説明

公衆電源システム

【課題】公衆場所での電力の使用が安全に行える公衆電源システムを提供することである。
【解決手段】所定の公衆場所に配電線13からの電力が供給されるコンセント11を予め設置しておくとともに、コンセント11に電力供給を要求する通信端末32とセンターサーバ31とをインターネット33を介して接続しておき、利用者により通信端末32からインターネット33を介してセンターサーバ31にコンセント11への電力供給要求があったときは、センターサーバ31は電流制御部14に対し通信網(インターネット29や電話網30)を介して電流供給指令を出力し、電流制御部14は電流供給指令があったときはコンセント11に供給される電流の通電を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の公衆場所に送電線や配電線または内線からの電力が供給されるコンセントを予め設置しておき、公衆場所で電力の使用を可能とした公衆電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、需要家は、予め電力供給会社との契約により電力供給会社から送電線や配電線から電力の供給を受け、需要家の内線に電力を導きコンセントから電気機器に電力を供給するようになっている。コンセントは需要家の建家の屋内や敷地内に設置される。
【0003】
通常、電力供給会社からコンセントに供給される電力は、配電線を介して内線から供給されるが、送電線または配電線から直接的に供給される場合もあるので、以下の説明では、配電線からの電力が供給されるコンセントと言う場合には、送電線または配電線から直接的に供給されるコンセントの場合、あるいは内線から供給されるコンセントの場合を含むものとする。
【0004】
このように、需要家は、配電線からの電力が供給されるコンセントに各種電気機器のプラグを差し込み電気機器を使用する。このように、通常、電力の使用は需要家内のコンセントを介して行われる。
【0005】
一方、電力供給会社との契約により契約電力が決められると、その契約電力に対応した電流制限値を有するブレーカが需要家に設置され、需要家内で使用できる最大電流は、そのブレーカで定まる電流制限値以内に抑制される。
【0006】
ここで、需要家内にホームサーバを設置し、外出先のプッシュ型電話機からホームサーバへ制御信号を送信し、自宅にあるテーブルタップの複数のコンセントに接続された電気機器に対する電力供給状態を確認したり、必要があれば給電状態を切り換えたりできるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−44882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のものは、外出先等の遠隔地から複数のコンセントの通電状態を確認したり、通電をオン・オフ制御することができるが、使用するコンセントは需要家自身のコンセントであり、外出先において電気機器を使用できるものではない。外出先で電気機器を使用しようとした場合には、外出先近傍の需要家(他人)のコンセントを借りて、電力の供給を受けるしかない。
【0009】
そこで、所定の公衆場所に配電線や内線からの電力が供給されるコンセントを予め設置しておき、そのコンセントの使用ができれば、需要家内ではない公衆場所での電力の使用が可能となる。
【0010】
また、需要家内で使用できる最大電流は、需要家のブレーカで定まる電流制限値で定まるが、所定の公衆場所に設置されるコンセントの場合にも、電流制限値を設けることが必要となる。これは、コンセントが接続された配電線の他の需要家や上位系統に悪影響を与えないようにするためである。
【0011】
そこで、コンセントに供給される電流に対しても電流制限値を設けることになるが、その場合、所定の公衆場所に設置されるコンセントに対して、そこにブレーカを設置し、そのブレーカで定まる電流制限値とすると電流制限値が固定化されてしまう。電流制限値の変更をする場合にはブレーカの交換をしなければならない。所定の公衆場所に設置されるコンセントでは、その使用電力が当初想定したよりも多くなった場合にも柔軟に対応できるように、電流制限値は使用状況に応じて容易に変更できるものであることが望まれる。
【0012】
本発明の目的は、公衆場所での電力の利用が安全に行える公衆電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明に係る公衆電源システムは、所定の公衆場所に予め設置され配電線からの電力が供給されるコンセントと、前記コンセントと前記配電線との間に接続され前記コンセントに供給される電流の通電可否を制御する電流制御部と、前記コンセントに電力供給を要求する通信端末と、前記通信端末とはインターネットを介して接続され前記電流制御部とは通信網を介して接続され利用者により前記通信端末から前記コンセントへの電力供給要求があったときは前記電流制御部に電流供給指令を出力するセンターサーバとを備えたことを特徴とする公衆電源システム。
【0014】
