説明

共重合体、ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善されたゴム組成物、空気入りタイヤを供することができる共重合体を提供する。
【解決手段】1,3−ブタジエン、及び下記一般式(I)で表される化合物を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性され、重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10である共重合体に関する(式中、R、R及びRは、アミノ基又は炭化水素基を表し、そのうち少なくとも1つはアミノ基)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合体、該共重合体を含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を含む空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年省資源、省エネルギー、加えて、環境保護の立場から、排出炭酸ガスの低減に対する社会的要求が強まっている。自動車に対しても排出炭酸ガスの低減を目的として、自動車の軽量化、電気エネルギーの利用等の様々な対応策が検討されている。
【0003】
自動車の共通の課題として、タイヤの転がり抵抗改善による低燃費性の向上が必要とされており、更に自動車に対しては、走行時の安全性向上の要求も強まっている。これら自動車の低燃費性及び安全性は使用されるタイヤの性能に負うところが大きく、自動車用のタイヤに対しては、低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性、耐久性の改善要求が強まっている。これらのタイヤ特性は、タイヤの構造・使用材料等種々の要素に左右されるが、特に路面に接するトレッド部分に用いるゴム組成物の性能に大きく左右される。このため、タイヤ用ゴム組成物の技術的改良が多く検討・提案され、実用化されている。
【0004】
例えば、タイヤトレッドゴムの性能として、低燃費性向上にはヒステリシスロスが小さいこと、ウェットグリップ性能向上にはウェットスキッド抵抗性が高いことが要求されている。しかしながら、低ヒステリシスロスと高ウェットスキッド抵抗性との関係は相反するものであり、一つだけの性能向上では問題点の解決は難しいのが現状である。タイヤ用ゴム組成物の改良の代表的な手法は、使用する原材料の改良であり、スチレンブタジエンゴムやブタジエンゴムに代表される原料ゴムの構造の改良、カーボンブラック、シリカ等の補強用充填剤、加硫剤、可塑剤等の構造や組成の改良が行われている。
【0005】
低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善する方法として、充填剤としてシリカを用いる方法が挙げられるが、シリカは自己凝集性が強く、分散が困難であるという点で改善の余地がある。また、特許文献1では、窒素原子及びケイ素原子を含む特定の化合物で末端変性されたスチレンブタジエンゴムと脂肪族カルボン酸亜鉛塩などとを配合し、低燃費性及びウェットグリップ性能に優れたゴム組成物を得る方法が記載されているが、他の方法の提供も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−111754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善されたゴム組成物、空気入りタイヤを供することができる共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1,3−ブタジエン、及び下記一般式(I)で表される化合物を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性され、重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10である共重合体に関する。
【化1】

(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アミノ基又は炭化水素基を表し、R、R及びRの少なくとも1つはアミノ基である。)
【0009】
上記共重合体は、少なくとも上記1,3−ブタジエン、及び上記一般式(I)で表される化合物とともにスチレンを共重合して得られることが好ましい。
【0010】
上記一般式(I)中、R、R及びRで表される炭化水素基の炭素数が1〜10であることが好ましい。
【0011】
上記一般式(I)で表される化合物の含有量が0.05〜35質量%であることが好ましい。
【0012】
上記変性剤が下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】

(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
【0013】
本発明はまた、上記共重合体を含むゴム組成物に関する。
【0014】
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中、上記共重合体の含有量が5質量%以上であることが好ましい。
【0015】
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含むことが好ましい。
【0016】
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1,3−ブタジエン及び特定の化合物を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性され、重量平均分子量Mwが特定の範囲内である共重合体であるため、該共重合体を用いたゴム組成物、空気入りタイヤにおいて、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<共重合体>
本明細書において「共重合体」は、ゴム成分に含まれる概念として記載する。
本発明の共重合体は、少なくとも1,3−ブタジエン、及び下記一般式(I)で表される化合物(アミノシリルスチレン)を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性されている。上記共重合体は、下記一般式(I)で表される化合物で主鎖が変性されているとともに、上記変性剤で少なくとも一方の末端が変性されているため、該化合物(特に、化合物中に含まれるアミノ基(窒素原子))とフィラーとの相互作用、及び、該変性剤とフィラーとの相互作用が生じ、フィラーの分散性が向上されるとともに、共重合体の動きが拘束される。その結果、ヒステリシスロスが低減して低燃費性が改善でき、また、良好なウェットグリップ性能も得られ、これらの性能を相乗的に改善できる。
【化3】

(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アミノ基又は炭化水素基を表し、R、R及びRの少なくとも1つはアミノ基である。)
【0019】
、R及びRの少なくとも1つはアミノ基である。R、R及びRのいずれもアミノ基でない場合には、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が充分に得られない。なお、R、R及びRのうち2つ以上をアミノ基とすることが製法上困難であること、また、得られる共重合体による低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が高いという理由から、R、R及びRのうち1つがアミノ基、R、R及びRのうち2つが炭化水素基であることが好ましい。
【0020】
