免疫アドヘシン(Immunoadhesin)(ここに、付着分子の細胞外ドメイン(ED)とIgG H鎖のカルボキシル末端が融合することによってcDNAレベルでハイブリッド分子が生産される)は、関連の付着分子のためのカウンターリガンドの同定および単離における強力な手段である。TNFRファミリーのいくつかのメンバーのためのリガンドは、この方法で同定された(Goodwin, R.G.ら、1993. Eur. J. Immunol. 23, 2631-2641; Gruss, H.およびDower, S. 1995. Blood 85, 3378-3404)。免疫アドヘシンの治療薬としての潜在的な応用に興味が持たれている。B7−1およびB7−2の両方に結合できる能力を有するCTLA4免疫付着がT細胞共同刺激の抑制および拒絶の緩和に用いられた(Larsen, CPら、1996. Nature 381, 434-438)。CD28/CTLA4がOX−289のカウンターリガンドでないということに注目されたい。融合タンパク質は、サイトカイン産生を改変し(IL−4、IL−10の増加;IL−2、INFγの減少)、pv免疫化のように腎移植片生着を増加させると推測される。発明者らは、共同刺激の共同的な遮断(例えば、CTLA4−Fcによる)および共同調節経路の誘発(OX−2ED−Fcによる)が寛容を誘導し、限界のない移植片生着を生じると予測する。
【0193】
a)ネズミIgGFc2aとのOX−2融合タンパク質の構築
OX−2の細胞外領域(OX−2ED)をコードしているcDNAを、V−領域配列の開始部分に隣接する5’部分にSal1部位を挿入する5’オリゴヌクレオチドプライマーおよび3’末端(Fcとの結合部位)にBamH1部位を生じる3’プライマーを用いてPCRによって増幅した。マウスConA活性化脾臓細胞から調製されたcDNAを用い、Spe1部位を含有する5’プライマーおよびSal1部位を含有する3’プライマーを用いて、IL−6のシグナルペプチド(SP−IL−6)をPCRによって増幅し、OX−2EDアンプリコンに連結した。フレーム交差連結反応(frame ligation across)において、SP−IL−6およびOX−2EDの結合を手動配列決定によってチェックした。5’SP−IL−6プライマーおよび3’OX−2EDプライマーによって増幅された最終的なcDNAは予想通り695bpであった。ヒンジ領域の最初のコドンにまたがる特有のBamH1部位を生じるように修飾され、3’末端コドンに特有のXba1部位を有するネズミIgGFc2a(Fcγ2a)を発現するプラスミドをTerry Strom博士から入手した(Zheng, X.X.ら、1995. Journal of Immunology. 154, 5590-5600)。該挿入部分におけるIgGFc2aは、さらに、C1q結合モチーフ(それを非分解性にする)を置換し、FcγR1結合部位を不活性化するように修飾された(Zheng, X.X.ら、1995. Jourmal of Immunology. 154, 5590-5600)。正確なリーディング・フレームにおけるBamH1部位でのOX−2EDとIgGFc2aの連結反応は、単一の478アミノ酸ポリペプチド(24アミノ酸IL−6シグナルペプチドを含む)をコードしている1446bpの長いオープン・リーディング・フレームを生じる。ホモ2量体は、グリコシル化を除いて推定分子量105kDaを有する。次いで、融合遺伝子をSpe1−Xba1カセットとして真核生物発現プラスミドpBK/CMV(Stratagene, CA)中でクローン化する。該プラスミドは、CMVプロモーター/エンハンサーおよびG418を用いる選択のためのネオマイシン耐性遺伝子を有する。OX−2ED−Fcの適当な遺伝子構築物は、プラスミドベクター中でのクローニング後に直接配列決定をすることによって確認できる(Chen, Z.およびGorczynski, R.M. 1997. Biochem. Biophys. Acta. 100, in press−上記も参照)。プラスミドはエレクトロポレーションによってCHO細胞中にトランスフェクトされ(上記参照)、1.5mg/ml G418(Geneticin: Life Tschnologies, Inc.)を含有する倍地中で選択する。サブクローニング後、抗−OX−2Mabを捕獲抗体として用い、Alk Pase結合抗−IgGFc2aを検出抗体として用いるELISAにおいて培養上澄液をスクリーニングすることによって、高生産クローンを選択する。OX−2ED−Fc融合タンパク質は、タンパク質A−Sepharoseアフィニティークロマトグラフィーを用いて培養上澄液から精製し、PBSに対して透析し、フィルター滅菌し、アリコートに分けて−20℃で保管する。