説明

入力支援装置

【課題】従来は、辞書の登録単語の読みと、ユーザ入力の読みが異なる場合、辞書に意図する候補が登録されておらず入力に手間が掛り、又、うろ覚え状態での読み入力による表記選択の場合、意図する予測変換結果が得られない。
【解決手段】読みと表記を格納した検索目的物名辞書と、同一表記で読みが異なる語を格納した読み異なり語辞書と、入力または選択された提示候補の読みで検索目的物名辞書から検索された次段階の提示候補を元に候補絞り込み過程での選択結果と読みと表記が前方一致する提示候補リストを読み表記前方一致候補生成手段で生成し、該リスト中の表記を検索キーに、同一表記で読みが異なる語を、読み異なり語検索手段で読み異なり語辞書から検索した結果を、読み異なり語表記前方一致候補生成手段で提示候補リストに追加して、候補表示手段で追加された提示候補リストを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーナビや保守点検用PDA(Personal Digital Assistants)などキーボードをもたない機器において、検索用のキーワードなどを効率よく入力するため、読みを数文字入力するだけでキーワードの候補を提示する入力支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器の高機能化が進み、電子マニュアルなどを機器上で閲覧・検索したいというニーズが高まっている。また、環境問題の側面からも、従来の紙の説明書を電子化したいというニーズが大きい。さらに、カーナビでの目的地設定における施設名検索など大量のコンテンツを利用する機器でも検索機能は必須である。しかし、キーボードをもたない機器では検索用キーワードの入力がしにくく操作の手間がかかるため、機器上の電子化文書を十分に活用できないという課題がある。そこで、入力操作の手間を軽減するための技術として特許文献1および特許文献2が開示されている。
【0003】
特許文献1は、ユーザが入力した文字に基づいて、ユーザが入力しようとする所望の文字列を予測する装置であり、文字入力によって予測候補を絞り込むことにより、文字入力の効率を上げることのできる技術が開示されている。また、特許文献2には、読み入力途中(未確定文字列)からと確定済文字列からとの両方で予測変換可能な辞書データ構造に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-242817号公報「文字入力装置及び文字入力プログラム」
【特許文献2】特開2009-93672号公報「文字列入力装置、および、プログラム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の特許文献1では、同一表記で読みが異なる単語の存在を考慮していないため、フレーズ辞書に登録されている単語の読みと、ユーザ入力時に意図された単語の読みが異なっている場合、フレーズ辞書にはユーザが意図する候補が登録されておらず入力に手間がかかるという課題があった。たとえば、フレーズ辞書に「鶴岡 / 八幡宮(つるがおか / はちまんぐう)」と「鶴岡 / 警察署(つるおか / けいさつしょ)」の2つの施設名が登録されており、ユーザがカーナビの目的地として「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)」を設定しようとする場合を考える。ユーザが読み「つる」を入力すると、候補のひとつとして「鶴岡」が表示される。しかし、ユーザから見ると「鶴岡(つるおか)」と「鶴岡(つるがおか)」の区別がつかない。予測変換はユーザが入力した読み、または、ユーザが選択した提示候補の読みをもとに行うため、ユーザが「鶴岡(つるおか)」を選択すると、次の単語候補として「警察署」しか表示されず、予測変換により「八幡宮」を入力することができなくなる。候補表示の際に読みと表記を併記すれば上記の問題は生じないが、カーナビなどの組み込み機器では表示領域が狭く、候補文字列が長くなることは好ましくない。また、後述するようにユーザが施設名を正確に覚えていない場合には対応できない。
【0006】
さらに、従来の特許文献1では、「秋葉(あきは)」と「秋葉(あきば)」など、類似する読みをもつ同一表記の単語の存在を考慮していないため、ユーザがうろ覚えの状態で読みを入力して表記を選択した場合、ユーザが意図する予測変換結果が得られないという課題もあった。たとえば、「秋葉 / 産婦人科 / 病院(あきば / さんふじんか / びょういん)」を入力する場合、ユーザが誤って「あきは」という読みに対する候補「秋葉(あきは)」を選択してしまうと「産婦人科」が予測変換されないという課題があった。