アミノ基としては、非環状アミノ基、環状アミノ基をあげることができるが、非環状アミノ基が好ましい。
【0021】
非環状アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基などのモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、ジ(tert−ブチル)アミノ基、ジ(ネオペンチル)アミノ基、エチルメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジ(メトキシメチル)アミノ基、ジ(メトキシエチル)アミノ基、ジ(エトキシメチル)アミノ基、ジ(エトキシエチル)アミノ基などのジ(アルコキシアルキル)アミノ基;ジ(トリメチルシリル)アミノ基、ジ(t−ブチルジメチルシリル)アミノ基などのジ(トリアルキルシリル)アミノ基などをあげることができる。非環状アミノ基のなかでも、ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基がより好ましく、ジ(イソプロピル)アミノ基が更に好ましい。
【0022】
環状アミノ基としては、1−ピロリジノ基、1−ピペリジノ基、1−ヘキサメチレンイミノ基、1−ヘプタメチレンイミノ基、1−オクタメチレンイミノ基、1−デカメチレンイミノ基、1−ドデカメチレンイミノ基などの1−ポリメチレンイミノ基をあげることができる。また、環状アミノ基としては、1−イミダゾリル基、4,5−ジヒドロ−1−イミダゾリル基、1−イミダゾリジニル基、1−ピペラジニル基、モルホリノ基、ピリジル基などもあげることができる。環状アミノ基のなかでも、1−ポリメチレンイミノ基が好ましく、1−ピロリジノ基がより好ましい。
【0023】
、R及びRで表される炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。炭素数が10を超えると、合成が困難になる傾向がある。立体障害が小さいため、充填剤との相互作用が大きく、得られる共重合体による低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が高いという点から、炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3、特に好ましくは1である。
【0024】
、R及びRで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基などの1価の脂肪族炭化水素基、アリール基などの1価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。なかでも、立体障害が小さいため、充填剤との相互作用が大きく、得られる共重合体による低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が高いという点から、アルキル基が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0025】
また、得られる共重合体による低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が高いという点から、一般式(I)で表される化合物のなかでも、下記一般式(I−I)で表される化合物が好ましい。
【化4】

(上記一般式(I−I)中のR〜Rは、上記一般式(I)中のR〜Rと同様である。)
【0026】
一般式(I)で表される化合物としては、例えば、ジメチルアミノジメチルシリルスチレン、ジエチルアミノジメチルシリルスチレン、ジプロピルアミノジメチルシリルスチレン、ジブチルアミノジメチルシリルスチレン、ピロリジノジメチルシリルスチレン、ピペリジノジメチルシリルスチレン、ジメチルアミノジエチルシリルスチレン、ジエチルアミノジエチルシリルスチレン、ジプロピルアミノジエチルシリルスチレン、ジブチルアミノジエチルシリルスチレン、ピロリジノジエチルシリルスチレン、ピペリジノジエチルシリルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0027】
一般式(I)で表される化合物は、公知の方法で合成できる。例えば、ジクロロジアルキルシラン化合物にスチレンのGrignard試薬を滴下し、さらにリチウムアミド化合物を添加することで得ることができる。
【0028】
上記共重合体における上記一般式(I)で表される化合物の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは8質量%以下である。0.05質量%未満では低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくく、一方、35質量%を超えると高コストになる傾向がある。
【0029】
上記共重合体は、少なくとも上記1,3−ブタジエン、及び上記一般式(I)で表される化合物とともに、スチレンを共重合して得られるものであってもよい。
上記共重合体がスチレンを含有する場合、スチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。5質量%未満ではウェットグリップ性能が悪化する傾向があり、一方、40質量%を超えると低燃費性が悪化する傾向がある。
【0030】
上記共重合体における1,3−ブタジエンの含有量は特に限定されず、他の成分の含有量に合わせて適宜調整すればよいが、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であれば、本発明の効果が良好に得られる。
【0031】
上記共重合体における一般式(I)で表される化合物、1,3−ブタジエン及びスチレンの含有量は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0032】
<変性剤>
本発明の共重合体は、少なくとも一方の末端が、窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤により変性されている。
【0033】
上記官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、イミド基等が挙げられる。アミノ基としては、上述の非環状アミノ基、環状アミノ基が挙げられる。なかでも、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が大きいという点から、アミノ基(好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたアルキルアミノ基、より好ましくは炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基、また、ピリジル基も好ましい)、アルコキシシリル基(特に、下記一般式(III)で表される基)、エーテル基、イミド基が好ましい。
【化5】

(式中、R21、R22及びR23は、同一若しくは異なって、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つはアルコキシ基である。rは整数を表す。)
【0034】
上記一般式(III)で表される基において、R21、R22及びR23のアルキル基としては、例えば、メチル基等の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)等が挙げられる。R21、R22及びR23のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基も含まれる。
【0035】
21、R22及びR23としてはアルコキシ基が好ましい。
【0036】
r(整数)としては、0〜15が好ましく、2〜5がより好ましく、3が最も好ましい。
