説明

入力装置

【課題】毛細管現象により基板とキー部材との間の隙間に入り込んだ液体が電気回路パターンに到達することを防止できる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置10は、第1基板20と第1キー部材40とを備える。第1基板20は、パターン面21の周縁21Aから所定の絶縁距離だけ離間されて電気回路パターン81が形成されている。第1キー部材40は、第1基板20の絶縁領域を覆うシート部41と、シート部41から突出されたキー部42とを備える。シート部41には、第1基板20の絶縁領域に対向する対向面92と、対向面92から凹んだ第2溝93とが設けられている。第2溝93は、第1基板20により覆い隠される位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に重ねられたキー部材により入力を行う入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に重ねられたキー部材により入力を行う入力装置が知られている(特許文献1参照)。この種の入力装置は、例えば、プリンタやコピー機や複合機などの画像記録装置に用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された入力装置は、一面に電気回路パターンが形成された基板と、当該一面に重ねられたキー部材と、を備えている。キー部材は、電気回路パターンと共に接点を形成する導電部が設けられたキー部を有している。キー部は、弾性部材で設けられており、弾性変形されることにより、導電部において電気回路パターンと接離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−271965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された入力装置では、基板はキー部材により覆われているから、基板の電気回路パターンに直接液体がかかることはない。しかしながら、キー部材に付着した液体がキー部材と基板との間の隙間に毛細管現象により入り込むことが考えられる。当該隙間に入り込んだ液体が電気回路パターンに到達すると、短絡等が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、毛細管現象により基板とキー部材との間の隙間に入り込んだ液体が電気回路パターンに到達することを防止できる機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の入力装置は、第1面の周縁部の内側に電気回路パターンが形成された基板と、上記基板の上記第1面側に配置されており、弾性変形されることにより上記電気回路パターンに接離するキー部、及び当該キー部から上記第1面に沿って外側へ延出されて上記周縁部を覆うシート部が設けられたキー部材と、を備える。上記シート部は、上記周縁部と対向する第2面と、上記第2面から凹む溝と、を有する。
【0008】
シート部に設けられた溝により、基板の周縁部とキー部材のシート部との間の隙間に端面側から入り込んで毛細管現象により基板の内側へ向かって浸入する液体は、開放空間である溝内に入り込むことができずに上記隙間に留まる。従って、溝により、液体の電気回路パターンへの到達が防がれる。
【0009】
(2) 上記溝は、上記第1面の周縁に沿って延出されたものであってもよい。上記周縁部の幅を狭くすることができる。
【0010】
(3) 本発明の入力装置は、上記基板を、上記第1面を水平方向に対して傾斜させて支持する支持部材と、上記キー部の一部を孔から露出させて上記キー部材を覆うカバー部材と、を更に備えたものであってもよい。上記溝は、上記基板における水平方向の下側の周縁部に対向する第2面に設けられている。
【0011】
カバー部材の孔から浸入した液体は、キー部を伝ってシート部の下側へ移動するから、基板における水平方向の下側の周縁部に対向する上記第2面にのみ溝が設けられても、液体の電気回路パターンへの到達を防ぐことができる。基板における水平方向の下側の周縁部に対向する第2面にのみ溝を設けることにより、キー部材の構成が簡単になる。
【0012】
(4) 上記溝は、上記シート部の全周に渡って設けられたものであってもよい。基板の全周囲において、液体の電気回路パターンへの到達が防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シート部の第2面に溝を設けたことにより、シート部と基板の周縁部との間の隙間に浸入した液体が電気回路パターンへ到達することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は、入力装置10の上面側の分解斜視図であり、(B)は、入力装置10の下面側の分解斜視図である。
【図2】(A)は、入力装置10の平面図であり、(B)は、(A)におけるIIB−IIB断面の拡大図であり、(C)は、押釦が押された状態におけるIIB−IIB断面の拡大図である。
【図3】第1キー部材40の下面図である。
