説明

入力装置及び携帯端末

【課題】目的のキーの操作に際して、操作性を向上し得る入力装置を提供する。
【解決手段】複数のキーを列方向に複数並べて配置する入力装置であって、各キーは、キー表示用マーク211が描かれた操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極板221(図5中で斜線部)とから構成され、各電極板(電極板221aや電極板221b)は、それぞれ電極板の重心がそれぞれに対応するキー表示用マーク(キー表示用マーク211aやキー表示用マーク211b)を囲む最小矩形領域の中心より列方向下側に位置するように上縁及び下縁が下方向に突出したV字をなす形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末等におけるキーの入力装置に関し、特に静電容量式タッチセンサを有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量式タッチセンサを有する入力装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
従来の入力装置は、装置表面に静電容量式タッチセンサを行列状に複数並べて、各センサの矩形状の検出電極の直上に表示マークそれぞれを印字して構成され、表示マークに向けて操作者の指が非常に近接したこと又は接触したことを静電容量の変化により検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−87878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テンキーを有する携帯電話機等のような複数の小さいキーを狭い間隔で行列状に並べた携帯端末において、上述の技術を適用し、キーそれぞれを静電容量式タッチセンサの電極の直上にキートップとなる表示マークを印字して構成した場合、次のような誤入力の問題が生じる。
行列状に並んだキー群から目的のキーを操作者が例えば人差し指で操作しようとすると、その人差し指の先端が目的のキーに接触するのみならず、同列下行の隣接キーにも人差し指の腹が接触或いは非常に近接する。このため、この隣接キーについても静電容量の変化が検出されてしまい操作者が意図しない誤入力が生じてしまう。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであって、目的のキーの操作に際して、操作性を向上し得る入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る入力装置は、複数のキーを列方向に複数並べて配置する入力装置であって、前記キーは、キー表示用マークを有する操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極部とから構成され、前記キーの電極部は、当該電極部の重心が当該キー表示用マークを囲む矩形領域の中心より前記列方向下側に位置する形状を有することを特徴とする。ここで、キー表示用マークは、1又は複数の文字(数字でもよい。)、図形、記号やこれらの結合等のことである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、本発明に係る入力装置は、目的のキーの操作に際して、操作性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】入力装置100を備える携帯電話機10の外観図
【図2】キー群の分解斜視図
【図3】(a)キーの操作面の平面図、(b)キー表示用マーク間の位置関係を示す図
【図4】(a)キーの電極板配置面の平面図、(b)電極板の寸法を示す図
【図5】キー表示用マークとキーの電極板との位置関係を示すため操作面を透過させて表した図
【図6】静電容量式タッチセンサ用のIC230の動作説明図
【図7】入力検出処理のフローチャート
【図8】キー操作における指の接触位置の説明図
【図9】キーの変形例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る入力装置100について、図面を参照しながら説明する。
<構成>
図1に示すように、入力装置100は、携帯電話機10に備えられ、テンキーや方向キー等のキー群それぞれについて数字や矢印等のキー表示用マークが描かれた操作面を有する。操作者は、キー表示用マークに指で触れることで、文字、電話番号等を入力することができる。
【0010】
入力装置100は、図2に示すように、それぞれが静電容量式タッチセンサを構成する複数の電極板221を行列状に配置するように樹脂表面にプリントして形成したプリント基板220の上面に、不透明な絶縁シート部材210を重ね合わせてなる構造体を備える。プリント基板220の背面には静電容量式タッチセンサ用のIC(Integrated Circuit)230が配置され、プリント基板内層の配線を介して各電極板221とIC230の各端子がそれぞれ接続されている。
【0011】
不透明な絶縁シート部材210の上面は、操作面となり、この操作面上に、各キーについてのキー表示用マークが背景と別色で印字されている。