【0037】
上記変性剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1−(4−N,Nジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1,1−ジメトキシトリメチルアミン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−グリシジル−4−(2−ピリジル)ピペラジン、1−グリシジル−4−フェニルピペラジン、1−グリシジル−4−メチルピベラジン、1−グリシジル−4−メチルホモピベラジン、1−グリシジルヘキサメチレンイミン、11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、1−ベンジル−4−グリシジルピペラジン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(6−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−(2−ピリジルエチル)チオプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)チオプロビルトリメトキシシラン、2,2−ジエトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−1,6−ジアザ−2−シラシクロオクタン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2,4−ジニトロベンゼンスルホニルクロライド、2,4−トリレンジイソシアナート、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−トリブチルスタニル−1,3−ブタジエン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、2−ビニルピリジン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリメトキシシラン、2−ラウリルチオエチルフェニルケトン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(1,3−ジメチルブチリデン)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3,4−ジアミノ安息香酸、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシジエトキシ)シラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエトキシ(メチル)シリルプロピル無水コハク酸、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシリルプロピル無水酢酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリフェノキシシリルプロピル無水酢酸、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4’−(イミダゾール−1−イル)−アセトフェノン、4−[3−(N,N−ジグリシジルアミノ)プロピル]モルホリン、4−グリシジル−2,2,6,6−テトラメチルピベリジニルオキシ、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−ビニルピリジン、4−モルホリノアセトフェノン、4−モルホリノベンゾフェノン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノブロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)サクシンイミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ピロール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−3−[アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[5−(トリエトキシシリル)−2−アザ−1−オキソペンチル]カプロラクタム、N−[5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソペンチル]カプロラクタム、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−アリル−アザ−2,2−ジエトキシシラシクロペンタン、N−アリル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジエトキシシラシクロペンタン、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシシラシクロペンタン、N,N,N’,N’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチルチオ尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N’−エチレン尿素、N,N’−ジエチルアミノベンゾフェノン、N,N’−ジエチルアミノベンゾフェノン、N,N’−ジエチルアミノベンゾフラン、N,N’−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N’−ジエチル尿素、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N,N−ジオクチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、N,N−ジオクチル−N’−トリメトキシシリルプロピルウレア、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N−ジグリシジルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−エチルアミノイソブチルトリエトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−ビニルベンジルアザシクロヘプタン、N−フェニルピロリドン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−メチルインドリノン、N−メチルピロリドン、p−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジエトキシシラン、(アミノエチルアミノ)−3−イソブチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、アクリル酸、アジピン酸ジエチル、アセタミドプロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノベンゾフェノン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、エチレンオキシド、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロリド、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリセロールトリステアレート、クロロトリエトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、クロロポリジメチルシロキサン、クロロメチルジフェノキシシラン、ジアリルジフェニルスズ、