説明

入力装置および入力システム

【課題】 入力装置に設けられる複数のスイッチの個々の状態を表す情報を、簡単な回路構成で装置本体に入力することができる入力装置および入力システムを提供する。
【解決手段】 各バンドパスフィルタfiは、携帯機器側入力端子11からの信号に含まれる参照信号を構成する複数の周波数成分のうち、いずれか1つの周波数成分を通過させ、それぞれスイッチSW1〜SWnに送る。各スイッチSW1〜SWnは、可変抵抗器もしくはオン/オフスイッチによって構成され、各スイッチSW1〜SWnを通過した信号は、信号混合器16に入力される。可変抵抗器は、可変抵抗器の値に応じた信号強度の信号を信号混合器16に入力する。オン/オフスイッチは、信号の通過/不通過を制御する。信号混合器16は、スイッチ群15からの信号およびオーディオ帯域通過フィルタfab17を通過した信号を混合して、携帯機器側出力端子12に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体を制御するための情報を入力することができる入力装置および入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム機などを操作するためのゲームコントローラなどの入力装置は、USB(
Universal Serial Bus)あるいはBluetooth(ブルートゥース)などのインタフェースによって装置本体と接続される。携帯電話機あるいはPDA(Personal Digital
Assistance)などの携帯型の通信機器では、ヘッドセット端子を介して送受信される信号は、オーディオ信号のみであることが多く、ゲームコントローラなどの入力装置を接続することができるインタフェースをもつものは少ない。
【0003】
入力装置を接続することができるインタフェースを有する第1の従来の技術である電子機器は、リモートコントロール用データの出力および入力を、ワイヤードリモートコントロール装置もしくはワイヤレスリモートコントロール装置から可能とするためのポートが制御部に設けられる。そのポートには、ワイヤードでリモートコントロール用データの出力および入力を行うためのリモートコントロール用端子が接続されるとともに、ワイヤレスでリモートコントロール用データの出力および入力を行うための送信用バッファおよび受信用バッファが接続される。受信用バッファは、ハイインピーダンス状態および動作状態のうちのいずれかが選択される構成である。リモートコントロール用端子は、オーディオ用の出力端子とは独立して設けられる。
【0004】
制御部は、この受信用バッファをハイインピーダンス状態にして、リモートコントロール用端子にワイヤードリモートコントロール装置が接続されているかを判断することができる。制御部は、この判断結果に基づいて、ワイヤードリモートコントロール装置によるデータの出力および入力もしくはワイヤレスリモートコントロール装置によるデータの出力および入力を切り替えることができる。制御部は、ワイヤードでリモートコントロール用データの出力および入力を行う場合、リモートコントロール用端子を経由して送られてくる信号の電位に基づいて、キーの操作状態を検出する。リモートコントロール(以下「リモコン」ともいう)用端子を経由して送られてくる信号の電位は、キーの操作状態に応じて変化する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
第2の従来の技術であるリモコン接続用制御装置は、リモコン接続素子を搭載することによって、市販家電製品に多く使われているヘッドホン・リモコンセットたとえばワイヤードリモコンからパソコンを制御することができるようにしたものである。リモコン接続制御素子は、パソコンのCPU(Central Processing Unit)からのデータを受け取り、ワイヤードリモコンが受け付けられるシリアルデータに変換してワイヤードリモコンへSOUT信号として出力する。さらに、ワイヤードリモコンからAIN信号として入力されるアナログ信号の電圧値をデジタル値に変換して、パソコンのCPUに送る。CPUは、アナログ信号の電圧値から操作されたボタンを認識する。SOUT信号およびAIN信号は、ヘッドホンへのオーディオ用の出力信号とは独立した信号である(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
第3の従来の技術である電子機器は、本体にホールドスイッチを設けることなく、リモコンが接続されるとによって、本体の操作キーの入力を無効にする。リモコンの入力回路は、複数の抵抗器が、本体側のリモコン信号入力端子に直列に接続される。リモコン信号入力端子は、本体側の電源に抵抗器を介して接続され、直列回路の終端は、本体側のグランドに接続される。複数の抵抗器の直列回路の各接続点は、それぞれスイッチを介して本体側のグランドに接続される。
【0007】
本体のリモコン信号入力端子には、これらのスイッチが押されることによって変化するアナログ信号が入力され、そのアナログ信号がデジタル信号に変換される。本体のマイクロコンピュータは、このデジタル信号によって、リモコンのスイッチのうちのどのスイッチが押されたかを判断することができる。さらに、リモコンが接続されないと、リモコン信号入力端子は、電源の電圧となり、リモコンが接続されたときの電圧よりも高くなり、リモコン信号入力端子の電圧によって、リモコンが接続されているか否かを判断することもできる(たとえば特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2000−278769号公報
【特許文献2】特開2001−282425号公報
【特許文献3】特開2006−80813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ゲームコントローラなどの入力装置は、USBあるいはBluetoothなどのインタフェースによって装置本体と接続することはできるが、これらのインタフェースを持たない携帯電話機あるいはPDAなどの携帯型の通信機器には接続することはできない。
