説明

入力装置及び入力システム

【課題】入力装置を操作した感触を操作者に振動により伝える際、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能な入力装置及び入力システムを提供する。
【解決手段】入力装置101は、操作者が入力操作を行うための入力面を有する入力手段111と、操作者が入力面への入力操作を行う際に、操作者の身体と接触した状態となるよう使用される接触手段116と、接触手段116を振動させる位置に配置された振動手段115とを備えている。更に、入力装置101は、入力面への入力操作が行われたことを検出する検出手段112と、入力面への入力操作が検出された場合、入力面への入力操作が行われたことを操作者に振動で知らせるよう、振動手段115を振動させるための制御信号を出力する制御手段113とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び入力システムに関し、特に、静電容量型又はタッチパネル型のキーボード装置、及びこのようなキーボード装置を備える入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器等の入力装置として、従来のボタン型の入力装置に代わり、タッチパネルが広く普及してきている。タッチパネルによる入力機構の例として、画面上に表示されたキーボードへのタッチ操作により、キー入力を行うことが可能なソフトウェアキーボードが挙げられる。
【0003】
しかしながら、ソフトウェアキーボードには、キーボードを打鍵したことを、操作者が解りにくいという欠点がある。そこで、キーボードを打鍵した時の感触が得られるよう、タッチ操作に応じてタッチパネルを振動させるフォースフィードバック技術(HAPTICS技術)が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−310623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、フラットな板状部材の表面にキーを表示した静電容量型のキーボードが注目されている。しかしながら、静電容量型のキーボードには、ソフトウェアキーボードと同様、キーボードを打鍵したことを、操作者が解りにくいという欠点がある。そこで、静電容量型のキーボードに関しても、キーを打鍵した感触が得られるよう、キー入力に応じてキーボードを振動させることが検討されている。キーボードの振動は例えば、電動モータやピエゾ素子の振動により発生させることが可能である。
【0006】
しかしながら、キー1つ1つを独立して振動させる場合には、キーと同じ数の振動源が必要となり、その制御は困難である。一方、キーボード全体を振動させることも考えられるが、キーボード全体の重量が重いため困難である。また、キーボード全体を振動させるためには、キーボードの表面を底面から柔らかい素材で浮かせて取り付けなければならないため、構造上実現が難しい。また、一般に、指がキーを押している時間は約100msと短く、キーやキーボードの振動では、操作者は十分に振動を感じることができない。
【0007】
図7は、特許文献1に記載されたノートパソコン1の構成を示す斜視図である。図7のノートパソコン1では、パームレスト14に骨伝導スピーカ15が配置されている。ユーザがキーボード13を打鍵すると、骨伝導スピーカ15から発せられた入力音が、パームレスト14上の手のひら又は手首を経由して耳へと伝達される。
【0008】
しかしながら、入力音を、パームレスト14の骨伝導スピーカ15から、手のひら又は手首を介して耳へと伝達するには、相当なパワーが必要となる。よって、この場合には、ノートパソコン1自体の振動対策が必要となることが問題となる。
【0009】
そこで、本発明は、キーボードを打鍵した感触等、入力装置を操作した感触を操作者に振動により伝える際、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能な入力装置及び入力システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の態様である入力装置は、操作者が入力操作を行うための入力面を有する入力手段と、前記操作者が前記入力面への入力操作を行う際に、前記操作者の身体と接触した状態となるよう使用される接触手段と、前記接触手段を振動させる位置に配置された振動手段とを備えている。更に、前記入力装置は、前記入力面への入力操作が行われたことを検出する検出手段と、前記入力面への入力操作が検出された場合、前記入力面への入力操作が行われたことを前記操作者に振動で知らせるよう、前記振動手段を振動させるための制御信号を出力する制御手段とを備えている。
【0011】
