説明

入口ロックを有する沖合風力発電プラント

本発明は、風力発電プラントに関し、特に、沖合領域の風力発電プラントに関する。本発明の目的は、従来の困難を解消すると共に不都合を回避する、特に、ヘリコプターの飛行が最早不可能な程悪天候な時でも人員をプラントに常に到着させ得ることである。風力発電プラントは、入口と、風力発電プラントの電気又は電子部品が収納される風力発電プラントの内部の空間とを備え、又、ロックが、風力発電プラントの入口と、電子部品が収納される内部空間との間に形成される。このロックは、入口から侵入する水及び/又は入口の開放時に侵入する塩分を含む又は湿った空気がプラントの内部空間に達することを防止する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電プラントに関し、特に、沖合領域の風力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電プラントは、一般に、入口を有していて、電気又は電子部品は風力発電プラントの内部に配置されることが知られている。それは、いわゆるEルーム又は複数のこのようなルーム内で行われて、電気又は電子部品は、典型的に、インバータ、制御装置、変圧器、測定装置等、即ち、一方で電流を流すと共に他方でプラントを監視、制御、調整等をするように、今日、風力発電プラントの内部に既に配置された装置である。
【0003】
このような風力発電プラントが、沖合製品として検証される時、少なくとも風力発電プラントが塩水中に立設されていて、風力発電プラントの入口が開いている場合、塩水及び/又は塩分を含む空気がプラントの内部に達することが予想される。入口が海面より相当に高くても、非常に湿った、よって、塩分を多く含む空気がプラントの内部に達し得る。
【0004】
従って、入口を、塔から全部取外して風力発電プラントのポッドに設置して、ヘリコプターをポッド上に着陸させる又は少なくとも作業員を降ろすための装置を設ける解決策が既に取られている。
【0005】
西独国特許第19859628号(DE19859628C1)は、風力発電プラントの中空部品に高い空気圧を供給した沖合風力発電プラントを開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来の困難を解消すると共に不都合を回避する、特に、ヘリコプターの飛行が最早不可能な程悪天候な時でも人員をプラントに常に到着させ得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する風力発電プラントで上記目的を達成する。
【0008】
本発明によれば、風力発電プラントの外部から見た時、ロックが入口の後方に形成されている。ロックは、湿分、塩分を含む空気等の風力発電プラントの内部への侵入を防止すると共に、もし水がロックの内部に達すべき場合は外部への適当な排出口を備える。ロックは、プラスチック材料、例えば、ガラス繊維強化プラスチック材料、即ち、風力発電プラントの製造、例えば、ロータブレードにいつでも使用される材料から成ることが好ましい。同時に、作業員が外部から風力発電プラントに到達してそれを登る時に、作業員は特殊なネオプレンスーツを着用しなければならないので、ロックは着替えルームとして働き得る。
【0009】
ロックは、ここで、少なくとも2個の開口、即ち、風力発電プラントの入口への開口と、風力発電プラントの内部、即ち、電子部品を有するルーム(Eルーム)への別の開口とを有する。ロックがEルームの方向に開放される時、空気が風力発電プラントの内部からロック内に押圧されるため、人員は、実際上、空気流に抗してEルームに入らねばならない。風力発電プラントの内部からの空気は、外部からポッドに吸入されて塔の内部に押圧されることが好ましい。
【0010】
従って、ロック内にある水又は湿った空気の風力発電プラントの内部への侵入が確実に防止されるように、ロックの開放時に、ロックの内部よりも少し高い空気圧が風力発電プラントの内部に存在する。
【0011】
もしロックが、防錆材料、例えば、プラスチック材料から成るならば、ロック装置全体が、侵入した塩分を含む水又は塩分を含む空気によって悪影響を受けることを確実に防止し得る。ロック又は少なくともその一部は、アルミニウム又はニロスタ(防錆鋼)から成ることができる。
【0012】
上記構造への更なる追加として、ロックは、又、それ自身のシャワー又は衛生設備、休息設備、救急装置等を有する。結局、相当に大量の塩分を含む水や塩分を含む空気が一旦ロックに侵入してしまうと、ロックの塩分は、例えば、シャワーにより極めて十分に除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1乃至図5は、本発明にかかる、パワーモジュールを備えた風力発電プラントの詳細を示す。ここでは、特に、ロックが、風力発電プラントの塔10の外部入口と風力発電プラントの内部101cの間にどのように設けられる、即ち、パワーモジュールの電子及び電気重要部品がどこに配置されて、風力発電プラント全体が沖合風力発電プラントとして使用される場合に、塩分を含む空気や塩水が、風力発電プラントの内部に達して、電気又は電子部品を損傷させたり破壊するのをロックが防止するかを説明する。
