説明

入力装置及びこれを用いた電子機器

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される入力装置、及びこれを用いた電子機器に関し、誤字入力がなく、容易に操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】制御手段13がタッチパネル8への指の近接に応じて位置信号を、指の接触に応じて軌跡信号を出力すると共に、表示手段35に指の位置表示37と軌跡表示を表示することによって、タッチパネル8に指を近接させると、表示手段35に指の位置表示37が行われ、タッチパネル8を見なくとも指の位置が判別できるため、手書き入力時に途中で指を離した場合でも誤字入力が生じづらく、容易に操作が可能な入力装置17、及びこれを用いた電子機器を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に使用される入力装置、及びこれを用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやパーソナルコンピュータ等の各種電子機器の高機能化や多様化が進むなか、これらに装着されたタッチパネル等を指で操作して、文字等の手書き入力を行うものが増えており、使い易く、容易に操作が可能なものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置や電子機器について、図6及び図7を用いて説明する。
【0004】
図7は従来の電子機器の斜視図であり、同図において、30はリモコン送信機で、絶縁樹脂製のケース31の上面には複数の操作キー32や、静電容量方式のタッチパネル33が設けられると共に、これらがケース31内に収納された配線基板(図示せず)に形成された、マイコン等の制御手段(図示せず)に電気的に接続されて、入力装置が形成されている。
【0005】
また、34はテレビ等の映像機器で、この前面には液晶表示素子等の表示手段35が形成されると共に、この映像機器34とリモコン送信機30によって電子機器が構成されている。
【0006】
以上の構成において、リモコン送信機30を映像機器34に向けて、指で所定の操作キー32を押圧操作すると、ケース31内のスイッチ接点(図示せず)の電気的接離が行われ、これに応じて制御手段が所定のリモコン信号を映像機器34へ送信し、例えば、映像機器34の電源の入/切や音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0007】
また、図6(a)の正面図に示すように、映像機器34の表示手段35に、入力部35Aや選択部35B、確定部35C等の手書き入力用のメニューが表示された状態で、リモコン送信機30のタッチパネル33上面に指を触れ、例えば文字「P」を描くように指を摺動操作すると、この操作した箇所の静電容量が変化するため、これによって指の軌跡を制御手段が検出する。
【0008】
そして、この指の摺動操作に応じたリモコン信号を、制御手段が映像機器34へ送信し、表示手段35の入力部35Aに文字「P」が表示されると共に、選択部35Bには「P」に字体が類似した「p」や「P」、「F」等の文字や、カーソル36が表示される。
【0009】
また、この状態で、カーソル移動用の操作キー32を押圧操作すると、これに応じて制御手段がリモコン信号を送信し、図6(b)に示すように、カーソル36が選択部35B内を移動して、所望の文字「P」が選択される。
【0010】
さらに、この状態で、確定用の操作キー32を押圧操作すると、同じくリモコン信号が送信され、図6(c)に示すように、確定部35Cに「P」が表示されて、文字「P」の手書き入力が行われる。
【0011】
つまり、リモコン送信機30の複数の操作キー32の押圧操作によって、映像機器34の電源の入/切や音量の増減等の遠隔操作を行うと共に、タッチパネル33に指を触れ摺動操作することによって、所望の文字の手書き入力を、遠隔操作によって行うことができるように構成されているものであった。
【0012】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−62607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来のリモコン送信機30や電子機器においては、タッチパネル33を摺動操作して手書き入力を行う際、タッチパネル33に接触させた指を見ながら文字等を描く必要があるため、操作が煩雑であると共に、途中で指を離し再度手書き入力を行う場合には、誤字入力等が生じ易くなってしまうという課題があった。