請求項2の発明に係る公衆電源システムは、請求項1の発明において、利用者を特定するための利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機が前記コンセントの近傍に前記電流制御部に接続されて設けられ、前記センターサーバは、前記利用者特定情報読取機により読み込まれた利用者特定情報が利用者登録されているときは前記電流制御部に電流供給指令を出力することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明に係る公衆電源システムは、所定の公衆場所に予め設置され配電線からの電力が供給されるコンセントと、前記コンセントと前記配電線との間に接続され前記コンセントに供給される電流の通電可否を制御する電流制御部と、前記コンセントの近傍に前記電流制御部に接続されて設置され利用者を特定するための利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機と、前記電流制御部とは通信網を介して接続され前記利用者特定情報読取機が利用者特定情報を読み込んだときはその利用者特定情報を前記電流制御部から入力しその利用者特定情報が利用者登録されているときは前記電流制御部に電流供給指令を出力するセンターサーバとを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明に係る公衆電源システムは、請求項2または3の発明において、前記利用者特定情報は非接触ICに記憶された利用者識別情報であり、前記利用者特定情報読取機は非接触IC読取機であることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至4のいずれか1項の発明において、前記電流制御部は、前記配電線の下位系統の漏電を検出したときは前記配電線からの電流を遮断することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至5のいずれか1項の発明において、前記電流制御部は、前記コンセントへの供給電流が予め定められた過電流設定値を超えたときは前記配電線からの電流を遮断することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明に係る公衆電源システムは、請求項6の発明において、前記センターサーバは、前記電流制御部の過電流設定値を設定変更可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至7のいずれか1項の発明において、前記電流制御部は、前記コンセントの使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部と、前記コンセントの使用時間が前記使用時間制限値記憶部に設定された制限値になったときは前記コンセントに供給される電流をオフするためのタイマとを有し、前記センターサーバは、前記コンセントの電流供給指令とともに前記タイマのカウント開始指令を出力することを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至7のいずれか1項の発明において、前記センターサーバは、前記コンセントの使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部と、前記コンセントの使用時間が前記使用時間制限値記憶部に設定された制限値になったときは前記コンセントに供給される電流をオフするためのタイマとを有し、前記コンセントの電流供給指令とともに前記タイマのカウント開始指令を出力することを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至9のいずれか1項の発明において、前記電流制御部は、前記配電線から供給される交流電流を前記コンセントに供給するとともに、前記交流電流を直流に変換しその変換した直流電流を直流コンセントに供給することを特徴とする。
【0023】
請求項11の発明に係る公衆電源システムは、請求項1乃至10のいずれか1項の発明において、 前記電流制御部と前記センターサーバとを接続する通信網は、インターネットあるいはインターネット・プロトコル以外のプロトコルの通信網であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、所定の公衆場所に予めコンセントを設置しておき、センターサーバは、利用者により通信端末からコンセントへの電力供給要求があったときは、電流制御部に電流供給指令を出力するので、利用者は需要家内ではない公衆場所においても電力の使用が可能となる。
【0025】
請求項2及び請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、センターサーバは、コンセントの近傍に設けた利用者特定情報読取機により読み込まれた利用者特定情報が利用者登録されているときは電流制御部に電流供給指令を出力するので、利用者は、通信端末だけでなく、利用者特定情報よっても、需要家内ではない公衆場所においても電力の使用が可能となる。
【0026】
請求項4の発明によれば、請求項2または3の発明の効果に加え、コンセントの近傍に設けた非接触IC読取機に利用者が非接触ICをかざしたとき、センターサーバは、非接触IC読取機により読み込まれた非接触ICが利用者登録されているときは電流制御部に電流供給指令を出力するので、利用者は、非接触ICによっても、需要家内ではない公衆場所においても電力の使用が可能となる。
