説明

入金者管理システム

【課題】
入金者が、店舗のセット信号を基点とした所定時間内に所定の入金機に入金処理されない場合に入金機側にて異常判定する入金者管理システムを提供する。
【解決手段】
店舗内の異常を検出するセンサと店舗の警備開始を設定するモード設定手段と警備開始信号を監視センタに送信する制御手段とを有した警備システムと、入金機制御手段入金機は警備開始信号を受信する送受信手段と警備開始信号を受信すると計時手段を起動し計時手段が所定時間の計時を行っている間に入金処理がなされているか否かを判定する入金機制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金者が例えば店舗等の売上金を入金機に入金するとき、入金者の入金時間管理を行うことで、入金者に危険が生じたとき迅速に検出することができる入金者管理システムにおいて、特に入金者が所属する店舗等の警備開始時刻情報を利用して所定時間内に入金処理しない場合に入金機側で異常判定する入金者管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入金者は店舗の売上金を夜間金庫に投入し、投入された売上金は金融機関や警備会社によって安全を確保されている。しかし、入金者が夜間金庫の窓口に行き投入するまでの安全確保は入金者自身に任され、入金者が入金途中に襲われても夜間での行動のためすぐに発見されない可能性がある。
【0003】
そこで、この入金者の危険を軽減するため、入金機を繁華街やコンビニエンスストアなどの極力人目に付き、また入金者の行動が入金目的であることが判りにくい場所を選んで配置したりしている。
【0004】
【特許文献1】特許公開番号2003-141608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、入金機を常に上記のような人目につく場所や入金者の行動が入金行為として特定されにくい場所に配置できるとは限らず、入金者の不安は解消されていないという問題があった。
【0006】
本発明者達は、当日の売上金を入金機に入金する入金担当者が警備開始操作を行う店舗等の最終者となる場合が多いことに着目し、または入金者が最終者でなくとも限りなく警備開始時間に近い時間に入金行動を開始することに着目した。
【0007】
そこで本発明は、上述した課題を解決するために、店舗等の警備システムの警備開始時刻を利用して、入金者が所定時間内に入金処理が終了していない場合に入金者に危険が生じたとして迅速に異常を発見し通報することができる入金者管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による入金者管理システムは、店舗等に設けられた警備システムと店舗等外の所定の場所に設けられた入金機と監視センタからなる入金者管理システムにおいて、前記警備システムは、店舗等の異常を検出するセンサと、店舗等の警備モードを設定するモード設定手段と、設定された警備モード信号を通信網を介して監視センタに送信する制御手段とを有し、前記入金機は、前記店舗等の入金者の入金処理を確定する設定手段と、前記警備システムの警備開始信号を受信するとともに異常信号を送信する入金機送受信手段と、前記入金機送受信手段が該店舗等の警備開始信号を受信すると計時する計時手段と、前記入金者の照合を行うとともに前記計時手段が所定時間の計時を行っている間に入金処理がなされているか否かを判定する入金機制御手段とを有する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による第2の入金者管理システムは、店舗等に設けられた警備システムと店舗等外の所定の場所に設けられた入金機とからなる入金者管理システムにおいて、前記警備システムは、店舗等の異常を検出するセンサと、店舗等の警備モードを設定するモード設定手段と、設定された警備モード信号を送信する制御手段とを有し、前記入金機は、前記店舗等の入金者の入金処理を確定する設定手段と、前記警備システムの警備開始信号を受信するとともに異常信号を送信する入金機送受信手段と、前記入金機送受信手段が前記店舗等の警備開始信号を受信すると計時する計時手段と、前記入金者の照合を行うとともに警備開始時刻の所定時間前から当該警備開始時刻から所定時間経過後の時間帯に入金処理がなされているか否かを判定する入金機制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の入金者管理システムによれば、入金者が所属する店舗等を出たときから入金処理までの時間を管理を行っているので、入金者に危険が生じた場合には迅速に入金者の異常を検出することができる。また、入金者が店舗における最終者でなくとも、店舗等の警備開始時刻を利用した所定時間の時間を管理しているので、入金者に危険が生じた場合には迅速に入金者の異常を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による入金者管理システムの実施の形態について図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明の入金者管理システムの全体構成を示す図である。本発明の入金者管理システムは、店舗1内に配置された警備システムの端末機器と、通信網2を介して店舗1の異常・正常を監視している監視センタ4と入金処理がなされる入金機等を有して構成される。