【図4】(A)は、変形例を示す第1キー部材40の下面図であり、(B)は、他の変形例を示す入力装置10の断面図であり、(C)は、更に他の変形例を示す入力装置10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されて本発明の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0016】
本実施形態において説明される入力装置10(図1)は、プリンタやスキャナやファックス及びこれらが一体となった複合機を含む種々の電子機器に用いられる。入力装置10は、ユーザによりオンオフされる接点84(図2(B))を有している。接点84のオンオフの情報は、後述されるように、第2接続ケーブル(不図示)を介して電子機器の制御部に入力される。制御部は、接点84のオンオフの情報に基づいて電子機器の動作を制御する。なお、制御部は、パーソナルコンピュータ等の他の機器や電話回線から入力される情報に基づいて電子機器の動作を制御する機能を有していてもよい。
【0017】
電子機器が台や床などに載置された状態における上下方向が上下方向7と定義され、電子機器の正面側を前として前後方向8が定義され、電子機器を正面側から見た場合における左右方向が左右方向9と定義され、以下説明がされる。
【0018】
図1(A)に示されるように、入力装置10は、第1基板20、第2基板30と、表示パネル72を収容した回動ケース70と、ユーザにより押し操作がされる第1キー部材40、第2キー部材50と、カバー部材60と、を備えている。
【0019】
カバー部材60は、板状の基部61と、基部61の左右両端と繋がる一対の湾曲部62、63と、を備えている。カバー部材60は、厚み方向の一方の向きが前方斜め上へ向かう第1向き90と一致するように、前後方向8及び上下方向7に対して傾斜して配置されている。湾曲部62、63は、基部61から離れるに従って後方斜め下へ向かうように湾曲されている。カバー部材60がカバー部材に相当する。
【0020】
カバー部材60は、合成樹脂成型品であり、取付ネジなどの固着部材により、又はスナップフィットにより電子機器の筐体11(図2(B))に取り付けられている。カバー部材60は、筐体11と共に電子機器の外面を形成している。カバー部材60は、後述の第1キー部材40及び第2キー部材50の押釦44、54を露出させる複数個の第1孔64を備えている。図1、2では、一部の第1孔にのみ符号64が付されている。第1孔64が孔に相当する。
【0021】
カバー部材60は、基部61の左右方向9の中央部に第2孔65を備えている。第2孔65には回動ケース70が嵌る。カバー部材60には、回動ケース70に設けられた一対の回動軸71を電子機器の筐体11と共に回動可能に保持する左右一対の軸受け66、67(図1(B))が設けられている。
【0022】
図1(A)に示されるように、回動ケース70は、第1向き90における厚みの薄い直方体状に形成されている。回動ケース70の左側面の前端部からは、回動軸71が左向へへ突出されている。回動ケース70の右側面の前端部からは、不図示の回動軸が右向きへ突出されている。左側の回動軸71と右側の回動軸とは中心軸線を一致させて設けられている。回動ケース70は、左側の回動軸71と右側の回動軸とにおいて、筐体11(図2(B))及びカバー部材60に回動可能に支持されている。
【0023】
図1(A)に示されるように、回動ケース70には表示パネル72が収容されている。表示パネル72の表示面は、回動ケース70の第1向き90側の面において露出されている。回動ケース70は、ユーザにより回動され、カバー部材60の上面68から立ち起こされる。ユーザは、回動ケース70を立ち起こすことにより、表示パネル72の表示面がカバー部材60の上面68となす表示角度を変える。なお、表示パネル72はタッチパネルであってもよい。
【0024】
[第1基板20、第2基板30]
図1(A)に示されるように、第1基板20及び第2基板30は、概ね矩形板状に形成されており、厚み方向を第1向き90に一致させてそれぞれ配置され、電子機器に設けられた支持部材12(図2(B))に支持されている。第1基板20は回動ケース70の左側に配置されている。第2基板30は回動ケース70の右側に配置されている。第1基板20及び第2基板30が基板に相当する。支持部材12が支持部材に相当する。
【0025】
第1基板20及び第2基板30にはプリント配線基板が用いられ、電気回路パターン81が導電性の薄膜により形成されている。電気回路パターン81は、第1基板20の第1向き90側のパターン面21、及び第2基板30の第1向き90側のパターン面31にそれぞれ形成されている。パターン面21、31が第1面に相当する。電気回路パターン81が電気回路パターンに相当する。
【0026】
電気回路パターン81は、法令に基づいて、パターン面21、31の周縁21A、31Aから所定の絶縁距離だけ離間されている。電気回路パターン81が形成されていないパターン面21、31の周縁部の領域が絶縁領域22、32と称され、絶縁領域22、32の内側であって電気回路パターン81が形成された領域がパターン領域23、33と称され、以下説明がされる。絶縁領域22、32が第1面の周縁部に相当する。
【0027】
複数個の発光ダイオード82が第1基板20に実装され、電気回路パターン81と接続されている。発光ダイオード82は、第1向き90においてカバー部材60の第1孔64と対向する位置に実装されている。
