説明

入力装置

【課題】入力装置に対する操作者の操作用部位の一動作によって、複数の処理を指定する。
【解決手段】入力装置(1)は、入力領域(111a)を通る第1軸に沿って該入力領域を区切ると共に凹凸を呈する区切部材(112)を有し、前記入力領域において前記区切部材を跨いで行われる、操作者の操作用部位(60)の位置変化を入力の一つとして受け付け可能な受付手段(201)と、前記受け付けられた入力に応じて、少なくとも一つのイベントを特定する特定手段(20)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタッチパッド等の入力装置に関し、特に、何らかの処理が操作者の指の動作に対応付けられている入力装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の入力装置には、例えば、一定間隔で表面加工が施されたタッチパッドを複数の領域に区切り、該区切られた複数の領域各々に文字、数字等が割り当てられている操作入力装置が提案されている。ここでは特に、操作者が、タッチパッドにタッチすることによって領域が決定され、指をスライドすることによって、決定された領域に割り当てられている文字等の中から所望する文字等を検索し、指をタッチパッドから離すことによって文字等の選択が確定する技術が記載されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−72660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の背景技術によれば、操作者が指の一動作(例えばタッチ、スライド等)によって指定することができる処理は一つである。すると、例えば複数の条件を指定して検索を行う場合には、条件の数に応じて複数回、操作者が入力装置を操作しなければならなくなり、使い勝手が低下する可能性があるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、操作者の操作用部位の一動作で複数の処理を指定することができる入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、上記課題を解決するために、入力領域を通る第1軸に沿って該入力領域を区切ると共に凹凸を呈する区切部材を有し、前記入力領域において前記区切部材を跨いで行われる、操作者の操作用部位の位置変化を入力の一つとして受け付け可能な受付手段と、前記受け付けられた入力に応じて、少なくとも一つのイベントを特定する特定手段とを備える。
【0007】
本発明の入力装置によれば、例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる受付手段は、入力領域を通る第1軸(例えばY軸)に沿って該入力領域を区切る(即ち、区切のラインは夫々第1軸に交差する第2軸(例えばX軸)に沿っている)と共に凹凸を呈する区切部材を有し、入力領域におういて区切部材を跨いで行われる、操作者の操作用部位の位置変化を入力の一つとして受け付け可能である。ここに、本発明に係る「操作用部位」とは、典型的には、指を意味する。また、「凹凸を呈する」とは、平面上に凸部や凹部が形成されることに限らず、例えば空中に棒状等の区切部材が形成又は配置されることを含んでよい。
【0008】
尚、「操作用部位の位置変化」は、接触型の面内座標特定装置(例えば、タッチパッド等)を用いて、或いは、非接触型の面内座標特定装置(例えば、光学式の位置検出装置等)を用いて検出すればよい。
【0009】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる特定手段は、受け付けられた入力に応じて、例えば、データの選択、検索、コピー、再生等のイベントを少なくとも一つ特定する。具体的には例えば、「データの選択」は、「指の左右への移動」等、イベント毎に操作用部位の位置変化が対応付けられており、特定手段は、受け付けられた入力としての位置変化に対応付けられているイベントを特定する。
【0010】
上述の如く、本発明に係る受付手段は、凹凸を呈する区切部材を有しているため、操作者が、例えば指の感覚(即ち、触覚)のみにより位置変化を認識することができる。特に、例えば車両の運転中等、操作者が入力部材を目視することが困難な状況においても、比較的容易にして入力を行うことができ、実用上非常に有利である。
【0011】
また、本発明に係る特定手段は、典型的には、受け付けられた入力の一部又は全部を、イベントに対応付けられた位置変化として認識又は抽出して、少なくとも一つのイベントを特定するように構成されている。具体的には例えば、受付手段が、タッチパッドによって操作者の指の位置変化を検出することによって入力を受け付け可能な場合、特定手段は、タッチパッド上における指の軌跡の形状の一部又は全部を、イベントに対応付けられた軌跡の形状として認識又は抽出して、一つの軌跡の形状から少なくとも一つのイベントを特定するように構成されている。
【0012】