操作面における各キーの配置は、図3(a)に示すように、行列状(7行3列)であり、例えば、「3」、「6」、「9」の各キーについては、「3」、「6」、「9」を中央に置いて矩形で囲んでなるキー表示用マーク211a、キー表示用マーク211b及びキー表示用マーク211eそれぞれが、列方向上側から順に等間隔で並んでいる。
【0012】
同図(b)は、操作面において隣接するキー間の間隔、つまり隣接するキー表示用マーク群211a〜211dそれぞれの間の間隔を示している。
電極板が配置された面においては、図4(a)に示すように、各キーについての電極板が、行列状(7行3列)に配置されており、各電極板221は、図4(b)に示す寸法を有する。
【0013】
図5は、キー表示用マークとキーの電極板との位置関係を示すため操作面を透過させて表したものであり、図3〜5により示すように、各キーについて静電容量の変化を検出するための電極板は、そのキーについてのキー表示用マークの背後に配置されている。
即ち、各キーは、キー表示用マークが描かれた操作面の部分と、その背後(下面)に配置された電極板とを含んで構成されている。例えば、「3」のキーのキー表示用マーク211aの背後に、上縁及び下縁の中央を下に突出させた形状の「3」のキーの電極板221aがあり、「6」のキーのキー表示用マーク211bの背後に「6」のキーの電極板221bがある。
【0014】
各キーの電極板221の形状について、詳しくは、平面視した場合に、電極板の上縁及び下縁がV字の折れ線で形成され(上縁は頂点401a、頂点401b及び頂点401cを結ぶ折れ線であり、下縁は頂点401f、頂点401e及び頂点401dを結ぶ折れ線である。)、電極板の左縁及び右縁のそれぞれは、そのキーのキー表示用マークを形成する矩形の左縁及び右縁のそれぞれと一致する直線で形成されている(図4(b)及び図5参照)。
【0015】
静電容量式タッチセンサ用のIC230は、図6に示すように、パルス印加部801、抵抗R802、電圧測定部803、容量算出部804及び判定出力部805という回路構成を備え、プリント基板のグランド層が誘電体の樹脂層を挟み各電極板と対向することで形成された容量素子の静電容量Cを計測することで、操作者の指が電極板に接触するか非常に近接した場合に生じる浮遊容量に基づく、静電容量Cの計測値の変化を検知し、キー入力を判定し、入力されたキーを示す信号を出力する入力検出処理を行う。そして、IC230の出力を受けて携帯電話機10の制御用プロセッサ(図示せず)は、入力されたキーに応じた処理、例えばキーに対応する数字を電話番号として受け付けて発呼する処理や、キーに対応する文字を受け付けて送信用のメール内容となる文章を作成する処理等を実行する。なお、上述の浮遊容量は、操作者の指が電極板に接触した場合又は非常に近接した場合において、指と電極板との距離が一定であるならば指と電極板との対向面積が大きいほど、大きくなるものである。
【0016】
IC230は、上述の静電容量Cの計測を次のように行う。即ち、パルス印加部801が、抵抗R802を介して、各キーを構成する各電極版221に対してパルス波を周期的に印加し、電圧測定部803が、各電極板とグランド電位との間の電圧Vを計測して、容量算出部804がこの電圧Vが閾値V1からV2に変化するまでの経過時間によって、電極板とグランド層とで形成された容量素子の静電容量Cを算定する。あるキーについて、この静電容量Cが操作者の操作がなされていないときの値である基準値から所定の閾値以上に変化した場合に、操作者の指がこのキーを構成する電極板に接触するか非常に近接したものとして、判定出力部805は、キー入力がなされたと判定する。この所定の閾値は、指が電極板の例えば約2割以上の面積に相当する部分に接触した場合には、静電容量Cと基準値との差分がこの所定の閾値を超える程度に、予め設定される。
<静電容量式タッチセンサ用のICの動作>
図7はIC230が行う入力検出処理を示すフローチャートである。
【0017】
IC230は、7行3列に配置された各キーの各電極板を介して得られる各静電容量Cの値を、例えば何行何列目という行列番号により識別する。例えば、「3」のキーの行列番号は、行番号4、列番号3であり、「6」のキーの行列番号は、行番号5、列番号3である(図3参照)。
IC230は、各キーを構成する電極板を介して計測される静電容量Cを算定し(ステップS901)、容量変化が所定の閾値以上のものが存在すれば、これに対応する行列番号を一時保持し(ステップS902、ステップS903)、保持した行列番号に係るキーが1つか複数かを判定して(ステップS904)、1つであれば、そのキーを入力されたキーと決定して(ステップS905)、このキーを示す信号を携帯電話機10の制御用プロセッサに対して出力する(ステップS907)。また、ステップS904において複数であると判定した場合には、IC230は、その複数のキーに対応する静電容量Cの変化が最も大きいキーを選択して入力されたキーと決定して(ステップS906)、このキーを示す信号(行列番号を示す信号)を携帯電話機10の制御用プロセッサに対して出力する(ステップS907)。
<操作状態>
以下、操作者がキー操作をする際の入力装置100におけるキー入力の判定について具体的に図8を用いて説明する。
【0018】