【0013】
店舗内1には、店舗の侵入異常等を検出するため所定箇所に配置されたセンサ10と、店舗1の警備モードをセット(警備開始)や解除(警備終了)を設定するモード設定手段11と、センサ10の検出信号を受信したとき現在設定されている警備モードに応じて異常・正常を判断して異常と判断したときには異常信号を、またモード設定手段11により新たな警備モードが設定されたときにはモード信号(例えばセット信号や解除信号)を通信網2を介して監視センタ4に送信する制御手段12が配置されている。また、セット操作時に未警戒箇所があれば、その旨図示しない表示手段に表示される。なお、センサ10は侵入・火災・ガス漏れ等を検出するものであり、モード設定手段11は操作ボタンや、ICカードや磁気カードとカードリ−ダなどで構成される。
【0014】
次に、入金機3について説明する。
入金機3は、入金者が入金処理するための操作部30と、紙幣と硬貨を各々投入するための挿入口31と、入金された金額などを表示する入金機表示手段32と、入金者の照合を行い、入金処理が適正に行われたことを検出し、入金者の入金処理が所定時間内に行われたか否かを判定する入金機制御手段33と、入金者の各顧客IDや入金機のIDなどを記憶するとともにセット信号を一時記憶する入金機記憶手段34と、セット信号を受信するとともに入金データ等を図示しない資金管理センタに送信する入金機送受信手段35と、入金者が投入した金額を計数する計数手段36と、入金者にて投入されたお金を保管する保管庫37と、入金機制御手段33がセット信号を受信した場合セット時刻情報から所定時間計時する計時手段38とを有して構成される。
【0015】
操作部30は、入金処理の開始時に操作する入金ボタン301と、入金者または入金者の所属する店舗に対し予め付与されている顧客ID番号を入力するテンキーボタン302と、入金者が投入した紙幣や硬貨の全数を計数できなかった場合に返金要請するときに操作される返金ボタン303と、入金処理が適正に行われたときに入力する確定ボタン304等から構成されている。なお、入金者の顧客IDの照合はテンキーボタン302に代わりIDカードの操作としても良い。
【0016】
監視センタ4は、店舗1からの異常信号やモード信号をまた入金機3から入金者異常信号等を通信網2を介して受信し、セット信号を所定の入金機3に送信する送受信手段40と、顧客である店舗1の現在設定されている警備モード、現在の正常や異常の状態等を記憶するセンタ記憶手段43と、セット信号を受信したとき顧客の利用する入金機3を割り出すセンタ制御手段41と、異常信号やモード信号を受信した場合異常情報を表示するセンタ表示手段43とを有して構成される。監視センタ4の管制員は、センタ表示手段43にて異常情報が表示されると所定の対処員に適切な対処を指示する。
【0017】
第1の発明の入金者管理システムの動作について、図2から図5を参照して説明する。
まず、図2を参照して、店舗1でのセット時のモード操作における制御手段12のフローを説明する。
【0018】
店舗1の入金者(この場合は店舗1の最終者)は、閉店時等で店舗1内が無人となる際にモード設定手段11を介してセット操作する(ステップ1)。制御手段12は扉や窓等が全て閉鎖されているか否かを判断する(ステップ2)。未警戒箇所がないときには安全が確保されているとしてセットモードへ移行する(ステップ4)。制御手段12は新たな警備モードとしてセットモードを記憶する(ステップ5)。なお、ステップ2で未警戒箇所があれば未警戒箇所を表示し、再度のセット操作を促し(ステップ3)、ステップ1に戻る。制御手段12は、顧客IDを含むセット信号を通信網2を介して監視センタ4に送信する(ステップ6)。
【0019】
次に、図3を参照して監視センタ4のセンタ制御手段41の動作フローを説明する。