このため、操作者が、イベントに対応付けられた位置変化(例えば、軌跡の形状)を複数組み合わせた位置変化を一動作として入力を行えば、複数のイベントを一動作によって指定することができる。尚、「少なくとも一つ」とは、イベントの種類が同一か否かにかかわらず、一つ以上という意味である。即ち、特定手段は、複数種類のイベントを特定してもよいし、同一イベントを複数回特定してもよい。或いは、一の種類のイベントを1回、他の種類のイベントを複数回特定してもよい。
【0013】
仮に、特定手段が、受け付けられた入力から一つのイベントのみ特定するように構成されていると、操作者が一動作で指定することができるイベントは一つに限られてしまう。更に、操作者が、イベントに対応付けられた動作を複数組み合わせた動作を一動作として入力を行うと、該入力は無効な入力として処理されてしまう可能性がある。
【0014】
しかるに本発明では、特定手段が、受け付けられた入力に応じて、少なくとも一つのイベントを特定するように構成されている。従って、本発明の入力装置によれば、操作者の操作用部位(典型的には、指)の一動作で複数の処理(即ち、イベント)を指定することができ、利便性の向上を図ることができる。
【0015】
本発明の入力装置の一態様では、前記受付手段は、前記入力領域において前記区切部材により区切られた複数の部分領域のいずれに対して操作用部位の位置変化が行われるかが、前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能である。
【0016】
この態様によれば、操作者が、複数の部分領域に跨って操作用部位を移動させれば、受付手段が、複数の入力として受け付けるので、比較的容易にして複数のイベントを指定することができ、実用上非常に有利である。
【0017】
本発明の入力装置の他の態様では、前記受付手段は、前記入力領域において前記区切り部材により区切られた複数の部分領域のうちの一つで、前記入力領域を通ると共に前記第1軸に交差する第2軸に沿って行われる、前記操作用部位の位置変化が前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能である。
【0018】
この態様によれば、複数の部分領域のうちの一つで、入力領域を通ると共に第1軸(例えば、Y軸)に交差する第2軸(例えば、X軸)に沿って行われる、操作用部位の位置変化が入力の一つとなるので、具体的には例えば、X軸に沿って指をスライドさせれば入力の一つとして受け付けられるので、比較的容易にして当該入力装置を操作することができ、実用上非常に有利である。
【0019】
本発明の入力装置の他の態様では、前記受付手段は、表面に前記入力領域を有すると共に、該表面に表面加工を施されることで前記区切部材が形成されたタッチパッドである。
【0020】
この態様によれば、操作者が、タッチパッドに操作用部位を接触させて入力を行うので、比較的容易にして、例えば指の感覚のみにより位置変化を認識することができる。
【0021】
受付手段がタッチパッドである態様では、前記タッチパッドは、前記表面に前記操作用部位が接触した状態で、該操作用部位が前記区切部材を跨って又は跨ることなく行われる位置変化を、前記入力の一つとなるように受け付け可能に構成されており、前記特定手段は、前記受け付けられた入力としての前記操作用部位の軌跡の形状に応じて、前記イベントを特定してよい。
【0022】
このように構成すれば、区切部材を跨いだか否かは、操作用部位の触覚のみで比較的容易に知覚されるので、操作者が、比較的容易にして、当該入力装置を目視することなく入力を行うことができ、実用上非常に有利である。
【0023】
この態様では、前記特定手段は、前記形状を、少なくとも一つのジェスチャーとして認識するジェスチャー認識手段を含み、前記認識されたジェスチャーに応じて、前記イベントを特定してよい。
【0024】
このように構成すれば、操作者が、比較的容易にして、イベントに対応付けられた位置変化を複数組み合わせて一動作として入力を行うことができ、実用上非常に有利である。
【0025】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなるジェスチャー認識手段は、操作用部位の軌跡の形状を、少なくとも一つのジェスチャーとして認識する。特定手段は、認識されたジェスチャーに応じて、イベントを特定する。尚、ジェスチャーとイベントとは、一対一対応であってもよいし、一つのジェスチャーに対して複数のイベントが対応づけられていてもよい。
【0026】
一つのジェスチャーに対して複数のイベントを対応づける場合は、例えば、ジェスチャー全体(即ち、軌跡の形状全体)に一のイベントを対応付け、ジェスチャーの一部に他のイベントを対応づければよい。具体的には例えば、部分的に上下に指を移動させつつ、左から右へ指を移動させるというジェスチャーの場合、途中の経路にかかわらず、左から右へ指を移動させるというジェスチャーに対して一のイベントを対応付け、上下に指を移動させるというジェスチャーに対して他のイベントを対応づければよい。
【0027】
受付手段がタッチパッドである態様では、前記入力領域の座標に対応して情報が割り当てられており、前記特定手段は、前記入力領域における前記操作用部位の位置を認識する位置認識手段を含み、更に、前記認識された位置に基づいて前記情報を特定してよい。