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリメトキシシラン、ジエチル(グリシジル)アミン、ジエチルジチオカルバミン酸2−ベンゾチアゾイルエステル、ジエトキシジクロロシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(シクロヘキシルアミノメチル)トリメトキシシラン、ジグリシジルポリシロキサン、ジクロロジフェノキシシラン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジビニルベンゼン、ジフェニルカルボジイミド、ジフェニルシアナミド、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジブチルジクロロスズ、ジメチル(アセトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチルアミノメチルトリエトキシシラン、ジメチルアミノメチルトリメトキシシラン、ジメチル(メトキシ−メチルシロキサン)ポリジメチルシロキサン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルエチレン尿素、ジメチルジクロロシラン、ジメチルスルホモイルクロライド、シルセスキオキサン、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、チタンテトラキス(2−エチルヘキシオキシド)、テトラエトキシシラン、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラフェノキシシラン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)シアヌレート、トリフェニルホスフェート、トリフェノキシクロロシラン、トリフェノキシメチルケイ素、トリフェノキシメチルシラン、二酸化炭素、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス[(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス(2−ヒドロキシメチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシメチル)−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(2−メチルブトキシ)メチルクロロシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(メチルジメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、ビニルベンジルジエチルアミン、ビニルベンジルジメチルアミン、ビニルベンジルトリブチルスズ、ビニルベンジルピペリジン、ビニルベンジルピロリジン、ピロリジン、フェニルイソシアナート、フェニルイソチオシアナート、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、フタル酸アミド、ヘキサメチレンジイソシアナート、ベンジリデンアニリン、ポリジフェニルメタンジイソシアネート、ポリジメチルシロキサン、メチル−4−ピリジルケトン、メチルカプロラクタム、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、ラウリルチオプロピオン酸メチル、四塩化ケイ素、11−(スクシンイミジロキシ)ウンデシルジメチルエトキシシラン等があげられる。
【0038】
上記一般式(I)で表される化合物による主鎖の変性と併用した場合に、より相乗効果が大きく、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が大きいという点から、上記変性剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、四塩化ケイ素、3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、11−(スクシンイミジロキシ)ウンデシルジメチルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、下記一般式(II)で表される化合物が好ましく、下記一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
【化6】

(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
【0039】
上記一般式(II)で表される化合物において、R11、R12及びR13のアルキル基としては、例えば、メチル基等の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素数1〜3)等が挙げられる。R11、R12及びR13のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)等が挙げられる。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基も含まれる。R11、R12及びR13のシリルオキシ基としては、例えば、炭素数1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基等)等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(II)で表される化合物において、R14及びR15のアルキル基としては、例えば、上記アルキル基(R11、R12及びR13のアルキル基)と同様の基を挙げることができる。
【0041】
低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が大きいという理由から、R11、R12及びR13としては、アルコキシ基が好ましく、R14及びR15としては、アルキル基が好ましい。
【0042】
n(整数)としては、入手容易性という理由から0〜5が好ましい。更には、nは2〜4がより好ましく、3が最も好ましい。nが6以上であるとコストが増大する。
【0043】
上記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、上記変性剤として例示した3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0044】
<共重合体の製造方法>
本発明の共重合体は、例えば、1,3−ブタジエン、一般式(I)で表される化合物と、必要に応じて、スチレンとを共重合し、得られた共重合体の少なくとも一方の末端に上記変性剤を反応させることにより製造でき、具体的には、以下の製造方法で製造できる。
【0045】
(重合方法)
上記共重合体の重合方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に一般式(I)で表される化合物(特に、アミノシリル基)の安定性の観点から、溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
【0046】
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度(スチレン、1,3−ブタジエン、一般式(I)で表される化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中のモノマー濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
【0047】
(アニオン重合における重合開始剤)