【0007】
特許文献2に示される辞書データ構造を採用し、表記単語区切りのデータと読み単語区切りのデータの両方を構造化して保持すれば上記の課題は解決できるが、辞書データを二重に管理する必要があるため大きなメモリ容量が必要となりカーナビなどの組み込み機器への応用が困難である。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、予測変換時に読みの異なる同一表記のある単語を考慮し、ユーザが選択した提示候補の読みが意図した施設名の読みと異なる場合や、そもそもユーザの記憶にある読みが曖昧であるような場合であっても、読み異なり語辞書データを検索することにより異なる読みの予測候補をあわせて提示することにより、予測変換の操作性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
読みが入力されると、その読みで始まる検索のための予測候補を提示し、提示される候補を選択しながら段階的入力が可能なこの発明に係る入力支援装置は、
検索目的物の読みと表記を有するデータが格納された検索目的物名辞書と、
同一表記で読みが異なる語が格納された読み異なり語辞書と、
ユーザにより入力された読み文字列や提示候補の選択結果を受け付ける入力手段と、
ユーザにより入力または選択された提示候補にもとづく読みをもとに次段階の提示候補を、上記検索目的物名辞書から検索し、この検索結果をもとにユーザが候補絞り込みの過程で選択した選択結果と読みおよび表記が前方一致する提示候補リストを生成する読み表記前方一致候補生成手段と、
上記で生成した提示候補リスト中の表記を検索キーとして、同一表記で読みが異なる語を、上記読み異なり語辞書から検索する読み異なり語検索手段と、
上記読み異なり語検索手段の検索結果をもとにユーザが候補絞り込みの過程で選択した選択結果と表記は一致するが異なる読みをもつ施設名候補を抽出し、提示候補リストに追加する読み異なり語表記前方一致候補生成手段と、
上記提示候補リストを表示する候補表示手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る入力支援装置によれば、予測候補を提示する読みから表記への変換時に読みの異なる同一表記のある単語を考慮し、ユーザが選択した提示候補の読みが意図した検索目的物の読みと異なる場合や、そもそもユーザの記憶にある読みがあいまいであるような場合であっても、読み異なり語検索手段が、同一表記で読みが異なる語が保存された読み異なり語辞書のデータを検索することにより異なる読みの予測候補をあわせて提示することにより、検索キー入力の操作性、即ち予測候補変換の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における基本構成図である。
【図2】施設名辞書例の説明図である。
【図3】読み異なり語辞書例の説明図である。
【図4】提示候補生成部の詳細構成図である。
【図5】入力操作画面例(1)の説明図である。
【図6】実施の形態1における入力支援処理の基本処理フロー図である。
【図7】提示候補生成部の詳細フロー図である。
【図8】入力操作の画面例(2)の説明図である。
【図9】入力操作の画面例(3)の説明図である。
【図10】入力操作の画面例(4)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を示す基本構成図である。なお、以下ではカーナビの目的地設定における施設名の検索を例として説明するが、この発明はカーナビの施設名検索に限定されるものではなく、ミュージックプレーヤーにおける楽曲の検索や携帯電話における電話帳の検索など、予測変換と読み入力を併用して検索用のキーワードを段階的に入力する機器全般に適用しうるものである。
【0013】
入力部101は、ユーザが入力する読み文字列102や提示候補の選択結果103を受け付ける。これらの入力結果は制御部108を介して記憶部109に記録される。
提示候補生成部104は、記憶部109からユーザが入力した読みおよびユーザが候補絞り込みの過程で選択したN個の単語(例えば、秋葉/産婦人科/病院を検索の場合、秋葉のみの選択段階では、N=1個である)の選択結果を制御部108を介して取り出し、検索目的物名辞書としての施設名辞書105および読み異なり語辞書106を検索して入力読み文字列で始まる施設名候補を取得する。さらに、ユーザが候補絞り込みの過程で選択した結果をもとに、上記施設名候補から構成単語を抽出して提示候補リストを生成する。