【0028】
このように構成すれば、イベントの指定と共に、付加的な情報も同時に指定することができ、実用上非常に有利である。尚、本発明に係る「情報」とは、典型的には、例えばひらがな、アルファベット等の文字、数字、記号、例えば「新しい」、「古い」等の語句を意味する。
【0029】
例えばメモリ、プロセッサ等を備えてなる位置認識手段は、入力領域における操作用部位の位置を認識する。特定手段は、更に、認識された位置に基づいて、割り当てられている情報を特定する。尚、入力領域の座標は、絶対座標であってもよいし、相対座標であってもよい。相対座標の場合は、例えば、操作者が最初に触れた位置を原点として設定すればよい。
【0030】
この態様では、前記情報は、文字、数字、記号及び語句のうち少なくとも一つを含んでよい。
【0031】
このように構成すれば、比較的容易にして付加的な情報を指定することができる。更に、複数の情報を組み合わせることによって、より複雑な情報を指定することができ、実用上非常に有利である。
【0032】
受付手段がタッチパッドである態様では、前記表面加工として、前記入力領域に前記第1軸に交差する第2軸に沿って延びる凸部が形成されていてよい。
【0033】
このように構成すれば、凸部がガイドとして機能するので、入力領域を目視することなく、比較的容易にして、例えば入力領域の座標に対応して割り当てられている情報を指定することができる。尚、凸部の表面に、例えば溝、突起等を形成すれば、或いは、例えば表面をウェーブ状に形成すれば、方向だけでなく距離も、入力領域を目視することなく知ることができ、実用上非常に有利である。
【0034】
この態様では、前記凸部には、前記第1軸に沿った方向に、所定間隔で切り込みが形成されていてよい。
【0035】
このように構成すれば、操作者が操作用部位を第1軸に沿った方向に移動させる際に、凸部が移動の妨げとならないので、実用上非常に有利である。加えて、例えば、凸部上を操作用部位が移動する場合と、切り込みを操作用部位が移動する場合とで異なるイベント(例えばAND検索、OR検索等)を対応付けることができる。
【0036】
尚、「所定間隔」は、例えば、操作者が操作用部位を移動させた距離を容易に知覚できるように、5mmや1cm等として設定すればよい。或いは、例えば入力領域の座標に対応して情報が割り当てられている場合は、割り当てられている一の情報と他の情報との境界付近となるように設定すればよい。
【0037】
受付手段がタッチパッドである態様では、前記入力領域において前記区切部材により区切られた複数の部分領域に夫々対応する前記タッチパッドの複数の電極は、相互に独立していてよい。
【0038】
このように構成すれば、例えば、各部分領域に夫々対応するイベントを設定し、複数の部分領域のうち一の部分領域において入力を行うことにより、一の部分領域に対応するイベントの条件を詳細に指定することができる。更に、同一の操作用部位の動作であっても、部分領域毎に異なるイベントを対応付ければ、操作者が覚えるべき入力動作の個数を低減することができ、より利便性を向上することができる。
【0039】
本発明の入力装置の他の態様では、前記受付手段は、前記位置変化の移動速度が、前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能である。
【0040】
この態様によれば、位置変化の移動速度、即ち、操作用部位の速度が、入力の一つとされているので、操作用部位を動かす速度を変化させるという単純な動作によって、入力を行うことができ、実用上非常に有利である。
【0041】
本発明の入力装置の他の態様では、前記特定されたイベントを、前記操作者に通知する通知手段を更に備える。
【0042】
この態様によれば、例えば表示装置、スピーカ等の通知手段は、特定手段によって特定されたイベントを操作者に通知する。例えば、通知手段がスピーカである場合、操作者が入力部材を目視することが困難な状況においても、比較的容易にして入力を行うことができ、実用上非常に有利である。
【0043】
本発明の入力装置の他の態様では、前記イベントは、選択及び検索を含む。
【0044】
この態様によれば、比較的容易にして、複数の条件を選択して、検索を実行することができる。
【0045】
本発明の入力装置の他の態様では、前記区切部材は、回転可能な一又は複数の円盤を有し、前記受付手段は、前記位置変化に加えて前記円盤が回転することを前記入力の一つとして受け付け可能である。
【0046】
この態様によれば、区切部材は、回転可能な一又は複数の円盤を有している。尚、区切部材そのものとして円盤が設けられていてもよい。受付手段は、位置変化に加えて円盤が回転することを入力の一つとして受け付け可能である。この場合は、例えば回転角度、回転方向等、或いは、回転角度及び回転方向等の組み合わせに対応付けてイベントを設定すればよい。
【0047】
本発明の作用及びその他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の入力装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0049】