サイズおよび分泌産物のOX−2(+IgGFc2a)特異性は、還元(+DTT)および非還元(−DTT)条件下、OX−2に対するMabおよびラットモノクローナル抗−マウスIgGFc2a(Pharmingen)を用いるウェスタンブロット分析を用いて確認できる。生産物は、OX−2に対するラットMabをプローブとして用いるOX−2発現CHO細胞(上記参照)のFACS染色に対する阻害物質として滴定できる。イン・ビボでOX−2ED−Fcを用いる研究(下記)の先駆けとして、6 8週C3Hマウス群の注射後のマウス血清における半減期(t1/2)が研究されるであろう。これは、マウスを50μgまたは10μgのOX−2ED−Fcのiv注射に付すことによって行われ、0.3、1、6、24、48、72および96時間目に一連の50μl血液試料を得る。血清は、捕獲抗体として抗−OX−2で被覆したプレートおよびAlk Pase結合モノクローナル抗体抗−IgGFc2aを検出にを用いるELISAにおいて分析する(よって、アッセイは、確実に、OX−2またはIgGFc2aのみではなく、OX−2ED−Fcのみを検出する)。イン・ビボでの半減期を延長するためにFc融合タンパク質が用いられた初期のデータ(Zheng, X.X.ら、1995. Journal of Immunology. 154, 5590-5600)に基づいて、30−40時間の範囲のt1/2が予想される。
【0194】
b)OX−2:IgGFc免疫付着がMLRを抑制する
CHO細胞を、OX−2:Fc cDNA挿入を担持するベクターで形質導入した。上澄液を7日目のCHO細胞から採取し、5x106LEW脾臓および2.5x106照射LBNFI脾臓細胞と一緒に培養した。上澄液は、50ng/ml OX−2:Fcを含有した。
表5に示す結果は、可溶性OX−2:Fc免疫付着がIL−2産生および細胞障害性T細胞の発生を抑制し、IL−4産生を誘導することを示す。これらの結果は、OX−2の免疫抑制剤としての使用を支持する。
【0195】
c)移植片拒絶の予防のためのOX−2:Fcのイン・ビボでの使用
(b)において、50ng/ml OX−2:Fcの存在下でのインキュベーションがイン・ビトロでのMLR反応を抑制できることが示された。イン・ビボでの移植片拒絶の抑制を検出するために、C3Hマウスは、OX−2:Fcのiv注射(50μg/マウス)の2日毎に4回の注射と一緒にC57BL/6皮膚移植片を受けた。10日後から毎日、移植片を拒絶について調べた。別の研究では、3匹のマウス/群(セーラインまたはOX−2:Fcを受けている)を10日目に殺し、サイトカイン産生の分析のために脾臓細胞をイン・ビトロで再刺激した(x48時間)。これらの研究のデータを表6および7に示す。これらのデータから、OX−2:Fcが移植片許容を延長するための免疫抑制剤として使用できる可能性を有することは明らかである。さらに、該モデルにおける移植片生着の増加に関連して、門脈ドナー特異的免疫化についてすでに記載されているように、OX−2:Fcはサイトカイン産生における偏りを改変する。
【0196】
実施例7
OX−2は胎児喪失を予防する
in situハイブリダイゼーションを用いて、発明者は、OX−2が胎児喪失の可能性の高いマウスの胎盤には発現しないことを示した。対照的に、OX−2は、正常な流産しないマウスの胎盤に発現する。
【0197】
CBA/JおよびDBA/2Jマウスを用いた。CBA/J(雌)とDBA/2J雄の交配は、逆の交配とは異なり、胎児喪失の高い発生率を示す(>80%)。胎盤組織は、妊娠8−11日目のマウスから得た。子宮をスナップ冷凍し、5μm小片に切断し、ネズミOX−2に対するビオチン化アンチセンスプローブで染色した。図18Aおよび18Bに示されるデータは、流産しない系統の組み合わせにおいて、OX−2mRNA(in situ標識)の発現の増加を示し、流産する組み合わせにおいて本質的に発現しないことを示す。これらのデータは、OX−2発現が自然発生的な胎児喪失症候群を予防するという考えに一致する。
【0198】
本発明は、好ましい実施例であると現在考えられているものに関して記載しているが、本発明は開示される実施例に限定されないことを理解されるべきである。反対に、本発明は、付随の請求の範囲の精神および範囲内に包含される種々の修飾および同等のアレンジを含むことが意図される。
全ての出版物、特許および特許出願は、出典明示により、あたかも個々の出版物、特許または特許出願が特別に出典明示により完全に含まれることが指示されているように、同一範囲まで完全に本明細書中に含まれる。
【0199】
表1
pv免疫化マウス由来のcDNAライブラリーにおいて検出された配列およびクローンの要約
【表1】