【0027】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項の発明の効果に加え、電流制御部は、配電線の下位系統の漏電を検出したときは配電線からの電流を遮断するので、安全にコンセントに電力を供給できる。
【0028】
請求項6の発明によれば、請求項1乃至5のいずれか1項の発明の効果に加え、電流制御部は、コンセントへの供給電流が予め定められた過電流設定値を超えたときは配電線からの電流を遮断するので、コンセントが接続された配電線の他の需要家や上位系統に悪影響を与えることを防止でき、安全にコンセントに電力を供給できる。
【0029】
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果に加え、センターサーバは電流制御部の過電流設定値を設定変更可能であるので、所定の公衆場所に設置されたコンセントの容量が変更になったときにも容易に対応できる。
【0030】
請求項8及び請求項9の発明によれば、請求項1乃至7のいずれか1項の発明の効果に加え、コンセントの使用時間がその制限値になったときは、コンセントに供給される電流をオフするので、コンセント使用者が誤って電気機器を長時間にわたって接続したままの状態にしていても、自動的にオフすることができ安全性が向上する。
【0031】
請求項10の発明によれば、請求項1乃至9のいずれか1項の発明の効果に加え、交流電流を直流に変換して、その変換した直流電流を直流コンセントに供給するので、直流負荷に対しても電力供給できる。
【0032】
請求項11の発明によれば、請求項1乃至10のいずれか1項の発明の効果に加え、電流制御部とセンターサーバとを接続する通信網は、インターネットあるいはインターネット・プロトコル以外のプロトコルの通信網とするので、電流制御部とセンターサーバとの通信データの大きさにより適切な方に切り替えて通信できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る公衆電源システムの構成図。
【図2】本発明の実施の形態でのコンセントや直流コンセントの設置場所での通信端末による電力供給要求の操作の説明図。
【図3】本発明の実施の形態に係る公衆電源システムの動作を示すフローチャート。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る公衆電源システムの構成図。
【図5】本発明の他の実施の形態でのコンセントや直流コンセントの設置場所での非接触ICによる電力供給要求の操作の説明図。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る公衆電源システムの動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の別の他の実施の形態に係る公衆電源システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る公衆電源システムの構成図である。所定の公衆場所には予め交流電力を供給するコンセント11が設置される。また、必要に応じて直流コンセント12も設置される。図1では、直流コンセント12はパーソナルコンピュータや携帯電話などのモバイル機器の端末装置を接続するためのUSB端子である場合を示している。所定の公衆場所は、例えば、公園や公共施設、コンビニエンスストアなどであり、電源供給コーナーや電源供給スタンドとして設置される。
【0035】
コンセント11及び直流コンセント12には、配電線13から電流制御部14を介して電力が供給される。電流制御部14は、コンセント11や直流コンセント12に供給される電流の通電可否を制御するものである。コンセント11には電線15aにて配電線13から交流電力が供給され、直流コンセント12には電線15bにて配電線13から交流電力がAC/DC変換器19で直流電力に変換されて供給される。
【0036】
コンセント11の電線15aには、電線15aの漏電を検出する漏電検出器16a、電線15aを流れる電流を検出する電流検出器17a、電線15aを流れる電流Iaのオンオフを行うための開閉器18aが設けられている。同様に、直流コンセント12の電線15bには、電線15bの漏電を検出する漏電検出器16b、電線15bを流れる電流を検出する電流検出器17b、電線15bを流れる電流Ibのオンオフを行うための開閉器18bが設けられ、さらに、開閉器18bを介して入力した交流電力を直流に変換して直流コンセント12に出力するAC/DC変換器19、漏電検出器16cが設けられている。漏電検出器16cは直流回路の漏電を検出するものである。また、開閉器18bは直流コンセント12とAC/DC変換器19との間に設けてもよい。電流検出器17a及び電流検出器17bで検出された電流Ia、Ibは、それぞれ計測値記憶部20に入力され記憶される。
【0037】