アニオン重合を行う場合、重合開始剤としては特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。上記有機リチウム化合物としては、炭素数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
【0048】
(アニオン重合の方法)
上記有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、ブチルリチウムなどを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下で、1,3−ブタジエン、一般式(I)で表される化合物と、必要に応じて、スチレンなどとをアニオン重合させればよい。なお、アニオン重合後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
【0049】
(アニオン重合における炭化水素系溶剤)
上記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。
【0050】
(アニオン重合におけるランダマイザー)
また、上記ランダマイザーとは、共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
【0051】
ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
【0052】
変性剤による変性方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、アニオン重合で主鎖が変性された共重合体を合成した後、該共重合体と変性剤とを接触させることにより、共重合体末端部のアニオンと変性剤の官能基とが反応し、共重合体末端部が変性される。その結果、主鎖及び末端が変性された共重合体が得られる。変性剤を反応させる量は、通常、共重合体100質量部に対して0.01〜10質量部とすればよい。本発明の共重合体は、少なくとも一方の末端が変性されていることが好ましく、両末端が変性されていることがより好ましい。
【0053】
本発明においては、上記変性剤による変性反応を行った後に、必要に応じて、公知の老化防止剤や、重合反応を停止する目的でアルコールなどを加えてもよい。
【0054】
上記共重合体の重量平均分子量Mwは、1.0×10〜2.5×10である。Mwが1.0×10未満の場合は低燃費性が悪くなる傾向があり、一方、Mwが2.5×10を超えると加工性が悪くなる傾向がある。Mwの下限は、好ましくは2.0×10以上、より好ましくは3.0×10以上であり、上限は、好ましくは1.5×10以下、より好ましくは1.0×10以下である。
なお、Mwは、重合時に使用する重合開始剤の量を変更するなどの方法により適宜調節することができ、後述の実施例の方法で測定できる。
【0055】
<ゴム組成物>
(ゴム成分)
上記共重合体はゴム組成物のゴム成分として使用できる。ゴム成分100質量%中の共重合体の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性及びウェットグリップ性能の改善効果が得られにくい傾向がある。また、共重合体の含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。50質量%を超えると、高コストになる傾向がある。
【0056】
上記共重合体は、他のゴム成分と併用してもよい。他のゴム成分としては、ジエン系ゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムは、天然ゴム、ジエン系合成ゴムを使用でき、ジエン系合成ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。なかでも、低燃費性及びウェットグリップ性能をバランス良く示すことから、NR、BR、SBRが好ましく、上記共重合体と共にNR、BR、SBRを併用することがより好ましい。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0057】
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0058】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0059】
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは65質量%以下、特に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内であれば、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く得られる。
【0060】
(シリカ)
本発明のゴム組成物は、補強剤としてシリカを配合することが好ましい。上記共重合体によってシリカの分散が促進され、低燃費性及びウェットグリップ性能の向上効果を高めることができる。使用できるシリカとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。また、シリカは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上であり、また、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。チッ素吸着比表面積が50m/g未満のシリカでは補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、300m/gを超えるシリカでは分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し、低燃費性が低下する傾向がある。
なお、シリカのBET法によるチッ素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準拠した方法により測定することができる。
【0062】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。シリカの含有量が5質量部未満であると耐摩耗性が充分でない傾向があり、一方、シリカの含有量が150質量部を超えると、シリカが分散しにくくなり、加工性、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0063】
(シランカップリング剤)
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系を好適に使用できる。補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが特に好ましい。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。シランカップリング剤の含有量が1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度が高く、加工性が悪くなる傾向がある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対し、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。シランカップリング剤の含有量が20質量部を超えると、その含有量ほどのシランカップリング剤の配合効果が得られず、高コストになる傾向がある。
【0065】
(老化防止剤)
本発明のゴム組成物は、老化防止剤を含むことができる。老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩、ワックスなどを適宜選択して使用することが可能である。
