説明

入力支援プログラム,入力支援装置および入力支援方法

【課題】ユーザが入力した文字列に対応する複数の情報から未選択の情報を新たに選択する場合において,ユーザによる情報の選択操作の負荷を軽減することが可能となる技術を提供する。
【解決手段】情報記憶部112は,文字列と複数の命令文との対応を示す情報,該複数の命令文の実行順を示す情報,および該命令文が変換済みであるかを示す情報を含む変換情報を記憶する。受付部113は,コマンド実行部120の画面でユーザにより入力された文字列を受け付ける。取得部114は,変換情報から,入力された文字列に対応する複数の命令文を取得する。表示部115は,取得された複数の命令文のうち,変換済みである命令文より実行順が後の未変換の命令文を,選択状態で表示装置の画面に表示させる。変換記録部116は,取得された複数の命令文からユーザが変換確定した命令文について,変換済みである旨を変換情報に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ユーザの命令文の入力を支援する入力支援プログラム,入力支援装置および入力支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば,システム設計者や管理者などのユーザが,コンピュータに一連のコマンドを順に入力し,実行させるバッチ処理の作業を行うことがある。このとき,ユーザは,順番にコマンドを1つ入力して実行する,また次のコマンドを1つ入力して実行する,といった作業を繰り返す。
【0003】
なお,処理可能な項目をメニュー項目として表示し,実行されたメニュー項目を反転表示させることで,ユーザによる実行されたメニュー項目と未実行のメニュー項目との識別を容易にする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−224858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のコマンドを1つ1つ入力して実行する作業は,ユーザにとってコマンド入力の負荷が大きく,コマンドの文字列の入力ミスなども発生しやすい。
【0006】
ユーザが文字列を入力した際に,その文字列にあらかじめ対応付けられている一連の複数のコマンドを画面に表示させ,表示された複数のコマンドからユーザが順にコマンドを指定することで,一連の複数のコマンドからなる処理をコンピュータに実行させる運用がなされる場合がある。この場合,ユーザは,あらかじめ登録されたコマンドを選択するので,コマンドの文字列の入力ミスを防止できる。
【0007】
この技術では,ユーザは,表示された複数のコマンドから,次に実行するコマンドを探し出し,そのコマンドにカーソルを移動するなどの選択操作を行う。上述の実行されたメニュー項目を反転表示させる技術などを用いれば,ユーザは,実行したコマンドと未実行のコマンドとを識別することが可能となる。しかし,ユーザは,未実行のコマンドを自らの操作で選択する必要がある。
【0008】
また,コマンド入力以外にも,入力された文字列に対して,予め対応付けられている複数の情報を表示し,ユーザが複数の情報から,2以上の情報を選択する場合にも,同様の問題は発生する。例えば,ユーザや管理者は,入力文字列に対して,複数のアドレスを対応付けて登録する。そして,ユーザによるメール送信時に,ユーザは文字列を入力することで,予め登録された複数のアドレスが表示される。次に,ユーザは,対応する複数アドレスから,送信先として所望のアドレスを選択する。ここで,2回目以降のアドレス選択においては,ユーザは,前回選択したアドレス以降に存在する,他のアドレスにカーソルを移動するなどの操作が強いられることとなる。
【0009】
一側面では,本発明は,ユーザが入力した文字列に対応する複数の情報から未選択の情報を新たに選択する場合において,ユーザによる情報の選択操作の負荷を軽減することが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1態様では,開示するプログラムは,コンピュータを,次のように機能させる。
【0011】
すなわち,前記プログラムは,前記プログラムがインストールされて実行されるコンピュータに,ユーザにより入力された文字列を受け付け,文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する記憶部から,入力された文字列に対応する複数の情報を取得し,取得された複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行い,取得された複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を記憶部に記録する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
1態様では,ユーザが入力した文字列に対応する複数の情報から未選択の情報を新たに選択する場合において,ユーザによる情報の選択操作の負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態1による命令文入力支援部を備えたコンピュータの機能構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態1による命令文入力支援部を備えたコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】本実施の形態1による情報記憶部に格納する情報の例を示す図である。
【図4】本実施の形態1の命令文入力支援部による命令文入力支援処理フローチャートである。
【図5】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図6】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図7】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図8】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図9】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図10】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図11】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図12】本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図13】本実施の形態2による文字列入力支援部を備えたコンピュータの機能構成例を示す図である。
【図14】本実施の形態2による変換情報入力画面の例を示す図である。
【図15】本実施の形態2による情報記憶部に格納する情報の例を示す図である。
【図16】本実施の形態2の文字列入力支援部による文字列入力支援処理フローチャートである。
【図17】本実施の形態2の文字列入力支援部による文字列入力支援処理フローチャートである。
【図18】本実施の形態2の文字列入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図19】本実施の形態2の文字列入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図20】本実施の形態2の文字列入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図21】本実施の形態2の文字列入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【図22】本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図23】本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図24】本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図25】本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【図26】本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
【0015】
〔実施の形態1〕
図1は,本実施の形態1による命令文入力支援部を備えたコンピュータの機能構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すコンピュータ100は,命令文入力支援部110,コマンド実行部120を備える。
【0017】
コマンド実行部120は,ユーザが指定した命令文を実行する。コマンド実行部120は,例えばユーザによる命令文の入力を受け付け,受け付けた命令文を実行するソフトウェアにより実現される。以下,命令文をコマンドとも呼ぶ。
【0018】
命令文入力支援部110は,コマンド実行部120におけるユーザによる命令文の入力を支援する。命令文入力支援部110は,変換情報入力部111,情報記憶部112,受付部113,取得部114,表示部115,変換記録部116を備える。
【0019】