漏電検出器16a、16bは、配電線13の下位系統の漏電を検出するものであり、コンセント11や直流コンセント12への電力の供給回路である電線15a、15b及びコンセント11や直流コンセント12からの先の回路の漏電を検出する。コンセント11の電線15aや直流コンセント12の電線15bに漏電を検出したときは、制御部21にその漏電発生を通知する。制御部21は、漏電検出器16a、16bから漏電発生の通知を受けると、開閉器18a、18bを開放してコンセント11や直流コンセント12への電力の供給を停止するとともに、漏電検出履歴記憶部22に漏電発生の日時などの情報を履歴として記憶する。
【0038】
制御部21は、コンセント11や直流コンセント12への電流の通電を制御する。通電を許可するときは開閉器18a、18bを閉じ、通電を不許可するときは開閉器18a、18bを開く。過電流設定値記憶部23には、コンセント11や直流コンセント12に供給する電流Ia、Ibの制限値が予め過電流設定値として記憶されている。
【0039】
制御部21は、計測値記憶部20に記憶された電流Ia、Ibを入力し、コンセント11や直流コンセント12に供給される電流Ia、Ibが過電流設定値記憶部23に記憶された過電流設定値を超えたか否かを監視し、過電流設定値を超えたときは開閉器18a、18bを開き、配電線13からの電流Ia、Ibを遮断するとともに、過電流検出履歴記憶部24に過電流検出の日時や過電流値などの情報を履歴として記憶する。
【0040】
これにより、コンセント11や直流コンセント12に供給される電流Ia、Ibが過電流になることを防止し、コンセントが接続された配電線の他の需要家や上位系統に悪影響を与えることを防止するとともに、安全にコンセント11や直流コンセント12に電力を供給できるようにしている。
【0041】
さらに、電流制御部14には、コンセント11や直流コンセント12の使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部25が設けられている。制御部21は、コンセント11や直流コンセント12の使用時間が使用時間制限値記憶部25に設定された使用時間の制限値となったときは、開閉器18a、18bを開き電流の供給を停止する。
【0042】
すなわち、制御部21はタイマ26を有し、コンセント11や直流コンセント12の使用が開始されるとタイマ26を起動し、コンセント11や直流コンセント12の使用時間をカウントする。そして、制御部21は、タイマ26でカウントした使用時間がその制限値になったときは開閉器18a、18bを開きコンセント11や直流コンセント12に供給される電流をオフとする。これにより、コンセント使用者がコンセント11や直流コンセント12の使用停止をせずに、誤って電気機器を長時間にわたって接続したままの状態にしていても自動的にオフすることができるので安全性が向上する。
【0043】
また、電流制御部14は通信ポート27及び変換機28を有し、通信ポート27及び変換機28は、インターネット29や電話網30を介してセンターサーバ31から送信されてきたコンセント11や直流コンセント12への電力供給要求を受信し制御部21に出力する。
【0044】
電流制御部14とセンターサーバ31とを接続する通信網は、インターネット29あるいはインターネット・プロトコル以外のプロトコルの通信網である電話網30であり、インターネット29はインターネット・プロトコルにより伝送が行われ、電話網30は、インターネット・プロトコル以外のプロトコルにより伝送が行われる。例えば、携帯電話やPHSの通信網でありSMSなどである。電話網30による伝送の場合には変換機28でプロトコルをインターネット・プロトコルに変換し通信ポート27に出力する。インターネット29と電話網30との切り替えは、電流制御部14とセンターサーバ31との通信データの大きさにより適切な方に切り替える。
【0045】
センターサーバ31は、通信端末32とインターネット33を介して接続される。通信端末32は、例えば携帯電話34やパーソナルコンピュータ35であり、コンセント11や直流コンセント12を使用する際に、この通信端末32からインターネット33を介してセンターサーバ31に電力供給要求をすることになる。
【0046】
センターサーバ31は、所定の公衆場所に設置されたコンセント11や直流コンセント12の識別標識からコンセントを識別するためのコンセント識別部36と、利用者によりコンセント11や直流コンセント12への電力供給要求があったときに電流制御部14に電流供給指令を出力する電流供給指令出力部37と、電流制御部14の過電流設定値記憶部23に過電流設定値を設定するための過電流設定値設定部38とを有している。
【0047】
センターサーバ31のコンセント識別部36は、通信端末32より送信されてきた識別標識に基づいて、電流供給を行うべきコンセント11や直流コンセント12を識別する。そして、電流供給指令出力部37は、利用者による通信端末32からコンセント11や直流コンセント12への電力供給要求であるかどうかを判定し、利用者の認証を確認できたときは、コンセント識別部36で識別したコンセント11や直流コンセント12に対応する電流制御部14にインターネット29もしくは電話網30を介して電流供給指令を出力する。
【0048】