【0010】
ワイヤードでリモートコントロール用データの出力および入力を行う場合の第1の従来の技術、ならびに第2および第3の従来の技術のいずれの従来の技術も、リモコンなどの入力装置に設けられる操作ボタンの状態を、専用の端子を介して、入力装置から装置本体に送られる1つのアナログ信号の電圧値によって判断するものである。しかしながら、スイッチの数が多くなると、各スイッチに対応させる電位の差が微小となり、どのスイッチが操作されたかを正確に判断することができなくなるという問題がある。スイッチの数が多い場合、複数のスイッチの同時操作の組合せの判断はさらに難しい。スイッチの状態を知らせるための専用の端子を設けると、コネクタの形状を独自の形状とし、回路も独自方式の専用ハードウエアを用いる必要があり、入力装置は汎用性に欠けるものとなる。
【0011】
第1の従来の技術は、ワイヤレスでリモートコントロール用データの出力および入力を行う場合、スイッチ操作の情報を無線で装置本体に送信するものであり、専用の端子を設ける必要はないが、情報を無線で送信するための回路が必要であり、入力装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、入力装置に設けられる複数の操作部の個々の状態を表す情報を、簡単な回路構成で入力装置が取り付けられるべき披取付装置に入力することができる入力装置および入力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の予め定める周波数成分から成る参照信号が与えられる入力部と、
前記入力部から前記参照信号が与えられ、前記参照信号の複数の予め定める周波数成分に対して、それぞれが異なる周波数成分の出力を制御し、かつ操作が可能な操作部をそれぞれに有する複数のフィルタと、
前記操作部が操作されることによって、前記複数のフィルタを通じて出力される、それぞれの周波数成分を混合して出力する出力部とを含むことを特徴とする入力装置である。
【0014】
または本発明は、前記フィルタは、対応する周波数成分の出力を通過または阻止に制御することを特徴とする。
【0015】
または本発明は、前記フィルタは、対応する周波数成分の信号強度を、信号増幅素子および信号減衰素子のいずれか一方で調整し、出力を制御することを特徴とする。
【0016】
または本発明は、前記入力部から参照信号とともに入力される第1の非参照信号を出力する第2の出力部と、
外部から与えられる第2の非参照信号を入力する第2の入力部とを含み、
前記出力部は、前記操作部からの周波数成分と、第2の非参照信号とを混合して出力することを特徴とする。
【0017】
または本発明は、前記参照信号は、前記第1の非参照信号の帯域および前記第2の非参照信号の帯域とは異なる帯域の信号であることを特徴とする。
【0018】
または本発明は、前記入力装置と、
前記入力装置と接続される信号処理装置とを含む入力システムであって、
前記信号処理装置は、
前記入力部に接続され、前記入力部に前記参照信号を与える参照信号付与部と、
前記出力部に接続され、前記出力部から出力される周波数成分に基づいて、前記操作部と、予め定める処理とを対応付けして、前記操作部の操作に応じて予め定める処理を実行可能な処理部とを含むことを特徴とする入力システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、入力部に参照信号が与えられると、参照信号は複数のフィルタにそれぞれ与えられる。複数のフィルタは、それぞれに、操作が可能な操作部を有し、参照信号が与えられると、操作部が操作されることによって、参照信号の複数の予め定める周波数成分の出力を制御する。出力部は、操作部が操作されることによって、前記フィルタを通じて出力される、それぞれの周波数成分を混合して出力する。したがって、操作者が操作部を操作することによって、出力部から出力される周波数成分が異なることになる。これによって、出力部から出力される周波数成分、および、この周波数成分の信号強度などを、複数の操作部の個々の操作状態を表す情報として利用することができる。入力部および出力部には、それぞれ1本の信号線を接続して、参照信号を入力し、出力部からの周波数成分を出力することができ、入力装置が取付けられるべき披取付装置への取付が簡単である。また入力装置は、操作部の操作状態に応じて、操作部に対応する周波数成分を出力したり、その入力出力を停止したりする簡単な回路構成で実現することができる。
【0020】
また本発明によれば、前記フィルタは、対応する周波数成分の出力を通過または阻止して出力を制御する、出力部から出力される周波数成分の有無を、各周波数成分に対応する複数のスイッチのオン/オフを表す情報とすることができる。
【0021】
また本発明によれば、前記フィルタは、対応する周波数の信号強度を信号増幅素子および信号減衰素子のいずれか一方で調整して、出力を制御するので、各周波数成分の信号強度を、各周波数成分に対応する複数の操作部、たとえばボリュームなどの可変スイッチの可変量を表す情報とすることができる。
【0022】
また本発明によれば、前記入力部から参照信号とともに入力される第1の非参照信号は、第2の出力部から出力される。また第2の入力部に外部から与えられる第2の非参照信号を入力すると、前記出力部から、前記操作部からの周波数成分と、第2の非参照信号とが混合して出力される。このように入力装置は、第1および第2の非参照信号を伝送する媒体としても機能する。したがって入力装置を、第1の非参照信号を出力し、第2の非参照信号を入力可能な取付部を有する非取付装置に取付ける際に、非取付装置に参照信号を出力するための端子および前記周波数成分を入力するための端子を別に設ける必要がなく、装置構成が複雑化してしまうことがない。
【0023】
また本発明によれば、前記参照信号は、前記第1の非参照信号の帯域および前記第2の非参照信号の帯域とは異なる帯域の信号であるので、第1の非参照信号および第2の非参照信号であるオーディオ信号への参照信号の影響をなくすことができる。したがって、第1および第2の非参照信号の劣化を抑制することができる。
