説明

入力制御装置

【課題】操作体の傾倒操作によってアナログ信号とスイッチオン信号を選択的に出力させることができる入力制御装置を提供すること。
【解決手段】入力制御装置は、基台4に揺動可能に支持された下側揺動体5と、下側揺動体5に揺動可能に支持された上側揺動体2と、上側揺動体2の軸部2aに取り付けられて一体的に揺動する操作ノブ1と、下側揺動体5の揺動を検出するタクティールスイッチ6と、上側揺動体2の揺動を検出するフォースセンサ9と、検出信号に基づいて所定の制御信号を生成する制御手段10とを備えている。操作ノブ1が任意方向へ傾倒操作されると、上側揺動体2が下側揺動体5に先行して揺動し、フォースセンサ9が加圧力に応じたアナログ信号を出力する。また、操作ノブ1が所定の傾倒角度を越えて傾倒操作されると、下側揺動体5が上側揺動体2と一体的に揺動するため、タクティールスイッチ6がスイッチオン信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作体を任意方向へ傾倒操作することにより、該操作体の傾倒方向や傾倒量に応じた制御信号を生成可能な入力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の入力制御装置の一例として、タクティールスイッチの周囲に複数の感圧抵抗体を配設した基板と、各感圧抵抗体が個別に押圧可能な複数の押圧突起部を有して基板上で揺動可能な揺動体と、傾倒操作可能かつ押下操作可能に支持されて傾倒操作時に揺動体と一体的に揺動(傾動)する操作体とを備えた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記感圧抵抗体は、接点対を橋絡する感圧導電ゴムの内部抵抗が加圧力に応じて変化するという抵抗素子である。かかる従来例において、ユーザが操作体を任意方向へ傾倒操作すると、傾倒方向またはその近傍に位置する押圧突起部が感圧抵抗体(感圧導電ゴム)を押し込むため、この感圧導電ゴムの内部抵抗が減少して対応する接点対間の抵抗値が減少する。つまり、感圧抵抗体と揺動体の押圧突起部とによって加圧力をアナログ的に検出するフォースセンサが構成されているため、操作体の傾倒方向および傾倒量に応じたアナログ信号を該フォースセンサから制御手段に出力することができる。また、ユーザが操作体を押下操作すると、揺動体は駆動されないが、タクティールスイッチの可動接点が駆動されて固定接点に当接するため、このタクティールスイッチからスイッチオン信号を制御手段に出力することができる。
【0003】
また、他の従来例として、操作体を傾倒操作すると傾倒方向に応じて異なるタクティールスイッチが駆動され、操作体を回転操作すると可変抵抗器が駆動されるように構成した入力制御装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。このものは、操作体の傾倒量に応じた制御信号を生成することはできないが、操作体の傾倒操作によって傾倒方向に応じたスイッチオン信号を出力させることができ、かつ、操作体の回転操作によって回転量に応じたアナログ信号を出力させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−278695号公報
【特許文献2】特開2007−257852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されている従来の入力制御装置では、操作体を傾倒操作することでアナログ信号とスイッチオン信号を選択的に出力させるという使い方ができないため、運転中のユーザによって操作される機会の多い車載用制御機器などに適用した場合、円滑な操作を行いにくいという問題があった。例えば、カーナビゲーションにおいて、液晶モニタに表示されている地図情報をスクロールする際には、フォースセンサのアナログ信号によって表示画面の移動速度を連続的に調整できると便利であるが、表示画面を切り替える際にはタクティールスイッチをオンさせる切替動作が便利なので、操作体の傾倒操作だけでこれら2種類の制御が明確に区別して行えるようになっていれば、運転中のユーザにとって操作性が大幅に高まり、ひいては運転中の安全性も向上するものと思われる。