また、本発明の別の態様である入力システムは、操作者が入力操作を行うための入力面を有する入力手段と、前記操作者が前記入力面への入力操作を行う際に、前記操作者の身体と接触した状態となるよう使用される接触手段と、前記接触手段を振動させる位置に配置された振動手段とを備えている。更に、前記入力システムは、前記入力面への入力操作が行われたことを検出する検出手段と、前記入力面への入力操作が検出された場合、前記入力面への入力操作が行われたことを前記操作者に振動で知らせるよう、前記振動手段を振動させるための制御信号を出力する制御手段とを備えている。更に、前記入力システムにおいて、前記入力手段及び前記検出手段は、第1の装置内に設けられており、前記接触手段及び前記振動手段は、前記第1の装置と有線接続可能又は無線通信可能なよう構成された第2の装置内に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、入力装置を操作した感触を操作者に振動により伝える際、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能な入力装置及び入力システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態のキーボード装置の構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のキーボード装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態の変形例のキーボード装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第2実施形態のキーボード装置の構成を示す斜視図である。
【図5】第3実施形態のキー入力システムの構成を示すシステム構成図である。
【図6】第4実施形態のキーボード装置の構成を示す概観図である。
【図7】特許文献1に記載のノートパソコンの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のキーボード装置101の構成を示す斜視図である。
【0016】
図1のキーボード装置101は、キーボード111と、2つのモータ115と、2つのパームレスト116とを備える。図1のキーボード装置101は、本発明の入力装置の例である。
【0017】
キーボード111は、操作者が入力操作を行うための入力面(キーボード面)を有している。図1には、入力面に配置された種々のキーが示されている。本実施形態では、キーボード111は、静電容量型のキーボードとするが、その他のキーボード、例えば、タッチパネル上に表示されるソフトウェアキーボードであっても構わない。キーボード111は、本発明の入力手段の例である。
【0018】
パームレスト116は、操作者が入力面への入力操作を行う際に、自己の手(パーム)を置くための部分である。パームレスト116は、本発明の接触手段の例である。図1には、操作者が右手を置くための右手用のパームレスト116Rと、操作者が左手を置くための左手用のパームレスト116Lが示されている。パームレスト116R,116Lはそれぞれ、本発明の第1及び第2の接触手段の例である。
【0019】
このように、パームレスト116は、操作者の手(パーム)と接触した状態となるよう使用される。より詳細には、パームレスト116Rは、操作者の右手と接触するよう使用され、パームレスト116Lは、操作者の左手と接触するよう使用される。
【0020】
モータ115は、パームレスト116を振動させる位置に配置されている。モータ115は、本発明の振動手段の例である。図1には、パームレスト116Rを振動させるよう配置されたモータ115Rと、パームレスト116Lを振動させるよう配置されたモータ115Lが示されている。モータ115R,115Lはそれぞれ、本発明の第1及び第2の振動手段の例である。
【0021】
図2は、第1実施形態のキーボード装置101の構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態のキーボード装置101は、上述したキーボード111、2つのモータ115、及び2つのパームレスト116に加え、キー入力用IC(Integrated Circuit)112と、制御装置113と、2つのモータドライバ114とを備える。
【0023】
キー入力用IC112は、キーボード111の入力面への入力操作を検出し、検出結果を出力するICである。キー入力用IC112は、本発明の検出手段の例である。操作者が入力面への入力操作を行うと、キーボード111からキー入力用IC112へと電気信号が出力される。キー入力用IC112は、この電気信号により、入力面への入力操作が行われたことを検出する。
【0024】
モータドライバ114は、モータ115を駆動させるためのドライバである。図2には、モータ115Rを駆動させるモータドライバ114Rと、モータ115Lを駆動させるモータドライバ114Lが示されている。モータ115Rとモータドライバ114Rは、1つのアクチュエータを構成しており、同様に、モータ115Lとモータドライバ114Lは、1つのアクチュエータを構成している。
