説明

入力装置

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関し、多様で確実な操作の可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】上ケース17と下ケース18内に移動可能に収納されたスライダー15に、操作軸11Aの回転及び押圧操作に応じてスイッチ接点が電気的接離を行うエンコーダ11を覆う、中空筒部15Aを設けることで、エンコーダ11の回転及び押圧操作とスライダー15の移動によって、多様な操作が行えると共に、中空筒部15Aでエンコーダ11を覆うことによって、操作軸11Aやスイッチ接点の破損や誤操作を防ぎ、確実な操作の可能な入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内のインストルメントパネル部やコンソールボックス部等に、押圧操作型あるいは回転操作型等の様々な入力装置を設け、これによって車室内のオーディオやエアコン等の各種電子機器の操作を行うものが増えており、使い易く、確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図5を用いて説明する。
【0004】
図5は運転席の側方に設けられたコンソールボックス部の斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製の筐体で、この中央にはシフトレバー2が前後動可能に突出すると共に、筐体1内部にはエンコーダ等の回転操作型の入力装置3が設けられている。
【0005】
そして、この入力装置3に装着された操作体4が筐体1上面から突出すると共に、筐体1内の入力装置3はコネクタやリード線(図示せず)等を介して、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続されている。
【0006】
以上の構成において、操作体4を回転操作すると、これに応じて入力装置3のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減や、あるいはエアコンの温度の切換え等の操作が行なわれる。
【0007】
つまり、車室内のコンソールボックス部等に装着された、入力装置3を回転操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えるように構成されているものであった。
【0008】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−146968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、車室内の機器の多くの機能、例えばオーディオの音量の増減に加え、電源の入/切や選局といった他の複数の機能を操作しようとした場合、複数の入力装置やスイッチ、及びこれらに装着された複数の操作体を設ける必要があると共に、これらを都度確認しながら操作を行わなければならず、構成が複雑で、操作も煩雑なものになってしまうという課題があった。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、多様で確実な操作の可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、ケース内に移動可能に収納されたスライダーに、操作軸の回転及び押圧操作に応じてスイッチ接点が電気的接離を行うエンコーダを覆う、中空筒部を設けて入力装置を構成したものであり、エンコーダの回転及び押圧操作とスライダーの移動によって、多様な操作が行えると共に、中空筒部でエンコーダを覆うことによって、操作軸やスイッチ接点の破損や誤操作を防ぎ、確実な操作の可能な入力装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、多様で確実な操作の可能な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同側断面図
【図4】同スライド操作時の側断面図
【図5】コンソールボックス部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0016】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0017】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は操作軸11Aの回転及び押圧操作に応じて、箱体11B内のスイッチ接点が電気的接離を行うエンコーダ、12は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、配線基板12の上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この配線基板12上面にエンコーダ11が実装されている。
【0018】
そして、13はレバー13Aの押圧操作に応じて、枠体13B内のスイッチ接点が電気的接離を行う検知スイッチで、対向配置された複数の検知スイッチ13や、コネクタ14が配線基板12下面に実装されている。
【0019】
また、15はポリオキシメチレン等の絶縁樹脂製のスライダーで、このスライダー15下面に配線基板12が複数のねじ16によって固着されると共に、スライダー15には中空筒部15Aが設けられている。
【0020】
さらに、この中空筒部15A内をエンコーダ11の操作軸11Aが挿通すると共に、操作軸11A下端外周や箱体11B上部に中空筒部15A内周が当接して、中空筒部15Aがエンコーダ11を覆っている。
【0021】
また、17は略箱型でポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製の上ケース、18はポリオキシメチレンやABS等の絶縁樹脂製の下ケースで、下ケース18が上ケース17の下面開口部を覆うと共に、複数のねじ16によって固着された上ケース17と下ケース18内に、スライダー15や配線基板12が左右方向へ移動可能に収納されている。
【0022】
そして、19はポリオキシメチレン等の絶縁樹脂、または銅合金等の金属製のピン、20はコイル状に巻回された鋼線等のばねで、ピン19とやや撓んだ状態のばね20が下ケース18の保持部18A内に収納されると共に、ピン19上端がスライダー15下面の凹凸状のカム部15Bに弾接している。
【0023】
さらに、下ケース18上面には上方へ突出する押圧部18Bが形成され、この押圧部18B側面に配線基板12下面に実装された検知スイッチ13のレバー13A先端が当接している。
【0024】