つまり、前述した従来例では、相前後して行われることの多い2種類の操作内容(画面スクロールと画面切替)を実行する際に、傾倒操作と押下操作あるいは回転操作を使い分けねばならないため、操作性が良好とは言い難かった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、操作体の傾倒操作によってアナログ信号とスイッチオン信号を選択的に出力させることができる入力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、基台と、この基台に対して揺動可能な揺動体と、この揺動体に取り付けられて傾倒操作時に該揺動体と一体的に揺動する操作体と、前記揺動体の揺動を検出する検出手段と、この検出手段から出力される検出信号に基づいて所定の制御信号を生成する制御手段とを含む入力制御装置において、前記揺動体が、前記基台に揺動可能に支持された下側揺動体と、この下側揺動体に揺動可能に支持された上側揺動体とを備えていると共に、前記検出手段が、前記基台と前記下側揺動体との間に介設されて該下側揺動体の揺動を検出する下側センサと、前記下側揺動体と前記上側揺動体との間に介設されて該上側揺動体の揺動を検出する上側センサとを備えており、かつ、前記下側センサと前記上側センサの一方がタクティールスイッチで他方がフォースセンサであるという構成にした。
【0008】
このように構成された入力制御装置は、操作体を任意方向へ傾倒操作すると、まず下側揺動体と上側揺動体のうち相対的に揺動しやすい一方の揺動体が先に揺動するため、その揺動をタクティールスイッチとフォースセンサのいずれか一方によって検出することができる。また、操作体をさらに傾倒操作し、前記一方の揺動体を介して他方の揺動体を所定角度揺動させると、その揺動をタクティールスイッチとフォースセンサのいずれか他方によって検出することができる。したがって、操作体を傾倒操作するだけで、フォースセンサからのアナログ信号とタクティールスイッチからのスイッチオン信号とを選択的に出力させることができる。また、タクティールスイッチはオン動作時にクリック感を生起するため、スイッチオン信号が出力されたことをユーザは明瞭に感得することができる。つまり、タクティールスイッチがオン動作する前と後の動作を明確に区別できるため、この入力制御装置は、操作体の傾倒操作のみによって2種類の操作内容を混乱なく実行することができる。
【0009】
上記の構成において、操作体の傾倒操作時に上側揺動体が下側揺動体に先行して揺動し、操作体が所定の傾倒角度を越えると、上側揺動体と下側揺動体とが一体的に揺動するようにしてあると、操作体に要求される最大傾倒角度を抑制することができて好ましい。
【0010】
また、上記の構成において、制御手段が、タクティールスイッチがオフ状態でフォースセンサからアナログ信号が出力されたときに、このアナログ信号に基づく所定の制御信号を生成し、タクティールスイッチがオン状態のときにはフォースセンサからのアナログ信号を無効となすように設定されていると、タクティールスイッチがオン状態のときに、アナログ信号に基づく制御が意図せず行われることを防止できる。ただし、タクティールスイッチがオン状態のときにもフォースセンサからのアナログ信号を有効にしておくことで多機能化を図ることも可能である。
【0011】
また、上記の構成において、フォースセンサが、感圧抵抗体と該感圧抵抗体に圧接して弾性変形可能な突状ゴム部材とによって構成されていると、突状ゴム部材が感圧抵抗体を加圧する際に応力を分散させることができるため、フォースセンサの信頼性や寿命の向上が図れて好ましい。この場合において、上側揺動体と下側揺動体の対向面、または下側揺動体と基台の対向面のうち、フォースセンサが介在されている対向面には、該対向面の一方が他方に対して所定角度以上傾かないように規制するためのストッパ部が設けられていることが好ましく、こうすることによって操作ノブに強い操作力が作用した場合でもフォースセンサが過度に加圧されなくなるため、フォースセンサが損傷しにくくなって長寿命化を期待できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の入力制御装置は、基台に揺動可能に支持された下側揺動体の揺動を検出する下側センサと、下側揺動体に揺動可能に支持された上側揺動体の揺動を検出する上側センサとを備え、これら2種類のセンサは一方がタクティールスイッチで他方がフォースセンサであるため、操作体を傾倒操作していずれか一方の揺動体を揺動させたときに、その揺動をいずれか一方のセンサ(例えばフォースセンサ)で検出することができる。