入浴用リフト装置
【構成】支持アームと揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設ける。揺動アームと椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設ける。片方の係止手段を解除したときに他方の係止手段も解除される。ロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでロックの解除状態を維持できるとともに片方の係止手段がロックされても他方の係止手段は係止解除の状態を維持できる入浴用リフト装置である。
【効果】椅子部の位置決めがしやすく、入浴者を浴槽本体の内外に移動させやすい。椅子部を簡単な操作で再度自在に移動させることができる。係止手段の解除操作をOFFした場合この解除状態を維持し、次のロックの位置に至ったときに自動的にロックされるため椅子部を目的に従って位置決めしやすい。
【効果】椅子部の位置決めがしやすく、入浴者を浴槽本体の内外に移動させやすい。椅子部を簡単な操作で再度自在に移動させることができる。係止手段の解除操作をOFFした場合この解除状態を維持し、次のロックの位置に至ったときに自動的にロックされるため椅子部を目的に従って位置決めしやすい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は入浴用リフト装置に関し、肢体不自由者や足腰の弱った老人等が入浴する場合に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
また、従来における別の入浴用リフト装置としては、浴槽本体の壁部に支柱を設置し、この支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、この椅子部に入浴者を座らせ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動させながら前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動させることにより前記入浴者を前記浴槽本体の内外に移動させるものも存在した(特許第3053158号)。
【0003】
【特許文献1】特許第3053158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の入浴用リフト装置にあっては、前記支持アームと揺動アームとの連設部およびこの揺動アームと椅子部との連設部が揺動自在に設けられていたため、椅子部の位置決めがしにくく、この結果、介護者は、入浴者を浴槽本体の内外に移動させるにあたって手間がかかるとともに入浴作業の能率を向上させにくいという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る入浴用リフト装置においては、浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る入浴用リフト装置は上記のように構成されているため、即ち、浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できるようにしたため、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動させることによって適宜位置で前記第一係止手段によりこの揺動をロックすることができるとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動させることによって適宜位置で前記第二係止手段によりこの揺動をロックすることができる。そして、いずれか片方の係止手段を解除することによって、前記支持アームに対して前記揺動アームを揺動可能にできるとともに前記揺動アームに対して前記椅子部を揺動可能にすることができ、これらの揺動開始後は前記係止手段の解除操作をOFFしてもこの解除の状態を維持し続け、次のロックの位置に至ったときに再度ロックされるものである。
【0008】
よって、この入浴用リフト装置を使用すれば、前記揺動アームを前記支持アームに対して固定することができるとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して固定することができるため、前記椅子部の位置決めがしやすく、介護者は、入浴者を浴槽本体の内外に移動させやすいものである。そして、さらに、いずれか片方の係止手段を解除することによって、前記支持アームに対して前記揺動アームを揺動可能にできるとともに前記揺動アームに対して前記椅子部を揺動可能にすることができるため、椅子部を、簡単な操作で、再度自在に移動させることができる。さらに、揺動開始後は、前記係止手段の解除操作をOFFしてもこの解除の状態を維持することができ、次のロックの位置に至ったときに自動的に再度ロックされるため、椅子部を目的に従って位置決めしやすいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明に係る入浴用リフト装置は、支持アームと揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに揺動アームと椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できる事に最も主要な特徴を有する。
【実施例】
【0010】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1はこの発明に係る入浴用リフト装置の斜視図、図2は側面図、図3は図2におけるIII 矢視図、図4は図3におけるIV-IV 線断面図、図5は図4におけるV部拡大断面図、図6は図5におけるVI矢視図、図7は図5におけるVII 矢視図、図8は図4におけるVIII部拡大断面図、図9は図8におけるIX矢視図、図10は図8におけるX矢視図、図11は椅子部のスライド式足受具が伸出した状態を示した図である。
【0012】
