説明

全血中におけるトロンビン活性の測定

本発明は、サンプル中のトロンビン活性をインビトロで決定する方法であって、前記サンプルが血液サンプルであり、かつトロンビンの生成が以下の工程によって測定される方法に関する:-前記サンプルの層をトロンビンの蛍光原基質と接触させる工程と(前記層は0.05〜5 mmの範囲内の厚みを有し、10〜500 mm2の範囲内の表面積を有する);-トロンビンを前記サンプル中において生成させる工程と;-前記蛍光原基質上で生成されたトロンビンの酵素作用の結果として蛍光原基質から放出された蛍光基によって、前記層の表面から放射される蛍光を測定する工程。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[0001] 本発明は、インビトロにおけるトロンビン活性の時間経過を決定、特に測定する方法、すなわち、サンプル中、特に全血からなる凝固サンプルに発展するようなサンプル中において活性のあるトロンビンを測定する方法に関する。トロンビン活性の測定の結果は、図1において例証されたいわゆる「トロンビン生成曲線」によって表わすことができる。
【0002】
[0002] 本発明はまた、インビトロにおけるサンプル中のその生成後に活性のあるトロンビンの測定を可能にする方法に関する。また、血液凝固の欠如と関係した病理学的状態の検出またはモニタリングを含む、患者の状態の検出またはモニタリングのための前記測定方法の使用に向けられる。
【0003】
[0003] 本発明はまた、凝固プロセス、特にトロンビン活性と相互作用することができる薬剤のスクリーニングを含む、物質のスクリーニングのための前記測定方法の使用に関係する。
【0004】
[0004] 冠状動脈の梗塞、卒中、肺塞栓症およびいくつかの他の症状のような血栓症の疾病は、西欧社会における全死および全障害の約半分の原因である。 開発途上国では、その発生の程度は増加している。 数的にはそれほど重要ではないが、出血性疾患はまた、顕著な死因でもある。従って、止血系の機能過剰または機能低下は、極めて重要な病原性メカニズムである。 それゆえ、良好な臨床的機能試験が利用できないということはなおさら驚くべきことである。
【0005】
止血性および血栓性の疾病におけるトロンビンの役割:
[0005] 止血性および血栓性の疾病において、トロンビンは極めて重要な役割を果たす。静脈の血栓性の疾病において、このことはかなり以前から認識されており(1)、静脈性血栓症の予防および治療の効果が、トロンビンの活性を減少させることによって、あるいは直接的な阻害(ヒルジン、メラガストラン)によって、または合成の減少(ビタミンKアンタゴニスト)によって、または減衰の増加(ヘパリン)によって最も得られるという事実から確証的に実証されている。ここ10年間において、トロンビンは、静脈の疾病と同様、動脈の疾病においても重要であることがますます明らかになってきた。臨床試験は、ビタミンKアンタゴニスト(2)およびヘパリン(3)が、心筋梗塞の再発率を減少させることを示している。出血におけるトロンビンの役割は、トロンビンの生成が、経口抗凝血剤(4)またはヘパリン(5)の激しい過剰投与において大きく影響を受けたときに観察される延長された出血時間によって示される。また、血友病は、トロンビン形成系の疾病である(6)。
【0006】
血液の全成分がトロンビンの形成に参加する:
[0006] 現代の研究は、トロンビンが血液および血漿の決まった成分の協力を通して形成されるという認識に基づいている。赤血球細胞(RBC)は、これらの数パーセントにおいて、その外膜が凝血促進活性を示すけれども、上述した血液成分の協力関係の中では最も活性が低い(7)。さらに重要なことは、白血球細胞が組織因子の活性を担うということである。この活性は通常暗号化されるが、病変の中で血小板との相互作用によって明白になる(8, 9)。主要な因子は、疑いなく血小板および血漿凝固系である。教科書では、血小板は、主要な止血および動脈血栓症の原因である一方、血漿の凝固が止血栓の硬化に役立ち、かつこれが静脈血栓症後のメカニズムであることが記されている。この視点は、血漿と血小板が互いに別々に研究されてきたという事実に起因している。実際には、血小板と血漿との協力および血液の他の細胞が、一次的および二次的止血の両方において、ならびに動脈および静脈血栓症において不可欠である。血小板による栓の形成は、トロンビン生成の役割を果たす。つまり、血小板凝集塊における隙間が不動のニッシェ(unstirred niche)を形成するので、この中において流れる血液により押し流されることなくトロンビンを形成することができるのである。これが、凝固全血におけるトロンビンの生成を測定する理由であり、生理学的現実に非常に近似しているのである。
【0007】
[0007] トロンビンを形成することができる「スポンジ」の形成とは別に、血小板はまた、トロンビンの生成に積極的に貢献する。これらは因子Vを流し、プロトロンビンの転換ならびにプロトロンビナーゼの形成を導く凝固メカニズムにおける異なる工程に必要とされる凝血促進性のリン脂質表面を提供する(10)。トロンビン生成の速度および形成された量は、血小板の活性および関係する血漿タンパク質に依存する。特に、興味深いのは重合するフィブリンの役割である。フォン・ヴィレブランド因子(vWf)は、重合するフィブリンと相互作用し、これを血小板受容体GPIbに反応させ、この結合を通して凝血原になる血小板に協力する(11, 12)。これは、フィブリンの血餅の形成が止血の閉塞作用ではないこと、ならびに栓(または血栓、または血餅)におけるトロンビンの形成がプロセスにおける重要な事項であることを示す。実際に、我々が以下に見るように、形成される全トロンビンの>95%が、凝固が行われた後に形成される。また、このトロンビンは、haemostasisおよび血栓症(H&T)の過程において不可欠である。おそらく、血小板と血漿の凝固系との間の強固な結合の有力な証拠は、全ての「凝集阻害剤」および他の抗血小板剤が、血小板の豊富な血漿(または全血)におけるトロンビンの生成をも阻害するという事実である。 この事実は、アスピリン(13)、アブシキシマブ(14)、MK383(15)およびクロピドグレル(16)について明らかになっている。逆に、抗血小板剤と同等の優越性のある、アスピリンが静脈血栓症を防ぐという事実(17)は、さらに、血小板機能と血液凝固との間の緊密な結びつきを例証する。
【0008】
[0008] 要約すると、血餅中に形成されたトロンビンの量は止血および血栓症の進行における主要な特徴である。また、血液の全成分がその形成に参加している。
【0009】
血栓または出血の危険性の指標としてのトロンビンの生成(TG):
[0009] 増加したTGは、それがアンチトロンビンの欠乏に起因しようと、あるいはプロトロンビンの過多に起因しようと、常に血栓症の危険性を示す。また、タンパク質C経路が障害されると(タンパク質SおよびC、因子VLeidenの欠乏)、トロンビンの生成は通常よりも多くなる。これは、血漿の凝固を維持するが、タンパク質C経路がトロンボモジュリンによって活性化される場合(図1)に特に明らかになる。経口避妊薬によって誘導されたトロンビンの傾向は、TMまたはAPCが添加されるときにより明らかになるトロンビンの生成の10%増加を引き起こす活性タンパク質Cに対する獲得した耐性によるものとすることができる(18, 19)。
【0010】
[0010] 特に興味ある事例は、ループス性抗凝固因子である。このタイプの抗体は、トロンビン形成のラグタイムの増加を誘導し、それゆえ凝固時間の増加だけでなく、タンパク質C系の活性に対する重要な耐性を誘導する(20)。これは、「LEパラドックス」、すなわち、血栓症の傾向によってもたらされる抗凝固作用を説明する。
【0011】