また、センターサーバ31の過電流設定値設定部38は、所定の公衆場所に設置されるコンセント11や直流コンセント12の新設のときや、途中で容量が変更になったときに、インターネット29もしくは電話網30を介して電流制御部14の過電流設定値記憶部23に過電流設定値を送信して過電流設定値を設定変更する。これにより、コンセント11や直流コンセント12の設置場所まで赴かなくても過電流設定値を容易に変更できる。また、電流制限値の変更をする際にブレーカの交換をしなくてもよい。
【0049】
図2は、コンセント11や直流コンセント12の設置場所での通信端末32による電力供給要求の操作の説明図である。コンセント11や直流コンセント12の設置場所には、コンセント11や直流コンセント12の近傍に識別標識表示部39が設けられている。識別標識表示部39には、コンセント11や直流コンセント12を識別するための識別標識40が形成されている。図2では識別標識40はQRコードである場合を示している。
【0050】
利用者は、この設置場所でのコンセント11や直流コンセント12を使用したい場合には、通信端末32により識別標識40を読み取り、センターサーバ31に送信する。センターサーバ31では識別標識40をコンセント識別部36に入力する。コンセント識別部36は識別標識40から電流供給を行うべきコンセント11や直流コンセント12を識別する。さらに、センターサーバ31の電流供給指令出力部37は、通信端末32からの電力供給要求が利用者により認証されたかどうかを確認し、その確認ができたときは、コンセント識別部36で識別したコンセント11や直流コンセント12に対応する電流制御部14に対して電流供給指令を出力する。
【0051】
図3は、本発明の実施の形態に係る公衆電源システムの動作を示すフローチャートである。まず、利用者は、使用したいコンセント11や直流コンセント12の設置箇所まで赴き、その設置箇所の識別標識表示部39に形成された識別標識40を通信端末32により読み込む(S1)。そして、利用者は、ログインパスワードの入力を行う(S2)。
【0052】
センターサーバ31は識別標識40に基づいて電流供給を行うべきコンセント11や直流コンセント12の設置場所を識別するとともに(S3)、ログインパスワードに基づいて認証があるかどうかを確認する(S4)。認証が確認できない場合には処理は終了する。一方、認証が確認できたときは、センターサーバ31は通信端末32に対し使用確認画面を表示し(S5)、利用者がコンセント11や直流コンセント12を使用する意思があるかどうかの使用確認を行う(S6)。利用者から使用確認がない場合には処理を終了し、使用確認がある場合には、センターサーバ31は通信端末32に対し使用規約画面を表示し(S7)、利用者が規約の同意をするかどうかを確認する(S8)。
【0053】
利用者が規約の同意をしたときは、センターサーバ31は電流制御部14に対し電流供給指令を出力する(S9)。電流制御部14は電流供給指令を受信すると通電を開始するとともに(S10)、タイマ26を起動してタイマ26のカウントを開始する(S11)。これにより、コンセント11や直流コンセント12の使用時間を計測する。
【0054】
電流制御部14は、漏電検出器16a、16bにより漏電発生かどうかを判定し(S12)、漏電発生の場合は漏電検出器16a、16bは開閉器18a、18bを開いてコンセント11や直流コンセント12への電流供給を遮断するとともに漏電検出履歴記憶部22に漏電検出情報を記憶し(S13)、処理を終了する。漏電が発生していない場合は、制御部21はコンセント11や直流コンセント12への供給電流が過電流設定値を超過しているかどうかを判定し(S14)、電流超過である場合には、制御部21は、開閉器18a、18bを開いてコンセント11や直流コンセント12への電流供給を遮断するとともに過電流検出履歴記憶部24に過電流検出情報を記憶し(S15)、処理を終了する。電流超過でない場合には電源の使用を継続する(S16)。
【0055】
そして、制御部21は使用終了かどうかを判定し(S17)、使用終了であるときは処理を終了する。コンセント11や直流コンセント12の使用が終了していないときは、タイマ26で計測した使用時間が使用時間制限値記憶部25に記憶された制限値以上となったかどうかを判定し(S18)、時間制限でないときはステップS12に戻り、時間制限であるときは処理を終了する。使用終了かどうかどうかは、例えば、通信端末32により終了指令が出力されているか否か、あるいはコンセント11や直流コンセント12への供給電流Ia、Ibが所定時間以上にわたって零となったか否かで判定する。
【0056】
ここで、漏電検出履歴記憶部22に記憶された漏電発生の日時などの漏電検出履歴情報や、過電流検出履歴記憶部24に記憶された過電流検出の日時や過電流値などの過電流検出履歴情報は、センターサーバ31からの要求によりセンターサーバ31に送信され、センターサーバ31で管理される。
【0057】
以上の説明では、コンセント11や直流コンセント12の使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部25及びコンセント11や直流コンセント12の使用時間が使用時間制限値記憶部25に設定された制限値になったときはコンセント11や直流コンセント12に供給される電流をオフするためのタイマ26を電流制御部14に設けたが、センターサーバ31に設けるようにしてもよい。この場合、センターサーバ31はタイマ26のカウント値が使用時間制限値記憶部25に設定された制限値になったときは、電流制御部14の制御部21に対し、その旨を通知することになる。