脚注:
遺伝子は、最小50bp配列を用いてBLASTスコア>250で「一致する」と考えられた。
【0200】
表2
pv免疫化および抗−ラットOX−2を受けているマウスの細胞由来のサイトカイン産生
【表2】

【0201】
脚注:
a. 1群あたり3匹のC3Hマウスを各実験に用いた。全動物は、材料および方法に記載のとおりに、CsAおよびC57BL/6腎移植を受けた。表の下半分のマウスは、また、移植日に15x106C57BL/6骨髄由来樹状細胞のpv注入を受けた。モノクローナル抗体を投与する場合、100mg/マウスの投与量で2日間隔で4回投与した。全マウスを移植14日後に殺した。個々の動物由来の脾臓細胞を3連で、照射C57BL/6脾臓刺激細胞との1:1混合物中で40時間培養した。
b. 最初の列に記載の動物の個々の試料由来の3つの測定値の計算平均(±SD)。全サイトカインをELISAによりアッセイした。IL−2、IL−4およびIL−10は、pg/mlで示し、IFNgはng/mlで示す。データはこのような2つの研究(1群あたり全部で6種類のマウスを試験した)からまとめられる。
*は、Mabを与えない対照群との有意差を示す(<0.02)。
【0202】
表3
抗−OX−2Mabを用いる、異なる種におけるPBLおよび脾臓付着細胞のFACS染色
【表3】

【0203】
脚注:
a. 新鮮な細胞は、正常なヒトドナー(PBL)、死体移植ドナー(ヒト脾臓)から、あるいは成体(8−10週)マウスまたはラットドナーから得られた。同一の3つの別個の組織ドナーを各Mab試験に用いた。
b. ドナー前処理は、PBLまたは脾臓の採取4日前に、同種異系骨髄細胞を門脈へ注入することをいう(C3Hマウスドナーの場合、C57BL/6;LEWラットドナーの場合、BN)(テキストおよび(6)参照)。
c. 3つの独立したアッセイにおいて染色された細胞パーセントについての計算平均(±SD)。対照抗体(抗−ヒトまたは抗−ラットMabの場合、FITC抗−マウスIgG、または抗−マウスMabの場合、FITC抗−ラットIgG)は、バックグラウンド以上に有意に染色されなかった(<0.2%)。
【0204】
表4
MLR培養における1型サイトカイン産生は、抗−OX−2Mabによって増加する。
【表4】

【0205】
脚注:
a. MLR培養は材料および方法の記載通りに開始した。ヒトMLR培養の場合、同じ3個の異なる応答細胞調製物を各Mabについて用い、マイトマイシンCで処理した脾臓刺激細胞のプール(6個の脾臓ドナーの無作為混合物由来)で刺激した。マウス(C3H抗−C57BL/6)およびラット(LEW抗―BN)MLR培養の場合、全アッセイを各Mabについて3連で開始した。応答細胞を注射しなかったC3Hマウス由来である(なし**)として示されるデータを除いて、マウス応答脾臓細胞は、4日前にC57BL/6骨髄細胞の門脈注入によって処理したマウスから得た。Mabは、30%上澄濃縮液として添加された。上澄液は、サイトカインアッセイのために60時間目に採取された。
b. データは、各Mabについて計算平均(±SD)を示す。マウスアッセイの場合、全上澄液をいくつかのサイトカインについてアッセイし(ELISA)、IL−2/IL−6の場合、バイオアッセイを用いる(各々、CTLL−2、B9の増殖)。ラット/ヒト培養物由来の上澄液は、バイオアッセイのみでアッセイした。アイソタイプ対照Igと一緒にインキュベートした細胞(ELISAまたはFACSによる非反応性)は、Mabの不在下でインキュベートした培養物と見分けがつかないサイトカインデータを与えた。Mabなしの培養物と比べてp<0.05。
【0206】
表5
OX−2:FC免疫付着素はイン・ビトロで混合白血球反応を抑制する
【表5】

