説明

内寄生性生物防除剤である組成物

【課題】 環式デプシペプチド類の内寄生性生物防除活性を高める
【構成】 内寄生性生物防除剤の組成物中の環式デプシペプチドの内寄生性生物防除活性を亢進させるためのプラジカンテルもしくはエプシプランテルの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内寄生性生物防除剤である組成物中の環式デプシペプチド類の内寄生性生物防除活性を亢進させるためのプラジカンテルおよびエプシプランテルの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラジカンテル(praziquantel)である2−(シクロヘキシルカルボニル)−1,2,3,6,7,11b−ヘキサヒドロ−4H−ピラジノ[2,1−a]イソキノリン−4−オン、および内寄生性生物に対するその活性が、特許文献1において開示されている。
【0003】
エプシプランテル(epsiprantel)である2−(シクロヘキシルカルボニル)−2,3,6,7,8,12b−ヘキサヒドロ−ピラジノ[2,1−a][2]−ベンザゼピン−4(1H)−オン、および内寄生性生物に対するその活性が、特許文献2、特許文献3において開示されている。
【0004】
環式デプシペプチドであるPF1022、および内寄生性生物に対するその活性が、特許文献4:欧州特許出願公開第382 173号明細書において開示されている。他の環式デプシペプチド類、およびそれらの内寄生性生物防除活性は、これまでに公開されていない特許文献5:特許出願(独国特許出願第P 4 317 432.9号明細書、特許文献6:第P 4 317 457.4号明細書、特許文献7:第P 4 317 458.2号明細書)の主題である。
【0005】
【特許文献1】英国特許第1 441 554号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第134 984号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第185 012号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第382 173号明細書
【特許文献5】独国特許出願第P 4 317 432.9号明細書
【特許文献6】独国特許出願第P 4 317 457.4号明細書
【特許文献7】独国特許出願第P 4 317 458.2号明細書
【発明の開示】
【0006】
本発明は、環構成成分としてのアミノ酸およびヒドロキシカルボン酸からなりそして6−30の環原子を有する環式デプシペプチド類の内寄生性生物防除活性を亢進させるためのプラジカンテルおよびエプシプランテルの利用に関する。
【0007】
さらに本発明は、プラジカンテルまたはエプシプランテルを、環構成成分としてアミノ酸およびヒドロキシカルボン酸からなりそして6−30の環原子を有する環式デプシペプチド類と共に含む、内寄生性生物防除剤である組成物に関する。
【0008】
そのうえ本発明は、内寄生性生物防除剤である組成物の調製のための、環構成成分としてアミノ酸およびヒドロキシカルボン酸からなりそして6−30の環原子を有する環式デプシペプチド類と共に用いるプラジカンテルまたはエプシプランテルの使用に関する。
【0009】
好ましい環式デプシペプチド類は18−24の環原子を有するものである。
【0010】
18の環原子を有するデプシペプチド類には、一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
、R、およびRは各々独立に、水素、最高8までの炭素原子を有する直鎖もしくは分岐しているアルキル、ヒドロキシアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、メルカプトアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、グアニジノアルキル(これは場合によっては、1もしくは2のベンジルオキシカルボニル基、あるいは1、2、3、もしくは4のアルキル基により置換されることがある)、アルコキシカルボニルアミノアルキル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、および場合によっては置換されているアリールアルキル(挙げることができる置換基はハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、およびアルコキシである)を表し、
、R、およびRは各々独立に、水素、最高8までの炭素原子を有する直鎖もしくは分岐しているアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルカノイルオキシアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アリールアルコキシカルボニルアルキル、カルバモイルアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、場合によっては置換されているアリールもしくはアリールアルキル(挙げることができる置換基はハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、およびアルコキシである)を表す]
の化合物、ならびにそれらの光学異性体およびラセミ体がある。
【0013】
【化2】

【0014】
式(I)の好ましい化合物は、
式中、
、R、およびRが各々独立に、直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、第三−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、第三−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ、C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、グアニド−C−C−アルキル、特にグアニドプロピル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特に第三−ブトキシカルボニルアミノプロピル、第三−ブトキシカルボニルアミノブチル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノ−C−C−アルキル、特に9−フルオレニル−メトキシカルボニル(Fmoc)アミノプロピル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(これは場合によっては、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、特にメトキシ、もしくはエトキシ、あるいはC−C−アルキル、特にメチルを含んでなる群からの基により置換されていてもよい)を表し、
、R、およびRが、各々独立して直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、第三−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、第三−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、メルカプト−C−C−アルキル、特にメルカプトメチル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、特にメチルチオエチル、C−C−アルキルスルフィニル−C−C−アルキル、特にメチルスルフィニルエチル、C−C−アルキルスルホニル−C−C−アルキル、特にメチルスルホニルエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカル
ボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、C−C−アリールアルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、カルバモイル−C−C−アルキル、特にカルバモイルメチル、カルバモイルエチル、アミノ−C−C−アルキル、特にアミノプロピル、アミノブチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(これは場合によっては、ハロゲン、特にフッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素、ヒドロキシル、C−C−アルコキシ、特にメトキシ、もしくはエトキシ、あるいはC−C−アルキル、特にメチルを含んでなる群からの基により置換されていてもよい)を表す化合物、ならびにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0015】
式(I)の特に好ましい化合物は、
式中、
、R、およびRが、各々独立して直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、C−C−アルカノイルオキシ−C−C−アルキル、特にアセトキシメチル、1−アセトキシエチル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、特にメトキシメチル、1−メトキシエチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、C−C−アルコキシカルボニルアミノ−C−C−アルキル、特に第三−ブトキシカルボニルアミノプロピル、第三−ブトキシカルボニルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(これは場合によっては、先に記載のものの内の一つもしくは複数の、同一なもしくは異なる基で置換されていてもよい)を表し、
、R、およびRが、各々独立して直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、第三−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、第三−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、特にヒドロキシメチル、アリール−C−C−アルキルオキシ−C−C−アルキル、特にベンジルオキシメチル、1−ベンジルオキシエチル、カルボキシ−C−C−アルキル、特にカルボキシメチル、カルボキシエチル、C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、アリール‐C−C−アルコキシカルボニル−C−C−アルキル、特にベンジルオキシカルボニルメチル、C−C−アルキルアミノ−C−C−アルキル、特にメチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、C−C−ジアルキルアミノ−C−C−アルキル、特にジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、ブテニル、C−C−シクロアルキル、特にシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、フェニル、フェニル−
−C−アルキル、特にフェニルメチル(これは場合によっては、先に記載のものの内の一つもしくは複数の、同一なもしくは異なる基で置換されていてもよい)を表す化合物、ならびにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0016】
式(I)の非常に特別に好ましい化合物は、
式中、
、R、およびRが、各々独立して直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、C−C−アルケニル、特にアリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチルを表し、
、R、およびRが、各々独立して直鎖もしくは分岐しているC−C−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二−ブチル、ペンチル、イソペンチル、第二−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、第二−ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第二−ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第二−オクチル、C−C−アルケニル、特にビニル、アリル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキル、特にシクロヘキシルメチル、フェニル−C−C−アルキル、特にフェニルメチル(これは場合によっては、先に記載のものの内の一つもしくは複数の、同一なもしくは異なる基で置換されていてもよい)を表す化合物、
ならびにそれらの光学異性体およびラセミ体である。
【0017】
光学的に活性な立体異性体形態もしくはラセミ混合物の形態において存在することができる一般式(I)の化合物のすべてを本発明の趣旨にのっとって使用することができる。しかしながら一般式(I)の化合物の光学的に活性な立体異性体形態を本発明に従って使用することが好ましい。
【0018】
一般式(I)
[式中、
基RからRまでが以下に示す意味を有する]
の以下に示す化合物を個々に挙げることができる。
【0019】
【化3】

【0020】
【表1】

【0021】
挙げることができるもう一つのデプシペプチドは、欧州特許出願公開第382 173号明細書において開示され、そして以下に示す式
【0022】
【化4】

【0023】
を有する化合物PF1022である。
【0024】
挙げることができる他のデプシペプチドは、国際公開第93/19053号パンフレットにおいて開示される化合物である。
【0025】
具体的に挙げることができる国際公開第93/19053号の化合物は、以下の式
【0026】
【化5】

【0027】
[式中、
Zは、N−モルホリニル、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジメチルアミノを表す]の化合物である。
【0028】
追加的に挙げることができる化合物は、以下の式
【0029】
【化6】