【0024】
また本発明によれば、前記入力部に接続される参照信号付与部によって、前記入力部に前記参照信号を与えて、前記出力部から出力される参照信号に基づいて、処理部が前記操作部と、予め定める処理とを対応付けして、前記操作部の操作に応じた予め定める処理を実行することができる。入力装置の複数の操作部を操作して、装置本体に操作部の操作に対応した動作をさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の実施の一形態である入力システム1の構成を示すブロック図である。入力システム1は、入力装置10と、入力装置10もしくはヘッドセット30を接続可能な携帯機器20と、入力装置10もしくは携帯機器20に接続可能であり、入力装置10に接続される場合は、入力装置10を介して携帯機器20に接続されるヘッドセット30とを含む。携帯機器20は、たとえばオーディオ信号を出力可能なオーディオ機器によって実現される。
【0026】
本発明の実施の一形態である入力装置10は、たとえばキーボードあるいはペンタブレットなどを含んで構成される操作部を含み、操作部を操作によって指示される情報を、携帯機器20に入力する。すなわち、入力装置10は、操作部の操作によって、携帯機器20を制御することができる。さらに、入力装置10は、携帯機器20からのオーディオ信号をヘッドセット30に入力し、ヘッドセット30からのオーディオ信号を携帯機器20に入力する。
【0027】
入力装置10は、携帯機器側入力端子11、携帯機器側出力端子12、オーディオ帯域通過フィルタfaa13、バンドパスフィルタ群14、スイッチ群15、信号混合器16、オーディオ帯域通過フィルタfab17、ヘッドセット側出力端子18、およびヘッドセット側入力端子19を含む。
【0028】
携帯機器側入力端子11は、イヤホンジャックなどの端子であり、携帯機器20からのオーディオ信号を入力する。携帯機器側入力端子11に入力されたオーディオ信号は、オーディオ帯域通過フィルタfaa13およびバンドパスフィルタ群14に送られる。携帯機器側出力端子12は、マイクロホンジャックなどの端子であり、信号混合器16からの信号を携帯機器20に入力する。オーディオ帯域通過フィルタfaa13は、後述するオーディオ帯域の周波数成分の信号を通過させるフィルタ回路であり、携帯機器側入力端子11から入力された信号のうち、オーディオ帯域の信号だけをヘッドセット側出力端子18に送る。オーディオ帯域通過フィルタfaa13を設けることによって、参照信号がノイズとしてヘッドセット側出力端子18から出力されてしまうことが抑制される。
【0029】
バンドパスフィルタ群14は、複数のバンドパスフィルタ(以下単に「フィルタ」ともいう)f1〜fnを含み、各バンドパスフィルタfiは、携帯機器側入力端子11からの信号に含まれる参照信号を構成する複数の周波数成分のうち、いずれか1つの周波数成分を通過させるフィルタ回路である。iは、1〜nの自然数であり、nは、周波数成分の数である。各バンドパスフィルタfiを通過した信号は、それぞれスイッチ群15に含まれるスイッチSW1〜SWnに送られる。
【0030】
スイッチ群15は、複数のスイッチSW(SW1〜SWn)によって構成され、それぞれ複数のバンドパスフィルタf1〜fnを通過した信号が入力される。各スイッチSW1〜SWnは、可変抵抗器もしくはオン/オフスイッチによって構成され、各バンドパスフィルタf1〜fnからの周波数成分の出力を制御する。本実施の形態では、オン/オフスイッチは、スイッチを押圧したときに非導通状態となるプッシュオフスイッチによって構成される。各スイッチSW1〜SWnを通過した信号は、信号混合器16に入力される。スイッチが可変抵抗器の場合は、可変抵抗器の値に応じた信号強度の信号が信号混合器16に入力される。スイッチSWが、オン/オフスイッチの場合は、スイッチSWは、操作状態に応じて、スイッチング態様が切換わり、オン状態であると、信号が信号混合器16に入力され、オフ状態であると、与えられる周波数成分は信号混合器16に入力されない。スイッチSWが、可変抵抗器の場合は、操作状態に応じて、与えられる周波数成分の信号強度を調整し、すなわち減衰させて出力する。なお、ここでは、可変抵抗器の減衰率は、操作状態に応じて15%乃至85%の範囲に可変するものとしている。
【0031】
信号混合器16は、スイッチ群15からの信号およびオーディオ帯域通過フィルタfab17を通過した各周波数成分の信号を混合して、携帯機器側出力端子12に与える。オーディオ帯域通過フィルタfab17は、ヘッドセット側入力端子19からの信号のうち、第1の非参照信号であるオーディオ帯域の信号だけを信号混合器16に送る。オーディオ帯域通過フィルタfab17を設けることによって、ヘッドセット側入力端子19の信号に、参照信号に含まれる周波数成分と同じ周波数帯域の信号が含まれていたとしても、この信号をカットして、携帯機器20における誤動作を抑制することができる。ヘッドセット側出力端子18は、イヤホンジャックなどを接続するための端子であり、オーディオ帯域通過フィルタfaa13からの信号を出力する。ヘッドセット側入力端子19は、マイクロホンジャックなどを接続するための端子であり、この端子19から入力された信号をオーディオ帯域通過フィルタfab17に送る。
【0032】
信号処理装置である携帯機器20は、たとえば携帯電話機もしくはPDA(Personal
Digital Assistance)などの携帯型の通信装置、またはパーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって構成される装置本体であり、AUDIO CODEC/AMP.(音声符号復号/増幅部、以下「CODEC」と略す)21、CPU(Central Processing
Unit)22、およびMEMORY(メモリ)23、携帯機器出力端子24、および携帯機器入力端子25を含む。
【0033】