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤字入力がなく、容易に操作が可能な入力装置、及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、入力装置の制御手段がタッチパネルへの指の近接に応じて位置信号を、指の接触に応じて軌跡信号を出力すると共に、表示手段に指の位置表示と軌跡表示を表示するようにして電子機器を構成したものであり、タッチパネルに指を近接させると、表示手段に指の位置表示が行われ、タッチパネルを見なくとも指の位置が判別できるため、手書き入力時に途中で指を離した場合でも誤字入力が生じづらく、容易に操作が可能な入力装置、及びこれを用いた電子機器を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、誤字入力がなく、容易に操作が可能な入力装置、及びこれを用いた電子機器を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図
【図2】同電子機器の斜視図
【図3】同電子機器の正面図
【図4】同電子機器の正面図
【図5】同電子機器の斜視図
【図6】電子機器の正面図
【図7】従来の電子機器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0020】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0021】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図、図2は同電子機器の斜視図であり、同図において、1はポリエチレンテレフタレートやポリエーテルサルホン、ポリカーボネート等のフィルム状で光透過性の上基板で、上面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性で略帯状の、複数の上導電層2が前後方向に配列形成されると共に、この上導電層2の前端または後端に連結され、端部が上基板1の外周右端に延出する銅箔製の複数の上電極3が、上導電層2とは直交方向の左右方向に延出形成されている。
【0022】
また、4は同じくフィルム状で光透過性の下基板で、上面には酸化インジウム錫や酸化錫等の光透過性で略帯状の複数の下導電層5が、上導電層2とは直交方向の左右方向に配列形成されると共に、この下導電層5右端に連結され端部が下基板4の外周右端に延出する、上電極3と同様の複数の下電極6が、下導電層5と平行方向の左右方向に延出形成されている。
【0023】
そして、この複数の上導電層2と下導電層5は、複数の方形部が帯状に連結されて形成されると共に、これらの間には、略方形の複数の空隙部が設けられ、上基板1と下基板4が積重された状態では、各々の方形部が各々の空隙部に上下で交互に重なるように形成されている。
【0024】
さらに、7はフィルム状で光透過性のカバー基板で、下基板4上面に上基板1、上基板1上面にカバー基板7が重ねられると共に、これらが各々アクリルやシリコーン等の接着剤(図示せず)等によって貼り合わされて、タッチパネル8が構成されている。
【0025】
つまり、本実施の形態においては、前後方向に配列形成された複数の上導電層2と、これとは直交方向の左右方向に配列形成された下導電層5が、上基板1やこの下面の接着剤を介して、所定の間隙を空けて対向配置された構成となっている。
【0026】
また、10はリモコン送信機で、略箱状でポリスチレンやABS等の絶縁樹脂製のケース11の上面に、タッチパネル8が装着されると共に、ケース11上面の複数の開口孔からは、ゴムやエラストマー等の複数の操作キー12が上下動可能に突出している。
【0027】
そして、ケース11内には、上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)が収納されると共に、この配線基板上面には操作キー12の上下動によって電気的接離を行う、複数のスイッチ接点(図示せず)が形成されている。
【0028】
さらに、配線基板にはマイコン等の制御手段13や、アンテナ等の送信手段14や受信手段15が形成されると共に、タッチパネル8の複数の上電極3と下電極6、複数のスイッチ接点、送信手段14や受信手段15が配線パターンやフィルム状のフレキ基板(図示せず)等を介して、制御手段13に電気的に接続されて、入力装置17が形成されている。
【0029】
また、34はテレビ等の映像機器で、この前面には液晶表示素子等の表示手段35が形成されると共に、この映像機器34とリモコン送信機10によって電子機器が構成されている。
【0030】
以上の構成において、リモコン送信機10を映像機器34に向けて、指で所定の操作キー12を押圧操作すると、ケース11内のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これに応じて制御手段13が送信手段14から、所定の電波のリモコン信号を映像機器34へ送信し、例えば、映像機器34の電源の入/切や音量の増減等が遠隔操作によって行われる。