【0058】
また、使用時間制限値記憶部25に設定される使用時間の制限値は、予め固定値を設定しておいてもよいし、センターサーバ31から通信端末32に対し、利用者に使用時間の制限値の問い合わせをし、利用者が通信端末32から指定した制限値を設定するようにしてもよい。
【0059】
本発明の実施の形態によれば、所定の公衆場所に予めコンセント11や直流コンセント12を設置しておき、利用者により通信端末32からコンセント11や直流コンセント12への電力供給要求があったときは、センターサーバ31は、電流制御部14に対して電流供給指令を出力し、電流制御部14はコンセント11や直流コンセント12に電流を供給するので、利用者は需要家内ではない公衆場所においても電力の使用が可能となり利便性が向上する。
【0060】
その際に、電流制御部14は、コンセント11や直流コンセント12への供給電流を監視し、予め定められた過電流設定値を超えないようにコンセント11や直流コンセント12に電流を供給するので、安全にコンセント11や直流コンセント12に電力を供給できる。また、電流制御部14の過電流設定値はセンターサーバ31から設定変更可能であるので、コンセント11や直流コンセント12の容量が変更になったときにも容易に対応できる。
【0061】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。図4は本発明の他の実施の形態に係る公衆電源システムの構成図である。この他の実施の形態は、図1に示した実施の形態に対し、コンセント11の近傍に利用者を特定するための利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機を設け、センターサーバは、利用者特定情報読取機が利用者特定情報を読み込んだときは、その利用者特定情報を電流制御部から入力し、その利用者特定情報が利用者登録されているときは電流制御部に電流供給指令を出力するようにしたものである。
【0062】
図4では、利用者特定情報読取機として、コンセント11の近傍に非接触IC41の内容を読み込む非接触IC読取機42を設けた場合を示している。非接触IC読取機42は電流制御部14の通信ポート27に接続され、センターサーバ31は、利用者登録された非接触IC41のIDを利用者登録情報43として記憶装置に格納している。
【0063】
また、利用者登録情報43には、コンセント11の使用規約に同意した利用者が登録される。そこで、これからコンセント11の使用規約に同意しようとする利用者のために、センターサーバ31は、利用者が利用者登録を行う場合に利用者登録情報43を作成するための利用者登録部44も有している。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0064】
図4に示すように、非接触IC読取機42は電流制御部14に接続され、コンセント11や直流コンセント12の近傍に設置されている。非接触IC読取機42は、利用者が携帯する非接触IC41がかざされたときその非接触IC41の内容を読み込み、電流制御部14の通信ポート27に出力する。
【0065】
非接触IC41は、携帯電話のオサイフケータイ(登録商標)やFeilcaカードなどに組み込まれたICであり、利用者を識別できる情報を持ったICである。
【0066】
電流制御部14の通信ポート27は、非接触IC読取機42から読み込まれた非接触ICの内容を入力すると、その非接触ICの内容をインターネット29を介してセンターサーバ31に送信する。センターサーバ31のコンセント識別部36は、非接触IC41の内容が送信されてきた通信ポート27を識別し、非接触IC読取機42を識別する。そして、センターサーバ31の電流供給指令出力部37は、入力した非接触IC41のIDが利用者登録情報43に登録されているか否かを判定し、その非接触IC41のIDが利用者登録情報43に登録されているときは、インターネット29または電話網30を介して電流制御部14に電流供給指令を出力する。これにより、電流制御部14の制御部21は電流供給指令に基づきコンセント11や直流コンセント12に対して電流を供給制御する。
【0067】
図5は、コンセント11や直流コンセント12の設置場所での非接触IC41による電力供給要求の操作の説明図である。コンセント11や直流コンセント12の設置場所には、コンセント11や直流コンセント12の近傍に非接触IC読取機42が設けられている。
【0068】
利用者は、この設置場所でのコンセント11や直流コンセント12を使用したい場合には、非接触IC41を非接触IC読取機42にかざす。非接触IC読取機42は、利用者によりかざされた非接触IC41の内容を読み込み、電流制御部14の通信ポート27に出力する。電流制御部14の通信ポート27は、入力された非接触IC41の内容を、インターネット29を介してセンターサーバ31に送信する。センターサーバ31のコンセント識別部36は、非接触IC41の内容が送信されてきた通信ポート27を識別することによって非接触IC読取機42を識別し、センターサーバ31の電流供給指令出力部37は、入力した非接触IC41のIDが利用者登録情報43に登録されているか否かを判定し、利用者登録情報43に登録されているときは、インターネット29または電話網30を介して電流制御部14に電流供給指令を出力する。