本実施の形態では、施設名を検索する場合を例に説明しているので、105は施設名辞書とされているが、一般的には検索目的物の名称が保存された検索目的物名辞書である。
候補表示部107は、上記で生成されたリストを一覧としてモニタ上に表示し、ユーザが候補を選択できるようにする。
目的地設定部110は、ユーザが候補決定を入力したときに、選択されていた施設名を目的地として設定する。
【0014】
図2は、施設名辞書105の例である。少なくとも「読み(105b)」と「表記(105c)」からなるデータを格納し、それぞれ単語区切りを示す情報をもつものとする。この図では、半角スラッシュ(/)を用いて単語区切り位置を示している。また、上記データは予測候補としての優先順位を示す数値である「スコア(105d)」を保持し、目的地としてよく利用される施設名に高い数値が与えられるものとする。
【0015】
図3は、読み異なり語辞書106の例である。少なくとも「表記(106a)」と「異なり読み(106b)」からなるデータを格納する。この図では、各表記に対し2つの異なる読みを格納する例を示しているが、3つ以上の読みを格納することもできる。
なお、本実施の形態では説明を簡易にするためスコアを施設名ごとに付与しているが、施設名中の各単語ごとにスコアを付与する構成としてもよい。
【0016】
図4に提示候補生成部104の詳細構成を示す。読み表記前方一致候補生成部401は、記憶部109からユーザが入力した読みを取り出し、その読みで始まる施設名を施設名辞書105から検索する。ここで検索に使用する読みは、ユーザが直接キー入力により入力した読みだけではなく、ユーザが候補絞り込みの過程で選択したN単語の選択結果から得られるものも含む。上記の検索結果から、ユーザの選択した上記N単語の表記で始まる候補をスコア順に抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番目の単語を提示候補リストに加える。読み異なり語検索部402は、上記N単語の各表記を検索キーとして、読み異なり語辞書106を検索する。読み異なり語存在判定部403は、上記の読み異なり語辞書106の検索結果をもとに、読み異なり語が存在するかどうかを判定する。読み異なり語表記前方一致候補生成部404は、ユーザが選択したN単語の読みを上記の読み異なり語辞書106の検索結果で置換した読み文字列で始まる施設名候補を施設名辞書105から検索する。この検索結果から上記ユーザの選択したN単語の表記で始まる候補をスコア順に抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番目の単語を提示候補リストに追加する。
【0017】
図5は入力操作画面例(1)を示すもので、501は、入力部101および候補表示部107を構成する操作画面の例であり、タッチパネル画面上に表示されたソフトウェアキーボード、テンキー等により読みの入力や候補の選択を行う。502はユーザが入力した読み、および、候補選択結果を表示する部分である。503は読みを入力するためのテンキー群であり、たとえば「ら」行キー504に触れることにより、「ら」→「り」→「る」→「れ」→「ろ」と、ら行の読みに順次変換される。505は予測変換候補を表示する予測変換候補表示領域であり、ユーザが欲する候補が表示されていれば個々の候補ボタン506に触れることで選択できる。目的地設定ボタン507は、ユーザが選択した施設名を目的地として設定するために使用される。なお、上記ではタッチパネルによる画面上での直接操作による読み入力や候補選択を例としているが、リモコンキーや本体内に装備された操作キーを用いた画面上アイテムの選択や操作を行うようにしてもよい。また、図5では最大5件の候補を提示するものとしているが、スクロールバーやページ送りキーを設けることにより、最大10件以上の候補を提示できるようにしてもよい。
【0018】
以下、図1から図8までを適宜参照しつつ、この発明の処理内容について説明する。ユーザは「鶴岡八幡宮」を目的地として設定しようとしているものとして説明する。
図6は、この発明における入力支援処理の基本処理フローである。ステップST1は、読み入力または提示候補選択処理であり、入力支援処理の開始直後、即ち初期状態のステップST1において、入力部101はユーザから入力される検索用キーワードの読み文字列102を受ける。ここでは図5の502に示したように「つる」が入力されたものとする。