【0025】
制御装置113は、モータ115を振動させるための制御信号を出力し、これをモータドライバ114に供給する装置である。
【0026】
本実施形態では、キーボード111の入力面への入力操作が検出された場合、キー入力用IC112から制御装置113へと直ちに電気信号が出力される。制御装置113は、この電気信号を受信すると、入力面への入力操作が行われたことを操作者に振動で知らせるよう、特定のモータ115を振動させるための制御信号を直ちに出力する。
【0027】
これにより、操作者は、キーボード111の入力面に操作したことを、パームレスト116に置いた手の振動により直ちに知ることができる。操作者は、入力操作から振動発生までの期間が短いことから、キーボード111を打鍵した感触を、この振動から得ることができる。なお、制御装置113が、どのモータ115を振動させてパームレスト116を振動させるかについては後述する。制御装置113は、本発明の制御手段の例である。
【0028】
なお、図2では、モータドライバ114R,114Lが、制御装置113に対し並列に接続されており、それぞれモータ115R,115Lをドライブする。これに対し、図3のように、1つのモータドライバ114が、2つのモータ115R,115Lをドライブしてもよい。図3は、第1実施形態の変形例のキーボード装置101の構成を示すブロック図である。図3では、モータ115R,115Lが、モータドライバ114に対し並列に接続されている。
【0029】
ここで、図2を参照して、本実施形態における右手用のモータ115R及びパームレスト116Rと、左手用のモータ115L及びパームレスト116Lの使い分け方法について説明する。
【0030】
通常の配列のキーボード111では、右手で打鍵すべきキーと、左手で打鍵すべきキーが決まっている。例えば、QWERTY配列のアルファベットキーでは、Y,H,Nから右側のキーは右手、T,G,Bから左側のキーは左手で打鍵する決まりとなっている。
【0031】
本実施形態では、キーボード111の入力面のうち、Y,H,Nから右側の領域を右手領域、T,G,Bから左側の領域を左手領域として取り扱う。右手領域及び左手領域は、本発明の第1及び第2の入力領域の例である。
【0032】
本実施形態の制御装置113は、右手領域への入力操作が検出された場合には、右手用のモータ115Rを振動させ、左手領域への入力操作が検出された場合には、左手用のモータ115Lを振動させる。
【0033】
これにより、本実施形態では、操作者が右手で打鍵すると、右手用のパームレスト116Rが振動し、操作者が左手で打鍵すると、左手用のパームレスト116Lが振動することとなる。
【0034】
これにより、本実施形態では、操作者が右手で打鍵を行うと右手に振動を受け、操作者が左手で打鍵を行うと左手に振動を受けることとなり、打鍵を行った側の手に振動を受けるため、よりリアルな打鍵感覚をこれらの振動から得ることができる。
【0035】
なお、右手領域への操作が検出されたか、左手領域への操作が検出されたかの検出結果に関しては、制御装置113は、キー入力用IC112からの電気信号により判断可能である。
【0036】
最後に、図2を参照して、本実施形態の効果について説明する。
【0037】
以上のように、本実施形態では、キーボード111への入力操作に応じて、キーボード111そのものではなく、パームレスト116を振動させる。操作者がキーボード111を操作する際、パームレスト116には操作者の手が乗っているため、操作者は、パームレスト116の振動を十分に感じることができる。
【0038】
また、パームレスト116を振動させることには、次のような利点がある。まず、キー1つ1つを独立して振動させる場合と比べて、モータ115等の振動源の個数が少なくて済み、その制御が容易であるという利点がある。また、一般に、パームレスト116はキーボード115に比べて、面積が小さく重量も軽いため、キーボード115全体を振動させるよりも、パームレスト116を振動させる方が、少ない力で振動させることができるという利点がある。また、キーボード111の表面を浮かせるより、パームレスト116の表面を浮かせる方が、構造上実現が容易であるという利点がある。
【0039】
また、特許文献1のように骨伝導スピーカ15を採用する場合には、相当なパワーが必要となることや、装置全体の振動対策が必要なことが問題となる。これに対し、本実施形態では、通常のモータ115で振動を発生させることができるため、骨伝導スピーカ15ほど大きなパワーは必要とならず、装置全体の振動対策も必要とならないという利点がある。
【0040】
このように、本実施形態によれば、キーボード111を打鍵した感触を操作者に振動で伝える場合において、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態のキーボード装置101のキーは、アルファベット文字や仮名文字用のキーだけでなく、数字キー(テンキー)や、記号キーや、各種の機能キーであっても構わない。よって、キーボード装置101のキーボードは、一般的な文字入力用のキーボードだけでなく、例えば、電卓等のテンキー用のキーボード等であっても構わない。