また、操作体をさらに傾倒操作し、前記一方の揺動体を介して他方の揺動体を所定角度揺動させたときに、その揺動を他方のセンサ(例えばタクティールスイッチ)で検出することができる。したがって、操作体を傾倒操作するだけで、フォースセンサからのアナログ信号とタクティールスイッチからのスイッチオン信号を選択的に出力させることができる。また、タクティールスイッチはオン動作時にクリック感を生起するため、スイッチオン信号が出力されたことをユーザは明瞭に感得することができる。つまり、タクティールスイッチがオン動作する前と後の動作を明確に区別できるため、この入力制御装置は、操作体の傾倒操作のみによって2種類の操作内容を混乱なく実行することができる。それゆえ、この入力制御装置を例えば車載用制御機器に適用した場合、運転中のユーザの操作性を大幅に高めることができて、安全性向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る入力制御装置を天板部を省略して示す斜視図である。
【図2】第1実施形態例に係る入力制御装置の断面図である。
【図3】第1実施形態例に係る入力制御装置の制御系統を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態例に係る入力制御装置の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態例に係る入力制御装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の第1実施形態例に係る入力制御装置について図1〜図3を参照しつつ説明する。
【0015】
これらの図に示す入力制御装置は、操作ノブ1を任意方向へ傾倒操作することによって制御手段10が種々の制御信号を生成し、この制御信号によってカーナビゲーション等の外部機器11を操作できるというものである。
【0016】
操作ノブ1は上側揺動体2の軸部2aの先端部に取り付けられており、この軸部2aは筐体3の天板部3aの開口3bを貫通して上方へ突出している。筐体3の内底部には基台4が載置固定されており、基台4から筐体3の外部へ導出された図示せぬ端子部が制御手段10と接続されている。基台4は下側揺動体5を揺動可能に支持しており、下側揺動体5は上側揺動体2を揺動可能に支持している。すなわち、基台4の上面に設けられた受け部4aが、下側揺動体5の下面中央部に突設された支点部5aを回動可能に支持しているため、下側揺動体5は基台4に対して任意方向へ揺動可能である。また、下側揺動体5の上面に設けられた受け部5bが、上側揺動体2の下面中央部に突設された支点部2bを回動可能に支持しているため、上側揺動体2は下側揺動体5に対して任意方向へ揺動可能である。
【0017】
基台4の上面の受け部4aの周囲には、4つのタクティールスイッチ6が周方向に等間隔(90度間隔)に配設されている。このタクティールスイッチ6は、所定の押下操作力を加えると可動接点が固定接点に当接してスイッチオン信号を出力し、このオン動作時にクリック感を生起するという公知のスイッチ素子である。ただし、押下操作力が取り除かれるとタクティールスイッチ6は自身の弾性でオフ状態に自動復帰する。本実施形態例では、下側揺動体5の外周部の4箇所と基台4との間にそれぞれタクティールスイッチ6が介設されているため、下側揺動体5を揺動させると、その揺動方向に応じて1つまたは2つのタクティールスイッチ6から前記端子部へスイッチオン信号が出力されるようになっている。なお、基台4と下側揺動体5は図示せぬ可撓性ケーブルによって電気的な接続が常時保たれている。
【0018】
