説明

全自動迅速顕微鏡用スライドスキャナ

【課題】試料の連続的スキャンから得られた画像ストリップを単一の連続したデジタル画像を構成するためにコンピュータ制御された顕微鏡スライドスキャナを用いて、顕微鏡試料全体を全自動で迅速なスキャンおよびデジタル化するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】光学顕微鏡システム10は、顕微鏡スライドスキャナ11を備え、該顕微鏡スライドスキャナ11はすべて、イネットワーク42に対して主要な接続を行っている。好ましい試料12は顕微鏡スライドである。照明光学系32および画像光学系34は回折限界のデジタル画像のために最適化された透過モード光学系と一致している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光学顕微鏡の分野に関し、特に、全自動迅速顕微鏡用スライドスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡の特有の制限は、観察フィールドと、接眼レンズを介して観察される試料の部分と、試料の観察される倍率とがトレードオフであることである。高開口数(NA)を備える高倍率の顕微鏡対物レンズは、拡大され且つ高解像の画像を顕微鏡使用者に提供するが、倍率の二乗に比例して倍率が増加すると、観察フィールドが劇的に減少する。1.25倍のような低倍率においてさえ、典型的な顕微鏡用スライドの小領域だけが、従来の顕微鏡の双眼鏡を通じて観察される。光学顕微鏡の観察フィールド制限の範囲は、サンプル又は試料の全観察を得るために、顕微鏡使用者が低倍率でスライドを手動スキャンすることを要求する。興味のある領域が低倍率の一つに現れたとき、試料の比例した小領域の拡大された高解像観察フィールドを得るために、顕微鏡使用者は高倍率対物レンズを手動で選択する。病理学者によって観察される組織学的試料のような試料に対して、病理学者が、試料について自分との向きを決めるために広い観察フィールドを備える低倍率対物レンズと、より詳細に試料を観察するために一つ以上の高倍率で視野の狭い対物レンズとにしばしば切換えることは普通である。
【0003】
広い観察フィールドと高倍率とを同時に達成するという光学顕微鏡の制限を克服するためのアプローチは、連続した観察フィールドから個々のデジタル画像を複数で捕えられ、広い観察フィールドを作るということである。スキャンシステムが試料を動かすために使用されているが、二次元スキャン電荷結合素子(CCD)カメラのような方形の光学センサが所望倍率での各観察フィールドの画像を捉える。これらの小さな観察フィールド(これ以降、画像タイルと呼ぶ)を一つの一貫した画像に組立てるプロセスは、画像タイル化と呼ばれている。以前の画像タイル化システムは、米国特許4760385号(ジャンソンなど)に説明されたシステムのように、オペレータによって以前に且つ双方向に選択された試料の領域で捕えられた略36個のビデオフレーム画像タイルから連続した高解像タイル化画像を作ることに基づかれている。同じであるがより高度な画像タイル化システムが最近利用可能になっている。そのようにシステムの一つが、ベイカス・ラボラトリ社スライドスキャナ(これ以降BLISSと呼ぶ)の名前で、ベイカス・ラボラトリ社、ダウナーズ・グローブ、ILによって売り出されている。BLISSシステムの要素は、特許協力条約公報のWO98/39728及びWO98/44446に記載されている。
【0004】
BLISSシステムは、非常に低い倍率で得られた組織学試料の解剖学上の位置を、低倍率のタイル化画像やマクロ画像から病理学者によって双方向に選択された試料の領域の幾つかの高倍率視野に結合する必要性を有する病理解剖学者のために第一に設計されている。BLISSシステムによって、病理学者は、20倍又は40倍で捕えられた選択領域の選択された高解像ミクロ画像と、1.25倍で捕えられた低解像マクロ画像との間を素早く前後させることができ、従来の顕微鏡の病理学者の手動使用を再現させることができる。その代りに、BLISSシステムのユーザーインターフェースは、分離された分割スクリーンを表示するモニタに設けられている。それにより、病理学者には、マクロ視野が全体的に示され、マーカーは、現在の高倍率視野がどこにあるかを示している。タイル化画像は、結合されたデータ構造を作り出すために高倍率で幾つかの隣接した元の顕微鏡視野とともに、試料のマクロ視野全体を得るために最初の倍率で幾つかの隣接した元の顕微鏡視野を組立てることによって構築される。データ構造は、地図座標を用いて低倍率画像タイルをデジタルでスキャンすること及び蓄えること、及び地図座標を用いて高倍率画像タイルをデジタルでスキャンすること及び蓄えることによって得られる。さらに、病理学者は、高解像度で蓄えられた画像ピクセルの数をかなり減らすために、デジタルでスキャンすること及び蓄えることのために試料の診断上重要な領域だけを双方向に選択することができる。データ構造は、バーチャル顕微鏡スライドに似て、インターネットのようなネットワークを通じて離れたビューワーに移される。離れたユーザーは、一連の隣接したタイル化画像を備える。各画像タイルは、二つの異なった光学倍率で一つの小さな光学観察フィールドに実質的に等しい。
【0005】
BLISSシステムは、ニューヨークのソーンウッドにあるカールツワイス社によって販売されたアキシオプラン2(Axioplan−2)顕微鏡システムのような、コンピュータ制御された自動顕微鏡に一体化されている。この種のハイエンドの顕微鏡は、照明サブシステム、フォーカスサブシステム、顕微鏡対物レンズサブシステム、フィルターサブシステム、最適なケラー照明を実現するために使用される複数のフィールドやコンデンサ絞り又は光学ストップを含む、幾つかのサブシステムのコンピュータ制御を可能にする。基本的に、顕微鏡の全ての可動要素は、コンピュータ制御され、そして原則として、インターネットを介して離れた場所から制御される。全ての絞りの位置やフォーカス及び照明レベルのような他の設定は、コンピュータに蓄えられ、手動をはさむことなく顕微鏡の対物レンズを変えることを可能にする。BLISSシステムは、優れた位置決め性を提供するために位置用エンコーダ及び閉ループフィードバックコントロールを用いて、0.1μmの位置決め精度を達成するコンピュータ制御された2軸(上下左右の動きに対するx/y)の平行移動ステージを備えている。752×480ピクセルのCCDカメラ及び画像フレーム取込み器がBLISSシステムに一体化されている。
【0006】
画像タイルに基づいているので、BLISSシステムは、画像タイルアプローチの幾つかの既知の不利な点がある。例えば、BLISSシステムの第一の不利な点は、タイル化されたデータ構造を得るために時間(典型的には20分以上)がかかることである。これらの時間見積は、手動をはさむ間に、例えば、低倍率マクロ画像の選択領域から高倍率タイル化画像を得る前に、受けるさらなる遅延が考慮されていない。タイル化は、単一の視野の幅に等しい個々のステップにおいて、及び、BLISSシステムで使用されるCCDカメラのような静止二次元スキャンカメラについては、電動ステージ上にあるスライドを動かすことを含んでいる。画像タイルは全てのステップで得られる。個々の画像は、興味のある領域の大きな継ぎ目のない画像を作るために共にタイル化される。画像のタイル化は、画像が捕えられている間に試料とカメラとの間での相対的な動きを最小にする必要があるために、時間がかかる。相対的な動きの主たる原因は、一連の停止及び進行という命令を出したあとでの、機械的位置決めステージの設定時間である。容認できない汚れのない画像を得るためには、理想的には一つより少ないピクセル内に、ステージが定着されるまで待つことが必要である。例えば、40倍で、1/2インチ型CCDで捕えられた画像タイルの幅は、試料の160μmに対応する。この倍率で、752ピクセルのワイドCCDでの個々のピクセルは、試料の約0.2μmの範囲を定める。単一のタイル化工程は、機械的なステージの関連した加速・減速で、160μmという相対的に大きな移動を必要とする。画像の汚れを避けるために、画像タイルは、機械的なステージが動きの一つより少ないピクセルすなわち約0.2μmに定着されたあとに捕えられるべきである。米国特許5912699号(ハエンガ等)は、ストロボ光と同期した従来の二次元スキャンカメラを用いて画像タイルを結合する他の方法を提案することによって、従来の画像タイル化システムのこのよく知られた設定時間制限に取り組んでいる。タイル化システムのBLISSシステムを含む遅い捕捉時間は、初期の非常に低倍率のマクロ画像の捕捉と高倍率捕捉に対する小領域のその後の選択との間に広範囲な手動をはさむことで、画像タイル化の有用性を二つのステップのプロセスに制限する。
【0007】
タイル化システムに関係した遅い捕捉時間は、タイル化されたデータ構造を作るプロセスの間に手動をはさむ必要があるという、BLISSシステムの第二の不利な点である。1.25倍という非常に低い顕微鏡対物レンズ倍率でスライドをプレスキャンしたあと、BLISSシステムの操作者は、高倍率対物レンズを用いて、スキャンされるべき興味のある関連領域に対するマクロ画像を調べる。手動をはさむことの動機は最終データ構造の大きさを制限することであるが、手動をはさむことは合理的な時間で得られる小さな領域を画定するのに絶対的に必須である。例えば、20倍で顕微鏡スライドを完全にスキャンためにBLISSシステムを使用することは、捕捉時間を考慮するために、実用的ではない。20倍では、752×480ピクセルの1/2インチ型二次元スキャンCCDを用いて、顕微鏡スライドの2インチ×1インチの領域をデジタル化するために、約16300の個別画像タイルを捕捉しなければならない。各画像タイルを得るために約1秒かかることを仮定すると、停止及び進行の命令の16300の繰り返しのそれぞれに関連した相対的に長い機械的設定時間も手伝って、トータルの捕捉時間は4時間30分になるであろう。40倍では、捕捉時間が4倍になって18時間になるであろう。10倍でさえも、捕捉時間が1時間を越えるであろう。しかしながら、BLISSシステムの1.25倍という非常な低倍率では、64の画像タイルだけが、顕微鏡の2×1インチ領域のマクロ画像を作るために必要である。マクロ画像に対するトータルの捕捉時間は約1分である。
【0008】
捕捉時間制限が低倍率のマクロ画像の捕捉を必要とすることを理解すると、高倍率で捕捉されるべき小さな領域のこのマクロ画像から双方向に選択することに続いて、BLISSシステムの第三の不利な点が明らかになる。この第三の不利な点は、低倍率のマクロ画像から興味のある領域を位置決めすることが、解剖学的基準情報が利用可能である試料に制限されていることに存する。BLISSシステムは、Pap汚れのような非組織学的試料に対する制限された有用性を有している。なぜならば、そのような細胞試料がもともと解剖学的位置についての情報を欠いているからである。そのような試料において、細胞は、顕微鏡スライドの広い領域にわたって多かれ少なかれランダムに分布している。画定する能力なく、マクロ画像を用いて、特定の小さな領域が高倍率でタイル化されているほど、代りのものが試料全体をスキャンし且つデジタル化する。しかしながら、前に説明したように、画像タイル化方法で必要とされた長い捕捉時間は、この代りのものを仮想的に非現実的にする。別の言いかたをすれば、高倍率での画像タイル化に対して顕微鏡スライドの特定且つ重要な小領域を画定するために手動をはさむことや細胞学的試料の不可能性がなく、タイル化アプローチは制限された有用性を有する。手動をはさまない、全自動スキャン顕微鏡スライドのシステムを人は好むであろう。そのようなシステムは、スライドが解剖学的基準情報を含むか否かにかかわらず、顕微鏡スライドの全タイプに適しているであろう。
【0009】
BLISSシステムの第四の不利な点は、複雑であることや高価であることである。BLISSシステムは、規格品の部品から大部分できている。規格品の部品は、複数の対物レンズと高価な閉じたx/yのステージ制御ループを備える、ハイエンドで、全自動の第三者の顕微鏡を含む。BLISSシステムの提示された消費者価格は約10万ドルである。BLISSシステムの複数の自動要素は、高価な自動化にもかかわらず、操作及び維持の難しい複雑なシステムを示している。簡単で信頼性が高くて、BLISSシステムのコストの約1/3で利用可能となる顕微鏡スライドスキャンシステムを、人は好む。
【0010】
従来の顕微鏡に基づいたあらゆる顕微鏡スライドスキャンシステムの幾つかの制限は、BLISSシステムのコスト的に不利な点に固有である。BLISSシステムの最も高価な部品は、自動化された顕微鏡それ自身である。全自動顕微鏡をBLISSシステムに組み入れる理由の一つは、顕微鏡の対物レンズタレットが自動的に回転して顕微鏡の対物レンズを変える(例えば1.25倍〜40倍)とき、多くの設定を自動的に変更するために必要である。顕微鏡の対物レンズを変えるときに典型的な顕微鏡は、異なった最適なフォーカス面を有し、ケラー照明を達成するために、フィールド及びコンデンサの絞りの新しい設定を必要とする。異なった照明強度は、CCDのダイナミックレンジを最適に満たすために必要である。顕微鏡の対物レンズを変える必要性が除去されたならば、そのような高価な自動化の必要性が除去される。人は、伝統的な光学顕微鏡の視野制限のフィールドに打ち勝つだけでなく、顕微鏡の複数の対物レンズの必要性を除去することができ、BLISSのような画像タイル化システムを越える十分なコストの利点を備える素早いスキャン方法を好む。単一の顕微鏡の対物レンズの必要性は、伝統的な顕微鏡の光学系によって強いられた制約を削除することに極めて関係している。人は、顕微鏡スライドがスキャンし、回折限界の解像度でデジタル化すること、すなわち、顕微鏡の対物レンズの解像度で利用可能な全ての可能な空間詳細がデジタル画像で捕えられることを確実にする光学設計に基づいたシステムを好む。いったん、回折限界のデジタル画像が捕えられたならば、悪化した低い解像度と倍率の画像は、標準的なコンピュータアルゴリズムを用いて、作られる。
【0011】
