説明

入力装置

【課題】 特に、上下配線パターン間の干渉を抑制し、非入力領域を幅細に形成することが可能な入力装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 基材30表面に形成された上部電極パターン及び前記上部電極パターンに電気的に接続された上部配線パターン18a,18b・・と、基材31表面に形成された下部電極パターン及び前記下部電極パターンに電気的に接続された下部配線パターン16a,16b、16c・・とを、有する。上部電極パターン及び前記下部電極パターンは入力領域に配置され、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンは非入力領域12に配置されている。前記上部配線パターンと前記下部配線パターンの間に第1シールド層40が設けられ、前記上部配線パターン18a,18bと前記下部配線パターン16a,16bとが平面視にて重ねられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力座標位置を検出可能な入力装置に係り、特に配線パターンを備える非入力領域の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1にはタッチセンサに関する発明が開示されている。タッチセンサには入力領域に多数の電極パターンが配置されている。そして入力領域の外側の非入力領域に各電極パターンに電気的に接続される配線パターンが引き回されている。
【0003】
特許文献1の図1等に示すように上下の配線パターンは干渉を抑制すべく平面視にて重ならないようにずらして形成される。このため非入力領域の幅が広がり、小型化を実現できない問題があった。
【0004】
また特許文献1では、指と配線パターン間に容量変化が生じないようにシールド層を設けている。シールド層は、上下基板の夫々に設けており、またシールド層の表面を絶縁層で覆い、電極パターンの形成面と異なる前記絶縁層の表面に配線パターンを形成する構成となっている。
【0005】
このため、特許文献1に記載された発明では、タッチセンサの非入力領域での構造が複雑化し、また生産コストも上昇し、更に、タッチセンサの薄型化を適切に促進できない問題があった。
【0006】
また特許文献2に記載された発明においても、上記の従来課題を解決するには至っていない。
【0007】
また、特許文献3に記載された発明では、タッチスクリーンと液晶ディスプレイ間にシールド層を設けて、ディスプレイ回路からの電磁波によって誤動作等を生じない構成としているが、タッチパネルの上下配線パターンが明確に記載されていないし、また、非入力領域に指を触れたときの誤動作等を防止するシールド構成については何ら開示されていない。
【0008】
また、特許文献4に記載された発明では、フレキシブルプリント基板に関する発明であり、タッチパネルの配線パターンが設けられた非入力領域に関する構造は何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−169720号公報
【特許文献2】特開2005−337773号公報
【特許文献1】特開2007−179520号公報
【特許文献1】実開平3−37538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、上下配線パターン間の干渉を抑制し、非入力領域を幅細に形成することが可能な入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における入力装置は、
基材表面に形成された上部電極パターン及び前記上部電極パターンに電気的に接続された上部配線パターンと、基材表面に形成された下部電極パターン及び前記下部電極パターンに電気的に接続された下部配線パターンとを、有し、
前記上部電極パターン及び前記下部電極パターンは入力領域に配置され、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンは非入力領域に配置されており、
前記上部配線パターンと前記下部配線パターンの間に第1シールド層が設けられ、前記上部配線パターンと前記下部配線パターンとが平面視にて重ねられていることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成により、本発明では、上下配線パターンの干渉を抑制でき、非入力領域を幅細に形成することができる。
【0013】
本発明では、前記上部電極パターン及び前記上部配線パターンが、共通の上部基材の表面に形成され、前記下部電極パターン及び前記下部配線パターンが、共通の下部基材の表面に形成されており、前記上部配線パターンと前記下部配線パターンの間に1層の前記第1シールド層が介在していることが好ましい。簡単な構造によりシールド層を有する入力装置を実現でき、また入力装置を薄型で形成できる。