CODEC21は、CPU22から受け取ったオーディオ出力信号、たとえばWAVE(ウェイブ)データあるいはMIDI(Musical Instruments Digital Interface)データなどのデジタルのオーディオ出力信号を復号し、アナログのオーディオ信号に変換して、携帯機器出力端子24から出力する。そして、携帯機器入力端子25から入力されるアナログのオーディオ信号を、デジタルデータのオーディオ入力信号に変換し、符号化してCPU22に入力する。携帯機器出力端子24から出力されるオーディオ信号には、参照信号が重畳されている。参照信号は、オーディオ信号の帯域外の帯域の複数の予め定める周波数成分から成る信号である。携帯機器入力端子25に入力されたオーディオ信号には、操作部の操作状態を表す信号が重畳されており、その信号は分離されて、操作入力信号としてCPU22に入力される。
【0034】
CPU22は、中央処理装置であり、MEMORY23に記憶されるプログラムを実行することによって、CODEC21を制御する。MEMORY23は、半導体メモリあるいはハードディスク装置などの記憶装置によって構成され、CPU22で実行されるプログラムおよびCPU22が処理するために用いるデータを記憶する。携帯機器出力端子24は、イヤホンジャックなどを接続するための端子であり、CODEC21からのオーディオ信号を出力する。携帯機器入力端子25は、マイクロホンジャックなどを接続するための端子であり、入力されたオーディオ信号をCODEC21へ送る。
【0035】
ヘッドセット30は、ヘッドホン31、マイクロホン(以下「マイク」ともいう)32、ヘッドセット入力端子33、およびヘッドセット出力端子34を含む。ヘッドホン31は、ヘッドセット入力端子33からのオーディオ信号を音にして出力するイヤホンなどのスピーカである。マイク32は、集音した音をオーディオ信号としてヘッドセット出力端子34に送る。ヘッドセット入力端子33は、イヤホンジャックなどの端子であり、入力されたオーディオ信号をヘッドホン31に送る。ヘッドセット出力端子34は、マイクロホンジャックなどの端子であり、マイク32からのオーディオ信号を出力する。
【0036】
図2は、図1に示したCODEC21の構成を示すブロック図である。CODEC21は、DSP(Digital Signal Processor)210、D/AC(Digital Analog
Converter)213、出力AMP(Amplifier)214、入力AMP215、およびA/DC(Analog Digital Converter)216を含む。
【0037】
DSP210は、組み込まれているプログラムを実行することによって、デジタルデータを処理するプロセッサであり、オーディオ信号をデジタルデータとして符号化および復号化する。DSP210は、組み込まれているプログラムを実行することによって、オーディオ帯域通過フィルタfac211、参照信号混合器212、オーディオ帯域通過フィルタfad217、信号抽出フィルタ218、およびDECORDER(デコーダ)219などの機能を実現する。
【0038】
オーディオ帯域通過フィルタfac211は、CPU22から出力されたオーディオ出力信号のうち、オーディオ帯域の周波数成分の信号を通過させるフィルタである。参照信号混合器212は、オーディオ帯域通過フィルタfac211を通過した信号に、参照信号を混合する。D/AC213は、参照信号混合器212からのデジタル信号をアナログ信号に変換する。出力AMP214は、D/AC213からのアナログ信号を増幅して、携帯機器出力端子24に送る。
【0039】
入力AMP215は、携帯機器入力端子25からの信号を増幅して、A/DC216に送る。A/DC216は、入力AMP215で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。オーディオ帯域通過フィルタfad217は、A/DC216からの信号のうち、オーディオ帯域の周波数成分の信号を通過させるフィルタである。オーディオ帯域通過フィルタfad217から出力されるオーディオ入力信号は、CPU22に入力される。
【0040】
信号抽出フィルタ218は、A/DC216からの信号のうち、参照信号の帯域の周波数成分の信号を通過させるフィルタである。DECORDER219は、信号抽出フィルタ218を通過した信号に含まれる周波数成分の有無および信号強度に基づいて、各周波数成分に対応付けられた入力装置10のスイッチSW1〜SWnの状態を判別する。判別結果は、操作入力信号としてCPU22に入力される。
【0041】
入力部は、たとえば携帯機器側入力端子11であり、複数のフィルタは、たとえば複数のバンドパスフィルタf1〜fnとスイッチSW1〜SWnとを含んで構成され、複数の操作部は、たとえば複数のスイッチSW1〜SWnであり、出力部は、たとえば信号混合器16および携帯機器側出力端子12であり、第2の出力部は、たとえばオーディオ帯域通過フィルタfaa13およびヘッドセット側出力端子18であり、第2の入力部は、たとえばヘッドセット側入力端子19およびオーディオ帯域通過フィルタfab17であり、参照信号付与部は、たとえばCODEC21であり、処理部は、たとえばCODEC21およびCPU22である。
【0042】
図3は、図1に示した入力システム1の概観の一例を示す図である。図3に示した入力装置10は、キーボード10aによって構成される例を示している。キーボード10aは、ペンタブレットも含む。各キーが、それぞれスイッチ群15のうちスイッチSW3〜スイッチSWnのオン/オフスイッチに対応し、ペンタブレットのX座標がスイッチSW1に対応し、Y座標がスイッチSW2に対応する。
【0043】
図4は、図1に示した入力装置10の概観の他の例を示す図である。図4に示した入力装置10は、鍵盤ハーモニカあるいは笛などの音楽インストゥルメント10bによって構成される例を示している。各鍵盤が、それぞれスイッチ群15のうちスイッチSW3〜スイッチSWnのオン/オフスイッチに対応する。
【0044】
図5は、図1に示した入力装置10の概観のさらに他の例を示す図である。図5に示した入力装置10は、ゲームコントローラ10cによって構成される例を示している。各操作ボタンが、それぞれスイッチ群15のうちスイッチSW3〜スイッチSWnのオン/オフスイッチに対応する。
