説明

入力インタフェース用ボタン、入力インタフェース及び携帯端末

【課題】表示する文字の視認性が高く、触覚による境界部の検出が容易な入力インタフェース用ボタン、及びこれを用いた入力インタフェース及び携帯端末を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの他のボタンと隣接してベースシートに固着される携帯端末の入力インタフェース用ボタンであって、少なくとも他のボタンと隣接する周縁の一つには、キートップ部12よりも低い薄肉部13が形成されており、ベースシート11との固着面又はベースシート11に印刷された文字を、キートップ部12及び薄肉部13を透過させて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に適用される入力ボタンに関し、特に、個々のボタンの占める面積を確保しつつ、隣接するボタン同士の境界を認識しやすくしたボタン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA、電子辞書、電卓、ノート型コンピュータ、電化製品のリモコンなどの携帯端末は、一般に複数のボタンからなる操作部を備えている。
【0003】
図8、図9に示すようにボタン間隔が広い構造の場合、ボタンとボタンとの間に桟となる部分が存在するため、隣接するボタンとの境界を指先で(換言すると触覚で)認識しやすい。しかし、端末の大きさに制約がある携帯端末では、操作部を設置できる面積が限られるため、ボタン間隔を広くするとボタン一個当たりの面積を小さくしなければならない。個々のボタンが小さくなると、ボタンに表示できる文字も小さくなるため、操作性が低くなるだけでなく、ボタンに表示された文字の視認性も低下してしまう。
【0004】
一方、図10、図11に示すようにボタン間隔を狭くすると、個々のボタンの面積を大きく取れるため、ボタンに表示する文字も大きくでき、視認性が向上する。しかし、ボタン同士の間に桟が存在しないために、隣接するボタンとの境界が触覚では認識しにくくなってしまう。
【0005】
電子機器に用いられるボタンの構造に関連する発明として、特許文献1に開示される「キートップ及びその製造方法」がある。
特許文献1に開示される発明は、キートップの外周部をなす外側キートップ片と中央部をなす内側キートップ片とを別々に形成し、それらを組み合わせた上で固着させることにより、キートップの表面に組み合わせデザイン面を形成するものである。
【特許文献1】特開2007−179952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される発明は、キートップの周縁部で外側キートップ片と内側キートップ片とを重ね合わせて固着しているため、十分な強度で固着できるようにすると厚さ寸法が増大してしまう。よって、端末の薄型化という市場のニーズに応えることが困難である。
【0007】
また、キートップの周縁に固着用の領域が必要となるため、キートップ面積を確保する妨げとなる。
【0008】
さらに、特許文献1に開示される発明は、キートップの表面に組み合わせデザイン面を形成するため、外側キートップ片と内側キートップ片とに異なる装飾を施す必要がある。
このような構成においてキートップの表面全体に文字を表示しようとすると、図12(a)に示すように、外側キートップ片及び内側キートップ片にまたがるように文字を表示することとなる。しかし、外側キートップ片と内側キートップ片とは装飾が異なるため、外側キートップ片及び内側キートップ片にまたがるように文字を表示すると、文字の視認性が低くなってしまう。その一方で、図12(b)に示すように内側キートップ片の領域に収まるように文字を表示すると、文字のサイズが小さくなってしまい、やはり文字の視認性が低くなってしまう。
【0009】
本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、表示する文字の視認性が高く、触覚による境界部の検出が容易な入力インタフェース用ボタン、及びこれを用いた入力インタフェース及び携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、少なくとも一つの他のボタンと隣接してベースシートに固着される携帯端末の入力インタフェース用ボタンであって、
少なくとも他のボタンと隣接する周縁の一つには、キートップ部よりも低い薄肉部が形成されており、ベースシートとの固着面又はベースシートに印刷された文字をキートップ部及び薄肉部を透過させて表示することを特徴とする入力インタフェース用ボタンを提供するものである。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様に係る入力インタフェース用ボタンを備えた入力インタフェースを提供するものである。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記本発明の第2の態様に係る入力インタフェースを備えた携帯端末を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示する文字の視認性が高く、触覚による境界部の検出が容易な入力インタフェース用ボタン、及びこれを用いた入力インタフェース及び携帯端末を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係るボタン構造を示す。
ベースシート11には、複数のボタンからなる操作部10が設けられている。図2(a)に示すように、本実施形態に係るボタン構造では、ボタンとボタンとの間は図9に示した構成と同様に狭くなっている。ボタンの外周には薄肉部13が設けられており、中央のキートップ部12と比べて一段低くなっている。各々のボタンは透明な樹脂で形成されているとともに、割り当てられた機能等を示す文字は、裏面側から印刷されており、ボタンを透過して視認可能となっている。
【0015】
薄肉部13の幅やキートップ部12との高低差は、薄肉部13の存在を触覚的に認識可能な寸法であれば良く、特定の数値に限定されることはない。また、薄肉部13からキートップ部12が立ち上がる角度(図2(b)における角A)は任意ではあるが、直角に近い角度であることが好ましい。
【0016】
図2(a)に示すように、ボタン同士の境界部分では、薄肉部13同士が隣接するため、桟と同様の役割が果たされて境界が触覚的に認識されやすくなる。すなわち、薄肉部13が存在することによって立体的な段差が形成されているため、ボタン同士の境界は指先などでも認識可能である。
【0017】