【0030】
[式中、
、R,R,およびRは各々独立に、水素、C−C10−アルキル、もしくはアリール、特にフェニル(これらの各々は、場合によってはヒドロキシル、C−C10−アルコキシ、もしくはハロゲンにより置換されている)を表す]
の化合物である。
【0031】
一般式(I)の化合物の内の幾つかのものは既知のものであるか(単離によるものは例えば、R.Zocher et al.,J.Antibiotics 45(1992)pp.1273−1277[エンニアチン(enniatins)A、B、およびC]、Hiroshi Tomoda et al.J.Antibiotics 45(1992)pp.1207−1215[エンニアチンA、A、B、B、D、E、およびF]、合成によるものは例えば、P.Quitt et al.,Helv.Chimica Acta 46(1963)pp.1715−1720、P.Quitt et al.,Chimica Acta 46(1963)pp.1715−1720、P.Quitt et al.,Helv.Chimica Acta 47(1964)pp.166−173[エンニアチンA]、Pl.A.Plattner et al.,Helv. Chimica Acta 46(1963)pp.927−935[エンニアチンB]、Yu.A.Ovchinnikov et al. etrahedron Lett.2(1971)pp.159−162、R.W.Roeske et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.57(1974)pp.554−561[ボベリシン(beauvericin)]、Yu.A.Ovchinnikov et al.Zh.Obshch.Khim.42(10)(1972)pp.2320−2334、C.A.抄録 78、5877k)、あるいはこれらの文献中に記載されている方法により取得することができる。
【0032】
式(I)の化合物は、U.Schmidt et al.により適用される方法により大環状ペプチド性アルカロイド類(例えば、Synthesis(1991)pp.294−300[ジデムニン(didemnin)A、B、およびC]、Angew.Chem.96(1984)pp.723−724[ドラスタチン(dolastatin)3]、Angew.Chem.102(1990)pp.562−563[fenestin(フェネスチン)A]、Angew.Chem.97(1985)pp.606−607[ウリシクラミド(ulicyclamid)]、J.Org.Chem.47(1982)pp.3261−3264、におけるU.Shimidt et al.,を参照
せよ)。
【0033】
式(I)の化合物は、
a)一般式(II−a)
【0034】
【化7】

【0035】
[式中、
Aは、ベンジルもしくはベンジルオキシカルボニルのような、活性エステル保護基に関して選択的な除去を行うことができるアミノ保護基を表し、そして
、R、R、R、R、およびRは、先に記載の意味を有する]
のカルボキシル活性化開鎖ヘキサデプシペプチドを、
水素化触媒の存在下、塩基性反応助剤の存在下、および希釈剤の存在下において環化反応に供するか、あるいは
b)一般式(II−b)
【0036】
【化8】

【0037】
[式中、R、R、R、R、R、およびRは、先に記載の意味を有する]
の開鎖ヘキサデプシペプチドを、
カップリング試薬の存在下、塩基性反応助剤の存在下、および希釈剤の存在下において環化反応に供することにより製造する。
【0038】
新規の環式ヘキサデプシペプチド類(エンニアチン類)(I)の製造のための方法a)においてN−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸ペンタフルオロフェニルを、式(II)の化合物として利用する場合には、この方法を以下に示す反応式
【0039】
【化9】

【0040】
により表すことができる。
【0041】
式(II)は方法aを実施するための出発物質として必要な開鎖ヘキサデプシペプチドのカルボキシル活性化誘導体の一般定義を提供する。この式においては、A、ならびにRからRまでが、これらの物質について好ましいものとして本発明に従う式(I)の物質の記述に関して既に記載されている基を表すことが好ましい。
【0042】
出発物質として使用する式(II−a)のカルボキシル活性化ペンタフルオロフェニルエステル類は、刊行物から知られる方法により取得することができる(L.Kisfaludy et al.J.Org.Chem.35(1970)、pp.3563、L.Kisfaludy et al.J.Org.Chem.44(1979)、pp.654−655、を参照せよ)。これらの製造法を以下にさらに詳しく記載する。
【0043】
基A、ならびにRからRまでが以下に与えられる意味を有する一般式(IIa)の以下に示す化合物を個々に挙げることができる。
【0044】
【化10】

【0045】
【表2】

【0046】
式(II)の化合物の環化反応は、適切な水素化触媒の存在下において、そして塩基性反応助剤の存在下において、希釈剤を使用して実施することが好ましい。
【0047】
これらの方法を実施するのに適する触媒は通常の全ての水素化触媒である。使用することが好ましい触媒は、例えば白金、酸化白金、パラジウム、もしくはルテニウムのような貴金属触媒であり、適切である場合にはこれらは例えば炭素、もしくは二酸化ケイ素のような適切な支持体上に存在する。
【0048】
利用することができる塩基性反応助剤は、アミン類、特に第三アミンのような適切な酸結合剤、ならびにアルカリ金属化合物類およびアルカリ土類金属化合物類である。
【0049】
挙げることができる例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、およびバリウムの水酸化物、酸化物、および炭酸塩、ならびに他の塩基性化合物であり、それらはトリエチルアミン、トリメチルアミン、トリベンジルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジメチル−p−アミノピリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルイミダゾール、N−メチルピロール、N−メチルモルホリン、N−メチルヘキサメチレンイミン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、キノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、イソキノリン、ピリミジン、アクリジン、N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチレンジアミン、キノキサリン、N−プロピルジイソプロピルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、N,N’−ジメチルシクロヘキシルアミン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、トリエチレンジアミン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、もしくはジアザビシクロウンデセン(DBU)のようなものである。
【0050】
例えばピリジン、N−メチルイミダゾール、もしくは4−ピロリジノピリジンのような複素環式芳香族性の物質を使用することが好ましい。
【0051】
これらの方法を実施するのに適する希釈剤は全ての不活性有機溶媒である。
【0052】
挙げることができる例は、ハロゲン炭化水素類、特にテトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、塩化メチレン、ジクロロブタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ペンタクロロエタン、ジフルオロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン、トリクロロベンゼンのようなクロロ炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノールのようなアルコール類、エチルプロピルエーテル、メチル第三ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびジクロロジエチルエーテルのようなエーテル類、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼン、クロロニトロベンゼン、およびo−ニトロトルエンのようなニトロ炭化水素類、アセトニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、およびm−クロロベンゾニトリルのようなニトリル類、ヘプタン、ヘキサン、ノナン、シメン、70℃から190℃までの範囲の沸点内に含まれるベンジン分画、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンのような脂肪族、環状脂肪族、もしくは芳香族炭化水素類、酢酸エチル、および酢酸イソブチルのようなエステル類、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN−メチルピロリドンのようなアミド類、アセトン、およびメチルエチルケトンのようなケトン類である。先に記載の溶媒および希釈剤の混合物も適切なものである。
【0053】
例えばジオキサンのようなエーテル類、ならびにアルコール類とエーテルとの混合物が好ましい物質である。
【0054】
方法aは、水素の存在下において、そして塩基性反応助剤および適切な水素化触媒の存在下において、高希釈条件下における希釈剤中で、式(IIa)の化合物を加熱することにより実施する。
【0055】
反応時間は約4時間から20時間までである。この反応は、+20℃と+200℃との間の温度、好ましくは+70℃と+155℃との間の温度において実施する。この反応は
不活性気体雰囲気下において、そして必要な反応温度においてこの混合物を加熱する際にその反応条件下において確立されている圧力下において実施することが好ましい。
【0056】
本発明に従う方法aを実行するためには、ジオキサン中の式(IIa)のN−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸ペンタフルオロフェニルの溶液を、2−10時間の期間にわたり、定常的に水素を通しながら、95℃における過剰量のジオキサン中の例えばパラジウム/木炭である適切な水素化触媒の等モル量の迅速攪拌懸濁液に対して滴下する。触媒としての溶液は、一般的に0.5から2.5モルまで、好ましくは1.0から2.0モルまでの4−ピロリジノピリジン、ならびに0.5から10%まで、好ましくは2から5%までのアルコール(溶媒基準)を含む。
【0057】
式(IIa)のN−ベンジルオキシカルボニル置換ペンタフルオロフェニルエステル類の他には、式(IIa)のN−ベンジル−、ならびにN−第三−ブトキシカルボニル−置換ペンタフルオロフェニルエステル類も使用することが可能であり、そして後者の物質は、U.Schmidt(例えば、U.Schmidt et al.,Synthesis(1991)pp.294−300[ジデムニン(didemnin)A、B、およびC]、を参照せよ)により記載される2相系中において環化させることができる。
【0058】
反応が完了した際にはこの反応混合物を冷却し、全反応バッチを減圧下において濃縮し、そして有機溶媒を使用して抽出し、そしてこの抽出物をそれ自体既知の様式においてさらに精製して行く。得られる生成物は、再結晶、減圧下における蒸留、もしくはカラムクロマトグラフィーによる常法において精製することができる。
【0059】
新規の環状ヘキサデプシペプチド類(エンニアチン類)の製造のための方法bにおいてN−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸を式(IIb)の化合物として利用する場合には、この方法を以下に示す反応式により表すことができる。
【0060】
【化11】

