説明

免震床構造

【課題】その上部に配置されて固定される機器類が地震等により移動したり転倒するのを防止することができ、その設置や撤去、及び機器類の設置にかかる労力や費用を低減することができると共に、機器類が免震動作を受けることができる免震床構造を提供する。
【解決手段】上面に機器類を設置可能であると共に、下部に基礎床面11に接触した免震部44が設けられた免震架台42を備えた。
【効果】免震床構造の免震架台の上部に配置されて固定される機器類が地震等により移動したり転倒するのを防止することができ、その設置や撤去、及び機器類の設置にかかる労力や費用を低減することができると共に、機器類が免震動作を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、上面に設置した機器類に対して免震動作することにより、地震等による建物の振動や変位がその機器類に直接そのまま伝わるのを防止するために用いられる免震床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の免震床構造としては、図8に示すように、コンクリートスラブの平らな基礎床面11上に配置された免震フレーム4からなる免震床構造があった。この免震フレーム4は、その上にフリーアクセスフロア6を載せて取付けた場合において、地震等による建物の振動や変位がフリーアクセスフロア6に直接伝わるのを防止するために用いられていた(特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の免震床構造である免震フレーム4は、図9に示すように、その長さ方向(図中上下方向)に伸びるように形成されたフレーム8が、その長さ方向が略平行になるように、その長さ方向に対して垂直の方向(図中左右方向)に間隔をおいて複数並んで配置されていた。
【0004】
免震フレーム4のフレーム8は、図9に示すように、その長さ方向の端部同士が互いに、図10に示すように断面がコの字状に形成された連結部材10により連結されて、その長さ方向に継ぎ足して延長可能になっていた。
【0005】
そして、図9に示すように、免震フレーム4の連結リブ12は、その長さ方向がフレーム8の長さ方向に対して略垂直の方向に伸びるようにして、複数のフレーム8間に複数並んで配置されており、フレーム8と連結リブ12は上から見ると多数の格子枠を形成するようになっていた。そして、免震フレーム4のブレース14は、フレーム8と連結リブ12により形成された格子枠の1本の対角線上に配置されていた。
【0006】
免震フレーム4のフレーム8は、その長さ方向に所定の間隔をおいて、その側部に板状に突出した突起部8aが複数形成されており、その突起部8aに形成された貫通孔を通るボルト等の連結部材を介して、連結リブ12及びブレース14に連結されていた。
【0007】
そして、免震フレーム4のフレーム8は、その長さ方向に一定の間隔をおいた位置の下部のそれぞれに、図10に示すように、ボールベアリング16が設けられていた。これらのボールベアリング16は、基礎床面11に接触して転がるようになっているため、免震フレーム4は基礎床面11上をどの水平方向にも自由に動くことができるようになっていた。
【0008】
また、従来の免震床構造である免震フレーム4は、図9における縦横両方向に同様の部材を接続して拡大させることができ、略部屋一杯に配置できるようになっていた。
【0009】
このようにして拡大させた免震フレーム4全体の四隅の角部と、部屋の壁やその隅部との間に、不図示のダンパやコイルバネが取付けられることにより、地震等による建物の振動や変位を吸収して免震フレーム4が水平方向に移動する量を低減させることができるようになっていた。
【0010】
また逆に、免震フレーム4が設置された部屋の壁に対して水平方向に相対的に移動した免震フレーム4に対してダンパやコイルバネが復元力を発揮して、免震フレーム4を部屋の壁に対して相対的な元の位置に戻すことができるようになっていた。
【0011】
図11に示すように、免震フレーム4の上にはフリーアクセスフロア6を載せて設置できるようになっていた。このフリーアクセスフロア6は、免震フレーム4の上方の、同一水平面上に配置され、上から見て縦横に互いに隣合うように整列して複数配置されているフロアパネル18と、このフロアパネル18をその下から支持する支持脚20により構成されていた。
【0012】
このフリーアクセスフロア6の支持脚20は、その平面形状が略正方形であるフロアパネル18の四隅各部を、その下側から支持する、その平面形状が円形又は矩形状等に形成されたパネル調整台20aと、このパネル調整台20aの下端部に同一軸線上に連結され、免震フレーム4のフレーム8の上面8bから立設するよう下端部がフレーム8に固定された脚部20bとを有するようになっていた。
【0013】