また、上ケース17上面には貫通孔17Aが設けられ、この貫通孔17A内にスライダー15の中空筒部15A上端が挿入されると共に、上方へ突出したエンコーダ11の操作軸11A上端には、ポリカーボネートやABS等の絶縁樹脂製の操作体21が装着されて、入力装置25が構成されている。
【0025】
そして、このように構成された入力装置25が、例えば図5の斜視図に示すように、運転席の側方に設けられたコンソールボックス部の、中央にシフトレバー2が突出した筐体1内に、操作体21を上方に突出させて装着されると共に、エンコーダ11や検知スイッチ13がコネクタ14を介して、フレキ基板やリード線(図示せず)等によって、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0026】
以上の構成において、操作体21を指で押圧操作すると、エンコーダ11の操作軸11Aが下方へ押圧されて、箱体11B内のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの電源が入となる。
【0027】
また、操作体21を回転操作すると、操作軸11Aが回転して箱体11B内のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの音量の増減等の操作が行なわれる。
【0028】
さらに、図3の側断面図に示すように、操作体21を左右方向、例えば右方向へスライド操作すると、操作軸11A上端が操作体21に装着されたエンコーダ11やスライダー15、配線基板12が上ケース17と下ケース18内を右方向へ移動する。
【0029】
そして、所定距離だけ移動すると、図4の側断面図に示すように、配線基板12下面に実装された検知スイッチ13のレバー13A先端が、下ケース18上面の押圧部18B側面に押圧されて、枠体13B内のスイッチ接点の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、オーディオの受信周波数が切換えられて選局操作が行なわれる。
【0030】
また、この時、図1や図2に示した、ばね20に付勢されたピン19上端が、スライダー15下面のカム部15Bを弾接摺動して、節度感のあるスライド操作感触が得られる。
【0031】
なお、上記とは逆に、操作体21を左方向へスライド操作した場合には、エンコーダ11やスライダー15、配線基板12が同様に左方向へ移動し、上記の検知スイッチ13と対向配置された、もう一方の検知スイッチ13の電気的接離が行われる。
【0032】
つまり、入力装置25に装着された一つの操作体21に手を触れたまま、これを押圧操作することでオーディオの電源の入/切が、回転操作することで音量の増減が、スライド操作することで選局の切換え操作が、各々行えるように構成されている。
【0033】
すなわち、操作体21を押圧または回転することによって、エンコーダ11を押圧または回転操作すると共に、操作体21をスライド操作することによって、スライダー15や配線基板12を移動させて、複数の検知スイッチ13の押圧操作を行うようになっている。
【0034】
したがって、車室内の機器の多くの機能、例えば上記のようなオーディオの電源の入/切や音量の増減、選局といった複数の機能を操作する場合でも、複数の入力装置やスイッチを設ける必要はなく、一つの入力装置25でこれらの多様な操作が行えると共に、一つの操作体21に手を触れたままで様々な操作が可能なため、誤操作も生じづらく簡易に操作を行うことができる。
【0035】
また、スライダー15にエンコーダ11を覆う中空筒部15Aを設け、この中空筒部15A内周を操作軸11A下端外周や箱体11B上部に当接させて、操作体21による押圧操作やスライド操作を行うことで、操作体21に多少の衝撃が加わった場合や、操作体21を多少斜めにした状態で操作した場合でも、操作軸11Aや箱体11B内のスイッチ接点等の破損や誤操作を防ぎ、確実な操作を行うことが可能なように構成されている。
【0036】
つまり、エンコーダ11の操作軸11A下端外周や箱体11B上部を中空筒部15Aで覆うことによって、操作体21に多少の衝撃が加わった場合にも、中空筒部15Aによって操作軸11Aやスイッチ接点等の破損を防ぐと共に、操作体21をスライド操作する際には、中空筒部15Aによってエンコーダ11全体を移動させることで、エンコーダ11が実装された配線基板12下面の、検知スイッチ13の電気的接離を確実に行えるようになっている。
【0037】
なお、以上の説明では、入力装置25の押圧や回転、スライド操作によって、オーディオの電源の入/切や音量の増減、選局の切換えを操作する構成について説明したが、車室内の他の機器の操作、例えばこれらの操作によってエアコンの電源の入/切や、温度や風量の切換え等の操作を行う構成としても、本発明の実施は可能である。
【0038】
このように本実施の形態によれば、上ケース17と下ケース18内に移動可能に収納されたスライダー15に、操作軸11Aの回転及び押圧操作に応じてスイッチ接点が電気的接離を行うエンコーダ11を覆う、中空筒部15Aを設けることで、エンコーダ11の回転及び押圧操作とスライダー15の移動によって、多様な操作が行えると共に、中空筒部15Aでエンコーダ11を覆うことによって、操作軸11Aやスイッチ接点の破損や誤操作を防ぎ、確実な操作の可能な入力装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明による入力装置は、多様で確実な操作の可能なものを実現することができるという有利な効果を有し、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 シフトレバー
11 エンコーダ
11A 操作軸
11B 箱体
12 配線基板
13 検知スイッチ
13A レバー
13B 枠体
14 コネクタ
15 スライダー
15A 中空筒部
15B カム部
16 ねじ
17 上ケース
17A 貫通孔
18 下ケース
18A 保持部
18B 押圧部
19 ピン
20 ばね
21 操作体
25 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作軸の回転及び押圧操作に応じてスイッチ接点が電気的接離を行うエンコーダと、このエンコーダの操作軸上端に装着された操作体と、ケース内に移動可能に収納されたスライダーと、このスライダーの移動を検出する検知スイッチからなり、上記スライダーに上記エンコーダを覆う中空筒部を設けた入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−45503(P2013−45503A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180151(P2011−180151)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】