【0061】
式(II)は、方法bを実施するための出発物質として必要である開鎖ヘキサデプシペプチド類の一般的定義を提供する。この式においてはRからRまでは、本発明に従う式(I)の置換基の説明に関してそれらの置換基のために好ましいものとして既に挙げられている基を表すことが好ましい。
【0062】
出発物質として使用される式(II)のヘキサデプシペプチドは、以下に更に詳しく記載する方法により取得することができる。
【0063】
からRまでの基が以下に与えられる意味を有する一般式(IIb)の以下に示す化合物を、個々に挙げることができる。
【0064】
【化12】

【0065】
【表3】

【0066】
方法bを実施するのに適するカップリング試薬は、アミド結合を確立するのに適切な全ての試薬である(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods in Organic Chemistry]、Volume 15/2、Bodanszky et al.、Peptide Synthesis 2nd ed.(Wiley & Sons、New York 1976)、もしくはGross、Meienhofer、The Peptides:Analysis synthesis、biology(Academic Press、New York 1979、を参照せよ)。以下に示す方法を利用することが好ましく、それらは、アルコール成分としてペンタクロロフェノール(Pcp)およびペンタフルオロフェノール(Pfp)、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシアミド(HONB)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、もしくは3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンを使用する活性エステル法、DCC−添加法によるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなカルボジイミドを用いるカップリング、あるいはN−プロパンホスホン酸無水物(PPA)を用いるカップリング、ならびに塩化ピバロイル、クロロギ酸エチル(EEDQ)、およびクロロギ酸イソブチル(IIDQ)を使用する混酸無水物法、あるいはヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノホスホニウム)(BOP)、塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホン酸(BOP−Cl)のようなホスホニウム試薬を用いるカップリング、あるいはシアノリン酸ジエチル(DEPC)およびアジ化ジフェニルホスホリル(DPPA)のようなホスホン酸エステル試薬もしくはテトラフルオロホウ酸2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1、1、3、3−テトラメチルウロニウム(TBTU)のようなウロニウム試薬を用いるカップリングである。
【0067】
塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホン酸(BOP−Cl)、ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノホスホニウム)(BOP)のようなホスホニウム試薬類、ならびにシアノリン酸ジエチル(DEPC)もしくはアジ化ジフェニルホスホリル(DPPA)のようなホスホン酸エステル試薬類を用いるカップリングが好ましい。
【0068】
方法bを実施するために利用することができる塩基性反応助剤は、方法aにおいて記載の第三アミン類、特にトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、もしくはN−メチルモルホリンのようなトリアルキルアミン類である。
【0069】
方法bを実施するために利用する希釈剤は、方法aにおいて記載のハロゲン化炭化水素類であり、特にクロロ炭化水素類である。
【0070】
方法bは、先に記載のカップリング試薬の内の一つのものの存在下において、および高希釈条件下での希釈剤中における塩基性反応補助物の存在下において、式(II)の化合物を化合させ、そしてその混合物を攪拌することにより実施する。反応時間は4時間から72時間までである。この反応は、−5℃と+100℃、好ましくは−5℃と+50℃との間、特に好ましくは0℃から室温までの温度において実施する。この方法は大気圧下において実施する。
【0071】
本発明に従う方法bを実施するためには、一般的に1.0から3.0モルまで、好ましくは1.0から1.5モルまでのカップリング試薬を、式(II)のN−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸のモル当たりに使用する。
【0072】
この反応が完了する際にはこの反応溶液を、弱アルカリ相と有機相とが分離するまで洗浄し、脱水させ、そして減圧下において濃縮する。得られる生成物を、再結晶、減圧下における蒸留、もしくはカラムクロマトグラフィーによる常法において精製することができる。
【0073】
出発物質として使用する開鎖デプシペプチド類は、H.−G.LerchenおよびH.Kunz(Tetrahederon Lett.26(43)(1985)pp.5257−5260、28(17)(1987)pp.1873−1876)により記載される方法を一例とするそれ自体既に知られている方法により、B.F.Gisin(Helv.Chem.Acta 56(1973)p.1476)により記載されるエステル化法を利用して製造することができる。
【0074】
24の環原子を有する環式デプシペプチド類には、一般式(Ia)
【0075】
【化13】

【0076】
[式中、
1a、R2a、R11a、およびR12aは各々独立に、C1−8−アルキル、C1−C8−ハロゲンアルキル、C3−C6−シクロアルキル、アラルキル、およびアリールを表し、R3a、R5a、R7a、およびR9aは各々独立に、水素、あるいは直鎖もしくは分岐しているC1−C8−アルキル(これは場合によっては、ヒドロキシル、C1−C4−アルコキシ、カルボキシ(−COOH)、カルボキシアミド(−OCONH)、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、−SH、もしくはC1−C4−アルキルチオにより置換されていてもよい)を表し、そしてさらにアリールもしくはアラルキル(これらのもの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−C4−アルキル、もしくはC1−C4アルコキシにより置換されていてもよい)を表し、
4a、R6a、R8a、およびR10aは各々独立に、水素、直鎖のC1−C5−アルキル、C2−C6−アルケニル、C3−C7−シクロアルキル(これらのもの各々は、ヒドロキシル、C1−C4−アルコキシ、カルボキシル、カルボキシアミド、イミダゾリル、インドリル、グアニジノ、SH、もしくはC1−C4−アルキルチオにより置換されていてもよい)を表し、そしてまたアリールもしくはアラルキル(これらのもの各々は、ハロゲン、ヒドロキシル、C1−C4−アルキル、もしくはC1−C4アルコキシにより置換されていてもよい)を表す]
の化合物、ならびにそれらの光学異性体およびラセミ体がある。
【0077】
利用される式(Ia)の好ましい化合物は、
式中、
1a、R2a、R11a、およびR12aが各々独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−、s−、t−ブチルもしくはフェニル(これは場合によっては、ハロゲン、C1−C4−アルキル、OHもしくはC1−C4−アルコキシで置換されていてもよい)を表し、あるいはベンジルもしくはフェニルエチル(これらのもの各々は、場合によってはフェニルについて示される基により置換されていてもよい)を表し、そして
3aからR10aまでが先に記載の意味を有する化合物である。
【0078】
式(Ia)の特に好ましい化合物は、
式中、
1a、R2a、R11a、およびR12aが各々独立に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、あるいはn−、s−、もしくはt−ブチルを表し、
3a、R5a、R7a、およびR12aが、水素、直鎖もしくは分岐しているC1−C8−アルキル、特にメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、およびn−、s−、もし
くはt−ブチル(これらのもの各々は、場合によってはC1−C4−アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリル、もしくはC1−C4−アルキルチオ、特にメチルチオおよびエチルチオにより置換されていてもよい)を表し、そしてさらにフェニル、ベンジル、もしくはフェニルエチル(これらのもの各々は、場合によってはハロゲン、特に塩素により置換されていてもよい)を表し、そして
4a、R6a、R8a、およびR10aが各々独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ビニル、もしくはシクロヘキシル(これらのもの各々は、場合によってはメトキシ、エトキシ、イミダゾリル、インドリル、メチルチオ、もしくはエチルチオにより置換されていてもよい)を表し、そしてまたイソプロピル、およびs−ブチル、そしてさらにフェニル、ベンジル、もしくはフェニルエチル(これらのもの各々は、場合によってはハロゲンにより置換されていてもよい)を表す化合物である。
【0079】
式(Ia)の化合物は、式(IIc)
【0080】
【化14】