センタ制御手段41は、送受信手段40を介して店舗1からのセット信号を受信する(ステップ10)。センタ制御手段41はセンタ記憶手段42にセット信号を送信しセンタ記憶手段42にてセットモードが記憶される(ステップ11)。センタ制御手段41は受信したセット信号に含まれる顧客IDからセンタ記憶手段を参照して予め記憶している顧客の利用する入金機3を割り出す(ステップ12)。センタ制御手段41は割り出した入金機3に顧客IDと所定時間情報を含むセット信号を送信する。(ステップ13)なお、ここでは便宜上セット信号としたが顧客IDと時刻情報があれば特にセット信号でなくとも良い。
【0020】
次に、図4を参照して入金機3における入金処理フローを説明する。
入金者は、入金機3にて最初に入金ボタン301を押下し(ステップ20)、予め付与されている顧客ID番号をテンキーボタン302で入力する(ステップ21)。この入力された顧客ID番号を入金機記憶手段34に予め記憶された顧客IDと照合し正当か否かを入金機制御手段33で判断する(ステップ22)。照合がOK(正当)と判断されたなら紙幣と硬貨の各挿入口31が開けられる(ステップ23)。照合が不適であると判断されたならその旨入金機表示手段32で表示される(ステップ24)。入金者はステップ22でOKの場合には各挿入口31から紙幣と硬貨を投入する(ステップ25)。投入された紙幣及び硬貨は計数手段36で金種毎に計数され、合計金額が入金額として入金機表示手段32に表示される(ステップ26)。なお、入金者は表示された入金額が正しい場合には確定ボタン304を押下する(ステップ27)。入金機制御手段33は、確定ボタン304が押下されると入金処理が適正に行われたと判断し、入金機送受信手段35から入金機ID番号と顧客コードを含む入金データを図示しない資金管理センタに送信するとともに顧客ごとに入金データを入金機記憶手段34に記憶する(ステップ28)。
【0021】
次に、図5を参照して入金機制御手段33の動作フローを説明する。入金機制御手段33は、入金機送受信制御手段35を介して監視センタ4からのセット信号を受信した場合(ステップ30)、入金機記憶手段34に一時顧客のセット時刻を記憶する(ステップ31)。入金機制御手段33は、セット時刻情報から得られた所定時間情報を計時手段38に設定し計時手段38を起動する(ステップ32)。入金機制御手段33は、計時手段38のタイムアップまでに入金処理が適正に行われたか否かを判定する(ステップ33、34)。タイムアップまでに適正に入金処理が行われた場合(ステップ34でYES)、入金機記憶手段34に一時記憶されたセット時刻情報(所定時間情報を含む)をクリアーする(ステップ36)。タイムアップ時に入金処理が適正に行われていない場合(ステップ33でYES)には、入金者異常として入金機表示手段32に報知するとともに入金機送受信手段35を介して監視センタ4に送信する(ステップ35)。
【0022】
次に、第2の発明である入金者管理システムについて図6を参照し、入金機制御手段33の動作フローを説明する。第2の入金者管理システムは、入金者が最終者で無い場合を想定したものである。なお、第2の入金者管理システムのシステム構成は第1の発明と同様である。
【0023】
入金機制御手段33は、入金機送受信制御手段35を介して監視センタ4からのセット信号を受信した場合(ステップ40)、入金機記憶手段34に一旦顧客のセット時刻情報を記憶する(ステップ41)。入金機制御手段33は、セット信号から得られた顧客の第1の所定時間情報及び第2の所定時間情報抽出し、当該セット時刻から抽出された第1の所定時間前の間に当該顧客の適正な入金処理が行われたか否かを判断する(ステップ42)。第1の所定時間とは、入金者が店舗1の最終者で無く、店舗1がセットされる前に入金者によって入金処理されることを想定して設定する時間で、例えば「30分」が記憶されている。入金処理が行われている場合(ステップ42でYES)、顧客のセット時刻情報(所定時間情報を含む)をクリアーする(ステップ47)。入金処理が行われていない場合(ステップ42でNO)、セット信号から得られた第2の所定時間を計時手段38に設定し計時手段38を起動する(ステップ44)。この第2の所定時間は、入金者が入金処理をしようとして店舗1を出た後、店舗の最終者となった店員が店舗のセット操作を行った場合を想定して設定する時間で、例えば「10分」が記憶されている。通常は第1の所定時間が第2の所定時間より長めに設定してある。なお、本実施例では第1の所定時間及び第2の所定時間は顧客ごとにセンタ記憶手段42に設定入力してあるが、全ての顧客を同じ時間に設定しても良い。入金機制御手段33は、計時手段38のタイムアップまでに入金処理が適正に行われたか否かを判定する(ステップ45、46)。タイムアップまでに適正に入金処理が行われた場合(ステップ46のYES)、入金機記憶手段34に一時記憶されたセット時刻情報(所定時間情報を含む)をクリアーする(ステップ47)。タイムアップ時に入金処理が適正に行われていない場合(ステップ45のNO)、入金者異常として入金機表示手段32に報知するとともに入金機送受信手段35を介して監視センタ4に送信する(ステップ43)。