各キーのキー表示用マークが行列状に並べられた操作面を有する入力装置100を操作する際、操作者は、通常は、入力装置100の「3」、「6」、「9」等と描かれたキー表示用マーク群を読み易いように、「3」のキーのキー表示用マークを「6」や「9」のキーのキー表示用マークより上側にして持ち、図8(a)に示すような方向に指を向けて操作する。つまり、操作者は、通常は、キー表示用マークの上方向を列方向の上側とし、キー表示用マークの下方向を列方向の下側として、操作する。ここで、キー表示用マークの上方向及び下方向とは、キー表示用マークを操作者が通常読み取る配置方向においた場合における、キー表示用マークの向きの上方向及び下方向と同じであり、キー表示用マークが文字の場合は、文字の天地のうち、天側が上方向で地側が下方向になる。
【0019】
図8(a)は、操作者が人差し指で「3」のキーを操作する場面を示している。
図8(b)は、図8(a)に示した操作の際における各キーのキー表示用マークの領域内と操作者の指との接触部分又は非常に近接する部分を斜線で表した図である。なお、図8(b)〜(d)では、標準的なサイズの指の操作者を想定した指のイメージとして指範囲1002及び指の先端1001も示している。
【0020】
この図8(b)に示すように、標準的な操作者が「3」のキーを操作する際には、人差し指の先端1001が「3」のキーのキー表示用マーク211aの中央に合うように接触し、また、人差し指の腹が「6」のキーのキー表示用マーク211bに接触又は非常に近接する。
図8(c)は、図8(a)に示した操作の際における各キーの電極板と操作者の指との接触部分又は非常に近接する部分を斜線で表した図である。
【0021】
この図8(c)に示すように、操作者が「3」のキーを操作する際には、人差し指の先端が「3」のキーの電極板221aに接触し、人差し指の腹が「6」のキーの電極板221bに接触又は非常に近接する。各電極板の上縁及び下縁がV字の折れ線からなる形状を有するため、指と「3」のキーの電極板221aとが接触又は非常に近接する部分1004aの面積は、指と「6」のキーの電極板221bとが接触又は非常に近接する部分1004bの面積より大きいものとなる。従って、この操作に対しては、IC230が、入力検出処理のステップS906において、「6」のキーではなく、部分1004bの面積が相対的に大きいことにより静電容量が「6」のキーについてのものより大きくなるところの、「3」のキーが入力されたものと判定することになる。
【0022】
図8(d)は、操作者が人差し指を少し傾けて「3」のキーを操作した際における各キーの電極板と操作者の指との接触部分又は非常に近接する部分を斜線で表した図である。このように、指を少し傾けて操作した際も、各電極板がV字の形状を有するため、指と「3」のキーの電極板221aとが接触又は非常に近接する部分1004cの面積は、指と「6」のキーの電極板221bとが接触又は非常に近接する部分1004dの面積より大きいものとなる。従って、指を傾けて操作しても、IC230が、入力検出処理のステップS906において、「6」のキーではなく「3」のキーが入力されたものと判定することになる。
【0023】
上述のように、本発明に係る入力装置は、従来のように各キーのキー表示用マークの中心と電極板の重心とを合わせたのではなく、いずれのキーについても、キー表示用マークの中心(キー表示用マークを囲む矩形領域の中心)より電極板の重心を列方向下側にシフトした構成を備える。従って、操作者が、ある目的のキーのキー表示用マークを目印として例えば人差し指で操作しようとした場合には、人差し指の先端が目的のキーに接触した際にその人差し指の腹は目的のキーについての電極板の検出範囲内に含まれ、目的のキーの列方向下側の隣接キーについての電極板の検出範囲内には含まれなくなる可能性が高まる。即ち、この入力装置は、操作者が意図しない誤入力を防ぎ得ることができ、操作性が向上する。
<変形例>
以上、本発明に係る入力装置の実施形態を説明したが、例示した入力装置100を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの入力装置100に限られないことは勿論である。
【0024】
(1)上述の実施形態で示した各キーのキー表示用マークは、文字、矢印等を矩形で囲んだものであったが、1つのキー表示用マーク中に文字が複数含まれていてもよく、例えば、1つのキーに対応するキー表示用マークとして、「2」と「ABC」とが空白を挟んで並べられたものを用いてもよい。また、図3(a)等では、「3」という文字を矩形の枠で囲んでなるキー表示用マークを示したが、矩形の枠がなくても差し支えない。
【0025】
キー表示用マークは、背景と別色で印字されることとしたが、操作者に視認される方法で表されるのであれば印字に依らなくてもよく、例えば操作面にマークが刻まれていてもよいし、操作面に裏側からLED(Light Emitting Diode)等の光源で照らしてマークが浮かびあがるように表されていてもよい。
(2)上述の実施形態で示した各キーにおいて、静電容量式タッチセンサの一部として働く電極板は、図4(b)に示した寸法、形状を有し、キー表示用マークと電極板との位置関係は図5に示すようなものであるとしたが、各キーはこれに限られるものではない。即ち、平面視において各キーについてのキー表示用マークの中心、又はそのキー表示用マーク中の文字を囲む矩形の中心より、そのキーについての電極板の形状の重心が下側に位置するように配置されるものであれば、各キーは、上述の実施形態で示した寸法、形状、配置を有する必要はない。但し、あるキーについての電極板は、平面視におけるその電極板領域範囲の前面に、そのキーについてのキー表示用マークの少なくとも一部を包含し、かつ、他のキーについてのキー表示用マークの一部又は全部を包含しない位置に配置される必要がある。
