説明

内法も計測できる見易い目盛りの巻尺

【課題】
内法は、計算が容易な数字を加算するだけで計測でき、測定テープの目盛りも見易い巻尺を提供する。
【解決手段】
巻尺ケース1の正面2に回転軸9と一体となる内法測定具10を設け、巻尺ケース1の背面3には指を通す孔7と突起部8を設けてある。突起部8は、内法測定具10に設けてある内法目盛り11からは特定の長さに設定されている。内法を計測する時は壁面にフック6を当て、もう一方の壁面には突起部8を当て、内法目盛り11と一致する測定テープ5の目盛りに、特定の長さを加算すれば内法が測れる。二種類併記の測定テープ5なら内法目盛り11を二本設定すれば、どちらでも計測が可能である。また、視力の弱い人でも正確に目盛りの判別ができるように、測定テープ5の目盛りは一定の間隔で横線12を用いて繋ぎ、内法測定具10は拡大鏡を使用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内法を計測する時に使用する巻尺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻尺で壁面と壁面の内法を計測するときは、一方の壁面にはフックを当て、もう一方の壁面は測定テープを湾曲にしなければならず、正確な数字を目盛りで計測できないので勘に頼っていた。
【0003】
上記より正確に計測するには、一方の壁面から任意に計測した場所に鉛筆などで印を付け、その印から残りの壁面までの長さを計測して内法を出す方法がある。この場合、二度計測する事になり、印の消去も必要である。
【0004】
計測した寸法に、巻尺ケースの長さを加算して内法を計測する発明や、測定テープに通常の目盛りの他に、巻尺ケースの長さを加算した数字を測定テープに書き込み、目盛りを二通りにしてある発明もある。これらは測定テープ出入り口の寸法を見るので見る角度により誤差が生じ易く、巻尺ケースの背面を壁面に当てるとき保持する指が邪魔になり計測し難い。
【0005】
巻尺ケースの背面に突起を設け、測定テープ出入り口までの長さを100ミリに設定して、その寸法を測定テープに書き込みをした考案がある。この場合、背面の突起が固定されていないので誤差や破損の可能性がある。尺目盛りの併記などでは目盛りが複雑になるうえ、一種類の内法しか計測できない。
【0006】
従来、測定テープの目盛りは縦線だけで表示され、5の倍数の目盛りを長くして他の目盛りと区別するだけであるが、視力の弱い人はその間にある短く細かい目盛りの判別が難しいので眼鏡等が必要である。
【特許文献1】特開平10−62102
【特許文献2】特開平10−281703
【特許文献3】実登3077683
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記の問題点を解消し、測定テープの引き出し長さに計算が容易な数字を加算するだけで内法が計測でき、二種類併記の目盛りにも対応できる。ストラップがなくとも巻尺ケースの保持が確実にでき、計測するときは指が邪魔にならずに保持できる巻尺を提供する。
【0008】
視力が弱い人は、測定テープの細かい目盛りを見るとき眼鏡等が必要であるが、眼鏡等がなくても目盛りの判別が容易にできる巻尺を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記課題を解決するため、巻尺ケースの背面に指を通す孔と突起部を設け、巻尺ケース正面には回転軸と一体となる内法測定具を設けてある。内法測定具は内法目盛りを備え、携帯する時は操作ボタンの下に収納されており、前方に倒すと測定テープと平行になる。巻尺ケース背面の突起部は、内法目盛りから特定の長さに設定されており、本件の場合は100mmに設定されている。内法を計測するときは、フックを当てて計測した内法目盛りまでの長さに、突起部までの長さ100mmを加算すれば、内法を計測できる事を特徴とする巻尺である。
【0010】
今まで、巻尺の目盛りは縦線だけで表示されていたので、細かい目盛りの判別は難しかった。この巻尺では、従来のように5の倍数の目盛りを長く表示するだけでなく、その間にある短い目盛りを一定の間隔で横線を用いて繋いでいるので、目盛りの判別が容易にできる。また、内法測定具は拡大鏡を使用しているので、視力の弱い人でも目盛りの判別が容易な巻尺である事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の巻尺は以上のように構成されているので、壁面と壁面の内法を計測するとき勘に頼っていた数値も、この巻尺では計算が容易な数字を加算するだけで内法を計測できる。落下で破損する事が多い巻尺ケースも、指を通せる孔が開けてあるので確実に保持ができる。
【0012】
視力の弱い人にとって見難かった測定テープの目盛りも、縦線だけでなく一定の間隔で横線を用いて繋いでいるので、目盛りの判別が容易である。また、巻尺ケースには拡大鏡も備えているので、細かい目盛りの判別が容易な巻尺である。
【実施例】
【0013】