下側揺動体5の上面の受け部5bの周囲には、4つの感圧抵抗体7が周方向に等間隔(90度間隔)に配設されている。この感圧抵抗体7は、接点対を橋絡する感圧導電ゴムの内部抵抗が加圧力に応じて変化するという公知の抵抗素子である。また、上側揺動体2の下面の支点部2bの周囲には、半球状に形成された4つの突状ゴム部材8が周方向に等間隔(90度間隔)に配設されている。各突状ゴム部材8は各感圧抵抗体7の真上に位置してその感圧導電ゴムが加圧可能であり、対応する突状ゴム部材8と感圧抵抗体7とによって加圧力をアナログ的に検出するフォースセンサ9が構成されている。本実施形態例では、上側揺動体2の外周部の4箇所と下側揺動体5との間にそれぞれフォースセンサ9が介設されているため、上側揺動体2を下側揺動体5に対して揺動させると、その揺動方向に応じて1つまたは2つのフォースセンサ9(感圧抵抗体7)からアナログ信号が前記可撓性ケーブルを介して前記端子部へ出力されるようになっている。なお、突状ゴム部材8が対応する感圧抵抗体7の感圧導電ゴムを加圧する際に、この突状ゴム部材8は弾性変形する。
【0019】
上側揺動体2の上面中央部には軸部2aが突設されており、この軸部2aの先端部に操作ノブ1が取り付けられているため、操作ノブ1が任意方向へ傾倒操作されると、上側揺動体2は操作ノブ1と一体的に揺動(傾動)する。それゆえ、かかる傾倒操作によって、特定のフォースセンサ9(感圧抵抗体7)からアナログ信号を出力させることができる。また、傾倒操作時に操作ノブ1が所定の傾倒角度を越えると、上側揺動体2と下側揺動体5とが一体的に揺動(傾動)するため、特定のタクティールスイッチ6からスイッチオン信号を出力させることができる。
【0020】
図3に示すように、制御手段10は、カーナビゲーション等の外部機器11や液晶モニタ等の表示手段12に接続されており、これら外部機器11や表示手段12に対して制御信号を出力する。この制御手段10は前記端子部に接続されているため、各感圧抵抗体7から検出信号としてアナログ信号が出力されると該アナログ信号が制御手段10に供給され、各タクティールスイッチ6から検出信号としてスイッチオン信号が出力されると該スイッチオン信号が制御手段10に供給されるようになっている。制御手段10はこれらの検出信号に基づいて前記制御信号を生成する。また、この制御手段10は、全てのタクティールスイッチ6がオフ状態でフォースセンサ9からアナログ信号が出力されたときに、このアナログ信号に基づく所定の制御信号を生成し、いずれかのタクティールスイッチ6がオン状態のときには全てのフォースセンサ9からのアナログ信号を無効となすように設定されている。
【0021】
次に、本実施形態例に係る入力制御装置の動作について説明する。ユーザが操作ノブ1を任意方向へ傾倒させると、上側揺動体2が操作ノブ1と一体的に揺動して、傾倒方向またはその近傍に位置するフォースセンサ9の突状ゴム部材8や感圧導電ゴムが弾性変形していくため、特定のフォースセンサ9(感圧抵抗体7)から加圧力に応じたアナログ信号が出力される。ただし、操作ノブ1の傾倒角度が小さいときには、傾倒方向やその近傍においてタクティールスイッチ6に付与される押下操作力は小さいため、全てのタクティールスイッチ6はオフ状態に保たれている。したがって、フォースセンサ9から出力されるアナログ信号は有効であり、このアナログ信号に基づく所定の制御信号が制御手段10から外部機器11や表示手段12に対して出力される。
【0022】
例えば、カーナビゲーションにおいて表示手段12に表示されている地図情報をスクロールする際に、スクロールしたい方向へ操作ノブ1を傾倒操作すれば、その方向に位置するフォースセンサ9からアナログ信号が出力されるため、操作ノブ1の傾倒量(傾倒角度)に応じた速さで表示画面をスクロールすることができる。このようにスクロール時に表示画面の移動速度を連続的に調整できると、操作性が大幅に向上する。なお、この状態でユーザが操作力を取り除くと、突状ゴム部材8や感圧導電ゴムが自身の弾性で元の形状に戻るため、上側揺動体2および操作ノブ1は傾倒操作前の元の姿勢(図2参照)に自動復帰する。
【0023】
また、操作ノブ1を大きく傾倒させて、傾倒方向またはその近傍に位置するタクティールスイッチ6をオン動作させると、特定のタクティールスイッチ6からスイッチオン信号が出力され、このスイッチオン信号に基づく所定の制御信号が制御手段10から外部機器11や表示手段12に対して出力される。
【0024】