【0019】
ステップST2は入力終了判定処理であり、制御部108が目的地設定キー(図5の507)が操作されているかどうかを判定し、操作されていれば入力終了と判定し、そうでなければステップST3以降の処理を実行する。ここでは読み「つる」が入力された状態なのでステップST3以下に進む。
【0020】
ステップST3は提示候補生成処理であり、提示候補生成部104が記憶部109からユーザが入力した読みを取り出し、その読みで始まる施設名を施設名辞書105から検索し、検索結果をもとに提示候補を生成する。
本実施の形態では入力された読み「つる」で始まる施設名を施設名辞書105から検索し、図2に示した施設名辞書の場合は、レコード番号R7〜R13などが施設名候補として検索される。
ここで検索に使用する読みは、ユーザが直接キー入力により入力した読みだけではなく、ユーザが候補絞り込みの過程で選択したN単語の選択結果から得られるものも含む。さらに上記の施設名辞書検索結果から、ユーザ選択済の上記N単語の表記で始まる候補をスコア順に抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番目の単語を提示候補リストに加える。
【0021】
図7に提示候補生成処理の詳細フローを示す。ステップST701は読み表記前方一致候補生成処理であり、図4に示す読み表記前方一致候補生成部401が、ユーザが入力した読みを記憶部109から取り出し、その読みで始まる施設名を施設名辞書105から検索する。さらに、上記N単語で始まる施設名候補を抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番目の単語をスコア順に抽出して提示候補リストを生成する。ここでは、ユーザが入力した読み「つる」で始まる施設名を図2に示した施設名辞書から検索し、図2のR7〜R13が検索結果として得られる。この段階では、ユーザは読みの先頭二文字を入力しただけであり候補絞り込み結果は存在しないので、すべての施設名候補の中から図2のスコア105cの上位となる施設名の表記の第一単語が提示候補リストに追加される。具体的には、R12の「鶴見」、R9の「鶴亀」、R7の「鶴岡」、R11の「都留」、R13の「敦賀」が提示候補リストに追加される。なお、R8の「鶴岡」はR13の「敦賀」よりスコアが上だが、R7の「鶴岡」と重複するので提示候補リストには追加されない。
【0022】
ステップST702は読み異なり語検索処理であり、図4の読み異なり語検索部402が、上記のユーザが候補絞り込みの過程で選択したN単語の各表記を検索キーとして、読み異なり語辞書106を検索する。ここでは、ユーザが候補絞込みを行う前の段階なので、検索は行われない。
【0023】
ステップST703では、図4の読み異なり語存在判定部403が、上記の読み異なり語検索結果をもとに読み異なり語が存在するかどうかを判定する。ここではユーザが候補絞込みを行う前の段階なので、ステップST704(後述)には進まず、提示候補生成処理を終了する。
【0024】
図6のステップST4は候補表示処理であり、候補表示部107が上記で生成された提示候補リストを表示する。図5の予測変換候補表示領域505にこれらの候補が提示された状態を示している。
【0025】
続けてステップST1に戻り、ユーザの入力を受け付ける。ここでは、ユーザは「鶴岡八幡宮」を目的地として設定しようとしているので、図5の候補提示ボタン506で「鶴岡」を選択する。ただし、ここで表示されている「鶴岡」は、図2のR7「鶴岡/警察署(つるおか/けいさつしょ)」の「鶴岡(つるおか)」である。続けてステップST2では、図5の目的地設定ボタン507の操作ではないので入力終了ではないと判定され、ステップST3に進む。
【0026】
以下、図7に示すステップST3の詳細フロー処理を説明する。ステップST701では、図4の読み表記前方一致候補生成部401が、ユーザが入力した読みおよびユーザによる候補絞り込み選択結果であるN単語を記憶部109から取り出し、ユーザが入力した読みで始まる施設名を施設名辞書105から検索する。さらに、上記N単語で始まる施設名候補を抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番目の単語をスコア順に抽出して提示候補リストを生成する。ここではユーザが候補選択した「つるおか」で始まる施設名を施設名辞書105から検索する。図2に示した施設名辞書の場合は、R7およびR8が施設名候補として検索される。ここでは、ユーザが第一単語として「鶴岡」を選択しているので、R7の第二単語の「警察署」およびR8の第二単語の「市役所」が提示候補リストに追加される。