【0026】
例えば、図9(a)に示すような「3」の文字のみからなるキー表示用マークの中心1101に対して電極板221hの重心1102が下側にあるようなキーであってもよい。同様に、図9(b)〜(g)に示すようなキーであってもよい。図9では、「3」のキーについてのみ示したが、他のキーについても同様である。
なお、図9(b)の例のように、各電極板の形状を、上縁及び下縁が下向きに凸状の弧になっている形状とすれば、操作者が弧の中心角の範囲内でならどの角度で指を傾けてキーを操作した際においても、目的のキーへの接触面積が、同列で1つ下の行に位置する他のキーへの接触面積より大きくなるので、静電容量式タッチセンサ用のICにより、下行の他のキーではなく目的のキーが入力されたと判定されるようになる。なお、上記弧は円弧であっても良い。
【0027】
また、電極板の形状は左右対称でなくてもよい。但し、左右対称であれば、操作者が指を右に傾けても左に傾けても同様に反応するようになる。また、電極板の形状の輪郭の中心(重心)を、キー表示用マークの中心と合わせたとしても、平面視において、電極板の上側に複数の穴を開けた形状にして、その外部輪郭から見た重心よりも下側に真の重心をシフトするようにしてもよい。
【0028】
(3)上述した静電容量式タッチセンサ用のICは、各キーの電極板とグランド層との間の静電容量の変化の計測を行ってキー入力を判定することとしたが、計測の方法やキー入力判定の手順は、他の方法等であってもよい。例えば、計測電圧と比較する閾値V1、V2や静電容量Cの計測値と基準値との差分と比較する所定の閾値は、入力装置の設計や製造段階において実験等によって適切な値に調整されることにしてもよい。また、例えば、入力検出処理のステップS906(図7)では、静電容量の変化が所定の閾値を超えるキーが複数あった場合に、静電容量の変化が最も大きいキーを選択して入力されたキーと決定することとしたが、行列番号で示される行番号が最も小さいキー、つまり最も上側に位置するキーを選択して入力されたキーと決定することとしてもよい。また、ステップS907では、行列番号を示す信号でなくても何らかのキーを識別する信号を出力するようにしてもよい。また、携帯電話機の制御用プロセッサとICとの機能分担も変更可能であり、携帯電話機において操作者によりどのキーが入力されたかを識別できるように構成されていれば足りる。
【0029】
(4)上述した実施形態では、図4に示されるように、各キーの電極板のすべての電極板の形状の重心が下側に位置するように配置されているが、例えば、キーの電極板の少なくともいずれか1つの電極板の形状の重心が下側に位置するように配置されているとしてもよい。
また、上述した実施形態では、図4に示されるように、各キーの電極板の全ての電極板の形状が同一となっているが、それぞれの各キーの電極板の形状は異なっていてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態では、図4に示されるように、行列の最上行のキーの電極板の上縁が下に凸となっているが、行列の最上行のキーはその上側にキーが存在しないため、この行列の最上行のキーの電極板の上縁は、下に凸としない形状であってもよい。
また、上述した実施形態では、図4に示されるように、行列の最下行のキーの電極板の下縁が下に凸となっているが、行列の最下行のキーはその下側にキーが存在しないため、この行列の最下行のキーの電極板の下縁は、下に凸としない形状であってもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、図4に示されるように、電極板の上縁及び下縁のいずれもが下に凸となっているが、電極板の形状の重心が下側に位置するようになればよいため、電極板の上縁及び下縁の少なくともいずれか一方が下に凸となっていてもよい。
(5)上述の実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
(6)以下、更に本発明に係る入力装置及び携帯端末の一実施形態としての構成及びその変形例と効果について説明する。
【0032】
(a)本発明の一実施形態としての入力装置は、複数のキーを列方向に複数並べて配置する入力装置であって、前記キーは、キー表示用マークを有する操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極部とから構成され、前記キーの電極部は、当該電極部の重心が当該キー表示用マークを囲む矩形領域の中心より前記列方向下側に位置する形状を有することを特徴とする。なお、キー表示用マークに文字が含まれている場合においては、文字の天地における地側が列方向下側と方向的に一致する。この構成により、各キーについて、キー表示用マークを囲む矩形領域の中心(例えばキー表示用マークを囲む最小矩形領域の中心、いわばキー表示用マークの中心)より電極部の重心を列方向下側にシフトした構成を備えるので、操作者が、ある目的のキーのキー表示用マークを目印として例えば人差し指で操作しようとした場合には、人差し指の先端が目的のキーに接触した際にその人差し指の腹は目的のキーについての電極部の検出範囲内に含まれ、目的のキーの列方向下側の隣接キーについての電極部の検出範囲内には含まれなくなる可能性が高まる。従って、この入力装置は、操作者が意図しない誤入力を防ぎ得ることができ、操作性が向上する。