【0028】
第1基板20の電気回路パターン81と第2基板30の電気回路パターン81とは、第1接続ケーブル83により接続されている。第1基板20又は第2基板30の電気回路パターン81には、不図示の第2接続ケーブルの一端が接続されている。第2接続ケーブルの他端は、電子機器の筐体11(図2(B))に収容された制御基板に接続されている。制御基板には、発光ダイオード82の駆動回路や制御部を実現する種々の電子部品が実装されている。発光ダイオード82は、第2接続ケーブルを介して駆動回路からの電力供給を受けて発光する。制御部には、第2接続ケーブルを介し、接点84(図2(B))のオンオフの情報が入力される。
【0029】
図2(B)に示されるように、第1基板20は、後述の第1キー部材40のキー部42に設けられたキー側電極47と共に接点84を形成する一対の基板側電極85、86を複数対備えている。同様に、第2基板30は、第2キー部材50のキー部52に設けられたキー側電極と共に接点を形成する一対の基板側電極を複数対備えている。
【0030】
第1基板20の基板側電極85、86は、電気回路パターン81(図1(A))により形成されており、発光ダイオード82の近傍に配置されている。なお、図2(B)では、薄膜である基板側電極85、86の厚みが誇張されて図示されている。
【0031】
[第1キー部材40、第2キー部材50]
第1キー部材40は、第1基板20の絶縁領域22を覆うシート部41と、シート部41から第1向き90へ突出された複数のキー部42と、シート部41の左側面から左方へ延出された延出部46と、を備えている。延出部46は、下部に開口を有する箱状に形成されており、第1基板20に載置されている。第1キー部材40は、透光性及び弾性を有するゴム材料により形成されている。
【0032】
第2キー部材50は、第2基板30の絶縁領域32を覆うシート部51と、シート部51から第1向き90へ突出された複数のキー部52と、を備えている。図1では、一部のキー部にのみ符号52が付されている。第2キー部材50は、弾性を有するゴム材料により形成されている。第1キー部材40及び第2キー部材50がキー部材に相当する。
【0033】
図1(A)に示されるように、第1キー部材40のシート部41は、厚みの薄いシート状に形成されており、第1基板20に載置されて第1基板20の絶縁領域22を覆う。図2(B)に示されるように、キー部42は、下部に開口を有する筒状に形成された押釦44と、押釦44の下端とシート部41とを接続する接続部45と、を備えている。図3に示されるように、接続部45は、押釦44の下端面の全周に渡って設けられている。
【0034】
図1(A)に示されるように、第2キー部材50のシート部51は、厚みの薄いシート状に形成されており、第2基板30に載置されて第2基板30の絶縁領域32を覆う。キー部52は、下部に開口を有する筒状に形成された押釦54と、押釦54の下端とシート部51とを接続する接続部55(図1(B))と、を備えている。接続部55は、押釦54の下端面の全周に渡って設けられている。
【0035】
第1キー部材40の押釦44及び第2キー部材50の押釦54は、カバー部材60の第1孔64に対応する位置に設けられており、第1孔64から露出される。押釦44、54は、ユーザによる押し操作される。シート部41、51がシート部に相当する。キー部42、52がキー部に相当する。
【0036】
図2(B)に示されるように、第1キー部材40の押釦44は、カバー部材60の第1孔64と対向して配置された発光ダイオード82の第1向き90側に位置している。発光ダイオード82からの光は、押釦44の上部44Aを透過する。押釦44の上部44Aには、発光ダイオード82からの光により照明される図形が表記されている。
【0037】
図2(B)に示されるように、押釦44の下端面からは、発光ダイオード82の近傍に設けられた一対の基板側電極85、86へ向かって凸部46が突出されている。凸部46の突出の先端面には、キー側電極47が設けられている。キー側電極47は、第1向き90において一対の基板側電極85、86と対向し、且つ離間されている。
【0038】
第1キー部材40と同様に、第2キー部材50の押釦54の下端面からは、第2基板30に設けられた一対の基板側電極(不図示)へ向かって凸部が突出されている。凸部の突出の先端面には、キー側電極が設けられている。キー側電極は、第1向き90において第2基板30に設けられた一対の基板側電極と対向し、且つ離間されている。
【0039】
押釦44とシート部41とを接続する接続部45は、シート部41や押釦44よりも肉薄に形成されており、押釦44がユーザにより第1向き90とは反対向きへ押されたときに弾性変形される。接続部45が弾性変形されることにより、キー側電極47は、一対の基板側電極85、86と当接し、一対の基板側電極85、86間を短絡する。一対の基板側電極85、86間が短絡されることにより、接点84が閉じる。つまり、接点84はA接点である。
【0040】
ユーザが押釦44から指を離すと、接続部45の弾性により押釦44が上方へ移動され、キー側電極47が一対の基板側電極85、86から離間される。キー側電極47が一対の基板側電極85、86から離間されることにより、接点84が開く。