【0031】
また、図6(a)の正面図に示すように、映像機器34の表示手段35に、入力部35Aや選択部35B、確定部35C等の手書き入力用のメニューが表示された状態で、リモコン送信機10のタッチパネル8上面に指を触れ、例えば文字「P」を描くように指を摺動操作すると、この操作した箇所の上導電層2と下導電層5の間の静電容量が変化するため、これによって指の軌跡を制御手段13が検出する。
【0032】
そして、指の摺動操作に応じた軌跡信号が制御手段13から出力され、この軌跡信号が送信手段14からリモコン信号として映像機器34へ送信されて、表示手段35の入力部35Aに文字「P」の軌跡表示が表示されると共に、選択部35Bには「P」に字体が類似した「p」や「P」、「F」等の文字や、カーソル36が表示される。
【0033】
さらに、この状態で、カーソル移動用の操作キー12を押圧操作すると、これに応じて制御手段13がリモコン信号を送信し、図6(b)に示すように、カーソル36が選択部35B内を移動して、所望の文字「P」が選択される。
【0034】
そして、この状態で、確定用の操作キー12を押圧操作すると、同じくリモコン送信機10からリモコン信号が送信され、図6(c)に示すように、確定部35Cに「P」が表示されて、文字「P」の手書き入力が行われる。
【0035】
また、続けて文字「A」を手書き入力するために、タッチパネル8上面に指を触れ、先ず「A」の一部の「∧」を描くように摺動操作すると、この操作した箇所の静電容量の変化によって指の軌跡を制御手段13が検出し、この軌跡信号が制御手段13から出力されて、送信手段14からリモコン信号として映像機器34へ送信される。
【0036】
したがって、図3(a)の正面図に示すように、表示手段35の入力部35Aには文字「A」ではなく「∧」の軌跡表示が表示されると共に、選択部35Bには、「A」ではなく「∧」に字体が類似した「へ」や「∧」等の文字や、カーソル36が表示される。
【0037】
このため、いったん指をタッチパネル8から離した後、「A」の一部の「−」を続けて描くために、再び指を近づけると、この指の近接によってタッチパネル8の操作しようとする箇所の、上導電層2と下導電層5の間の静電容量が、上記の指が触れた場合とは異なる値に変化するため、これを制御手段13が検出して、上記の軌跡信号とは異なる位置信号が制御手段13から出力される。
【0038】
そして、この位置信号が送信手段14からリモコン信号として映像機器34へ送信されると、表示手段35の入力部35Aには、例えば指がタッチパネル8上の右側にある場合には、図3(b)に示すように右側に、左側にある場合には図3(c)に示すように左側に、タッチパネル8上の指の近接した位置を示す、例えば矢印状の位置表示37が表示される。
【0039】
つまり、タッチパネル8に指を接触させて摺動操作した場合には、この指の軌跡を制御手段13が検出して軌跡信号が出力され、表示手段35の入力部35Aに「∧」の軌跡表示が表示されるが、指をタッチパネル8に近接させた場合には、軌跡信号とは異なる位置信号が制御手段13から出力され、指がタッチパネル8上のどの位置にあるのかを示す、位置表示37が入力部35Aに表示される。
【0040】
そして、この位置表示37に基づいて、指を再びタッチパネル8に接触させ、「A」の一部の「−」を描くように摺動操作すると、この静電容量の変化を制御手段13が検出して軌跡信号が出力され、送信手段14からリモコン信号が送信されて、図4(a)の正面図に示すように、表示手段35の入力部35Aに文字「A」の軌跡表示が表示されると共に、選択部35Bには「A」に字体が類似した「A」や「△」、「∧」等の文字や、カーソル36が表示される。
【0041】
なお、この状態では、選択部35Bのカーソル36が所望の文字「A」にあり、カーソル36を移動させる必要がないため、確定用の操作キー12を押圧操作すると、これに応じて制御手段13がリモコン信号を送信し、図4(b)に示すように、確定部35Cに「P」に並んで「A」が表示されて、文字「A」の手書き入力が終了する。
【0042】
つまり、リモコン送信機10の複数の操作キー12の押圧操作によって、映像機器34の電源の入/切や音量の増減等の遠隔操作を行うと共に、タッチパネル8に指を触れ摺動操作することによって、所望の文字の手書き入力を、遠隔操作によって行うことができるように構成されている。
【0043】