【0045】
図6は、図1に示した入力システム1が用いる周波数帯域を示す図である。横軸が周波数f(Hz)および縦軸がゲインである。オーディオ帯域である周波数300Hz〜3.4kHzの帯域を音声に使用する。フィルタfa、具体的には、オーディオ帯域通過フィルタfaa13、オーディオ帯域通過フィルタfab17、オーディオ帯域通過フィルタfac211、およびオーディオ帯域通過フィルタfad217は、オーディオ帯域の周波数成分を通過させるフィルタである。
【0046】
周波数4kHz〜24kHzの帯域を参照信号の帯域として用いる。たとえば可変抵抗器であるスイッチSW1に周波数f1、および可変抵抗器であるスイッチSW2に周波数f2を割り当て、オン/オフスイッチであるスイッチSW3〜スイッチSWnに、それぞれ周波数f3〜周波数fnを割り当てる。図6に示した例では、参照信号の帯域をオーディオ帯域よりも高い周波数帯としたが、オーディオ帯域よりも低い周波数帯としてもよい。
【0047】
COMDECの帯域は、DC(Direct Current)〜周波数24kHzの帯域であり、電話帯域は、周波数300Hz〜3.4kHzの帯域であり、マイクロ・スピーカの帯域の一例は、周波数500Hz〜10kHzの帯域であり、マイクロホンの帯域の一例は、周波数200Hz〜5kHzの帯域である。
【0048】
図7は、図1に示したCODEC21での信号の流れを示す図である。図7および図8に示す記号S1〜S19は、図9に示すブロック図の記号に対応し、各記号を付した信号あるいは情報を識別するための記号である。
【0049】
記号S1の信号は、CPU22からのオーディオ出力信号を示し、オーディオ帯域外の周波数成分も含まれている。記号S2の信号は、CPU22からのオーディオ出力信号が、オーディオ帯域通過フィルタfac211にてオーディオ帯域に制限された信号である。
【0050】
記号S3の信号は、CODEC21で生成された参照信号であり、周波数f1〜fnの周波数成分を含む。周波数f1および周波数f2の周波数成分は、それぞれスイッチSW1およびスイッチSW2の可変抵抗器(以下「ボリウム」ともいう)に対応する周波数成分である。周波数f1および周波数f2の周波数成分は、スイッチの状態をアナログ的に検出する必要があるので、他の周波数成分よりもゲインを大きくしている。周波数f3〜fnの周波数成分は、それぞれスイッチSW3〜SWnのオン/オフスイッチ(以下「ボタン」ともいう)に対応する周波数成分である。周波数f3〜fnの周波数成分は、スイッチがオンかオフかを判別することができればよく、周波数f1および周波数f2のゲインよりも小さいゲインとしている。周波数f3〜fnのゲインを異なった値としているが、同じ値としてもよい。
【0051】
記号S4の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfac211にてオーディオ帯域に制限された信号に、参照信号が重畳された信号である。記号S4の信号は、D/A(
Digital-to-Analog)変換された後、携帯機器出力端子24を介して、入力装置10の携帯機器側入力端子11に入力される。入力装置10の携帯機器側出力端子12から出力され、携帯機器入力端子25から入力された信号は、A/D(Analog-to-Digital)変換された後帯域分離される。記号S17の信号は、携帯機器入力端子25から入力され、A/D変換された信号から、オーディオ帯域通過フィルタfad217にて音声帯域つまりオーディオ帯域の周波数成分が抽出された信号である。オーディオ帯域通過フィルタfad217にてオーディオ帯域の周波数成分が抽出された信号は、オーディオ入力信号としてCPU22に入力される。
【0052】
記号S18の信号は、携帯機器入力端子25から入力され、A/D変換された信号から、信号抽出フィルタ218にて参照信号の帯域の周波数成分が抽出された信号であり、各スイッチの状態を示す信号である。周波数f1のゲインは、記号S3の信号での周波数f1のゲインの25%であり、周波数f2のゲインは、記号S3の信号での周波数f2のゲインの71%であり、周波数f3の周波数成分はない。記号S19の情報は、DECORDER219にて判別された各スイッチの状態を示す情報である。この例では、スイッチSW1のボリウムの状態が、25%の位置であり、スイッチSW2のボリウムの状態が、71%の位置である。スイッチSW3のボタンの状態が、OFFつまり押下された状態であったことを示し、スイッチSW4のボタンの状態が、ONつまり押下されなかった状態であることを示している。
【0053】
図8は、図1に示した入力装置10での信号の流れを示す図である。携帯機器20の携帯機器出力端子24から出力され、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号は、帯域分離フィルタネットワークつまりバンドパスフィルタ群14およびオーディオ帯域通過フィルタfaa13によって帯域分離される。記号S5の信号は、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号から、オーディオ帯域通過フィルタfaa13にて音声帯域つまりオーディオ帯域の周波数成分が抽出された信号である。オーディオ帯域通過フィルタfaa13にてオーディオ帯域の周波数成分が抽出された信号は、ヘッドセット30への出力信号として、ヘッドセット側出力端子18から出力される。
【0054】