変換情報入力部111は,情報記憶部112が記憶する変換情報に登録する命令文の入力に関する処理を行う。例えば,変換情報入力部111は,コマンド実行部120における命令文入力の際に実際にユーザが入力する文字列と,その文字列から変換される命令文との対応を登録する画面を,ディスプレイ等の表示装置に表示する。変換情報入力部111は,画面に入力された文字列と命令文との対応を,情報記憶部112に記憶された変換情報に記録する。
【0020】
情報記憶部112は,変換情報を記憶する記憶部である。変換情報は,文字列と複数の命令文との対応を示す情報や,その複数の命令文の実行順を示す情報,各命令文が変換済みであるかを示す情報などを含む,ユーザが入力した文字列から命令文への文字列変換に用いる情報である。
【0021】
受付部113は,ユーザにより入力された文字列を受け付ける。例えば,ユーザは,コマンド実行部120の画面で文字列を入力する。受付部113は,ユーザが入力した文字列を受け付ける。
【0022】
取得部114は,情報記憶部112が記憶する変換情報から,受付部113が受け付けた文字列に対応する複数の命令文を取得する。例えば,取得部114は,受付部113が受け付けた文字列で情報記憶部112の変換情報を探索し,その文字列に対応付けて登録された複数の命令文を取得する。
【0023】
表示部115は,取得部114が取得した複数の命令文のうち,変換済みである命令文より後の実行順の未変換の命令文を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う。例えば,表示部115は,取得した複数の命令文のリストを画面に表示する際に,それらの命令文の実行順に,命令文が変換済みであるか未変換であるかを確認する。変換済みの命令文の次に未変換の命令文があれば,表示部115は,その命令文を選択状態にして,命令文のリストをディスプレイ等の表示装置の画面に表示する。このとき,画面上で命令文のリストがスクロール表示される場合には,表示部115は,選択状態の命令文が画面に表示されるように命令文のリストをスクロールして表示する。
【0024】
また,表示部115が,命令文のリストを表示する際に,命令文の実行順の先頭から表示するか,前回変換確定した命令文の次の実行順の命令文から表示するかを,切り分けて表示するようにしてもよい。
【0025】
例えば,一連のバッチコマンドを順に処理していく際に,その日のうちにすべてのコマンドの処理を終了できず,一時中断して翌日に持ち越す場合がある。このような場合には,前日の続きからコマンドの処理が行われる。また,例えば,一連のバッチコマンドを順に処理していく際に,バグなどによる障害が発生して,処理を中断する場合がある。このような場合には,バグ修正などを行った後で,最初のコマンドの処理から再度処理が行われる。前者のケースでは,中断後,都合がつけばすぐに処理を開始することができるので,中断から再開までの時間が比較的に短い。後者のケースでは,中断後に障害の原因究明やバグの修正作業などを行う必要があるので,中断から再開までの時間が比較的に長くなる。
【0026】
表示部115は,受付部113が受け付けた文字列について,最後に変換確定された時刻から所定時間以内である場合に,取得した複数の命令文のうち,変換済みである命令文より実行順が後の未変換の命令文を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う。命令文入力支援部110では,情報記憶部112に記憶された変換情報に,さらに,変換確定した時刻の情報を記録しておく。
【0027】
例えば,表示部115は,経過時間の閾値を用いて,中断後の経過時間が設定された閾値より短ければ,前回変換確定した命令文の次の実行順の命令文から表示し,中断後の経過時間が設定された閾値より長ければ,命令文の実行順の先頭から表示する。このように,命令文の実行順の先頭から表示するか,前回変換確定した命令文の次の実行順の命令文から表示するかを切り分けることで,ユーザが命令文を選択する際のユーザの操作負荷を,より効果的に軽減することが可能となる。
【0028】
変換記録部116は,取得部114により取得された複数の命令文からユーザが変換確定した命令文について,変換済みである旨を情報記憶部112が記憶する変換情報に記録する。
【0029】
図2は,本実施の形態1による命令文入力支援部を備えたコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【0030】
図1に示す命令文入力支援部110は,例えば,コンピュータ100が備えるCPU(Central Processing Unit )101,主記憶となるメモリ102,記憶装置103,通信装置104,媒体読取・書込装置105,入力装置106,出力装置107等によって実現される。記憶装置103は,例えばHDD(Hard Disk Drive )などである。媒体読取・書込装置105は,例えばCD−R(Compact Disc Recordable )ドライブやDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable )ドライブなどである。入力装置106は,例えばキーボード・マウスなどである。出力装置107は,例えばディスプレイ等の表示装置などである。
【0031】
例えば,図1に示す命令文入力支援部110および命令文入力支援部110が備える各機能部は,コンピュータ100が備えるCPU101,メモリ102等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって実現することが可能である。コンピュータ100が実行可能なプログラムは,記憶装置103に記憶され,その実行時にメモリ102に読み出され,CPU101により実行される。
【0032】
コンピュータ100は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ100は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,このプログラムは,コンピュータ100で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0033】
図3は,本実施の形態1による情報記憶部に格納する情報の例を示す図である。
【0034】
図3に示す命令文変換データ150,命令文リストテーブル151は,情報記憶部112が記憶する変換情報の一例である。命令文変換データ150は,文字列と複数の命令文との対応など,文字列から命令文への変換を管理する情報である。命令文リストテーブル151は,文字列から変換される複数の命令文のリストデータである。本実施の形態1では,命令文リストテーブル151が,登録された文字列ごとに用意される。
【0035】
図3に示す命令文変換データ150は,読み,命令文リストテーブルアドレス,変換日時等の情報を持つ。図3に示す命令文変換データ150において,読みは,命令文への変換のためにユーザが入力する文字列を示す。命令文リストテーブルアドレスは,読みで示される文字列に対応する命令文リストテーブル151の記憶領域を示すアドレスである。変換日時は,読みで示される文字列について,前回の命令文の変換確定が行われた日時を示す。
【0036】
図3に示す命令文リストテーブル151は,番号,命令文,変換実績等の情報を持つ。図3に示す命令文リストテーブル151において,番号は,複数の命令文の実行順を示す。命令文は,登録された命令文を示す。変換実績は,命令文が変換済みであるかを示す。“変換済”は,その命令文がすでに変換確定されたことを示す。“未変換”は,その命令文がまだ変換確定されていないことを示す。
【0037】
図4は,本実施の形態1の命令文入力支援部による命令文入力支援処理フローチャートである。
【0038】
命令文入力支援部110において,受付部113は,コマンド実行部120のコマンド入力画面でユーザが入力した文字列を受け付ける(ステップS10)。
【0039】
取得部114は,情報記憶部112に記憶された変換情報から,入力された文字列に対応する複数の命令文を取得する(ステップS11)。例えば,取得部114は,情報記憶部112に記憶された命令文変換データ150において入力された文字列を読みとして得られる命令文リストテーブルアドレスから,命令文リストテーブル151を取得する。
【0040】
表示部115は,情報記憶部112に記憶された命令文変換データ150から,入力された文字列に対応する変換日時を取得する(ステップS12)。表示部115は,入力された文字列について,前に命令文が変換確定された時刻からの経過時間が,所定時間以内であるかを判定する(ステップS13)。経過時間は,命令文変換データ150から取得された変換日時と,現在の日時とから求められる。
【0041】
経過時間が所定時間以内であれば(ステップS13のYES),表示部115は,変換済みである命令文の次の実行順の未変換の命令文を選択状態にして,命令文リストを表示装置の画面に表示する。例えば,表示部115は,命令文リストを画面に表示する際に,命令文リストテーブル151において,番号順に変換実績を確認し,変換実績が“変換済”である命令文の次で,最初の“未変換”の命令文を選択状態とする。また,命令文リストのすべてを一度に画面表示できない場合に,選択状態の命令文が画面に写るように命令文リストをスクロールした状態で表示する。
【0042】
