説明

入力システム

【課題】携帯端末本体を操作しなくても入力操作を簡便に行うことができる入力システムの提供。
【解決手段】近距離通信機能を有する携帯端末装置と、使用者の身体に装着する指輪などの物品と、で構成される入力システムにおいて、前記物品は、物品本体と、前記物品本体の動きを検知して軌跡を求め、文字又は図形として認識するジェスチャ認識装置と、前記ジェスチャ認識装置で認識した文字又は図形を、前記携帯端末装置に送信する近距離通信装置と、を備え、前記携帯端末装置は、前記物品から受信した文字又は図形に対応する操作を判別し、当該操作に基づく処理を実行する操作判別部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力システムに関し、特に、携帯端末装置と使用者の身体に装着する物品とを備える入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機などの携帯端末装置は、通話機能や電子メール機能に加えて、カメラ機能やプロジェクタ機能などの様々な機能を備えているものが多い。このような各種機能を利用する場合、メニュー操作や文字入力操作は携帯端末装置本体で行わなければならず煩雑である。このような背景から、入力操作を簡便にする方法の提案が求められている。
【0003】
携帯端末装置とは分野が異なるが、車載機器の入力操作を簡略化する技術として、例えば、下記特許文献1には、複数の操作項目を有する機器を操作するためのものであって、前記複数の操作項目のうち、ユーザが選択可能な操作項目を予め定められた順序に従って所定間隔で1つずつ自装置の操作対象として選択する選択手段と、前記操作対象を選択する間隔に合わせて、現在操作対象となっている操作項目をユーザに通知する通知手段と、ユーザからの各種指示を入力する指示入力手段と、この指示入力手段で所定の選択指示が入力されたときに前記操作対象となっている操作項目に基づき前記機器に対する操作を行う手段とを具備する入力インターフェース装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−164814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術を携帯端末装置に応用することにより、入力操作を簡略化することは可能である。しかしながら、上記技術は画像入力装置で取得した指の画像を処理して操作を認識するものであり、このような画像処理を携帯端末装置で行うと、携帯端末装置の構成が複雑になると共に、携帯端末装置の他の機能の動作に支障が生じる。
【0006】
また、上記技術はハンドルを握る指の画像を撮像するものであるため、画像入力装置は一定の方向を撮像すればよいが、携帯端末装置のカメラ機能を利用する場合、使用者の特定の部位を常に撮像することはできない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、携帯端末装置本体を操作しなくても入力操作を簡便に行うことができる入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、近距離通信機能を有する携帯端末装置と、使用者の身体に装着する物品と、で構成される入力システムにおいて、前記物品は、物品本体と、前記物品本体の動きを検知して軌跡を求め、文字又は図形として認識するジェスチャ認識装置と、前記ジェスチャ認識装置で認識した文字又は図形を、前記携帯端末装置に送信する近距離通信装置と、を備え、前記携帯端末装置は、前記物品から受信した文字又は図形に対応する操作を判別し、当該操作に基づく処理を実行する操作判別部を備えるものである。
【0009】
また、本発明は、近距離通信機能を有する携帯端末装置と、使用者の身体に装着する物品と、で構成される入力システムにおいて、前記物品は、物品本体と、前記物品本体の動きを検知して軌跡を求めるジェスチャ認識装置と、前記ジェスチャ認識装置で求めた軌跡を、前記携帯端末装置に送信する近距離通信装置と、を備え、前記携帯端末装置は、前記物品から受信した軌跡を文字又は図形として認識し、認識した文字又は図形に対応する操作を判別し、当該操作に基づく処理を実行する操作判別部を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の入力システムによれば、携帯端末本体を操作しなくても入力操作を簡便に行うことができる。その理由は、Bluetoothなどの近距離無線通信機能を備えた携帯端末装置と、指輪などの使用者の身体に装着する物品とを備える入力システムにおいて、上記物品に近距離通信装置とジェスチャ認識装置とを設け、ジェスチャ認識機能は物品の動きに基づいて文字や図形を認識し、認識した文字や図形を近距離通信装置により携帯端末装置に送信し、携帯端末装置では、受信した文字や図形に対応する操作を判別し、その操作に基づく処理を実行する制御を行うからである。
【0011】
また、ジェスチャ認識機能は物品の動きに基づいて軌跡を求め、求めた軌跡を近距離通信装置により携帯端末装置に送信し、携帯端末装置では、受信した軌跡を文字や図形として認識し、認識した文字や図形に対応する操作を判別し、その操作に基づく処理を実行する制御を行うからである。
【0012】
これにより、携帯端末装置本体から離れた場所から携帯端末装置のメニュー操作やスクロール操作、文字入力操作などを実行することができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る入力システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る指輪に設けられるジェスチャ認識装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、近年の携帯端末装置には様々な機能が設けられており、それらの機能を実行するためには携帯端末装置本体を操作しなければならず、操作が煩雑になるという問題がある。