図1〜図4において、10は浴槽本体,11はこの浴槽本体10の背面壁部(この発明の「側壁部」に相当する)である。Uは支柱ユニットであり、この背面壁部11の外壁面に据えつけられている。この支柱ユニットUはケーシング状に形成されている。Mは前記支柱ユニットUのモーターであり、前記ケーシング内において、フレーム(図示せず)に固定されている。Aはアクチュエータであり、前記モーターMと一体的構成されている。このアクチュエータAは略垂直状に位置しており、前記モーターMの回転によって進退ロッド15を進退させる(図4を参照のこと)。
【0013】
次に、20は有底筒状の支柱であり、前記アクチュエータAに、逆さ状態で進退可能に外嵌めされている。21は底部であり、前記支柱20の上部に位置している。この底部21には軸孔22が形成されている。この支柱20は、前記浴槽本体10の背面壁部の略中央に位置している(図1,図3および図4を参照のこと)。
【0014】
次に、30は回転筒であり、前記支柱20の底部21に回転自在に外嵌めされている。この回転筒30は前記支柱20における外周段部に係止されている。
【0015】
23は連結ロッドであり、前記支柱20内に配置されている。この連結ロッド23の下端は前記進退ロッド(アクチュエータAの)15の先端に揺動可能に連結され、略垂直方向に延びている。24は固定ボルト部であり、前記連結ロッド23の上方に一体形成されている。この固定ボルト部24は前記軸孔(支柱20の底部21の)22を貫通し、押さえ板25を貫通してナット止めされている。このように、前記連結ロッド23が前記軸孔(支柱20の底部21の)22に固定されることによってことにより、前記支柱21は前記アクチュエータAの作動によって上下動することができる。なお、前記押さえ板25は、前記回転筒30の抜け落ちを防止している。
【0016】
なお、この発明の支柱ユニットUは前記モーターM前記アクチュエータAと前記進退ロッド15と前記支柱20と前記回転筒30と前記連結ロッド23とから構成される。
【0017】
この支持ユニットUは、前記ケーシングを前記浴槽本体10と一体的に形成することもできる。
【0018】
Bは支持アームであり、前記回転筒30の外周面に溶接によって突設されている。この支持アームBは略水平に延び、その先端は前記浴槽本体10の両側壁部近傍にまで達している。31は取付孔であり、前記回転筒30の側壁部における前記支持アームBの根幹部と反対側に形成されている(図3を参照のこと)。この取付孔31には係止具32が圧縮バネ33によって軸心方向に押された状態で設置されている。一方、26,27 は係止穴であり、前記底部(支柱20の)21の外周面に形成されている。これらの係止穴26,27 は前記浴槽本体10の背面壁部に沿って両側に位置している。このため、前記回転筒30が前記底部(支柱20の)21の周囲を回動し、前記支持アームBが前記浴槽本体10の背面壁部に沿って位置したときに(図3の状態)、前記係止具32がこの係止穴26の位置に達し、弾性的に進入して回転筒30の回動を不可能とする。
【0019】
また、この係止具32を外方向に引っ張って係止状態を解除し、前記支持アームBを旋回して前記浴槽本体10の背面壁部に沿って反対側に位置させれば(図3の状態と逆状態)、前記係止具32はこの係止穴27の位置に達し、弾性的に進入して回転筒30の回動を不可能とする。このとき、支持アームBの位置は図3の状態から略180度旋回した状態で揺動がロックされる。
【0020】
なお、図1において、Cは前記支柱20を覆っているカバー筒であり、前記背面壁部11に固定されている。
【0021】
次に、図1〜図4において、Dは揺動アームであり、前記支持アームBに対して揺動自在に連結されている。この揺動アームDは斜め下方向に延び、先端は垂直に形成され下方を向いている。また、Eは椅子部であり、前記揺動アームDに揺動自在に連結されている。
【0022】
図5〜図7において、40は固定板(円盤状)であり、前記支持アームBの先端下面に溶接されている。この固定板40は水平に位置している。41は軸体であり、前記固定板40を貫通した状態でこの固定板40に溶接固定されている。この軸体41は垂直方向に延び、上端は前記支持アームBを貫通している。50は回転筒であり、前記軸体41に軸受51,51 を介して回転自在に外嵌めされている。そして、この軸体41は回転筒50の底板52を貫通し、この底板52との間にスラスト軸受53がボルト止めされている。このため、この回転筒50は前記軸体41の周囲を滑らかに回動することができる。なお、54は回転板(円盤状)であり、前記回転筒50の上端外周縁に鍔状に溶接されている。この回転板54の径は前記固定板40に略一致する。
【0023】
次に、55は取付孔であり、前記回転板54の周壁部における前記揺動アームDの根幹部と反対側に形成されている(図5を参照のこと)。この取付孔55には係止具56が圧縮バネ57によって係止方向に押された状態で設置されている。一方、45,46,47は係止穴であり、前記固定板40の下面に適宜間隔を関して形成されている。そして、前記回転筒50が前記軸体41の周囲を回動し、前記揺動アームDが前記浴槽本体10の外部に位置したときに(図3の実線の状態)、前記係止具56が前記係止穴45の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板54ひいては前記回転筒50の回動をロックする。
【0024】
また、この係止具56を操作ケーブルPを下方向に引っ張って係止状態を解除し、前記揺動アームDを旋回して前記浴槽本体10内に位置させれば(図3の仮想線の状態)、前記係止具56は別の係止穴46の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板54ひいては前記回転筒50の回動をロックする。このとき、揺動アームDの位置は図3の仮想線の状態で回動をロックされる。なお、係止穴47は前記揺動アームDが前記浴槽本体10内の外側において、矢印方向に旋回して適宜位置で停止させる際に使用される。
【0025】
なお、前記係止具56および前記係止孔45,46,47がこの発明の「第一係止手段」に相当する。
【0026】
次に、図8〜図10において、60は固定板(円盤状)であり、前記揺動アームDの先端面に溶接されている。この固定板60は水平に位置している。61は軸体であり、前記固定板60を貫通した状態でこの固定板40に溶接固定されている。この軸体61は垂直状態で下方向に延びている。70は回転筒であり、前記軸体61に回転自在に外嵌めされている。そして、この軸体61は回転筒70の底板72を貫通し、この底板72との間にスラスト軸受73がボルト止めされている。このため、この回転筒70は前記軸体61の周囲を滑らかに回動することができる。なお、74は回転板(円盤状)であり、前記回転筒70の上端外周縁に鍔状に溶接されている。この回転板74の径は前記固定板60に略一致する。
【0027】
次に、80は吊り具であり、前記回転筒70の両側面に溶接されている。この吊り具80は梯子状であり斜め前方に傾斜しながら下方に延びている。そして、その下端には、椅子部Eが着脱可能に掛け止めされている。81は操作具であり、前記吊り具80の背面に溶接されている。この操作具81はU字状をしており、背面側に突出している。この操作具81を把持することによって、介護者は、椅子部Eの移動操作をすることができる。82はスライド式足受であり、前記椅子部Eの前端縁に出入可能に設置されている。このスライド式足受82は伸出した状態で入浴者の伸ばした足を支える(図11を参照のこと)。
【0028】
なお、前記椅子部Eとしては、台車付きのものを使用することもできる。
【0029】
次に、75は取付孔であり、前記回転板74の周壁部における前記椅子部Eの背面側に形成されている(図10を参照のこと)。この取付孔75には係止具76が圧縮バネ77によって係止方向に押された状態で設置されている。一方、65,66,67,68,69は係止穴であり、前記固定板60の下面に適宜間隔を関して形成されている。そして、前記回転筒70が前記軸体61の周囲を回動し、前記椅子部Eが前記浴槽本体10内において入浴状態(椅子部Eが浴槽本体10の背面壁を背にした状態)に位置したときに(図3の仮想線の状態)、前記係止具76が前記係止穴65の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板74ひいては前記回転筒70の回動を不可能とする。
【0030】
なお、前記係止具76および前記係止孔65,66,67,68,69がこの発明の「第二係止手段」に相当する。
【0031】
78は操作レバーであり、前記回転筒70の外側面に揺動可能に設置されている。この 操作レバー78にはブラケット79を介して前記係止具76の後端が繋がれている。このため、この操作レバー78を下方向に揺動させれば前記係止具76の係止状態は解除される。この状態で、前記椅子部Eを旋回してその向きを換えれば、前記係止具76は別の係止穴66,67,68,69 の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板74ひいては前記回転筒70の回動をロックする。このとき、椅子部Eの位置はその正面側を180度旋回させることができるため、入浴者は椅子部Eに座りやすいものである。なお、前記操作レバー78は前記圧縮バネ77による前記係止具76の進入に従って原状態(係止状態)に戻る。
【0032】
ところで、前記操作レバー78には、前記操作ケーブルPの後端が掛け止めされている。このため、前記操作レバー78を前記係止具(椅子部Eの)76が解除する方向に揺動させた場合、同時に、この操作ケーブルPが牽引され、前記係止具(揺動アームBの)56も解除される。すなわち、一の操作で、二箇所の係止箇所を解除することができるため、介護者は操作しやすいものである。特に、この操作レバー78が介護者が常に把持している操作具81の近傍に位置しているため一層便利である。
【0033】
なお、前記操作ケーブルPは前記操作レバー78に掛け止めされているにすぎないため、この操作レバー78が原状態に戻っても、それに従って牽引(係止方向へ)されることはなく、前記揺動アームDの係止具56が係止状態になっときに始めて牽引され原状態に戻る(図8の状態)。このため、前記揺動アームDに対する前記椅子部Eの位置決めをした後に、前記支持アームBに対する前記揺動アームDの位置決めをできるため、即ち、介護者は前記操作レバー78の手元から揺動を固定することができるため、前記支持アームBに対する前記椅子部Eの位置決めがしやすいものである。
【0034】
このリフト装置を使用する場合には、まず、係止具32を係止穴26に進入させることによって支持アームBを図3の状態に固定する。そして、係止具56を係止穴45に進入させて揺動アームDを支持アームBに対して図3の状態に固定し、さらに、係止具76を係止穴65に進入させて椅子部Eを揺動アームDに対して図3の状態に固定する。
【0035】
この状態で、図2に示すように、椅子部Eに入浴者を座らせ、締めつけベルト83で固定する。その後、モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10の高さ以上になるまで前記支柱20を上昇させる。この状態で、前記操作レバー78を下方に揺動し、前記係止具56を係止穴45から解除し、前記係止具76係止穴65から解除する。
【0036】
この解除した状態で、椅子部Eの操作具81を把持することによって介護者は、椅子部Eをつり下げながら浴槽本体10内に移動する。このとき、介護者は、前記椅子部Eの前記スライド式足受82を伸出し、入浴者の脚部を載置する(図11を参照のこと)。
【0037】
この状態で、浴槽本体10の側壁面を越えるようにする。前記椅子部Eが浴槽本体10内に移動された後、前記係止具76を前記係止穴66に弾性進入させて前記椅子部Eを前記揺動アームDに固定し、且つ、前記前記係止具56を前記係止穴46に弾性進入させて前記揺動アームDを前記支持アームBに固定する。
【0038】
この状態で、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10内に底部に達するまで前記支柱20を下降させる。この状態で、入浴者は入浴できる。
【0039】
入浴後は、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10の高さ以上になるまで前記支柱20を上昇させる。そして、この状態で、前記操作レバー78を下方に揺動し、前記係止具56を係止穴46から解除し、前記係止具76係止穴66から解除する。
【0040】
この解除した状態で、椅子部Eの操作具81を把持することによって介護者は、椅子部Eをつり下げながら浴槽本体10外に移動する。椅子部Eが浴槽本体10外に移動された後、前記係止具76を前記係止穴65に進入させて前記椅子部Eを前記揺動アームDに固定し、且つ、前記前記係止具56を前記係止穴45に弾性進入させて前記揺動アームDを前記支持アームBに固定する。
【0041】
この状態で、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eを入浴者の足が床面に達するまで前記支柱20を下降させる。そして、介護者は、前記椅子部Eの前記スライド式足受82を押し込み、入浴者の脚部を元状態にする(図2の状態)。そして、締めつけベルト83を解除することによって、入浴者の椅子部Eから離れることができる。
【0042】
なお、本発明において、前記片方の係止手段を前記椅子部の前記揺動アームに対する揺動を係止する第二係止手段とすれば、椅子部を把持しながら、操作する介護者にとって、その近傍に操作部(解除操作の)が位置することになるため、椅子部の移動操作をしやすいものである。
【0043】
また、この場合、前記第二係止手段のロック動作が前記第一係止手段のロック動作よりも優先して行われるようにすれば、前記揺動アームに対する前記椅子部の揺動をロックした後に前記支持アームに対する前記揺動アームの揺動を維持することができるとともに適宜位置でロックすることができるため、介護者は前記操作レバー78の手元から揺動を固定することができる結果、前記支持アームBに対する前記椅子部Eの位置決めがしやすいものである。
【0044】
なお、前記支柱ユニットを前記浴槽本体の外壁部に据えつければ、既存の浴槽本体をそのまま使用することができるため、その使用価値は一層向上する。
【0045】
なお、前記支柱ユニットを前記浴槽本体の壁部と一体的に設ければ、当該入浴用リフト装置自体がコンパクトになり設置しやすいものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、介護者にとって椅子部の位置決めがしやすいため、浴槽本体に、椅子部を移動させる際に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はこの発明に係る入浴用リフト装置の斜視図である。
【図2】図2は側面図である。
【図3】図3は図2におけるIII 矢視図である。
【図4】図4は図3におけるIV-IV 線断面図である。
【図5】図5は図4におけるV部拡大断面図である。
【図6】図6は図5におけるVI矢視図である。
【図7】図7は図5におけるVII 矢視図である。
【図8】図8は図4におけるVIII部拡大断面図である。
【図9】図9は図8におけるIX矢視図である。
【図10】図10は図8におけるX矢視図である。
【図11】図11は椅子部のスライド式足受具が伸出した状態の図である。
【符号の説明】
【0048】
A … アクチュエータ
B … 支持アーム
C … カバー筒
D … 揺動アーム
E … 椅子部
M … モーター
U … 支柱ユニット
P … 操作ケーブル
10 … 浴槽本体
11 … 背面壁部(側壁部)
15 … 進退ロッド
20 … 支柱
21 … 底部(支柱の)
22 … 軸孔
23 … 連結ロッド
24 … 固定ボルト部
25 … 押さえ板
26 … 係止穴(支柱の)
27 … 係止穴(支柱の)
30 … 回転筒(支柱の)
31 … 取付孔
32 … 係止具(支持アームの)
33 … 圧縮バネ
40 … 固定板(支持アームの)
41 … 軸体(揺動アームの)
45 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
46 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
47 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
50 … 回転筒(揺動アームの)
51 … 軸受
52 … 底板(回転筒50の)
53 … スラスト軸受
54 … 回転板(回転筒50の)
55 … 取付孔(回転板54の)
56 … 係止具(揺動アームの)(第一係止手段)
57 … 圧縮バネ
60 … 固定板(揺動アームの)
61 … 軸体(椅子部の)
65 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
66 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
67 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
68 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
69 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
70 … 回転筒(椅子部の)
72 … 底板(回転筒70の)
73 … スラスト軸受
74 … 回転板(回転筒70の)
75 … 取付孔(回転板74の)
76 … 係止具(椅子部の)(第二係止手段)
77 … 圧縮バネ
78 … 操作レバー
79 … ブラケット
80 … 吊り具
81 … 操作具
82 … スライド式足受
83 … 締め付けベルト
【技術分野】
【0001】
この発明は入浴用リフト装置に関し、肢体不自由者や足腰の弱った老人等が入浴する場合に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
また、従来における別の入浴用リフト装置としては、浴槽本体の壁部に支柱を設置し、この支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、この椅子部に入浴者を座らせ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動させながら前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動させることにより前記入浴者を前記浴槽本体の内外に移動させるものも存在した(特許第3053158号)。
【0003】
【特許文献1】特許第3053158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の入浴用リフト装置にあっては、前記支持アームと揺動アームとの連設部およびこの揺動アームと椅子部との連設部が揺動自在に設けられていたため、椅子部の位置決めがしにくく、この結果、介護者は、入浴者を浴槽本体の内外に移動させるにあたって手間がかかるとともに入浴作業の能率を向上させにくいという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る入浴用リフト装置においては、浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る入浴用リフト装置は上記のように構成されているため、即ち、浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できるようにしたため、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動させることによって適宜位置で前記第一係止手段によりこの揺動をロックすることができるとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動させることによって適宜位置で前記第二係止手段によりこの揺動をロックすることができる。そして、いずれか片方の係止手段を解除することによって、前記支持アームに対して前記揺動アームを揺動可能にできるとともに前記揺動アームに対して前記椅子部を揺動可能にすることができ、これらの揺動開始後は前記係止手段の解除操作をOFFしてもこの解除の状態を維持し続け、次のロックの位置に至ったときに再度ロックされるものである。
【0008】
よって、この入浴用リフト装置を使用すれば、前記揺動アームを前記支持アームに対して固定することができるとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して固定することができるため、前記椅子部の位置決めがしやすく、介護者は、入浴者を浴槽本体の内外に移動させやすいものである。そして、さらに、いずれか片方の係止手段を解除することによって、前記支持アームに対して前記揺動アームを揺動可能にできるとともに前記揺動アームに対して前記椅子部を揺動可能にすることができるため、椅子部を、簡単な操作で、再度自在に移動させることができる。さらに、揺動開始後は、前記係止手段の解除操作をOFFしてもこの解除の状態を維持することができ、次のロックの位置に至ったときに自動的に再度ロックされるため、椅子部を目的に従って位置決めしやすいものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明に係る入浴用リフト装置は、支持アームと揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに揺動アームと椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できる事に最も主要な特徴を有する。
【実施例】
【0010】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1はこの発明に係る入浴用リフト装置の斜視図、図2は側面図、図3は図2におけるIII 矢視図、図4は図3におけるIV-IV 線断面図、図5は図4におけるV部拡大断面図、図6は図5におけるVI矢視図、図7は図5におけるVII 矢視図、図8は図4におけるVIII部拡大断面図、図9は図8におけるIX矢視図、図10は図8におけるX矢視図、図11は椅子部のスライド式足受具が伸出した状態を示した図である。
【0012】
図1〜図4において、10は浴槽本体,11はこの浴槽本体10の背面壁部(この発明の「側壁部」に相当する)である。Uは支柱ユニットであり、この背面壁部11の外壁面に据えつけられている。この支柱ユニットUはケーシング状に形成されている。Mは前記支柱ユニットUのモーターであり、前記ケーシング内において、フレーム(図示せず)に固定されている。Aはアクチュエータであり、前記モーターMと一体的構成されている。このアクチュエータAは略垂直状に位置しており、前記モーターMの回転によって進退ロッド15を進退させる(図4を参照のこと)。
【0013】
次に、20は有底筒状の支柱であり、前記アクチュエータAに、逆さ状態で進退可能に外嵌めされている。21は底部であり、前記支柱20の上部に位置している。この底部21には軸孔22が形成されている。この支柱20は、前記浴槽本体10の背面壁部の略中央に位置している(図1,図3および図4を参照のこと)。
【0014】
次に、30は回転筒であり、前記支柱20の底部21に回転自在に外嵌めされている。この回転筒30は前記支柱20における外周段部に係止されている。
【0015】
23は連結ロッドであり、前記支柱20内に配置されている。この連結ロッド23の下端は前記進退ロッド(アクチュエータAの)15の先端に揺動可能に連結され、略垂直方向に延びている。24は固定ボルト部であり、前記連結ロッド23の上方に一体形成されている。この固定ボルト部24は前記軸孔(支柱20の底部21の)22を貫通し、押さえ板25を貫通してナット止めされている。このように、前記連結ロッド23が前記軸孔(支柱20の底部21の)22に固定されることによってことにより、前記支柱21は前記アクチュエータAの作動によって上下動することができる。なお、前記押さえ板25は、前記回転筒30の抜け落ちを防止している。