多くの顕微鏡の応用において、試料全体又は試料の大部分は、欠陥、特別な対象物又は異常な細胞のような対象の存在又は存在しないことを調べることが必要である。それに続く高解像度調査で興味のある特定の領域を同定するために、試料の大部分又は試料全体が低解像度(典型的には10倍〜20倍)で手動スキャンしなければならないとき、顕微鏡は、労働集約的なものである。単一フィールドの拡張された手動スクリーニング又は連続した観察によって、目の疲れ、疲労、生産性及び正確さに悪影響を及ぼす視覚順化が起こる。それに続く高解像度調査で興味のある関連の領域を素早く見つけ且つ位置決めすることの問題は、顕微鏡を、一次元に配置された補助検出器及び自動位置決めテーブルに結合させた従来のリアルタイムのスキャンシステムを使用することで、取り組まれている。それらの全てがコンピュータ制御されている。米国特許5922282号(レドレイ等)で説明されたシステムのような幾つかのアプローチは、対象物(この場合、特製のガラス顕微鏡スライド上にあるマイコバクテリア)の再配置を可能にする物理的スライドの領域上で見つけられた関連対象物のx/yステージの座標を蓄えることに基づいている。5μmステップで動くステージに同期された一次元スキャンカメラで測定された強度情報に適用されている特化されたリアルタイムパターン認識回路を用いて、マイコバクテリアのx/y座標が得られる。その代りに、ビデオカメラのような二次元スキャンセンサが、類似した回路とともに、選択された対象物のx/y座標を導くための基礎として使用される。後者の場合、ステージは、タイル化方法で要求されたステージ移動に似て、完全な画像フィールドに対応した大きなステップで動かされる。瞬間的な自動フォーカス制御を用いて、フォーカスが維持される。米国特許4700298号(パルシック等)に記載された他のシステムは、組織フラスコで成長する細胞のx/y座標をリアルタイムで記録する目的で広い領域をスキャンするために、オートフォーカス手段を備えた、市販の顕微鏡に取り付けられた一次元配置のCCDを用いる。これらの既知の方法及びシステムは、全て、スキャン過程の間に得られ且つ処理されたデジタル情報のリアルタイム分析に基づいている。多くの場合、特化された回路が、リアルタイムで決定することを可能にする一次元配置の検出器から読み出された強度データを直ちに処理するために使用される。他の新規なアプローチは、手動スライドスキャンの労働集約的な面を自動化するのに十分な光学解像度で顕微鏡スライド全体の大きな隣接画像を素早く組立てるために、一次元配置センサを使用することである。手動スライドスキャンの代替物として使用されるシステムを、デジタル画像処理方法とともに、人は好む。
【0012】
顕微鏡スライドの手動スキャンに関係した他の共通の問題は、スライドの部分がスライドのx/yの手動スキャンの間に容易にミスすることである。特にスライドが顕微鏡から除去されたあと、前に同定したセルに再配置することは難しい。x/yの手動スキャンの間にスライドのあらゆる領域をミスしないという問題は、x/y位置及び手動で調べられる物理的スライドの領域の滞留時間を記録する品質保証システムを位置エンコードし、このように失敗したか早く観察できるスライドの領域を強調表示することによって取り組まれている。米国特許5793969号(カメンツキ等)は、科学技術者によって再観察されるPap汚れスライドの品質保証方法を説明している。この方法は、スライド再観察の間に科学技術者によって訪問された全てのフィールドのx/yステージ座標を記録すること、及び、相対的スライド滞留時間のx/y地図を作ることに基づいている。
【0013】
顕微鏡スライド全体を素早くスキャンし且つデジタル化することのできる簡単で信頼性の高いシステムに対する明確な必要性が、存在する。スキャン及びデジタル化は、顕微鏡スライドのスキャン及びデジタル化に相当する光学解像度でなされるべきである。これにより、スライド全体を手動スキャンする代りに又はそれに加えて、デジタルイメージデータセットに画像処理アルゴリズムを適用することを可能にする。理想的には、そのようなシステムは、画像捕捉プロセスの間に手動をはさむことを要求するべきでない。そのようなシステムは、スライドが解剖学的基準情報を含むか否かにかかわらず、あらゆるタイプの顕微鏡試料に適するべきである。理想的には、そのようなシステムは、従来のシステムより低コストである。そのようなシステムは、従来の市販の顕微鏡の制限及び特有のコストによって制約されるべきでない。それは回折限界のデジタル画像の捕捉を可能にする光学設計を可能にする。本発明の第一の目的は、これらの必要性を解決し且つ関係する利点を与えることである。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、コンピュータ制御された顕微鏡スライドスキャナの部分である位置決めステージと同期した一次元配置検出器を用いて、顕微鏡試料全体、すなわち実質的に大部分の顕微鏡試料の迅速スキャン及びデジタル化を完全自動化するための装置及び方法を提供する。さらに、本発明は、試料の一連のスキャンから得られた画像ストリップを単一の連続したデジタル画像に組み立てる方法を提供する。さらに、本発明は、試料全体の低倍率のマクロ画像とともに、異なった倍率でこの大きなデジタル画像のサブ領域を静的に表示する方法を提供する。さらに、本発明は、連続したデジタル画像の部分を、操作者の相互作用の有無で、動的に表示する方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、スキャナの全ての要素は、インターネットか又はローカルインターネットのようなネットワークへの第一の接続を有する単線で囲った部分である。この実施形態において、好ましい試料の形態は、顕微鏡スライドであり、照明及び結像光学系は、回折限界のデジタル結像を最適化する透過モード光学系と一致している。
【0015】
本発明を実行するためのベストモード
本発明の目的、利点、及び特徴は、添付図面とともに読むときに、以下の詳細な説明から容易に理解されるであろう。
【0016】
まず、図1を参照すると、本発明に係る光学顕微鏡システム10の好ましい実施形態のブロック図が示されている。システム10の心臓部は、試料又は試料12をスキャンし且つデジタル化する顕微鏡スライドスキャナ11である。試料12は、光学顕微鏡によって調べられるあらゆるものである。例えば、試料12は顕微鏡スライド又は光学顕微鏡によって調べられる他の試料タイプである。顕微鏡スライドが、組織や細胞、染色体、DNA、蛋白質、血液、骨髄、尿、バクテリア、ビーズ、生検材料、生きているか死んでいるか、汚れているか錆ていないか、標示付きか標示なしかである他のタイプの生物学的な材料又は物質を含む試料に対する観察基板としてしばしば使用される。試料12は、マイクロアレイとして良く知られた全ての試料を含む、DNA又は、cDNAかRNAかあらゆるタイプのスライド又は他の基板の上に堆積蛋白質のようなDNAに関連したあらゆるタイプの配置である。試料12はマイクロタイター板(例えば96ウェル板)であってもよい。試料12の他の具体例は、集積回路基板、電気泳動レコード、ペトリ皿、フィルム、半導体材料、法医学材料または機械加工部品を含んでいる。
【0017】
スキャナ11は、電動ステージ14、顕微鏡対物レンズ16、一次元スキャンカメラ18およびデータ処理装置20を含んでいる。試料12はスキャン用の電動ステージ14の上に配置される。電動ステージ14は、データ処理装置20に順番に接続されるステージコントローラ22に接続される。データ処理装置20は、ステージコントローラ22によって電動ステージ14上の試料12の位置を決定する。現在の好ましい実施形態では、電動ステージ14は、少なくとも試料12の平面にある2つの軸(x/y)にある試料12を動かす。光学のZ軸に沿った試料12の微小な動きは、スキャナ11の適用に、例えば焦点制御のために必要かもしれない。Z軸動きは、Polytec
PIからのPIFOC、またはPiezosystem JenaからのMIPOS 3のようなピエゾのポジショナー24で好ましくは達成される。ピエゾのポジショナー24は、顕微鏡対物レンズ16に直接に取り付けられ、データ処理装置20に接続され、且つ、ピエゾのコントローラ26によってデータ処理装置20によって監督される。粗い焦点調節を提供する手段も必要であってもよく、電動ステージ14または手動のラック・アンド・ピニオンの粗い焦点調節(示されない)の一部としてZ軸ムーブメントによって提供することができる。
【0018】
現在の好ましい実施形態では、電動ステージ14は、滑らかな運動および優れた直線および平面精度を提供するために、玉軸受一次元法を備えた高精度位置決めテーブルを含んでいる。例えば、電動ステージ14は、互いのトップに積み重ねられた2つのダエダル(Daedal)モデル106004テーブルを含む。他のタイプの電動ステージ14は、スキャナ11に適しており、玉軸受とは第二方法で積み重ねられた単一軸ステージ、中央が開いており試料の下からの透過照明に特に適している単一軸または複数軸の位置決めステージ、又は複数の試料を支持することのできる大きなステージを含んでいる。現在の好ましい実施形態では、電動ステージ14は2つの積み重ねられた単一の軸位置決めテーブルを含んでおり、各々は、2ミリメートルの親ネジおよびネマ(Nema)23ステッピングモータに連結されている。毎秒25回転という最大の親ネジ速度で、電動ステージ14上の試料12の最大速度は、毎秒50ミリメートルである。大きな直径(例えば5ミリメートル)を備えた親ネジの選択は、最大速度を毎秒100ミリメートル以上に増加させることができる。電動ステージ14は、システムにかなり費用を加えるという欠点を有している機械的又は光学的位置エンコーダを具備することができる。従って、現在の好ましい実施形態は位置エンコーダを含んでいない。しかしながら、人がステッピングモータの代わりのサーボモータを用いるのであれば、人は適切なコントロールのために位置フィードバックを用いなければならないだろう。
【0019】
データ処理装置20からの位置コマンドは、ステージコントローラ22における、モータ電流または電圧コマンドに変換される。現在の好ましい実施形態では、ステージコントローラ22は2軸のサーボ/ステッパーモーターコントローラ(Compumotor
6K2)および2つの4アンプのマイクロステッピング駆動装置(Compumotor
OEMZL4)を含んでいる。マイクロステッピングは、1.8度の比較的大きな単一のモータ・ステップよりはるかに小さなインクリメントにおけるステッパーモーターを命令するための手段を備える。例えば、100のマイクロステップでは、試料12は、0.1マイクロメータと同じ小さなステップで移動することを命令することができる。25,000のマイクロステップは、本発明の現在の好ましい実施形態で用いられる。また、より小さなステップサイズは可能である。電動ステージ14およびステージコントローラ22の最適な選択が、試料12の特性、試料をデジタル化するための所望時間、および試料12の得られたデジタル画像の所望の解像度を含む多くの要因に依存することは明らかに違いない。
【0020】
顕微鏡対物レンズ16は一般に利用可能なあらゆる顕微鏡対物レンズであってもよい。当業者は、どの対物レンズを用いるべきかの選択が特別の状況に依存するだろうということを理解するだろう。本発明の好ましい実施形態では、顕微鏡対物レンズ16は無限修正タイプのものである。
【0021】
試料12は、光源30及び照明光学系30を含んでいる照明システム28によって照明される。現在の好ましい実施形態における光源30は、フィルタ光出力を最大限にするための凹面反射鏡及び熱を抑えるKG−1を備えた可変強度ハロゲン光源を含んでいる。しかしながら、光源30は、また他のタイプのアークランプ、レーザーまたは他の光源でありえる。現在の好ましい実施形態における照明光学系32は、光軸に直角な2つの結合した平面を備えた標準のケラー照明システムを含んでいる。照明光学系32は、カールツワイス、ニコン、オリンパスまたはライカのような会社によって販売された最も商業上利用可能な複数顕微鏡上で見つけることができる明視野照明光学系の代表である。1セットの結合した面は、(i)光源30によって照明されたフィールド絞り口径、(ii)試料12の焦点面によって画定される対象面、および(iii)一次元スキャンカメラ18の光応答性要素を含む面を含んでいる。別の結合した平面は、(i)光源30の一部であるバルブのフィラメント、(ii)照明光学系32の一部であるコンデンサー光学系の前に配置されるコンデンサー絞りの口径、及び(iii)顕微鏡対物レンズ16の後ろの焦点面を、含んでいる。現在の好ましい実施形態では、試料12は、透過モードで照らされ且つ画像にされ、一次元スキャンカメラ18は、試料12によって放射される光学エネルギーか、反対に、試料12で吸収される光学エネルギーを感知する。
【0022】
本発明のスキャナ11は、試料12から反射される光学エネルギーを検出するのに適している。その場合、光源30、照明光学系32および顕微鏡対物レンズ16は、反射画像との適合性に基づいて選択されなければならない。したがって、可能な一つの実施形態は、試料12の上に位置決めする光ファイバーバンドルによる照明であってもよい。他の可能性は、モノクロメータによってスペクトルで規定される励起を含んでいる。顕微鏡対物レンズ16が位相差顕微鏡の顕微鏡使用と互換性をもつために選択されているならば、照明光学系32の一部であるコンデンサー光学系の少なくとも一つの位相停止の組み込みによって、スキャナ11が位相コントラスト顕微鏡に使用されることが可能になるだろう。当業者にとっては、微分干渉コントラスト及び共焦点顕微鏡のような他のタイプの顕微鏡に必要な修正は、容易に明白に違いない。全体として、スキャナ11は、適切であるがよく知られた修正で、光学顕微鏡のあらゆる既知のモードにおける微視的な試料の調査に適している。
【0023】
顕微鏡対物レンズ16と一次元スキャンカメラ18との間に、一次元スキャンカメラ18の光応答性要素の上にある顕微鏡対物レンズ16によって捕えられた光学信号に焦点を合わせる一次元スキャンカメラ合焦光学系34が位置している。現代の無限修正顕微鏡において、顕微鏡対物レンズと接眼レンズ光学との間にある、または顕微鏡対物レンズと外部の画像ポートとの間にある合焦光学系は、顕微鏡の観察チューブの一部であるチューブレンズとして知られている光学要素から成る。しばしば、コマまたは非点収差の導入を防ぐために、チューブレンズは複数の光学要素から成る。従来の有限の筒長光学系から無限修正光学系までの比較的最近の変化の動機の中の一つは、試料12からの光学エネルギーが平行である物理的なスペースを増加させることであり、この光学エネルギーの焦点ポイントが無限にあることを意味する。この場合、ダイクロイックミラーまたはフィルタのような付属要素は、光学パス倍率を変更せず、かつ、好ましくない光学人工品を導入せずに、無限スペースに挿入することができる。