【0027】
続けてステップST702では、図4の読み異なり語検索部402が、上記のユーザが候補絞り込みの過程で選択したN単語の各表記を検索キーとして、読み異なり語辞書106を検索する。ここでは、上記で選択した「鶴岡」を検索キーとして、異なり読み「つるおか」および「つるがおか」を取得する。
【0028】
ステップST703では、図4の読み異なり語存在判定部403が、上記の読み異なり語検索結果をもとに読み異なり語が存在するかどうかを判定する。ここでは異なり読みが取得されているので、ステップST704に進む。
【0029】
ステップST704では、図4の読み異なり語表記前方一致候補生成部404が、ユーザが選択したN単語の読みを上記の読み異なり語辞書の検索結果で置換した読み文字列で始まる施設名候補を施設名辞書105から検索する。この検索結果から上記ユーザの選択したN単語の表記で始まる候補をスコア順に抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番めの単語を提示候補リストに追加する。ここではユーザが選択した単語の読み「つるおか」を、ST702で取得した異なり読みの「つるがおか」で置換し、読みが「つるがおか」で始まる施設名候補を施設名辞書105から検索する。図2に示した施設名辞書の場合は、R10「鶴岡 / 八幡宮(つるがおか / はちまんぐう)」が施設名候補として検索され、2つ目の単語「八幡宮」が提示候補リストに追加される。
【0030】
図6のステップST4は候補表示処理であり、候補表示部107が上記で生成された提示候補リストを表示する。図8の予測変換候補表示領域505がこれらの候補が提示された状態を示している。さらにステップST1に戻り、ユーザは「八幡宮」(図8の806)を選択する。さらにステップST2からST4までの処理を繰り返した後、再度ステップST1でユーザは「目的地設定」(図8の507)を操作し、ステップST2を経て入力支援処理を終了する。
【0031】
このように、ユーザが意図する「鶴岡(つるがおか)」とは異なる「鶴岡(つるおか)」を選択してしまった場合でも、ユーザが意図する「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)」の「八幡宮」を候補として提示することができ、予測変換の操作性が向上する。
【0032】
実施の形態2.
次に、ユーザが「秋葉産婦人科病院」を目的地として設定しようとしている場合について説明する。このときユーザは「秋葉」の読みが「あきは」であるのか「あきば」であるのかよく覚えていないものとする。構成および処理フローについては、実施の形態1と同様であるので、図1から図10までを適宜参照しつつ、この発明の処理内容について説明する。
【0033】
ユーザが読み「あきは」を入力すると、実施の形態1と同様にしてST1からST4までの処理で図9の予測変換候補表示領域505に示すように「秋葉原」と「秋葉」が提示される。続けてステップST1に戻り、ユーザの入力を受け付ける。ここでは、ユーザは「秋葉産婦人科病院」を目的地として設定しようとしているので、図9の候補提示ボタン906で「秋葉」を選択する。ただし、ここで表示されている「秋葉」は、図2のR2「秋葉/神社(あきは/じんじゃ)」の「秋葉(あきは)」である。
【0034】
実施の形態1と同様にして、ステップST701では、図4の読み表記前方一致候補生成部401が、ユーザが入力した読みおよびユーザによる候補絞り込み選択結果であるN単語を記憶部109から取り出し、ユーザが入力した読みで始まる施設名を施設名辞書105から検索する。さらに、上記N単語で始まる施設名候補を抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番めの単語をスコア順に抽出して提示候補リストを生成する。ここではユーザが候補選択した「あきは」で始まる施設名を施設名辞書105から検索し、図2に示した施設名辞書の場合は、R2およびR3が施設名候補として検索される。ここでは、ユーザが第一単語として「秋葉」を選択しているので、R2の第二単語の「神社」が提示候補リストに追加される。R3は第一単語が「秋葉原」であり「秋葉」とは異なるので提示候補リストには追加されない。
【0035】