[0011] 因子II, VIIIおよびVIIの過剰な量が、心筋梗塞の発症と関連して見出されている(21-24)。また、トロンビンの生成を増加する通常レベルよりも高いvWFは(12)、動脈性血栓症についての危険因子である(25, 26)。
【0012】
[0012] 若い梗塞患者の小集団(約30%)において、血漿富血小板(PRP)およびvWFにおけるトロンビンの生成は、通常よりも著しく多くなることが示されている(27)。全ての先天的な凝固因子の欠乏において、トロンビンの生成が減少する。これは、血友病A、BおよびC(因子VIII、IXまたはXIの欠乏; 28-31)nならびに極めてまれな欠乏症(プロトロンビン、因子V, VII, X, XII; 32)について実証されている。出血の傾向は、TGが正常値の20%未満になると直ちに観察される。血友病Aにおいて、因子VIIの輸液またはDDAVPの投与は、トロンビンを形成する血液の能力を増強するだけでなく、プロトロンビンおよび/または因子VIIを含む生成物での阻害剤迂回療法(inhibitor bypassing therapy)がトロンビンの生成を増加させる。
【0013】
[0013] 激しい血小板減少(<50 000 /μl)は、グランツマンおよびベルナール-スーリエ血小板障害と同様、減少したトロンビンの生成を引き起こす。フォンウィルブラント病において - 従来、高いすれ率で血小板の粘着の障害を引き起こすことが知られていた - 血小板の豊富な血漿中におけるトロンビンの生成は著しく障害される(上記を参照)。PRPにおける欠損は、血漿貧血小板(PPP)におけるものよりもはるかに高い。これは、随伴性の - 通常は緩やかな - 因子VIIIの減少によって説明することはできないことを示している。
【0014】
トロンボグラム(Thrombogram)
[0014] 本発明によって解決されるべき問題に取り組む場合、以下の知見をトロンビン生成のメカニズムに関して考慮するべきである。
【0015】
[0015] トロンビン形成(図1)のメカニズムの単純化されたスキームは、それが正および負のフィードバック反応で非常に複雑かつ過多であることを示す。実際、非線形系になるように非常に複雑、すなわち、反応物の濃度と出力との単純な関係は存在せず、閾値の現象が本質的に予測不可能に反応する系をもたらす。所与のトリガーに対する全体の反応は、それゆえ関連する反応物(未知であることもある)の個々の濃度の知識から推論することはできず、患者の血液中に含まれる完全系の関数を測定する試験のみが、その患者の止血/血栓症の状態を明らかにする。
【0016】
[0016] トロンビン生成の全プロセスの結果は、一過性のトロンビン活性の出現および消失である。時間に対するトロンビン活性の曲線、あるいはThrombogramTM(TG)は、開始相、またはラグタイムによって特徴づけられる。この間、微量なトロンビンのみが形成される;その後、増殖相として知られる活性の爆発が続く(図1)。血液はこの爆発のごく初期に血餅を形成し、ほとんど全てのトロンビンは、血餅が形成された後に形成される。形成されたトロンビンの全ては、血液の抗トロンビンによって後に不活性化される。これらのタンパク質は、ゆっくりとした反応において化学量論的にトロンビンと結合する。不活性化の速度は、トロンビンおよび抗トロンビンの濃度に対して比例的である。プロトロンビンの転換速度がトロンビンの不活性化速度よりも速い限り、トロンビンのレベルは増加する。トロンビンのレベルが増加するにつれて、不活性化速度もまた増加する。両速度のピークは等しく、その後は減衰が優勢になる。トロンビン活性の所与の曲線は様々な相を示し、特に、トロンビン生成のピーク、ピークに到達する時間および内因性トロンビンポテンシャル(endogenous thrombin potential)(ETP)を示す。
【0017】
先行技術
[0017] 止血および血栓症の系の機能を測定する必要性は、前世紀を過ぎても医療従事者の関心を逃していない。この問題の解決策は1990年代まで本質的には変わっておらず、実用的ではあるが不適当な手段、あるいは適当ではあるが非実用的な手段が提供されてきた。
【0018】
[0018] 現実的な解決策は、凝固時間と出血時間の測定に関係する。凝固時間はトロンビン生成の開始相の長さを測定し、従って、その関数の一部のみを反映する(33、上述したものも参照)。特定の条件においてのみ有用である、多くの種類の試験が臨床検査室において使用されているという事実は、凝固時間が全体として凝固のメカニズムを反映しないことを示す。 出血時間については、約40%の変動係数を有し、非常に不正確であると言うことができ、その実用的使用を強く制限する(34)。
[0019] 1950年代以降、H&T機能を評価するために血液を凝固させるトロンビンの時間的経過を測定することが最良であること認識されてきた(35-37)。 1992年まで、TGを測定する唯一の方法は、凝固している血液または血漿からサンプルを取り出し、その中のトロンビンの含量を決定することであった。これは、1曲線当り1人・時を要し、従って、研究目的には適しているかもしれないが、現代の臨床および疫学の使用には適しているとはいえない。
[0020] 1990年のHemker and Beguin et al. (EP-B1- 0 420 332)は、トロンビンについて高い特異性を有するが、低いターンオーバー速度(低Kcat)およびトロンビンについての弱い結合親和性(高Km)を有する凝固する血液に色素産生(色を生ずる)物質を加える手法に着手した。このような物質は、TGの全プロセス中に存在し、経時にわたるトロンビン活性の合計(すなわち、積分)は、形成された生成物の全量から測定することができる。理想的には、これは内因性トロンビンポテンシャル(ETP)、すなわち、トロンビン生成下の領域(AUC)を測定する。
【0019】
[0021] その後、Hemkerらは、さらに、TG曲線の全体を得るためにこの方法を発展させた(38)。これは、基質の速度定数が良好である場合、反応速度は、十分な近似において、凝固プロセスの全体にわたってトロンビンの濃度に比例するので、生成物濃度の一次導関数は、トロンビン活性に比例する曲線を与える。WO 03/093831A1に記載されたこの方法は、EP-B2-0420332に最初に開示された手順の延長および改良であった。ここでは、生成物の最終レベルのみが測定され、この方法において、TGの曲線下の領域、すなわちETPが得られる。
【0020】
[0022] この方法において使用された物質は、黄色生成物を産生し、そのモニタリングは、光学密度の測定を必要とし、それゆえ光学的に透明な反応媒体を必要とする。フィブリノーゲンの凝固によって引き起こされる濁度は、それゆえに回避されなければならず、フィブリノーゲンを除去するか、あるいはその重合を重合阻害剤を加えることによって防がなければならない。しかしながら、フィブリノーゲンの除去は、重要な反応物を除去するという不利益を有し、血小板のような重要な細胞成分を除去せずに行うことはできない。さらに、フィブリンの形成を完全に防ぐのに必要とされる高濃度での重合阻害剤の添加は、プロトロンビン転換酵素およびその形成を導く生化学反応を阻害する。
【0021】
[0023] 光学密度とは対照的に、蛍光を混乱した媒体において測定することができる。色素産生物質とは違って、蛍光生成物(蛍光原基質)を産生する物質は、繊維素を除いていない血漿中において使用することができるので、血小板富血漿(PRP)中においても使用することができる(33, 39-43)。しかしながら、蛍光物質の使用は、2つの重要な不利益をもたらす:1)蛍光強度は、いわゆる内部フィルター効果のためにフルオロフォアの濃度に比例しない;2)利用可能な基質では生成物形成の速度が酵素濃度に必ずしも比例しない。後者の不利益は、色素産生方法におけるように、著しく消費されない基質を使用することによって克服することができる。現在、このような基質は利用可能ではない。現状では、この両方の問題は、測定されたサンプル中における条件と正確に同一の条件下における、実験上のシグナルと一定のトロンビン様活性作用のシグナルとの連続的な比較によってともに解決される(WO 03/093831 A1)。