このような従来の免震床構造である免震フレーム4によれば、地震等の発生時において、免震フレーム4が水平方向に動くことにより、フリーアクセスフロア6に地震等による建物の振動や変位を直接そのまま伝えないで、その振動や変位を十分低減させてから伝えるような免震動作をすることができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第4279075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図11に示すような、基礎床面11上に免震フレーム4が配置され、この免震フレーム4の上にフリーアクセスフロア6を設置された上記従来の免震床構造において、例えば大型サーバーのような大きな重量を有する機器や装置等(以下、機器類と称する)を部屋内に設置する場合には、フリーアクセスフロア6のフロアパネル18の上面18aに載置することになる。
【0016】
このような大きな重量を有する機器類は、免震フレーム4上のフリーアクセスフロア6のフロアパネル18の上面18aに載置されるだけでは、地震等の発生時において、免震フレーム4が揺れ動くことによりフロアパネル18の上で動いたり転倒したりするおそれがあるので、フロアパネル18に固定されることがある。
【0017】
しかしながら、このフリーアクセスフロア6は、その敷設後にフロアパネル18の下側の床下空間の利用等のために、フロアパネル18を支持脚20から取外すことがあるため、フロアパネル18を支持脚20上に着脱可能に載置するだけのパネルフリー方式の構造が、一般的に採用されるようになっていた。
【0018】
このようなパネルフリー方式のフリーアクセスフロア6では、フロアパネル18は支持脚20上に載置されているだけなので、地震等により機器類に伝えられる建物の振動や変位が、機器類の下方に位置する免震フレーム4により低減されたとしても、機器類を固定したフロアパネル18が支持脚20から浮き上がってしまうおそれがあった。
【0019】
したがって、上記のような大きな重量を有する機器類は、このようなパネルフリー方式のフリーアクセスフロア6のフロアパネル18に固定しただけでは、地震等によるその移動や転倒を防止することができないという問題があった。
【0020】
このため、上記機器類をフリーアクセスフロア6上に設置する際には、例えば、フロアパネル18の四隅が支持脚20に固定されるようになっているパネル固定方式の構造を採用することも考えられるが、パネルフリー方式のフロアパネル18とは異なる一般的ではない特殊なフロアパネルを用いる必要があり、また、敷設後のフロアパネル18の下側の床下空間の利用等をするには、フロアパネル18の支持脚20への固定を解除することが必要となるため、その手間が掛かるという問題があった。
【0021】
また、フロアパネル18の上に機器類を設置する場合には、そのフロアパネル18を機器類の配線のために着脱したり、機器類を固定するために加工したりする必要があり、その手間が掛かることにより、その設置にかかる費用が高くなるという問題があった。
【0022】
このため、機器類をフロアパネル18の上に設置するのではなく、基礎床面11の上に直接設置することも考えられるが、免震フレーム4やフリーアクセスフロア6がある基礎床面11の位置には機器類を設置することができないという問題があった。
【0023】
また、仮に免震フレーム4やフリーアクセスフロア6がない場所を作って、その場所の基礎床面11の上に機器類を直接設置した場合には、機器類と基礎床面11の間に免震フレーム4が設けられていないので、その機器類は免震フレーム4による免震動作を受けることができないという問題があった。
【0024】
また、機器類を免震フレーム4の上に設置する場合には、機器類の重量に耐えうるように予め免震フレーム4のフレーム8や連結リブ12、ブレース14の強度を高くしておく必要があり、その分重量が重くなると共に、機器類を固定するために加工したりする必要があるので、設置に手間が掛かるという問題があった。
【0025】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、その上部に配置されて固定される機器類が地震等により移動したり転倒するのを防止することができ、その設置や撤去、及び機器類の設置にかかる労力や費用を低減することができると共に、機器類が免震動作を受けることができる免震床構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明による免震床構造は、
上面に機器類を設置可能であると共に、下部に基礎床面に接触した免震部が設けられた免震架台を備えたことを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明による免震床構造は、
上面にフリーアクセスフロアを設置可能であると共に、下部に基礎床面に接触した免震部が設けられた免震構造体が、前記免震架台に隣接して設けられたことを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明による免震床構造は、