【0081】
[式中、
1aからR12aまでは先に記載の意味を有する]
の開鎖オクタデプシペプチドを、希釈剤の存在下において、そしてカップリング試薬の存在下において環化反応に供することにより製造することができる。
【0082】
適切なカップリング試薬は、アミド結合を確立するのに適切な全ての試薬である(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods in Organic Chemistry]、Volume 15/2、Bodanszky et al.,Peptide Synthesis 2nd ed.(Wiley & Sons、New York 1976)を参照せよ)。
【0083】
以下に示す試薬および方法を利用することが好ましく、それらは、ペンタフルオロフェノール(Pfp)、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを使用する活性エステル法、ジシクロヘキシルカルボジイミドもしくはN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(Ebc)のようなカルボジイミドを用いるカップリング、ならびに混酸無水物法、あるいはヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノホスホニウム)(BOP)、塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホン酸(BOP−Cl)のようなホスホニウム試薬を用いるカップリング、あるいはシアノリン酸ジエチル(DEPC)およびアジ化ジフェニルホスホリル(DPPA)のようなホスホン酸エステル試薬を用いるカップリングである。
【0084】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下における塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホン酸(BOP−Cl)と、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC)とのカップリングが特に好ましい。
【0085】
この反応は、0−150℃、好ましくは20−100℃、特に好ましくは室温において
実施する。
【0086】
適切な希釈剤は全ての不活性溶媒である。これらのものには、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンジン、リグロイン、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、およびo−ジクロロベンゼンのような脂肪族および芳香族の、場合によってはハロゲン化されている炭化水素類、さらにジエチルエーテル、ジブチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、およびジグリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサンのようなエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびメチルイソブチルケトンのようなケトン類、そのうえ酢酸メチルおよび酢酸エチルのようなエステル類、さらにアセトニトリル、およびプロピオニトリル、ベンゾニトリル、およびグルタロニトリルのようなものを一例とするニトリル類、さらにジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドンのようなものを一例とするアミド類、およびさらにジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、およびヘキサメチルリン酸トリアミドがある。
【0087】
式(IIc)の化合物およびカップリング試薬は互いに1:1から1:1.5までの比率において利用する。おおよその等モル比が好ましい。
【0088】
反応が完了する際には希釈剤を留去し、そして式(Ia)の化合物をクロマトグラフィーを一例とする常法で精製する。
【0089】
式(IIc)
【0090】
【化15】

【0091】
[式中、それぞれの基は先に記載の意味を有する]
の開鎖オクタデプシペプチドは、式(IIIa)
【0092】
【化16】

【0093】
[式中、
Aはベンジルを表し、そして
BはOHを表し、そして
1aからR12aまでは先に記載の意味を有する]
の化合物を、希釈剤及び触媒の存在下における水素化分解反応に供することにより取得する。
【0094】
式(IIIa)
【0095】
【化17】

【0096】
[式中、それぞれの基は先に記載の意味を有する]
の化合物は、式(IVa)
【0097】
【化18】

【0098】
[式中、それぞれの基は先に記載の意味を有する]
の化合物を加水分解反応に供することにより取得する。
【0099】
式(IVa)の化合物およびそれらの立体異性体は、式(Va)
【0100】
【化19】

【0101】
[式中、
Aはベンジルを表し、そして
ZはOHを表し、そして
1a、R2a、R3a、R4a、R5a、およびR10aは先に記載の意味を有する]のテトラデプシペプチド、および式(VIa)
【0102】
【化20】

【0103】
[式中、
Dは水素を表し、そして
Bは第三−ブトキシを表し、そして
6a、R7a、R8a、R9a、R11a、およびR12aは先に記載の意味を有する]
のテトラデプシペプチドを、希釈剤およびカップリング試薬の存在下において縮合反応に供することにより取得する。
【0104】
式(Va)のテトラデプシペプチドは、式(VIIa)
【0105】
【化21】

【0106】
[式中、
Aはベンジルを表し、そして
Bは第三−ブトキシを表し、そして
1a、R2a、R3a、R4a、R5a、およびR10aは先に記載される意味を有する]
のテトラデプシペプチドを、希釈剤およびプロトン酸の存在下において加水分解することにより取得する。
【0107】
式(VIa)
【0108】
【化22】

【0109】
[式中、
Dは水素を表し、そして
Bは第三−ブトキシを表し、そして残りの基は先に記載の意味を有する]
のテトラデプシペプチドは、式(VIIa)
【0110】
【化23】

【0111】
[式中、
Aはベンジルを表し、そして
Bは第三−ブトキシを表し、そして
1a、R2a、R3a、R4a、R5a、およびR10aは先に記載される意味を有する]
のテトラデプシペプチドを、希釈剤および触媒の存在下において水素化分解反応に供することにより取得する。
【0112】
式(VIIa)のテトラデプシペプチドは、式(VIIIa)
【0113】
【化24】

【0114】
[式中、
Aはベンジルを表し、そして
ZはOHを表し、そして
1a、R3a、およびR10aは先に記載の意味を有する]
のジデプシペプチド、および式(IXa)
【0115】
【化25】