また、この時、入力装置17の制御手段13が、タッチパネル8に指を接触させて摺動操作した場合には、この指の軌跡を検出して軌跡信号を出力し、図6(a)や図3(a)に示すように、表示手段35の入力部35Aに「P」や「∧」の軌跡表示が表示されると共に、指をタッチパネル8に近接させた場合には、制御手段13がこれを検出して、軌跡信号とは異なる位置信号を出力し、図3(b)や図3(c)に示すように、指の位置を示す位置表示37が入力部35Aに表示されることで、誤字入力がなく、手書き入力操作を容易に行えるようになっている。
【0044】
すなわち、タッチパネル8に指を近接させると、表示手段35に指の位置表示37が行われ、タッチパネル8を見なくとも、指がタッチパネル8のどの位置にあるのかが判別できるため、タッチパネル8を摺動操作して手書き入力を行う際や、あるいは、いったんタッチパネル8から指を離し再度手書き入力を行う場合にも、都度タッチパネル8や指を見て位置を確認する必要がなく、表示手段35だけを見ながら、容易に手書き入力操作を行うことが可能なように構成されている。
【0045】
なお、以上の説明では、操作キー12の押圧操作やタッチパネル8の摺動操作等に応じて、制御手段13がアンテナ等の送信手段14から、電波のリモコン信号を映像機器34へ送信する構成について説明したが、送信手段14を発光ダイオード等で形成し、赤外線によって映像機器34を遠隔操作する構成や、あるいは、受信手段15を用いて映像機器34と双方向に通信する構成としても、本発明の実施は可能である。
【0046】
また、以上の説明では、リモコン送信機10に入力装置17を形成し、この操作キー12やタッチパネル8を操作して、映像機器34を遠隔操作する電子機器について説明したが、図5の斜視図に示すように、固定筐体40に開閉可能に装着された可動筐体41の液晶表示素子等の表示手段35を見ながら、固定筐体40上面の複数の操作キー12やタッチパネル8を操作する、パーソナルコンピュータ等の電子機器においても、本発明の実施は可能である。
【0047】
さらに、上面に上導電層2が形成されたフィルム状の上基板1と、同じく下導電層5が形成された下基板4を貼り合わせて、タッチパネル8を形成した構成について説明したが、紙フェノールやガラス入りエポキシ等の薄板に、例えば3枚の薄板に銅箔等によって複数の上導電層2や下導電層5、上電極3や下電極6を形成し、これらを積層すると共に、銀等のスルーホールによってこれらを接続した、いわゆる多層配線基板を用いてタッチパネルを形成した構成としてもよい。
【0048】
このように本実施の形態によれば、制御手段13がタッチパネル8への指の近接に応じて位置信号を、指の接触に応じて軌跡信号を出力すると共に、表示手段35に指の位置表示37と軌跡表示を表示することによって、タッチパネル8に指を近接させると、表示手段35に指の位置表示37が行われ、タッチパネル8を見なくとも指の位置が判別できるため、手書き入力時に途中で指を離した場合でも誤字入力が生じづらく、容易に操作が可能な入力装置17、及びこれを用いた電子機器を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明による入力装置及びこれを用いた電子機器は、誤字入力がなく、容易に操作が可能なものを得ることができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 上基板
2 上導電層
3 上電極
4 下基板
5 下導電層
6 下電極
7 カバー基板
8 タッチパネル
10 リモコン送信機
11 ケース
12 操作キー
13 制御手段
14 送信手段
15 受信手段
17 入力装置
34 映像機器
35 表示手段
35A 入力部
35B 選択部
35C 確定部
36 カーソル
37 位置表示
40 固定筐体
41 可動筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に配列された略帯状で複数の上導電層、及びこの上導電層と直交方向に所定の間隙を空けて配列された略帯状で複数の下導電層から形成されたタッチパネルと、このタッチパネルに接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記タッチパネルへの指の近接に応じて位置信号を、指の接触に応じて軌跡信号を出力する入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の入力装置と、表示手段からなり、上記入力装置の制御手段からの位置信号と軌跡信号に応じて、上記表示手段に指の位置表示と軌跡表示を表示する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−58125(P2013−58125A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196839(P2011−196839)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】