前記免震部はボールベアリング等の低摩擦体を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
このような本発明の免震床構造によれば、
上面に機器類を設置可能であると共に、下部に基礎床面に接触した免震部が設けられた免震架台を備えたことにより、
免震床構造の上部に配置されて固定される機器類が地震等により移動したり転倒するのを防止することができ、その設置や撤去、及び機器類の設置にかかる労力や費用を低減することができると共に、機器類が免震動作を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態に係る免震床構造40の一部を構成する免震架台42を示す正面図である。
【図2】図1に示す免震架台42の上面図である。
【図3】図2に示す免震架台42のA−A線矢視断面図である。
【図4】図2に示す枠体60の1つを示す図であって、図4(a)はその上面図、図4(b)はその側面図、図4(c)は図4(a)における枠体60のB矢視図である。
【図5】図1に示す免震架台42と免震フレーム24を組み合わせた免震床構造40を示す正面図である。
【図6】図5に示す免震床構造40の上面図である。
【図7】フリーアクセスフロア6と組み合わされた免震床構造40の正面図である。
【図8】従来の免震床構造である免震フレーム4を示す正面図である。
【図9】図8に示す免震フレーム4の上面図である。
【図10】図9に示す免震フレーム4におけるC−C線矢視拡大断面図である。
【図11】フリーアクセスフロア6と組み合わされた免震フレーム4の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る免震床構造を実施するための形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0032】
図1から図7は、本発明の一実施の形態に係る免震床構造40について説明するために参照する図である。これらの図に示す免震床構造40は、前記従来の免震床構造と同様の部分には同じ符号を付して説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は一部を除き省略するものとする。
【0033】
本発明の一実施の形態に係る免震床構造40は、図1に示すように、コンクリートスラブの平らな基礎床面11上に免震架台42が配置されており、この免震架台42の下部に設けられた免震部44の複数のボールベアリング46(低摩擦体)のそれぞれが、基礎床面11に接触して転がることができるようになっている。
【0034】
この免震床構造40の免震架台42は、図1から図3に示すように、鋼鉄製で、断面がL字状のアングル部材48,50,52,54,56(長尺部材)が、縦・横・高さの三方向に伸びるように組み合わされており、互いの接触する部分をネジ締結や溶接によって固定されることにより、外形形状の角部を結ぶ線の内側が直方体状となる骨組みにより形成されている。
【0035】
すなわち、図1から図3に示すように、免震床構造40の免震架台42は、アングル部材48,50,52が組み合わされて形成され、図2中上下方向に長さを有する略矩形の枠状に形成された、図4(a)から(c)に示すような枠体60を有する。
【0036】
枠体60は、図2に示すように、その長さが免震架台42の長さ方向(図中上下方向)に沿って配置され、図中上下2つの枠体60の上下方向中央部において互いに隣接する端部のそれぞれに設けられた、一対のアングル部材52同士が接触し、その接触部をネジ締結や溶接をすることによって、2つの枠体60は互いにその長さ方向に連結されるようになっている。
【0037】
そして、複数の枠体60はその長さ方向同士が互いに平行になるように、図中左右方向に間隔をおいて複数並んで配置されている。
【0038】
この免震架台42の枠体60は、図1,図3,図4(c)に示すような下部アングル部材48と、この下部アングル部材48の上方に断面が対称となるよう配置される上部アングル部材50と、以下のような連結アングル部材52とが組み合わされて構成されている。
【0039】
すなわち、図1,図3,図4(c)に示すように、連結アングル部材52は、その長さ方向両端部のそれぞれが、下部アングル部材48の上向き面48aと、上部アングル部材50の下向き面50aに突き当てられて、溶接により固定されることによって、下部アングル部材48と上部アングル部材50を同図中上下方向に連結するように設けられている。
【0040】
図1から図3に示すように、免震架台42は3本の枠体60の一端部同士を接続する接続アングル部材54を有し、この接続アングル部材54は、その長さ方向が枠体60の長さ方向に対して略垂直方向に伸びるように配置されて設けられている。
【0041】
