公差補償のクイックカップリング

【課題】本発明は、カップリング公差を補償するクイックカップリングを提供することにある。
【解決手段】本発明のクイックカップリングは、バルブ本体と突起部を有する雄部カップリングを備えている。突起部は、バルブ本体内で半径方向に移動可能で、突起部の端部に、バルブ本体内に収用されるフランジを設けている。バルブ本体内に設けた軸方向に移動可能な環状体が、バルブ本体の底部にあるバネで、フランジに対して押圧されている。軸方向に移動可能な環状体が、フランジに面する側に環状スロットを備え、フランジ内面に接するシールリングが環状スロットに係合している。軸方向に移動可能な環状体が、外周に外周スロットを備え、バルブ本体の内壁に接する外周シールリングが外周スロットに係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、公差補償のクイックカップリングに関する。
【背景技術】
【０００２】
複数のクイックカップリングを、マルチ接合盤に取付けて、複数のクイックカップリング間の接合を行なうことは従来技術で知られている。
【０００３】
この方法は、加圧流体でコントロールする駆動モータ及びユニットを含む、複雑な機械道具または作業用装置に使用される。
【０００４】
マルチ接合盤に取付けたクイックカップリング間には、位置の公差がある。各々のマルチ機能盤に取付けた雄部カップリングおよび雌部カップリングの完全な接合には、通常、半径方向に補償する手段を設けて正確な接合を行なう。
【０００５】
このために、従来技術の雄部カップリングに、その支持体の中心線に対して半径方向に少し移動可能とさせる。
【０００６】
複数のカップリング間の位置の公差によるオフセットを補償する半径方向の雄部カップリングの移動は、接合・分離時に、好ましくない液漏れを引き起こす欠点がある。これは、不充分なシール構造から来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服するために、半径方向に移動可能で流体の漏れを防ぐ突起部を備えた雄部カップリングを提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
この問題は、突起部を備えた雄部カップリングの公差補償クイックカップリングで解決される。突起部は、バルブ本体内で半径方向に移動可能である。雄部カップリングの突起部の端部は、バルブ本体内にあるフランジとなる。バルブ本体は、軸方向に移動可能な環状体を備えている。環状体は、バルブ本体の底部に設けたバネで、フランジに対して押圧されている。軸方向に移動可能な環状体は、フランジに面する正面に、環状スロットを備えている。フランジの内面に接するシールリングが、環状スロット内で係合している。さらに環状体は、その外周面に外周スロットを備えている。バルブ本体の内壁に接する外周シールリングが、その外周スロットに係合している。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
図１は、クイックカップリングの雌部カップリング１および雄部カップリングＭを示す。雄部カップリングＭの突起部２（又は隆起部）が、雌部カップリング１に接続される。
【００１０】
クイックカップリングが、雌部カップリング１および雄部カップリングＭを備えることは良く知られている。
【００１１】
雄部カップリングＭの突起部２は、バルブ本体３で支持され、半径方向（矢印ｆ）に移動可能である。
【００１２】
図２から明らかなように、突起部２は、バルブ本体３の内部にフランジ４を備えている。フランジ４は、バルブ本体３の周方向カラー５の内壁に接している。
【００１３】
環状体６の端部は、フランジ４の内面に対して、バルブ本体３の底部８に設けたコイルバネ７で、突起部２のフランジ４に押圧されている。
【００１４】
加圧流体は、雄部カップリングＭに矢印ｇで示す方向に供給される。
【００１５】
コイルバネ７により、環状体６は、突起部２のフランジ４の内面に対して、所定の力で押圧されている。これにより第１のシーリング領域を形成する。
【００１６】
環状体６は、フランジ４に面する正面に、環状スロット９を備え、弾性材のシールリング１０が、環状スロット９に係合している。
【００１７】
シールリング１０は、フランジ４の内面に当接し、流体１１が、バルブ室１２から漏れるのを防ぐ。
【００１８】
環状体６の径方向外側で、環状スロット９は、壁部２０で区切られている。壁部２０は、バルブ室１２内側に向けフック状に曲げられている。これにより、シールリング１０を、そのシール位置で安全に係止し、シールリング１０が、加圧流体１１で押し出されるのを防ぐ。
【００１９】
環状体６は、外周スロット１３を備え、弾性リング１５で抑止された弾性材の外周シールリング１４が、外周スロット１３に係合している。
【００２０】
図２から分かるように、外周シールリング１４も、複数の点で示す加圧流体１１に作用を受けている。
【００２１】
図から明確であるが、シールリング１０の直径は、外周シールリング１４の直径よりも小さい。
【００２２】
シールリング１０および外周シールリング１４は、矢印ｇ方向に供給されている流体１１で同一の圧力を受けている。大きな直径、すなわち大きい表面を備えた外周シールリング１４は、流体１１からの力の作用で、環状体６、そして弾力性のあるシールリング１０を、コイルバネ７と協同して、フランジ４の内面に対し堅固に押し付け、一層のシール効果を与える。
【００２３】
バルブ本体３の軸方向に移動可能な環状体６、環状体６の正面に形成する環状スロット９に係合するシールリング１０、および、バルブ本体６外周に延びる外周スロット１３に係合する外周シールリング１４で、優れたシール効果を得る。
【００２４】
本発明の実施形態は、例示的なもので、これに限定されるものでなく、変形および変更は、発明の精神から離れるものではない。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】図１は、雄部および雌部カップリングを備えたクイックカップリングの概略断面図である。
【図２】図２は、クイックカップリングの雄部カップリングを拡大した断面図である。
【符号の説明】
【００２６】
１雌部カップリング
２突起部
３バルブ本体
４フランジ
５周方向カラー
６環状体
７コイルバネ
８底部
９環状スロット
１０シールリング
１１流体
１２バルブ室
１３外周スロット
１４外周シールリング
１５弾性リング
２０壁部
Ｍ雄部カップリング

【特許請求の範囲】
【請求項１】
カップリング公差を補償するクイックカップリングが、
バルブ本体と突起部を有する雄部カップリングを備え、該突起部は、該バルブ本体内で半径方向に移動可能で、該突起部の端部に、該バルブ本体内に収用されるフランジを設けているクイックカップリングにおいて、
該バルブ本体内に設けた軸方向に移動可能な環状体が、該バルブ本体の底部にあるバネで、該フランジに対して押圧され、
軸方向に移動可能な該環状体が、該フランジに面する側に環状スロットを備え、該フランジ内面に接するシールリングが該環状スロットに係合し、
軸方向に移動可能な該環状体が、外周に外周スロットを備え、該バルブ本体の内壁に接する外周シールリングが該外周スロットに係合する、
ことを、特徴とするクイックカップリング。
【請求項２】
前記環状スロットが、その外側で、前記バルブ室の内側に向けてフック状に曲げられている壁部で抑止されている、ことを特徴とする請求項１記載のクイックカップリング。
【請求項３】
軸方向に移動可能な前記環状体の前記外周スロットに係合する前記外周シールリングは、弾性材で形成され、その該外周シールリングは、弾性リングで、所定の位置に制止される、ことを特徴とする請求項１記載のクイックカップリング。
【請求項４】
前記シールリングが、前記外周シールリングの直径よりも小さい直径を備えている、ことを特徴とする請求項１記載のクイックカップリング。

【図１】