【0066】
(軟化剤)
本発明のゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。軟化剤としては、石油系軟化剤、脂肪油系軟化剤、脂肪酸などが挙げられる。軟化剤の含有量は、ウェットグリップ性能を低下させる危険性が少ないという理由から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0067】
(加硫剤)
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含むことができる。加硫剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤などを使用できる。なかでも、本発明の効果が良好に得られるという点から、硫黄系加硫剤が好ましく、硫黄がより好ましい。
【0068】
(加硫促進剤)
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含むことができる。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
(加硫助剤)
本発明のゴム組成物は、加硫助剤を含むことができる。加硫助剤としては、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)などを使用することができる。
【0070】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物には、その他の補強剤、各種オイル、可塑剤、カップリング剤などのタイヤ用又は一般のゴム組成物用に配合される各種配合剤及び添加剤を配合することができる。また、これらの配合剤、添加剤の含有量も一般的な量とすることができる。
【0071】
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、従来公知の製造方法により製造することができ、その製造方法が限定されるものではない。例えば、上記各成分をバンバリーミキサーや混練ロールなどの混練機を用いて、通常の方法及び条件で混練することによって製造することができる。
【0072】
このようにして得られた本発明のゴム組成物を用いることで、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善された空気入りタイヤが得られる。上記ゴム組成物は、タイヤの各部材に使用でき、なかでも、トレッド、サイドウォールなどに好適に使用できる。
【0073】
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより空気入りタイヤを得る。
【実施例】
【0074】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0075】
以下、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
マグネシウム:関東化学(株)製
THF:関東化学(株)製のテトラヒドロフラン
4−ブロモスチレン:関東化学(株)製
ジメチルジクロロシラン:東京化成工業(株)製
リチウムジイソプロピルアミド n−ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液:関東化学(株)製(1M溶液)
ジエチルジクロロシラン:東京化成工業(株)製
ピロリジン:関東化学(株)製
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
変性剤(1):アヅマックス社製の3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン
変性剤(2):アヅマックス社製の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
変性剤(3):アヅマックス社製の3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸
変性剤(4):アヅマックス社製の2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン
変性剤(5):アヅマックス社製のN−(3−トリエトキシシリルプロピル)4,5−ジヒドロイミダゾール
変性剤(6):アヅマックス社製の11−(スクシンイミジロキシ)ウンデシルジメチルエトキシシラン
変性剤(7):アヅマックス社製の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
変性剤(8):アヅマックス社製のトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)シアヌレート
【0076】
<一般式(I)で表される化合物の合成>
(アミノシリルスチレン(1)(R、R=メチル基、R=ジイソプロピルアミノ基)の合成)
十分に窒素置換した三つ口フラスコにマグネシウム690mmol、THF120mLを加え、0℃で4−ブロモスチレン510mmolを1時間かけて滴下し、(4−ビニルフェニル)マグネシウムブロミドを得た。
次いで、十分に窒素置換した三つ口フラスコにTHF180mL、ジメチルジクロロシラン460mmolを加え、0℃で(4−ビニルフェニル)マグネシウムブロミド510mmolのTHF溶液を1時間かけて滴下し、さらにリチウムジイソプロピルアミド n−ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液460mmolを1時間かけて滴下した。室温で一晩攪拌した後、蒸留精製することでアミノシリルスチレン(1)(C1627NSi)を得た。
【0077】
(アミノシリルスチレン(2)(R、R=エチル基、R=ジイソプロピルアミノ基)の合成)
ジメチルジクロロシランの代わりにジエチルジクロロシランを加える以外は、(1)と同様の処方によりアミノシリルスチレン(2)(C1831NSi)を得た。
【0078】
(アミノシリルスチレン(3)(R、R=メチル基、R=1−ピロリジノ基)の合成)
十分に窒素置換した三つ口フラスコにTHF1000mL、ピロリジン460mmolを加え、n−ブチルリチウム(n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M溶液))460mmolを室温で1時間かけて滴下し、50℃で2時間攪拌してリチウムアミド溶液を得た。
次いで窒素置換した三つ口フラスコにTHF180mL、ジメチルジクロロシラン460mmolを加え、0℃で(4−ビニルフェニル)マグネシウムブロミド510mmolのTHF溶液を1時間かけて滴下し、さらにリチウムアミド溶液460mmolを1時間かけて滴下した。室温で一晩攪拌した後、蒸留精製することでアミノシリルスチレン(3)(C1421NSi)を得た。
【0079】
<共重合体の分析>
下記により得られた共重合体の分析は以下の方法で行った。
【0080】
(重量平均分子量Mwの測定)
共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
【0081】
(共重合体の構造同定)
共重合体の構造同定は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて行った。測定結果から、共重合体中の一般式(I)で表される化合物、スチレン、及び1,3−ブタジエンの含有量を算出した。
【0082】
<共重合体の合成>
(共重合体(1))