このとき、図2中の免震架台42の上下両端部に配置される枠体60の長さ方向の各端部の先端面に、接続アングル部材54の断面が逆L字型の二辺のうちの一辺で、図1中上下方向に幅を有する辺の外側面が接触して、溶接により固定されている。
【0042】
そして、免震架台42は、図2に示すように、3本の枠体60の他端部同士を接続する接続アングル部材56を有し、この接続アングル部材56は、その長さ方向が枠体60の長さ方向に対して略垂直の方向になるように、隣合う枠体60間に配置されて設けられている。
【0043】
このとき、接続アングル部材56の長さ方向両端部が、連結アングル部材52の断面のL字の二辺のうち、枠体60の長さ方向と平行な辺の内側面に接触したり、又は上記両端部の一方が連結アングル部材52の断面のL字の二辺のうちの同じ辺の内側面に接触して、他方が上部アングル部材50の図3中縦方向の辺の外側面に接触した状態で、溶接により固定されている。
【0044】
図2において、免震架台42の複数の枠体60の中で、免震架台42の幅方向(図中左右方向)両端側に位置する枠体60の、上部アングル部材50の外側鉛直面には、図3に示すように、断面が逆さL字状に配置された取付アングル部材58の外側鉛直面が接触して、溶接により固定されている。
【0045】
そして、免震架台42は、枠体60の下部アングル部材48の底面の、長さ方向に一定の間隔をおいた位置のそれぞれに、図1,図3に示すような、免震部44が取付けられるようになっている。これらの免震部44は、その下部に設けられたボールベアリング46が、基礎床面11に接触して転がるようになっているため、免震架台42は基礎床面11上をどの水平方向にも自由に動くことができるようになっている。
【0046】
また、図5及び図6に示すように、免震架台42の水平方向の周囲には免震フレーム24(免震構造体)が配置されており、この免震フレーム24が有するフレーム8は、その下部に設けられたボールベアリング16が基礎床面11に接触して転がることができるようになっている。このため、免震フレーム24は基礎床面11上をどの水平方向にも自由に動くことができるようになっている。
【0047】
このような免震フレーム24は、中央部に免震架台42が配置される空間が形成される以外は、前記従来の免震床構造である免震フレーム4と同様の構成を有している。例えば、免震フレーム24は、前記従来の免震フレーム4と同様に、その四隅の角部と、部屋の壁やその隅部との間に、不図示のダンパやコイルバネが取付けられるようになっている。
【0048】
図5,図4(c)に示すように、免震架台42は、枠体60の下部アングル部材48の上向き面48aの高さが、免震フレーム24のフレーム8の上面8bの高さと略同一になっている。
【0049】
そして、図6に示すように、枠体60からその長さ方向外側に突出した下部アングル部材48の端部の上向き面48aからフレーム8の上面8bの上にわたって掛け渡される板状のプレート62の両端部が、ボルト等により下部アングル部材48とフレーム8に一体的に固定されることにより、免震架台42は免震フレーム24と連結されるようになっている。
【0050】
これにより、免震架台42は、免震フレーム24の中央部の空間に配置されて免震フレーム24に固定され、これら両者は一体的に基礎床面11上をどの水平方向にも自由に動くことができるようになっている。
【0051】
また、図1に示すように、免震架台42の免震部44には、その側部に板状に突出した突起部44aがそれぞれ形成されており、図6に示すように、その突起部44aに形成された貫通孔を通るボルト等の連結部材を介して、免震フレーム24に連結された連結リブ12及びブレース14に連結されるようになっている。
【0052】
なお、図6においては、免震床構造40の構成の説明の便宜上、免震架台42の取付アングル部材58と接続アングル部材54は、その図示を省略されている。
【0053】
免震架台42は、免震フレーム24に着脱可能に固定されるようになっているため、免震フレーム24が設置された後においても、免震フレーム24の中央部に免震架台42が配置される空間を設けることにより、免震架台42を免震フレーム24の中央に配置することができ、免震架台42に免震フレーム24の取付け、取外しを行なうことができるようになっている。
【0054】
また、逆に、免震架台42が設置された後においても、免震フレーム24を免震架台42に取付け、取外しを行なうことができるようになっている。
【0055】
また、図6に示す免震架台42の、枠体60により隠れて見えない免震部44の、その免震架台42の中央側に突出する突起部44aのそれぞれが、互いに形成された貫通孔を通るボルト等の連結部材を介して、免震フレーム24に連結されていない連結リブ12及びブレース14に連結されるようになっている。
【0056】