【0014】
また本発明では、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンが外側に向けられ、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンが形成された各基材の表面と反対側の裏面同士が前記第1シールド層を介して接合されていることが好ましい。これにより簡単な構造のシールド層を有する入力装置を実現できる。
【0015】
また本発明では、前記上部配線パターンの先端に形成された上部接続部、及び、前記下部配線パターンの先端に形成された下部接続部の夫々に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板が設けられ、前記フレキシブルプリント基板に設けられた前記上部接続部と電気的に接続される第1配線パターンと、前記下部接続部と電気的に接続される第2配線パターンとの間に第2シールド層が設けられ、平面視にて前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとが重ねられていることが好ましい。これによりフレキシブルプリント基板における第1配線パターンと第2配線パターンとの干渉を抑制でき、よって、ノイズを抑制でき、また誤作動を防止することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上下配線パターンの干渉を抑制でき、非入力領域を幅細に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の入力装置の分解斜視図、
【図2】本実施形態の入力装置の平面図(ただし、図1に示す天板20を外した状態の平面図である)、
【図3】図2に示す入力装置の非入力領域における上部接続部及び下部接続部が配列されたY2側領域の一部を拡大した部分拡大平面図、
【図4】図3に示すA−A線に沿って入力装置1を切断し矢印方向から見た入力装置の部分縦断面図、
【図5】図4とは異なる構成の入力装置の部分縦断面図、
【図6】上部基板及び下部基板を一体化した構成の入力装置の縦断面図、
【図7】比較例における入力装置の部分拡大平面図、
【図8】フレキシブルプリント基板と上部基板及び下部基板との接続部分を示す部分縦断面図、
【図9】図2に示すB−B線に沿って厚さ方向に切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本実施形態の入力装置10の分解斜視図、図2は本実施形態の入力装置10の平面図である。なお図2は入力装置10から図1に示す天板20を外した状態の平面図を示している。
【0019】
図1に示すように入力装置10は、天板20、上部基板21、下部基板22、及びフレキシブルプリント基板23等を有して構成される。
【0020】
天板20は、プレスチックやガラス基材で形成される。天板20の下面20bには、加飾層24が設けられ、図1に示すように、透光性の入力領域11と入力領域11の周囲を囲む着色された非透光性の非入力領域12とに区分けされている。
【0021】
本実施形態における入力装置10は、入力領域11を指で操作したときに入力領域内部に配置された上部電極パターンと下部電極パターンの間の静電容量が指の接近・操作によって生じる容量変化に基づいて、指の操作座標位置を検出する静電容量式タッチパネルを構成する。
【0022】
図1に示すように、上部基板21の入力領域11には、複数本の上部電極パターン13が設けられ、下部基板22の入力領域11には、複数本の下部電極パターン14が配置されている(図1では、上部電極パターン13及び下部電極パターン14の一部のみ図示した)。
【0023】
各電極パターン13,14はいずれも基材表面にITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料でスパッタや蒸着により成膜される。
【0024】
図1に示すように上部電極パターン13はX−Y平面の例えばY1−Y2方向に沿って連続して延出し、且つ複数の各上部電極パターン13がX1−X2方向に間隔を空けて配置される。
【0025】
また図1に示すように各下部電極パターン14はX−Y平面の例えばX1−X2方向に沿って連続して延出し、且つ複数の各下部電極パターン14がY1−Y2方向に間隔を空けて配置される。
【0026】
各上部電極パターン13のY2側の端部には、上部配線パターンが電気的に接続され、更に、各上部配線パターンの先端には上部接続部15が形成されている(図2参照)。各上部配線パターン及び各上部接続部15はいずれも非入力領域12のY2側領域12a内に設けられ、各上部接続部15は、前記Y2側領域12aの略中央部にX1−X2方向に間隔を空けて配列されている(図1、図2参照)。