<第1実施形態>
本発明の入力装置に係る第1実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。ここに、図1は、第1実施形態に係る入力装置の構成を示すブロック図である。尚、図中の矢印は、信号の流れを示している。
【0050】
図1において、本実施形態に係る入力装置1は、タッチパッド11、処理部20、検索データベース(DB)を格納する記憶装置30、表示装置40及びスピーカ50を備えて構成されている。処理部20は、入力位置受取部201、入力動作判定部202、検索条件生成部203、検索実行部204、音声生成部205、表示データ生成部206、映像表示部207、選択位置表現部208及びメモリ209を備えて構成されている。
【0051】
ここに、本実施形態に係る「タッチパッド11」、「処理部20」及び「入力動作判定部202」は、夫々、本発明に係る「受付手段」、「特定手段」及び「ジェスチャー認識手段」の一例である。また、本実施形態に係る「入力位置受取部201」は、本発明に係る「受付手段」及び「位置認識手段」の一例であり、本実施形態に係る「表示装置40」及び「スピーカ50」は、本発明に係る「通知手段」の一例である。
【0052】
尚、記憶装置30は、入力装置1に内蔵されてなくてよく、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル、光ケーブル等を介して外付けされていてもよいし、ネットワークを介して接続されていてもよい。また、本実施形態では、タッチパッド11を静電容量式のタッチパッドとして説明するが、感圧式のタッチパッドであってもよい。
【0053】
ここで、タッチパッド11について、図2及び図3を参照して説明を加える。ここに、図2(a)は、本実施形態に係るタッチパッドの平面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。図3(a)は、タッチパッド上に設定された複数の領域を示す概念図であり、図3(b)は、各領域に割り当てられた情報の一例を示す概念図である。
【0054】
図2において、タッチパッド11は、パッド111の入力領域111aに、本発明に係る「区切部材」の一例としての複数の凸部112が形成されている。本実施形態では、タッチパッド11は、凸部112上を、本発明に係る「操作用部位」の一例としての操作者の指が通過しても信号が発生しないように構成されている。尚、タッチパッド11は、矩形に限らず、例えば円形、多角形等であってもよい。
【0055】
図3(a)において点線で示すように、図2に示した入力領域111aは、凸部112によって、複数の部分領域11a〜11fに区画されている。他方、図1に示したメモリ209には、図3(b)に示すような仮想入力領域301が格納されている。情報が夫々割り当てられた仮想入力領域301における各部分領域301a〜301fと、タッチパッド11の各部分領域11a〜11fとが夫々対応している。この結果、各部分領域11a〜11fに情報が割り当てられる。
【0056】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、仮想入力領域として示したが、例えば「x1,y1〜x2,y2:Pops」等のように、座標範囲で指定してもよい。また、操作者の指が最初に触れたタッチパッド11の部分領域に、仮想入力領域301の部分領域301aの情報が割り当てられるように構成してもよい。この場合は、対応する部分領域を順次繰り下げるようにすればよい。具体的には例えば、操作者が部分領域11eに最初に触れた場合、部分領域11eに部分領域301aの情報を、部分領域11fに部分領域301bの情報を、部分領域11aに部分領域301cの情報を、・・・と順次割り当てればよい。
【0057】
再び図1に戻り、入力位置受取部201は、タッチパッド11からの信号に基づいて、タッチパッド11上における操作者の指の位置(即ち、座標)を検出する。そして、入力位置受取部201は、順次、検出された位置を示す信号を、入力動作判定部202に対し送信する。
【0058】
入力動作判定部202は、受信した信号から指の軌跡を検出すると共に、該検出された軌跡が予め定められたジェスチャーと一致するか否かを判定する。ジェスチャーと一致すると判定された場合、入力動作判定部202は、一致すると判定されたジェスチャーに対応付けられているイベントを特定する。一方、ジェスチャーと一致しないと判定された場合、入力動作判定部202は、典型的には、無効な入力として処理する。
【0059】
ここで、入力動作判定部202の動作を、図4を参照して具体的に説明する。ここに、図4(a)は、タッチパッド上における操作者の指の動作の一例を示す概念図であり、図4(b)は、入力動作判定部が検出した指の軌跡の一例を示す概念図である。
【0060】
図4(a)に示すように、操作者が指60を、タッチパッド11の部分領域11a及び11cにおいて左右に移動させつつ、図4(a)の上から下へ移動させた場合、入力動作判定部202は、指60の動作を、図4(b)に示すような軌跡401として検出する。