さらに実施の形態1と同様にして、ステップST702では、図4の読み異なり語検索部402が、上記のユーザが候補絞り込みの過程で選択したN単語の各表記を検索キーとして、読み異なり語辞書106を検索する。ここでは、上記で選択した「秋葉」を検索キーとして、異なり読み「あきは」および「あきば」を取得する。上記と同様にしてステップST703をへてST704に進む。
【0036】
ステップST704では、図4の読み異なり語表記前方一致候補生成部404が、ユーザが選択したN単語の読みを上記の読み異なり語辞書の検索結果で置換した読み文字列で始まる施設名候補を施設名辞書105から検索する。この検索結果から上記ユーザの選択したN単語の表記で始まる候補をスコア順に抽出し、ユーザがまだ選択していないN+1番めの単語を提示候補リストに追加する。ここではユーザが選択した単語の読み「あきは」を、ST702で取得した異なり読みの「あきば」で置換し、読みが「あきば」で始まる施設名候補を施設名辞書105から検索する。図2に示した施設名辞書の場合は、R4「秋葉 / 産婦人科 / 病院(あきば / さんふじんか / びょういん)」が施設名候補として検索され、2つめの単語「産婦人科」が提示候補リストに追加される。
【0037】
さらに実施の形態1と同様にして、図6のステップST5で、候補表示部107が上記で生成された提示候補リストを表示する。図10の予測変換候補表示領域505がこれらの候補が提示された状態を示している。さらにステップST1に戻り、ユーザは図10の「産婦人科」1006を選択する。さらにステップST2からST4までの処理を繰り返し、「病院」を選択した後、再度ステップST1でユーザは図10の「目的地設定」507を操作し、ステップST2を経て入力支援処理を終了する。
【0038】
以上のように、予測変換時に読みの異なる同一表記のある単語を考慮し、ユーザが選択した提示候補の読みが意図した施設名の読みと異なる場合や、そもそもユーザの記憶にある読みがあいまいであるような場合であっても、読み異なり語辞書データを検索することにより異なる読みの予測候補をあわせて提示することにより、予測変換の操作性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
この発明は、検索用のキーワードの読みを数文字入力するだけでキーワードの候補を提示する入力支援装置としてキーボードをもたないカーナビや保守点検用PDA(Personal Digital Assistants)、さらにはミュージックプレーヤーにおける楽曲の検索や携帯電話における電話帳の検索など、予測変換と読み入力を併用して検索用のキーワードを段階的に入力する機器全般に適用される可能性がある。
【符号の説明】
【0040】
101;入力部、102;読み文字列、103;提示候補選択結果、104;提示候補生成部、105;施設名辞書、106;読み異なり語辞書、107;候補表示部、108;制御部、109;記憶部、110;目的地設定部、401;読み表記前方一致候補生成部、402;読み異なり語検索部、403;読み異なり語存在判定部、404;読み異なり語表記前方一致候補生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読みが入力されると、その読みで始まる検索のための予測候補を提示し、提示される候補を選択しながら段階的入力が可能な入力支援装置において、
検索目的物の読みと表記を有するデータが格納された検索目的物名辞書と、
同一表記で読みが異なる語が格納された読み異なり語辞書と、
ユーザにより入力された読み文字列や提示候補の選択結果を受け付ける入力手段と、
ユーザにより入力または選択された提示候補にもとづく読みをもとに次段階の提示候補を、上記検索目的物名辞書から検索し、この検索結果をもとにユーザが候補絞り込みの過程で選択した選択結果と読みおよび表記が前方一致する提示候補リストを生成する読み表記前方一致候補生成手段と、
上記読み表記前方一致候補生成手段で生成した提示候補リスト中の表記を検索キーとして、同一表記で読みが異なる語を、上記読み異なり語辞書から検索する読み異なり語検索手段と、
上記読み異なり語検索手段の検索結果をもとにユーザが候補絞り込みの過程で選択した選択結果と表記は一致するが異なる読みをもつ検索目的物名候補を抽出し、提示候補リストに追加する読み異なり語表記前方一致候補生成手段と、
上記提示候補リストを表示する候補表示手段と、
を備えることを特徴とする入力支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate