説明

入浴剤

【課題】年間を通していつでも手軽に使用することができ、且つ柚子に含有される各種成分の効能を効果的に発揮することができる入浴剤を提供する。
【解決手段】生柚子の果実を丸ごと圧縮破砕して窄汁した残滓、すなわち、破砕した生柚子の果皮及び種子を主原料とし、副原料としてにがり適量添加し、生柚子の果皮及び種子の鮮度が低下しないうちに、不織布からなる通水性のある袋に100g程度詰めて冷凍して、長期保存が可能な冷凍入浴剤を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤に関し、とくに柚子を生の状態で冷凍保存して使用する入浴剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から入浴による血行促進効果や保温効果などを上げるため、浴湯に種々の物質を添加することが行われている。季節感を楽しむ菖蒲、柚子などを入れる古来の方法から、これら天然物を乾燥したもの(例えば、特許文献1参照。)或いはその抽出物或いは化学合成物を用いるものが広く使用されている。とくに、柚子はその果皮にリモネン等の精油成分を含み、さわやかな香気がリラックス効果を促し、血行促進効果があり、冷え症や神経痛、腰痛などを和らげる。また、果皮に含まれるクエン酸やビタミンCにより、美肌効果もある。一方、葉、茎および根茎を包含するワサビ全体を粉砕して、粉砕後鮮度低下を来さない期間内に冷凍保存して入浴剤として使用するもの等も提案されている(特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−99866号公報
【特許文献2】特開2001−288072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常良く使用される乾燥した柚子果皮では、精油成分が揮発してしまっていて効果効能が低下するばかりでなく、柚子の種子に含有される特有の精油成分であるリモニン、ノミリン等の効能を充分に享受できない。また、年間を通していつでも生の果実を入手することは困難であり、その有効成分のみを抽出するにはコストが嵩む。本発明は、長期保存が可能で、年間を通していつでも手軽に使用することができ、且つ柚子に含有される各種成分の効能を効果的に発揮することができる入浴剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記本発明の目的を達成すべく鋭意研究した結果、果汁を窄汁した後に廃棄される生柚子の果皮及び種を再利用することに着目し、本発明をするに至った。
【0006】
すなわち、本発明の入浴剤は、果汁を窄汁した後の生柚子の果皮及び種を主原料とし、透水性のある袋に収納し冷凍してなることを第1の特徴とする。また、にがりを副原料としたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の入浴剤は以下の優れた効果がある。
(1)冷凍保存することにより効能が劣化することなく、年間を通していつでも手軽に使用することができる。
(2)柚子の果皮及び種子に含まれる各種有効成分の効能を効果的に発揮することができる。
【0008】
柚子は下記のような有効成分を含有しており、その効能と共に列記する。
カルシウム:子供の骨格形成と骨粗しょう症の予防効果。
ビタミンC:疲労回復とストレス解消、皮膚美容、食欲増進、風邪予防、抗癌効果。
有機酸:神経痛・リューマチ・筋肉痛などの緩和、疲労回復、血液循環促進。
ビタミンP(フラボノイド):動脈硬化、高血圧予防、肝解毒と抗アレルギー効果。
リモネイド:発癌抑制効果。
リモネン:血液循環促進、のど炎症とせき緩和、皮膚がんの抑制効果、保湿効果。
ヘスペリジン:抗酸化作用が高く、粘膜の炎症を抑え、免疫力を高める働き。
【0009】
上記のほかに、柚子にはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸類が多く含まれ、喫食した場合には、疲労回復、肩こり、筋肉痛を緩和する働きや胃液分泌を促進し、胸やけ、胃痛を緩和し、肝臓の働きまで助ける効果がある。
【0010】
とくに、種子にはペクチン質が豊富で、血糖上昇の予防、コレステロール値のコントロールを行う働きもあり、ビタミンCとの相乗効果で血行を良くし、毛細血管の働きも良くなり、小ジワを防ぎ、シミ、ソバカスを抑える働きがある。
【0011】
また、芳香のもとである精油成分シトラール、リモネンは血行促進や新陳代謝促進を助ける働きをする。リモニン、ノミリンは柚子特有の精油成分であり、抗腫瘍作用、鎮痛作用、抗炎症作用、殺菌作用の働きもあり、リモノイドは、抗ガン作用、悪玉コレステロール抑制作用がある。そして、これらの精油成分やクエン酸、ビタミン類が相乗的に働き、リウマチ、関節炎などの腫れ、痛みを緩和する効果があるといわれている。また腰痛、ひざ痛、神経痛などの炎症性の痛みにも効果があるといわれている。
【0012】
一方、にがりは、海水を原料とする天日干し又は平釜法により製塩される天然塩の製造時に得られるものであり、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等を含む。とくに、にがりの主成分である塩化マグネシウムは、皮膚細胞を活性化し、保湿成分である皮膚のセラミドの合成を促進すると言われる。すなわち、保湿効果を高め、皮膚の新陳代謝を高める効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る入浴剤について詳細に説明する。本発明の入浴剤に用いる柚子としては、一般に栽培され、市販されているものを適宜用いることができる。本発明の入浴剤においては、柚子の果皮及び種子を包含することが肝要である。したがって、果実を丸ごと圧縮破砕して果汁を窄汁した後の窄汁滓をそのまま用いるのが良い。
【0014】
また、本発明の実施に当たっては、上記柚子の窄汁滓の鮮度が低下しないうちに通水性の袋に収納して入浴剤として使用することが好ましい。そのため、入浴剤として使用するまでに長時間保存しておく必要がある場合、例えば、その調製場所から、実際に入浴剤として使用する場所に搬送、配布するまでに長時間を要するような場合、あるいは一括して大量に調製し、それを何回にも分けて徐々に一定量ずつ使用して使い切るまでに長時間を要するような場合は、鮮度保持のために冷凍保存する。柚子の窄汁滓を入れる袋は、通水性があれば特に限定するものではないが、望ましくは不織布からなる袋を用いる。また、ティーバッグ様の紙袋を用いるのも好ましい。これにより袋から内容物が湯中に拡散するおそれがなく使用できる。
【0015】
柚子の窄汁滓の冷凍は、公知の冷凍手段を適宜用いて行うことができる。柚子の窄汁滓を入浴剤として使用するに当たり、その使用量は、通常の浴槽(約200リットル)で50〜100g程度が好ましく、湯温が38〜40℃程度が好ましい。本発明に係る入浴剤は、血行を良くして体を温めるだけでなく、肌をしっとりさせる作用があるリモネンが含まれているほか、肌の余分な皮脂を取ったり古い角質を剥がし易くする作用を有する酵素ペクチンが含まれており、透明感のある美肌を作る働きがある。また、本発明の入浴剤においては、主原料である生の柚子の果皮及び種と共に、副原料として、にがりを任意に添加することができる。
【実施例】
【0016】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
柚子の果実を丸ごと圧縮破砕して窄汁した残滓、すなわち、生柚子の果皮及び種子に、にがり適量添加し、直ちに不織布からなる袋に100g程度詰めて冷凍し、冷凍入浴剤を作製した。これを温度40℃の浴湯約200リットルに入れ、30名のパネラーに各々別の浴槽で浴湯は毎回取り替え10日間に亘って入浴してもらった。入浴後の感想は以下のようであった。
【0017】
湯冷めし難い・・・・・30名、疲労回復感がある・・・・・26名、肌がしっとりする・・・25名、香りが良い・・・・30名、リラックス効果がある・・・・・30名。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果汁を窄汁した後の生柚子の果皮及び種を主原料とし、透水性のある袋に収納し冷凍してなることを特徴とする入浴剤。
【請求項2】
にがりを副原料としたことを特徴とする請求項1記載の入浴剤。