【0116】
[式中、
Dは水素を表し、そして
Bは第三−ブトキシを表し、そして
2a、R4a、およびR5aは先に記載の意味を有する]
のジデプシペプチドを、カップリング試薬の存在下において希釈剤中における縮合反応に供することにより取得する。
【0117】
温血種に対して低毒性を有するにもかかわらず本発明に従う組成物は、ヒトにおいて、ならびに動物飼育中および家畜飼育中に、生産力のある家畜、繁殖用動物、動物園の動物、研究室用動物、実験用動物、およびペットにおいて生じる病理学的内寄生性生物を駆除
するのに適している。この情況においては、これらは全ての有害生物すなわち発生の個々の段階の有害生物に対して、ならびに耐性種および通常の感受性種に対して活性である。病理学的内寄生性生物を駆除することにより、疾病、死、および作業能率の低下(例えば、食肉、牛乳、羊毛、皮革、卵、蜂蜜などの産生におけるもの)を減少させ、その結果より経済的なおよびより簡便な動物飼育を活性化合物の使用により可能にさせることを意図する。病理学的内寄生性生物には、条虫(cestodes)、吸虫(trematodes)、線虫(nematodes)、および鉤頭虫網(Acantocephala)があり、特に以下に示すようなものがある。
【0118】
例えばジフィルロボスリウム エスピーピー(Diphyllobothrium spp.)、スピロメトラ エスピーピー(Spirometra spp.)、スキストケファルス エスピーピー(Schistocephalus spp.)、リグラ エスピーピー(Ligula spp.)、ボスリジウム エスピーピー(Bothridiumu spp.)、ディフロゴノポルス エスピーピー(Diphlogonoporus spp.)である擬葉目(Pseudophyllidea)からのもの。
【0119】
例えばメソケストイデス エスピーピー(Mesocestoides spp.)、アノプロケファラ エスピーピー(Anoplocephala spp.)、パラノプロケファラ エスピーピー(Paranoplocephala spp.)、モニエジア エスピーピー(Moniezia spp.)、シサノソムサ エスピーピー(Thysanosomsa spp.)、シサニエジア エスピーピー(Thysaniezia spp.)、アビテルリナ エスピーピー(Avitellina spp.)、スティレシア エスピーピー(Stilesia spp.)、チットトタエニア エスピーピー(Cittotaenia spp.)、アンディラ エスピーピー(Andyra spp.)、ベルティエラ エスピーピー(Bertiella spp.)、タエニア エスピーピー(Taenia spp.)、エキノコックス エスピーピー(Echinococcus spp.)、ヒダティゲラ エスピーピー(Hydatigera spp.)、ダバイネア エスピーピー(Davainea spp.)、ライルリエティナ エスピーピー(Raillietina spp.)、ヒメノレピス エスピーピー(Hymenolepis spp.)、エキノレピス エスピーピー(Echinolepis spp.)、エキノコティレ エスピーピー(Echinocotyle spp.)、ジオルキス エスピーピー(Diorchis spp.)、ジピリディウム エスピーピー(Dipylidium spp.)、ジョイエウキシエルラ エスピーピー(Joyeuxiella spp.)、ジプロピリディウム エスピーピー(Diplopylidium spp.)である円葉目(Cyclophyllidea)からのもの。 例えばギロダクチルス エスピーピー(Gyrodactylus spp)、ダクチロギルス エスピーピー(Dactylogyrus spp.)、ポリストーマ エスピーピー(Polystoma spp.)である単生亜網(Monogenea)からのもの。
【0120】
例えばディプロストムム エスピーピー(Diplostomum spp.)、ポスソジプロストムム エスピーピー(Posthodiplostomum spp.)、シストソーマ エスピーピー(Schistosoma spp.)、トリコビルハルジア エスピーピー(Trichobilharzia spp.)、オルニソビルハルジア エスピーピー(Ornithobilharzia spp.)、アウストロビルハルジア エスピーピー(Austrobilharzia spp.)、ギガンントビルハルジア エスピーピー(Gigantobilharzia spp.)、レウコクロリディウム エスピーピー(Leucochloridium spp.)、ブラキライマ エスピーピー(Brachylaima spp.)、エキノストーマ エスピーピー(Echinostoma spp.)、エキノパリフィウム エスピーピー(Ech
inoparyphium spp.)、エキノカスムス エスピーピー(Echinochasmus spp.)、ヒポデラエウム エスピーピー(Hypoderaeum
spp.)、ファスキオラ エスピーピー(Fasciola spp.)、ファスキオリデス エスピーピー(Fasciolides spp.)、ファスキオロプシス エスピーピー(Fasciolopsis spp.)、シクロコエルム エスピーピー(Cyclocoelum spp.)、ティフロコエルム エスピーピー(Typhlocoelum spp.)、パラムフィストムム エスピーピー(Paramphistomum spp.)、カリコフォロン エスピーピー(Calicophoron spp.)、コチロフォロン エスピーピー(Cotylophoron spp.)、ギガントコチレ エスピーピー(Gigantocotyle spp.)、フィスコエデリウス エスピーピー(Fischoederius spp.)、ガストロシラクス
エスピーピー(Gastrothylacus spp.)、ノトコチルス エスピーピー(Notocotylus spp.)、カタトロピス エスピーピー(Catatropis spp.)、プラギオルキス エスピーピー(Plagiorchis spp.)、プロスソゴニムス エスピーピー(Prosthogonimus spp.)、ジクロコエリウム エスピーピー(Dicrocoelium spp.)、エウリトレーマ エスピーピー(Eurytrema spp.)、トログロトレーマ エスピーピー(Troglotrema spp.)、パラゴニムス エスピーピー(Paragonimus spp.)、コルリリクルム エスピーピー(Collyriclum
spp.)、ナノフィエトゥス エスピーピー(Nanophyetus spp.)、オピスソルキス エスピーピー(Opisthorchis spp.)、クロノルキス エスピーピー(Clonorchis spp.)、メトルキス エスピーピー(Metorchis spp.)、ヘテロフィエス エスピーピー(Heterophyes spp.)、メタエゴニムス エスピーピー(Metagonimus spp.)である二生亜網(Digenea)からのもの。
【0121】
例えばトリクリス エスピーピー(Trichuris spp.)、カピルラリア エスピーピー(Capillaria spp.)、トリコモソイデス エスピーピー(Trichomosoides spp.)、トリキネルラ エスピーピー(Trichinella spp.)であるエノプルス目(Enoploida)からのもの。
【0122】
例えばミクロネマ エスピーピー(Micronema spp.)、ストロンギロイデス エスピーピー(Strongyloides spp.)である杆線虫目(Rhabditia)からのもの。
【0123】
例えばストロニルス エスピーピー(Stronylus spp.)、トリオドントフォルス エスピーピー(Triodontophorus spp.)、オエソファゴドントゥス エスピーピー(Oesophagodontus spp.)、トリコネマ
エスピーピー(Trichonema spp.)、ギアロケファルス エスピーピー(Gyalocephalus spp.)、シリンドロファリンクス エスピーピー(Cylindropharynx spp.)、ポテリオストムム エスピーピー(Poteriostomum spp.)、シクロコケルクス エスピーピー(Cyclococercus spp.)、シリコステファヌス エスピーピー(Cylicostephanus spp.)、オエソファゴストムム エスピーピー(Oesophagostomum spp.)、カベルティア エスピーピー(Chabertia spp.)、ステファヌルス エスピーピー(Stephanurus spp.)、アンキロストーマ エスピーピー(Ancylostoma spp.)、ウンキナリア エスピーピー(Uncinaria spp.)、ブノストムム、エスピーピー(Bunostomum spp.)、グロボケファルス エスピーピー(Globocephalus
spp.)、シンガムス エスピーピー(Syngamus spp.)、シアソスト
ーマ エスピーピー(Cyathostoma spp.)、メタストロンギルス エスピーピー(Metastrongylus spp.)、ディクチオカウルス エスピーピー(Dictyocaulus spp.)、ムエルレリウス エスピーピー(Muellerius spp.)、プロトストロンギルス エスピーピー(Protostrongylus spp.)、ネオストロンギルス エスピーピー(Neostrongylus spp.)、シストカウルス エスピーピー(Cystocaulus spp.)、プネウモストロンギルス エスピーピー(Pneumostrongylus spp.)、スピコカウルス エスピーピー(Spicocaulus spp.)、エラフォストロンギルス エスピーピー(Elaphostrongylus spp.)、パレラフォストロンギルス エスピーピー(Parelaphostrongylus
spp.)、クレノソーマ エスピーピー(Crenosoma spp.)、パラクレノソーマ エスピーピー(Paracrenosoma spp.)、アンギオストロンギルス エスピーピー(Angiostrongylus spp.)、アエルロストロンギルス エスピーピー(Aelurostrongylus spp.)、フィラロイデス エスピーピー(Filaroides spp.)、パラフィラロイデス エスピーピー(Parafilaroides spp.)、トリコストロンギルス エスピーピー(Trichostrongylus spp.)、ハエモンクス エスピーピー(Haemonchus spp.)、オステルタギア エスピーピー(Ostertagia spp.)、マルシャルラギア エスピーピー(Marshallagia spp.)、コオペリア エスピーピー(Cooperia spp.)、ネマトディルス
エスピーピー(Nematodirus spp.)、ヒオストロンギルス エスピーピー(Hyostrongylus spp.)、オベリスコイデス エスピーピー(Obeliscoides spp.)、アミドストムム エスピーピー(Amidostomum spp.)、オルルラヌス エスピーピー(Ollulanus spp.)である円虫目(Strongylida)からのもの。
【0124】
例えばオキシウリス エスピーピー(Oxyuris spp.)、エンテロビウス エスピーピー(Enterobius spp.)、パスサルルス エスピーピー(Passalurus spp.)、シファキア エスピーピー(Syphacia spp.)、アスピクルリス エスピーピー(Aspiculuris spp.)、ヘテラキス エスピーピー(Heterakis spp.)である蟯虫目(Oxyurida)からのもの。
【0125】
例えばアスカリス エスピーピー(Ascaris spp.)、トキサスカリス エスピーピー(Toxascaris spp.)、トキソカラ エスピーピー(Toxocara spp.)、パラスカリス エスピーピー(Parascaris spp.)、アニサキス エスピーピー(Anisakis spp.)、アスカリディア エスピーピー(Ascaridia spp.)である回虫目(Ascaridia)からのもの。
【0126】
例えばグナソストーマ エスピーピー(Gnathostoma spp.)、フィサロプテラ エスピーピー(Physaloptera spp.)、セラジア エスピーピー(Thelazia spp.)、ゴンギロネーマ エスピーピー(Gongylonema spp.)、ハブロネーマ エスピーピー(Habronema spp.)、パラブロネーマ エスピーピー(Parabronema spp.)、ドラスキア エスピーピー(Draschia spp.)、ドラクンクルス エスピーピー(Dracunculus spp.)である旋尾線虫目(Spiruroida)からのもの。
【0127】
例えばステファノフィラリア エスピーピー(Stephanofilaria spp.)、パラフィラリア エスピーピー(Parafilaria spp.)、セタリ
ア エスピーピー(Setaria spp.)、ロア エスピーピー(Loa spp.)、ディロフィラリア エスピーピー(Dirofilaria spp.)、リトモソイデス エスピーピー(Litomosoides spp.)、ブルギア エスピーピー(Brugia spp.)、ウケレリア エスピーピー(Wuchereria spp.)、オンコケルカ エスピーピー(Onchocerca spp.)である糸状虫目(Filarioda)からのもの。
【0128】
例えばフィリコルリス エスピーピー(Filicollis spp.)、モニリフォルミス エスピーピー(Moniliformis spp.)、マクラカンソリンクス エスピーピー(Macracanthorhynchus spp.)、プロスセノルキス エスピーピー(Prosthenorchis spp.)であるギガントリンクス目(Gigantorhynchida)からのもの。
【0129】
生産力のある家畜および繁殖用動物には、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、水牛、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイのような哺乳類、例えばミンク、チンチラ、アライグマのような毛皮育成用動物、例えばニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒルのような鳥類、マス、コイ、ウナギのような淡水および塩水魚、爬虫類動物、例えばミツバチ、およびカイコのような昆虫類がある。
【0130】
研究室用動物および実験用動物には、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、イヌ、およびネコがある。
【0131】
ペットには、イヌ、およびネコがある。
【0132】
活性化合物は予防的ならびに治療的に投与することができる。
【0133】