経過時間が所定時間以内でなければ(ステップS13のNO),表示部115は,命令文リストテーブル151の変換実績をリセットする(ステップS15)。命令文リストテーブル151の変換実績をリセットすると,すべての命令文の変換実績が“未変換”となる。表示部115は,表示装置の画面に,実行順が最初の命令文から命令文リストを表示する(ステップS16)。
【0043】
表示部115は,ユーザによる選択状態の命令文の変換確定の操作を受け付けると(ステップS17),コマンド実行部120の画面上に入力された文字列を,変換確定された命令文に変換確定する(ステップS18)。
【0044】
変換記録部116は,命令文リストテーブル151において,変換確定された命令文の変換実績を“変換済”に更新する(ステップS19)。また,変換記録部116は,命令文変換データ150の変換日時を現在の日時で更新する。
【0045】
以下,本実施の形態1による命令文入力支援のより具体的な例を,図を用いて説明する。
【0046】
図5〜図8は,本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【0047】
図5(A)は,コマンド入力画面510が表示されたディスプレイ画面500の例を示す。ユーザは,コマンド入力画面510において,一連の実行コマンドを入力するための文字列を入力する。図5(A)に示す例では,ユーザは,パッチ適用の一連の処理を実行するために,コマンド入力画面510において,文字列“ぱっちてきよう”を入力する。図5(A)に示すコマンド入力画面510において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。
【0048】
図5(B)は,コマンド入力画面510で入力された文字列に応じた命令文リストが提示される命令文リスト画面520が表示されたディスプレイ画面500の例を示す。図5(B)に示すように,入力された文字列“ぱっちてきよう”に対応する複数のコマンドが,実行順で先頭のコマンドから順に,命令文リスト画面520に表示される。
【0049】
図6(A)は,命令文リストからユーザがコマンドを選択した際のディスプレイ画面500の例を示す。図6(A)に示すディスプレイ画面500の命令文リスト画面520において,実線のアンダーラインのコマンドが,選択状態のコマンドである。ユーザは,例えばキーボードのカーソルキーの操作や,マウスのポインティング操作などによって,選択状態のコマンドを指定,変更する。図6(A)に示すように,命令文リスト画面520において選択状態となっているコマンドが,コマンド入力画面510でユーザが文字列を入力した位置に,未確定状態で表示される。図6(A)に示す例では,実行順が先頭のコマンド“mkdir /tmp/xxx”が選択状態となっている。
【0050】
図6(B)は,コマンドが変換確定された際のディスプレイ画面500の例を示す。例えば,命令文リスト画面520で目的のコマンドが選択状態となっているときに,ユーザは,ENTERキーを押下することで,選択状態のコマンドを変換確定する。図6(B)に示すように,実行順が先頭のコマンド“mkdir /tmp/xxx”が,変換確定となる。ユーザは,コマンド“mkdir /tmp/xxx”を実行する。
【0051】
図7(A)は,パッチ適用についての一連のコマンドにおける最初のコマンド実行後に,ユーザが,再度,コマンド入力画面510で文字列“ぱっちてきよう”を入力した際のディスプレイ画面500の例を示す。ユーザは,次のコマンドを実行するために,コマンド入力画面510において,文字列“ぱっちてきよう”を入力する。このとき,図7(A)に示すように,入力された文字列“ぱっちてきよう”に対応する複数のコマンドが,実行順で先頭のコマンドから順に,命令文リスト画面520に表示される。
【0052】
図7(B)は,ユーザが命令文リストから2番目のコマンドを選択した際のディスプレイ画面500の例を示す。ユーザは,例えばキーボードのカーソルキーの操作によって,実行順が2番目のコマンド“cp/tmp/abc.zip/tmp/xxx”を選択する。図7(B)に示すように,実行順が2番目のコマンド“cp/tmp/abc.zip/tmp/xxx”が選択状態となる。なお,選択したいコマンドが命令文リスト画面520に表示されていない場合には,ユーザは,命令文リスト画面520において命令文リストをスクロールさせる操作を行う。
【0053】
図8(A)は,実行順が2番目のコマンドが変換確定された際のディスプレイ画面500の例を示す。ユーザの確定操作により,図8(A)に示すように,実行順が2番目のコマンド“cp/tmp/abc.zip/tmp/xxx”が,変換確定となる。ユーザは,コマンド“cp/tmp/abc.zip/tmp/xxx”を実行する。
【0054】
以降,ユーザは,実行順にしたがって,命令文リストからコマンドを選択し,変換確定し,実行するという操作を繰り返す。ここで,ユーザが,目的とするパッチ適用の一連の処理において途中で作業を中断し,残ったコマンドの処理については,翌日に持ち越すことになったものとする。
【0055】
図8(B)は,中断していた作業の再開において,ユーザがコマンド入力画面510で文字列“ぱっちてきよう”を入力した際のディスプレイ画面500の例を示す。図5(B)に示す例と同様に,入力された文字列“ぱっちてきよう”に対応する複数のコマンドが,実行順で先頭のコマンドから順に,命令文リスト画面520に表示される。
【0056】
このように,本実施の形態1の命令文入力支援部110によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合には,ユーザは,文字列を入力するたびに,コマンドを選択する操作を行う必要がある。そのため,ユーザによるコマンド入力操作の負荷が大きいという問題がある。
【0057】
また,ユーザが,同じコマンドを冗長変換してしまう,変換洩れで実行するコマンドを飛ばしてしまうといった問題が発生しやすい。上述の例のように一連のコマンド処理を実行する作業を中断して翌日に続きを行う場合などには,ユーザがどのコマンドから再実行すればよいかを忘れてしまう場合なども考えられる。
【0058】
図9〜図12は,本実施の形態1の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【0059】
図9〜図12に示す例では,表示部115が,命令文のリストを表示する際に,命令文の実行順の先頭から表示するか,前回変換確定した命令文の次の実行順の命令文から表示するかを,自動で切り分けるものとする。
【0060】
図9(A)は,コマンド実行部120によるコマンド入力画面510が表示されたディスプレイ画面500の例を示す。ここでは,ユーザは,パッチ適用の一連の処理を実行するために,コマンド入力画面510において,文字列“ぱっちてきよう”を入力する。命令文入力支援部110の受付部113は,コマンド入力画面510においてユーザが入力した文字列“ぱっちてきよう”を受け付ける。図9(A)に示すコマンド入力画面510において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。
【0061】
図9(B)は,コマンド入力画面510で入力された文字列に応じた命令文リストが提示される命令文リスト画面530が表示されたディスプレイ画面500の例を示す。取得部114は,受け付けた文字列“ぱっちてきよう”を読みとして情報記憶部112の命令文変換データ150を探索し,文字列“ぱっちてきよう”に対応する命令文リストテーブル151を取得する。この段階では,取得された命令文リストテーブル151において,すべての命令文すなわちコマンドの変換実績が,“未変換”であるものとする。
【0062】
表示部115は,ディスプレイ画面500に,命令文リストテーブル151に記録された複数のコマンドのリストを提示する命令文リスト画面530を表示する。このとき,表示部115は,実行順で最も順番が早い変換実績が“未変換”のコマンドを,選択状態で命令文リスト画面530に表示する。また,表示部115は,選択状態のコマンドが命令文リスト画面530内に表示されるように,必要であれば命令文リストを自動的にスクロールする。
【0063】
ここでは,すべてのコマンドの変換実績が“未変換”であるので,図9(B)に示すように,実行順で先頭のコマンド“mkdir /tmp/xxx”が,選択状態で命令文リスト画面530に表示される。また,表示部115は,図9(B)に示すように,命令文リスト画面530において選択状態となっているコマンドを,コマンド入力画面510でユーザが文字列を入力した位置に,未確定状態で表示する。図9(B)に示すコマンド入力画面510において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。また,図9(B)に示す命令文リスト画面530において,コマンドの文字列の前の“□”は,そのコマンドが未変換であることを示し,[]書きの数字は,一連の複数のコマンドにおけるそのコマンドの実行順を示す。
【0064】
図10(A)は,コマンドが変換確定された際のディスプレイ画面500の例を示す。例えば,命令文リスト画面530で目的のコマンドが選択状態となっているときに,ユーザは,ENTERキーを押下することで,選択状態のコマンドを変換確定する。表示部115は,コマンド入力画面510において,未確定状態で表示されているコマンドを,確定状態とする。図10(A)に示す例では,コマンド入力画面510において,実行順が先頭のコマンド“mkdir /tmp/xxx”が確定状態となる。ユーザは,コマンド“mkdir /tmp/xxx”を実行する。