【0061】
本実施形態では、「左右方向への軌跡」は、「選択」を示すジェスチャーとして、「断続入力、且つ上下方向への軌跡」は、「AND検索」を示すジェスチャーとして設定されている。従って、入力動作判定部202は、部分領域11a及び11cに夫々割り当てられている情報の選択、並びにAND検索であると判定する。
【0062】
再び図1に戻り、入力動作判定部202は、メモリ209に格納されている仮想入力領域301を参照して、選択された部分領域11a及び11cに夫々割り当てられている「Pops」及び「早い」という情報を取得する。そして、「Pops」及び「早い」という情報の選択、並びにAND検索であることを示す信号を、検索条件生成部203、音声生成部205及び表示データ生成部206に対し送信する。
【0063】
検索条件生成部203は、受信した信号に基づいて、「『Pops』且つ『早い』」という検索条件を生成して、該生成された検索条件を示す信号を、検索実行部204に送信する。検索実行部204は、受信した信号に基づいて、記憶装置30に格納されている検索データベースを参照して検索を実行し、検索結果を示す信号を表示データ生成部206に対し送信する。
【0064】
入力動作判定部202からの信号を受信した音声生成部205は、例えば「Pops選択」等の音声を生成して、スピーカ50を介して出力する。他方、入力動作判定部202からの信号を受信した表示データ生成部206は、仮想入力領域301のような映像を示す映像信号を生成して、映像表示部207に対し送信すると共に、例えば部分領域11a及び11cに対応する範囲の文字の色を反転することを示す信号を、選択位置表現部208に対し送信する。この結果、「Pops」及び「早い」という文字の色が反転された映像が表示装置40に表示される。
【0065】
検索実行部204からの信号を受信した表示データ生成部206は、検索結果を示す映像信号を生成して映像表示部207に対し送信する。表示データ生成部206は、更に、入力動作判定部202を介して、入力位置受取部201によって検出された指60の位置を示す信号を受信して、該受信した信号に基づいて、指60の位置に対応する検索結果の、例えば文字の色を反転することを示す信号を、選択位置表現部208に対し送信する。
【0066】
尚、検索結果が表示装置40に表示されている場合には、例えば、タッチパッド11上における指60の上下方向への移動、又は左右方向への移動によって、検索結果がスクロールされるように構成してもよい。更に、タッチパッド11に触れている指の本数に応じてスクロールスピードが変化するように構成してもよい。
【0067】
次に、操作者の指の動作の他の例について、図5及び図6を参照して説明する。ここに、図5(a)及び図6(a)の各々は、図4(a)と同趣旨の、タッチパッド上における操作者の指の動作の他の例を示す概念図であり、図5(b)及び図6(b)の各々は、図4(b)と同趣旨の、入力動作判定部が検出した指の軌跡の他の例を示す概念図である。
【0068】
図5(a)に示すように、操作者が指60を、タッチパッド11の部分領域11a及び11cにおいて左右に移動させつつ、凸部112を避けながら、図5(a)の上から下へ移動させた場合、入力動作判定部202は、指60の動作を、図5(b)に示すような軌跡402として検出する。本実施形態では、「連続入力、且つ上下方向への軌跡」は、「OR検索」を示すジェスチャーとして設定されている。従って、入力動作判定部202は、部分領域11a及び11cに夫々割り当てられている情報の選択、並びにOR検索であると判定する。
【0069】
また、図6(a)に示すように、操作者が指60を、タッチパッド11の部分領域11a、及び11cにおいて左右に移動させつつ、部分領域11aから部分領域11cまでは凸部112の上を通過するように、図6(a)の上から下へ移動させると共に、部分領域11eにおいて左右に移動させつつ、部分領域11cから部分領域11fまでは凸部112を避けながら、図6(a)の上から下へ移動させた場合、入力動作判定部202は、指60の動作を、図6(b)に示すような軌跡403として検出する。そして、入力動作判定部202は、部分領域11a、11c及び11eに夫々割り当てられている情報の選択、並びに、部分領域11c及び11eに夫々割り当てられている情報によるOR検索の結果と部分領域11aに割り当てられている情報とによるAND検索であると判定する。
【0070】
(変形例)
次に、第1実施形態に係る変形例について、図7を参照して説明する。ここに、図7(a)は、第1実施形態の変形例に係るタッチパッドの平面図であり、図7(b)は、図7(a)のB−B´線断面図である。尚、図7(a)では、便宜上、凸部112を点線で示している。
【0071】
図7(a)に示すように、入力領域111aが凸部112によって区画された複数の部分領域に夫々対応して、電極113a及び113bが配置されている。図7(b)に示すように、電極113a及び113bは、夫々、絶縁体層114a、114b及び114cによって狭持されている。本変形例では特に、各部分領域に夫々対応する電極113a及び113bの信号出力が相互に独立するように構成されている。