例えば、カーナビゲーションにおいて表示手段12に表示されている画面を切り替える際には、所望方向へ操作ノブ1を大きく傾倒操作すれば、その方向に位置するタクティールスイッチ6からスイッチオン信号が出力されるため、表示画面を前ページや次ページ等へ瞬時に切り替えることができる。なお、こうしてタクティールスイッチ6がオン状態になっているとき(つまり操作ノブ1を大きく傾倒させているとき)にも、特定のフォースセンサ9からはアナログ信号が出力されるが、前述したようにこのアナログ信号は無効な信号として処理されるため、ユーザが操作力を弱めてタクティールスイッチ6をオフ状態に戻すまでは、表示画面のスクロール動作が行われないようになっている。
【0025】
以上説明したように、この第1実施形態例に係る入力制御装置は、操作ノブ1を傾倒操作するだけで、フォースセンサ9からのアナログ信号とタクティールスイッチ6からのスイッチオン信号とを選択的に出力させることができる。また、タクティールスイッチ6はオン動作時にクリック感を生起するため、スイッチオン信号が出力されたことをユーザは明瞭に感得することができる。つまり、ユーザはタクティールスイッチ6がオン動作する前と後の動作を明確に区別できるため、傾倒操作時にアナログモードの調整作業とスイッチ切替作業とを混同して誤操作する虞はない。このように傾倒操作のみによって2種類の操作内容(画面スクロールと画面切替)を混乱なく実行することができるため、この入力制御装置は、運転中のユーザの操作性を大幅に高めることができて、安全性向上にも寄与する。
【0026】
また、上記した第1実施形態例に係る入力制御装置においては、操作ノブ1の傾倒操作時に上側揺動体2が下側揺動体5に先行して揺動し、操作ノブ1が所定の傾倒角度を越えると、上側揺動体2と下側揺動体5とが一体的に揺動するようにしてあるため、操作ノブ1に要求される最大傾倒角度が抑制されている。すなわち、図4に示す第2実施形態例のように、フォースセンサ9を基台4と下側揺動体5との間に介設して、タクティールスイッチ6を下側揺動体5と上側揺動体2との間に介設し、かつ、傾倒操作時に下側揺動体5が上側揺動体2に先行して揺動するように構成した場合にも、第1実施形態例とほぼ同様に動作させることはできるが、かかる第2実施形態例の場合、タクティールスイッチ6をオン動作させるためには操作ノブ1を大きく傾倒させる必要がある。
【0027】
また、上記した第1実施形態例においては、制御手段10が、タクティールスイッチ6がオフ状態でフォースセンサ9からアナログ信号が出力されたときに、このアナログ信号に基づく所定の制御信号を生成し、タクティールスイッチ6がオン状態のときには、フォースセンサ9からのアナログ信号を無効となすように設定されているため、タクティールスイッチ6がオン状態のときに、アナログ信号に基づく制御が意図せず行われないように配慮されている。ただし、タクティールスイッチ6がオン状態のときにもフォースセンサ9からのアナログ信号を有効にしておくことで、多機能化を図ることも可能である。
【0028】
また、上記した第1実施形態例においては、フォースセンサ9が、感圧抵抗体7とその感圧導電ゴムに圧接して弾性変形可能な突状ゴム部材8とによって構成されているため、突状ゴム部材8が感圧抵抗体7を加圧する際に応力を分散させることができる。それゆえ、フォースセンサ9の信頼性が高まって長寿命化を期待できる。
【0029】
なお、図4に示す第2実施形態例と同様の構成で、傾倒操作時に上側揺動体2が下側揺動体5に先行して揺動するように構成した場合、タクティールスイッチ6がオン状態になってからフォースセンサ9(感圧抵抗体7)からアナログ信号が出力され、タクティールスイッチ6がオフ状態のときには、フォースセンサ9からアナログ信号が出力されない入力制御装置を実現できる。用途によっては、このような構成が好適な場合もある。また、上側揺動体2や下側揺動体5を図4に示すように上動を規制する支持構造で揺動可能に支持してもよい。
【0030】