【0024】
無限修正の顕微鏡対物レンズは、無限マークを典型的に記入される。無限修正の顕微鏡対物レンズの倍率は、対物レンズの焦点距離で除せられたチューブレンズの焦点距離の商から与えられる。例えば、9ミリメートルの焦点距離を備えた対物レンズが用いられるならば、180ミリメートルの焦点距離を備えたチューブレンズは20xの倍率となるだろう。異なる顕微鏡メーカーによって製造された対物レンズが互換性をもたないという理由の一つは、チューブレンズ焦点距離における標準化がないためである。例えば、オリンパス(180ミリメートルのチューブレンズ焦点距離を用いる会社)からの20x対物レンズは、200ミリメートルの異なる筒長焦点距離に基づくニコン顕微鏡上で20x倍率を提供しないだろう。代わりに、20xが刻まれて、9ミリメートルの焦点距離を有しているオリンパス対物レンズの有効な倍率は、対物レンズの9ミリメートルの焦点距離で200ミリメートルのチューブレンズ焦点距離を割ることにより得られた22.2xになるだろう。顕微鏡を取り外さずことなく、従来の顕微鏡上のチューブレンズの変更は、事実上不可能である。チューブレンズは顕微鏡の重要な固定要素の一部である。異なるメーカーによって製造された対物レンズと顕微鏡との間の非互換性へのもう一つの寄与する要因は、接眼レンズ光学系、試料が観察される双眼鏡の設計である。ほとんどの光学系の補正は顕微鏡対物レンズにおいて設計されているが、ほとんどの顕微鏡ユーザは、最良の可視像を達成するために、その同じメーカーの顕微鏡対物レンズと一つのメーカーの双眼鏡光学系とを一致させることにある利益があると確信し続けている。
【0025】
一次元スキャンカメラ合焦光学系34は、機械的なチューブの内部にマウントされたチューブレンズ光学系を含んでいる。その好ましい実施形態において、スキャナ11が、従来の視覚観察用の双眼鏡または接眼レンズを欠いているので、対物レンズと双眼鏡との間の潜在的な非互換性という従来の顕微鏡によって受けられた問題は、直接除去される。当業者は、いかなる接眼レンズも有していないことによって、顕微鏡の接眼レンズとディスプレイモニタ上のデジタル画像との間の焦点面の同一を達成する問題も除去されることを同様に理解するであろう。スキャナ11が試料12の物理的な境界によってだけ実際に制限された観察フィールドを提供することにより、従来の顕微鏡の観察フィールド制限を克服するので、現在のスキャナ11によって提供されるような全デジタルの画像顕微鏡における倍率の重要性が制限されている。一旦、試料12の一部分がデジタル化されたならば、その倍率を増加させるために、試料12の画像に、電気的なズームとして知られた数倍の電子倍率を適用することは簡単である。画像の倍率を電子的に増加させることは、画像を表示するために用いられるモニタ上にあるその画像サイズを増加させる効果を有する。あまりに大きな電子ズームが適用されるならば、ディスプレイモニタは拡大画像の部分だけを示すことができるだろう。しかしながら、まず第一にデジタル化されたオリジナルの光学信号になかった情報を表示するために電子倍率を用いることは可能ではない。スキャナ11の対物レンズの一つが高品質デジタル画像を提供することであるので、顕微鏡の接眼レンズによる視覚観察の代わりに、スキャナ11によって得られた画像の内容ができるだけ詳細な画像を含むことは重要である。解像度という用語はかかる画像詳細を記載するために典型的に用いられる。また、回折限界という用語は光学信号において利用可能な波長制限のある最大の空間の詳細を記載するために用いられる。スキャナ11は、チューブレンズ焦点距離の選択による回折限界のデジタル画像化を提供する。チューブレンズ焦点距離は、良く知られたナイキスト・サンプリング標準によれば、一次元スキャンカメラ18のような光を感知するカメラにおける個々の画素要素のサイズと、顕微鏡対物レンズ16の開口数とに一致する。倍率ではなく開口数が、顕微鏡対物レンズ16の解像度を制限する属性であることは有名である。
【0026】
具体例は、一次元スキャンカメラ合焦光学系34の一部であるチューブレンズ焦点距離の最適選択を図示するのを役立つであろう。前に説明した9ミリメートルの焦点距離を備えた20x顕微鏡対物レンズ16を再び考慮して、この対物レンズが0.50の開口数を有していると仮定すること。コンデンサーからの大幅な低下がないことを仮定すると、500ナノメーターの波長でのこの対物レンズの回折限界の解像力は、およそ0.6マイクロメータであり、よく知られたアッベ(Abbe)の関係を利用して得られる。一次元スキャンカメラ18が試料12の部分を検出するために用いられるとさらに仮定する。一次元スキャンカメラ18は、その好ましい実施形態において複数の14マイクロメータの2乗の画素を有する。サンプリング理論に従って、少なくとも2つのセンサ画素が最も小さな分解可能な空間の特徴に内在する必要がある。この場合、28マイクロメータで除されることにより得られて、46.7の倍率を達成するためにチューブレンズが選択されなければならない。それは0.6マイクロメータで除されることにより得られた2つの14マイクロメータの画素に一致する。最も小さな分解可能な特徴寸法である。したがって、最適のチューブレンズ光学の焦点距離は、約420ミリメートルであり、46.7×9とすることにより得られる。420ミリメートルの焦点距離を有するチューブレンズ光学系を備えた一次元スキャン合焦光学系34は、最良の可能な空間分解能を備えた画像を得ることができるであろう。20x対物レンズを用いて、顕微鏡で試料を観察することにより得られるであろうものに似ている。繰り返すために、スキャナ11は、高倍率の光学構成における従来の20x顕微鏡対物レンズ16を利用する。回折限界のデジタル画像を得るためにこの具体例では約47xである。より高い開口数(おおよそ0.75)を備えた従来の20x倍率対物レンズ16が用いられるならば、回折限界の画像のための必要なチューブレンズ光学倍率が約615ミリメートルである。68xの全体の光学倍率に対応する。同様に、20x対物レンズの開口数が0.3だけであるならば、最適のチューブレンズ光学倍率が約28xだけであろう。それは、およそ252ミリメートルのチューブレンズ光学焦点距離に相当する。一次元スキャンカメラ合焦光学系34はスキャナ11のモジュール要素であり、最適のデジタル画像化に必要なときに交換することができる。回折限界のデジタル画像化という利点は、例えば明視野顕微鏡への適用に特に重要な意義を持つ。明視野顕微鏡では、倍率の増加に伴う信号輝度の減少は、適切に設計された照明システム28の強度を増加させることにより、容易に補償される。
【0027】
ちょうど現在のスキャナ11に対して記載されているように、回折限界の画像化を達成するために、チューブレンズ倍率を有効に増加させる従来の顕微鏡に基づいたデジタル画像システムに、外部の倍率増加光学系を取り付けることは原則としては可能である。しかしながら、結果として生じる視野の減少は、受け入れがたいものであり、このアプローチを非変実的にする。更に、顕微鏡の多くのユーザが、独力でこれらの技術を有効に使用するために典型的には回折限界の画像化の詳細に関して十分に理解しない。実際上、接眼レンズを通して見ることができるものに似ているものに観察フィールドのサイズを増加させることを試みるために、デジタルカメラは、倍率を減少するオプティカルカプラーを備えた顕微鏡ポートに取り付けられる。ゴールが回折限界のデジタル画像を得ることであるならば、非拡大光学系を加える標準的な行為は間違ったステップである。
【0028】
従来の顕微鏡では、異なる解像度および倍率で試料を観察するために、異なるパワー対物レンズが典型的に用いられている。標準顕微鏡は、5つの対物レンズを保持する対物レンズ取り付け台を有している。現在のスキャナ11のような全くデジタル画像システムでは、最も高い望ましい空間解像度に対応する開口数を備えた単一の顕微鏡対物レンズ16も必要性がある。スキャナ11の現在の好ましい実施形態は、一つだけの顕微鏡対物レンズ16を提供する。一旦、回折限界のデジタル画像がこの解像度で捕えられたならば、いかなる望ましい低い解像度および倍率でも画像情報を示すために、標準のデジタル画像処理技術を用いることは簡単である。
【0029】
スキャナ11の現在の好ましい実施形態は、一次元配列で整列された1024ピクセル(画素)を備えたダルサ・スパーク(Dalsa SPARK)の一次元スキャンカメラ18に基づく。各ピクセルは14×14マイクロメータの寸法を有している。あらゆる他のタイプの一次元配列は、カメラの一部としてパッケージにされたか、画像化電子モジュールに顧客注文で統合されているとしても、用いることができる。現在の好ましい実施形態における一次元配列は、8ビット量子化を有効に提供する。しかし、より高いかより低いレベルの量子化を提供する他の配列も用いられる。3チャネルの赤・緑・青(RGB)の色情報または時間遅れ積分(TDI)に基づいた代りの配列も用いられる。TDI配列は、試料の前の画像化領域からの強度データを合計して、積分ステージ数の平方根に比例しているSNRを増加させることにより、出力信号において実質的によりよい信号対雑音比(SNR)を提供する。TDI配列は、一次元配列の複数ステージを含むことができる。TDI配列は、24、32、48、64、96、またはそれより多くのステージで利用可能である。スキャナ11は、512ピクセルのもの、1024ピクセルのもの、4096ピクセルのものを含む様々なフォーマットで製造される一次元配列をサポートする。照明システム28および一次元スキャンカメラ合焦光学系34への適切であるがよく知られた修正が、大きな配列を提供するために必要とされるかもしれない。様々なピクセルサイズを備えた一次元配列もスキャナ11で用いることができる。あらゆるタイプの一次元スキャンカメラ18を選択するための顕著な要件は、高品質像を得るために、試料12のデジタル化の間に、試料12が一次元スキャンカメラ18に対して動くことができるということであり、先行技術で既知の従来の画像タイル化アプローチの静止の要件を克服する。
【0030】
一次元スキャンカメラ18の出力信号はデータ処理装置20に接続される。現在の好ましい実施形態におけるデータ処理装置20は、ビデオカードまたはフレーム取込み器のような少なくとも一つの信号デジタル化電子基板を支持するために、付随的な電子装置(例えばマザーボード)を備えた中央処理装置を含んでいる。現在の好ましい実施形態では、ビデオカードはEPIX
PIXCID24 PCIバスのビデオカードである。しかし、EPIX基板の代わりに用いることができる、様々なメーカーからの他の多くのタイプのビデオカードまたはフレーム取込み器がある。他の実施形態は、ビデオカードをすべて無視し、かつハードディスクのようなデータ記憶装置3にデータを直接格納するために、Firewireとして知られているIEEE
1394のようなインタフェースを用いる一次元スキャンカメラであってもよい。
【0031】
データ処理装置20も、データの短期間格納のためにランダムアクセス記憶装置(RAM)のようなメモリ36に接続され、長期的なデータ記憶のためにハードドライブのようなデータ記憶装置38に接続される。さらに、データ処理装置20は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)のようなネットワーク42、広域ネットワーク(WAN)、大都市圏ネットワーク(MAN)、イントラネット、エクストラネットまたはグローバルなインターネットに接続される通信ポート40に接続される。メモリ36およびデータ記憶装置38も互いに接続される。また、データ処理装置20は、一次元スキャンカメラ18およびステージコントローラ22のようなスキャナ11の重要な要素を制御するために、すなわち様々な画像処理機能、画像解析機能またはネットワーキングのために、計算機プログラムをソフトウェアの形で実行することができる。データ処理装置20は、Windows(登録商標)、Linux、OS/2、Mac
OSおよびUnix(登録商標)のようなOSを含むあらゆるOSに基づくことができる。現在の好ましい実施形態では、データ処理装置20は、Windows
NTというOSに基づいて作動する。
【0032】
データ処理装置20、メモリ36、データ記憶装置38および通信ポート40は、各々従来のコンピュータに見られる要素である。ある具体例は、Pentium(登録商標)
III 500MHzのプロセッサおよびRAMの756メガバイト(MB)以内を特色とするデル・ディメンジョンXPS
T500のようなパーソナルコンピュータである。現在の好ましい実施形態では、コンピュータ、データ処理装置20を含む要素、メモリ36、データ記憶装置38および通信ポート40は、すべてスキャナ11に内部にある。その結果、システム10の他の要素に対するスキャナ11の接続部だけが、通信ポート40である。スキャナ11の他の実施形態では、コンピュータ要素は、コンピュータ要素とスキャナ11との間で対応する接続を備えたスキャナ11の外部にある。
【0033】
スキャナ11は、本発明の現在好ましい実施形態では、光学顕微鏡による検査、デジタル画像化、電動試料の位置決め、計算、及び単一のカバーのユニットにネットワークベースの通信を行なうことを統合する。データの入出力の検出部と同じ通信ポート40を備えた単一のカバーのユニットのようなスキャナ11をパッケージすることの主な利点は、複雑さを減らし、信頼性を高めることである。スキャナ11の様々な要素は、従来の顕微鏡ベースの画像システムと対比して、ともに機能するように最適化される。従来の顕微鏡ベースの画像システムでは、顕微鏡、光源、電動ステージ、カメラおよびコンピュータが異なるベンダーによって典型的に提供され、多くの組み込みおよびメンテナンスを必要とする。
【0034】
