説明

内循環乳化分散機

【課題】被処理物は装置ケーシングの内部で何回も攪拌分散されより均一シャープな分散性能を得られ、且つ装置の圧力をコントロールできる分散乳化装置の提供。
【解決手段】初段目ステーター2−2の前にステーターの内円と外円を貫通した還流通路6を設け、それにより圧力をそこで釈放し、且つ一回処理した製品はそこからロータ1−2の吸い込みに入って再び処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転型乳化分散装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
回転型乳化分散装置は産業界で広範に使われている。従来の装置は大抵ポンプのように吸込み口があって、ケーシングの中に遠心ポンプ羽根車のように歯が付いてある攪拌ロータがあり、ロータが回転すると、被処理物がケーシング内に吸込まれ、ロータの歯から与えられた遠心力でステーターにぶつかって粉砕分散攪拌され、また、その遠心力で生じた圧力により被処理物は吐出口から排出される。
【0003】
より均一シャープな分散性能を獲得するため、ロータとステーターを多段にするか、装置からタンクに排出された被処理物を再び装置に導入して何回も再処理する方法は通常に使われている。しかしロータが多段にすると、多段ポンプのように高圧が発生し、メカニカルシールの冷却循環水も高圧で対応しなければならなく増圧ポンプが必要になる。また、吐出口からタンクに排出された被処理物を再び装置に導入する場合は、装置がオープンになりインライン生産は出来ないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は高圧力を発生しない、且つ、被処理物は装置内で何回も処理できるインライン式乳化分散機を提供することを目標にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
回転型乳化分散装置はロータの遠心力によりポンプの機能があるので、従来型の原理は図3のように、また、本発明の原理は図1のように示す事が出来る。即ち、構造図4に示したように、従来の初段目ステーター2−2の前にステーターの内円と外円を貫通した還流通路6を設け、終段目ロータ1−1から出た被処理物はこの還流通路を通して初段目ロータ1−2の吸込み口に還流して圧力をそこで釈放出来るような構造にしている。
【発明の効果】
【0006】
上述のように、初段目ステーター2−2の前に内面と外面を貫通した還流通路6を設けたことで、終段目ロータ1−1から出た被処理物の圧力はこの還流通路を通して吸込み口に釈放され、還流通路の隙間を調整することでケーシング5内の圧力はコントロール出来るようになる。また、この還流された被処理物は初段目ロータ1−2の吸込み口に入り再び攪拌分散され、より均一でシャープな分散性能が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図4に示しているように、本発明は、ベースに固定してあるケーシング5があって、ケーシングに固定してあるステーター2があり、また、ケーシング5の中に自由回転出来るシャフト4があって、シャフトに着装してシャフトと共に回転するロータ1があり、また、初段目のステーター2−2の前に、ステーターの内面と外面を貫通した還流通路6を設けてあり、終段目ロータ1−1から出た被処理物はこの還流通路6を通して初段目ロータ1−2の吸込み口へ戻る事が出来、この還流通路の隙間を調整することでケーシング内の圧力をコントロールする事が出来る構造にしてある。
【0008】
上述した内循環乳化分散装置の還流通路に、図6に示しているような逆止リリーフ弁9を設置する事で圧力をコントロールする構造にする事も出来る。図2はその原理図であ
る。
【0009】
また、攪拌分散された被処理物はケーシング内で回転しながら吐出口へ流れ、その分散分布状態は比重により回転直径が異なり、図5に示しているように、吐出口3を還流通路の前に移し、還流通路6と吐出口3の間に邪魔板7を設置して、邪魔板に明けてある分級孔8の位置により細かく分散された被処理物だけを通過させ,ほかの部分は還流通路を通して再び攪拌分散させる構造にする事も出来る。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は上述した内循環構造により、ロータの段数を増えても回転速度を増えてもケーシング内の圧力が増えずにコントロールすることが出来、メカニカルシールの冷却水に増圧ポンプを設置する必要がなく、また、還流された被処理物は再び攪拌分散され、分散性能を向上することが図れる。
【0011】
また、本発明は上述した邪魔板を設置することにより、細かく分散された部分だけを通過させ、ほかの部分を還流させ再び攪拌分散され、乳化分散性能を向上することが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理を示す図面である。
【図2】本発明の逆止弁を設置した原理図である。
【図3】従来の乳化分散機の原理図である。
【図4】本発明の構造図である。
【図5】本発明の邪魔板を設置した構造図である。
【図6】本発明の逆止弁を設置した構造図である。
【符号の説明】
【0013】
1-1終段目ロータ
1-2初段目ロータ
2-1終段目ステーター
2-2初段目ステーター
3 吐出口
4 シャフト
5 ケーシング
6 還流通路
7 邪魔板
8 分級孔
9 逆止リリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は回転型乳化分散装置に関する技術である。本発明装置はベースに固定してあるケーシング5があって、ケーシングに固定してあるステーター2があり、また、ケーシング5の中に自由回転出来るシャフト4があって、シャフトに着装してシャフトと共に回転するロータ1があり、その特徴は、初段目のステーター2−2の前に、ステーターの内円と外円を貫通した還流通路6を設けてあり、終段目ロータ1−1から出た被処理物はこの還流通路6を通して初段目ロータ1−2の吸込み口へ戻る事が出来、この還流通路の隙間を調整することで、ケーシング内の圧力をコントロールする事が出来る構造である。
【請求項2】
請求項1による回転型乳化分散装置は、その還流通路に逆止リリーフ弁9を設置することで装置の圧力をコントロールすることもできる構造である。
【請求項3】
請求項1と2による回転型乳化分散装置は、吐出口3を還流通路の前に移し、還流通路6と吐出口3の間に邪魔板7を設置して、邪魔板に明けてある分級孔8の位置により細かく分散された被処理物だけを通過させ,ほかの部分は還流通路を通して再び攪拌分散させる構造である。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−99592(P2010−99592A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273489(P2008−273489)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(308036228)中外ハイテック有限会社 (3)
【Fターム(参考)】