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間攪拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により共重合体(1)を得た。分析の結果、重量平均分子量は470,000、スチレン含有量は19質量%であった。
【0083】
(共重合体(2))
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、アミノシリルスチレン(1)5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間攪拌した。その後、変性剤(1)を0.15mmol加えて、0℃で1時間攪拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により共重合体(2)を得た。分析の結果、重量平均分子量は520,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.2質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0084】
(共重合体(3))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(2)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(3)を得た。分析の結果、重量平均分子量は480,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.3質量%、スチレン含有量は18質量%であった。
【0085】
(共重合体(4))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(3)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(4)を得た。分析の結果、重量平均分子量は500,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.3質量%、スチレン含有量は18質量%であった。
【0086】
(共重合体(5))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(4)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(5)を得た。分析の結果、重量平均分子量は510,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.5質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0087】
(共重合体(6))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(5)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(6)を得た。分析の結果、重量平均分子量は490,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.3質量%、スチレン含有量は18質量%であった。
【0088】
(共重合体(7))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(6)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(7)を得た。分析の結果、重量平均分子量は470,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.4質量%、スチレン含有量は17質量%であった。
【0089】
(共重合体(8))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(7)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(8)を得た。分析の結果、重量平均分子量は500,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.3質量%、スチレン含有量は18質量%であった。
【0090】
(共重合体(9))
変性剤(1)の代わりに、変性剤(8)を加える以外は、共重合体(2)と同様の処方により共重合体(9)を得た。分析の結果、重量平均分子量は500,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.3質量%、スチレン含有量は18質量%であった。
【0091】
(共重合体(10))
アミノシリルスチレン(1)の代わりに、アミノシリルスチレン(2)を5mmol加える以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(10)を得た。分析の結果、重量平均分子量は460,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.4質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0092】
(共重合体(11))
アミノシリルスチレン(1)の代わりに、アミノシリルスチレン(3)を5mmol加える以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(11)を得た。分析の結果、重量平均分子量は510,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.6質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0093】
(共重合体(12))
アミノシリルスチレン(1)の代わりに、アミノシリルスチレン(3)を1mmol加える以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(12)を得た。分析の結果、重量平均分子量は450,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は0.3質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0094】
(共重合体(13))
アミノシリルスチレン(1)の代わりに、アミノシリルスチレン(3)を20mmol加える以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(13)を得た。分析の結果、重量平均分子量は550,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は6.2質量%、スチレン含有量は17質量%であった。
【0095】
(共重合体(14))
スチレンを加えずに、アミノシリルスチレン(1)の代わりに、アミノシリルスチレン(2)を4mmol加える以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(14)を得た。分析の結果、重量平均分子量は560,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.6質量%であった。
【0096】
(共重合体(15))
テトラメチルエチレンジアミンの配合量を8mmol、n−ブチルリチウムの配合量を5mmolとする以外は共重合体(2)と同様の処方により共重合体(15)を得た。分析の結果、重量平均分子量は21,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.2質量%、スチレン含有量は20質量%であった。
【0097】
(共重合体(16))