通信ポート40は、システム10の他の要素との迅速な通信手段を提供し、ネットワーク42を含む。通信ポート40用の現在の好ましい通信プロトコルは、伝送制御およびインターネットワーキング用のTCP/IPプロトコルと一緒に、イーサーネットのようなキャリヤーセンスの共同利用の競合検出プロトコルである。スキャナ11は、あらゆるタイプのトランスミッション媒体で作動することを意図しており、広帯域、ベースバンド、同軸ケーブル、撚線対、光ファイバー、DSLまたはワイヤレスを含んでいる。
【0035】
現在の好ましい実施形態では、スキャナ11のコントロール、およびスキャナ11によって捕えられた画像データの再検討は、ネットワーク42に接続されるコンピュータ44上で行なわれる。オペレータに画像情報を提供するために、コンピュータ44は、その現在の好ましい実施形態では、ディスプレイモニタ46に接続される。複数のコンピュータ44は、ネットワーク42に接続される。現在の好ましい実施形態では、コンピュータ44は、AOLからのネットスケープ・コミュニュケータ又はマイクロソフトからのインターネット・エキスプローラーのようなネットワーク・ブラウザーを用いて、スキャナ11と通信する。画像は、最も商用ブラウザーに既に組み込まれる標準的な画像圧縮方法と互換性がある画像フォーマットであるJPEGのような共通の圧縮形式でスキャナ11に格納される。他の標準または非標準か、損失があるか、損失がないか、画像の圧縮フォーマットは作動するだろう。現在の好ましい実施形態では、スキャナ11は、スキャナ11からコンピュータ44へ送られるウエブページに基づくオペレータ・インタフェースを提供するウエブサーバーである。画像データの動的な再調査のために、スキャナ11の現在の好ましい実施形態は、マイクロソフトからのメディア・プレイヤー、アップルコンピュータからのクイックタイム、あるいはリアルネットワークからのリアルプレイヤーのようなソフトウェアパッケージと互換性のある標準的な複数フレームのブラウザを用いて、コンピュータ44に接続されたディスプレイモニタ46についての再調査のために、画像データの複数フレームを再生することに基づいている。現在の好ましい実施形態では、コンピュータ44上のブラウザは、伝送制御のためのTCPと一緒に、ハイパーテキスト・トランスミッション・プロトコル(http)を用いる。
【0036】
スキャナ11がコンピュータ44または複数のコンピュータと通信することのできる、様々な手段およびプロトコルが現在及び将来に存在するであろう。現在の好ましい実施形態は、標準的な手段およびプロトコルに基づいているが、アプレットとして知られている一つまたは複数のカスタマイズされたソフトウェア・モジュールを開発する方法が、実現可能であり、スキャナ11の選択された将来の適用に好ましい。さらに、コンピュータ44は、パーソナルコンピュータ(PC)のような特定の型式であること、デルのようなあらゆる特定の会社によって製造されたものであるという制約はない。標準化された通信ポート40の利点の一つは、共通ネットワークブラウザ・ソフトウェアを操作するあらゆるタイプのコンピュータ44がスキャナ11と通信することができるということである。
【0037】
人が望むならば、スペクトルで分解された画像を得ることは、スキャナ11にある修正を行なうことで可能である。スペクトルで分解された画像は、スペクトルの情報がすべての画像ピクセルで測定される画像である。スキャナ11の一次元スキャンカメラ18を、光学スリットおよび画像分光器に置換することにより、スペクトルで分解された画像が得られる。画像分光器は、検出器の行のそれぞれに沿って光学スリットに合焦される光学信号を分散させるためにプリズムまたは回折格子を用いることにより、画像ピクセルのカラム用の波長に特有の強度データを捕らえるために、二次元のCCD検出器を用いる。
【0038】
さて図2を参照すると、本発明に係る光学顕微鏡による検査システム10の別の実施形態のブロック図が示される。このシステム10では、スキャナ11は、図1で示される現在の好ましい実施形態より、複雑で高価である。示されるスキャナ11の追加の属性は、必ずしも、正確に機能するあらゆる他の実施形態に存在している必要はない。図2は、スキャナ11に組み入れることができた追加の特徴および能力の合理的な具体例を提供することを意図している。
【0039】
図2の他の実施形態は、図1の現在の好ましい実施形態より大幅に自動化されたものを提供する。照明システム28のより完全なレベルの自動化は、データ処理装置20と光源30および照明システム28の照明光学系32との間での接続によって達成される。光源30への接続は、光源30の強度を制御するために、開いているか閉じたループのように、電圧又は電流を制御する。現在の好ましい実施形態では、光源30がハロゲン・バルブであることを思い出すこと。データ処理装置20と照明光学系32との接続は、最適のケラー照明が維持されることを保証する手段を提供するために、フィールド絞り口径およびコンデンサー絞りの閉ループ制御を設ける。
【0040】
蛍光画像にスキャナ11を使用することは、光源30、照明光学系32および顕微鏡対物レンズ16に対して容易に認識された修正を必要とする。図2の第二の実施形態は、また励起フィルタ、二色フィルタおよびバリアーフィルタを含む蛍光フィルタ立方体50を提供する。蛍光フィルタ立方体50は、一次元スキャンカメラ合焦光学系34と顕微鏡対物レンズ16との間に存在する無限修正ビーム・パスに位置決めされる。入手可能な様々な蛍光性染料またはナノクリスタルに適切なスペクトルの励起を提供するために、蛍光画像に関する一つの実施形態は、照明光学系32にフィルタ・ホイールまたはチューナブルフィルターの追加を含むことができる。
【0041】
画像化パスに少なくとも一つのビームスプリッター52を追加することによって、光学信号が少なくとも2つのパスに分割される。前に説明したように、一次元スキャンカメラ18による回折限界画像化を可能にするために、主要なパスは一次元スキャンカメラ合焦光学系34を経由する。第二のパスは、二次元スキャンカメラ56によって画像化するために二次元スキャンカメラ合焦光学系54を経由して提供される。これらの2つの合焦光学系の適切な選択が、異なるピクセルサイズを有している2つのカメラ・センサによる回折限界画像化を保証できることは、明白である。二次元スキャンカメラ56は、現在利用可能な多くのタイプの一つであり、単純なカラー・ビデオカメラ、高機能で冷却されたCCDカメラ、または可変積分時間の速いフレーム・カメラを含む。二次元スキャンカメラ56はスキャナ11に従来の画像システム構成を提供する。二次元スキャンカメラ56はデータ処理装置20に接続される。2つのカメラ、例えば、一次元スキャンカメラ18および二次元スキャンカメラ56が用いられるならば、両方のカメラ・タイプは、単一の二つの機能を兼ねたビデオカード、2つの異なるビデオカードまたはIEEE1394
のFirewireインタフェースのいずれかを用いて、データ処理装置に接続される。その場合には、一つまたは両方のビデオカードは必要ではないかもしれない。また、データ処理装置20に画像化センサを接続するという他の関連した方法が、利用可能である。
【0042】
スキャナ11はネットワーク42を介してコンピュータ44に接続されが、例えばネットワーク42のない場合がある。ディスプレイモニタ58のようなローカルの出力装置にスキャナ11を直接に接続することができ、またスキャナ11のデータ処理装置20に直接に接続されるキーボードとマウスの60のようなローカルの入力装置を設けることできることは、有益である。この場合では、適切なドライバ・ソフトウェアおよびハードウェアが同様に提供されなければならないだろう。
【0043】
図2で示される第二の実施形態は、大幅に自動化された画像化性能を備える。スキャナ11の画像化が増強された自動化は、オートフォーカスというよく知られた方法を用いて、ピエゾのポジショナー24、ピエゾのコントローラ26およびデータ処理装置20を含む閉焦点制御ループにより達成される。第二の実施形態は、いくつかの対物レンズを提供するために電動の前金具62に備える。電動の前金具62は、データ処理装置20に接続され、前金具コントローラ64を通じてデータ処理装置20で監督される。
【0044】
組込まれるスキャナ11の他の特徴および能力がある。例えば、試料12のx/y平面において実質的に静止している顕微鏡対物レンズ16に関して試料12をスキャンする過程は、静止している試料12に関して顕微鏡対物レンズ16のスキャンすることを含むように修正される。試料12をスキャンすること、顕微鏡対物レンズ16をスキャンすること、又は試料12および顕微鏡対物レンズ16の両方を同時にスキャンすることは、前に説明したのと同様に試料12の大きな連続したデジタル画像を提供することができるスキャナ11の予定された実施形態である。
【0045】
スキャナ11は、多くのタイプの顕微鏡ベースの分析を自動化するための汎用プラットフォームを提供する。レーザー励起で試料12をスキャンすることを可能にするために、従来のハロゲン・ランプまたはアークランプからレーザーベースの照明システムに照明システム28を修正することができる。一次元スキャンカメラ18または二次元スキャンカメラ56に加えて又はその代わりに、光電子増倍管または他の非画像検出器の組み込みを含む修正が、試料12を備えたレーザー・エネルギの相互作用から生じた光学信号を検出する手段を提供するために用いられる。
【0046】
図3A〜3Cを参照すると、連続した画像ストリップが本発明に係る一次元配列検出器によって得られる方法が示される。図1の一次元スキャンカメラ18は、図3Aに示されるような一次元スキャンカメラ観察フィールド70を観察する。一次元スキャンカメラ観察フィールド70は、図3Bに示されるような一次元配列74に一次元で整列される多くの個々のピクセル要素72によって画像化されている図1の試料12の領域を含む。現在の好ましい実施形態の一次元配列74は、1024の個々のピクセル要素72を備え、ピクセル要素72のそれぞれは、14×14マイクロメータである。現在の好ましい実施形態の一次元配列74の物理的な寸法は、14.34ミリメートル×14マイクロメータである。スキャナ11の操作を説明するために、試料12と一次元スキャンカメラ18との間の倍率が10であると仮定すると、一次元スキャンカメラ観察フィールド70は、1.4マイクロメータ×1.43ミリメートルと等しい寸法の試料12の領域に相当する。各ピクセル要素72は、約1.4マイクロメータ×1.4マイクロメータの領域を画像化する。
【0047】
試料12をデジタルスキャンする間に、第一の画像ストリップ78から始まって、第二の画像ストリップ80が続いて、画像76をデジタル化するのに必要な最後の画像ストリップ82が得られるまで、画像ストリップ77のような画像ストリップで画像76が得られることを、図3Cは図示する。当業者は、スキャンが、頂部から底部に又は底部から頂部になされるか、試料上のいかなるポイントでスタートしてもよいことを理解するだろう。デジタルスキャンは、水平の画像ストリップよりも垂直の画像ストリップを含む。望ましいが、連続したやり方で画像ストリップを得る必要はない。画像76は試料12の全体または試料12の部分だけを含むことができる。スキャナ11の現在の好ましい実施形態では、図3Aに示されるように、スキャン及びデジタル化は、画像ストリップを交互にする進行方向84へ行なわれる。この種の双方向スキャンは、単一方向のスキャンより迅速なデジタル化プロセスを備え、スキャン及びデジタル化の方法は各画像ストリップの同じ進行方向84を必要とする。
【0048】
一次元スキャンカメラ18の能力は、スキャナ11の現在の好ましい実施形態と同様に、スキャンが二方向に行われるか、単一方向に行なわれるかを典型的に決める。単一方向のシステムは、しばしば、図3Bに示される3つのチャネル・カラー配列86またはマルチチャネルTDI配列88のような一つ以上の一次元配列74を含む。カラー配列86は、カラー画像を得るために必要なRGB強度を検出する。カラー情報を得るための他の実施形態は、3つのカラー・チャネルに広帯域の光学信号を分割するためのプリズムを用いる。速いデータ速度を維持している間、およびデジタル画像データの信号対雑音比の大きなロスなしで、一次元スキャンカメラ18の有効な積分時間を増加させる手段を提供するために、他の実施形態のスキャナ11において、TDI配列88が用いられる。
【0049】
図4を参照すると、本発明に係る光学顕微鏡による検査システム10の操作の単純化されたフローチャートが示されている。試料12はステップ200でスキャナ11に装填される。試料装填の最も単純な方法は、オペレータが電動ステージ14に物理的に試料12を置くか位置決めすることである。試料装填の最も高度な方法は、スキャナ11が、前に装填された試料カセットから一つ、または複数の試料12を自動的に装填することである。試料装填の他の実施形態は、従来技術で知られている。本発明の現在の好ましい実施形態では、試料装填は、システム費用および機械的な複雑さを減じるために手動で行なわれる。
【0050】
スキャナ11は、コンピュータ44から、または同様にスキャナ11の他の実施形態の一部であるボタンから出された命令によって、ステップ201で初期化される。デジタル化プロセスの所望の解像度、画像76を作成するためにデジタル化される試料12の部分、および関係したキャリブレーションファイルの名前を含む初期設定パラメータは、ステップ201でオペレータによって入力される。もし他に指示されないならば、スキャナ11は、試料全体をデジタル化することを失敗する。試料を装填し、スキャナを初期化した後、以下の画像収集プロセスにおいてオペレータの手動の介入が不要であることに注目することは重要である。
【0051】