[0024] 色素産生方法は、血液が半透明ではないために、全血で使用することができないことは明らかである。蛍光基質は、全血中でTGを測定するのに適用可能であることが報告されている(44)。現状において、この公開された方法は、確立した副標本をとる方法で知られるように、少なからず、トロンビン生成の経過に類似しない誤ったシグナルを産生する(図2)。また、得られたシグナルと存在するトロンビンの量との間の定量的関係が実験毎に変化する。要するに、記載された方法は、再現可能かつ定量可能な結果を提供していない。
【0022】
[0025] 他の可能性は、血液の十分な稀釈(10倍以上)であり、赤血球細胞RBCはあまり影響を受けない(45)。これは、最小に稀釈された血液から得られる曲線よりも確実に良い曲線をもたらす。しかしながら、この手法は、2つの理由から生理学的状況を表わすことができない。第一の立場において、血餅を形成後(すなわち、トロンビン生成の最も重要な相の間)、トロンビン形成反応は、それらが不溶性界面(フィブリンのネットワークにおいて不動化された血小板および他の細胞の表面)で起こるために拡散が制限される。これはトロンビンの不活性反応のように遊離溶液における反応よりも稀釈に対して高い感受性を与える。稀釈された血液中において、トロンビン形成反応とトロンビン不活性反応との間の平衡は、インビボに存在する状況にとって代表的ではない。これは、病理学的阻害剤が血中に含まれる場合においてさらにより重要である(例えば、治療屈折血友病またはループスエリテマトーデス阻害剤において)。凝固阻害剤がインビトロにおける稀釈でその効果を失うことは、臨床実務においてよく知られている。
【0023】
[0026] それゆえ、問題はシグナルを得る方法に残っており、このシグナルから、変化するトロンビンの濃度を、10倍未満で稀釈された凝固する血液のサンプル中において決定することができる。本発明は、先行技術において直面した少なくとも幾つかの欠点を克服するこの問題に対する解決策を提供することを目的とする。
【0024】
[0027] 本発明以前に得られた再生不可能かつ誤った結果は、少なくとも2つの原因によるものであったということが本発明によって見出された;すなわち、a:血餅前の沈降と、b:凝固後の血餅の収縮とが起こることである(図4を参照)。蛍光が得られる容積が反応中に変化し、表面変化の幾何学的形態が変化する。これは光の誤った照準および反射をもたらし、回収されたシグナルを妨害する。予期せぬことに、これらの現象が、血液の薄層上、特に、グリッドおよび/またはマイクロビーズを備える薄層上で操作するときに起こらないことを本発明者は見出した。前記グリッドおよび/またはマイクロビーズと一緒の、あるいはこれらのない薄層の幾何学的形態は、実際に沈降および収縮を防ぐ。しかしながら、反応容積は知られておらず、それゆえ、これを測定中に決定しなければならない。これは、実験の開始時点で、既知の濃度の蛍光分子を加えることによって行われる。シグナルは小さいので、シグナル対ノイズ比は、当業者に周知の任意の適切なデバイスで大きな表面領域にわたって測定することによって有利に増加する。さらに、大きな体積 対 表面の比が蒸発の傾向を示すとき、これを防ぐための適切な測定が有利にはとられるべきである。
【0025】
[0028] 本発明は、血液サンプル中においてトロンビン活性の時間経過をインビトロで決定するための方法であって、トロンビンの生成が以下の工程によって測定される方法に関する:
- 前記サンプルの層を、トロンビンの蛍光原基質と接触させる工程(前記層は0.05〜5mmの範囲内の厚みを有し、10〜500mm2の範囲内の表面を有する)と;
- トロンビンを前記サンプル中において生成させる工程と;
- 前記蛍光原基質上で生成されたトロンビンの酵素作用の結果として蛍光原基質から遊離した蛍光基によって、前記層の表面から放出される蛍光を測定する工程。
【0026】
[0029] トロンビン活性を測定する方法は、トロンビンの濃度の時間経過の測定を可能にする。それは、凝固スキームに基づいて、その形成および後の不活性化から生じる。
【0027】
[0030] 本発明の方法は、全血サンプルまたは血小板富血漿(PRP)サンプルのような血液サンプル上で行うことができる。
【0028】
[0031] トロンビンは、トロンビン生成の開始にとって適切な成分を含む前記サンプルの接触後にサンプル中において生成可能となる。このような成分は、組織因子のような凝固因子、あるいはカルシウムイオンを含むことができる。
【0029】
[0032] トロンビンが反応混合物(活性トロンビン)中において生成および存在する間、これはその蛍光原基質と反応し、その結果、基質の蛍光基が放出される。
【0030】
[0033] 前記反応は、蛍光原基質が、トロンビンの活性を測定できる十分な量において反応の全期間にわたって存在するように設計される。例えば、基質の濃度は、トロンビンのために基質のKm以上であるので、基質の消費は反応速度にそれ程影響を与えない。基質はトロンビンによって転換され、アッセイされたサンプルの表面から放出された蛍光の増加を誘導する。
【0031】
[0034] 本発明において定義された方法は、血液サンプル中、特に、全血サンプル中、体内で起こるトロンビンの生成に実質的に匹敵しうる環境においてトロンビンの生成を可能にする。それゆえ、本発明は、止血および血栓症の研究における測定の信頼しうる方法を提供する。
【0032】
[0035] アッセイされたサンプルの層の表面から放出された蛍光の増加(トロンビン作用を通した蛍光基の基板からの放出の結果)を測定する工程は、特に、大きな表面(例えば、10〜500mm2の表面)を照射することができ、かつその表面から放出された光を集めることができる光学デバイスを使用して行われる。蛍光の測定のために選択された波長は、選択された蛍光基によって決定される。一つの波長は、測定を行うサンプルに送達される励起光について決定される。もう一つの波長は、トロンビンの蛍光原基質の蛍光基の放出から生じる放出された光について決定される。光学デバイス、例えば当業者に周知の蛍光プレートリーダー(例えば、the Ascent Fluorescent plate reader, Thermolabsystems)は、蛍光を測定するのに適している。
【0033】
[0036] 本発明の実施態様によれば、分析されるサンプル、特に、全血サンプルは、複数のサンプルを同時に分析することができる一以上の容器内に充填される。このような容器は、分析されるサンプルの層の厚みおよび表面の定められた条件に従って、サンプルが充填されうるように設計される。例えば、当該分析の分野における当業者に知られた、ウェルを含む平底マイクロプレート、あるいは他の適切な幾何学的設計を有する容器または支持体を使用することができる。
【0034】
[0037] 他のデバイスが、前記サンプルを本発明の定義に従う層として分析のために提供することができるという要件を満たす場合、これらのデバイスをサンプルのための支持体として使用することができる。従って、サンプルを含むウェル(マイクロプレートの)を参照することにより行われる、本発明を行う方法および手段の説明は、サンプルを含む他のデバイス(容器または支持体)に適用することができる。
【0035】
[0038] 本発明の方法によれば、アッセイ中のトロンビンの濃度は、蛍光原トロンビン基質の放出された蛍光基の測定された蛍光の関数である。これは、蛍光の出現の増加する割合に比例している。
【0036】
[0039] 従って、本発明の方法は、蛍光原基質が適切な量で存在している限り、サンプル中のトロンビン活性の全時間にわたるトロンビン濃度の測定を可能にする。