【0016】
なお、この発明の支柱ユニットUは前記モーターM前記アクチュエータAと前記進退ロッド15と前記支柱20と前記回転筒30と前記連結ロッド23とから構成される。
【0017】
この支持ユニットUは、前記ケーシングを前記浴槽本体10と一体的に形成することもできる。
【0018】
Bは支持アームであり、前記回転筒30の外周面に溶接によって突設されている。この支持アームBは略水平に延び、その先端は前記浴槽本体10の両側壁部近傍にまで達している。31は取付孔であり、前記回転筒30の側壁部における前記支持アームBの根幹部と反対側に形成されている(図3を参照のこと)。この取付孔31には係止具32が圧縮バネ33によって軸心方向に押された状態で設置されている。一方、26,27 は係止穴であり、前記底部(支柱20の)21の外周面に形成されている。これらの係止穴26,27 は前記浴槽本体10の背面壁部に沿って両側に位置している。このため、前記回転筒30が前記底部(支柱20の)21の周囲を回動し、前記支持アームBが前記浴槽本体10の背面壁部に沿って位置したときに(図3の状態)、前記係止具32がこの係止穴26の位置に達し、弾性的に進入して回転筒30の回動を不可能とする。
【0019】
また、この係止具32を外方向に引っ張って係止状態を解除し、前記支持アームBを旋回して前記浴槽本体10の背面壁部に沿って反対側に位置させれば(図3の状態と逆状態)、前記係止具32はこの係止穴27の位置に達し、弾性的に進入して回転筒30の回動を不可能とする。このとき、支持アームBの位置は図3の状態から略180度旋回した状態で揺動がロックされる。
【0020】
なお、図1において、Cは前記支柱20を覆っているカバー筒であり、前記背面壁部11に固定されている。
【0021】
次に、図1〜図4において、Dは揺動アームであり、前記支持アームBに対して揺動自在に連結されている。この揺動アームDは斜め下方向に延び、先端は垂直に形成され下方を向いている。また、Eは椅子部であり、前記揺動アームDに揺動自在に連結されている。
【0022】
図5〜図7において、40は固定板(円盤状)であり、前記支持アームBの先端下面に溶接されている。この固定板40は水平に位置している。41は軸体であり、前記固定板40を貫通した状態でこの固定板40に溶接固定されている。この軸体41は垂直方向に延び、上端は前記支持アームBを貫通している。50は回転筒であり、前記軸体41に軸受51,51 を介して回転自在に外嵌めされている。そして、この軸体41は回転筒50の底板52を貫通し、この底板52との間にスラスト軸受53がボルト止めされている。このため、この回転筒50は前記軸体41の周囲を滑らかに回動することができる。なお、54は回転板(円盤状)であり、前記回転筒50の上端外周縁に鍔状に溶接されている。この回転板54の径は前記固定板40に略一致する。
【0023】
次に、55は取付孔であり、前記回転板54の周壁部における前記揺動アームDの根幹部と反対側に形成されている(図5を参照のこと)。この取付孔55には係止具56が圧縮バネ57によって係止方向に押された状態で設置されている。一方、45,46,47は係止穴であり、前記固定板40の下面に適宜間隔を関して形成されている。そして、前記回転筒50が前記軸体41の周囲を回動し、前記揺動アームDが前記浴槽本体10の外部に位置したときに(図3の実線の状態)、前記係止具56が前記係止穴45の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板54ひいては前記回転筒50の回動をロックする。
【0024】
また、この係止具56を操作ケーブルPを下方向に引っ張って係止状態を解除し、前記揺動アームDを旋回して前記浴槽本体10内に位置させれば(図3の仮想線の状態)、前記係止具56は別の係止穴46の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板54ひいては前記回転筒50の回動をロックする。このとき、揺動アームDの位置は図3の仮想線の状態で回動をロックされる。なお、係止穴47は前記揺動アームDが前記浴槽本体10内の外側において、矢印方向に旋回して適宜位置で停止させる際に使用される。
【0025】
なお、前記係止具56および前記係止孔45,46,47がこの発明の「第一係止手段」に相当する。
【0026】
次に、図8〜図10において、60は固定板(円盤状)であり、前記揺動アームDの先端面に溶接されている。この固定板60は水平に位置している。61は軸体であり、前記固定板60を貫通した状態でこの固定板40に溶接固定されている。この軸体61は垂直状態で下方向に延びている。70は回転筒であり、前記軸体61に回転自在に外嵌めされている。そして、この軸体61は回転筒70の底板72を貫通し、この底板72との間にスラスト軸受73がボルト止めされている。このため、この回転筒70は前記軸体61の周囲を滑らかに回動することができる。なお、74は回転板(円盤状)であり、前記回転筒70の上端外周縁に鍔状に溶接されている。この回転板74の径は前記固定板60に略一致する。
【0027】
次に、80は吊り具であり、前記回転筒70の両側面に溶接されている。この吊り具80は梯子状であり斜め前方に傾斜しながら下方に延びている。そして、その下端には、椅子部Eが着脱可能に掛け止めされている。81は操作具であり、前記吊り具80の背面に溶接されている。この操作具81はU字状をしており、背面側に突出している。この操作具81を把持することによって、介護者は、椅子部Eの移動操作をすることができる。82はスライド式足受であり、前記椅子部Eの前端縁に出入可能に設置されている。このスライド式足受82は伸出した状態で入浴者の伸ばした足を支える(図11を参照のこと)。
【0028】
なお、前記椅子部Eとしては、台車付きのものを使用することもできる。
【0029】