【0042】
また、本実施形態のキーボード装置101は、2つのモータ115を有しているが、モータ115を1つしか有していなくても構わない。例えば、キーボード111が、電卓等のテンキー用のキーボードである場合には、右手(又は左手)のみで入力操作を行うことが一般的なので、この場合には、モータ115及びパームレスト116は、一組分あれば十分であると考えられる。また、右手の振動と左手の振動を区別しない場合には、2つのパームレスト116を1つのモータ115で振動させてもよいと考えられる。
【0043】
また、本実施形態のキーボード装置101は、3つ以上のモータ115を有していても構わない。例えば、各パームレスト116を2つのモータ115で振動させる構成の場合には、キーボード装置101は、4つのモータ111を備えることとなる。この場合、1つのパームレスト116用の2つのモータ115は、互いに独立して駆動させることが可能でもよいし、常に同時に駆動されるよう構成されていてもよい。
【0044】
なお、キーボード111の操作時において、右手による操作と左手による操作は、独立して行われることが普通であるため、図2のモータ115Rとモータ115Lは、それぞれ独立して駆動させることが可能なよう構成することが望ましい。
【0045】
また、本実施形態では、キーボード111が打鍵された際において、モータ115の振動を開始させるタイミングや、モータ115の振動を継続させる期間については、どのように設定しても構わないが、よりリアルな打鍵感覚が得られるようなタイミング及び期間に設定することが望ましい。本実施形態では、モータ115の振動の継続期間を、約100msに設定するが、その他の値に設定しても構わない。
【0046】
以上のように、本実施形態では、キーボード111への入力操作に応じて、キーボード111そのものではなく、パームレスト116を振動させる。これにより、本実施形態では、キーボード111を打鍵した感触を操作者に振動で伝える場合において、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能となる。
【0047】
以下、第1実施形態の変形例である第2から第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態のキーボード装置101の構成を示す斜視図である。
【0049】
第1実施形態では、パームレスト116が、キーボード装置101の本体に設けられており、キーボード111とパームレスト116が一体化されている(図1)。
【0050】
これに対し、第2実施形態では、パームレスト116が、キーボード装置101の本体と電気的に接続された装置に設けられており、キーボード111とパームレスト116が分離されている(図4)。
【0051】
図4のキーボード装置101は、キーボード装置本体121と、ケーブルCによりキーボード装置本体121と電気的に接続されたパームレスト装置122とを備える。キーボード装置本体121には、キーボード111が設けられており、パームレスト装置122には、右手用及び左手用のモータ115R,115Lと、右手用及び左手用のパームレスト116R,116Lが設けられている。
【0052】
なお、図4のキーボード装置101では、キー入力用IC112(図2)は、キーボード装置本体121内に設けられ、制御装置113及びモータドライバ114R,114Lは、パームレスト装置122内に設けられている。
【0053】
本実施形態では、制御装置113は、パームレスト装置122内ではなく、キーボード装置本体121内に設けても構わない。但し、制御装置113をパームレスト装置122内に設ければ、キーボード装置本体121は、振動発生機能とは無関係の汎用品でもよくなるため、キーボード装置本体121の製造コストや購入コストを低減できるという利点がある。
【0054】
ここで、図4を参照して、本実施形態の効果について説明する。
【0055】
以上のように、本実施形態では、パームレスト116が、キーボード装置本体121と分離されたパームレスト装置122に設けられている。操作者がキーボード111を操作する際、このような分離型のパームレスト116には、手だけでなく手首周辺まで乗せるのが一般的であるため、本実施形態によれば、操作者に対し、パームレスト116の振動をより確実に伝えることが可能となる。
【0056】
また、パームレスト装置122は、装置122全体が軽いため、本実施形態によれば、携帯電話のバイブレーション機能のように、装置121全体を振動させる構造を採用することも可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、制御装置113をパームレスト装置122内に設けることで、HAPTICS機能のない通常のキーボード装置本体121により、HAPTICS機能に対応することが可能となる。