以下この発明の実施例を、図面を用いて説明する。図1は、この発明の内法も計測できる見易い目盛りの巻尺の側面図である。巻尺ケース1の正面2には回転軸9と一体となる内法測定具10が設けられており、その内法測定具10を前方に倒した図である。内法測定具10は図2のように、携帯時は操作ボタン4の下に収納されている。また、巻尺ケース1の背面3には指を通す孔7と突起部8が設けられている巻尺である。
【0014】
図1のように巻尺ケース1の正面2にある内法測定具10は、前方に倒すと測定テープ5と平行になり、図6にあるように内法目盛り11を備えている。メートル目盛りと尺目盛りの二種類の目盛りを備えた測定テープ5なら、内法目盛り11を二本にして色分けすれば二種類の目盛りにも対応できる。
【0015】
巻尺ケース背面3の突起部8は、内法測定具10にある内法目盛り11から特定の長さに設定されている。本件の場合は100mmの長さに設定されている。突起部8は巻尺ケースと一体なので破損や脱落の心配がなく、内法目盛り11との長さの誤差が生じ難い。
【0016】
巻尺ケース背面3の指を通す孔7は、四角形の巻尺ケース1に丸く収納されている測定テープ5との隙間を利用しており、この孔7に指を通せば従来のように巻尺を全部の指で把持せずとも、手が滑ることなく保持する事ができる。計測するときも、突起部8を確実に壁面に当てる事ができ、孔に通した指の感触でも当っている事が確認できる。巻尺ケース背面3の直線部分に指を置けば、測定の時も邪魔にならない。
【0017】
図3はこの発明の巻尺の内法測定具10を使って、内法を計測している図である。壁面Aから壁面Bまでの長さを計測するとき、測定テープ5のフック6を壁面Aに当て、巻尺ケース背面3にある指を通す孔7に挿しこんだ指で支えて、壁面Bに突起部8を当てる。操作ボタン4でストップにして、内法測定具10を前方に倒して内法目盛り11と一致する測定テープ5の目盛りを読む。
【0018】
図3では内法目盛り11が54mmに一致している。この54mmに突起部8からの長さ100mmを加算すると154mmになるので、壁面Aから壁面Bまでの内法は154mmである。図6のように本件の事例では一本の目盛りであるが、二種類の目盛りなら内法目盛り11を二本にして、目盛りと内法目盛り11を二色に色分けすればよい。
【0019】
図3のように測定テープ5の目盛りは縦線だけでなく、一定の間隔で隣の目盛りと横線12で繋いでいる。今までの目盛りは5mmの倍数の縦線を長く表示しているだけであったが、視力の弱い人などは短くて細かい目盛りの判別が難しかった。縦線の目盛りに一定の間隔で横線12を用いて繋ぐことにより、隣の目盛りとの判別が容易になる。横線12は太線、細線、色分けなど目盛りとのバランスで使い分ければ、より判別が容易である。
【0020】
図3のように内法測定具10を使用したときは、測定テープの目盛りが大きく見えるように拡大鏡を使用している。視力の弱い人が、内法を計測しない時でも目盛りが見難いとき使用すれば、眼鏡に頼らなくても判別が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の側面図である。
【図2】本発明の側面斜視図である。
【図3】本発明の使用状態を示す平面図である。
【図4】本発明の正面図である。
【図5】本発明の背面図である。
【図6】本発明の内法測定具の平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1.巻尺ケース
2.巻尺ケース正面
3.巻尺ケース背面
4.操作ボタン
5.測定テープ
6.フック
7.指を通す孔
8.突起部
9.回転軸
10.内法測定具
11.内法目盛り
12.横線で繋いだ目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻尺ケース1の正面2には回転軸9と一体となる内法測定具10を設け、巻尺ケース1の背面3には指を通す孔7と突起部8を設けた巻尺に於いて、内法測定具10は前に倒したとき測定テープ5と平行になり、巻尺ケース背面3の突起部8は、内法測定具10に設けてある内法目盛り11から特定の長さに設定されていることを特徴とする内法も計測できる見易い目盛りの巻尺。
【請求項2】
測定テープ5の目盛りは、縦線だけでなく一定の間隔で横線を用いて繋がれた目盛り12を設けて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内法も計測できる見易い目盛りの巻尺。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−275675(P2006−275675A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93488(P2005−93488)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(302064278)
【Fターム(参考)】