脚注:
a 上澄液は、対照pbKベクターまたはネズミFcに結合したOX−2をコードしているcDNA挿入部分を担持しているベクターで形質導入したCHO細胞から7日目に採取した。上澄液の1:1混合物を5x106LEW脾臓および2.5x106照射LBNF1脾臓細胞を含有する培養物中に用い;これは50ng/ml OX−2:Fcに対応した。
bおよびc 1x104 51Cr BN脾臓ConA標的細胞を用いる、5日目の細胞の溶菌パーセント。60時間目の培養上澄液中のサイトカイン。
【0207】
表6
OX−2:Fcによる皮膚移植片拒絶の抑制

マウスの処理 皮膚移植片の拒絶(日)(平均+SD)
NIL 12+3.8
OX−2:Fc 19+4.2

脚注:
6匹マウス/群を示されるように処理した。
NILは正常なマウスIgGのみの注入を示す。
群につき移植片生着の計算平均(+SD)。
【0208】
表7
皮膚同種異系移植片を受けているマウス中に注入したOX−2:Fcはサイトカイン産生の偏りを逆転する。

マウスの処理 48時間目の培養上澄液中のサイトカイン
(pg/ml)
IL−2 IL−4
NIL 1250+160 80+20
OX−2:Fc 350+85 245+50

脚注:
3匹マウス/群は、セーラインまたはOX−2:Fc(50mg/マウス)のiv注入をC57BL/6皮膚の移植から2日毎に4回受けた。マウスを10日目に殺し、脾臓細胞を照射C57BL/6脾臓刺激細胞でイン・ビトロで刺激した。
48時間目の上澄液中のIL−2/IL−4の計算平均(+SD)。データは、各マウス脾臓について3連の培養物からまとめられた。
【0209】
本明細書に引用された参考文献の完全な列記
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【0217】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎児喪失を予防または抑制するための医薬の製造におけるOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用。
【請求項2】
自己免疫疾患を予防または治療するための医薬の製造におけるOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用。
【請求項3】
アレルギー疾患を予防または治療するための医薬の製造におけるOX−2タンパク質またはOX−2タンパク質をコードする塩基配列の有効量の使用。
【請求項4】
OX−2タンパク質が図8に示すアミノ酸配列またはそのフラグメントを有する請求項1〜3いずれか1項記載の使用。
【請求項5】
OX−2タンパク質が可溶性融合タンパク質である請求項1〜4いずれか1項記載の使用。
【請求項6】
可溶性融合タンパク質が免疫グロブリンFc領域に連結したOX−2の細胞外ドメインを含む請求項5記載の使用。
【請求項7】
OX−2タンパク質をコードする塩基配列が図7に示す配列またはそのフラグメントを有する請求項1〜3いずれか1項記載の使用。
【請求項8】
免疫応答抑制を予防するための医薬の製造におけるOX−2を阻害する有効量の薬剤の使用。
【請求項9】
薬剤がOX−2タンパク質と結合する分子である請求項8記載の使用。
【請求項10】
分子が抗体である請求項9記載の使用。
【請求項11】
薬剤がOX−2遺伝子からの塩基配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである請求項8記載の使用。
【請求項12】
OX−2を阻害する薬剤の有効量をその必要のある動物に投与することを含む免疫応答抑制予防に使用するための医薬組成物。
【請求項13】
薬剤がOX−2タンパク質と結合する分子である請求項12記載の組成物。
【請求項14】
分子が抗体である請求項13記載の組成物。
【請求項15】
薬剤がOX−2遺伝子からの塩基配列に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドである請求項13記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−155846(P2010−155846A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29085(P2010−29085)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【分割の表示】特願2000−520560(P2000−520560)の分割
【原出願日】平成10年11月6日(1998.11.6)
【出願人】(300003307)トリリアム・セラピューティクス・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Trillium Therapeutics Inc.
【Fターム(参考)】