さらに免震架台42は、その骨組みが直方体状に形成されており、プレート62や連結リブ12、ブレース14により免震フレーム24が取付けられるようになっているため、免震架台42の上に設置される機器類の配線をする際に、その骨組み以外の部分がその妨げとならないようになっている。
【0057】
また、免震架台42は、複数の平行に配置された枠体60と、枠体60同士を接続する部材と、その下部に設けられた免震部44だけで構成することができるため、その部品点数を少なくすることができ、かつ、その軽量化を図ることができるようになっている。
【0058】
また、図7に示すように、免震架台42の水平方向の周囲の免震フレーム24のフレーム8上にはフリーアクセスフロア6が載置されて、そのフリーアクセスフロア6の支持脚20の下端部が免震フレーム24のフレーム8の上面8b上に固定されている。
【0059】
このとき、免震架台42の水平方向の外周に固定された接続アングル部材54や取付アングル部材58の、断面の逆L字型の二辺のうちの水平となっている辺の上面に、フリーアクセスフロア6のフロアパネル18の下面を載置することができ、免震架台42とフリーアクセスフロア6を一体化してそれらの間に隙間ができないようにすることができる。
【0060】
このとき、図7に示すように、免震架台42の枠体60の上部アングル部材50の上面の高さは、免震フレーム24上に固定されたフリーアクセスフロア6のフロアパネル18の上面18aの高さと略同一になっているので、それらの上面は同一水平面上に配置されている。
【0061】
また、免震架台42の接続アングル部材54や取付アングル部材58の上面に、フリーアクセスフロア6のフロアパネル18の下面を接触させて固定した部分には、その下にフリーアクセスフロア6の支持脚20を設ける必要がないため、部品点数を削減することができるようになっている。
【0062】
このような免震床構造40の免震架台42の上には、前記のような大きくて重い機器類を載置して固定することができ、このような機器類は免震フレーム24やフリーアクセスフロア6の上に載置するようにはなっていない。
【0063】
以上に説明したように、本実施の形態に係る免震床構造40によれば、大きくて重い機器類を免震フレーム24やフリーアクセスフロア6の上に載置するようにはなっていないため、免震フレーム24のフレーム8や連結リブ12、ブレース14、及びフリーアクセスフロア6のフロアパネル18や支持脚20の強度を高くする必要がないので、それらの強度を高くすることによりその重量が重くなることを防止することができる。
【0064】
また、免震架台42の上に上記のような機器類を載置して固定することができるため、地震等の発生時において、免震架台42が免震動作することにより機器類に伝えられる振動や変位が低減されると共に、免震架台42が揺れ動くことによりその上に位置する機器類が免震架台42に対して移動したり転倒するのを防止することができる。
【0065】
また、上記のような機器類を載置する際にフロアパネル18を着脱する必要がなく、また、フロアパネル18に機器類を設置するための加工をする必要もないため、それらの手間が掛かることがないので、機器類の設置にかかる費用を低減することができる。
【0066】
また、免震架台42の上に上記のような機器類を載置することができると共に、免震架台42は基礎床面11との間に、そのボールベアリング46が設けられているので、その機器類は免震架台42による免震動作を十分受けることができる。
【0067】
また、免震架台42は直方体状の骨組みの間に充分な開口部を有する構造になっているため、その開口部を用いて機器類の配線をすることができるので、フロアパネル18に配線用の大きな孔を設ける必要がなく、またその加工の手間が掛かることを防止することができる。
【0068】
なお、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、コンクリートスラブの平らな基礎床面11上に配置されるようになっていたが、その代わりに、ステンレス鋼板等の金属製の板をコンクリートスラブの上に敷設して、そのステンレス鋼板等の上面の平滑面を基礎床面として、その上に免震架台42等が配置されるようになっていてもよい。
【0069】
このようなステンレス鋼板等の金属製の板上面の平滑面を基礎床面とすることにより、コンクリートスラブの上面よりも平滑な基礎床面を容易に設けることができると共に、免震架台42の免震部44の下部に設けられたボールベアリング46を、コンクリートスラブの場合よりも円滑に転がすことができる。
【0070】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、その下部にボールベアリング46が設けられるようになっていたが、基礎床面に対する摩擦を小さくことができるようになっていれば、ボールベアリング46以外の低摩擦体が設けられるようになっていてもよい。