活性化合物は直接的に、あるいは適切な調製物の形態において経腸的、非経口的、経皮的、経鼻的に、環境療法により、あるいは例えば帯(Strips)、プレート、バンド、襟(collars)、耳標識(ear marks)、足バンド(limb bands)、標識用器具のような活性化合物含有成形(shaped articles)の助けを借りて投与する。
【0134】
この活性化合物は、粉末、錠剤、カプセル、ペースト、飲物、顆粒、あるいは経口的に投与することができる溶液、懸濁液、および乳液、あるいは大型丸剤(boli)、薬を添加してある食物、もしくは飲料水の形態において、経口投与を一例とする経腸投与を行う。経皮的投与は、例えば浸液、噴霧液、もしくはかけ流し剤(pouring−on)、およびスポット剤(spotting−on)の形態において実施する。非経口的投与は、例えば注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹膜内)の形態において、もしくは移植により実施する。
【0135】
適切な調製物は以下に示すようなものである。
【0136】
溶液注射剤、経口用溶液、希釈後に経口投与するための濃厚液のような溶液、皮膚上もしくは体腔において使用するための溶液、かけ流し(pour−on)およびスポット(spot−on)製剤、ゲル、
経口的もしくは経皮的投与のため、および注射のための乳液および懸濁液、半固形調製物、
活性化合物が、クリーム状ベース、あるいは水中油形もしくは油中水形乳液状ベース内に取り込まれている製剤、
粉末、プレミックス(premixes)、もしくは濃厚液、顆粒、ペレット、錠剤、
大型丸剤、カプセルのような固形調製物、エアロゾル剤および吸入薬、活性化合物を含む形状商品。
【0137】
溶液注射剤は静脈内注射、筋肉内注射、および皮下注射により投与する。
【0138】
溶液注射剤は、活性化合物を適切な溶媒に溶解させ、そして適切である場合には、可溶化剤、酸、塩基、緩衝用の塩、酸化防止剤、および保存料のような添加物を添加することにより調製する。この溶液を滅菌濾過処理し、そして梱包する。
【0139】
溶媒としては以下に示すものを挙げることができ、それらは、水、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、N−メチルピロリドンのようなアルコール類、ならびにこれらの混合物である。
【0140】
適切である場合には、活性化合物を、注射に適する生理学的に許容される植物油もしくは合成油中に溶解することもできる。
【0141】
可溶化剤としては以下に示すものを挙げることができ、それらは、主要溶媒中における活性化合物の溶液の溶解度を増大させる、もしくはその沈殿化を防ぐ溶媒である。この例は、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチル化させてあるひまし油、ポリオキシエチル化させてあるソルビタンエステル類である。
【0142】
保存料は、ベンジルアルコール、トリクロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、n−ブタノールである。
【0143】
経口用溶液は直接投与する。濃厚液はあらかじめ投与濃度にまで希釈した後に経口的に投与する。経口用溶液および濃厚液は注射用溶液の場合において先に記載したように調製するが、これを滅菌条件下において作業しながら分配することができる。
【0144】
皮膚上において使用するための溶液は、滴下により、ハケにより、もみ込みにより、浴びせかけることにより、もしくは噴霧することにより塗布する。これらの溶液は、溶液注射剤の場合において先に記載したように調製する。
【0145】
調製中に濃化剤を添加することが有利であることがある。濃化剤は、ベントナイト、コロイド状シリカ、モノステアリン酸アルミニウムのような無機性濃化剤類、セルロース誘導体類、ポリビニルアルコール類およびそのコポリマー類、アクリレート類、ならびにメタクリレート類のような有機性濃化剤である。
【0146】
ゲルは皮膚に塗布するもしくはハケで塗り付ける、あるいは体腔内に送り込む。ゲルは、溶液注射剤の場合において記載したように調製した溶液を、クリーム様粘稠度の透明物質が形成されるような量の濃化剤で処理することにより調製する。利用する濃化剤は先に詳しく示した濃化剤である。
【0147】
かけ流し(pour−on)およびスポット(spot−on)製剤は、皮膚の限定された領域にかけ流すもしくは浴びせかけると、この活性化合物が皮膚に浸透して、そして全身的に作用する。
【0148】
かけ流し(pour−on)およびスポット(spot−on)製剤は、活性化合物を、皮膚による耐性が示される適切な溶媒もしくは溶媒混合物中に溶解させる、懸濁させる、もしくは乳化させることにより調製する。適切である場合には着色剤、吸収促進剤、酸化防止剤、光安定化剤、および粘着付与剤のような他の補助剤を添加する。
【0149】
挙げることができる溶媒は、水、アルカノール類、グリコール類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、グリセロール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、フェノキシエタノールのような芳香族アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジルのようなエステル類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなアルキレングリコールアルキルエーテル類のようなエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、芳香族および/または脂肪族炭化水素類、植物性もしくは合成油類、DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、2,2−ジメチル−4−オキシメチレン−1,3−ジオキソランである。
【0150】
着色剤は動物における使用が許可されている、そして可溶化もしくは懸濁することが可能である全ての着色剤である。
【0151】
吸収促進剤の例は、DMSO、ミリスチン酸イソプロピル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコール、シリコン油類、脂肪酸エステル類、トリグリセリド類、脂肪アルコール類のような展着用油である。
【0152】
酸化防止剤は、亜硫酸塩類、もしくはメタ重亜硫酸カリウムのようなメタ重亜硫酸塩類、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロールである。
【0153】
光安定化剤の例は、ノバンチソル酸(novantisolic acid)である。
【0154】
濃化剤の例は、セルロース誘導体類、スターチ誘導体類、ポリアクリレート類、アルギン酸エステル類、ゼラチンのような天然のポリマーである。
【0155】
乳液は、経口的、経皮的、あるいは注射剤の形態において投与することができる。
【0156】
乳液は、油中水形の種類もしくは水中油形の種類のいずれかである。
【0157】
これらは、活性化合物を、疎水性もしくは親水性相のいずれかに溶解させ、そして適切な乳化剤、および適切である場合には着色剤、吸収促進剤、保存料、酸化防止剤、光安定化剤、粘性増加物質のような他の補助剤の助けを借りて、この相をもう一方の相の溶媒と均一化させることにより調製する。
【0158】
疎水性相(油)としては以下に記載のものを挙げることができ、それらは、パラフィン油、シリコン油、ゴマ油、アーモンド油、海狸香油のような天然の植物油、カプリル酸/カプリン酸ビグリセリドのような合成トリグリセリド、鎖長C8−12の植物性脂肪酸もしくは他の特異的に選択された天然の脂肪酸とのトリグリセリド混合物、そしてヒドロキシル基ならびにC/C10−脂肪酸のモノ−およびジグリセリドを含むことができる飽和もしくは不飽和脂肪酸の部分的グリセリド混合物である。
【0159】
ステアリン酸エチル、アジピン酸ジ−n−ブチリル、ラウリン酸ヘキシル、ペラルゴン酸ジプロピレングリコールのような脂肪酸エステル類、鎖長C16−C18の飽和脂肪アルコール類との中等鎖長の分岐している脂肪酸のエステル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鎖長C12−C18の飽和脂肪アルコールとのカプリル酸/カプリン酸エステル類、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、オレイン酸エチル、乳酸エチル、アヒルからの合成尾羽腺油脂のようなワックス状脂肪酸エステル、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジイソプロピル、後者に関連するエス
テル混合物など。
【0160】
イソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコールのような脂肪アルコール。
【0161】
例えばオレイン酸、およびその混合物のような脂肪酸。
【0162】
親水性相としては以下に記載するものを挙げることができ、それらは、水、例えばプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールのようなアルコール類、およびそれらの混合物である。
【0163】
乳化剤としては以下に記載するものを挙げることができ、それらは、例えばポリオキシエチル化させた海狸香油、ポリオキシエチル化させたモノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセロール、ステアリン酸ポリオキシエチル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類である非イオン性界面活性剤、
N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸二ナトリウム、もしくはレシチンのような両電解質性界面活性剤、
ラウリル硫酸ナトリウム、硫酸脂肪アルコールエーテル、モノ/ジアルキルポリグリコールエーテルのオルトリン酸エステル類のモノエタノールアミン塩のようなアニオン性界面活性剤。
【0164】
塩化セチルトリメチルアンモニウムのようなカチオン性界面活性剤である。
【0165】
他の補助剤としては以下に記載するものを挙げることができ、それらは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、および他のセルロース、ならびにスターチ誘導体類、ポリアクリレート類、アルジネート類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー類、ポリエチレングリコール類、ワックス類、コロイド状シリカ類、あるいは記載の物質の混合物のような、粘性増加用物質および乳液を安定化させる物質である。
【0166】
懸濁液は、経口的、経皮的、もしくは注射剤の形態において投与することができる。これらは、活性化合物を液体賦形剤中に懸濁させることにより調製するが、適切である場合には湿潤剤、着色剤、吸収促進剤、保存料、酸化防止剤、光安定化剤のような更に別の補助剤を添加する。
【0167】
挙げることができる液体賦形剤は、すべての均一な溶媒および溶媒混合物である。
【0168】
挙げることができる湿潤剤(分散剤)は、先に詳しく示した界面活性剤である。
【0169】
挙げることができるこれ以外の補助剤は、先に詳しく示したものである。
【0170】
半固形調製物は、経口的もしくは経皮的に投与することができる。これらは、それらの粘性の方がより高いということによってのみ、先に記載の懸濁液および乳液から識別されるに過ぎない。
【0171】
固体調製物を調製するためには、活性化合物を適切な賦形剤と混合させ、適切である場合には補助剤を添加し、そして所望の混合物を調剤する。
【0172】
挙げることができる賦形剤は、全ての生理学的に許容される固体不活性物質である。このようなものに適するものは無機および有機物質である。無機物質の例は、塩化ナトリウ
ム、炭酸カルシウムのような炭酸塩類、炭酸水素塩類、酸化アルミニウム類、ケイ素類、粘土類、沈殿しているもしくはコロイド状の二酸化シリコン、およびリン酸塩類である。
【0173】
有機物質の例は、糖類、セルロース、乾燥乳、生肉、セリアル食品および粗びきセリアル食品、ならびにスターチのような食品および動物用食品である。
【0174】
補助剤は既に先に詳しく示されている保存料、酸化防止剤、および着色剤である。
【0175】
他の適切な補助剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ベントナイトのような潤滑剤(lubricants)および滑剤(glidants)、スターチ、もしくは交差結合処理を施してあるポリビニルピロリドンのような分解剤、例えばスターチ、ゼラチン、もしくは直鎖のポリビニルピロリドンのような結合剤、ならびに微細結晶セルロースのような乾燥結合剤である。
【0176】
調製物中では活性化合物は、協力剤との、もしくは病理学的内寄生性生物に対して作用する他の活性化合物との混合物の形態において存在することもできる。このような活性化合物の例は、L−2,3,5,6−テトラヒドロ−6−フェニルイミダゾチアゾール、カルバミン酸ベンズイミダゾール、ピランテルである。そのまま使用できる種類の調製物は、重量に関して10ppm−20%の、好ましくは重量に関して0.1−10%の濃度の活性化合物を含む。
【0177】
投与前に希釈される調製物は、重量に関して0.5−90%の、好ましくは重量に関して5−50%の濃度の活性化合物を含む。
【0178】
一般的には、有効な結果を得るためには、一日当たり、体重のkg当たり、約10から約100mgまでの活性化合物からなる本発明に従う混合物の量を投与することが有利であることが判明している。体重のkgあたり10から50mgまでの活性化合物であることが好ましい。
【0179】
一般的には、組成物中のデプシペプチドに対するプラジカンテルもしくはエプシプランテルの重量による比率は1:1から10まで、好ましくは1:1から2まで、非常に好ましくは1:1である。
【実施例】
【0180】
実施例A
インビボにおける線虫テスト
イヌにおけるアンキロストマ カニヌム(Ancylostoma caninum
ビーグル犬の子犬を鉤虫であるアンキロストマ カニヌム種で実験的に感染させる。犬を感染させるためにはA.カニヌムを250匹のL幼虫の形態において経口的に塗布する。
【0181】
感染初期無症候段階を経過した後に(もしくは抗幼虫活性を決定する場合には感染初期無症候段階の間に)、活性化合物をゼラチンカプセル中の純粋活性化合物の形態において経口的に投与する。
【0182】
活性は以下に示す2つの方法において評定する。
1. 排泄物と一緒に排泄される虫の卵を、治療を行う前および後に計測する。
2. 臨界テストにおけるパーセンテージ活性は、式
【数1】