【0069】
図6は、本発明の他の実施の形態に係る公衆電源システムの動作を示すフローチャートである。まず、利用者は、使用したいコンセント11や直流コンセント12の設置箇所まで赴き、その設置箇所の非接触IC読取機42に非接触IC41をかざす(S1)。センターサーバ31のコンセント識別部36は、非接触IC41の内容を読み込んだ非接触IC読取機42を識別することによって電流供給を行うべきコンセント11や直流コンセント12の設置場所を識別する(S2)。
【0070】
センターサーバ31の電流供給指令出力部37は、非接触IC読取機42により読み込んだ非接触IC41のIDが利用者登録情報43に登録されているか否かを判断し(S3)、利用者登録情報43に登録されていないときは処理を終了する。
【0071】
なお、非接触IC読取機42により読み込んだ非接触IC41のIDが利用者登録情報43に登録されていないときは、利用者登録部44は、利用者登録を促すようにしてもよい。例えば、非接触IC読取機42の表示部に利用者登録情報43の登録画面を表示して利用者登録を促す。
【0072】
一方、ステップS3の判定で、利用者登録されているときは、センターサーバ31の電流供給指令出力部37は、電流制御部14に対し電流供給指令を出力する(S4)。これは、利用者登録されている利用者は、コンセント11の利用規約をすでに同意している利用者であるからである。電流制御部14は電流供給指令を受信すると通電を開始するとともに(S5)、タイマ26を起動してタイマ26のカウントを開始する(S6)。これにより、コンセント11や直流コンセント12の使用時間を計測する。
【0073】
電流制御部14は、漏電検出器16a、16bにより漏電発生かどうかを判定し(S7)、漏電発生の場合は漏電検出器16a、16bは開閉器18a、18bを開いてコンセント11や直流コンセント12への電流供給を遮断するとともに漏電検出履歴記憶部22に漏電検出情報を記憶し(S8)、処理を終了する。漏電が発生していない場合は、制御部21はコンセント11や直流コンセント12への供給電流が過電流設定値を超過しているかどうかを判定し(S9)、電流超過である場合には、制御部21は、開閉器18a、18bを開いてコンセント11や直流コンセント12への電流供給を遮断するとともに過電流検出履歴記憶部24に過電流検出情報を記憶し(S10)、処理を終了する。電流超過でない場合には電源の使用を継続する(S11)。
【0074】
そして、制御部21は使用終了かどうかを判定し(S12)、使用終了であるときは処理を終了する。コンセント11や直流コンセント12の使用が終了していないときは、タイマ26で計測した使用時間が使用時間制限値記憶部25に記憶された制限値以上となったかどうかを判定し(S13)、時間制限でないときはステップS7に戻り、時間制限であるときは処理を終了する。使用終了かどうかどうかは、例えば、非接触IC読取機42に非接触IC41を再度かざして終了指令を出力しているか否か、あるいはコンセント11や直流コンセント12への供給電流Ia、Ibが所定時間以上にわたって零となったか否かで判定する。
【0075】
本発明の他の実施の形態によれば、利用者は、通信端末だけでなく非接触ICによっても、需要家内ではない公衆場所においても電力の使用が可能となる。この場合、利用者登録されている利用者は、既にコンセント11の使用規約に同意している利用者であるので、使用規約の同意の確認のための処理が不要となる。
【0076】
以上の説明では、通信端末32に非接触IC読取機42を追加して設けるようにしたが、図7に示すように通信端末32に代えて非接触IC読取機42を設けるようにしてもよい。この場合は、通信端末32からのコンセント11の利用はできないが、非接触IC読取機42の場合には、非接触IC41が利用者登録されている利用者は、既にコンセント11の使用規約に同意している利用者であるので、使用規約の同意の確認のための処理が不要となる。従って、センターサーバ31での利用者の確認の処理が容易に行える。
【0077】
また、以上の説明では、利用者特定情報読取機として、非接触IC41の内容を読み込む非接触IC読取機42を設けたものを示したが、これに限らず、利用者の指紋、虹彩、声紋、顔の骨格、静脈などの利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0078】