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、アミノシリルスチレン(1)5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間攪拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により共重合体(16)を得た。分析の結果、重量平均分子量は520,000、一般式(I)で表される化合物の含有量は1.2質量%、スチレン含有量は19質量%であった。
【0098】
(共重合体(17))
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間攪拌した。その後、変性剤(1)を0.15mmol加えて、0℃で1時間攪拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により共重合体(17)を得た。分析の結果、重量平均分子量は520,000、スチレン含有量は20.2質量%であった。
【0099】
共重合体(1)〜(17)のモノマー成分、変性剤、重量平均分子量Mwについて表1にまとめた。
【0100】
【表1】

【0101】
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
SBR:JSR(株)製のSL574
共重合体(1)〜(17):上記方法で合成
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0102】
表2に示す配合処方にしたがって薬品を混練り配合し、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、上記未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用タイヤについて以下に示す試験方法により低燃費性及びウェットグリップ性能を評価した。なお、基準配合を比較例1とした。
【0103】
<評価項目及び試験方法>
(低燃費性)
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃でtanδを測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(基準配合のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0104】
(ウェットグリップ性能(1))
(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。上記加硫ゴム組成物からなる幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片をサンプルとして用い、速度20km/時間、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜70%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能(1)指数)=(各配合の摩擦係数の最大値)/(基準配合の摩擦係数の最大値)×100
【0105】
(ウェットグリップ性能(2))
水を撒いて湿潤路面としたテストコースにて、上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度70km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定した。そして、下記計算式により測定結果を指数表示した。指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能(2)指数)=(基準配合の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
【0106】
【表2】

【0107】
表2に示すように、1,3−ブタジエン、及び上記一般式(I)で表される化合物を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性され、重量平均分子量Mwが特定の範囲内である共重合体を含む実施例は、比較例に比べて、低燃費性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善された。
比較例2では、重量平均分子量が21,000と、重量平均分子量が特定の範囲内でない共重合体を配合したため、比較例1に比べてウェットグリップ性能が向上したものの、低燃費性が低下した。
一般式(I)で表される化合物のみにより変性されたSBR(共重合体(16)(主鎖のみが変性されたSBR))を配合した比較例3、変性剤(1)のみにより変性されたSBR(共重合体(17)(末端のみ変性されたSBR))を配合した比較例4、未変性のSBR(共重合体(1))を配合した比較例1、一般式(I)で表される化合物で主鎖が変性されているとともに、変性剤(1)で少なくとも一方の末端が変性されたSBR(共重合体(2))を配合した実施例1の結果より、一般式(I)で表される化合物で主鎖が変性されているとともに、上記変性剤で少なくとも一方の末端が変性された共重合体を配合することにより、低燃費性、ウェットグリップ性能を相乗的に改善できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3−ブタジエン、及び下記一般式(I)で表される化合物を共重合して得られ、少なくとも一方の末端が窒素、酸素及びケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する変性剤で変性され、
重量平均分子量Mwが1.0×10〜2.5×10である共重合体。
【化1】

(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、アミノ基又は炭化水素基を表し、R、R及びRの少なくとも1つはアミノ基である。)
【請求項2】
少なくとも前記1,3−ブタジエン、及び前記一般式(I)で表される化合物とともにスチレンを共重合して得られる請求項1記載の共重合体。
【請求項3】
前記一般式(I)中、R、R及びRで表される炭化水素基の炭素数が1〜10である請求項1又は2記載の共重合体。
【請求項4】
前記一般式(I)で表される化合物の含有量が0.05〜35質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の共重合体。
【請求項5】
前記変性剤が下記一般式(II)で表される化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体。
【化2】

(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基を表す。nは整数を表す。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の共重合体を含むゴム組成物。
【請求項7】
ゴム成分100質量%中、前記共重合体の含有量が5質量%以上である請求項6記載のゴム組成物。
【請求項8】
ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含む請求項6又は7記載のゴム組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2012−167207(P2012−167207A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29762(P2011−29762)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】