【0014】
図1は、風力発電プラントの入口ドア100の外部からの図を示す。入口ドア100は丸窓110を有する。丸窓110は、例えば、ロックを閉じて天候状態を見分けることを可能にする。その見分けに基づいて、風力発電プラントを離れることができるか否かを決定し得る。ロックの内部の水が再び直接外部に流出する開口105が、ロックの下部に設けられている。
【0015】
図2は、図1のA−A平面に沿う断面と図5のロック入口ルームの一部を示す。ここでは、又、プラットフォーム101と、外部につながる入口ドア100とを見ることができる。人が風力発電プラントの内部に入り込むできる別のドア106が、更に設けられている。
【0016】
図3は、図1のB−B平面に沿う縦断面を示す。よって、図3は、又、図4からの別の詳細図を示す。図3から、ロック入口ルーム101aの床が塔内部自身に固定されており、入口ドア100の開放時にロック入口ルーム101aに侵入する水しぶき等が床から流出し得るように、その床は透湿性であることが好ましいことが明らかに分かる。格子ぶたとして形成されることが好ましい床の下方に、塔壁に向けて外方に傾斜する不透水性プレート101bが形成されている。従って、ルーム内の作業員の衣服からの水しぶきや湿分が、格子ぶたからしたたり落ちる時、この水は不透水性プレート101bを介して開口105から直接外方に再び流出する。
【0017】
図5並びに図3と図4からも理解されるように、ロック入口ルーム101aは別のドア106で閉鎖できる。湿密及び水密であることが好ましい別のドア106は、ロック入口ルーム101aをロック中心ルームから既述した衛生装置で分離する。
【0018】
図4は、パワーモジュールが事情によっては分割されるいくつかのレベルを示す塔10の下部の部分縦断面図であり、図4の右上部は塔の内部への外部入口100を示す。その入口は、通常、各場合に閉鎖できるゲート100又はドアである。図4から既に理解されるように、プラットフォーム101は、塔10の壁に大略垂直にドア100から内方に延在する。塔10を建てた時にプラットフォーム101が既に歩いて通れるように、プラットフォーム101は、塔10に直接連結されていることが好ましい。
【0019】
図5は、図4に示す構造の上方からの図を示す。図5から、チューブモジュール7、ドア100とプラットフォーム101を見ることができる。プラットフォーム101の側方に、好ましくは格子ぶたである別のプラットフォーム102が、塔10の壁に堅固に装着されると共に、風力発電プラントの建設後の非常に初期の段階で、人がドア100から上記のプラットフォーム101と102を介して、塔10内に設けたはしご103まで行くことを可能にする。
【0020】
平面図及び図4からも理解されるように、ルームが、塔の内部に向けてプラットフォーム101に直接接続されており、このルームは、プラットフォーム101の上方に設けられたルームと共に選択的に閉鎖ロック101aを形成する。図5において、ロックルーム101aの表面がハッチングで図示されている。
【0021】
作業員は、外部からその部屋に入って、その部屋において、多分着替えたり少なくとも短時間だけ滞在する。衛生装置もその部屋に配備されている。そのロックルーム内には、塔の内部、即ち、パワーモジュールの装置に達し得る別のドア104と106がある。
【0022】
ある状況下で、湿分がロックルームに達したり、ドア104と106を介してプラントの内部に達することができないように、ドア104と106は湿密であることが好ましい。更に、そのドアは、プラントの内部に対して煙密閉状態又は気密にロックを閉鎖するように、煙密閉性を有し得る。塔内に煙が発生した場合、ロックは、このように、毒性ガスから保護する応急ルームとして働き得る。
【0023】
風力発電プラント内の空気圧を制御する手段が、風力発電プラントの内部に設けられている。ロックの開放時に水や湿った空気がプラントの内部に侵入するのを防止するように、空気圧は、ロックの内部101aよりも風力発電プラント内が高くなるように制御されることが好ましい。その目的のために、風力発電プラントの内部の空気は、ポッド内に外部から吸入されて塔の内部に押圧されることが好ましい。
【0024】