11…コンセント、12…直流コンセント、13…配電線、14…電流制御部、15…電線、16…漏電検出器、17…電流検出器、18…開閉器、19…AC/DC変換器、20…計測記憶部、21…制御部、22…漏電検出履歴記憶部、23…過電流設定値記憶部、24…過電流検出履歴記憶部、25…使用時間制限値記憶部、26…タイマ、27…通信ポート、28…変換機、29…インターネット、30…電話網、31…センターサーバ、32…通信端末、33…インターネット、34…携帯電話、35…パーソナルコンピュータ、36…コンセント識別部、37…電流供給指令出力部、38…過電流設定値設定部、39…識別標識表示部、40…識別標識、41…非接触IC、42…非接触IC読取機、43…利用者登録情報、44…利用者登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の公衆場所に予め設置され配電線からの電力が供給されるコンセントと、前記コンセントと前記配電線との間に接続され前記コンセントに供給される電流の通電可否を制御する電流制御部と、前記コンセントに電力供給を要求する通信端末と、前記通信端末とはインターネットを介して接続され前記電流制御部とは通信網を介して接続され利用者により前記通信端末から前記コンセントへの電力供給要求があったときは前記電流制御部に電流供給指令を出力するセンターサーバとを備えたことを特徴とする公衆電源システム。
【請求項2】
利用者を特定するための利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機が前記コンセントの近傍に前記電流制御部に接続されて設けられ、前記センターサーバは、前記利用者特定情報読取機により読み込まれた利用者特定情報が利用者登録されているときは前記電流制御部に電流供給指令を出力することを特徴とする請求項1記載の公衆電源システム。
【請求項3】
所定の公衆場所に予め設置され配電線からの電力が供給されるコンセントと、前記コンセントと前記配電線との間に接続され前記コンセントに供給される電流の通電可否を制御する電流制御部と、
前記コンセントの近傍に前記電流制御部に接続されて設置され利用者を特定するための利用者特定情報を読み込む利用者特定情報読取機と、
前記電流制御部とは通信網を介して接続され前記利用者特定情報読取機が利用者特定情報を読み込んだときはその利用者特定情報を前記電流制御部から入力しその利用者特定情報が利用者登録されているときは前記電流制御部に電流供給指令を出力するセンターサーバとを備えたことを特徴とする公衆電源システム。
【請求項4】
前記利用者特定情報は非接触ICに記憶された利用者識別情報であり、前記利用者特定情報読取機は非接触IC読取機であることを特徴とする請求項2または3に記載の公衆電源システム。
【請求項5】
前記電流制御部は、前記配電線の下位系統の漏電を検出したときは前記配電線からの電流を遮断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の公衆電源システム。
【請求項6】
前記電流制御部は、前記コンセントへの供給電流が予め定められた過電流設定値を超えたときは前記配電線からの電流を遮断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の公衆電源システム。
【請求項7】
前記センターサーバは、前記電流制御部の過電流設定値を設定変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の公衆電源システム。
【請求項8】
前記電流制御部は、前記コンセントの使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部と、前記コンセントの使用時間が前記使用時間制限値記憶部に設定された制限値になったときは前記コンセントに供給される電流をオフするためのタイマとを有し、前記センターサーバは、前記コンセントの電流供給指令とともに前記タイマのカウント開始指令を出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の公衆電源システム。
【請求項9】
前記センターサーバは、前記コンセントの使用時間の制限値を設定するための使用時間制限値記憶部と、前記コンセントの使用時間が前記使用時間制限値記憶部に設定された制限値になったときは前記コンセントに供給される電流をオフするためのタイマとを有し、前記コンセントの電流供給指令とともに前記タイマのカウント開始指令を出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の公衆電源システム。
【請求項10】
前記電流制御部は、前記配電線から供給される交流電流を前記コンセントに供給するとともに、前記交流電流を直流に変換しその変換した直流電流を直流コンセントに供給することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の公衆電源システム。
【請求項11】
前記電流制御部と前記センターサーバとを接続する通信網は、インターネットあるいはインターネット・プロトコル以外のプロトコルの通信網であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の公衆電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−191811(P2012−191811A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55155(P2011−55155)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】