説明

入力装置

【課題】ユーザに適切な操作感を与えながら消費電力を削減することができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置1は、ユーザによる操作によって移動可能な操作ノブ11と、操作ノブ11を移動可能に支持する本体部10と、本体部10に対する操作ノブ11の位置を検出するエンコーダ141b,142bと、供給される電力に応じて操作ノブ11に反力を付与することが可能な支持駆動機構101と、操作ノブ11へのユーザの手部の接触及び離間を検知する接触センサ110と、操作ノブ11の位置に基づいて支持駆動機構101を制御して反力を発生させ、接触センサ110がユーザの手部の離間を検知したとき支持駆動機構101の電力の供給を遮断し、接触センサ110がユーザの手部の接触を検知したとき支持駆動機構101への電力の供給を再開する制御部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関し、特にユーザの操作に対して反力を付与することが可能なアクチュエータを備えた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザによって操作される操作部に操作感を付与するものとして、力覚付与型の入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された入力装置は、ユーザが操作する操作部と、操作部に反力を付与するアクチュエータと、操作部の操作状態を検出する位置センサの位置信号から算出した操作部の現在位置及び現在速度に応じてアクチュエータによる反力を制御する制御部とを備えている。アクチュエータは、モータ等の電動装置からなり、制御部の駆動信号に応じて動作するドライバ回路により駆動電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−252734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この種の従来の入力装置では、ユーザが操作部の操作を開始した当初から適切な反力を付与するためには、ユーザが操作部を操作していない状態でもアクチュエータに電力を供給しておく必要がある。仮に、ユーザが操作部の操作を開始し、位置信号の変化が表れてからアクチュエータに電力を供給した場合には、ユーザの操作開始当初は反力がなく、その後反力が発生することとなるので、適切な操作感を得ることができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ユーザに適切な操作感を与えながら消費電力を削減することができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本体部と、前記本体部に対して移動可能な操作部と、前記本体部に対する前記操作部の位置を検出する位置検出部と、供給される電力に応じて前記操作部に反力を付与することが可能なアクチュエータと、前記操作部への検知対象物の接近又は接触、及び前記操作部からの前記検知対象物の離間を検知する検知部と、前記位置検出部が検出した前記操作部の位置に基づいて前記アクチュエータにより前記操作部に反力を発生させ、前記検知部が前記検知対象物の離間を検知したとき前記アクチュエータへの電力の供給を遮断し、前記検知部が前記検知対象物の接近又は接触を検知したとき前記アクチュエータへの電力の供給を再開する制御部とを備えた入力装置。
【0008】
[2]前記操作部は、前記検知対象物の接近又は接触を検知するセンサを前記ユーザによる操作の際に前記ユーザが接触し得る部位に有し、前記検出部は、前記センサの出力信号によって前記検知対象物の接近又は接触、及び離間を検知する、前記[1]に記載の入力装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザに適切な操作感を与えながら消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による入力装置が搭載された車両の車室内を示す概略図である。
【図2】図2は、入力装置の機械的な構成の概要を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、制御ユニットの機能構成を示す機能ブロック図である。(b)は、駆動回路に含まれるスイッチング回路の構成例を示す回路図である。
【図4】図4は、入力装置の動作順序の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、入力装置の動作時における各部の動作の一例を示す概略図であり、(a)は接触センサの信号波形、(b)はX軸モータのモータ電流の電流波形、(c)は操作ノブの移動速度の時間的な変化をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置1が搭載された車両の車室内を示す。車室内には、ユーザの一例としての運転者が着座する運転席90の左方にセンターコンソール91が配置され、センターコンソール91の前方にインスツルメントパネル92が配置されている。
【0012】
インスツルメントパネル92には、運転席90に着座した運転者から視認可能な位置に、表示装置3が嵌め込まれている。また、センターコンソール91には、運転者が手部(右ハンドルの場合には左手)によって操作可能な位置に入力装置1が配置されている。
【0013】