【0058】
一方、第1実施形態には、ケーブルCが不要になる、振動発生機能をキーボード101の本体に内蔵できる等の利点がある。
【0059】
以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様、キーボード111への入力操作に応じて、キーボード111そのものではなく、パームレスト116を振動させる。これにより、本実施形態では、キーボード111を打鍵した感触を操作者に振動で伝える場合において、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態のキー入力システム201の構成を示すシステム構成図である。
【0061】
図5のキー入力システム201は、キーボード装置121と、パームレスト装置122と、コネクタ123と、PC(Personal Computer)124とを備える。図5のキー入力システム201は、本発明の入力システムの例である。
【0062】
図5のキーボード装置121は、図4に示すキーボード装置本体121と同様の構成を有している。よって、図5のキーボード装置121は、図2に示すキーボード111と、キー入力用IC112とを備えている。図5のキーボード装置121は、本発明の第1の装置の例である。
【0063】
また、図5のパームレスト装置122は、図4に示すパームレスト装置122と同様の構成を有している。よって、図5のパームレスト装置122は、制御装置113と、モータドライバ114R,114Lと、モータ115R,115Lと、パームレスト116R,116Lとを備えている。図5のパームレスト装置122は、本発明の第2の装置の例である。
【0064】
本実施形態では、制御装置113は、第2実施形態と同様、パームレスト装置122内ではなく、キーボード装置121内に設けても構わない。但し、制御装置113をパームレスト装置122内に設ければ、キーボード装置121は、振動発生機能とは無関係の汎用品でもよくなるため、キーボード装置121の製造コストや購入コストを低減できるという利点がある。
【0065】
ここで、図5を参照して、コネクタ123について説明する。
【0066】
図5に示すように、キーボード装置121は、先端にオス部が設けられたケーブルC1を備えている。同様に、パームレスト装置122は、先端にオス部が設けられたケーブルC2を備えている。
【0067】
一方、コネクタ123は、少なくとも2つのメス部と、先端にオス部が設けられたケーブルC3とを備えている。これらのメス部は、ケーブルC1及びC2を着脱可能なよう構成されている。図5では、キーボード装置121とパームレスト装置122が、コネクタ123により有線接続されている。コネクタ123は例えば、USB(Universal Serial Bus)コネクタである。
【0068】
また、PC124は、少なくとも1つのメス部を備えている。図5では、このメス部に対しケーブルC3が装着されている。これにより、キーボード装置121は、PC124の入力部として使用可能となっている。
【0069】
このように、図5のパームレスト装置122は、コネクタ123によりキーボード装置121と有線接続可能なよう構成されている。図5では、キーボード装置121内のキー入力用IC122からの電気信号が、コネクタ123を介してPC124に入力される。パームレスト装置122は、この電気信号をコネクタ123から傍受して、この電気信号を制御装置113に供給する。これにより、パームレスト装置122は、制御装置113による振動発生制御を行うことが可能となる。
【0070】
なお、本実施形態では、パームレスト装置122に、ケーブルC1を着脱可能なメス部を設けても構わない。これにより、図4の場合と同様に、キーボード装置121とパームレスト装置122を、ケーブルC1によりダイレクトに有線接続することが可能となる。これは、キーボード装置121に、ケーブルC2を着脱可能なメス部を設ける場合にも同様である。
【0071】
また、本実施形態では、パームレスト装置122は、キーボード装置121と無線通信可能なよう構成されていてもよい。これは例えば、キーボード装置121に無線送信機を取り付け、パームレスト装置122に無線受信機を設けることで実現可能である。これにより、パームレスト装置122は、有線接続の場合と同様に、制御装置113による振動発生制御を行うことが可能となる。
【0072】
以上のように、本実施形態のキー入力システム201では、第1及び第2実施形態のキーボード装置101と同様、キーボード111への入力操作に応じて、キーボード111そのものではなく、パームレスト116を振動させる。これにより、本実施形態では、キーボード111を打鍵した感触を操作者に振動で伝える場合において、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能となる。