【0071】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、水平方向に対して免震動作をすることができる構造の免震部44を有するようになっていたが、水平方向だけでなく垂直方向に対しても免震動作をすることができる構造の免震部を有するようになっていてもよい。
【0072】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、枠体60がその長さ方向に2つずつ連結して配置されていると共に、その長さ方向に対して垂直方向に間隔をおいて互いに略平行になるように複数並んで配置されるようになっていたが、枠体60はその長さ方向に2つずつ連結しないで、1つずつ並んで配置されるようになっていてもよいし、3つ以上の枠体60が長さ方向に連結した状態で並んで配置されるようになっていてもよい。
【0073】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、枠体60の下部アングル部材48の上向き面48aの高さが、免震フレーム24のフレーム8の上面8bの高さと略同一になっており、それらの上に掛け渡される板状のプレート62を介して、ボルト等によりフレーム8に一体的に固定されるようになっていたが、免震架台42と免震フレーム24とを連結することができるようになっていれば、この実施の形態に限定されない。
【0074】
例えば、免震架台42は、その枠体60の下部アングル部材48の上向き面48aの高さが、免震フレーム24のフレーム8の上面8bの高さと略同一になっていなくてもよく、また、プレート62を介さずに、免震架台42の枠体60の下部アングル部材48の底面が免震フレーム24のフレーム8の上面8bに直接接触して固定されるようになっていてもよい。
【0075】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40における免震架台42は、その免震部44に、その側部に板状に突出した突起部44aがそれぞれ形成されており、その突起部44aに形成された貫通孔を通るボルト等の連結部材を介して、免震フレーム24に連結された連結リブ12及びブレース14に連結されるようになっていたが、免震架台42が免震フレーム24に連結されるようになっていれば、免震部44に突起部44aが形成されるようになっていなくてもよい。また、免震フレーム24の連結リブ12及びブレース14に連結されるようになっていなくてもよい。
【0076】
また、免震架台42は、前記実施の形態に係る構成のものに限定する必要はなく、本発明の効果を享受できるように構成されているものであれば、他のどのような構成の免震架台を用いてもよい。
【0077】
また、前記実施の形態に係る免震床構造40においては、従来の免震床構造と同様に、免震フレーム24の四隅の角部と、部屋の壁やその隅部との間に、ダンパやコイルバネが取付けられるようになっていたが、免震架台42の四隅の角部と、その外側に配置された免震フレーム24との間にも、それを可能にする構造を用いることにより、ダンパやコイルバネが取付けられるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
4 免震フレーム
6 フリーアクセスフロア
8 フレーム
8a 突起部
8b 上面
10 連結部材
11 基礎床面
12 連結リブ
14 ブレース
16 ボールベアリング
18 フロアパネル
18a 上面
20 支持脚
20a パネル調整台
20b 脚部
24 免震フレーム
40 免震床構造
42 免震架台
44 免震部
44a 突起部
46 ボールベアリング
48 下部アングル部材
48a 上向き面
50 上部アングル部材
50a 下向き面
52 連結アングル部材
54,56 接続アングル部材
58 取付アングル部材
60 枠体
62 プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に機器類を設置可能であると共に、下部に基礎床面に接触した免震部が設けられた免震架台を備えたことを特徴とする免震床構造。
【請求項2】
上面にフリーアクセスフロアを設置可能であると共に、下部に基礎床面に接触した免震部が設けられた免震構造体が、前記免震架台に隣接して設けられたことを特徴とする請求項1に記載の免震床構造。
【請求項3】
前記免震部はボールベアリング等の低摩擦体を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の免震床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−188853(P2012−188853A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53005(P2011−53005)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】