【0072】
尚、本変形例では、凸部112が形成されている座標をメモリ209等に予め格納しておき、一の部分領域において、凸部112が形成されていない座標で軌跡が途絶え、次の部分領域において、凸部112が形成されていない座標から軌跡が始まる場合は、「連続入力」であるとみなすように、入力動作判定部202を構成すれば、「AND検索」と「OR検索」とを判別することができる。
【0073】
<第2実施形態>
本発明の入力装置に係る第2実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。第2実施形態では、タッチパッドの形状が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8は、図2(a)と同趣旨の、第2実施形態に係るタッチパッドの平面図であり、図9は、図3(b)と同趣旨の、第2実施形態に係るタッチパッドの各領域に割り当てられた情報の一例を示す概念図である。
【0074】
図8に示すように、本実施形態に係るタッチパッド12は、図8の左右方向に延びる凸部112に、所定間隔で切り込みが形成されている。そして、各部分領域11a〜11fに、図9に示すような仮想入力領域302の各部分領域302a〜302fが夫々対応している。
【0075】
ここで、本実施形態に係る入力装置は、例えば楽曲の検索に適するように構成されており、仮想入力領域302の部分領域302aから順に、「曲名」、「アーティスト名」、「アルバム名」、「発売時期」、「曲のテンポ」及び「価格」の夫々に対応する検索条件として設定されている。尚、「曲名」、「アーティスト名」及び「アルバム名」については、選択された文字を、例えば頭文字として検索条件に含めればよい。
【0076】
本実施形態では特に、タッチパッド12に形成された凸部112に、所定間隔で切り込みが形成されているので、例えば「OR検索」を指定する場合に、タッチパッド12の端まで指60を移動させなくてよい。更に、切り込みにより、タッチパッド12を目視することなく指のおおよその移動距離を知ることができ、実用上非常に有利である。
【0077】
<第3実施形態>
本発明の入力装置に係る第3実施形態を、図10を参照して説明する。第3実施形態では、タッチパッドに代えて、複数の回転可能な円盤を有する入力部材を備えている以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図10を参照して説明する。ここに、図10(a)は、第3実施形態に係る入力部材の平面図であり、図10(b)は、第3実施形態に係る入力部材を、図10(a)の矢印aの方向から見た側面図である。
【0078】
図10に示すように、本実施形態に係る入力部材13は、回転可能な複数の円盤13aと筐体13bとを備えて構成されている。各円盤13aは、図10(b)において矢印で示す向きに回転可能である。
【0079】
本実施形態では、図1に示した入力位置受取部201は、入力部材13からの信号に基づいて、例えば円盤13aの位置、回転角度、回転方向等を検出する。入力動作判定部202は、入力位置受取部201からの信号に基づいて、指の軌跡を検出すると共に、該検出された軌跡が予め定められたジェスチャーと一致するか否かを判定する。
【0080】
尚、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う入力装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施形態に係る入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係るタッチパッドの平面図であり、(b)は、図2(a)のA−A´線断面図である。
【図3】(a)は、第1実施形態に係るタッチパッド上に設定された複数の領域を示す概念図であり、(b)は、各領域に割り当てられた情報の一例を示す概念図である。
【図4】(a)は、第1実施形態に係るタッチパッド上における操作者の指の動作の一例を示す概念図であり、(b)は、第1実施形態に係る入力動作判定部が検出した指の軌跡の一例を示す概念図である。
【図5】(a)は、第1実施形態に係るタッチパッド上における操作者の指の動作の他の例を示す概念図であり、(b)は、第1実施形態に係る入力動作判定部が検出した指の軌跡の他の例を示す概念図である。
【図6】(a)は、第1実施形態に係るタッチパッド上における操作者の指の動作の他の例を示す概念図であり、(b)は、第1実施形態に係る入力動作判定部が検出した指の軌跡の他の例を示す概念図である。
【図7】(a)は、第1実施形態の変形例に係るタッチパッドの平面図であり、(b)は、図7(a)のB−B´線断面図である。
【図8】第2実施形態に係るタッチパッドの平面図である。
【図9】第2実施形態に係るタッチパッドの各領域に割り当てられた情報の一例を示す概念図である。