【0065】
変換記録部116は,実行順が先頭のコマンド“mkdir /tmp/xxx”が変換確定されたときに,情報記憶部112の命令文リストテーブル151において,命令文“mkdir /tmp/xxx”の変換実績を“変換済”に更新する。表示部115は,命令文リストテーブル151の更新を,命令文リスト画面530に反映する。図10(A)に示す命令文リスト画面530において,コマンドの文字列の前の“●”は,そのコマンドが変換済みであることを示す。変換記録部116は,情報記憶部112の命令文変換データ150において,文字列“ぱっちてきよう”についての変換日時を,現在の日時で更新する。
【0066】
以降,ユーザは,文字列“ぱっちてきよう”の入力に対して自動的に実行順で画面に選択状態で表示されるコマンドを変換確定し,実行する作業を繰り返す。ここで,ユーザが,目的とするパッチ適用の一連の処理において途中で作業を中断し,残ったコマンドの処理については,翌日に持ち越すことになったものとする。
【0067】
図10(B)は,ユーザが作業を中断する際のディスプレイ画面500の例を示す。ユーザは,パッチ適用の一連の処理において,実行順が50番目のコマンドの実行で,作業を一時中断し,続きの作業を翌日に持ち越すものとする。ユーザは,パッチ適用の一連のコマンドにおける50番目のコマンド“cp/tmp/xxx/A tmp/xxxB”実行後に,マウス等で命令文リスト画面530の閉じるボタンを押下する操作を行う。
【0068】
図11(A)は,パッチ適用の作業を再開後に,コマンド入力画面510で入力された文字列に応じて命令文リスト画面530が表示されたディスプレイ画面500の例を示す。パッチ適用の作業を中断した翌日の作業再開において,ユーザは,コマンド入力画面510で文字列“ぱっちてきよう”を入力する。
【0069】
このとき,表示部115は,中断前の最後に変換確定された日時からの経過時間が,所定の時間以内であるかを判定する。例えば,所定の時間が24時間であれば,表示部は,中断前の最後に変換確定された日時からの経過時間が,24時間以内であるかを判定する。ここでは,中断前の最後に変換確定された日時からの経過時間が,所定時間以内であったものとする。
【0070】
表示部115は,実行順で最も順番が早い変換実績が“未変換”のコマンドを,選択状態で命令文リスト画面530に表示する。中断前の最後の変換確定コマンドが50番目のコマンドであったので,ここでは,図11(A)に示すように,最も実行順が早い未変換のコマンドとして,実行順が51番目のコマンド“cp/tmp/xxx/C tmp/xxxD”が選択状態で命令文リスト画面530に表示される。
【0071】
なお,中断前の最後に変換確定された日時からの経過時間が所定の時間を超えている場合には,表示部115は,命令文リストテーブル151の変換実績をリセットする。このとき,ディスプレイ画面500は,図9(B)に示す通りとなる。
【0072】
図11(B)は,コマンドが変換確定された際のディスプレイ画面500の例を示す。図11(A)に示すディスプレイ画面500において,選択状態のコマンドが変換確定されると,表示部115は,コマンド入力画面510において,未確定状態で表示されているコマンド“cp/tmp/xxx/C tmp/xxxD”を,確定状態にする。ユーザは,コマンド“cp/tmp/xxx/C tmp/xxxD”を実行する。
【0073】
以降,ユーザは,前日の作業の残りのコマンドについて,最後のコマンドまで処理を実行する。
【0074】
図12は,命令文リストテーブル151において,実行順が最後のコマンドまでの処理が終了した際のディスプレイ画面500の例を示す。命令文リストテーブル151におけるすべてのコマンドの変換確定後に,ユーザが命令文リスト画面530を閉じると,変換記録部116は,命令文リストテーブル151の変換実績をリセットする。次に文字列“ぱっちてきよう”が入力された際には,また実行順が先頭のコマンドが選択状態で表示される。
【0075】
このように,本実施の形態1の命令文入力支援部110による処理では,ユーザの文字列の入力に対して,命令文が実行順に選択状態で自動表示されるので,ユーザは,文字列の入力と変換確定の操作を繰り返すだけで,一連の命令文の実行によるバッチ処理が可能となる。
【0076】
命令文の選択や,命令文を探しながらリストをスクロールするなどの操作を行わなくてもよいので,ユーザによる命令文の入力操作の負荷が軽減される。また,命令文の冗長変換や変換洩れを防止することが可能となる。
【0077】
本実施の形態1の命令文入力支援部110によって,大規模なジョブ管理システムを導入しなくても,例えば,文字列辞書を用いた文字列変換の機能で,十分に効率的なジョブ管理システムの実現が可能となる。
【0078】
〔実施の形態2〕
前述の実施の形態1による命令文の入力支援の技術を,他の文字列の入力支援の技術に適用することも可能である。本実施の形態2では,前述の実施の形態1による技術を,様々な文字列の入力支援に適用する技術の例を説明する。
【0079】
図13は,本実施の形態2による文字列入力支援部を備えたコンピュータの機能構成例を示す図である。
【0080】
図13に示すコンピュータ200は,文字列入力支援部210,文字列入力対象プログラム処理部220を備える。なお,本実施の形態2において,文字列には,上述の実施の形態1における命令文が含まれ,文字列入力対象プログラム処理部220には,上述の実施の形態1におけるコマンド実行部120が含まれる。
【0081】
文字列入力対象プログラム処理部220は,ユーザによる文字列の入力操作を受け付けて,そのユーザにより入力された文字列を用いた処理を実行するプログラムによる処理を行う。文字列入力対象プログラム処理部220は,文字列入力対象プログラムによって実現される。
【0082】
文字列入力支援部210は,文字列入力対象プログラム処理部220の画面におけるユーザによる文字列の入力を支援する。文字列入力支援部210は,変換情報入力部211,情報記憶部212,受付部213,取得部214,表示部215,変換記録部216を備える。
【0083】
変換情報入力部211は,情報記憶部212が記憶する変換情報に登録する文字列の入力に関する処理を行う。例えば,変換情報入力部211は,文字列入力対象プログラム処理部220における文字列入力の際に実際にユーザが入力する第1の文字列と,その第1の文字列から変換される第2の文字列との対応を登録する画面を,ディスプレイ等の表示装置に表示する。第1の文字列は,文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザが入力する文字列を示す。第2の文字列は,文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザが入力した文字列から変換される文字列を示す。変換情報入力部211は,画面上で登録された第1の文字列と第2の文字列との対応を,情報記憶部212に記憶された変換情報に記録する。
【0084】
情報記憶部212は,変換情報を記憶する記憶部である。変換情報は,第1の文字列と複数の第2の文字列との対応を示す情報,その複数の第2の文字列の順序を示す情報,各第2の文字列が変換済みであるかを示す情報などを含む,ユーザが入力した第1の文字列から第2の文字列への文字列変換に用いる情報である。
【0085】
受付部213は,ユーザにより入力された文字列を受け付ける。例えば,ユーザは,文字列入力対象プログラム処理部220の画面で文字列を入力する。受付部213は,ユーザが入力した文字列を受け付ける。
【0086】
取得部214は,情報記憶部212が記憶する変換情報から,受付部213が受け付けた文字列を第1の文字列とした場合に対応する複数の第2の文字列を取得する。例えば,取得部214は,受付部213が受け付けた文字列で,情報記憶部212の変換情報における第1の文字列を探索し,受付部213が受け付けた文字列に一致する第1の文字列に対応付けて登録された複数の第2の文字列を取得する。
【0087】
表示部215は,取得部214が取得した複数の第2の文字列のうち,変換済みである第2の文字列より順序が後の未変換の第2の文字列を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う。例えば,表示部215は,取得した複数の第2の文字列のリストを画面に表示する際に,それらの第2の文字列の順序通りに,第2の文字列が変換済みであるか未変換であるかを確認する。変換済みの第2の文字列の次に未変換の第2の文字列があれば,表示部215は,その第2の文字列を選択状態にして,第2の文字列のリストをディスプレイ等の表示装置の画面に表示する。このとき,画面上で第2の文字列のリストがスクロール表示される場合には,表示部215は,選択状態の第2の文字列が画面に表示されるように第2の文字列のリストをスクロールして表示する。
【0088】
また,表示部215が,第2の文字列のリストを表示する際に,第2の文字列の順序の先頭から表示するか,前回変換確定した第2の文字列の次の順序の第2の文字列から表示するかを,切り分けて表示するようにしてもよい。例えば,上述の実施の形態1に示すコマンド入力の例のように,前回変換確定した日時からの経過時間で,第2の文字列のリストの表示位置の切り分けを行ってもよい。