【0041】
押釦54とシート部51とを接続する接続部55(図1(B))は、シート部51や押釦54よりも肉薄に形成されており、押釦54がユーザにより第1向き90とは反対向きへ押されたときに弾性変形される。接続部55が弾性変形されることにより、第2キー部材50のキー側電極は、第2基板30の一対の基板側電極と当接し、一対の基板側電極間を短絡する。一対の基板側電極間が短絡されることにより、接点が閉じる。ユーザが押釦54から指を離すと、第2キー部材50のキー側電極と第2基板30の一対の基板側電極とにより形成された接点が開く。
【0042】
図3に示されるように、第1キー部材40のシート部41には、キー部42から周縁へ向かって延びる第1溝91が設けられている。第1溝91は、シート部41の第1向き90とは反対側の面から凹んで設けられている。キー部42の押釦44がユーザにより押されてキー部42が弾性変形されると、第1溝91内を通って空気がキー部42から流出する。ユーザが押釦44から指を離してキー部42が元の形状に復帰すると、第1溝91を通って空気がキー部42に流入する。同様に、第2キー部材50のシート部51には、キー部52から周縁へ向かって延びる第1溝91が設けられている。
【0043】
図1(A)に示されるように、第1キー部材40、第2キー部材50のシート部41、51の周縁部には、リブ48、58がシート部41、51の周縁に沿って設けられている。リブ48、58は、第1向き90へ向かって突出されている。第1キー部材40においては、リブ48は、延出部46の右側面と繋がっている。リブ48、58は、少量の液体がカバー部材60の第1孔64から浸入した場合に、当該液体を溜める。
【0044】
また、図2(B)に示されるように、入力装置10は、第1向き90が前方斜め上を向くように電子機器の筐体11に取り付けられているから、第1孔64から浸入した液体は、図におけるシート部41の左側の端に溜まる。シート部41の液体が溜まる側の端は、第1基板20の周縁21Aよりも外側へ突出するように延出されている。同様に、シート部51の液体が溜まる側の端は、第2基板30の周縁31Aよりも外側へ突出するように延出されている。よって、リブ48、58から溢れ出した液体は、そのほとんどが下方へ落ち、第1基板20、第2基板30の端面へ到達するのは、シート部41、51の第1向き90とは反対向き側の面を伝うものだけとなる。シート部41、51の第1向き90とは反対向き側の面を伝った液体においては、以下に説明される対向面92と第2溝93とにより電気回路パターン81への到達が防止される。
【0045】
第1キー部材40及び第2キー部材50のシート部41、51は、パターン面21、31の絶縁領域22、32と対向する対向面92と、対向面92から凹んだ第2溝93と、を備えている。
【0046】
図3に示されるように、対向面92は、枠状の絶縁領域22、32(図1(A))と全周に渡って対向するように設けられている。第2溝93は、第1基板20、第2基板30における水平方向の下側の周縁部と対向する位置に設けられている。また、第2溝93は、第1基板20及び第2基板30の周縁21A、31Aに沿って設けられている。また、第2溝93は、第2基板20の絶縁領域22に覆い隠される位置に設けられている。対向面92が第2面に相当する。第2溝93が溝に相当する。
【0047】
第1孔64から浸入した液体は、第1キー部材40の押釦44を伝ってシート部41に到達する。入力装置10は、図2(B)に示されるように、第1向き90が前方斜め上を向くように傾いて筐体11に取り付けられているから、シート部41に到達した液体は、前方斜め下へ向かって移動し、リブ48によりシート部41上に溜まる。第1孔64から浸入した液体の量が多いと、当該液体は、リブ48を乗り越える。
【0048】
リブ48を乗り越えた液体は、シート部41の第1向き90とは反対向き側の面を伝って第1基板20の端面に到達する。第1基板20の端面に到達した液体は、毛細管現象により、シート部41の対向面92と第1基板20のパターン面21の絶縁領域22との間の隙間に浸入する。絶縁領域22に浸入した液体は、開放空間である第2溝93よりも狭い隙間に入り込もうとする。つまり、絶縁領域22に浸入した液体は、第2溝93を避けて広がる。その結果、パターン領域23への液体の浸入が防止される。
【0049】
第2基板30においても、第1基板20と同様に、第2キー部材50のシート部51に設けられた対向面と第2溝とにより、パターン領域33への液体の浸入が防止される。
【0050】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、第2溝93により、対向面92と絶縁領域22、32との間の隙間に浸入した液体が電気回路パターン81が形成されたパターン領域23、33に到達することを防止できる。その結果、カバー部材60に誤って液体がかけられたとしても、第1基板20及び第2基板30における回路の短絡等による故障及び誤動作を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態では、第2溝93は、第1基板20及び第2基板30の周縁21A、31Aに沿って設けられているから、法令による所定の絶縁距離で形成された絶縁領域22、32内に第2溝93を形成することができる。