を用いて決定する。
【0183】
以下に示す表においては、100%の活性が両方の評定方法において達成される際の用量(mg/kg)を表示してある。
【0184】
【表4】

【0185】
実施例B
インビボにおける線虫テスト
ネコにおけるアンキロストマ トゥバエフォルメ(Ancylostoma tubaeforme
子猫を線虫であるアンキロストマ トゥバエフォルメ種のL幼虫で実験的に感染させる。感染については250匹の幼虫を経口的に注入するか、あるいは約500匹の幼虫を皮膚に塗布する。
【0186】
感染初期無症候段階を経過した後に(もしくは抗幼虫活性を決定する場合には感染初期無症候段階の間に)、活性化合物をゼラチンカプセル中の純粋活性化合物の形態において経口的に投与する。
【0187】
活性は以下に示す2つの方法において評定する。
1. 排泄物と一緒に排泄される虫の卵を、治療を行う前および後に計測する。
2. 臨界テストにおけるパーセンテージ活性は、式
【数2】

を用いて決定する。
【0188】
以下に示す表Bにおいては、100%の活性が両方の評定方法において達成される際の用量(mg/kg)を表示してある。
【0189】
【表5】

【0190】
18の環原子を有する環式デプシペプチドの製造法の実施例
<実施例1>
シクロ(−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−)
【0191】
【化26】

【0192】
95℃という中程度の温度において、50mlの無水ジオキサン中の0.99g(1.08ミリモル)のZ−(−L−MeIle−D−Lac−)−O−Pfpを、12mlのエタノールおよび160mg(1.08ミリモル)の4−ピロリジノピリジンを含む550mlの無水ジオキサン中の1.5gの10% パラジウム/木炭の迅速攪拌懸濁液中に6時間の期間にわたり一様に注入する。この過程中、水素を反応溶液に通す。次には撹拌を95℃において4時間、そして室温において12時間継続させる。この混合物を濾過し、そして全反応バッチを減圧下において濃縮する。無色の油状残渣をクロロホルム中に溶かし、そして5%濃度のクエン酸を使用して2回、NaHCO溶液を使用して2回、そして水を使用して2回洗浄する。この有機相を硫酸ナトリウムを通して脱水させ、そして続いて溶媒を減圧下において留去させる。残存する粗生成物を、溶出液としてトルエン:酢酸エチル(4:1)を使用するシリカゲルカラム(シリカゲル 60−Merck社、粒子サイズ:0.04から0.063mmまで)を通すクロマトグラフィーにより精製することができる(純度84%)。この後に製造用のHPLCによる精製を行う。710mg(理論値の36.8%)のシクロ(−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−)を取得する。
【0193】
融点:210−212℃
【0194】
H−NMR(400 MHz,CDCl,δ):0.87(t,9H,−CHCH3;J=7.3Hz);0.98;1.44(2d,18H,−CH−CH3;J=6.5Hz);1.35−1.41(br.m,3H,−CH−CH);2.02−2.04(br.m,6H,−CH2−CH);3.03(s,9H,−N−CH3);4.45(m,3H,N−CH−CO);5.57−5.62(m,3H,O−CH−CO)ppm
【0195】
13C−NMR(100 MHz,CDCl,δ):10.9;16.0;16.6(−);24.8(−−);33.3(−CH−);33.9(−N−);61.9(−N−H−);66.4(−O−H−);169.3(−O−N−);169.9(−O−O−)ppm
【0196】
FAB−MS m/z (%):598(M+H,12);597(37);541(42);524(14);182(100)。
【0197】
以下に示す表1に列挙されている式(I)の化合物を、LDLDLDの立体異性体の形態において類似する方法により製造することができる。
【0198】
表1
一般式(I)の化合物の実施例
【0199】
【化27】

【0200】
【表6】

【0201】
【表7】

【0202】
式(II)の出発物質
<実施例(II−1)>
N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸第三−ブチル
【0203】
【化28】