記号S6の信号は、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号から、バンドパスフィルタ群14のうちのフィルタf1によって周波数f1の周波数成分のみが抽出された信号であり、スイッチSW1用の信号である。記号S7の信号は、フィルタf1によって周波数f1の周波数成分のみが抽出された信号を、スイッチSW1のボリウムの位置に比例して減衰させた信号である。図8に示した例では、ゲインが25%に減衰されている。記号S8の信号は、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号から、バンドパスフィルタ群14のうちのフィルタf2によって周波数f2の周波数成分のみが抽出された信号であり、スイッチSW2用の信号である。記号S9の信号は、フィルタf2によって周波数f2の周波数成分のみが抽出された信号を、スイッチSW2のボリウムの位置に比例して減衰させた信号である。図8に示した例では、ゲインが71%に減衰されている。
【0055】
記号S10の信号は、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号から、バンドパスフィルタ群14のうちのフィルタf3によって周波数f3の周波数成分のみが抽出された信号であり、スイッチSW3用の信号である。記号S11の信号は、スイッチSW3のボタンが押下されてスイッチがオフとなり、フィルタf3によって周波数f3の周波数成分のみが抽出された信号の通過が阻止されている。記号S12の信号は、携帯機器側入力端子11を介して入力された信号から、バンドパスフィルタ群14のうちのフィルタf4によって周波数f4の周波数成分のみが抽出された信号であり、スイッチSW4用の信号である。記号S13の信号は、スイッチSW4のボタンが押下されず、スイッチがオンのままであり、フィルタf4によって周波数f4の周波数成分のみが抽出された信号はそのまま通過する。
【0056】
記号S14の信号は、ヘッドセット側入力端子19を介して、ヘッドセット30から入力された信号であり、オーディオ帯域外の周波数成分も含まれている。記号S15の信号は、ヘッドセット30から入力された信号が、オーディオ帯域通過フィルタfab17にてオーディオ帯域に制限された信号である。記号S16の信号は、帯域通過フィルタfab17にてオーディオ帯域に制限された信号に、各スイッチSW1〜SWnからの信号が重畳された信号である。帯域通過フィルタfab17にてオーディオ帯域に制限された信号に各スイッチSW1〜SWnからの信号が重畳された信号は、携帯機器側出力端子12を介して、携帯機器20の携帯機器入力端子25に入力される。
【0057】
図9は、図1に示した入力システム1の構成および図2に示したCODEC21の構成に記号S1〜S19を付した図である。記号S1の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfac211に入力されるオーディオ出力信号である。記号S2の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfac211の出力信号である。記号S3の信号は、CODEC21で生成された参照信号である。記号S4の信号は、参照信号混合器212の出力信号である。
【0058】
記号S5の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfaa13の出力信号である。記号S6の信号は、フィルタf1の出力信号である。記号S7の信号は、スイッチSW1の出力信号である。記号S8の信号は、フィルタf2の出力信号である。記号S9の信号は、スイッチSW2の出力信号である。記号S10の信号は、フィルタf3の出力信号である。記号S11の信号は、スイッチSW3の出力信号である。記号S12の信号は、フィルタf4の出力信号である。記号S13の信号は、スイッチSW4の出力信号である。
【0059】
記号S14の信号は、ヘッドセット30から入力された信号である。記号S15の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfab17の出力信号である。記号S16の信号は、信号混合器16の出力信号である。記号S17の信号は、オーディオ帯域通過フィルタfad217から出力されるオーディオ入力信号である。記号S18の信号は、信号抽出フィルタ218の出力信号である。記号S19の情報は、DECORDER219から出力される操作入力信号である。
【0060】
図10は、図1に示した携帯機器20が行う接続デバイスの認識処理のフローチャートである。接続デバイスの認識処理は、入力装置10が携帯機器20に接続されているか否かを判別し、さらに、入力装置10が接続されていれば、入力装置10の種類を判別し、判別した入力装置10に対応するデバイスドライバをインストールする処理である。ユーザ操作、たとえば認識処理の開始を指示するためのボタンの押下あるいは携帯機器20に設けられるディスプレイなどに表示されるアイコン操作が行われると、ステップA1に移る。
【0061】
ステップA1では、CODEC21から携帯機器出力端子24へ参照信号を出力する。ステップA2では、携帯機器入力端子25からの入力信号をCODEC21へ入力する。ステップA3では、入力信号と参照信号との周波数fi成分ごとの振幅つまり信号強度の比率を算出する。すなわち、参照信号の信号強度に対する入力信号の信号強度の百分率を周波数fi成分ごとに算出する。
【0062】
ステップA4では、周波数fiの比率が、85%以上であるか否かを判定する。周波数fiの比率が85%以上であると、ステップA11に進み、周波数fiの比率が85%以上でないと、ステップA5に進む。ステップA5では、周波数fiの比率が、15%以上85%未満であるか否かを判定する。周波数fiの比率が15%以上85%未満であると、ステップA10に進み、周波数fiの比率が15%以上85%未満でないと、ステップA6に進む。
【0063】
ステップA6では、周波数fiは、ボタン検出用およびボリウム検出用のいずれにも割り当てない。MEMORY23は、たとえばアクセス速度の速い主記憶とアクセス速度の遅い補助記憶とから構成され、周波数fiにボタン検出用およびボリウム検出用のいずれも割り当てないことを主記憶に記憶する。ステップA7では、全ての周波数fiの処理が完了したか否かを判定する。全ての周波数fiの処理が完了すると、ステップA8に進み、全ての周波数fiの処理が完了していないと、ステップA3に戻る。
【0064】