【0073】
なお、第1から第3実施形態では、パームレスト116に代わり、操作者の身体のうちの手以外の部位に接触する接触手段を採用することも可能である。また、第1から第3実施形態では、モータ115以外の振動手段を採用することも可能である。また、第1から第3実施形態は、キーボード装置101以外の入力装置や、キー入力システム201以外の入力システムにも適用可能である。これらの例に関しては、以下の第4実施形態にて詳細に説明する。
【0074】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態のキーボード装置101の構成を示す概観図である。
【0075】
図6のキーボード装置101は、パームレスト装置122に代わり、2つのリストバンド131を備えている。リストバンド131は、操作者の腕(リスト)に巻き付けるためのバンドである。リストバンド131は、本発明の接触手段の例である。
【0076】
図6には、操作者が右腕に巻くための右腕用のリストバンド131Rと、操作者が左腕に巻くための左腕用のリストバンド131Lが示されている。リストバンド131R,131Lはそれぞれ、本発明の第1及び第2の接触手段の例である。
【0077】
このように、リストバンド131は、操作者の腕(リスト)と接触した状態となるよう使用される。
【0078】
図6に示すように、リストバンド131R,131Lはそれぞれ、ケーブルCR,CLによりキーボード装置本体121と電気的に接続されている。リストバンド131R,131Lは、第3実施形態と同様に、キーボード装置本体121と無線通信可能なよう構成されていてもよい。
【0079】
本実施形態では、キーボード装置本体121は、図2に示すキーボード111と、キー入力用IC112と、制御装置113とを備えている。また、リストバンド131R,131Lにはそれぞれ、モータドライバ114R,114Lと、モータ115R,115Lが取り付けられている。
【0080】
本実施形態では、キーボード111の入力面への入力操作が検出された場合、キー入力用IC112から制御装置113へと直ちに電気信号が出力される。制御装置113は、この電気信号を受信すると、入力面への入力操作が行われたことを、操作者にリストバンド131の振動により知らせるよう、特定のモータ115を振動させるための制御信号を直ちに出力する。
【0081】
これにより、操作者は、キーボード111の入力面に操作したことを、リストバンド131が巻かれた腕の振動により直ちに知ることができる。操作者は、入力操作から振動発生までの期間が短いことから、キーボード111を打鍵した感触を、この振動から得ることができる。
【0082】
なお、本実施形態のキーボード装置101は、2つのリストバンド131を備えているが、リストバンド131を1つしか備えていなくても構わない。この場合、リストバンド131は、操作者の右手に装着するものであっても、左手に装着するものであっても構わない。また、この場合には、制御装置113は、キーボード装置本体121ではなく、リストバンド131に取り付けても構わない。
【0083】
ここで、第1から第3実施形態と第4実施形態とを比較する。
【0084】
第1から第3実施形態では、キーボード111の操作中に、パームレスト116から操作者の手が離れてしまう場合がある。この場合、操作者は、パームレスト116の振動を感じることができなくなる。
【0085】
これに対し、第4実施形態では、キーボード111の操作中に、リストバンド131が操作者の腕から外れてしまう可能性は少ない。よって、第4実施形態によれば、操作者の腕に確実に振動を与えることが可能となる。
【0086】
なお、第1から第3実施形態では、操作者の手に接触手段を接触させ、第4実施形態では、操作者の腕に接触手段を接触させたが、接触手段は、操作者の身体のその他の部位に接触させても構わない。
【0087】
例えば、図5のキー入力システム201において、パームレスト装置122を、ポケットに収まる程度の大きさの振動装置(例えば、携帯電話程度の大きさの振動装置)に置き換え、キーボード装置121及び振動装置を無線通信可能なように構成してもよい。この場合、操作者がキーボード装置121を操作すると、これに応じて振動装置が振動するようにシステムを構成することで、第1から第4実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0088】
なお、この振動装置の例からも解るように、接触手段は、操作者の身体にじかに接触している必要はなく、操作者に振動が伝わる態様であれば、操作者の身体に衣服等を介して接触していても構わない。
【0089】
また、振動手段は、モータ115以外の振動手段でもよく、例えば、ピエゾ素子や、人工筋肉や、磁歪振動子や、ボイスコイルであってもよい。特に、ピエゾ素子は一般に、モータ115よりも小型であるため、入力装置全体の小型化が求められる場合には、ピエゾ素子の採用が効果的であると考えられる。