【0037】
[0040] 従って、血液の凝血前および凝血後、トロンビンのピークまで、そして、トロンビンのピークがトロンビンの不活性化の結果として得られた後のトロンビン濃度の減少中、トロンビン活性の経過は、時間依存型のトロンビン濃度曲線の測定によって表わされる。トロンビン活性の様々な工程の間、蛍光原基質は、存在するトロンビンと反応し、特に、加水分解され、蛍光基の放出をもたらす。
【0038】
[0041] 本発明の特定の利点は、本方法が、サンプル中、特に、稀釈されていない、あるいは最小限に稀釈された(最大10倍、特に4倍以下の範囲)全血サンプル中のトロンビンの生成を測定することができるということである。
【0039】
[0042] 記載された方法の特定の実施態様において、分析されるサンプル、特に全血の層の厚みは、1〜3mm、特に、約2mm以下である。
【0040】
[0043] 本発明の特定の実施態様において、サンプル、特に全血サンプルの表面積は、それがマイクロプレートのウェル内、あるいは任意の適切な容器または支持体内に充填されたとき、20mm2よりも大きく、例えば、30mm2〜200mm2、特に100mm2よりも大きく、特に150〜200mm2の範囲内にある。
【0041】
[0044] 一例によれば、サンプルはマイクロプレートのウェル内に充填され、各ウェルは15mmの直径を有し、血液サンプルの厚みは2mm未満であり、約175mm2の表面上で測定することができる。
【0042】
[0045] トロンビン活性の測定は、各サンプルの表面での蛍光の多数のレクチャーポイントを可能にするやり方において行われる。
【0043】
[0046] 本発明の実施態様によれば、本発明は、サンプル、特に、プレートのウェル内あるいは他の容器または支持体内に充填される全血サンプルで行われる。前記ウェルはまた、特に50μmのメッシュサイズをもつグリッドを含む。
【0044】
[0047] 本発明の実施態様におけるこのようなグリッドに代えて、あるいはこれに加えて、サンプル、特に全血サンプルは、マイクロビーズを含むプレートのウェル内または他の容器内または支持体内に充填される。
【0045】
[0048] 前記グリッドおよび/またはマイクロビーズの存在は、ウェル内の血液の分散を助け、かつ特に、凝集する血液中の血餅の収縮を防ぐために有利である。言い換えれば、グリッドまたはマイクロビーズの存在は、トロンビン活性中に測定されるシグナルをぼやかす凝血する血液の表面の妨害を防ぐことができる。このようなグリッドおよび/またはマイクロビーズは、測定のために大きな表面を使用することによってもたらされる収縮効果の減衰を向上させることができる。前記効果をもたらす他の手段もまた使用することができる。
【0046】
[0049] 本発明の特定の実施態様において、サンプル、特に全血サンプルを含むウェルには、トロンビン活性の測定中の蒸発の結果としての血液の乾燥を回避するために覆いをする。このような覆いは、これらが蛍光測定を妨害しないという条件で、通常の材料、例えば、幾つかのタイプの薄いプラスチックフィルムで行うことができる。
【0047】
[0050] 血液サンプル中のトロンビン活性の測定は、サンプルがウェル内(または任意の他の適切なデバイス、例えばスリット)に充填され、かつ組織因子を含むトロンビンの生成を開始するのに必要とされる成分が前記サンプルに提供された時点から、トロンビンが凝固プロセスにおいて消費される時点まで行われる。
【0048】
[0051] 本発明の方法の特定の実施態様において、サンプルに加えられたトロンビン蛍光原基質の量は、50〜1000μMの範囲内である。開示された方法によれば、定数項(すなわち、nM/L)において活性トロンビンの濃度を知るために、蛍光の測定が行われる血液サンプルの体積を知る必要がある。このために、既知の濃度のフルオロフォアをトロンビンの蛍光原基質に加えることができ、フルオロフォアに対するトロンビン基質のそれぞれの割合は、トロンビン基質に結合した蛍光分子の量の1%〜10%の範囲内、特に1%〜5%の範囲内にある。
【0049】
[0052] 本発明の特定の実施態様において、フルオロフォアは、蛍光原基質上でのトロンビンの作用によって放出される蛍光分子と同じ性質を有する。
【0050】
[0053] 他の実施態様において、このフルオロフォアは、蛍光原基質の蛍光分子とは異なる化学種である。この場合において、蛍光の測定は、フルオロフォアのこの新しい化学種の存在を考慮に入れる;これは特に、フルオロフォアの蛍光の測定を含む。
【0051】
[0054] このような既知濃度のフルオロフォアの追加は、分析対象のサンプルにおける内部標準を提供し、蛍光が実際に測定されるサンプルの体積の評価を可能にする。
【0052】
[0055] サンプル(特に全血サンプル)中におけるトロンビン生成を決定する方法を行うために、蛍光分子とカップリングした有機化学物質からなる、トロンビンのための合成基質が有利には使用される。
【0053】
[0056] 合成蛍光原基質は、蛍光分子とカップリングした2〜30アミノ酸残基の配列を有するオリゴペプチドとすることができる。
【0054】
[0057] 蛍光原基(fluorogenic group)は、基質中の末端リシンまたはアルギニン残基と結合することが特に有用である。なぜなら、トロンビンが好ましくは、これらのアミノ酸残基に結合して基に分けるからである。
【0055】
[0058] 特定の実施態様によれば、使用される蛍光分子はAMC(7-アミノ-4メチルクマリン)またはp-ニトロアニリドである。合成基質は、Rijkers, D.T., H.C. Hemker, et al (1996), Int J Pept Protein Res 48(2): 182-93; Rijkers, D.T., S.J. Wielders, et al (1995), Thromb Res 79(5-6): 491-9; Wielders, S. M. Mukherjee, et al (1997), Thromb Haemost 77(4): 629-36. に記載されている。
【0056】
[0059] 本発明を実施するために適切な特定の合成蛍光原トロンビン基質は、Z-Gly-Gly-Arg-AMCである(BACHEMから入手可能)。
【0057】
[0060] 本発明の特定の実施態様において、サンプルを含むウェル(または任意の他の適切なデバイス)は、さらにゲル、できればカルシウムイオンを含むゲルをさらに含むことができる。このゲルは、サンプルの全血を稀釈しないように調製される。セファデックスまたはアガロースゲルのようなゲルは、それらが乾燥しないような範囲で使用することができ、血漿の液体をゲルに入れることができる。
【0058】
[0061] ゲルが使用されるとき、ゲルは、全血サンプルの前またはこれと一緒にウェル中に充填することができる。
【0059】
[0062] トロンビン生成を可能にするためにサンプル中に加えることができる化合物には、組織因子およびカルシウムイオンが含まれ、これらの化合物は、凝固を開始させることができる量において加えられる。
【0060】
[0063] このような量は、組織因子については0.05ピコモル/L〜15ナノモル/Lの範囲内とすることができ、クエン酸塩加の血液が使用されるとき、約10mMのCa2+イオンとすることができる。また、本発明には明示的に、天然の、非凝固の血液を使用する場合が含まれる。この場合において、Ca2+は加えられる必要はない。代わりに、一定の適用において、血液の自発的な凝固を調べるために組織因子を加えないことは有益である。組織因子は、必要とされるとき、測定の開始直前に加えられる。
【0061】
[0064] カルシウムイオンおよび/または蛍光原基質を、特に、カルシウムおよび蛍光原基質が溶液中において使用されるとき、血液サンプルに直接加えることができる。また、組織因子を、血液サンプルに代わりに加えることもできる。