【0024】
前述のように、入金機3は監視センタ4からセット信号を受信している実施態様で説明しているが、これは店舗1の制御手段11から直接セット信号を受信するようにしてもよい。
【0025】
また、前述のように、入金機3は全ての構成を含んだ例で説明したが、入金機制御手段、入金機送受信手段、入金機記憶手段、計時手段は入金機と別体の装置であってもよい。
【0026】
さらに、前述のように第1及び第2の発明では、所定時間を顧客ごとに予め設定している実施態様で説明したが、例えば全ての顧客の所定時間がセット時刻から一定の時間であっても良い。
【0027】
また、前述のように、第1及び第2の発明では、所定時間を予めセンタ記憶手段にて記憶し、セット信号とともに所定時間情報を入金機にダウンロードしている実施態様で説明したが、センタ記憶手段に所定時間情報を記憶しなくとも、入金機記憶手段に顧客毎に所定時間情報(第1及び第2)を予め記憶させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の入金者管理システムの全体構成を示す図
【図2】セット操作のフロー図
【図3】監視センタの動作フロー図
【図4】入金処理フロー図
【図5】入金機制御手段の動作フロー図
【図6】第2発明の入金機制御手段の動作フロー図
【符号の説明】
【0029】
1・・・店舗(顧客)
2・・・通信網
3・・・入金機
4・・・監視センタ
33・・・入金機制御手段
38・・・計時手段
304・・・確定ボタン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗等に設けられた警備システムと店舗等外の所定の場所に設けられた入金機と監視センタからなる入金者管理システムにおいて、
前記警備システムは、店舗等の異常を検出するセンサと、店舗等の警備モードを設定するモード設定手段と、設定された警備モード信号を通信網を介して監視センタに送信する制御手段とを有し、
前記入金機は、前記店舗等の入金者の入金処理を確定する設定手段と、前記警備システムの警備開始信号を受信するとともに異常信号を送信する入金機送受信手段と、前記入金機送受信手段が該店舗等の警備開始信号を受信すると計時する計時手段と、前記入金者の照合を行うとともに前記計時手段が所定時間の計時を行っている間に入金処理がなされているか否かを判定する入金機制御手段とを有することを特徴とする入金者管理システム。
【請求項2】
前記入金機送受信手段は前記警備システムの警備開始信号を前記監視センタからまたは前記制御手段から受信することを特徴とする請求項1記載の入金者管理システム。
【請求項3】
前記監視センタは、警備開始信号を受信すると前記店舗等の入金者が利用する入金機を割り出すセンタ制御手段と、警備開始信号を受信するとともに前記割り出された入金機へ当該店舗の警備開始信号を送信する送受信手段を有することを特徴とする請求項1記載の入金者管理システム。
【請求項4】
前記入金機送受信手段が受信する警備開始信号は所定時間情報が含まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の入金者管理システム。
【請求項5】
店舗等に設けられた警備システムと店舗等外の所定の場所に設けられた入金機とからなる入金者管理システムにおいて、
前記警備システムは、店舗等の異常を検出するセンサと、店舗等の警備モードを設定するモード設定手段と、設定された警備モード信号を送信する制御手段とを有し、
前記入金機は、前記店舗等の入金者の入金処理を確定する設定手段と、前記警備システムの警備開始信号を受信するとともに異常信号を送信する入金機送受信手段と、前記入金機送受信手段が前記店舗等の警備開始信号を受信すると計時する計時手段と、前記入金者の照合を行うとともに警備開始時刻の所定時間前から当該警備開始時刻から所定時間経過後の時間帯に入金処理がなされているか否かを判定する入金機制御手段とを有することを特徴とする入金者管理システム。
【請求項6】
前記センタ制御手段は、警備開始時刻の所定時間前の第1の所定時間の方が当該警備開始時刻から所定時間経過後の第2の所定時間より長い時間が設定されていることを特徴とする請求項5記載の入金者管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−4385(P2006−4385A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183053(P2004−183053)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】