【0015】
この問題に対して、特許文献1のように、使用者の身体の動きを画像認識して、その動きに対応する操作を実行することも可能であるが、この方法では装置の構成が複雑になると共に他の機能の動作に支障が生じる。また、携帯端末装置のカメラ機能を用いて常に使用者の特定部分を撮像するのは困難である。
【0016】
そこで、本発明の一実施の形態では、Bluetoothなどの近距離通信機能を備えた携帯端末装置と、指輪などの使用者の身体に装着する物品とを備える入力システムにおいて、上記物品に近距離通信装置とジェスチャ認識装置とを設け、ジェスチャ認識装置は物品の動きに基づいて文字や図形を認識し、その文字や図形を近距離通信装置を用いて携帯端末装置に送信し、携帯端末装置では、文字や図形に対応する操作を判別し、その操作に基づく処理を実行する制御を行う。
【0017】
これにより、携帯端末装置に高度な画像処理を行わせることなく、入力操作を簡便に行うことが可能となる。
【実施例】
【0018】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る入力システムについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本実施例の入力システムの構成を模式的に示す図である。また、図2は、本実施例の携帯端末装置の構成を示すブロック図であり、図3は、本実施例のジェスチャ認識装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例の入力システムは、携帯電話機やPDA(Personal Digital Cellular)などの携帯端末装置10と、使用者の身体に装着する物品(いわゆる装身具、本実施例では指輪20とする。)とで構成される。
【0020】
また、図2に示すように、携帯端末装置10は、制御部11、無線通信部12、近距離通信部13、カメラ部14、音声処理部15、表示部16、操作部17、記憶部18、電源(図示せず)などを備えている。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリとで構成される。CPUは、電話機能、メール機能、インターネット(web)接続機能、カメラ機能、その他の携帯端末装置の有する機能や各部の制御を行う。メモリは、記憶部18から読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分であり、記憶されたデータはCPUによって処理され、必要に応じて記憶部18に転送される。
【0022】
また、制御部11は、記憶部19に予め記憶したテーブルを参照して、指輪20から送信された文字や図形に対応する操作を判別して実行する操作判別部11aとしても機能する。この操作判別部11aはハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを上記操作判別部11aとして機能させる制御プログラムとして構成し、当該制御プログラムを制御部11上で動作させる構成としてもよい。
【0023】
無線通信部12は、アンテナを介して無線基地局装置との間で無線により情報の送受を行う。
【0024】
近距離通信部13は、2.45GHz帯の電波を利用したBluetoothや赤外線通信技術などを用いて、指輪20の近距離通信装置23と交信し、指輪20のジェスチャ認識装置22で認識した文字や図形を受信する。
【0025】
カメラ部14は、画像情報の取得(撮影)を行う。
【0026】
音声処理部15は、送話部(マイク15b)および受話部(スピーカ15a)を介して入出力された音声信号の処理を行う。
【0027】
表示部16は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、画像、図形、文字、記号などの情報表示出力(映像信号処理)を行う。
【0028】
操作部17は、テンキー、スクロールキー、十字キー、決定キー等から構成され、携帯端末装置10に対する各種情報の入力を可能にする。
【0029】
記憶部19は、フラッシュメモリ等からなり、電話帳情報、送受信メール情報、発着呼情報、アプリケーションプログラム情報、撮影画像、及び携帯端末装置10の諸設定、文字や図形と操作とを対応付けるテーブルなどを格納する。
【0030】
また、指輪20は、使用者の身体(指)に装着する指輪本体21、ジェスチャ認識装置22、近距離通信装置23、電源(図示せず)などを備えている。
【0031】
ジェスチャ認識装置22は、指輪本体21に固定され、使用者の指の動作(ジェスチャ)を認識する。具体的には、図3に示すように、動作検知部22a、ジェスチャ判定部22b、記憶部22cなどで構成される。動作検知部22aは、加速度センサなどで構成され、使用者の指の動作(ジェスチャ)を検出してジェスチャ判定部22bに送信する。ジェスチャ判定部22bは、加速度センサの出力と時間から移動距離と移動方向を算出して座標に変換し、各座標を繋ぎ合わせた軌跡を求め、記憶部22cに予め記憶したテーブルを参照して文字や図形を特定する。記憶部22cは、対象となる文字や図形の形状を記憶する。
【0032】
近距離通信装置23は、Bluetoothなどを用いて、携帯端末装置10の近距離通信部13と交信し、ジェスチャ認識装置22で認識した文字や図形を携帯端末装置10に送信する。
【0033】
なお、図1乃至図3は本実施例の一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。例えば、図1では、指輪本体21の周囲にジェスチャ認識装置22と近距離通信装置23を配置したが、指輪本体21の内部にこれらの装置を埋め込んでもよい。
【0034】
以下、本実施例の入力システムの動作について説明する。