【図10】(a)は、第3実施形態に係る入力部材の平面図であり、(b)は、第3実施形態に係る入力部材を、図10(a)の矢印aの方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0082】
1…入力装置、11、12…タッチパッド、13…入力部材、20…処理部、30…記憶装置、40…表示装置、50…スピーカ、201…入力位置受取部、202…入力動作判定部、203…検索条件生成部、204…検索実行部、205…音声生成部、206…表示データ生成部、207…映像表示部、208…選択位置表現部、209…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力領域を通る第1軸に沿って該入力領域を区切ると共に凹凸を呈する区切部材を有し、前記入力領域において前記区切部材を跨いで行われる、操作者の操作用部位の位置変化を入力の一つとして受け付け可能な受付手段と、
前記受け付けられた入力に応じて、少なくとも一つのイベントを特定する特定手段と
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記受付手段は、前記入力領域において前記区切部材により区切られた複数の部分領域のいずれに対して操作用部位の位置変化が行われるかが、前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記入力領域において前記区切り部材により区切られた複数の部分領域のうちの一つで、前記入力領域を通ると共に前記第1軸に交差する第2軸に沿って行われる、前記操作用部位の位置変化が前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記受付手段は、表面に前記入力領域を有すると共に、該表面に表面加工を施されることで前記区切部材が形成されたタッチパッドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記タッチパッドは、前記表面に前記操作用部位が接触した状態で、該操作用部位が前記区切部材を跨って又は跨ることなく行われる位置変化を、前記入力の一つとなるように受け付け可能に構成されており、
前記特定手段は、前記受け付けられた入力としての前記操作用部位の軌跡の形状に応じて、前記イベントを特定する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記特定手段は、
前記形状を、少なくとも一つのジェスチャーとして認識するジェスチャー認識手段を含み、
前記認識されたジェスチャーに応じて、前記イベントを特定する
ことを特徴とする請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記入力領域の座標に対応して情報が割り当てられており、
前記特定手段は、
前記入力領域における前記操作用部位の位置を認識する位置認識手段を含み、
更に、前記認識された位置に基づいて前記情報を特定する
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記情報は、文字、数字、記号及び語句のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の入力装置。
【請求項9】
前記表面加工として、前記入力領域に前記第1軸に交差する第2軸に沿って延びる凸部が形成されていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記凸部には、前記第1軸に沿った方向に、所定間隔で切り込みが形成されていることを特徴とする請求項9に記載の入力装置。
【請求項11】
前記入力領域において前記区切部材により区切られた複数の部分領域に夫々対応する前記タッチパッドの複数の電極は、相互に独立している
ことを特徴とする請求項4乃至10のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項12】
前記受付手段は、前記位置変化の移動速度が、前記入力の一つとなるように前記入力を受け付け可能であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項13】
前記特定されたイベントを、前記操作者に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項14】
前記イベントは、選択及び検索を含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項15】
前記区切部材は、回転可能な一又は複数の円盤を有し、
前記受付手段は、前記位置変化に加えて前記円盤が回転することを前記入力の一つとして受け付け可能である
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−276978(P2009−276978A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127033(P2008−127033)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】