ステップA8では、f1〜fnの全ての周波数成分が、ボタン検出用およびボリウム検出用のいずれにも割り当てられていないか否かを、主記憶を参照して判定する。f1〜fnの全ての周波数成分がボタン検出用およびボリウム検出用のいずれにも割り当てられていないと、入力装置10(以下「入力デバイス」ともいう)が未接続か、または普通のヘッドセット30が入力デバイスを介さずに直接接続されていると判定し、ステップA12に進む。f1〜fnの周波数成分のいずれかがボタン検出用もしくはボリウム検出用に割り当てられていると、入力装置1が接続されていると判定し、ステップA9に進む。
【0065】
ステップA9では、各スイッチの有無およびスイッチがボリウムかボタンかによって判別される入力デバイスの種類に応じて、入力デバイス用のデバイスドライバをインストールして、接続デバイスの認識処理を終了する。入力デバイスの種類と、各スイッチの有無およびスイッチがボリウムかボタンかを示す情報とを対応づけた対応表を、予めMEMORY23に記憶しておき、その対応表から、接続された入力デバイスの種類を判別する。デバイスドライバのインストールとは、補助記憶に記憶されているデバイスドライバを主記憶にロードすることである。
【0066】
ステップA10では、周波数fiは、ボリウム検出用に割り当て、その割り当て情報を主記憶に記憶し、ステップA7に進む。ステップA11では、周波数fiは、ボタン検出用に割り当て、その割り当て情報を主記憶に記憶し、ステップA7に進む。ステップA12では、参照信号の出力を停止して、接続デバイスの認識処理を終了する。
【0067】
図10に示した接続デバイスの認識処理では、全ての周波数fiについて、ボタン検出用に割り当てるかボリウム検出用に割り当てるかを判定したが、全てを判定する前に、たとえば図10に示したフローチャートのステップA7の前で、すでに判定した周波数fiから、対応表に示されている入力デバイスのいずれであるかを判別、あるいは入力デバイスのいずれでもないと判別した場合は、その時点で、ボタン検出用に割り当てるかボリウム検出用に割り当てるかの処理を終了してもよい。対応表に示されている入力デバイスのいずれかであると判別された場合は、ステップA9に進み、対応表に示されている入力デバイスのいずれでもないと判別された場合は、ステップA12に進む。
【0068】
このように、入力装置1は、携帯機器側入力端子11から、複数の予め定める周波数成分から成る参照信号が与えられ、複数のバンドパスフィルタf1〜fnによって、前記参照信号の複数の予め定める周波数成分に対して、それぞれが異なる周波数成分の参照信号を通過させ、バンドパスフィルタf1〜fnにそれぞれ対応して設けられる複数のスイッチSW1〜SWnよって、バンドパスフィルタf1〜fnから与えられる参照信号の操作状態に応じた周波数成分が出力可能となっている。また信号混合器16および携帯機器側出力端子12によって、参照信号の各周波数成分を、対応する複数のスイッチSW1〜SWnの個々の状態を表す情報として出力することができる。携帯機器側入力端子11および携帯機器側出力端子12には、それぞれ1本の信号線を接続して、参照信号を入力し、携帯機器側出力端子12からの周波数成分を出力することができ、入力装置1が取付けられるべき携帯機器20への取付が簡単である。また入力装置は1、スイッチSW1〜SWnの操作状態に応じて、SW1〜SWnに対応する周波数成分を出力したり、その入力出力を停止したりする簡単な回路構成で実現することができる。
【0069】
さらに、複数のスイッチSW1〜SWnのうちオン/オフスイッチによって、操作状態に応じて、予め定める周波数成分を出力するか、またはその出力を停止するかが切換えられるので、携帯機器側出力端子12から出力される周波数成分の有無によって、各周波数成分に対応するスイッチのオン/オフを表す情報とすることができる。
【0070】
さらに、前記操作部である複数のスイッチSW1〜SWnのうち可変抵抗素子によって、操作状態に応じて、周波数成分の信号強度が調整して出力されるので、各周波数成分の信号強度を、各周波数成分に対応する可変抵抗素子であるボリュームなどの可変スイッチの可変量を表す情報とすることができる。これによってアナログ量を変化させる可変スイッチによって携帯機器20を操作することができる。
【0071】
さらに、入力装置1では、オーディオ帯域通過フィルタfaa13およびヘッドセット側出力端子18によって、携帯機器側入力端子11から参照信号とともに入力されるオーディオ信号が出力され、ヘッドセット側入力端子19およびオーディオ帯域通過フィルタfab17によって、外部から与えられるオーディオ信号が入力される。また信号混合器16および携帯機器側出力端子12によって、複数のスイッチSW1〜SWnからの参照信号と、外部から与えられるオーディオ信号とが混合して出力される。これによって、参照信号とオーディオ信号とを1つの信号線で送信し、かつスイッチSW1〜SWnからの周波数成分と外部から与えられるオーディオ信号とを1つの信号線で送信することができる。したがって、携帯機器20に、参照信号のための端子を別に設ける必要がなく、携帯機器20である、たとえば携帯電話機などの携帯型の通信機器が有するオーディオ信号の入出力端子を入力装置1に接続するだけで、入力装置1によって携帯機器20を操作することができる。
【0072】
さらに、前記参照信号は、携帯機器20から与えられるオーディオ信号の帯域およびマイクロフォン32から与えられ、オーディオ帯域通過フィルタfab17を通過する信号の帯域とは異なる帯域の信号であるので、第1の非参照信号および第2の非参照信号であるオーディオ信号への参照信号の影響をなくすことができる。したがって、音質の低下を防止することができる。
【0073】
さらに、携帯機器20は、前記入力装置1と接続され、携帯機器側入力端子11に接続されるCODEC21によって、携帯機器側入力端子11に前記参照信号が与えられ、信号混合器16および携帯機器側出力端子12に接続されるCODEC21およびCPU22によって、携帯機器側出力端子12から出力される周波数成分の信号に基づいて、前記操作部である複数のスイッチSW1〜SWnと、予め定める処理とを対応付けする。これによって、携帯機器20は、スイッチSW1〜SWnの操作に応じた予め定める処理を実行することができ、携帯機器20にスイッチSW1〜SWnの操作に対応した動作をさせることができる。