また、ボタンの表側に文字を印刷する場合にはキートップ部12が占める領域内に文字を印刷しなければならないが、本実施形態ではボタンの裏側に印刷を施すため、キートップ部12のみならず薄肉部13が占める領域にも文字を印刷できる。よって、文字の大きさが同じであればボタンにより多くの文字を表示することが可能であり、同じ文字数であればより大きい文字で表示することが可能である。
【0018】
このように、本実施形態に係るボタン構造では、薄肉部によって段差が形成されているため、指先の感覚でのボタンの境界の認識性を高めることができる。
また、ボタン内に表示する文字の視認性を低下させることがない。
【0019】
さらに、本実施形態では全てのボタンが同じ形状であるので、部品の共通化によって製造コストを低減できる。
【0020】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。図3、図4に本実施形態に係るボタン構造を示す。第1の実施形態と同様に、ベースシート11には、複数のボタンからなる操作部10が設けられている。
【0021】
本実施形態においては、他のボタンと隣接する側にのみ薄肉部13が形成されている。従って、他のボタンに四方を囲まれていないボタンに関しては、キートップ部12の面積を第1の実施形態よりも広く確保できる。このため、操作部10の操作性を高めることができる。
【0022】
また、第1の実施形態と同様に、薄肉部13が存在することによって段差が形成されているため、指先の感覚でのボタンの境界の認識性を高めることができ、かつボタンに表示する文字の視認性を低下させることがない。
【0023】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図5、図6に本実施形態に係るボタン構造を示す。第1の実施形態と同様に、ベースシート11には、複数のボタンからなる操作部10が設けられている。
【0024】
本実施形態においては、他のボタンと隣接するボタンの一方のみに薄肉部13が形成されており、他方には薄肉部13が形成されていない。従って、薄肉部13が形成されていないボタンに関しては、キートップ部12の面積を第1の実施形態よりも広く確保できる。このため、操作部10の操作性を高めることができる。
【0025】
また、第1の実施形態と同様に、薄肉部13が存在することによって段差が形成されているため、指先の感覚でのボタンの境界の認識性を高めることができ、かつボタンに表示する文字の視認性を低下させることがない。
【0026】
ここでは薄肉部13を備えたボタンと備えないボタンとの2種類を用いる構成を例としたが、図7に示すように各ボタンの必要な部分のみに薄肉部13を形成するようにしても良い。
【0027】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記各実施形態においては、ボタンが縦横に直角に整列した構成を例に説明したが、コンピュータ端末のキーボードのようにボタンが縦方向に関して斜めに整列するように配置されている場合でも適用可能である。
また、ボタンに表示刷る文字は、ボタンの裏側ではなくベースシートに印刷されていても良いことは言うまでもない。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るボタン構造を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るボタン構造のA−A断面を示す図である。
【図3】本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るボタン構造を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るボタン構造のB−B断面を示す図である。
【図5】本発明を好適に実施した第3の実施形態に係るボタン構造を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係るボタン構造のC−C断面を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係るボタン構造を示す図である。
【図8】本発明に関連するボタン構造を示す図である。
【図9】本発明に関連するボタン構造のD−D断面を示す図である。
【図10】本発明に関連するボタン構造を示す図である。
【図11】本発明に関連するボタン構造のE−E断面を示す図である。
【図12】特許文献1に開示される発明において、キートップに文字を表示した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 操作部
11 ベースシート
12 キートップ部
13 薄肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの他のボタンと隣接してベースシートに固着される携帯端末の入力インタフェース用ボタンであって、
少なくとも前記他のボタンと隣接する周縁の一つには、キートップ部よりも低い薄肉部が形成されており、
前記ベースシートとの固着面又は前記ベースシートに印刷された文字を前記キートップ部及び前記薄肉部を透過させて表示することを特徴とする入力インタフェース用ボタン。
【請求項2】
前記薄肉部から前記キートップ部が立ち上がる角度が略直角であることを特徴とする請求項1記載の入力インタフェース用ボタン。
【請求項3】
前記キートップ部を囲むように前記薄肉部が形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の入力インタフェース用ボタン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の入力インタフェース用ボタンを備えた入力インタフェース。
【請求項5】
請求項1又は2記載の入力インタフェース用ボタンを備えた入力インタフェースであって、
各々の入力インタフェース用ボタンには、入力インタフェース用ボタン同士が隣接する箇所において、一方の入力インタフェース用ボタンにのみ前記薄肉部が存在するように前記薄肉部が形成されていることを特徴とする入力インタフェース。
【請求項6】
前記携帯端末の入力インタフェース用ボタンがマトリックス状に縦横に整列して配列されたことを特徴とする請求項4又は5記載の携帯端末の入力インタフェース。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1項記載の携帯端末の入力インタフェースを備えた携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−86850(P2010−86850A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256215(P2008−256215)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】