試料12を画像76に自動スキャンおよびデジタル化することは、ステップ202〜210を含んでいる。これらのステップは、一度に一次元スキャンカメラ18から1ラインまたは画像ストリップで画像データの読み出しを同期させるデータ処理装置20によって結集されるが、試料12が、ステージコントローラ22で制御されている電動ステージ14で実質的に一定速度で移動されている。スキャナ11は、ステップ202で試料12の自動デジタル化を開始して、試料12の移動と、一次元スキャンカメラ18からの単一のライン画像の収集を行なう。試料12の予め決められた領域、例えば、図3Cで示されるように試料12の左上側のコーナーにおいてスタートする。ステップ202において、電動ステージ14は、前に説明した双方向すなわち前後に、一次元スキャンカメラ18に関して移動される。ステップ204の決定ブロックの制御ロジックは、画像ストリップ77のような画像ストリップの端が到達したかどうかを決定する。位置エンコーダからの位置フィードバックなしでこのロジックを実行する多くの可能な方法がある。例えば、一次元スキャンカメラ18によって読み取られた画像ラインの全数は、画像ストリップの端が到達したときを知る手段として用いられる。合計の経過したスキャン時間や、試料18の部分であるかまたは試料18に隣接して位置決めされたキャリブレーションマークのような他のパラメータが使用される。新しいスキャンのために電動ステージ14の位置を変える時間を示すために、光学リミットスイッチは、スキャナ11の現在の好ましい実施形態の電動ステージ14に設けられる。画像ストリップ77の端がステップ204に達していなければ、デジタル化プロセスは、ステップ202で、次のライン画像の収集を継続する。試料12は、デジタル化プロセスの間、略一定速度で移動し続ける。そして、いかなる必要な焦点調整も、ステップ206で示されるように機械的なステージ14の継続的な運動と並行して行なわれる。焦点が一つの画像ストリップから次のものに劇的に変わらないので、焦点調整は比較的ゆっくり且つ徐々に行われる。スキャナ11の操作の説明のために、10xの倍率でデジタル化される試料12の領域は、50ミリメートル×25ミリメートルであることを再び仮定すると、画像ストリップ77に似て、18個の画像ストリップ(各々が1.43ミリメートル×50ミリメートルの寸法である)が、画像76を生成するために得なければならない。各画像ストリップ77は、約36,000×18,000ピクセルを含み、全ての画像76は、約36,000×1024ピクセルの要素を含むだろう。画像76を作成するために試料12の所望部分をデジタル化するプロセスが終了しないならばおよびそのプロセスが終了するまで、ステップ208の決定ロジックによって決定されるように、新しいスキャンのための試料12の位置調整がステップ210で起こる。ステップ210は、新しいスキャン用の電動ステージ14を位置決めするために、ある画像ストリップから他の画像ストリップまで電動ステージ14を動かすことを含んでいる。
【0052】
画像76を得るのに必要な合計時間は、一次元スキャンカメラ18が情報をデジタル化することができるライン速度に比例する。スキャナ11の現在の好ましい実施形態では、ライン速度は、用いられるDALSA
SPARKモデルSP12−01K30では、毎秒27,600ラインであるか、または毎秒2830万個のピクセルである。毎秒27,600ピクセルのライン速度で、説明のために36,000×1024ピクセルを含む各画像ストリップ77は、約1.3秒(36,000/27,600)でデジタル化することができる。現在の実施形態における電動ステージ14は、X軸に沿って毎秒約38ミリメートルで移動して、これらの1.3秒の間に50ミリメートルの画像ストリップ77の全長をカバーする。画像76が18の画像ストリップ77を含むので、試料12の所望の部分をデジタル化するために、23.4秒が必要である。前に説明したように、本発明の好ましい実施形態で用いられているように、この時間は双方向の一次元スキャンカメラだけに有効である。一次元スキャンカメラは、X軸に沿った右から左まで、また左から右までスキャンすることができる。他の実施形態は、左からだけ右までスキャンすることができる、単一方向タイプの一次元スキャンカメラを利用することができる。この場合、電動ステージ14は、最大のステージ速度で、X軸に沿って同じ左基準位置に戻される。また、画像ストリップ77のような画像ストリップはすべて、左から右まで行く単一方向の方法で得られる。画像ストリップ77のような個々の画像ストリップのデジタル化を完成した後に、電動ステージ14は、減速し、停止して、Y軸に沿って下降し、次の画像ストリップをスキャンするために再び加速する。スキャンおよびデジタル化プロセスの間に電動ステージ14が実質的に一定速度で確実に移動するために、電動ステージ14が、スキャンされる各画像ストリップの始めと終わりで加速し減速することを時間及び距離において許容しなければならない。加速及び減速のために必要な付加的な時間は、電動ステージ14のX軸性能およびステージコントローラ22のX軸属性に依存する。現在の好ましい実施形態では、滑らかな運動および最小のピックとした動きのためにS字カーブプロファイルを用いると、加速および減速時間は、およそ0.7秒である。電動ステージ14の加速及び減速を考慮すると、ステップ210を含む新しいスキャンセット・アップの間に、一次元スキャンカメラ18がデジタル化されることになっている試料12の部分のエッジから移動することが必要である。新しいスキャン準備時間は、電動ステージ14の特別なY軸性能およびステージコントローラ22のY軸属性に依存し、発明の現在好ましい実施形態ではおよそ半分である。このように、18画像ストリップ×1.4秒によって得られた合計時間の25.2秒は、各画像ストリップの始めおよび終わりでX軸に沿って加速及び減速のために加えられる。また、さらに9秒が、次のスキャンのためにY軸に沿ってモーター駆動された位置を変えるために付け加えられる。したがって、現在の具体例で画像76を捕らえるのに必要なプロセスのすべての部分のために必要な合計処理時間は、双方向スキャン実施形態では約1分である。
【0053】
スキャナ11をさらに最適化すると、画像76の収集時間の合計がさらに最小化される。スキャナ11によって達成することができる画像収集時間は、一次元スキャンカメラ18のライン速度に部分的に依存する。現在の具体例の毎秒27,600ラインのライン速度では、各ライン画像が約0.04ミリ秒で捕えられる。50ワットのバルブを含む光源からの照明は、一次元スキャンカメラ上の十分な信号対雑音比で信号を登録するための十分な光を提供する。速い読み出し速度で、1ライン当たりの露光時間が減じられる。また、スキャナ11の照明システム28への改良および増強が必要かもしれない。同様に、光、例えば、蛍光がほとんど利用されないスキャナ11の適用では、有効なライン積分時間が増加しなければならない。TDIタイプの一次元スキャンカメラは、画像データの信号対雑音比の大きなロスなしで、速いデータ読み出しを維持する間に有効な積分時間を増加させる優れた手段を備える。
【0054】
速い一次元スキャンカメラは商業上利用可能で、速い電動ステージと同期することができる。代わりに、一次元配列74のような一次元配列(1024を越えるピクセル要素72を備える)の選択が、画像76を捕らえるためにスキャンされなければならない画像ストリップ数が減じられ、少数の加速及び減速のサイクルを必要とする。2048以上のピクセルを含む配列は、しばしば1024のピクセルを備えた配列より小さな比例したライン速度を有している。ライン積分時間を増加させる間に、画像捕捉時間の合計の減らすことなく、大きな配列の減少したライン速度は、電動ステージ14によって必要とされた最高速度を減じる2重の利益を有している。大きなフォーマット一次元配列の欠点は、大きくて高価な光学系および照明システムが、口径食および他の光学収差なしに、高品質の光学信号を備えることを必要とすることである。画像収集時間全体を減らすために複数のセンサを用いることは可能である。
【0055】
スキャナ11は、その現在の好ましい実施形態において、動的なオートフォーカスのコストおよび複雑さを除去するか最小化するために比較的大きな被写界深度を有する顕微鏡対物レンズを用いて、試料のデジタル化を行なう。0.15の開口数(NA)を備えた対物レンズの理論的な被写界深度は、20マイクロメータ以上である。被写界深度は、0.3に等しいNAで約5マイクロメータに低下し、0.5に等しいNAで約1.8マイクロメータに下がる。適度な開口数を備えた対物レンズを用いるときでさえ、適用に依存して、試料全体または試料12の部分は、焦点面を調節する必要がなく、スキャンされる。相対的に低いNAの対物レンズの選択は、試料12の広範囲な手動スキャンへの補助としてそれが用いられるスキャナ11の一つの適用と一致している。典型的には、かかる従来の手動スキャンは、低い開口数および低い倍率で行なわれる。試料12の画像76は、このように、試料12の選択された領域の高い解像度調査のための基礎としてコスト効率良く用いることができる。ステップ220を含む決定ロジックに基づいて、ステップ222で示された従来の光学顕微鏡またはステップ224で示されたスキャナ11の高解像度の実施形態のいずれかは、試料12の高解像度再調査のために用いられる。後者の場合では、動的なオートフォーカスが必要かもしれない。現在利用可能な計算能力を用いて、顕微鏡スライドのように試料12の全体、または試料12の大部分の高解像度デジタル化は実際的でないかもしれないし、コスト効率が良くないかもしれない。しかしながら、データ処理、メモリおよびデータ記憶装置の将来のコスト低減及び改良が、高解像度の迅速なデジタル化を現実のものにすると予想される。
【0056】
スキャン中に合焦することの必要性は、ステップ206で示されており、スキャナ11の特別な用途に非常に依存する。スキャナ11はキャリブレーション方法を用い、その方法では、予め決められる形およびサイズの標準化キャリブレーション試料がデジタル化される。また、最良の焦点は、従来技術でよく知られた方法を用いて、電動ステージ14のx/y位置の関数として決定される。スキャンおよびデジタル化プロセスの間に、顕微鏡対物レンズ16の位置は、このx/y焦点地図に従って移動される。オートフォーカスにする様々な方法が、試料12に関して顕微鏡対物レンズ16の相対的な位置を変更するために用いられる従来技術において知られている。本発明の現在の好ましい方法は、その代りに、商業上利用可能なピエゾのポジショナー24を用いて、顕微鏡対物レンズ16を移動させることであるが、電動ステージ14の垂直z軸成分はオートフォーカスのために使用される。顕微鏡対物レンズ16に付けられる、ピエゾのポジショナー24の総範囲が、比較的小さく、典型的に100マイクロメータであり、ピエゾの帯域幅は重い電動ステージのそれより高い。高いピエゾの帯域幅(典型的に150ヘルツ)は堅い機械的なステージより望ましく、小さな焦点変化に関係した振動を最小限にする。
【0057】
スキャナ11の利点の一つは、試料12を労働集約的に手動スキャンすることと比較すると、効率的に処理してコストを低減することができる画像76を提供するために、試料12の大部分の迅速なデジタル化である。これと一致して、スキャナ11は、その最も基礎的な実施形態において、いくつかの従来の画像システムで見られる動的なオートフォーカスの複雑さを必要としない。x/y位置の関数として最良の焦点の予備スキャンすることおよびマッピングすることは、ほとんどの用途に適切な焦点を提供する。スキャナ11の代替物だが高価な実施形態は、二次元スキャンカメラ56のような付随的な二次元スキャンカメラを用いて、広範囲なオートフォーカス能力を提供する。オートフォーカスにするための空間情報が試料12の一部(例えばキャリブレーションマークを備えたガラス顕微鏡スライド)である高度なキャリブレーション方法も、可能である。
【0058】
画像76の全体的性能は、試料12が実質的に一定速度で移動されるという能力と関係している。一次元スキャンカメラ18と電動ステージ14との間の同期が十分に維持されないならば、画像ゆがみに導くサンプリング誤差が起こる。適用および画像解像度の必要性によって、スキャナ11は、試料動きと同期してデータを捕らえるために異なる方法を支持する。既知の形のキャリブレーションターゲット(例えば顕微鏡スライド上のRonchi罫線)を予備スキャンすることは、スキャナ11が一定の試料速度を達成する一つの手段である。電動ステージ14へ送られる位置コマンドの両方の時間プロフィールを制御し、かつ一次元スキャンカメラ18のライン・データ読み出し速度を動的に変更するための能力が、データ処理装置20に設けられる。電動ステージ14での大多数の速度関係誤差が再生できるので、位置プロフィールの最適化または一次元スキャンカメラ18の読出し速度の最適化は、キャリブレーションスキャンの間の最適画像を得るために、試料12がスキャンされデジタル化されるときに、優れた画像を提供するのに十分である。高解像度画像をデジタル化するのに適したスキャナ11の他の実施形態は、電動ステージ14からの位置フィードバックを利用する。スキャナ11の現在の好ましい実施形態は、高価な位置エンコーダからのフィードバックを必要としないで、キャリブレーションターゲットに適用されたキャリブレーション方法を用いて、低くて適度な解像度で高品質画像を生成することができる。
【0059】
具体例として前に説明した36,000×18,000ピクセルの画像がピクセル当たりの8ビット(1バイト)の量子化で捕えられると仮定すると、RAMの6億4800万バイト(メガバイトまたはMB)は、メモリ36におけるそれらの非圧縮の生のフォーマットにおいて全ての画像ストリップ77の全てのデータを蓄えるために必要とされる。複数の画像ストリップ77がステップ212の間に画像76に組み入れられる。試料12のデジタル化の間に収集した、複数の画像ストリップ77からの画像を組み立てる多くの可能な方法がある。本発明の現在の好ましい実施形態の画像組立方法は、わずかに画像ストリップ77をオーバーラップさせる、例えば10〜20画素だけ重ならせるために、かつ連続した画像76に画像ストリップ77のx/yアラインメントを微調整するために重なるピクセルを用いるために、試料12をスキャンすることである。JPEGまたは他の画像の圧縮方法を用いると、多くの場合、特別な適用によって必要とされた情報量のかなりのロスをすることなく、画像76のデータサイズ、すなわち個々の画像ストリップ77のサイズは、それらの元のサイズの5〜10パーセント以下に減らされる。スキャナ11は、意味のある画像データを含んでいない空の領域を画像76から除去することができ、画像76のデータ記憶要件をさらに減じる。
【0060】