【0052】
また、本実施形態では、第1向き90が前方斜め上を向くように入力装置10が取り付けられており、シート部41、51に到達した液体は、図2(B)における左方へ向かって移動する。本実施形態では、液体が移動する側にのみ第2溝93が設けられているから、第1基板20及び第2基板30の全周に渡って第2溝93が設けられた場合よりも、第1キー部材40及び第2キー部材50の構成が簡単になる。
【0053】
[変形例]
上述された実施形態では、第2溝93が第1基板20における水平方向の下側の周縁部と対向する位置にのみ設けられた例が説明されたが、図4(A)に示されるように、第2溝93は、シート部41の全周に渡って設けられていてもよい。第1向き90が上下方向7と一致するように入力装置10が電子機器に取り付けられている場合において、第1基板20の全周において液体がパターン領域23へ到達することを防止することができる。
【0054】
上述された実施形態では、シート部41が第1基板20の周縁21Aよりも外側まで延出された例(図2(B))が説明されたが、図4(B)に示されるように、シート部41の周縁が第1基板20の周縁21Aと重なるようにシート部41が設けられていてもよい。また、図4(C)に示されるように、シート部41の周縁が第1基板20の周縁21Aよりも内側となるようにシート部41が設けられていてもよい。同様に、キー部材50においても、シート部51の周縁が第3基板30の周縁31Aと重なるようにシート部51が設けられていてもよいし、シート部51の周縁が第2基板30の周縁31Aよりも内側となるようにシート部51が設けられていてもよい。
【0055】
上述された実施形態では、第2溝93は、第1基板20の周縁21Aに沿って直線状に設けられた例が説明されたが、第2溝93は、波線状や折れ線状等、種々の形状に形成されてもよい。
【0056】
上述された実施形態では、第1キー部材40及び第2キー部材50がゴム材料により形成された例が説明されたが、第1キー部材40及び第2キー部材50は弾性を有していればよく、エラストマーなどにより形成されてもよい。
【0057】
上述された実施形態では、接点84のオンオフの情報が第2接続ケーブルを介して制御部に入力される例が説明されたが、制御部が第1基板20又は第2基板30に設けられて接点84のオンオフの情報が制御部に直接入力されてもよい。
【0058】
上述された実施形態では、第2溝93と共に第1溝91がシート部41、51に設けられた例が説明されたが、第2溝93のみがシート部41、51に設けられていてもよい。
【0059】
上述された実施形態では、シート部41、51にリブ48、58が設けられた例が説明されたが、リブ48、58がシート部41、51に設けられない構成が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・入力装置
12・・・支持部材
20・・・第1基板
21・・・パターン面(第1面)
22・・・絶縁領域(周縁部)
23・・・パターン領域
30・・・第2基板
31・・・パターン面(第1面)
32・・・絶縁領域(周縁部)
33・・・パターン領域
40・・・第1キー部材
41・・・シート部
42・・・キー部
50・・・第2キー部材
51・・・シート部
52・・・キー部
60・・・カバー(カバー部材)
64・・・第1孔(孔)
81・・・電気回路パターン
91・・・第1溝(溝)
92・・・対向面(第2面)
93・・・第2溝(溝)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面の周縁部の内側に電気回路パターンが形成された基板と、
上記基板の上記第1面側に配置されており、弾性変形されることにより上記電気回路パターンに接離するキー部、及び当該キー部から上記第1面に沿って外側へ延出されて上記周縁部を覆うシート部が設けられたキー部材と、を備えており、
上記シート部は、
上記周縁部と対向する第2面と、
上記第2面から凹む溝と、を有するものである入力装置。
【請求項2】
上記溝は、上記第1面の周縁に沿って延出されたものである請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
上記基板を、上記第1面を水平方向に対して傾斜させて支持する支持部材と、
上記キー部の一部を孔から露出させて上記キー部材を覆うカバー部材と、を更に備えており、
上記溝は、上記基板における水平方向の下側の周縁部に対向する上記第2面に設けられたものである請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
上記溝は、上記シート部の全周に渡って設けられたものである請求項1又は2に記載の入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−195124(P2012−195124A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57385(P2011−57385)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】