【0204】
4.7g(36.3ミリモル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒーニッヒの塩基(Huenig’s base))および4.6g(18.1ミリモル)の塩化ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホニウム酸(BOP−Cl)を、0℃において150mlの塩化メチレン中の5.8g(16.5ミリモル)のZ−L−MeIle−D−Lac−OHおよび7.8g(16.5ミリモル)のH−(−L−MeIle−D−Lac−)−O−Buの溶液に対して添加し、そしてこの混合物を4時間攪拌する。この反応溶液を水を用いて2回震盪させ、そして有機相を分離し、硫酸ナトリウムを通して脱水させた後に減圧下において濃縮する。残存する粗生成物を溶出液としてトルエン:酢酸メチル(5:1)を使用するシリカゲルカラム(シリカゲル 60−Merck社、粒子サイズ:0.04から0.063mmまで)に通すクロマトグラフィーにかける。10.3g(理論値の77.4%)のN−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸第三−ブチルを取得する。
【0205】
FAB−MS m/z (%):805(M,3);749(M−HC=CMe,10);732(9);793(10);91(100)。
【0206】
<実施例(II−2)>
N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸
【0207】
【化29】

【0208】
乾燥塩化水素ガスを0℃に冷却して、150mlの無水塩化メチレン中の9.2g(11.2ミリモル)のZ−(−L−MeIle−D−Lac−)−O−Buの溶液中に20分間通す。次にこの混合物を室温において約16時間攪拌し、そして全反応バッチを減圧下において濃縮する。7.1g(理論値の82.9%)のN−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸を取得するが、これはさらに精製を伴うことなくさらなる反応を行うことができる。
【0209】
MS m/z (%):749(M,10);721(1);693(2):533(0.5):91(100)。
【0210】
<実施例(II−3)>
N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸ペンタフルオロフェニル
【0211】
【化30】

【0212】
5.0g(6.67ミリモル)のZ−(−L−MeIle−D−Lac)−OHとともに1.23g(6.67ミリモル)のペンタフルオロフェノールを、125mlの無水酢酸エチル中に溶かす(不活性気体雰囲気)。1.38g(6.67ミリモル)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を0℃においてこれに添加し、そして攪拌をこの温度においてさらに4時間継続する。沈殿したジシクロヘキシル尿素を濾過により除去した後、この濾液を減圧下において乾燥物になるまで濃縮させ、そしてその残渣を、溶出液としてトルエン:酢酸エチル(10:1)を使用する予め乾燥させてあるシリカゲルカラム(シリカゲル 60−Merck社、粒子サイズ:0.04から0.063mmまで)に通すクロマトグラフィーにかける。
【0213】
3.3g(理論値の54%)のN−ベンジルオキシカルボニル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸ペンタフルオロフェニルを無色の油状物として取得する。
【0214】
FAB−MS m/z (%):915(M,2);914(M−H,4);859(9);814(I);780(5);91(100)。
【0215】
<実施例(II−4)>
N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸
【0216】
【化31】

【0217】
1.0g(1.33ミリモル)のZ−(−L−MeIle−D−Lac)−OHを、0.15gのPd(OH)/木炭[Pd含有量20%]の存在下において20mlのエタノール中で、水素の取り込みが停止するまで(約2時間)水素化させる。触媒を濾過により除去した後、全体の反応溶液を減圧下において濃縮する。0.81g(理論値の100%)のN−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−ラクチル−N−メチル−L−イソロイシル−D−乳酸を取得し、そしてこれをさらなる精製を伴わずに環化反応に供することができる。
【0218】
EI−MS m/z (%):615(M+,3);600(1):558(7);472(8);386(14):100(100)。
【0219】
以下に示す表2において列挙されている一般式(II)の化合物を、LDLDLD立体異性体の形態において類似する方法により製造することができる。
【0220】
【表8】

【0221】
【表9】

【0222】
24の環原子を有する環式デプシペプチドの製造法の実施例
1.式(Ia)の化合物の製造法
BOP−Cl(0.124ミリモル)を0℃において、ジクロロメタン(100ml)中の式IIcの化合物の溶液(0.104ミリモル)およびヒーニッヒ塩基(Huenig’s base)(0.258ミリモル)に添加し、そしてその混合物の撹拌を室温において24時間継続させた。この期間が経過した後に、同量のBOP−Clおよび塩基を添加し、そしてこの混合物をさらに24時間撹拌した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液を使用して2度洗浄し、硫酸ナトリウムを通して脱水させ、そして濃縮させた。残渣をシクロヘキサン:酢酸エチル 2:1を溶出液として用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。各置換基が以下に示す意味を有する式(Ia)の化合物を取得した(表3)。
【0223】
【表10】

【0224】
式(IIc)の化合物の製造法の実施例
式(IIIa)の開環オクタデプシペプチドの溶液(1.222ミリモル)を、Pd(OH)/C(20%、200mg)の存在下において水素の取り込みが停止するまで(約2時間)水素化させた。触媒を濾過により除去した後、式IIcの純粋な化合物を取得し、そしてこれをさらに精製することなしに反応させた。
【0225】
この方法に従い、各置換基が表4に示される意味を有する式(IIc)の化合物を取得した。
【0226】
【表11】

【0227】
式(IIIa)の化合物の製造法
HClガスを0℃において1.5時間、ジクロロメタン(40ml)中の式(IVa)の第三−ブチルエステルの溶液(1.609ミリモル)内に通した。次にこの混合物を室温まで加熱し、そして撹拌を12時間継続させた。この溶液をロータリーエバポレーターで蒸発させ、そして残渣を高減圧下において乾燥させた。この残渣をさらに精製することなしに反応させた。
【0228】
置換基が以下に与えられる意味を有する式(IIIa)の化合物を類似した方法により取得した(表5)。
【0229】
【表12】

【0230】
式(IVa)の化合物の製造法
エチルジイソプロピルアミン(0.912ミリモル)およびBOP−Cl(0.438ミリモル)の溶液を0℃において、ジクロロメタン(15ml)中の式(VIa)および(Va)のテトラデプシペプチドの溶液(各場合とも2.25ミリモル)に添加した。撹拌を0℃において1時間、および室温において1.5時間継続させ、そしてこの混合物を20mlのジクロロメタンで希釈し、少量の水で2回洗浄し、NaSOを通して脱水させ、そして濃縮した。残渣を、溶出液としてシクロヘキサン−t−BuOMe=2:1を用いてシリカゲル上で精製した。
【0231】
式(Va)の化合物の製造法
HClガスを0℃において2時間、ジクロロメタン(50ml)中の式(VIIa)のテトラデプシペプチドの溶液(2.848ミリモル)に通した。
【0232】
次に撹拌を室温において8時間継続させ、そしてこの混合物を濃縮し、そして高減圧下において乾燥させた。残渣をさらに精製することなしに反応させた。
【0233】
式(VIa)の化合物の製造法
エタノール(37ml)中の式(VIIa)のテトラデプシペプチドの溶液(9.53ミリモル)をPd(OH)/C(20%)(0.6g)で処理し、そしてこの混合物を室温および大気圧下において約3時間水素化させた。この反応混合物を濾過し、そして濃縮し、そして残渣を、溶出液としてt−BuOMe/シクロヘキサン/エタノール=1:1:0.5を用いてシリカゲル上で分離した。
【0234】
式(VIIa)の化合物の製造法
ジクロロメタン(80ml)中のジデプシペプチドIXa(22.9ミリモル)およびジデプシペプチドVIIIa(27.5ミリモル)の0℃に冷却した溶液をジイソプロピルエチルアミン(57.3ミリモル)およびBOP−Cl(29.8ミリモル)で処理し、そしてこの混合物を0℃において1時間、そして室温において1時間撹拌した。沈殿物を濾過により除去した後、この溶液をジクロロメタンで希釈し、少量の水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムを通して脱水させ、そして濃縮した。この残渣を、溶出液としてシクロヘキサン/酢酸エチル=15:1を使用してシリカゲル上で分離した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラジカンテルまたはエプシプランテルを、環構成成分としてのアミノ酸およびヒドロキシカルボン酸からなりそして6−30の環原子を有する環式デプシペプチド類と共に含む、内寄生性生物防除用組成物。
【請求項2】
環状デプシペプチド類が式
【化1】

[式中、R、R,R,およびRは各々独立に、水素、C−C10−アルキル、もしくはアリール(この場合には、アリール基はヒドロキシル、C−C10−アルコキシ、もしくはハロゲンにより置換されていてもよい)を表す]
の化合物であるである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物中のプラジカンテルまたはエプシプランテル対環状デプシペプチド類が重量比で1:1〜10である、請求項1または2記載の組成物。

【公開番号】特開2007−314580(P2007−314580A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228858(P2007−228858)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【分割の表示】特願平7−16335の分割
【原出願日】平成7年1月9日(1995.1.9)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】