【0074】
本発明の実施の他の形態では、複数のバンドパスフィルタfiを、携帯機器側入力端子11からの信号に含まれる参照信号を構成する複数の周波数成分のうち、それぞれが異なる周波数成分を阻止するフィルタ回路によって実現してもよい。スイッチSW1〜SWnは、バンドパスフィルタfiをバイパス可能に設けられ、すなわちスイッチSW1〜SWnとそれぞれ並列に接続される。本実施の形態では、前述したオン/オフスイッチは、スイッチを押したときに導通状態となるプッシュオンスイッチによって構成する。これによって、オン/オフスイッチを押下した場合には、バンドパスフィルタfiによって阻止されていた周波数成分が、信号混合器16に与えられる。このような構成であっても、前述した実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【0075】
また本発明の実施のさらに他の形態では、前述した実施の形態において、前記信号減衰素子である可変抵抗器を、信号増幅素子に変えて入力装置1を構成してもよい。信号増幅素子は、たとえばトランジスタなど含んで実現され、予め定める周波数成分の信号強度を可変スイッチの操作によって増加させる構成すればよく、このような構成であっても、前述した実施の形態と同様の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の一形態である入力システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】CODEC21の構成を示すブロック図である。
【図3】入力システム1の概観の一例を示す図である。
【図4】入力装置10の概観の他の例を示す図である。
【図5】入力装置10の概観のさらに他の例を示す図である。
【図6】入力システム1が用いる周波数帯域を示す図である。
【図7】CODEC21での信号の流れを示す図である。
【図8】入力装置10での信号の流れを示す図である。
【図9】入力システム1の構成およびCODEC21の構成に記号S1〜S19を付した図である。
【図10】携帯機器20が行う接続デバイスの認識処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 入力システム
10 入力装置
11 携帯機器側入力端子
12 携帯機器側出力端子
13 オーディオ帯域通過フィルタfaa
14 バンドパスフィルタ群
15 スイッチ群
16 信号混合器
17 オーディオ帯域通過フィルタfab
18 ヘッドセット側出力端子
19 ヘッドセット側入力端子
20 携帯機器
21 CODEC
22 CPU
23 MEMORY
24 携帯機器出力端子
25 携帯機器入力端子
30 ヘッドセット
31 ヘッドホン
32 マイクロホン
33 ヘッドセット入力端子
34 ヘッドセット出力端子
210 DSP
211 オーディオ帯域通過フィルタfac
212 参照信号混合器
213 D/AC
214 出力AMP
215 入力AMP
216 A/DC
217 オーディオ帯域通過フィルタfad
218 キー信号抽出フィルタ
219 DECORDER

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の予め定める周波数成分から成る参照信号が与えられる入力部と、
前記入力部から前記参照信号が与えられ、前記参照信号の複数の予め定める周波数成分に対して、それぞれが異なる周波数成分の出力を制御し、かつ操作が可能な操作部をそれぞれに有する複数のフィルタと、
前記操作部が操作されることによって、前記複数のフィルタを通じて出力される、それぞれの周波数成分を混合して出力する出力部とを含むことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記フィルタは、対応する周波数成分の出力を通過または阻止して出力を制御することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記フィルタは、対応する周波数成分の信号強度を、信号増幅素子および信号減衰素子のいずれか一方で調整して、出力を制御することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記入力部から参照信号とともに入力される第1の非参照信号を出力する第2の出力部と、
外部から与えられる第2の非参照信号を入力する第2の入力部とを含み、
前記出力部は、前記操作部からの周波数成分と、第2の非参照信号とを混合して出力することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記参照信号は、前記第1の非参照信号の帯域および前記第2の非参照信号の帯域とは異なる帯域の信号であることを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の入力装置と、
前記入力装置と接続される信号処理装置とを含む入力システムであって、
前記信号処理装置は、
前記入力部に接続され、前記入力部に前記参照信号を与える参照信号付与部と、
前記出力部に接続され、前記出力部から出力される周波数成分に基づいて、前記操作部と、予め定める処理とを対応付けして、前記操作部の操作に応じて予め定める処理を実行可能な処理部とを含むことを特徴とする入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−15467(P2009−15467A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174584(P2007−174584)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】