次に、75は取付孔であり、前記回転板74の周壁部における前記椅子部Eの背面側に形成されている(図10を参照のこと)。この取付孔75には係止具76が圧縮バネ77によって係止方向に押された状態で設置されている。一方、65,66,67,68,69は係止穴であり、前記固定板60の下面に適宜間隔を関して形成されている。そして、前記回転筒70が前記軸体61の周囲を回動し、前記椅子部Eが前記浴槽本体10内において入浴状態(椅子部Eが浴槽本体10の背面壁を背にした状態)に位置したときに(図3の仮想線の状態)、前記係止具76が前記係止穴65の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板74ひいては前記回転筒70の回動を不可能とする。
【0030】
なお、前記係止具76および前記係止孔65,66,67,68,69がこの発明の「第二係止手段」に相当する。
【0031】
78は操作レバーであり、前記回転筒70の外側面に揺動可能に設置されている。この 操作レバー78にはブラケット79を介して前記係止具76の後端が繋がれている。このため、この操作レバー78を下方向に揺動させれば前記係止具76の係止状態は解除される。この状態で、前記椅子部Eを旋回してその向きを換えれば、前記係止具76は別の係止穴66,67,68,69 の位置に達し、弾性的に進入して前記回転板74ひいては前記回転筒70の回動をロックする。このとき、椅子部Eの位置はその正面側を180度旋回させることができるため、入浴者は椅子部Eに座りやすいものである。なお、前記操作レバー78は前記圧縮バネ77による前記係止具76の進入に従って原状態(係止状態)に戻る。
【0032】
ところで、前記操作レバー78には、前記操作ケーブルPの後端が掛け止めされている。このため、前記操作レバー78を前記係止具(椅子部Eの)76が解除する方向に揺動させた場合、同時に、この操作ケーブルPが牽引され、前記係止具(揺動アームBの)56も解除される。すなわち、一の操作で、二箇所の係止箇所を解除することができるため、介護者は操作しやすいものである。特に、この操作レバー78が介護者が常に把持している操作具81の近傍に位置しているため一層便利である。
【0033】
なお、前記操作ケーブルPは前記操作レバー78に掛け止めされているにすぎないため、この操作レバー78が原状態に戻っても、それに従って牽引(係止方向へ)されることはなく、前記揺動アームDの係止具56が係止状態になっときに始めて牽引され原状態に戻る(図8の状態)。このため、前記揺動アームDに対する前記椅子部Eの位置決めをした後に、前記支持アームBに対する前記揺動アームDの位置決めをできるため、即ち、介護者は前記操作レバー78の手元から揺動を固定することができるため、前記支持アームBに対する前記椅子部Eの位置決めがしやすいものである。
【0034】
このリフト装置を使用する場合には、まず、係止具32を係止穴26に進入させることによって支持アームBを図3の状態に固定する。そして、係止具56を係止穴45に進入させて揺動アームDを支持アームBに対して図3の状態に固定し、さらに、係止具76を係止穴65に進入させて椅子部Eを揺動アームDに対して図3の状態に固定する。
【0035】
この状態で、図2に示すように、椅子部Eに入浴者を座らせ、締めつけベルト83で固定する。その後、モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10の高さ以上になるまで前記支柱20を上昇させる。この状態で、前記操作レバー78を下方に揺動し、前記係止具56を係止穴45から解除し、前記係止具76係止穴65から解除する。
【0036】
この解除した状態で、椅子部Eの操作具81を把持することによって介護者は、椅子部Eをつり下げながら浴槽本体10内に移動する。このとき、介護者は、前記椅子部Eの前記スライド式足受82を伸出し、入浴者の脚部を載置する(図11を参照のこと)。
【0037】
この状態で、浴槽本体10の側壁面を越えるようにする。前記椅子部Eが浴槽本体10内に移動された後、前記係止具76を前記係止穴66に弾性進入させて前記椅子部Eを前記揺動アームDに固定し、且つ、前記前記係止具56を前記係止穴46に弾性進入させて前記揺動アームDを前記支持アームBに固定する。
【0038】
この状態で、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10内に底部に達するまで前記支柱20を下降させる。この状態で、入浴者は入浴できる。
【0039】
入浴後は、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eが前記浴槽本体10の高さ以上になるまで前記支柱20を上昇させる。そして、この状態で、前記操作レバー78を下方に揺動し、前記係止具56を係止穴46から解除し、前記係止具76係止穴66から解除する。
【0040】
この解除した状態で、椅子部Eの操作具81を把持することによって介護者は、椅子部Eをつり下げながら浴槽本体10外に移動する。椅子部Eが浴槽本体10外に移動された後、前記係止具76を前記係止穴65に進入させて前記椅子部Eを前記揺動アームDに固定し、且つ、前記前記係止具56を前記係止穴45に弾性進入させて前記揺動アームDを前記支持アームBに固定する。
【0041】
この状態で、前記モータMを駆動させて、前記椅子部Eを入浴者の足が床面に達するまで前記支柱20を下降させる。そして、介護者は、前記椅子部Eの前記スライド式足受82を押し込み、入浴者の脚部を元状態にする(図2の状態)。そして、締めつけベルト83を解除することによって、入浴者の椅子部Eから離れることができる。
【0042】
なお、本発明において、前記片方の係止手段を前記椅子部の前記揺動アームに対する揺動を係止する第二係止手段とすれば、椅子部を把持しながら、操作する介護者にとって、その近傍に操作部(解除操作の)が位置することになるため、椅子部の移動操作をしやすいものである。
【0043】
また、この場合、前記第二係止手段のロック動作が前記第一係止手段のロック動作よりも優先して行われるようにすれば、前記揺動アームに対する前記椅子部の揺動をロックした後に前記支持アームに対する前記揺動アームの揺動を維持することができるとともに適宜位置でロックすることができるため、介護者は前記操作レバー78の手元から揺動を固定することができる結果、前記支持アームBに対する前記椅子部Eの位置決めがしやすいものである。