【0027】
また、各下部電極パターン14のX1側あるいはX2側の端部には下部配線パターン16が電気的に接続されている(図2参照)。下部配線パターン16は非入力領域12のX1側領域及びX2側領域からY2側領域12aにまで引き回され、各下部配線パターン16の先端には下部接続部17が形成されている。図2に示すように、各下部接続部17は、平面視にて、複数の上部接続部15が形成された中央部の両側端部に、X1−X2方向に間隔を空けて配列されている。
【0028】
図3は、図2に示す入力装置10の非入力領域12における上部接続部15及び下部接続部17が配列されたY2側領域12aの一部を拡大した部分拡大平面図である。なお図3では、見やすくするために各配線パターン間の間隔を図2の原図よりも広げて示した。
【0029】
図3に示す実線の配線パターンが上部電極パターン13と電気的に接続された上部配線パターン18であり、点線の配線パターンが下部電極パターンと電気的に接続された下部配線パターン16である。図3には各下部配線パターン16の先端に形成された下部接続部17も図示されている。
【0030】
図3では、上部配線パターン18が2本図示されており、図示Y2側にてX1−X2方向に延出する配線部分を備える上部配線パターン18を符号18aとし、図示Y1側にてX1−X2方向に延出する配線部分を備える上部配線パターン18を符号18bとした。また、図3では、下部配線パターン16が3本図示されており、最も図示Y2側にてX1−X2方向に延出する配線部分を備える下部配線パターン16を符号16aとし、最も図示Y1側にてX1−X2方向に延出する配線部分を備える下部配線パターン16を符号16cとし、下部配線パターン16aと16cとの間に位置する下部配線パターン16を符号16bとした。
【0031】
図3に示すように、上部配線パターン18aと、下部配線パターン16aとは、各X1−X2方向に延出する配線部分18a1,16a1が、平面視にて重ねられている。また、上部配線パターン18aのY1−Y2方向に延出する配線部分18a2は、下部配線パターン16b,16cのX1−X2方向に延出する配線部分16b1,16c1とも平面視にて重なっている。
【0032】
また、上部配線パターン18bと、下部配線パターン16bとは、各X1−X2方向に延出する配線部分18b1,16b1が、平面視にて重ねられている。また、上部配線パターン18bのY1−Y2方向に延出する配線部分18b2は、下部配線パターン16cのX1−X2方向に延出する配線部分16c1とも平面視にて重なっている。
【0033】
また、下部配線パターン16bのY1−Y2方向に延出する配線部分16b2は、上部配線パターン18aのX1−X2方向に延出する配線部分18a1とも平面視にて重なっている。
【0034】
また、下部配線パターン16cのY1−Y2方向に延出する配線部分16b2は、上部配線パターン18a,18bのX1−X2方向に延出する配線部分18a1,18b1とも平面視にて重なっている。
【0035】
図3では、上下配線パターンにおいて、X1−X2方向に延出する部分での各配線幅はほぼ同じであるが多少異なってもよいし、X1−X2方向に延出する部分での上下配線パターン同士が多少、Y1−Y2方向にずれた状態で重なる形態であってもよい。
【0036】
また図3に示すように、下部配線パターン16cのX1−X2方向に延出する配線部分16c1は、各上部配線パターン18のX1−X2方向に延出する配線部分とは重なっていないが、このような配線パターンが存在していてもよい。ただし、図3に示す上部配線パターン18bよりもY1側に、更に上部配線パターンが存在する構成である場合、下部配線パターン16cのX1−X2方向に延出する配線部分16c1と、前記上部配線パターンのX1−X2方向に延出する配線部分とを平面的に重ね合わせることが好適である。重ね合わせることが可能な位置に設けられた上下配線パターンの各本数が一致するような場合は、全ての上下配線パターンを平面的に重ね合わせることが好適である。
【0037】
なお本実施形態において「重なる」とは、上下配線パターンの全領域が平面視にて重なることを意味するものではない。図3に示す実施形態では、例えば上部配線パターン18aのX1−X2方向に延びる配線部分18a1は、下部配線パターン16aのX1−X2方向に延びる配線部分16a1よりもX2方向に長く延びているから、上部配線パターン18aのX1−X2方向に延びる配線部分18a1の全体が、下部配線パターン16aのX1−X2方向に延びる配線部分16a1と重なっていない。図3に示す実施形態では、上下配線パターンの一部が平面的に重なり、各上部配線パターン18a,18bのX1−X2方向に延びる配線部分18a1,18b1のY1−Y2方向への形成位置と、各下部配線パターン16a,16bのX1−X2方向に延びる配線部分16a1,16b1のY1−Y2方向への形成位置とを夫々、厚さ方向にてほぼ一致させた構成を「平面視にて重なる」としている。