【0033】
(b)前記入力装置において前記キーの電極部の形状は、平面視において、下方向に凸状をなす上縁及び下縁の少なくともいずれか一方を有する形状であることとしてもよい。この構成により、各電極板の上縁及び下縁の少なくとも一方が下方向に凸状となっているため、操作者が列状に並んだ複数のキーのうち上のキーを操作の目的として、その目的のキーに指の先端を接触させた際に、その目的のキーの下のキーの電極板と指の腹とが対向する部分の面積は小さく抑えられることから下のキーの誤入力を防止できるようになり、操作性が向上する。
【0034】
(c)前記入力装置の前記キーの電極部の形状における上縁及び下縁の少なくともいずれか一方は、V字状の折れ線であることとしてもよい。また、前記キーの電極部の形状における左縁及び右縁は上下方向の直線であることとしてもよい。また、前記キーの電極板の形状は、平面視において左右対称であることとしてもよい。この構成により、操作者が指を、右に少し傾けても(図8(d)参照)、左に少し傾けても、誤入力が生じるのを防止し得るようになり、操作性が向上する。
【0035】
(d)前記入力装置の前記キーの電極部の形状における上縁及び下縁の少なくともいずれか一方は、弧であることとしてもよい。これにより、操作者が弧の中心角の範囲内の角度で指を傾けてキーを操作した際において、誤入力が生じるのを防止し得るようになり、操作性が向上する。
(e)本発明の一実施形態としての入力装置を備える携帯端末は、キー表示用マークを有する操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極部とから構成される複数のキーをM行N列(M≧2、N≧1)に配置してなるテンキーを備える携帯端末であって、前記キーの電極部は、当該電極部の重心が当該キー表示用マークを囲む矩形領域の中心より前記列方向下側に位置する形状を有することを特徴とする。この構成により、操作者の意図しないテンキーの誤入力が防止され得ることができ、操作性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る入力装置は、目的のキーの操作に際して、隣接キーに係る誤入力を防止し得るものであり、携帯電話機等での利用に有用である。
【符号の説明】
【0037】
10 携帯電話機
100 入力装置
210 絶縁シート部材
211 キー表示用マーク
220 プリント基板
221 電極板(電極部)
230 IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを列方向に複数並べて配置する入力装置であって、
前記キーは、キー表示用マークを有する操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極部とから構成され、
前記キーの電極部は、当該電極部の重心が当該キー表示用マークを囲む矩形領域の中心より前記列方向下側に位置する形状を有する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記キーの電極部の形状は、平面視において、下方向に凸状をなす上縁及び下縁の少なくともいずれか一方を有する形状である
ことを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記キーの電極部の形状における上縁及び下縁の少なくともいずれか一方は、V字状の折れ線である
ことを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記キーの電極部の形状は、平面視において左右対称である
ことを特徴とする請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記キーの電極部の形状における上縁及び下縁の少なくともいずれか一方は、弧である
ことを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項6】
前記キーの電極部の形状における左縁及び右縁は上下方向の直線である
ことを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項7】
キー表示用マークを有する操作面とその背後に配された静電容量式タッチセンサの電極部とから構成される複数のキーをM行N列(M≧2、N≧1)に配置してなるテンキーを備える携帯端末であって、
前記キーの電極部は、当該電極部の重心が当該キー表示用マークを囲む矩形領域の中心より前記列方向下側に位置する形状を有する
ことを特徴とする携帯端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−48341(P2012−48341A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187897(P2010−187897)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】