【0090】
また、入力手段は、キーボード111以外の入力手段でも構わない。例えば、入力手段は、ソフトウェアキーボード以外のタッチパネルや、静電容量型のリモコン機器であっても構わない。
【0091】
以上のように、本実施形態では、キーボード111への入力操作に応じて、キーボード111そのものではなく、リストバンド131を振動させる。これにより、本実施形態では、キーボード111を打鍵した感触を操作者に振動で伝える場合において、比較的簡単な制御及び構造で、且つ、比較的少ないパワーで振動を発生させることが可能となる。
【0092】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第4実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0093】
101 キーボード装置
111 キーボード
112 キー入力用IC
113 制御装置
114 モータドライバ
115 モータ
116 パームレスト
121 キーボード装置本体(キーボード装置)
122 パームレスト装置
123 コネクタ
124 PC
131 リストバンド
201 キー入力システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者が入力操作を行うための入力面を有する入力手段と、
前記操作者が前記入力面への入力操作を行う際に、前記操作者の身体と接触した状態となるよう使用される接触手段と、
前記接触手段を振動させる位置に配置された振動手段と、
前記入力面への入力操作が行われたことを検出する検出手段と、
前記入力面への入力操作が検出された場合、前記入力面への入力操作が行われたことを前記操作者に振動で知らせるよう、前記振動手段を振動させるための制御信号を出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記振動手段は、モータ、ピエゾ素子、人工筋肉、磁歪振動子、又はボイスコイルであることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記接触手段は、前記操作者の手又は腕と接触するよう使用されるパームレスト又はリストバンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記接触手段は、前記入力装置の本体に設けられている、又は前記入力装置の本体に電気的に接続された装置に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力面は、前記操作者が右手で入力操作を行うための第1の入力領域と、前記操作者が左手で入力操作を行うための第2の入力領域とを含み、
前記接触手段は、前記操作者の右手又は右腕と接触するよう使用される第1の接触手段と、前記操作者の左手又は左腕と接触するよう使用される第2の接触手段とを含み、
前記振動手段は、前記第1の接触手段を振動させるよう配置された第1の振動手段と、前記第2の接触手段を振動させるよう配置された第2の振動手段とを含み、
前記制御手段は、前記第1の入力領域への入力操作が検出された場合には、前記第1の振動手段を振動させ、前記第2の入力領域への入力操作が検出された場合には、前記第2の振動手段を振動させる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
操作者が入力操作を行うための入力面を有する入力手段と、
前記操作者が前記入力面への入力操作を行う際に、前記操作者の身体と接触した状態となるよう使用される接触手段と、
前記接触手段を振動させる位置に配置された振動手段と、
前記入力面への入力操作が行われたことを検出する検出手段と、
前記入力面への入力操作が検出された場合、前記入力面への入力操作が行われたことを前記操作者に振動で知らせるよう、前記振動手段を振動させるための制御信号を出力する制御手段とを備え、
前記入力手段及び前記検出手段は、第1の装置内に設けられ、
前記接触手段及び前記振動手段は、前記第1の装置と有線接続可能又は無線通信可能なよう構成された第2の装置内に設けられている、
ことを特徴とする入力システム。
【請求項7】
前記第1の装置と前記第2の装置は、前記第1の装置からのケーブルと、前記第2の装置からのケーブルと、を着脱可能なコネクタにより有線接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項6に記載の入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−84014(P2012−84014A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230755(P2010−230755)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】