図6は、本発明の第2の実施の形態における図2のB−B平面に沿う部分縦断面を示す。ここで、第2の実施の形態は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態に大体基づく。従って、図6は、ロックルーム101aに通じる入口100を有する風力発電プラントの塔10を示す。ここで、ロックルーム101aは、床101b、壁101dと天井101eを有する。この場合、それらの壁は、ロック101aの内壁を表す。外壁101gが、内壁に対して所定の間隔をあけて配置されている。遮断材料101fが、内壁101b、101dと101eと外壁101gの間の中間スペース内に配置されている。外壁101gは、鋼で製造することが好ましく、ロックの内壁は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で製造することが好ましい。遮断材料101fは、例えば、家屋建築で公知の絶縁材料から成ることが好ましい。よって、遮断材料101fは、例えば、ロックウール、グラスウール等から成る。その代わりとして、劣った熱伝導体であると同時に、耐温性又は耐熱性である他の遮断材料を使用することもできる。
【0025】
風力発電プラントの内部におけるロックの壁の多層構造により、ロック領域は、風力発電プラント内の火災の場合の避難ルームとして働き得る。よって、ロックルーム101aは、一方で、煙密閉性であると共に、他方で、防火性である。よって、ロック領域の外壁101gとしての鋼の選択は、可燃性でない材料を提供する。しかしながら、鋼は良好な熱伝導体であるので、外壁101gに加えて、ロック101aの遮断材料又は絶縁材料101fと内壁101b、101dと101eを設けており、この時、内壁は、鋼から成るのではなく、塩分を含む海気に対して不感受性の別の材料から成ることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる風力発電プラントの塔の入口の外部からの図である。
【図2】図1のA−A平面に沿う断面図である。
【図3】図2のB−B平面に沿う縦断面図である。
【図4】風力発電プラントの塔の下部の全体の拡大断面図である。
【図5】図4のC−C平面に沿う拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態において図2のB−B平面に沿う部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 塔
100 入口ドア
101 プラットフォーム
102 別のプラットフォーム
103 はしご
104 別のドア
105 開口
106 別のドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(100)と、風力発電プラントの電気又は電子部品が収納される風力発電プラントの内部の内部空間(101c)とを備える風力発電プラントにおいて、
ロック(101a、104、108)が、風力発電プラントの入口(100)と、電子部品が収納される内部空間(101c)との間に形成されると共に、入口(100)から侵入する水及び/又は入口(100)の開放時に侵入する塩分を含む又は湿った空気がプラントの内部空間に達することを防止し、又、ロック(101a)が、ロック(101a)に侵入する水を流出させ得る排出口(105)を有する風力発電プラント。
【請求項2】
ロック(101a、101b、104、106)を、防錆材料、例えば、プラスチック材料、特に好ましくは、ガラス繊維強化プラスチック材料で形成した請求項1に記載の風力発電プラント。
【請求項3】
ロック(101a)が、着替えルームとしても働く請求項1又は2に記載の風力発電プラント。
【請求項4】
ロックが内部(101a)に対して開放される時に、空気が、風力発電プラントの内部からロック内に押圧される請求項1乃至3のいずれかに記載の風力発電プラント。
【請求項5】
風力発電プラントの内部の空気圧が、ロック(101a)内より高い請求項1乃至4のいずれかに記載の風力発電プラント。
【請求項6】
ロック(101a)が直接連結された塔(10)を備える請求項1乃至5のいずれかに記載の風力発電プラント。
【請求項7】
ロック(101a)が第2ドア(104、106)を有し、又、第2ドア(104、106)が、内部空間(101c)に通じると共に、煙密閉性である請求項1乃至6のいずれかに記載の風力発電プラント。
【請求項8】
ロック(101a)が、内壁(101b、101d、101e)と外壁(101g)を有し、又、絶縁材料(101f)が、内壁(101b、101d、101e)と外壁(101g)の間に配置された請求項1乃至7のいずれかに記載の風力発電プラント。
【請求項9】
絶縁材料(101f)が、耐熱性であると共に劣った熱伝導性の材料である請求項8に記載の風力発電プラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−519858(P2007−519858A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551841(P2006−551841)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050387
【国際公開番号】WO2005/073551
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】