【0038】
図4は、図3に示すA−A線に沿って入力装置1を切断し矢印方向から見た入力装置1の部分縦断面図である。
【0039】
図4に示すように、上部基材30の表面30aに図1に示す複数の上部電極パターン13や、図3に示す複数の上部配線パターン18a,18b・・・及び図2に示す複数の上部接続部15等が形成されて、上部基板21が構成されている。
【0040】
また図4に示すように、下部基材31の表面31aに図1に示す複数の下部電極パターン14や、図3に示す複数の下部配線パターン16a,16b,16c・・・及び図2に示す複数の下部接続部17等が形成されて、下部基板22が構成されている。
【0041】
上部基材30及び下部基材31は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明基材で形成される。また各配線パターン16,18や各接続部15,17は、透明導電材料で形成されなくてもよい。Ag−Pd−Cu、Cu、Al、Ag、Au等の良導体で形成することができる。
【0042】
図4に示すように、上部基材30及び下部基材31の各電極パターン、配線パターンが形成された表面30aとの反対面(裏面)30b,31b同士が接着層(図示しない)を介して接合されている。
【0043】
また図4に示すように、入力装置10の非入力領域12には、上部基材30及び下部基材31との間に導電性の第1シールド層40が介在している。第1シールド層40は非入力領域12に形成されるので、透明導電材料であっても非透明導電材料であってもどちらでもよい。また第1シールド層40は、蒸着法、メッキ法、印刷法等にて上部基材30か下部基材31のどちらか一方に直接形成された構成であってもよく、あるいは別個に用意された薄い金属板であってもよい。
【0044】
図1,図2には第1シールド層40の形成領域が斜線で示されている。図1,図2に示すように第1シールド層40は、入力領域11の周囲に枠形状で形成された非入力領域12のうちY2側領域12aにのみ形成されている。
【0045】
図1に示すように、フレキシブルプリント基板23は、その先端(入力装置の上部基板21及び下部基板22との接続側)が、中央部23aと、両側端部23b,23bとに分離している。図8に示すように、フレキシブルプリント基板23の中央部23aには複数の第1接続部25が形成されており(図8には一つの第1接続部25のみを図示)、中央部23aが入力装置10の上部接続部15上に重ねられて、各第1接続部25と各上部接続部15とが電気的に接続されている。また、図8に示すように、フレキシブルプリント基板23の両側端部23bには複数の第2接続部26が形成されており(図8には一つの第2接続部26のみを図示)、両側端部23b,23bが入力装置10の下部接続部17下に重ねられて、各第2接続部26と各下部接続部17とが電気的に接続されている。
【0046】
各第1接続部25は図2に示す各第1配線パターン27と電気的に接続されており、各第2接続部26は図2に示す各第2配線パターン28と電気的に接続されている。図2には、各第1配線パターン27及び各第2配線パターン28が途中までしか図示されていないが、各第1配線パターン27及び各第2配線パターン28は、図2に示すフレキシブルプリント基板23に設けられたコネクタ35と電気的に接続されている。
【0047】
本実施形態における入力装置10は、図4に示すように、上部配線パターン18a,18bと下部配線パターン16a,16b,16cとの間に第1シールド層40が設けられ、図3,図4に示すように、上部配線パターン18a,18bと下部配線パターン16a,16bとが平面視にて重ねられている構成に特徴的部分がある。
【0048】
本実施形態では、上部配線パターン18a,18bと下部配線パターン16a,16b,16cとの間に第1シールド層40を設けているから、図3に示すように、上部配線パターン18a,18bと下部配線パターン16a,16bとを平面的に重ねても、上下配線パターン間の干渉を抑制でき、指が非入力領域12に触れても、指と各配線パターン間における静電容量の変化は抑制され、よってノイズ発生や誤動作が生じるのを適切に防止することが出来る。そして本実施形態では、図3に示すように、各上部配線パターン18a,18bのX1−X2方向に延出する配線部分18a1,18b1と、各下部配線パターン16a,16bのX1−X2方向に延出する配線部分16a1,16b1とを平面的に重ねているため、X1−X2方向に延出する配線部分18a1,16a1,18b1,16b1,16c1を形成するに必要なY1−Y2方向への形成領域幅を幅寸法T1に抑えることができる。