【0062】
[0065] サンプルおよび様々な化合物がウェル内に充填されたとき、測定は直ちに実施される。
【0063】
[0066] 本発明の方法の特定の実施態様において、分析される全血は、クエン酸塩加の血液である。
【0064】
[0067] 全血サンプル中のトロンビン活性の測定の方法は、止血性疾病または血栓性疾病を検出またはモニタリングするために、あるいはそのような疾病が患者において現われる可能性を検出またはモニタリングするために有利に使用することができる。
[0068] 本方法はまた、全血サンプル中のトロンビン活性上で測定された物質の相互作用を検出またはモニタリングすることを可能にする。前記測定された物質は分析対象のサンプルに加えられるか、あるいはトロンビン生成中に加えられる。
【0065】
[0069] 本発明によって試験することができる物質は、例えば、血液上で凝血効果を有する薬学的物質または他の化合物、例えば凝固因子または薬剤または抗凝固因子または薬剤である。トロンビン阻害剤は、特に、本発明の方法に従って試験することができる。
【0066】
[0070] 他の側面において、本発明の方法は、トロンビン活性と相互作用するその能力を決定するためにスクリーン物質に使用することができる。
【0067】
[0071] 本発明によれば、上述した方法および以下の例において例証される方法は、特に、全血サンプルの内因性トロンビンポテンシャル(ETP)の測定のために使用することができる。
【0068】
[0072] また、トロンビンのピークまでの時間の測定のために、あるいは凝固時間の測定のために使用することができる。
【0069】
[0073] また、分析中に生成されたトロンビンのピークのレベルを測定するのに有用である。
【0070】
[0074] 本発明の方法は、実際には、トロンビンと蛍光原基質との反応から得られる測定された蛍光の一次導関数である いわゆるトロンビン曲線の測定を可能にする。
【0071】
[0075] 本発明の特定の方法において、較正工程は、特許出願WO 03/093831において記載された較正のように行われる。
【0072】
[0076] 本発明の方法は、全血サンプルである生物学的サンプルに関連して記載されてきた。これはまた、血小板富血漿(PRP)または血小板貧血漿(PPP)であるサンプルを分析するために使用することもできる。
【0073】
[0077] 本発明はまた、上記に開示した方法および以下の例を実行するためのキットにも関係する。前記キットは、以下のものを含む:
- トロンビンのための蛍光原基質
- トロンビン生成を可能にする組織因子およびカルシウムイオン
- 任意的には、血餅の収縮を防ぎ、かつ全血の分散を助けるグリッドまたはマイクロビーズ
- 任意的には、カルシウムイオンを含むゲル
[0078] 任意的には、前記キットはまた、本発明の方法を行う特別なガイダンスを提供する使用のための説明書も含む。本発明の他の特徴およびその利点は、以下の例および図において開示される。
【例】
【0074】
I 全血中におけるTGの測定:観察された現象およびTG測定のための技術的障害。
【0075】
[0079] 蛍光原基質が使用されるとき、光が赤血球細胞によって(すなわち、発光を観察することができる空間でもある、励起光に到達可能な血漿空間中において)遮断されない限り、蛍光は誘発され得かつこれのみで測定することができる。簡単にするために、我々は、赤血球細胞は、両タイプの光に対して完全に不透過性であると仮定する。しかしながら、ある程度のRBCが透過性であったとしても、推論を根本的に変更する必要はない。
【0076】
[0080] 全血は、開始相の終わり、すなわち、トロンビン生成の爆発的な塊の形成の始まりに血餅を形成する。図4において、4つのステージが、血液の上部表面および下部表面上の状態、蛍光原基質の存在下における蛍光測定プレートのウェル内部の凝固の状態として示されている。4つのステージは、上部あるいは代わりに底部から照射される。
【0077】
[0081] ステージAでは、撹拌された血液は、そのままの状態にとどまり、赤血球細胞は、液体血漿中において均質に分散している(図4A)。凝固前のラグタイムの経過において(典型的には3〜12分)、赤血球細胞の沈降が起こり;上部では血漿は光を受けやすくなり、底部では光を受けにくくなる(図4B)。血餅ができるとすぐに(図4C)、Bにおいて生じた現状がフィブリン塊の出現によって「凍結」される。血小板塊でのトロンビンの作用のために、血餅が形成されるとすぐに収縮が起こる。沈降および血餅の収縮は、mm/時のスケールで肉眼で確認できる現象である。マイクロメータードメインにおいて、それらは数分の経過において、すなわち、TG試験の時間スケールにおいて起こる。収縮は、RBCの不均等な分布をもたらし、また、表面における変化をもたらす。表面はもはや平面構造ではなく波状構造となる。この波状構造は、表面での血漿および血餅の不均等な再区分をもたらし、予測不可能な光学的降下を引き起こす。表面の不規則さはmmスケールであり、肉眼で観察することができる。従って、これらは、標準的な蛍光測定における励起光スポットと同じオーダーの大きさである。
【0078】
[0082] 沈降および収縮は、蛍光分子が励起光によって到達され得る液体体積の変化を誘導する。この変化のために、測定が行われる実際の体積は変化して知ることができない。従って、たとえ沈降および収縮の効果が無視できるような場合であっても、これらの条件において得られたシグナル産生の割合からトロンビンの量を再現可能に定量することは不可能である。
【0079】
[0083] 通常のマイクロタイタープレートのウェルおよびこれらのウェルに通常の高さ(6 mm)まで充填された体積を使用することによって行われる試験では、全てのウェルのわずかなパーセンテージにおいてのみ満足な結果を得ることができる。これは、通常の蛍光測定において、測定された表面のスポット(約4mm2)が、十分な血漿が利用可能であるために十分なシグナルを得ることができる領域{つまり、収縮した血餅の塊の上ではなく、表面の「溝」にある(図4Dを参照)}と一致する場合のみ、十分なシグナルが得られるという事実によって説明される。測定の文献におけるポジィティブな報告は、得られたデータの注意深い選択から得られなければならない。正しい形態のシグナルが得られるこれらの場合において、トロンビンの定量的測定は、測定体積が未知でかつ変化するので不可能である。透明なフォイルを通した底からの測定は、表面の不規則さの問題を解決するが、RBCの沈降のために、シグナルは非常に小さくなり、バックグランウドノイズの中に埋もれてしまう。
【0080】
[0084] 今日まで利用可能なタイプの96ウェルプレートのウェルの通常の充填で、10ウェルから1または2の解釈可能なシグナルを得ることができることが観察されている。仮に、ウェルが標準的に有用な高さとして2mm未満の高さまで充填される場合、シグナルは全ての測定で近似において得られる。それにもかかわらず、通常の蛍光測定においてこのように得られるシグナルは、大きく変化し、また小さく(すなわち、血漿で得られるシグナルの1〜5%に相当する)、大きなシグナル対ノイズ比を示す(図6)。我々は、通常の蛍光測定の光学的設定を使用して全血中においてTGを決定する実用的方法が存在しないことを結論づけた。
【0081】
II 本発明の方法のデザイン
1.本発明の原理
[0085] 驚くべきことに、(a) 沈降および収縮の効果が、凝血の層の厚みとともに段階的に減少することと、(b) 約10mm2より大きな表面積からの蛍光の測定が、収縮によってもたらされた表面の残存する不規則さを等しくする傾向があることを見出した。同様に、驚くべきことに、沈降および収縮の効果は、迷路または間隙、例えば、フィルターのグリッド(50〜500μmのメッシュ開口部を有する)または充填された球体(直径50〜500μm)において血液を含ませることによってさらに減少させることができる。その結果、本発明者らは、約10mm2よりも大きな表面積に広がった血液の薄層(特に2mmより薄い)において行われる測定を可能にすることによって、トロンビン活性の生成物から妨害されない蛍光シグナルを得るための条件を提供する。