試料12を大きな連続した画像76にデジタル化する動機の一つは、典型的に、従来の光学顕微鏡下で試料12を手動スキャンするために用いられる適度な低い光学解像度で、得られた画像データに特定の計算機プログラムを適用することができることである。ステップ214において、試料12のデジタル化された部分を示す画像76の分析は、画像76の中の特定のタイプの対象物(例えば、正常か異常な細胞)を同定したり場所を見つける形態的アルゴリズムの適用のような様々な方法を含む。分析方法関数の他の具体例は、計数又は測定のアルゴリズム、または画像76での欠陥を同定するために比較または品質保証のアルゴリズム、または既に測定された同様の画像を画像76と区別するために他のタイプのアルゴリズムを含む。一旦、試料12の画像のデジタル化が完成したならば、ステップ214を含む分析法が試料12が物理的に存在するか又は利用可能であることを必要としないことは明らかに違いない。ステップ214の方法は、自動的に適用することができるか、または反復プロセスの一部としてネットワーク42によってスキャナ11に接続されるコンピュータモニタ46上で、ステップ216で示されるような画像76を対話式に精査するオペレータを含むことができる。
【0061】
試料12の選択された領域の高解像度調査のためにリターン決定は、画像76から得られた情報(例えば、ステップ214および216において画像76の分析から得られた対象座標)を用いて、ステップ218の一部として行なわれる。ステップ218での決定ロジックが試料12に分析を返さないならば、オペレータの仕事が完了している。オペレータがステップ218の一部として試料12に戻すことを望むならば、ステップ220の決定ロジックは、ステップ222で示されるように高解像度調査が従来の光学顕微鏡上で行なわれるか、ステップ224によりスキャナ11を用いるかを決める。低い解像度から画像76の適度な解像度分析まで得られた座標情報が、従来の顕微鏡上の試料12の高解像度調査をガイドするのに十分であることは理解されるべきである。スキャナ11を用いる試料12の高解像度調査は、ステップ224を含み、図2の他の実施形態の前に記載された特徴の多くを用いて、スキャナ11を遠隔制御する能力を含んでいる。例えば、ピエゾのポジショナー24の位置と同様に、電動ステージ14の位置および光源30の照明強度も、ステップ224の間にオペレータの遠隔制御下にあってもよい。例えば二次元スキャンカメラ56からのリアルタイムの画像は、試料12からのデジタル化された情報ではなくこの再調査に基づいている。その代わりに、オペレータは、一次元スキャンカメラ18または二次元スキャンカメラ56のいずれかを用いて、高解像度でデジタル化される試料12の小さな部分を選択してもよい。前の場合では、プロセスは、試料12のデジタル化を含むステップ210からステップ202に戻り、次に、ステップ224に直接戻る。デジタル化される試料12の部分のサイズと、利用される顕微鏡対物レンズ16の被写界深度とに基づいたオートフォーカスが、必要なときに利用されるだろう。
【0062】
図5A及び5Bを参照すると、本発明に係る画像観察フレーム100の模式図が示されており、それは、ステップ216により画像76の対話式調査のためにディスプレイモニタ46に画像76を表示するために、グラフィカル・ユーザー・インタフェースの一つの実施形態を表わす。約36,000×18,000ピクセル以上のオーダーである画像76のディスプレイは、先の具体例で記述された画像76のような、ディスプレイモニタ46のような従来のモニタまたは表示装置上では不可能である。19インチの日立CM751モニタのような現在利用可能なモニタの最大数のピクセルは、約1600×1200ピクセルであり、典型的には1024×768ピクセルである。したがって、画像76の部分だけは、画像76の全体の十分な解像度でいつでも表示することができる。しかしながら、マクロ画像102(それは、画像76の部分に相当する高解像度ズーム画像104とともに、ディスプレイモニタ46の画像76の低解像度バージョンである)を表示することは可能である。ズーム画像104において表示されるマクロ画像102の領域は、オペレータによってマクロ画像102全体に関して対話式に大きさが合わせられ移動されることができるズーム領域106としてマクロ画像102それ自体の上に示される。その最も単純な実施形態では、ズーム領域106は固定の長方形の領域であるが、手動で描かれた領域を含む他のアイコンまたは形状を実行することができる。ズーム領域106は、マクロ画像102とズーム画像104との間の重要な基準を備える。マクロ画像102の拡大された観察フィールドが、図5Bに示される。マクロ画像102の中の8つの模式対象の存在を図示で強調表示しており、4つの円および4つの長方形としてここに示され、O1
108、O2 110、O3
112、O4 114、O5
116、O6 118、O7
120およびO8 122として指定された。個々の対象は、同じクラスでこの場合同じ形で、ユニークなパターンによる同じクラスの他の対象と区別される。非常に単純な対象の使用は、単に画像観察フレーム100において表示された異なるタイプの情報の関係を図示し明確にすることだけを意図している。この場合、対象O1
108およびO2 112は、ズーム領域106内にあり、オペレータのかなり大きいズーム窓124の一部であるズーム画像104にこのように表示される。ユーザは、画像観察フレーム100の一部であるユーザ命令窓126の一部であるアイコンを用いて、ズーム画像104の電子ズームを増加させるための能力を有している。一つの実施形態では、これらのアイコンが、指示デバイスとしてマウスを用いてクリックされる。しかしながら、アイコンを指すか、アイコンと関係した機能を生じる他の手段は、従来技術で知られており、ここで同様に用いることができる。命令アイコンは、画像観察フレーム100の部分であるいずれの窓でも組み入れられ、ユーザ命令窓126を含む。例えば、電子ズーム・アイコンは、ズーム窓124の一部である。電子ズームが増加するとき、ズーム領域106のサイズは、一定サイズのズーム画像104を維持するためにマクロ画像102上で小さくなる。
【0063】
あらゆる画像に関する一般情報は、その画像に対応する窓の一部として表示することができる。例えば、マクロ窓128は、ピクセルでマクロ画像102のサイズ、ピクセルでズーム領域106のサイズ、およびズーム領域106の中心ピクセル座標を表示する。ズーム窓124は、物理的な寸法の基準と一緒にズーム画像104に適用された電子ズームの量を表示する。オペレータは、マクロ窓128およびズーム窓124のようなすべての窓のサイズおよび形を、あらゆるウインドウズに基づいたソフトウェアが働く方法に似ていて、異なる試料タイプを異なる縦横比で適合するために、対話式に変更することができる。
【0064】
ステップ214の結果、画像76に特定の計算機プログラムを適用することは、画像観察フレーム100の対象窓130に表示される。本発明の現在の好ましい実施形態における対象窓130は、対象画像132のような、各々が大きな連続したデジタル画像76の異なる部分に相当する多くの対象画像を含む。それらのサイズに依存して、対象画像132は、画像ギャラリー・タイプ配置で低解像度の刻印画像として表示することができる。対象画像132の一つをクリックするか指すことは、ズーム窓124の一部であるズーム画像104のように、対象画像132のそれを十分な解像度で表示することとなる。対象窓130中の対象画像132を表示する基準は、ステップ214の画像76に適用される特別の計算機プログラムに基づく。現在の具体例において、特別の計算機プログラムは、すべての対象、この場合対象O1108から対象O8122までの存在を求めて画像76を探索するために単純な境界検出およびセグメンテーション・アルゴリズムを用い、対象窓130に対象画像132としてこれらの対象を表示する。異なる特別の計算機プログラム、例えば対象を数えることができ、正方形と円とを識別することができるものは、分類のレベルを提供するために、各対象画像132に適用することができる。その結果、この場合、数の結果が画像観察フレーム100の分析窓134に表示される。現在の具体例における分析窓134は、形、正方形および丸の2つのクラスのいずれかでの対象の総計と同様に、対象の総計、この場合には8を含むことができる。画像76に適用することができる多くのタイプの特別の計算機プログラム、および、かかる特別の計算機プログラムの画像76への適用の結果として対象窓130に表示される多くのタイプの対象画像132がある。また、様々なフォーマットで分析窓134に後で表示するために高いレベルの対象分類を提供するために、多くの対象画像132に適用される特別の計算機プログラムをより洗練した多くのタイプがある。画像観察フレーム100のユーザコマンド窓126は、ステップ214の一部として行なわれる画像解析の属性およびステップ216での画像76の再調査の基準を対話式に選択するための窓を与える。
【0065】
図6A及び6Bを参照すると、動的画像観察フレーム150の模式図は、ステップ216の通りに画像76を対話式で調査するためにディスプレイモニタ46に画像76を動的に表示するための本発明に係るグラフィック・ユーザー・インターフェースを表わす。画像76を対話式に調査する方法は、顕微鏡の接眼レンズを通して光学信号を観察する間に、従来の顕微鏡で適度な低解像度で試料12を手動スキャンすることの代りにデジタル画像を提示することを意図している。現在の好ましい発明の目的の一つは、ディスプレイモニタ46上で、試料12の部分のデジタル化、及び、好ましくは試料12の回折限界のデジタル化である画像76を動的に観察することにより、試料12の手動スキャンを交換する手段を提供することである。この方法には多くの利点があり、快適に制御された観察環境を含んでいる。その環境では、デジタル画像データに適用された知的なスキャン・電子ズーミング方法が、画像で選択対象(例えば異常細胞)を発見する責任を負ったオペレータの生産性を増すことができる。同定される特定の対象は、従来の顕微鏡で、又はスキャナ11を用いて、再配置され、ステップ218および220の決定ロジックに依存する。スキャナ11の接続によってネットワーク42に与えられたもう一つの利点は、試料12へのアクセスを必要とせずに、画像76の動的な調査を遠隔で行なうことができるということである。さらに、試料12(すなわち画像76)のデジタル化されたバージョンの調査は、観察された画像76の特定の領域をモニタするための様々な技術に向いている。また、オペレータが画像76の特定の領域を観察するのに費やした時間を測定することは簡単である。
【0066】
動的な画像観察フレーム150は、図5Aの前に説明された画像観察フレーム100のそれと同様に、マクロ窓128内のマクロ画像102を含んでいる。動的な画像観察フレーム150は、ズーム窓124内のズーム画像104と、前に記載した画像観察フレーム100と同様に、マクロ画像102をズーム画像104に関係づけるズーム領域106とを含んでいる。オペレータはすべての窓のサイズを変更することができるが、動的な画像観察フレーム150におけるズーム窓124は、典型的には、映画画像152が、映画窓154内で十分な解像度で表示されることを可能にするために、前に記載された画像観察フレーム100中のものよりも小さくなる。映画画像152は、必要があれば更新される十分な解像度の動的画像であり、オペレータによって決定された速度および方向で画像76をスキャンすることをシミュレートする。画像76(36,000×18,000ピクセル)のような画像の具体例に再び戻ると、大きな画像76を、ユーザの選択可能な解像度でディスプレイモニタ46に表示される複数の映画画像ストリップ156に分割することにより、映画画像152を生成することができる。例えば、所望の映画画像解像度が600×600ピクセルである場合、画像76は、30個の600×36,000ピクセルの映画画像ストリップ156に分割されるか、または代わりに、60個の600×18,000ピクセルの映画画像ストリップ156に分割される。映画画像ストリップ156は、試料12の画像76のスキャンをシミュレートするために、動的な画像観察フレーム150の映画窓154に表示される。X軸あるいはY軸に沿ったスキャンをシミュレートする一つの方法は、映画画像152の対向するエッジに沿って画像ピクセルの新しい少なくとも一つのカラムを加える間に、映画画像152の一つのエッジに沿ってピクセルの前に示した少なくとも一つのカラムを除去することである。記載したように互いに異なった一連の映画画像152は、マイクロソフトからのメディア・プレイヤーのような従来のブラウザー・ソフトウェアを用いて、ディスプレイモニタ46上の映画窓154においてプレイされ且つ表示されるデジタル映画の個々のフレームを含むことができる。この種のシミュレートされたスキャンは、手動で試料12をスキャンする間に従来の顕微鏡の双眼鏡で観察されるものに似ている。
【0067】
試料12の画像76のこの種のシミュレートされたスキャンの潜在的な欠点の一つは、映画画像152における対象が、典型的に動いているということであり、オペレータが対象を同定することを挑戦させ、かつ、試料12の画像76をスキャンするプロセスの間に複数の停止及び進行コマンドを実行することをオペレータに要求する。動くことの負の効果ない他のスキャン方法もスキャナ11で達成される。この代替のプロセスは、映画画像ストリップ156を、例えば600×600ピクセルの連続した画像フィールドに分割することを含む。そして、一連の映画画像152として、好ましくは画像間で重なった状態で、これらの連続した画像フィールドを一度に表示することを含む。他のサイズの画像を用いることができるので、600×600ピクセルの画像への特定の参照は、その考えの原理を図示することを意味するだけである。従来の顕微鏡上にある試料12を観察している間に長所を提供する画像76を動的に調査する多くの方法があることは、明白である。映画画像152として前に観察された画像76のそれらの領域を示すためにマクロ画像102自身の上に、スキャントラッカー158が示される。オペレータが画像76のシミュレートされたスキャン速度を制御することができるので、オペレータは他の領域よりある領域上で多くの時間を費やしてもよい。スキャントラッカー158は、例えば、相対的な滞在時間を示すためにカラー符号化され、画像76の調査の完全さに関してオペレータに即時フィードバックを提供する。他のより高度なシミュレートされた画像スキャン方法が可能である。例えば、特別のコンピュータ・アルゴリズムは、それらの重要性の観点から画像76の領域を並べて、かかる相対的重要性基準に従って映画画像152を与える。まばらな画像については、空の領域を完全にスキップして、画像76上の本質的に空フィールドの観察を不要とすることにより、オペレータが効率的になる。映画画像152から画像76のある要素を除去するために、特別のコンピュータ・アルゴリズムを使用することができる。例えば、画像76の分析にとって重要でないか、画像76に関係した判断をする際に関係しないクラッタまたは対象または細胞は、映画画像152を表示する前に画像76から削除される。動的な画像観察フレーム150のユーザコマンド窓126において、アイコンまたはボタンをクリックすることおよび指すことの間に性能改良をさらに提供するために、ジョイスティック、トラックボール、ゲームパッドまたは踏子のようなエルゴノミックスのコントローラを利用することができる。動的に画像76を調査するのに有用な機能の具体例は、前に送る、後に送る、速く前に送る、戻す、休止、ループ、そして従来のビデオ再生や編集環境で見られるものに似ている他の機能のような機能を含んでいる。状況によって、個々の画像フレーム、対象の座標、あるいは画像76の将来の参照または後の再調査のための他のデータを格納する必要性があることは理解されるべきである。