入力装置1は、センターコンソール91に固定された本体部10と、本体部10に対して移動可能に支持された操作部としての操作ノブ11と、本体部10に設けられたスイッチ12と、操作ノブ11の周辺部を覆うカバー102とを有している。操作ノブ11は、運転者による操作によって本体部10に対して水平方向に移動可能である。また、入力装置1は、操作ノブ11の本体部10に対する位置の情報を表示装置3に送信するように構成されている。
【0014】
表示装置3は、液晶ディスプレイ等の表示部3aに例えば空調装置の温度設定やカーナビゲーションシステムの操作等を行うためのメニュー画面を表示し、このメニュー画面に重ねて、操作ノブ11の移動に伴って表示位置が変化するポインタを表示する。表示装置3は、メニュー画面の複数のメニュー項目のうち、スイッチ12が操作された時にポインタにより指示されているメニュー項目が選択されたものとして、そのメニュー項目に応じた処理を行うように構成されている。
【0015】
図2は、入力装置1の機械的な構成の概要を示す斜視図である。入力装置1は、本体部10に固定されたベース100に設けられた支持駆動機構101を有している。支持駆動機構101は、操作ノブ11を本体部10に対して移動可能及び駆動可能に支持している。
【0016】
操作ノブ11の上部の端面には、その全体に検知対象物としての運転者の手部の接触、及び運転者の手部の離間を検知する検知部の一例としての接触センサ110が設けられている。この接触センサ110としては、例えば静電容量式のものや抵抗膜式のものを用いることができる。接触センサ110が出力する信号は、運転者の手部が接触しているか否かによって状態が変化する。なお、接触センサ110の出力信号の状態の変化は、運転手の手部が接近したときに生じてもよい。
【0017】
操作ノブ11の下部には、円柱状のノブシャフト111の一端部が取り付けられている。ノブシャフト111の他端部は、本体部10に固定された球面軸受103に支持されている。この構成により、操作ノブ11はノブシャフト111の他端部を支点として揺動することができる。ノブシャフト111の一端部は、ベース100を覆うように設けられたカバー102(図1参照)に形成された開口部から外方に突出している。
【0018】
ベース100には、互いに直交するように配置されたXキャリッジ121及びYキャリッジ122がベース100に対して移動可能に支持されている。
【0019】
Xキャリッジ121は、その長手方向の両端部が一対のX軸スライドガイド131,131に支持され、図2に示すx軸方向にスライド可能である。また、Xキャリッジ121は、図2に示すy軸方向に延びるように形成された長孔121aを有し、長孔121aをノブシャフト111が貫通している。
【0020】
Xキャリッジ121の一端部には、X軸スライドガイド131にスライド可能に支持された部位にギヤ部121bが形成されている。ギヤ部121bは、ベース100に固定されたX軸モータ141の回転軸に設けられたピニオンギヤ141aと噛み合わされている。
【0021】
X軸モータ141は、その回転軸の回転に応じてパルス信号を出力する位置検出部の一例としてのエンコーダ141bを有している。エンコーダ141bは、回転軸が所定の角度(例えば1°)回転する毎にパルス信号を出力する。
【0022】
Yキャリッジ122は、その長手方向の両端部が一対のY軸スライドガイド132,132に支持され、Xキャリッジ121の上側でy軸方向にスライド可能である。また、Yキャリッジ122は、x軸方向に延びるように形成された長孔122aを有し、長孔122aをノブシャフト111が貫通している。
【0023】
Yキャリッジ122の一端部には、Y軸スライドガイド132にスライド可能に支持された部位にギヤ部122bが形成されている。ギヤ部122bは、ベース100に固定されたY軸モータ142の回転軸に設けられたピニオンギヤ142aと噛み合わされている。
【0024】
Y軸モータ142は、X軸モータ141と同様に、所定の角度回転するごとにパルス信号を出力する位置検出部の一例としてのエンコーダ142bを有している。X軸モータ141及びY軸モータ142は、操作ノブ11に反力を付与するアクチュエータの一例である。X軸モータ141及びY軸モータ142は、例えばDCモータにより構成される。
【0025】
X軸モータ141の回転トルクによりXキャリッジ121がx軸方向に移動すると、長孔121aの内面がノブシャフト111の外周面に押し当てられる。また、Y軸モータ142の回転トルクによりYキャリッジ122がy軸方向に移動すると、長孔122aの内面がノブシャフト111の外周面に押し当てられる。この構成により、X軸モータ141及びY軸モータ142によって、それらの回転トルクに応じた方向及び大きさの反力をノブシャフト111を介して操作ノブ11に付与することが可能となっている。
【0026】
また、運転者が操作ノブ11を移動させると、その移動量に応じてノブシャフト111がXキャリッジ121及びYキャリッジ122をx軸方向及びy軸方向に移動させ、X軸モータ141及びY軸モータ142が回転する。X軸モータ141及びY軸モータ142の回転に伴ってエンコーダ141b及びエンコーダ142bからパルス信号が出力されるので、このパルス信号に基づいて操作ノブ11の位置の検出が可能である。
【0027】
ノブシャフト111、Xキャリッジ121、Yキャリッジ122、X軸スライドガイド131,131、Y軸スライドガイド132,132、X軸モータ141、及びY軸モータ142は、支持駆動機構101を構成する。