【0049】
一方、図7に示す比較例(従来例)のように、各上部配線パターン18a,18bのX1−X2方向に延出する配線部分18a1,18b1と、各下部配線パターン16a,16bのX1−X2方向に延出する配線部分16a1,16b1とを重ねずにY1−Y2方向にずらして配置する場合、X1−X2方向に延出する配線部分18a1,16a1,18b1,16b1,16c1を形成するに必要なY1−Y2方向への形成領域幅は幅寸法T2となり、本実施形態の幅寸法T1よりも広がる。このように、比較例(従来)に比べて本実施形態では、非入力領域12での各上部配線パターン18a,18b及び各下部配線パターン16a,16bの形成領域幅を小さくでき、よって非入力領域12を幅細に形成することが可能になり狭額縁化に適切に対応することが可能になる。また、図3に示すように、上下配線パターンにおいてX1−X2方向に延びる配線部分に対し、Y1−Y2方向に延びる配線部分が平面的に縦断した構造としているので、X1−X2方向に必要な上下配線パターンの形成領域の長さを従来と同様かあるいは従来よりも短くすることが出来る。
【0050】
本実施形態では図4に示すように、各基材30,31の表面30a,31aに形成された各電極パターン、各配線パターン及び各接続部が外側に向けられた状態で、各基材30,31の裏面30b、31b同士が接合され、非入力領域12では、各基材30,31の相対向する裏面30b,31b間に1層の第1シールド層40が介在した構成となっている。よってシールド層40を有する入力装置10を簡単、且つ薄型の構造にて形成できる。すなわち本実施形態では、各基材30,31間の非入力領域12に薄い1層の第1シールド層40を介在させた構成であるため薄型化を促進できる。また、各基材30,31の表面30a,31aに各電極パターン、各配線パターン及び各接続部が形成されてなる各基板21,22の構造を特に変える必要性はなく、第1シールド層40を、各基材30,31間の非入力領域12に介在させただけであるから非常に簡単な構造を実現でき、また製造コストの上昇も適切に抑えることが可能である。
【0051】
なお図5に示すように、上下配線パターン同士を基材30,31よりも内側に向けた状態とし、各上部配線パターン18a,18bの表面に絶縁層36を形成し、各下部配線パターン16a,16b,16cの表面に絶縁層37を形成し、各絶縁層36,37間に第1シールド層40を介在させる構成とすることも出来る。
【0052】
図1、図2に示すように、第1シールド層40は非入力領域12の全域でなく、各上部配線パターン18a,18bと各下部配線パターン16a,16b,16cとが平面的に重なる非入力領域12の一部(Y2側領域12a)にのみ設ければよい。また、第1シールド層40はアース電位となっている。また図2に示すように、第1シールド層40を、フレキシブルプリント基板23の第2の配線パターン28中に設けられたアース配線に接続するために、第1シールド層下にアース電極43が設けられ、前記アース電極43を下面に露出させるために、図1,図2に示すように下部基材31に切り欠き部31cを形成している。
【0053】
また図1に示す入力装置10では、上部基板21と下部基板22とを個別に形成しているが、図6に示すように、上部基板21と下部基板22とを一体化し、上部基板21と下部基板22とを折り曲げて相対向させて接合し、その際、上部基板21と下部基板22との非入力領域12に第1シールド層40を介在させた構造にすることも出来る。
【0054】
図9は図2に示すB−B線に沿って厚さ方向に切断し矢印方向から見たフレキシブルプリント基板の部分縦断面図である。
【0055】
図9に示すように、フレキシブルプリント基板23は、第1基材60と、第1基材60の内側表面(第2基材63と対向する側の表面)60aに形成された複数の第1接続部25(図8参照)及び各第1接続部25に電気的に接続された複数の第1配線パターン61と、第2基材63と、第2基材63の内側表面(第1基材60と対向する側の表面)63aに形成された複数の第2接続部26(図8参照)及び各第2接続部26に電気的に接続された複数の第2配線パターン64と、を有して構成される。
【0056】
更に図9に示すように、各第1配線パターン61の表面は絶縁層65により覆われ、各第2配線パターン64の表面は絶縁層66により覆われ、絶縁層65、66間に第2シールド層67が介在している。
【0057】