【0089】
表示部215は,受付部213が受け付けた文字列について,所定の条件が満たされている場合に,取得した複数の第2の文字列のうち,変換済みである第2の文字列より順序が後の第2の文字列を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う。文字列入力支援部210では,情報記憶部212に記憶された変換情報に,さらに,前の変換確定からの継続で文字列変換を行う場合の所定の条件を示す情報を記録しておく。例えば,上述の実施の形態1に示すコマンド入力の例では,所定の条件は,前回の変換確定からの経過時間の条件である。
【0090】
このように,第2の文字列のリストを,順序が先頭の第2の文字列から表示するか,前回変換確定した第2の文字列の次の順序の第2の文字列から表示するかを切り分けることで,ユーザが変換する文字列を選択する際のユーザの操作負荷を,より効果的に軽減することが可能となる。
【0091】
変換記録部216は,取得部214により取得された複数の第2の文字列からユーザが変換確定した第2の文字列について,変換済みである旨を情報記憶部212が記憶する変換情報に記録する。
【0092】
なお,図13に示す文字列入力支援部210を備えたコンピュータ200のハードウェア構成は,例えば,上述の実施の形態1における図2に示すコンピュータ100のハードウェア構成と同様である。ここでは,図13に示すコンピュータ200のハードウェア構成の例については,説明を省略する。
【0093】
図14は,本実施の形態2による変換情報入力画面の例を示す図である。
【0094】
図14に示す変換情報入力画面240は,変換情報入力部211が提供する第1の文字列と複数の第2の文字列との対応を登録する画面の一例である。図14には,上述の実施の形態1で説明した一連のパッチ適用の処理で入力する複数のコマンドを登録するための変換情報入力画面240の例が示されている。
【0095】
図14に示す変換情報入力画面240において,読みの欄は,第1の文字列,すなわち文字列入力対象プログラム処理部220の画面において,ユーザが入力する文字列を登録する欄である。追加変換文字列の欄は,第2の文字列,すなわちユーザが入力した文字列から変換される文字列を登録する欄である。以下では,第2の文字列を,変換文字列とも呼ぶ。
【0096】
図14に示す変換情報入力画面240において,変換文字列リストの欄は,追加変換文字列の欄を用いてそれまでに登録された変換文字列をリスト表示する欄である。なお,図14に示す変換情報入力画面240では,原則として登録された順に,変換文字列に対する順序付けが行われるものとする。
【0097】
図14に示す変換情報入力画面240において,監視対象の欄は,変換文字列のリストの表示位置の切り分けを行う際に,監視する情報の指定を登録する欄である。例えば,図14に示す変換情報入力画面240では,文字列入力対象プログラムと,前回の変換確定からの経過時間とが,監視対象として登録されている。
【0098】
図14に示す変換情報入力画面240において,継続判定基準の欄は,変換文字列のリストを,前回変換確定した変換文字列の次の順序の変換文字列から表示すると判定する条件を登録する欄である。この継続判定基準の欄で登録された条件で,表示部215は,変換文字列のリストを,順序が先頭の変換文字列から表示するか,変換済みである変換文字列より順序が後の未変換の変換文字列から表示するかを切り分ける。例えば,図14に示す変換情報入力画面240では,前回の変換確定時と文字列入力対象プログラムが一致し,前回の変換確定からの経過時間が1日以内である場合に,変換済みである変換文字列より順序が後の未変換の変換文字列からリストを表示するという条件が登録されている。
【0099】
図15は,本実施の形態2による情報記憶部に格納する情報の例を示す図である。
【0100】
図15に示す文字列変換管理データ250,変換文字列リストテーブル251(a,b)は,情報記憶部212が記憶する変換情報の一例である。文字列変換管理データ250は,第1の文字列と,複数の第2の文字列との対応など,第1の文字列から第2の文字列への変換を管理する情報である。変換文字列リストテーブル251は,第1の文字列から変換される複数の第2の文字列,すなわち変換文字列のリストデータである。図15に示すように,本実施の形態2では,変換文字列リストテーブル251が,登録された第1の文字列ごとに用意される。
【0101】
図15に示す文字列変換管理データ250は,読み,変換文字列リストテーブルアドレス,監視対象,継続判定基準,前変換時情報等の情報を持つ。図15に示す文字列変換管理データ250において,読みは,第1の文字列,すなわち文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザが入力する文字列を示す。変換文字列リストテーブルアドレスは,読みで示される第1の文字列に対応する変換文字列リストテーブル251の記憶領域を示すアドレスである。
【0102】
図15に示す文字列変換管理データ250において,監視対象は,変換文字列リストの表示を切り分けを行う場合に,表示部215が監視する情報を示す。継続判定基準は,変換文字列のリストを,前回変換確定した変換文字列の次の順序の変換文字列から表示すると判定する条件を示す。前変換時情報は,前回の変換確定時の状況が記録された情報である。
【0103】
図15に示す変換文字列リストテーブル251は,番号,変換文字列,変換実績などの情報を持つ。図15に示す変換文字列リストテーブル251において,番号は,複数の変換文字列の順序を示す。変換文字列は,登録された第2の文字列を示す。変換実績は,変換文字列が変換済みであるかを示す。“変換済”は,その変換文字列がすでに変換確定されたことを示す。“未変換”は,その変換文字列がまだ変換確定されていないことを示す。
【0104】
例えば,図15に示す文字列変換管理データ250において,読みすなわち第1の文字列が“ぱっちてきよう”のレコードは,上述の実施の形態1で説明したコマンド入力時の文字列変換についてのレコードである。この場合,第2の文字列である変換文字列は,変換文字列リストテーブル251aに記録されたコマンドとなる。
【0105】
読みが“ぱっちてきよう”である場合の監視対象は,文字列入力対象プログラムのソフト名と,前回の変換確定が行われてからの経過時間である。ソフト名は,文字列入力対象プログラムを識別する情報を示す。継続判定基準は,ソフト名が一致することと,経過時間が1日以内であることである。前変換時情報としては,前回の変換確定時の文字列入力対象プログラムのソフト名と,変換日時とが記録される。
【0106】
また,例えば,図15に示す文字列変換管理データ250において,読みすなわち第1の文字列が“かいんのめるあど”のレコードは,宛先メールアドレス入力時の文字列変換についてのレコードである。この場合,第2の文字列である変換文字列は,変換文字列リストテーブル251bに記録されたメールアドレスとなる。
【0107】
読みが“かいんのめるあど”である場合の監視対象は,文字列入力対象プログラムのソフト名,メール本文枠ID,前回の変換確定が行われてからの経過時間である。メール本文枠IDは,表示されるメール本文画面の識別情報を示す。継続判定基準は,ソフト名とメール本文枠IDとが一致することと,経過時間が1時間以内であることである。前変換時情報としては,前回の変換確定時の文字列入力対象プログラムのソフト名,メール本文枠ID,変換日時とが記録される。
【0108】
図16,図17は,本実施の形態2の文字列入力支援部による文字列入力支援処理フローチャートである。
【0109】
文字列入力支援部210において,受付部213は,文字列入力対象プログラム処理部220の文字列入力画面でユーザが入力した文字列を受け付ける(ステップS20)。
【0110】
取得部214は,入力された文字列と,情報記憶部212に記憶された文字列変換管理データ250の読みとを比較する(ステップS21)。取得部214は,文字列変換管理データ250に入力された文字列と一致する読みがあるかを判定する(ステップS22)。入力された文字列と一致する読みがなければ(ステップS22のNO),文字列入力支援部210は,ステップS36の処理に進む。
【0111】
入力された文字列と一致する読みがあれば(ステップS22のYES),取得部214は,入力された文字列と一致する読みに対応付けられた変換文字列リストテーブル251を取得する(ステップS23)。
【0112】
表示部215は,文字列変換管理データ250の監視対象の指示に応じた情報を取得する(ステップS24)。例えば,監視対象の指示が経過時間であれば,表示部215は,コンピュータ200の日時管理機能から,現在の日時の情報を取得する。表示部215は,文字列変換管理データ250の前変換時情報を取得する(ステップS25)。表示部215は,文字列変換管理データ250の継続判定基準を取得する(ステップS26)。表示部215は,監視対象の指示に応じて取得された情報と,取得された前変換時情報との関係が,取得された継続判定基準を満たすかを判定する(ステップS27)。
【0113】
継続判定基準を満たさない場合には(ステップS27のNO),表示部215は,変換文字列リストテーブル251の変換実績をリセットする(ステップS28)。変換実績のリセットでは,表示部215は,変換文字列リストテーブル251のすべての変換文字列について,変換実績を“未変換”にする。この処理は,変換文字列リストを表示する際の切り分けにおいて,順序が先頭の変換文字列からリストを表示させるために行う処理である。