【0028】
図3(a)は、入力装置1の制御ユニット2の機能構成を示す機能ブロック図である。制御ユニット2は、入力装置1の本体部10の内部に配置され、入力装置1の各部を制御する。
【0029】
制御ユニット2は、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御部20と、制御部20の制御プログラム210等を記憶する記憶素子からなる記憶部21と、X軸モータ141及びY軸モータ142に電力を供給する駆動回路22と、スイッチ12の信号を入力するスイッチ入力回路23と、接触センサ110からの信号を受信するインタフェース回路24と、表示装置3との通信を行う通信部25とを有して構成されている。
【0030】
制御部20は、記憶部21に記憶された制御プログラム210に基づいて動作することにより、スイッチ状態検出手段201、位置検出手段202、接触状態検出手段203、モータ駆動制御手段204として機能する。
【0031】
スイッチ状態検出手段201は、スイッチ入力回路23からスイッチ12が開(オフ)状態か閉(オン)状態かを示す信号を受信し、スイッチ12のオンオフ状態を通信部25を介して表示装置3に送信する。
【0032】
位置検出手段202は、X軸モータ141のエンコーダ141b、及びY軸モータ142のエンコーダ142bからのパルス信号をそれぞれカウントし、操作ノブ11のx軸方向の位置及びy軸方向の位置を検出する。また、位置検出手段202は、検出した操作ノブ11の位置の情報を通信部25を介して表示装置3へ送信する。
【0033】
接触状態検出手段203は、インタフェース回路24から接触センサ110の出力信号の状態を示す情報を取得する。この情報は、接触センサ110に運転者の手部が接触している接触状態か、接触していない非接触状態かを表す。
【0034】
モータ駆動制御手段204は、接触状態検出手段203が取得した情報が接触状態を示す場合には、位置検出手段202が検出した操作ノブ11のx軸方向の位置及びy軸方向の位置の情報に基づいて操作ノブ11の移動方向を演算し、その移動方向の反対方向に操作ノブ11を押し付ける力(反力)を発生させるように駆動回路22を制御する。
【0035】
また、モータ駆動制御手段204は、接触状態検出手段203がインタフェース回路24から取得した情報が接触状態から非接触状態に変化したとき、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力の供給を遮断する信号を駆動回路22に出力し、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力の供給を遮断させる。
【0036】
また、モータ駆動制御手段204は、接触状態検出手段203がインタフェース回路24から取得した情報が接触状態から非接触状態に変化し、その後さらに接触状態に変化したとき、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力の供給を再開する信号を駆動回路22に出力し、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力の供給を再開させる。
【0037】
図3(b)は、駆動回路22に含まれるスイッチング回路の構成例を示す回路図である。駆動回路22は、X軸モータ141を駆動するためのスイッチング回路とY軸モータ142を駆動するためのスイッチング回路とを有しているが、両スイッチング回路は同様の構成であるので、例としてX軸モータ141を駆動するためのスイッチング回路について説明する。
【0038】
X軸モータ141を駆動するためのスイッチング回路は、スイッチング素子としての第1〜第4のFET(Field effect transistor)221〜224、及び第1〜第4のFET221〜224のそれぞれに対応して設けられたフライホイールダイオード221a〜224aを有している。第1〜第4のFET221〜224は、モータ駆動制御手段204が出力する信号に応じてオン又はオフする。
【0039】
第1のFET221と第2のFET222は電源(例えば12V)とグランド(0V)との間に直列に接続され、第1のFET221と第2のFET222との接続点がX軸モータ141に接続される第1の出力端子22aに接続されている。また、第3のFET223と第4のFET224が電源とグランドとの間に直列に接続され、これらの接続点がX軸モータ141に接続される第2の出力端子22bに接続されている。
【0040】
第1のFET221と第4のFET224をオンにし、第2のFET222と第3のFET223をオフにすると、図4に示す矢印A及びAの方向にモータ電流が流れ、X軸モータ141が一方向に回転する。また、第3のFET223と第2のFET222をオンにし、第1のFET221と第4のFET224をオフにすると、図4に示す矢印B及びBの方向にモータ電流が流れ、X軸モータ141が逆方向に回転する。第1〜第4のFET221〜224を全てオフにするとモータ電流は流れなくなる。
【0041】
X軸モータ141に供給される電力はモータ電流に比例する。モータ電流の大きさは、第1のFET221と第4のFET224、又は第2のFET222と第3のFET223がオンする時間の割合に応じて調整可能である。つまり、モータ駆動制御手段204は、PWM(Pulse Width Modulation)方式によってX軸モータ141に供給される電力を制御する。なお、モータ駆動制御手段204は、Y軸モータ142に供給される電力も同様の方式により制御する。