そして図9に示すように、平面視にて第1配線パターン61と第2配線パターン64とは重ねられている。このように、フレキシブルプリント基板23においても第1配線パターン61と第2配線パターン64間に第2シールド層67を介在させたことで、フレキシブルプリント基板23における第1配線パターン61と第2配線パターン64間の干渉を抑制でき、よってノイズ発生を抑制でき、誤動作を適切に防止することが出来る。
【0058】
また、平面視にて第1配線パターン61と第2配線パターン64とを重ねているためフレキシブルプリント基板23に設けられた上下配線パターンの形成領域の幅寸法を細く形成することが可能になる。よって入力装置10を電子機器内に設置等する際に、フレキシブルプリント基板23に対する設置領域を小さくできフレキシブルプリント基板23を適切且つ簡単に電子機器内に収納することが可能になる。
【0059】
本実施形態では図9に示すように、第1配線パターン61と第2配線パターン64とを内側に向けて、第1配線パターン61及び第2配線パターン64を覆う各絶縁層65,66同士を第2シールド層67を介して突き合わせる構成としてもよいし、あるいは図4に示す構成と同様に、第1配線パターン61及び第2配線パターン64を外側に向けて、基材60,63同士を第2シールド層67を介して突き合わせる構成とすることも可能である。また図6と同様に、第1基材60と第2基材63とを一体化した構成とすることも出来る。
【0060】
また、第2シールド層67を第1シールド層40に接続したアース配線と接続して同電位としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 入力装置
11 入力領域
12 非入力領域
12a Y2側領域
13 上部電極パターン
14 下部電極パターン
15 上部接続部
16、16a、16b、16c 下部配線パターン
16a1、16b1、16c1 下部配線パターンのX1−X2方向に延びる配線部分
17 下部接続部
18、18a、18b 上部配線パターン
18a1、18b1 上部配線パターンのX1−X2方向に延びる配線部分
20 天板
21 上部基板
22 下部基板
23 フレキシブルプリント基板
25 第1接続部
26 第2接続部
27 第1配線パターン
28 第2配線パターン
30 上部基材
31 下部基材
35 コネクタ
36、37、65、66 絶縁層
40 第1シールド層
60 第1基材
61 第1配線パターン
63 第2基材
64 第2配線パターン
67 第2シールド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に形成された上部電極パターン及び前記上部電極パターンに電気的に接続された上部配線パターンと、基材表面に形成された下部電極パターン及び前記下部電極パターンに電気的に接続された下部配線パターンとを、有し、
前記上部電極パターン及び前記下部電極パターンは入力領域に配置され、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンは非入力領域に配置されており、
前記上部配線パターンと前記下部配線パターンの間に第1シールド層が設けられ、前記上部配線パターンと前記下部配線パターンとが平面視にて重ねられていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記上部電極パターン及び前記上部配線パターンが、共通の上部基材の表面に形成され、前記下部電極パターン及び前記下部配線パターンが、共通の下部基材の表面に形成されており、前記上部配線パターンと前記下部配線パターンの間に1層の前記第1シールド層が介在している請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンが外側に向けられ、前記上部配線パターン及び前記下部配線パターンが形成された各基材の表面と反対側の裏面同士が前記第1シールド層を介して接合されている請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記上部配線パターンの先端に形成された上部接続部、及び、前記下部配線パターンの先端に形成された下部接続部の夫々に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板が設けられ、前記フレキシブルプリント基板に設けられた前記上部接続部と電気的に接続される第1配線パターンと、前記下部接続部と電気的に接続される第2配線パターンとの間に第2シールド層が設けられ、平面視にて前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとが重ねられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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