【0068】
本発明が特定の実施形態によって図示され且つ記載されているが、添付された請求項および等価物で画定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多く変形および修正がなされることは理解されるべきである。
【0069】
本明細書は、好ましい設計、材料、製造方法および使用方法を記載しているが、当業者は添付された請求項を参照して本発明の範囲および精神を十分に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る光学顕微鏡システムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図2】本発明に係る光学顕微鏡システムの第二の実施形態のブロック図である。
【図3A】本発明に係る、一次元配置検出器によって得られた連続画像ストリップが試料の一部分をデジタル化する方法を説明する図である。
【図3B】本発明に係る、一次元配置検出器によって得られた連続画像ストリップが試料の一部分をデジタル化する方法を説明する図である。
【図3C】本発明に係る、一次元配置検出器によって得られた連続画像ストリップが試料の一部分をデジタル化する方法を説明する図である。
【図4】本発明に係る、光学顕微鏡システムの操作の単純化されたフローチャートである。
【図5A】本発明に係る、画像観察フレームの模式図である。
【図5B】本発明に係る、画像観察フレームの模式図である。
【図6A】本発明に係る、動的画像観察フレームの模式図である。
【図6B】本発明に係る、動的画像観察フレームの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大領域を有する試料の表面によって画定された主要試料面を有する顕微鏡試料の少なくとも一つの部分を自動的にデジタル化するためのスキャナであって、
第一方法および第二方法で試料を取り付けとともに移動させるための電動ステージであって、第一方法は、第一位置及び第二位置で画定された主要進行軸に沿って、予め決められた第一位置と予め決められた第二位置との間を実質的に一定速度で試料面にある試料を動かすことであり、第二方法は、進行主軸に直角であり試料面にある第二の軸に沿って試料を動かすことである電動ステージと、
試料の少なくとも一つの部分が照明される照明システムと、
照明システムによって照明された試料の部分に関して中心にある光軸に沿って位置決めされ、試料面に直角である少なくとも一つの顕微鏡対物レンズと、
顕微鏡対物レンズからの光学信号が光軸に直角の画像面上に合焦されている合焦光学系と、
少なくとも一つの一次元配列で配置された複数の光応答性要素を備える少なくとも一つのカメラであって、カメラが照明システムによって照明された電動ステージの上に試料の領域の一次元の観察フィールドを有するように光応答性要素が、電動ステージに関する画像面に位置決めされ、且つ進行主軸に直角であるカメラと、
予め決められた試料の動きに同期して、複数の光応答性要素からの光強度をデジタル化、処理、および格納するためのデータ処理装置であって、試料動きは、試料の第一の画像ストリップを得るために第一方法で試料を動かすものであり、次に、第二の連続した画像ストリップを得て、試料の完全な画像を生成するために試料の部分をデジタル化するために必要なときに試料を動かすことを繰り返すことのためにカメラを位置決めする第二方法で試料を動かすものであるデータ処理装置と、
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項2】
電動ステージとデータ処理装置との間に接続されたステージコントローラをさらに備え、上記データ処理装置が電動ステージの位置を決定することを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項3】
電動ステージは、光軸に沿って試料を動かす第三の方法で試料を移動させることができることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項4】
光軸に沿って対物レンズを移動させるために、少なくとも一つの顕微鏡対物レンズに取り付けられたピエゾのポジショナーをさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項5】
ピエゾのポジショナーとデータ処理装置とに接続されたピエゾのコントローラをさらに備え、データ処理装置がピエゾのポジショナーを監督することを特徴とする、請求項4記載のスキャナ。
【請求項6】
電動ステージが複数のステッパーモーターを備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項7】
電動ステージが複数のサーボモータと複数の位置決めエンコーダとを備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項8】
照明システムが、光源及び照明光学系を備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項9】
光源および照明光学系は、透過モード光学顕微鏡検査に最適化されていることを特徴とする、請求項8記載のスキャナ。
【請求項10】
光源は、強度可変のハロゲンランプ、凹面の反射鏡および熱抑止フィルタを備えることを特徴とする、請求項9記載のスキャナ。
【請求項11】
光源および照明光学系は、試料の少なくとも一つの実質的に円形部分を照明することを特徴とする、請求項8記載のスキャナ。
【請求項12】
光源および照明光学系は、反射モード光学顕微鏡検査に最適化されていることを特徴とする、請求項8記載のスキャナ。
【請求項13】
光源および照明光学系は、蛍光モード光学顕微鏡検査に最適化されていることを特徴とする、請求項8記載のスキャナ。
【請求項14】
光源および照明光学系が各々データ処理装置に接続され、データ処理装置が最適の照明を維持することを特徴とする、請求項8記載のスキャナ。
【請求項15】
少なくとも一つの顕微鏡対物レンズが無限修正タイプであることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項16】
合焦光学系が機械的なチューブの内部に取り付けられたチューブレンズ光学を備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項17】
チューブレンズ光学系は回折限界の画像を提供するために選択されていることを特徴とする、請求項16記載のスキャナ。
【請求項18】
少なくとも一つのカメラは一次元スキャンカメラを含むことを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項19】
一次元スキャンカメラは、双方向スキャンすることができることを特徴とする、請求項18記載のスキャナ。
【請求項20】
データ処理装置に接続されたメモリーをさらに備え、データが格納されることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項21】
データ処理装置に接続された通信ポートをさらに備え、スキャナがネットワークを介して少なくとも一つのコンピュータと通信することを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項22】
少なくとも一つの顕微鏡対物レンズと合焦光学系との間で光軸に沿って位置決めされた蛍光フィルタ立方体をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項23】
少なくとも一つの顕微鏡対物レンズと合焦光学系との間で光軸に沿って位置決めされたビームスプリッターをさらに備え、顕微鏡対物レンズからの光学信号が、少なくとも一つの第二光軸に分割されていることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項24】
ビームスプリッターからの光学信号が、少なくとも一つの第二光軸と直角である第二画像面の上に合焦される第二合焦光学系と、
第二画像面に位置決めされた複数の光応答性要素を含む少なくとも一つの第二カメラと、
をさらに備え、
第二カメラがデータ処理装置に接続されていることを特徴とする、請求項23記載のスキャナ。
【請求項25】
少なくとも一つの第二カメラは二次元スキャンカメラを備えることを特徴とする、請求項24記載のスキャナ。
【請求項26】
複数の顕微鏡対物レンズを保持することができる電動前金具と、
少なくとも一つの第二顕微鏡対物レンズと、
をさらに備え、
少なくとも一つの顕微鏡対物レンズおよび少なくとも一つの第二顕微鏡対物レンズの両方は、電動前金具によって保持されていることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項27】
電動前金具とデータ処理装置との間に接続された前金具コントローラをさらに備え、データ処理装置は、電動前金具によって保持された複数の顕微鏡対物レンズの中から選択することを特徴とする、請求項26記載のスキャナ。
【請求項28】
第一方法及び第二方法で少なくとも一つの顕微鏡対物レンズを保持し且つ動かすことのできる電動前金具をさらに備え、
第一方法は、第一位置及び第二位置で画定された進行主軸に沿って、予め決められた第一位置と予め決められた第二位置との間で実質的に一定速度で試料面に並行に顕微鏡対物レンズを動かすものであり、
第二方法は、進行主軸に直角であり試料平行面にある第二軸に沿って顕微鏡対物レンズを動かすものであることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項29】
電動前金具とデータ処理装置との間に接続された前金具コントローラをさらに備え、
データ処理装置は、電動前金具によって保持された顕微鏡対物レンズの位置を決定することを特徴とする、請求項28記載のスキャナ。
【請求項30】
ローカルの出力装置および少なくとも一つのローカルの入力装置をさらに備え、それぞれがスキャナのデータ処理装置に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のスキャナ。
【請求項31】
最大領域を有する試料の表面によって画定された主要試料面を有する顕微鏡試料の少なくとも一つの部分を自動的にデジタル化するためのスキャナであって、
試料を取り付けるためのステージと、
試料の少なくとも一つの部分が照明される照明システムと、
照明システムによって照明された試料の部分に関して中心にある光軸に沿って位置決めされ、試料面に直角である少なくとも一つの顕微鏡対物レンズと、
第一方法および第二方法で少なくとも一つの顕微鏡対物レンズを保持し且つ動かすことのできる電動前金具であって、第一方法が、第一位置及び第二位置で画定された進行主軸に沿って、予め決められた第一位置と予め決められた第二位置との間で実質的に一定速度で試料面と並行に顕微鏡対物レンズを動かすものであり、第二方法が、進行主軸に直角であり且つ試料平行面にある第二軸に沿って顕微鏡対物レンズを動かすものである電動前金具と、
顕微鏡対物レンズからの光学信号が光軸に直角の画像面上に合焦される合焦光学系と、
少なくとも一つの一次元配列で配置された複数の光応答性要素を備える少なくとも一つのカメラであって、光応答性要素は、カメラが照明システムによって照明されたステージ上にある試料の領域の一次元の観察フィールドを有し、且つ、進行主軸に直角であるようにステージに関して画像面に位置決めされているカメラと、
予め決められた顕微鏡対物レンズの動きに同期して、複数の光応答性要素からの光強度をデジタル化、処理、及び格納するためのデータ処理装置であって、顕微鏡対物レンズの動きが、試料の第一のストリップ画像を得るために第一方法で顕微鏡対物レンズを動かすものであり、次に、第二の連続したストリップ画像を得て、試料の部分の完全な画像を生成するために試料の部分をデジタル化するために必要なときに顕微鏡対物レンズを動かすことを繰り返すことのためにカメラを位置決めする第二方法で顕微鏡対物レンズを動かすものであるデータ処理装置と、
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項32】
電動前金具とデータ処理装置との間に接続された前金具コントローラをさらに備え、データ処理装置が電動前金具によって保持された顕微鏡対物レンズの位置を決定することを特徴とする、請求項31記載のスキャナ。
【請求項33】
ステージは、第一方法及び第二方法で試料を取り付け且つ動かすための電動ステージをさらに備え、
第一方法は、第一位置及び第二位置で画定された進行主軸に沿って、予め決められた第一位置と予め決められた第二位置との間で実質的に一定速度で試料面にある試料を動かすものであり、
第二方法は、進行主軸に直角であり試料面にある第二軸に沿って試料を動かすものであることを特徴とする、請求項31記載のスキャナ。