【0114】
表示部215は,変換文字列リストテーブル251において,番号が先頭のものから順に,変換実績が“未変換”の変換文字列を検索する(ステップS29)。表示部215は,最も順序が早い変換実績が“未変換”の変換文字列が表示されるように,変換文字列リストを表示装置の画面に表示する(ステップS30)。このとき,表示部215は,最も順序が早い変換実績が“未変換”の変換文字列を選択状態で表示する。
【0115】
表示部215は,文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザにより入力された文字列の位置に,検索された“未変換”の変換文字列を未確定状態で表示する(ステップS31)。
【0116】
文字列入力支援部210は,ユーザ操作を受け付ける(ステップS32)。
【0117】
受け付けたユーザ操作が変換文字列リストの上下操作である場合には(ステップS33の上下操作),表示部215は,その操作に合わせて選択状態の変換文字列を上下に変更する(ステップS34)。選択状態の変換文字列の変更に応じて,表示部215は,文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザにより入力された文字列の位置における未確定状態の変換文字列を,新たな選択状態の変換文字列に変更する(ステップS35)。
【0118】
受け付けたユーザ操作が変換文字列の確定操作である場合には(ステップS33の確定操作),文字列入力対象プログラム処理部220の画面でユーザにより入力された文字列の位置において,未確定状態の変換文字列を確定する(ステップS36)。変換記録部216は,変換文字列リストテーブル251において,該当変換文字列の変換実績を“変換済”に更新する(ステップS37)。なお,ステップ22のNOからステップS36の処理に進んだ場合には,未確定状態のユーザにより入力された文字列を確定する。このとき,変換文字列リストテーブル251の更新は行われない。
【0119】
受け付けたユーザ操作が文字列変換の終了操作である場合には(ステップS33の終了操作),変換記録部216は,文字列変換管理データ250の前変換時情報を更新する(ステップS38)。例えば,経過時間が監視対象となっている場合に,変換記録部216は,今回の変換文字列が変換確定された現在の日時で,前変換時情報の変換日時を更新する。なお,未確定状態の変換文字列が変換確定されたときに,終了操作がなくても,自動的にステップS38の処理に進むようにしてもよい。
【0120】
以下,本実施の形態2による文字列入力支援のより具体的な例を,図を用いて説明する。ここでは,メーラに宛先のメールアドレスを入力する例を説明する。この例では,文字列入力対象プログラム処理部220はメーラとなり,第2の文字列すなわち変換文字列は,メールアドレスとなる。メールの宛先は,同一の組織に属する課員であり,課員は日本事業所と中国事業所とに分かれて作業をしているものとする。各課員にメールを送信する際には,日本事業所の課員と中国事業所の課員とで少しだけメール本文の内容を変えて,メール送信が行われるものとする。変換文字列リストテーブル251bでは,日本事業所の課員,中国事業所の課員の順序で,メールアドレスが登録されているものとする。
【0121】
図18〜図21は,本実施の形態2の文字列入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合の例を説明する図である。
【0122】
図18(A)は,メールの宛先入力画面610が表示されたディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,宛先入力画面610において,同一の組織に属する課員のメールアドレスを入力するための文字列を入力する。図18(A)に示す例では,ユーザは,宛先入力画面610において,文字列“かいんのめるあど”を入力する。図18(A)に示す宛先入力画面610において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。
【0123】
図18(B)は,宛先入力画面610で入力された文字列に応じた変換文字列リストが提示される変換文字列リスト画面620が表示されたディスプレイ画面600の例を示す。図18(B)に示すように,入力された文字列“かいんのめるあど”に対応する複数のメールアドレスが,順序が先頭のメールアドレスから順に,変換文字列リスト画面620に表示される。
【0124】
図19(A)は,変換文字列リストからユーザがメールアドレスを選択した際のディスプレイ画面600の例を示す。図19(A)に示すディスプレイ画面600の変換文字列リスト画面620において,実線のアンダーラインのメールアドレスが,選択状態のメールアドレスである。ユーザは,例えばキーボードのカーソルキーの操作や,マウスのポインティング操作などによって,選択状態のメールアドレスを指定,変更する。図19(A)に示すように,変換文字列リスト画面620において選択状態となっているメールアドレスが,宛先入力画面610でユーザが文字列を入力した位置に,未確定状態で表示される。図19(A)に示す例では,順序が先頭のメールアドレス“ab@jp.xxxx.com”が選択状態となっている。
【0125】
図19(B)は,メールアドレスが変換確定された際のディスプレイ画面600の例を示す。例えば,変換文字列リスト画面620で目的のメールアドレスが選択状態となっているときに,ユーザは,ENTERキーを押下することで,選択状態のメールアドレスを変換確定する。図19(B)に示すように,順序が先頭のメールアドレス“ab@jp.xxxx.com”が,変換確定となる。
【0126】
図20(A)は,最初のメールアドレス入力確定後に,メールを一斉送信する別の課員のメールアドレスを続けて入力するために,ユーザが,宛先入力画面610で文字列“かいんのめるあど”を入力した際のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,次のメールアドレスを入力するために,宛先入力画面610において,文字列“かいんのめるあど”を入力する。このとき,図20(A)に示すように,入力された文字列“かいんのめるあど”に対応する複数のメールアドレスが,順序が先頭のメールアドレスから順に,変換文字列リスト画面620に表示される。
【0127】
図20(B)は,ユーザが変換文字列リストから2番目のメールアドレスを選択した際のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,例えばキーボードのカーソルキーの操作によって,順序が2番目のメールアドレス“cd@jp.xxxx.com”を選択する。図20(B)に示すように,順序が2番目のメールアドレス“cd@jp.xxxx.com”が選択状態となる。なお,選択したいメールアドレスが変換文字列リスト画面620に表示されていない場合には,ユーザは,変換文字列リスト画面620において変換文字列リストをスクロールさせる操作を行う。
【0128】
図21(A)は,順序が2番目のメールアドレスが変換確定された際のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザの確定操作により,図21(A)に示すように,順序が2番目のメールアドレス“cd@jp.xxxx.com”が,変換確定となる。
【0129】
以降,ユーザは,順序にしたがって,変換文字列リストからメールアドレスを選択し,変換確定するという操作を繰り返す。ここで,ユーザが,日本事業所の課員についてメールアドレスの入力が終わったところでメールアドレスの入力を中断し,メール送信を行ったものとする。中国事業所の課員については,メール本文の内容を一部変更後に,メールアドレスの入力を再開するものとする。
【0130】
図21(B)は,中断していたメールアドレス入力の再開において,ユーザが宛先入力画面610で文字列“かいんのめるあど”を入力した際のディスプレイ画面600の例を示す。図18(B)に示す例と同様に,入力された文字列“かいんのめるあど”に対応する複数のメールアドレスが,順序が先頭のメールアドレスから順に,変換文字列リスト画面620に表示される。
【0131】
このように,本実施の形態2の文字列入力支援部210によるユーザの入力操作を支援する機能を利用しなかった場合には,ユーザは,文字列を入力するたびに,メールアドレスを選択する操作を行う必要がある。そのため,ユーザによるメールアドレス入力操作の負荷が大きいという問題がある。
【0132】
また,ユーザが,同じメールアドレスを冗長変換してしまう,変換洩れで実行するメールアドレスを飛ばしてしまうといった問題が発生しやすい。上述の例のように,事業所ごとにメール送信を行う際に,メールアドレスを入力する作業を中断して,メール本文を一部修正して続きの作業を行う場合などには,ユーザがどのメールアドレスから入力すればよいかを忘れてしまう場合なども考えられる。
【0133】
図22〜図26は,本実施の形態2の命令文入力支援部によるユーザの入力操作を支援する機能を利用した場合の例を説明する図である。
【0134】