【0035】
まず、使用者は指輪20の指輪本体21を指に装着する。また、指輪20のジェスチャ認識装置22や近距離通信装置23を動作させるためのスイッチが設けられている場合は、当該スイッチをオンする。また、携帯端末装置10の近距離通信部13を機能させるためのスイッチが設けられている場合は、当該スイッチをオンする。
【0036】
次に、使用者は指を動かし、予め定めた所定のジェスチャを行う。なお、指の動かし方は任意であり、例えば、指で文字や図形などを描いたり、指を上下や左右に振るなどの動作を行う。
【0037】
すると、指輪20のジェスチャ認識装置22は、使用者の指の動きを検出し、加速度センサの出力と時間から移動距離と移動方向を算出して軌跡を求め、記憶部22cに予め記憶したテーブルを参照して、指先が描いた軌跡を文字や図形として認識する。
【0038】
次に、指輪20の近距離通信装置23は、ジェスチャ認識装置22が認識した文字や図形を携帯端末装置10の近距離通信部13に送信する。
【0039】
携帯端末装置10の制御部11(操作判別部11a)は、記憶部18に予め記憶したテーブルを参照して、指輪20から受信した文字や図形に対応する操作を判別し、その操作に基づく処理を実行する。
【0040】
例えば、使用者が「M」、「め」、「メ」などの文字や特定の図形を描いた場合は、操作判別部11aはメニュー操作であると判別し、メニュー画面を表示部16に表示させる。また、使用者が指を上下や左右に振る動作をした場合は、操作判別部11aは画面のスクロール操作であると判別し、画面をスクロールさせる。また、メール作成の場合は、指輪20から受信した文字や図形を本文に挿入する。
【0041】
このように、ジェスチャ認識装置22を備える指輪20を動かすと、指輪20の動きが文字や図形として認識されて携帯端末装置10に送信され、携帯端末装置10では、その文字や図形に対応する操作を判別して実行するため、使用者は携帯端末装置10の操作部17を操作しなくても特定の操作を行うことができ、簡便に入力操作を実行することができる。
【0042】
なお、上記説明では、指輪20のジェスチャ認識装置22で文字又は図形を認識する構成としたが、ジェスチャ認識装置22は、使用者の指先が描いた軌跡をそのまま軌跡情報として認識し、その軌跡情報を携帯端末装置10に送信しても良い。その場合、携帯端末装置10の記憶部18に軌跡情報と文字や図形とを対応付けるテーブルを記憶しておき、操作判別部11aは、このテーブルを参照して文字や図形を認識すればよい。
【0043】
また、上記実施例では、ジェスチャ認識装置22を備えた指輪20を1つ用いたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、ジェスチャ認識装置22を備えた指輪20を複数の指に装着し、複数の指の動作でジャスチャを行ってもよい。また、上記実施例では、指輪20にジェスチャ認識装置22と近距離通信装置23とを設けたが、時計などに同様の機能を持たせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、近距離通信機能を用いて、使用者の身体に装着する物品と携帯通信端末との間で通信を行う任意の入力システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 携帯端末装置
11 制御部
11a 操作判別部
12 無線通信部
13 近距離通信部
14 カメラ部
15 音声処理部
15a スピーカ
15b マイク
16 表示部
17 操作部
18 記憶部
20 指輪
21 指輪本体
22 ジェスチャ認識装置
22a 動作検知部
22b ジェスチャ判定部
22c 記憶部
23 近距離通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信機能を有する携帯端末装置と、使用者の身体に装着する物品と、で構成される入力システムにおいて、
前記物品は、物品本体と、前記物品本体の動きを検知して軌跡を求め、文字又は図形として認識するジェスチャ認識装置と、前記ジェスチャ認識装置で認識した文字又は図形を、前記携帯端末装置に送信する近距離通信装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、前記物品から受信した文字又は図形に対応する操作を判別し、当該操作に基づく処理を実行する操作判別部を備える、ことを特徴とする入力システム。
【請求項2】
近距離通信機能を有する携帯端末装置と、使用者の身体に装着する物品と、で構成される入力システムにおいて、
前記物品は、物品本体と、前記物品本体の動きを検知して軌跡を求めるジェスチャ認識装置と、前記ジェスチャ認識装置で求めた軌跡を、前記携帯端末装置に送信する近距離通信装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、前記物品から受信した軌跡を文字又は図形として認識し、認識した文字又は図形に対応する操作を判別し、当該操作に基づく処理を実行する操作判別部を備える、ことを特徴とする入力システム。
【請求項3】
前記文字又は図形に対応する操作とは、メニュー操作、スクロール操作、文字入力操作のいずれかである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の入力システム。
【請求項4】
前記物品本体は、指輪である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−221669(P2011−221669A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88099(P2010−88099)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】