【0042】
(入力装置1の動作)
次に、入力装置1の動作について図4及び図5を用いて説明する。
【0043】
図4は、入力装置1の動作順序の一例を示すフローチャートである。制御部20は、図4のフローチャートに示す動作フローに沿った処理を、所定の時間周期(例えば1ms)ごとに繰り返し実行する。
【0044】
位置検出手段202は、X軸モータ141のエンコーダ141b、及びY軸モータ142のエンコーダ142bからの出力信号の状態を読み込む(Step10)。
【0045】
次に、位置検出手段202は、エンコーダ141b,142bの出力信号のオンオフ状態の変化に応じてパルス信号のカウント値をカウントアップ又はカウントダウンする。なお、カウント値は入力装置1への電源投入時に行われる原位置検出動作時に初期化されている。位置検出手段202は、エンコーダ141b,142bのパルス信号のカウント値に応じて操作ノブ11の現在位置のx軸座標及びy軸座標を演算する(Step11)。そして、位置検出手段202は、これら座標値の情報を通信部25を介して表示装置3に送信する(Step12)。
【0046】
次に、接触状態検出手段203は、インタフェース回路24から接触センサ110の出力信号の状態を示す情報を取得し、接触センサ110に運転者の手部が接触している接触状態か否かを判定する(Step13)。
【0047】
接触状態でない場合(Step13:No)、モータ駆動制御手段204は、第1〜第4のFET221〜224を全てオフする信号を駆動回路22に出力し、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給を遮断する(Step18)。
【0048】
一方、接触状態である場合(Step13:Yes)、モータ駆動制御手段204は、操作ノブ11のx軸座標及びy軸座標の変化があるか否かを判定する(Step14)。
【0049】
座標値の変化があった場合(Step14:Yes)、モータ駆動制御手段204は、前回演算した座標値からのx軸方向及びy軸方向の変化量に基づいて操作ノブ11の移動方向を演算する(Step15)。そして、モータ駆動制御手段204は、Step15で演算した移動方向とは反対方向の反力をノブシャフト111を介して操作ノブ11に作用させるようにX軸モータ141及びY軸モータ142に電力を供給するための信号を駆動回路22に出力する(Step16)。
【0050】
一方、座標値の変化がなかった場合(Step14:No)、モータ駆動制御手段204は、操作ノブ11を現在の位置に保持するようにX軸モータ141及びY軸モータ142に電力を供給するための信号を駆動回路22に出力する(Step17)。
【0051】
図5は、入力装置1の動作時における各部の動作の一例を示す概略図であり、(a)は接触センサ110の信号波形、(b)はX軸モータ141のモータ電流の電流波形、(c)は操作ノブ11の移動速度の時間的な変化をそれぞれ示す。なお、図示はしていないが、Y軸モータ142のモータ電流の波形は、X軸モータ141のモータ電流の電流波形と同様である。
【0052】
図5に示す時刻tより前の状態は、運転者が操作ノブ11に触れ、操作ノブ11の移動はしていない状態である。この状態では、接触センサ110の出力信号は運転者の手部が接触していることを示すオン状態であり、操作ノブ11の移動速度はゼロである。また、モータ駆動制御手段204は、図4のスローチャートのStep17の処理により、操作ノブ11を現在の位置に保持するようにX軸モータ141及びY軸モータ142に電力を供給するための信号を駆動回路22に出力している。
【0053】
時刻tで運転者が操作ノブ11から手を離すと、接触センサ110は運転者の手部の離間を検知し、出力信号の状態がオンからオフに変化する。すると、モータ駆動制御手段204は、図4のスローチャートのStep12の判定の結果が否(No)となるので、Step18の処理により、X軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給を遮断する。
【0054】
X軸モータ141のモータ電流がゼロになる時刻をtとすると、時刻tから時刻tまでの時間は、接触センサ110の信号状態の変化の遅れ時間、制御部20の処理の遅れ時間、駆動回路22のスイッチングの遅れ時間、及びモータ電流の立下り時間等に相当する時間(例えば0.1秒)であるが、この時間は表示装置3の表示内容や運転者による設定等によって可変としてもよい。
【0055】
その後、時刻tで運転者が操作ノブ11に触れると、接触センサ110は運転者の手部の接触を検知し、その出力信号の状態がオフからオンに変化する。すると、モータ駆動制御手段204は、図4のスローチャートのStep13の判定の結果が是(Yes)となるので、Step14以降の処理を行う。時刻tから時刻tまでの時間帯は、操作ノブ11が移動しておらず、その移動速度がゼロの状態であるので、モータ駆動制御手段204は、Step17の処理により、操作ノブ11を現在の位置に保持するようにX軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給を制御する。
【0056】
X軸モータ141に供給されるモータ電流が時刻tにおけるモータ電流と同等となる時刻をtとすると、時刻tから時刻tまでの時間は、接触センサ110の信号状態の変化の遅れ時間、制御部20の処理の遅れ時間、駆動回路22のスイッチングの遅れ時間、及びモータ電流の立ち上がり時間等に相当する時間(例えば0.1秒)であるが、この時間は表示装置3の表示内容や運転者による設定等によって可変としてもよい。