【0082】
[0086] 反応が測定される未知の体積の問題を解決するために、本発明者らはさらに、純粋な基質を使用せず、むしろ一定の低い、しかし、既知でかつ容易に測定可能な濃度の蛍光生成物を既に含んだ基質を使用することを決定した。
【0083】
2.測定のための光学デバイス
[0087] 通常の表面よりも大きな表面を測定するためには、大きな表面を照射し、かつその表面から放射された光を収集することができる光学デバイスが必要である。一つのこのようなデバイスは、おおよそホイヘンス接眼鏡のようなものであり、他にはマイクロスコープコンデンサーのようなものである(図5)。蛍光シグナルを増加させるために、血液を反射面で広げることができ、このような表面は、以下に記載されたデバイスの不可欠な部分にすることができる。
【0084】
3.血液サンプルを含むデバイス
[0088] その構造の隙間において血液を含むデバイスの使用によって、創傷における流血の状態をシミュレーションすることができる。該デバイスは、組織因子、トロンボモジュリンおよび/またはTGプロセスに影響を与える正常な血管壁において存在することが知られている他の要素(例えば、コラーゲン)を含むように作製することができる。比較するために、デバイスを作成する材料は、例えば、ナイロンやポリプロピレンのような不活性材料の中から選択することができる。
【0085】
[0089] 表面の乾燥を防ぐために、血液の薄層は、固体または液体材料の薄層フィルムによって覆うことができる。代わりに、血液を、例えば、毛管力によって半透明材料内のスリットにガイドすることができる。
【0086】
4.測定
[0090] 本発明には、蛍光シグナルが蛍光分子の濃度に比例する薄層において測定する優位性がある;言い換えれば、内部フィルター効果は役割を果たしていない。しかしながら、基質の消費は役割を果たす。それは三つの方法において補われうる:(a) 色素生産性の方法(38)において、すなわち、基質の消費が無視できるような効果しか有しない速度定数で基質を提供することによって、(b) 基質の消費を数学的に矯正することによって、すなわち、統合反応速度式を適用することによって、および (c) 特許WO 03/093831に記載された標準物質を使用することによって。
【0087】
[0091] 凝固する全血中のトロンビン濃度の経過は、血液に加えられた蛍光原基質上でのトロンビンの酵素的作用から決定される。安定かつ十分なシグナルが、2mm未満の厚みの層によって例証される薄層において大きな表面(10mm2以上の表面によって例証される)にわたって測定することによって得られる。反応が起こる実際の体積を測定するために、少量のフルオロフォアが基質に加えられる。専門化された光学デバイスは、表面の全体を照射するために、そして、表面から放射された光を収集するために必要とされる。
【0088】
[0092] 薄層は、安定化され、一連の機械的手段による乾燥から守られる。ここで、不活性グリッドまたはグリッドの材料が、血管壁の一定の性質を模倣するように選択される。代わりに、小さなスリットを使用することができる。
【0089】
[0093] その設定はまた、血小板貧および血小板富血漿においてトロンビンの生成を測定するために使用することができる。
【0090】
5.反応混合物
化学物質
[0094] ポリブレンまたはCa2+を含まない組み換え型の組織因子 (rTF) は、Dade Behring (マールブルク、ドイツ)からのものである。蛍光原基質、Z-Gly-Gly-Arg-AMCは、Bachem (スイス)から得られる。トロンビンによって開裂され、390nmの励起および460nmの発光フィルターセットによって測定される蛍光性7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC)を放出する。
【0091】
[0095] 蛍光原基質およびCaCl2(FluCa)の新鮮な混合液を、以下のように各試験のために調製する:60g/L BSA (Sigma, A-7030)を含む875μLのバッファー(Hepes 20mM, pH7.35)に、100μLの1M CaCl2を加えた。37℃で、25μLの100 mM DMSO-溶液の蛍光原基質を注ぎ込み、直ちに激しく混合した。FluCaと呼ばれる、得られた透明な溶液は、蛍光原基質中2.5mMであり、かつCaCl2中100mMである。
【0092】
バッファーAは、20mM hepes、140mM NaCl、5mg/ml BSAを含み、pH=7.53である。
【0093】
バッファーBは、20mM hepes、140mM NaCl、60mg/mlを含み、pH=7.35である。
【0094】
血液および血漿
[0096] 血液は、静脈穿刺通して得る(1体積のクエン酸三ナトリウム0.13M〜9体積の血液)。自由な流れまたは最小の吸引が使用されるべきである;真空の容器は避けるべきである。
【0095】
[0097] 測定は、390/460フィルターセット(励起/発光)を備えたプレート蛍光計 (Ascent reader, Thermolabsystems OY, Helsinki Finland) において行われる。通常の96ウェルプレートの代わりに、15mmの直径(従って175mm2の表面積)を有する24個の円形ウェルを備えたウェルプレートを使用する。ウェルをバッファーAで数回洗浄し、かつウェルを乾燥させることによって調製する。
【0096】
[0098] その後、血液と基質との混合液を、トロンビンの生成が行われるように加える。この混合液には、ろ過されるウェル当り:80μLのクエン酸塩加の全血が含まれる。
【0097】
[0099] バッファーAにおいて1:1000に稀釈された20μLのInnovin(登録商標)、20μL FluCaまたは、場合によっては、複数のこれらの体積。
【0098】
[00100] FluCaの添加直後に、混合液をVortexミキサー上で撹拌し、ウェルに加えた。プレートを蛍光計に挿入し、10秒間にわたって1200rpmで振盪した。その後、1時間にわたって390/460nm 37℃で2分毎に測定した。
【0099】
[00101] 各ウェル当り120μLの混合液を加える。
【0100】
例1
メッシュおよびカバーを加える、多数のレクチャーポイント。
【0101】
[00102] トロンビンの生成は、3つのウェルにおいて上記に示したように誘発された。ウェルごとに24のスポットを照射し、次々に測定した。各読み取りで24地点からのシグナルを加えた。結果は図7において示す。シグナルは、グリッド、ここでは、600μMのメッシュ開口部、51%の開口領域および445μMの厚みを有するナイロンフィルター (Spectrum Laboratories Inc. Rancho Dominguez California, USA) を加えることによって増大および安定することがわかる。しかしながら、シグナルは、上部層の蒸発および濃縮のために時間とともに偽性増加する。これは、プラスチックフォイルでのカバーリングによって防ぐことができる(QPCRのサーモスプリント オプティカル クリーン シーリング テープ(Bilatec AG, マンハイム、ドイツ))。
【0102】
例2
ゲルおよびカバーを加える、多数のレクチャーポイント。
【0103】
[00103] トロンビンの生成は、3つのウェルにおいて上記に示したように誘発された。ウェルごとに24のスポットを照射し、次々に測定した。各読み取りで24点からのシグナルを加えた。2つのウェルに150mM NaCl溶液中の700μLの50%(v/v)セファデックス-25を加え、その粉末を5分間にわたって定着させる。上清(300〜400μL)は、ピペットでウェルから除去する。