【請求項34】
電動ステージとデータ処理装置との間に接続されたステージコントローラをさらに備え、データ処理装置が電動ステージの位置を決定することを特徴とする、請求項33記載のスキャナ。
【請求項35】
最大領域を有する試料の表面によって画定された主要試料面を有する顕微鏡試料の少なくとも一つの部分を自動的にデジタル化し且つ調査するための光学顕微鏡使用システムであって、
ネットワークと、
ネットワークに接続された少なくとも一つのコンピュータと、
ネットワークに接続されたスキャナであって、
第一方法および第二方法で試料を取り付け且つ動かすための電動ステージであって、第一方法は、第一位置及び第二位置で画定された進行主軸に沿って、予め決められた第一位置と予め決められた第二位置との間で実質的に一定速度で試料面にある試料を動かすものであり、第二方法は、進行主軸に直角であり試料面にある第二軸に沿って試料を動かすものである電動ステージと、
試料の少なくとも一つの部分が照明される照明システムと、
照明システムによって照明された試料の部分に関して中心にある光軸に沿って位置決めされ且つ試料面に直角である少なくとも一つの顕微鏡対物レンズと、
光軸に直角の画像面上に顕微鏡対物レンズからの光学信号が合焦される合焦光学系と、
少なくとも一つの一次元配列で配置された複数の光応答性要素を備える少なくとも一つのカメラと、カメラが照明システムによって照明された電動ステージ上に試料の領域の一次元の観察フィールドを有し、進行主軸に直角であるように、光応答性要素が電動ステージに関して画像面に位置決めされているカメラと、
予め決められた試料の動きに同期して、複数の光応答性要素からの光強度をデジタル化、処理、及び格納するためのデータ処理装置であって、試料の動きが、試料の第一のストリップ画像を得るために第一方法で試料を動かすものであり、次に、第二の連続したストリップ画像を得て、試料の部分の完全な画像を生成するために試料の部分をデジタル化するために必要なときに試料を動かすことを繰り返すことのためにカメラを位置決めする第二方法で試料を動かすものであるデータ処理装置と、を備えるスキャナと、
を備えることを特徴とする光学顕微鏡使用システム。
【請求項36】
ローカルの出力装置および少なくとも一つのローカルの入力装置をさらに備え、各々がスキャナに接続されていることを特徴とする、請求項35記載のシステム。
【請求項37】
最大領域を有する試料の表面によって画定された主要試料面を有する顕微鏡試料の少なくとも一つの部分をスキャナで自動的にデジタル化する方法であって、
上記スキャナが一次元配列カメラデジタル検出器を備え、
該方法が、
試料が実質的に一定速度で一次元配列カメラデジタル検出器に関して移動する間、試料の一部分から第一の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップと、
試料の連続した一部分に対して検出器を位置決めするために試料を動かすステップと、
試料が実質的に一定速度で検出器に関して動いている間、試料の連続した一部分から第二の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップと、
顕微鏡試料の部分が完全にデジタル化されるまで、連続した画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップを繰り返すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項38】
第一の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップが第一方向で実行され、第一の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップが第一方向と反対方向の第二方向で実行されることを特徴とする、請求項37記載の方法。
【請求項39】
複数の連続した画像ストリップから連続した画像を組み立てるステップをさらに備えることを特徴とする、請求項37記載の方法。
【請求項40】
最大領域を有する試料の表面によって画定された主要試料面を有する顕微鏡試料の少なくとも一つの部分を、光学顕微鏡使用システムで自動的にデジタル化し且つ調査する方法であって、
光学顕微鏡使用システムが、ネットワーク、ネットワークに接続された少なくとも一つのコンピュータ、及びネットワークに接続されたスキャナを備え、
スキャナが一次元配列カメラデジタル検出器を有し、
上記方法が、
スキャナを初期化するステップと、
スキャナで顕微鏡試料の部分の画像を自動的にデジタル化するステップであって、
試料が実質的に一定速度で一次元配列カメラデジタル検出器に関して動いている間、試料の一部分から第一の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップと、
試料の連続した部分に検出器を位置決めするために試料を動かすステップと、
試料が実質的に一定速度で検出器に関して動いている間、試料の連続した部分からの第二の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップと、
顕微鏡試料の部分が完全にデジタル化されるまで、連続した画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップを繰り返すステップと、
を通じてスキャナで顕微鏡試料の部分の画像を自動的にデジタル化するステップと、
コンピュータでデジタル化された画像の調査するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項41】
第一の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップが第一方向で実行され、第二の画像ストリップをデジタルでスキャンし且つ格納するステップが、第一方向と反対方向である第二方向で実行されることを特徴とする、請求項40の方法。
【請求項42】
デジタル化画像の調査に基づいて試料にリターン分析すべきかどうか決定するステップと、
リターン分析を支持する決定に際して、リターン分析が従来の顕微鏡またはスキャナによって行なわれるかどうかを決定するステップと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項40の方法。
【請求項43】
顕微鏡試料の一部分の少なくとも一つの完全な画像に対するコンピュータ画像観察フレームは、
マクロ画像が表示されるマクロ窓と、
低解像度での少なくとも一つの対象画像が表示される対象窓と、
高解像度でのズーム画像または対象画像が表示されるズーム窓と、
少なくとも一つのコントロールアイコンが表示されるユーザコマンド窓と、
を備えることを特徴とするコンピュータ画像観察フレーム。
【請求項44】
少なくとも一つの統計量が表示されている分析窓をさらに備えることを特徴とする、請求項43記載のフレーム。
【請求項45】
いずれの複数の画像属性も、分析の基礎として対話式に選択されることを特徴とする、請求項44記載のフレーム。
【請求項46】
いずれの窓も、全てのフレーム内に対話式に大きさを合わせられ且つ動かされることを特徴とする、請求項43記載のフレーム。
【請求項47】
ズーム窓に表示されたズーム画像に相当するマクロ窓に表示されたズーム領域をさらに備えることを特徴とする、請求項43記載のフレーム。
【請求項48】
ズーム領域は、マクロ画像全体に関して対話式に大きさを合わせられ且つ動かされることを特徴とする、請求項47記載のフレーム。
【請求項49】
顕微鏡試料の一部分の少なくとも一つの完全な画像に対するコンピュータ画像観察フレームを生成する方法であって、
上記方法は、
マクロ窓にマクロ画像を表示するステップと、
対象窓に少なくとも一つの対象画像を低解像度で表示するステップと、
ズーム窓にズーム画像または対象画像を高解像度で表示するステップと、
ユーザコマンド窓に少なくとも一つのコントロールアイコンを表示するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項50】
分析窓に少なくとも一つの統計量を表示するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項49記載の方法。
【請求項51】
分析の基礎としていずれの複数の画像属性をも対話式に選択するステップを備えることを特徴とする、請求項50記載の方法。
【請求項52】
全てのフレーム内にいずれの窓をも対話式に大きさを合わせるとともに動かすステップをさらに備えることを特徴とする、請求項49記載の方法。
【請求項53】
ズーム窓に表示されたズーム画像に相当するマクロ窓にズーム領域を表示するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項49記載の方法。
【請求項54】
マクロ画像全体に関してズーム領域を対話式に大きさを合わせるとともに動かすステップをさらに備えることを特徴とする、請求項53記載の方法。
【請求項55】
顕微鏡試料の一部分の少なくとも一つの完全な画像に対する動的なコンピュータ画像観察フレームであって、
マクロ画像が表示されるマクロ窓と、
映画画像が表示される映画窓と、
ズーム画像が表示されるズーム窓と、
少なくとも一つのコントロールアイコンが表示されるユーザコマンド窓と、
を備えることを特徴とする動的なコンピュータ画像観察フレーム。
【請求項56】
少なくとも一つの統計量が表示される分析窓をさらに備えることを特徴とする、請求項55記載のフレーム。
【請求項57】
いずれの複数の画像属性も、分析の基礎として対話式に選択されることを特徴とする、請求項56記載のフレーム。
【請求項58】
いずれの窓も、全てのフレーム内に対話式に大きさを合わせられるとともに動かされることを特徴とする、請求項55記載のフレーム。
【請求項59】
ズーム窓に表示されたズーム画像に相当するマクロ窓に表示されたズーム領域を備えることを特徴とする、請求項55記載のフレーム。
【請求項60】
ズーム領域がマクロ画像全体に関して対話式に大きさを合わせられ且つ動かされることを特徴とする、請求項59記載のフレーム。
【請求項61】
映画窓に表示されているマクロ画像の領域に相当するマクロ窓に表示されたスキャントラッカーをさらに備えることを特徴とする、請求項55記載のフレーム。
【請求項62】
顕微鏡試料の一部分の少なくとも一つの完全な画像に対する動的なコンピュータ画像観察フレームを生成する方法であって、
上記方法は、
マクロ窓にマクロ画像を表示するステップと、
映画窓中に映画画像を表示するステップと、
ズーム窓にズーム画像を表示するステップと、
ユーザコマンド窓に少なくとも一つのコントロールアイコンを表示するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項63】
分析窓に少なくとも一つの統計量を表示するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項62記載の方法。
【請求項64】
分析の基礎としていずれの複数の画像属性をも対話式に選択するステップを備えることを特徴とする、請求項63記載の方法。
【請求項65】
全てのフレーム内にいずれの窓をも対話式に大きさを合わせるとともに動かすステップをさらに備えることを特徴とする、請求項62記載の方法。
【請求項66】
ズーム窓に表示されたズーム画像に相当するマクロ窓にズーム領域を表示するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項62記載の方法。
【請求項67】
マクロ画像全体に関してズーム領域を対話式に大きさを合わせるとともに動かすステップをさらに備えることを特徴とする、請求項66記載の方法。
【請求項68】
映画窓に表示されているマクロ画像の領域に相当するマクロ窓にスキャントラッカーを表示するステップをさらに備える、請求項62記載の方法。
【請求項69】
顕微鏡試料の一部分の少なくとも一つの完全な画像に対して動的なコンピュータ映画画像を生成する方法であって、
上記方法は、
完全な画像を複数の映画画像ストリップに分割するステップと、
従来の顕微鏡の手動スキャンの動きをシミュレートする方法で映画窓に複数の映画画像ストリップの一つの少なくとも一つの部分を表示するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項70】
それらの画像内容に基づいた映画画像ストリップの部分をランク付けするステップと、ランク順でそれらの部分を表示するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項69記載の方法。
【請求項71】
重要でないランクの映画画像ストリップの部分は表示されないことを特徴とする、請求項70記載の方法。
【請求項72】
重要度が低ランクの映画画像ストリップの部分は、第一の速度で表示され、重要度が高ランクの映画画像ストリップの部分は、第二の速度で表示され、第一の速度が第二の速度より速いことを特徴とする、請求項70記載の方法。
【請求項73】
それらの画像内容に基づいた映画画像ストリップの要素を評価するステップと、ユーザにとって重要でない要素を除去するステップとをさらに備えることを特徴とする、請求項69記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−232762(P2011−232762A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−109646(P2011−109646)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【分割の表示】特願2001−581174(P2001−581174)の分割
【原出願日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.ウィンドウズ
【出願人】(503293765)アペリオ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Aperio Technologies, Inc.
【Fターム(参考)】