図22〜図26に示す例では,表示部215が,変換文字列のリストを表示する際に,順序が先頭の変換文字列から表示するか,前回変換確定した変換文字列の次の順序の変換文字列から表示するかを,自動で切り分けるものとする。
【0135】
図22(A)は,文字列入力対象プログラム処理部220による宛先入力画面610が表示されたディスプレイ画面600の例を示す。ここでは,ユーザは,宛先入力画面610において,文字列“かいんのめるあど”を入力する。文字列入力支援部210の受付部213は,宛先入力画面610においてユーザが入力した文字列“かいんのめるあど”を受け付ける。図22(A)に示す宛先入力画面610において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。
【0136】
なお,図22(A)に示すディスプレイ画面600において,メール本文画面630は,ユーザがメール本文を入力する画面である。図22(A)に示す例では,日本事業所の各課員あてのメール本文がメール本文画面630に表示されている。
【0137】
図22(B)は,宛先入力画面610で入力された文字列に応じた変換文字列リストが提示される変換文字列リスト画面640が表示されたディスプレイ画面600の例を示す。取得部214は,受け付けた文字列“かいんのめるあど”を読みとして情報記憶部212の文字列変換管理データ250を探索し,文字列“かいんのめるあど”に対応する変換文字列リストテーブル251bを取得する。この段階では,取得された変換文字列リストテーブル251bにおいて,すべてのメールアドレスの変換実績が,“未変換”であるものとする。
【0138】
表示部215は,ディスプレイ画面600に,変換文字列リストテーブル251bに記録された複数のメールアドレスのリストを提示する変換文字列リスト画面640を表示する。このとき,表示部215は,最も順序が早い変換実績が“未変換”のメールアドレスを,選択状態で変換文字列リスト画面640に表示する。また,表示部215は,選択状態のメールアドレスが変換文字列リスト画面640内に表示されるように,必要であれば変換文字列リストを自動的にスクロールする。
【0139】
ここでは,すべてのメールアドレスの変換実績が“未変換”であるので,図22(B)に示すように,順序が先頭のメールアドレス“ab@jp.xxxx.com”が,選択状態で変換文字列リスト画面640に表示される。また,表示部215は,図22(B)に示すように,変換文字列リスト画面640において選択状態となっているメールアドレスを,宛先入力画面610でユーザが文字列を入力した位置に,未確定状態で表示する。図22(B)に示す宛先入力画面610において,破線のアンダーラインは,入力が確定していない文字列を示す。また,図22(B)に示す変換文字列リスト画面640において,メールアドレスの文字列の前の“□”は,そのメールアドレスが未変換であることを示し,[]書きの数字は,複数のメールアドレスにおけるそのメールアドレスの順序を示す。
【0140】
図23(A)は,複数のメールアドレスが選択状態とされた際のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,変換文字列リスト画面640において,例えばメールアドレスの文字列前の“□”をマウスポインタでチェックするなどの操作により,一度に複数のメールアドレスを選択指定することができる。このとき,表示部215は,図23(A)に示すように,変換文字列リスト画面640においてユーザが選択指定した複数の変換文字列の表示を,選択状態にする。また,表示部215は,図23(A)に示すように,変換文字列リスト画面640において選択状態となっている複数のメールアドレスを,宛先入力画面610でユーザが文字列を入力した位置に,未確定状態で表示する。
【0141】
図23(B)は,メールアドレスが変換確定された際のディスプレイ画面600の例を示す。例えば,変換文字列リスト画面640で目的のメールアドレスが選択状態となっているときに,ユーザは,ENTERキーを押下することで,選択状態のメールアドレスを変換確定する。表示部215は,宛先入力画面610において,未確定状態で表示されているメールアドレスを,確定状態とする。図23(B)に示す例では,宛先入力画面610において,順序が先頭のメールアドレス“ab@jp.xxxx.com”と,2番目のメールアドレス“cd@jp.xxxx.com”とが確定状態となる。
【0142】
変換記録部216は,順序が先頭のメールアドレス“ab@jp.xxxx.com”が変換確定されたときに,情報記憶部212の変換文字列リストテーブル251bにおいて,変換文字列“ab@jp.xxxx.com”の変換実績を“変換済”に更新する。同様に,変換記録部216は,順序が先頭のメールアドレス“cd@jp.xxxx.com”が変換確定されたときに,情報記憶部212の変換文字列リストテーブル251bにおいて,変換文字列“cd@jp.xxxx.com”の変換実績を“変換済”に更新する。表示部215は,変換文字列リストテーブル251bの更新を,変換文字列リスト画面640に反映する。図23(B)に示す変換文字列リスト画面640において,メールアドレスの文字列の前の“●”は,そのメールアドレスが変換済みであることを示す。
【0143】
以降,ユーザは,文字列“かいんのめるあど”の入力に対して自動的に順序で画面に選択状態で表示されるメールアドレスを変換確定する作業を繰り返す。ここで,ユーザが,日本事業所の課員についてメールアドレスの入力が終わったところで,メールアドレスの入力を中断し,メール送信を行うものとする。
【0144】
図24(A)は,ユーザが作業を中断する際のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,順序が18番目のメールアドレスの入力で作業を一時中断し,メール送信を行うものとする。ユーザは,18番目のメールアドレス“ij@jp.xxxx.com”の変換確定後に,マウス等で変換文字列リスト画面640の閉じるボタンを押下する操作を行う。その後,ユーザの指示により,メーラは,その時点までに入力したメールアドレスに対するメールの送信を実行する。
【0145】
図24(B)は,ユーザがメール本文画面630でメール本文を部分修正し,継続してメールアドレスの入力を再開した場合のディスプレイ画面600の例を示す。ユーザは,メール本文画面630において,メール本文を一部修正し,中国事業所の課員に対して修正したメールを送信する作業を行う。ユーザは,宛先入力画面610で文字列“かいんのめるあど”を入力する。
【0146】
図25(A)は,メールアドレスの入力作業を再開後に,宛先入力画面610で入力された文字列に応じて変換文字列リスト画面640が表示されたディスプレイ画面600の例を示す。
【0147】
ここで,表示部215は,ユーザによる作業が,新規メールについての作業であるか,一部修正されたメールについての作業であるかを判定する。ユーザによる作業が,一部修正されたメールについての作業である場合には,再開されたメールアドレスの入力が,前回のメールアドレスの入力からの継続である可能性が高い。ユーザによる作業が,新規メールについての作業である場合には,再開されたメールアドレスの入力が,新たなメールアドレスの入力である可能性が高い。
【0148】
例えば,表示部215は,中断前のメール本文を保持しておき,中断前のメール本文と現在のメール本文とのマッチングで所定以上の類似性が確認できた場合に,一部修正されたメールについての作業であると推定する。また例えば,表示部215は,前回の変換確定時のメール本文画面630の識別子と変換日時とを保持しておく。表示部215は,前回の変換確定時のメール本文画面630の識別子と現在のメール本文画面630の識別子とが一致し,前回の変換確定時からの経過時間が所定時間以内である場合に,一部修正されたメールについての作業であると推定する。
【0149】
表示部215は,所定の条件による判定で,一部修正されたメールについての作業であると推定される場合に,最も順序が早い変換実績が“未変換”のメールアドレスを,選択状態で変換文字列リスト画面640に表示する。中断前の最後の変換確定メールアドレスが18番目のメールアドレスであったので,ここでは,図25(A)に示すように,最も順序が早い未変換のメールアドレスとして,順序が19番目のメールアドレス“ kl@cn.xxxx.com ”が選択状態で変換文字列リスト画面640に表示される。
【0150】
なお,所定の条件による判定で,新規メールについての作業であると推定される場合に,表示部215は,変換文字列リストテーブル251bの変換実績をリセットする。このとき,変換文字列リスト画面640では,図22(B)に示す例と同様に,順序が先頭のメールアドレスが選択状態で表示される。
【0151】
図25(B)は,メールアドレスが変換確定された際のディスプレイ画面600の例を示す。図25(A)に示すディスプレイ画面600において,選択状態のメールアドレスが変換確定されると,表示部215は,宛先入力画面610において,未確定状態で表示されているメールアドレス“kl@cn.xxxx.com”を,確定状態にする。
【0152】
以降,ユーザは,残りのメールアドレスについて,最後のメールアドレスまで処理を実行する。
【0153】