【0104】
[00104] その後、120μLの凝血混合液を加える。これらの2つのウェルの一つの上にプラスチックフォイル(QPCRのサーモスプリント オプティカル クリーン シーリング テープ(Bilatec AG, マンハイム、ドイツ))を適用した。その結果は、図7におけるものと比較することができる。
【0105】
例3
光学デバイスで光を集める
[00105] この実験のために、例1におけるのと同様のグリッドおよびカバーを有する一つのウェルを、Fluostar 最適蛍光計(BMG Labtech, オッフェンバッハ、ドイツ) を用いて測定した。サンプルからの光をホイヘンス接眼鏡(10×の倍率)に集め、この光学デバイスを通過後に読み取る。その結果は図8において示す。
【0106】
例4
トロンビンに対する任意単位
[00106] この試験を、主に、例えば、メッシュおよびカバーを有する例1では、既知の量(10 nM)のAMCを、基質Z-Gly-Gly-Arg-AMCに加えることによって行った。赤血球の沈降のために、存在するAMCからのシグナルが増加するので、測定が行われる体積は増加する。凝固の瞬間、「凍結」状態に至り、さらなる沈降は起こらない。その瞬間、シグナルの急激な増加から、我々は、加えた10 nMのAMCのために蛍光の量を測定する。この方法において、我々は、蛍光の単位(F)をAMCの濃度に転換する方法を知る。従って、測定されたdF/dtを、d[AMC]/dtに転換することができる。独立した試験から、我々は、d[AMC]/dtのいかなる数値がトロンビン濃度のいかなる数値と対応するを知る。従って、蛍光の変化の速度(図9、黒線)を、サンプル中のトロンビンの濃度に変換することができる。
【0107】
例5
血液サンプルを含むデバイス
基質およびCa2+イオンを含むフィルター紙セルを、50μLの100mM DMSO溶液の蛍光原基質および100μLの1M CaCl2溶液を5850μLエタノールに加えることによって調製する。11μLのこの溶液を、7×9mmの一片の固体マトリックス(Whatman 1MM クロマトグラフィー紙)上に広げ、窒素下で乾燥させる。次に、図11に示したように、プラスチック片(QPCRのサーモスプリント オプティカル クリーン シーリング テープ(Bilatec AG, マンハイム、ドイツ))で覆った。
【0108】
同じ手順を、基質のみを含むフィルター紙セルを調製するために使用し、この場合において、蛍光原基質の100mM DMSO溶液の50μLを、5950μLエタノールに加え、このうち11μLを一片の固体マトリックス上に広げ、窒素下で乾燥させた。
【0109】
フィルター紙セルを使用する、多数のレクチャーポイント。
2つのフィルター紙セル、蛍光原基質およびカルシウムイオンを含むもの(A)および基質のみを含むもの(B)を、上述したように新たに調製した。
【0110】
クエン酸加の全血、緩衝液BおよびInnovin(登録商標)(緩衝液Aにおいて1:1000に稀釈)の4:1:1の混合液を調製した。標準物質として、クエン酸加の全血、緩衝液B(1.0mM)中の重合阻害剤(H-Gly-Pro-Arg-Pro-OH ・ AcOH) (Bachem feinchemikalien AG, Bubendorf, Switserland) および20μMの黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ(Staphylocoagulase)の4:1:1の混合液を、全血と重合阻害剤とを混合することによって調製した。試験を開始する直前に、staphylocoagulaseを加え、サンプルを十分に混合した。
【0111】
Staphylocoagulaseを添加した直後に、11μLのTGサンプルをセルAに加え、かつ11μLの標準物質をセルBに加えることによって試験を開始する。これは、液滴がマトリックスに触れるように固体マトリックスに近接した液滴をピペッティングすることによって行われ(図11を参照)、液滴は毛管力によってその内部に吸い込まれる。セルごとに、4スポットを照射し、次々に測定した。
【0112】
標準物質からのシグナルは直線であり、その傾斜は、サンプルセルからのシグナルをnMトロンビンに転換することによって使用される。これは、当業者に周知の従来のシグナル較正であり、親出願PCT/EP 03/04705の意味における連続的な較正ではない。結果は、図12に示す。
【0113】
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【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】副サンプリング試験から得られたトロンボグラム。その主な特徴は、ラグタイム(=凝固時間)、ピーク高さおよび曲線下面積(=内因性トロンビンポテンシャル、ETP)。
【図2】較正自動化トロンビノグラフィー(thrombinography)によって血小板貧血漿中において得られたトロンビン生成曲線の例。
【0115】
AVK:抗ビタミンK処理;TM:トロンボモジュリン。
【図3】トロンビン形成の単純化された概念図:ポジィティブおよびネガティブフィードバックが明示されている。
【図4】凝血する全血からの蛍光シグナル上での沈降および血餅収縮の効果の略図。
【0116】
説明文:
大きな楕円:赤血球細胞
星型の円:発散した蛍光分子
四角:発散していない蛍光分子
一番上の水平線(あるいは曲線):液体表面
一番下の水平線:測定するウェルの透明な底
ステージA: ウェルの充填直後の液体血液(図1 t=0)。
【0117】
ステージB: 凝血直前の液体血液(図1 t=B)。
【0118】
ステージC: 凝血直後の血液(図1 t=C)。
【0119】
ステージD: 収縮の開始後の血液(図1 t=D)。
【図5】ホイヘンス接眼鏡およびコンデンサー。
【図6】標準のマイクロタイタープレートウェル中の血液の薄層(3mm)。 7つの同一試験。
【図7】大きな表面のマイクロタイタープレートウェル中の血液の薄層。ウェル当り32のレクチャーポイント 同一試験。
【図8】メッシュおよびカバーを備えた大きな表面のマイクロタイタープレートウェル中の血液の薄層。光収集デバイス(ホイヘンス接眼鏡)を通した1つのレクチャーポイント (1)試験的曲線、(2)α2M-トロンビンの収集後。
【図9】トロンビンに対する任意単位
【図10A】サンプルカードリッジのデザインは、2区画測定カードリッジの可能なデザインを示す。生体適合性被覆で覆われた一つの薄片の(好ましくは硬質の、例えばガラス)材料(「スライド」と呼ばれる)が、適切なスペーサーを有する区画に分けられる。このスペーサーはまた、抵抗の降下および/または電流の増加によってサンプル注入を検出する電極として機能する。各区画は、標準物質および/または基質(または阻害物質および組織因子のような任意の他の必要な物質)で覆われる。第2のスライドは、他のスライドの上に付着される。2つのスライド間の空間は、5〜1000μm、好ましくは50μmである。
【図10B】カードリッジは、光学的適用を可能にする適切なダイクロイックミラーのコーティングによって一以上の側面でコーティングされる。これは、励起光がカードリッジに入ることを可能にする一方で、発光がカードリッジ内で反射し(図10Bを参照)、カードリッジの非コーティング側面に集まることを可能にする。
【図11】代替のカードリッジのデザインは、一片の固体マトリックスを示し、例えば、多孔性ポリマーまたはセルロースが2つのスライドの間に置かれる。このマトリックスは、基質および/またはカルシウム(または組織因子、阻害物質のような任意の他の物質)を含む。これらの物質は、乾燥または凍結乾燥された形態において、溶剤と一緒に存在してもよい。