【0044】
なお、前記支柱ユニットを前記浴槽本体の外壁部に据えつければ、既存の浴槽本体をそのまま使用することができるため、その使用価値は一層向上する。
【0045】
なお、前記支柱ユニットを前記浴槽本体の壁部と一体的に設ければ、当該入浴用リフト装置自体がコンパクトになり設置しやすいものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、介護者にとって椅子部の位置決めがしやすいため、浴槽本体に、椅子部を移動させる際に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はこの発明に係る入浴用リフト装置の斜視図である。
【図2】図2は側面図である。
【図3】図3は図2におけるIII 矢視図である。
【図4】図4は図3におけるIV-IV 線断面図である。
【図5】図5は図4におけるV部拡大断面図である。
【図6】図6は図5におけるVI矢視図である。
【図7】図7は図5におけるVII 矢視図である。
【図8】図8は図4におけるVIII部拡大断面図である。
【図9】図9は図8におけるIX矢視図である。
【図10】図10は図8におけるX矢視図である。
【図11】図11は椅子部のスライド式足受具が伸出した状態の図である。
【符号の説明】
【0048】
A … アクチュエータ
B … 支持アーム
C … カバー筒
D … 揺動アーム
E … 椅子部
M … モーター
U … 支柱ユニット
P … 操作ケーブル
10 … 浴槽本体
11 … 背面壁部(側壁部)
15 … 進退ロッド
20 … 支柱
21 … 底部(支柱の)
22 … 軸孔
23 … 連結ロッド
24 … 固定ボルト部
25 … 押さえ板
26 … 係止穴(支柱の)
27 … 係止穴(支柱の)
30 … 回転筒(支柱の)
31 … 取付孔
32 … 係止具(支持アームの)
33 … 圧縮バネ
40 … 固定板(支持アームの)
41 … 軸体(揺動アームの)
45 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
46 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
47 … 係止穴(揺動アームの)(第一係止手段)
50 … 回転筒(揺動アームの)
51 … 軸受
52 … 底板(回転筒50の)
53 … スラスト軸受
54 … 回転板(回転筒50の)
55 … 取付孔(回転板54の)
56 … 係止具(揺動アームの)(第一係止手段)
57 … 圧縮バネ
60 … 固定板(揺動アームの)
61 … 軸体(椅子部の)
65 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
66 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
67 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
68 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
69 … 係止穴(椅子部の)(第二係止手段)
70 … 回転筒(椅子部の)
72 … 底板(回転筒70の)
73 … スラスト軸受
74 … 回転板(回転筒70の)
75 … 取付孔(回転板74の)
76 … 係止具(椅子部の)(第二係止手段)
77 … 圧縮バネ
78 … 操作レバー
79 … ブラケット
80 … 吊り具
81 … 操作具
82 … スライド式足受
83 … 締め付けベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できることを特徴とする入浴用リフト装置。
【請求項1】
浴槽本体の側壁部の外側近傍に支柱ユニットを設置し、この支柱ユニットは支柱を有するとともにこの支柱の上部に支持アームを設置し、この支柱の上部に支持アームを設置し、この支持アームの先端に揺動アームを揺動可能に連設し、この揺動アームの先端に椅子部を揺動可能の状態で吊り下げ、前記揺動アームを前記支持アームに対して揺動するとともに前記椅子部を前記揺動アームに対して揺動することにより前記椅子部を前記浴槽本体の内外に移動させる入浴用リフト装置において、前記支持アームと前記揺動アームとの揺動を弾性的にロックする第一係止手段を設けるとともに前記揺動アームと前記椅子部との揺動を弾性的にロックする第二係止手段を設け、いずれか片方の係止手段を弾性に抗して解除したときに他方の係止手段も解除され、このロックを解除した状態でこれらを揺動すると、解除操作をOFFしても次のロック状態に至るまでこのロックの解除状態を維持できるとともに前記片方の係止手段がロックされても前記他方の係止手段は係止状態を解除した状態を維持できることを特徴とする入浴用リフト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−202787(P2007−202787A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25162(P2006−25162)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年9月27日〜29日 社会福祉法人全国社会福祉協議会 財団法人保健福祉広報協会主催の「第32回国際福祉機器展」に出品
【出願人】(591127825)株式会社アマノ (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年9月27日〜29日 社会福祉法人全国社会福祉協議会 財団法人保健福祉広報協会主催の「第32回国際福祉機器展」に出品
【出願人】(591127825)株式会社アマノ (13)
【Fターム(参考)】
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