図26は,変換文字列リストテーブル251bにおいて,順序が最後のメールアドレスまでの処理が終了した際のディスプレイ画面600の例を示す。変換文字列リストテーブル251bにおけるすべてのメールアドレスの変換確定後に,ユーザが変換文字列リスト画面640を閉じると,変換記録部216は,変換文字列リストテーブル251bの変換実績をリセットする。次に文字列“かいんのめるあど”が入力された際には,また順序が先頭のメールアドレスが選択状態で表示される。
【0154】
このように,本実施の形態2の文字列入力支援部210による処理では,様々な文字列を順次入力する際に,ユーザの入力操作の負荷が軽減される。また,命令文の冗長変換や変換洩れを防止することが可能となる。
【0155】
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
【0156】
以上の本実施の形態に関し,さらに以下の付記を開示する。
【0157】
(付記1)
コンピュータに,
ユーザにより入力された文字列を受け付け,
前記文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得し,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行い,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記記憶部に記録する
処理を実行させるための入力支援プログラム。
【0158】
(付記2)
前記記憶部には,さらに,前記文字列に関する変換確定の処理が実行された最新の時刻が記憶され,
前記表示装置の画面に表示させる制御を行う処理では,前記記憶部から取得した前記時刻が,前記文字列を受け付けた時刻から所定時間以内である場合に,取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う
ことを特徴とする付記1に記載の入力支援プログラム。
【0159】
(付記3)
前記選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報は,選択済みである情報の次の表示順の未選択の情報である
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の入力支援プログラム。
【0160】
(付記4)
前記情報は,命令文であり,
前記表示順は,各命令文の実行順により決定される
ことを特徴とする付記1から付記3までのいずれかに記載の入力支援プログラム。
【0161】
(付記5)
前記情報は,アドレス情報であり,
前記表示順は,アドレスの読みにより決定される
ことを特徴とする付記1から付記3までのいずれかに記載の入力支援プログラム。
【0162】
(付記6)
文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する情報記憶部と,
ユーザにより入力された文字列を受け付ける受付部と,
前記情報記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得する取得部と,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う表示部と,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記情報記憶部に記録する変換記録部とを備える
ことを特徴とする入力支援装置。
【0163】
(付記7)
前記情報記憶部には,さらに,前記文字列に関する変換確定の処理が実行された最新の時刻が記憶され,
前記表示部は,前記情報記憶部から取得した前記時刻が,前記文字列を受け付けた時刻から所定時間以内である場合に,取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う
ことを特徴とする付記6に記載の入力支援装置。
【0164】
(付記8)
前記選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報は,選択済みである情報の次の表示順の未選択の情報である
ことを特徴とする付記6または付記7に記載の入力支援装置。
【0165】
(付記9)
前記情報は,命令文であり,
前記表示順は,各命令文の実行順により決定される
ことを特徴とする付記6から付記8までのいずれかに記載の入力支援装置。
【0166】
(付記10)
前記情報は,アドレス情報であり,
前記表示順は,アドレスの読みにより決定される
ことを特徴とする付記6から付記8までのいずれかに記載の入力支援装置。
【0167】
(付記11)
コンピュータが,
ユーザにより入力された文字列を受け付け,
前記文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得し,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行い,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記記憶部に記録する過程を実行する
ことを特徴とする入力支援方法。
【0168】
(付記12)
前記記憶部には,さらに,前記文字列に関する変換確定の処理が実行された最新の時刻が記憶され,
前記表示装置の画面に表示させる制御を行う過程では,前記記憶部から取得した前記時刻が,前記文字列を受け付けた時刻から所定時間以内である場合に,取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う
ことを特徴とする付記11に記載の入力支援方法。
【0169】
(付記13)
前記選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報は,選択済みである情報の次の表示順の未選択の情報である
ことを特徴とする付記11または付記12に記載の入力支援方法。
【0170】
(付記14)
前記情報は,命令文であり,
前記表示順は,各命令文の実行順により決定される
ことを特徴とする付記11から付記13までのいずれかに記載の入力支援方法。
【0171】
(付記15)
前記情報は,アドレス情報であり,
前記表示順は,アドレスの読みにより決定される
ことを特徴とする付記11から付記13までのいずれかに記載の入力支援方法。
【符号の説明】
【0172】
100 コンピュータ
110 命令文入力支援部
111 変換情報入力部
112 情報記憶部
113 受付部
114 取得部
115 表示部
116 変換記録部
120 コマンド実行部
200 コンピュータ
210 文字列入力支援部
211 変換情報入力部
212 情報記憶部
213 受付部
214 取得部
215 表示部
216 変換記録部
220 文字列入力対象プログラム処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに,
ユーザにより入力された文字列を受け付け,
前記文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得し,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行い,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記記憶部に記録する
処理を実行させるための入力支援プログラム。
【請求項2】
前記選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報は,選択済みである情報の次の表示順の未選択の情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の入力支援プログラム。
【請求項3】
文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する情報記憶部と,
ユーザにより入力された文字列を受け付ける受付部と,
前記情報記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得する取得部と,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行う表示部と,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記情報記憶部に記録する変換記録部とを備える
ことを特徴とする入力支援装置。
【請求項4】
コンピュータが,
ユーザにより入力された文字列を受け付け,
前記文字列と複数の情報とを対応付けて記憶し,該複数の情報の表示順を該複数の情報の各々と対応付けて記憶するとともに,該情報が該文字列に対する変換候補として選択済みであるかを記憶する記憶部から,前記入力された文字列に対応する複数の情報を取得し,
取得された前記複数の情報のうち,選択済みである情報より表示順が後の未選択の情報を,選択状態で表示装置の画面に表示させる制御を行い,
取得された前記複数の情報からユーザが変換確定した情報について,選択済みである旨を前記記憶部に記録する過程を実行する
ことを特徴とする入力支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−194836(P2012−194836A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58948(P2011−58948)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】