図5は本発明の第3実施形態例に係る入力制御装置の断面図で、図2と対応する部分には同一符号が付してある。この第3実施形態例は、フォースセンサ9に過大な操作力が加わらないようにストッパ部2c,5cを付設した点が、上記した第1実施形態例と異なっている。すなわち、上側揺動体2の下面外縁部にストッパ部2cを下向きに突設すると共に、下側揺動体5の上面でストッパ部2cと対向する位置にストッパ部5cを上向きに突設することにより、上側揺動体2が下側揺動体5に対して所定角度傾くと、両ストッパ部2c,5cが当接して上側揺動体2を下側揺動体5に対してそれ以上傾けられないようにしてある。このように、フォースセンサ9が介在されている対向面(本実施形態例では上側揺動体2の下面と下側揺動体5の上面)に、該対向面の一方が他方に対して所定角度以上傾かないように規制するためのストッパ部2c,5cが設けられていると、操作ノブ1に強い操作力が作用した場合でも、フォースセンサ9が過度に加圧されなくなるため、フォースセンサ9が損傷しにくくなって長寿命化を期待できる。
【0031】
なお、上記した各実施形態例では、操作ノブ1が傾倒操作だけを行う入力制御装置について説明したが、操作ノブ1が他の操作も行えるものであってもよい。例えば、操作ノブ1を軸部2aに回転可能に取り付けて、上側揺動体2の上面に付設したエンコーダ等で操作ノブ1の回転を検出できるようにしておけば、操作ノブ1が傾倒操作だけでなく回転操作も行えることになるため、入力制御装置の多機能化が図れる。
【符号の説明】
【0032】
1 操作ノブ(操作体)
2 上側揺動体
2a 軸部
2b 支点部
2c ストッパ部
3 筐体
4 基台
5 下側揺動体
5a 支点部
5c ストッパ部
6 タクティールスイッチ
7 感圧抵抗体
8 突状ゴム部材
9 フォースセンサ
10 制御手段
11 外部機器
12 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、この基台に対して揺動可能な揺動体と、この揺動体に取り付けられて傾倒操作時に該揺動体と一体的に揺動する操作体と、前記揺動体の揺動を検出する検出手段と、この検出手段から出力される検出信号に基づいて所定の制御信号を生成する制御手段とを含む入力制御装置であって、
前記揺動体が、前記基台に揺動可能に支持された下側揺動体と、この下側揺動体に揺動可能に支持された上側揺動体とを備えていると共に、前記検出手段が、前記基台と前記下側揺動体との間に介設されて該下側揺動体の揺動を検出する下側センサと、前記下側揺動体と前記上側揺動体との間に介設されて該上側揺動体の揺動を検出する上側センサとを備えており、かつ、前記下側センサと前記上側センサの一方がタクティールスイッチで他方がフォースセンサであることを特徴とする入力制御装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記操作体の傾倒操作時に前記上側揺動体が前記下側揺動体に先行して揺動し、前記操作体が所定の傾倒角度を越えると、前記上側揺動体と前記下側揺動体とが一体的に揺動するように構成されていることを特徴とする入力制御装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記制御手段が、前記タクティールスイッチがオフ状態で前記フォースセンサからアナログ信号が出力されたときに、このアナログ信号に基づく所定の制御信号を生成し、前記タクティールスイッチがオン状態のときには前記フォースセンサからのアナログ信号を無効となすように設定されていることを特徴とする入力制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記フォースセンサが、感圧抵抗体と該感圧抵抗体に圧接して弾性変形可能な突状ゴム部材とによって構成されていることを特徴とする入力制御装置。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記上側揺動体と前記下側揺動体の対向面、または前記下側揺動体と前記基台の対向面のうち、前記フォースセンサが介在されている対向面には、該対向面の一方が他方に対して所定角度以上傾かないように規制するためのストッパ部が設けられていることを特徴とする入力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−34796(P2011−34796A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179694(P2009−179694)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】