【0057】
また、時刻tで運転者が操作ノブ11の移動操作を開始すると、モータ駆動制御手段204は、図4のスローチャートのStep14の判定の結果が是(Yes)となるので、Step15及びStep16の処理により、操作ノブ11の移動方向に対する反力を発生させるようにX軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給を制御する。この際、X軸モータ141及びY軸モータ142のモータ電流が増大する。
【0058】
(実施の形態の効果)
このように、本実施の形態に係る入力装置1によれば、運転者が操作ノブ11から手を離したときにX軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給が遮断されるので、消費電力を削減することができる。また、運転者が操作ノブ11に触れたときにX軸モータ141及びY軸モータ142への電力供給が再開されるので、運転者が操作ノブ11の移動操作を開始した当初から操作ノブ11に反力を作用させて適切な操作感を得ることができる。
【0059】
(他の実施の形態)
以上、本発明に好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で例えば以下に示すような種々の変形が可能である。
【0060】
上記実施の形態では、接触センサ110を操作ノブ11に設けたが、これに限らず、運転者が操作ノブ11の操作を行う際に運転者の身体の一部が接触する部位、例えば本体部10の上面に接触センサ110を設けてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、検知部として運転者の身体の一部の接触を検知する接触センサ110を適用したが、これに限らず、例えば赤外線センサによって運転者の身体の一部の接近を検知するように検知部を構成してもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、操作ノブ11がノブシャフト111の他端部を支点として揺動するように構成したが、これに限らず、操作ノブ11が本体部10に対して水平方向の平面に沿って移動するように構成してもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、入力装置1及び表示装置3を車両の車室内に搭載し、運転者が表示装置3のメニュー項目を選択し得るように構成したが、入力装置1が搭載される対象物及び用途に特に制限はない。また、入力装置1のユーザは運転者に限らず、例えば助手席に着座した同乗者であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…入力装置、2…制御ユニット、3…表示装置、3a…表示部、10…本体部、11…操作ノブ、12…スイッチ、20…制御部、21…記憶部、22…駆動回路、22a…第1の出力端子、22b…第2の出力端子、23…スイッチ入力回路、24…インタフェース回路、25…通信部、90…運転席、91…センターコンソール、92…インスツルメントパネル、100…ベース、101…支持駆動機構、102…カバー、103…球面軸受、110…接触センサ、111…ノブシャフト、121…Xキャリッジ、122…Yキャリッジ、121a,122a…長孔、121b,122b…ギヤ部、131…X軸スライドガイド、132…Y軸スライドガイド、141…X軸モータ、142…Y軸モータ、141a,142a…ピニオンギヤ、141b,142b…エンコーダ、201…スイッチ状態検出手段、202…位置検出手段、203…接触状態検出手段、204…モータ駆動制御手段、221〜224…第1〜第4のFET、221a〜224a…フライホイールダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して移動可能な操作部と、
前記本体部に対する前記操作部の位置を検出する位置検出部と、
供給される電力に応じて前記操作部に反力を付与することが可能なアクチュエータと、
前記操作部への検知対象物の接近又は接触、及び前記操作部からの前記検知対象物の離間を検知する検知部と、
前記位置検出部が検出した前記操作部の位置に基づいて前記アクチュエータにより前記操作部に反力を発生させ、前記検知部が前記検知対象物の離間を検知したとき前記アクチュエータへの電力の供給を遮断し、前記検知部が前記検知対象物の接近又は接触を検知したとき前記アクチュエータへの電力の供給を再開する制御部とを備えた入力装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記検知対象物の接近又は接触を検知するセンサをユーザによる操作の際に前記ユーザが接触し得る部位に有し、
前記検出部は、前記センサの出力信号によって前記検知対象物の接近又は接触、及び離間を検知する、請求項1に記載の入力装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−221657(P2011−221657A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88001(P2010−88001)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】