【図12】図12は、黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ(Staphylocoagulase)標準物質によってnMトロンビンに転換された、フィルター紙セル中の血液の薄層において測定されたTG曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のトロンビン活性をインビトロで決定する方法であって、前記サンプルが血液サンプルであり、かつトロンビンの生成が以下の工程によって測定される方法:
- 前記サンプルの層をトロンビンの蛍光原基質と接触させる工程と(前記層は0.05〜5 mmの範囲内の厚みを有し、10〜500 mm2の範囲内の表面積を有する);
- トロンビンを前記サンプル中において生成させる工程と;
- 前記蛍光原基質上で生成されたトロンビンの酵素作用の結果として蛍光原基質から放出された蛍光基によって、前記層の表面から放射される蛍光を測定する工程。
【請求項2】
前記アッセイの間に生成されたトロンビンの濃度が、放出された蛍光基による測定された蛍光の関数として決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記全血サンプルが、最大10倍の範囲内で稀釈される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルの層の厚みが約2mm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アッセイのために、前記血液サンプルが、50〜500μmのメッシュサイズを有するグリッドを含むプレートのウェル内に充填される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アッセイのために、前記血液サンプルが、マイクロビーズを含むプレートのウェル内に充填される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記血液サンプルを含むウェルが、トロンビン活性の決定のために覆われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
フルオロフォアが、トロンビンの蛍光原基質に加えられる請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法(加えられたフルオロフォアの割合はトロンビン基質に結合した蛍光分子の量の1〜10%の範囲内にある)。
【請求項9】
前記サンプルに加えられたトロンビン基質の量が、50〜1000μMの範囲内にある請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光原基質が、蛍光分子とカップリングしたトロンビンについての合成基質である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トロンビンの基質が、トロンビンに対するゆるやかな結合親和性と低速度定数を示す請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記蛍光原基質が、蛍光分子とカップリングした2〜30のアミノ酸残基の配列を有するオリゴペプチドである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記オリゴペプチドが、蛍光分子とカップリングするための末端のリシンまたはアルギニンを有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記蛍光分子が、AMC(7-アミノ-4-メチルクマリン)である請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ウェルがさらに、ゲル、可能であればカルシウムイオンをさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法(前記ゲルは、サンプルの血液の稀釈を可能にしない)。
【請求項16】
組織因子およびカルシウムイオンが、トロンビンの生成を起こすことができる量において前記血液サンプルに加えられる請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記血液サンプルが、全血のサンプルである請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記血液サンプルが、血漿、特に血小板富血漿(PRP)のサンプルである請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記全血のサンプルが、クエン酸付加である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
止血性の疾病または血栓性の疾病を検出またはモニタリングするために使用される請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
全血サンプルにおけるトロンビン活性上で決定された物質の相互作用を検出またはモニタリングするために使用される請求項20のいずれか一項に記載の方法(前記決定された物質は、分析対象のサンプルに加えられるかまたはトロンビンの生成の間に加えられる)。
【請求項22】
凝固因子または薬剤の相互作用をモニタリングするために使用される請求項20に記載の方法。
【請求項23】
物質の相互作用能をトロンビンの生成で決定する、物質をスクリーニングするために使用される請求項20に記載の方法。
【請求項24】
全血サンプルの内因性トロンビンポテンシャル(ETP)の測定のために使用される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
トロンビンのピークまでの時間の測定のために使用される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
凝固時間の測定のために使用される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
生成されたトロンビンのピークのレベルの測定のために使用される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
較正ステップを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法を行うためのキットであって、以下のものを含むキット:
- トロンビンのための蛍光原基質、
- トロンビン生成を可能にする組織因子およびカルシウムイオン、
- 任意的には、血餅の収縮を防ぎ、かつ全血の分散を助けるグリッドまたはマイクロビーズ、
- 任意的には、カルシウムイオンを含むゲル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−539400(P2008−539400A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508173(P2008−508173)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004945
【国際公開番号】WO2006/117246
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507354297)シナプス・ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】SYNAPSE B.V.
【住所又は居所原語表記】Universiteitssingel 50, 6229 ER MAASTRICHT, the Netherlands
【Fターム(参考)】